星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » 

【 憲法改定の『家業』に精を出す安倍首相 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 5分

『憲法9条を無効に!』未完のファミリー・ビジネスにばかり熱心な安倍首相

国民の57%が憲法第9条の改定に反対、賛成は25%留まり、現実は安部首相の見解とはおよそ逆

 

エコノミスト 2017年5月4日

 

今週ずっと、東京の国立公文書館で展示されている黄ばんだ文書を見るために、大勢の人々が静かに並んで順番を待っていました。

1946年アメリカ軍の占領下にあった当時、うだるように暑い日々に起草され、戦争の放棄を宣言した日本国憲法は多くの日本人にとってある意味神聖な価値を持つものです。

しかし日本の安倍晋三首相は、その条文を改めたいという強い願望を、これまでほとんど隠そうとはしませんでした。

 

そして今年、東京がオリンピックを主催する2020年までに憲法の改定を確実なものとしたいという決意表明をするために、安倍首相は現在の憲法が公布されて70周年を迎える5月3日を選んだのです。

憲法の改定を実現させるためには衆参両院の過半数の承認と、国民投票による同意が必要になります。

ただでさえ異論の多いこの議論をつづけるためには多大な政治的エネルギーを費やさざるをえず、必然的にこれからの3年間、安部首相が繰り返し約束した弱体化した日本経済の立て直しは後回しにされることになります。

 

安部首相が望むのは日本国憲法の平和条項として有名な第9条を改定し、現在は軍隊という位置づけでは無い日本の自衛隊について合法性を確保するとともに、名実ともに日本の正規軍としての地位を確立させることです。

日本国憲法は陸、海、空の常備軍の保持を禁止していますが、このために日本の自衛隊の250,000人以上の兵員、1,600基の航空機、そしてその威力を誇示している4隻の大型ヘリ空母などは居心地の悪い思いをしています。

こうした問題に加え憲法第9条の条文は、たとえば国連の平和維持活動に自衛隊が参加することは違法か適法かという終わりの無い議論を続けさせる結果にもつながっています。

 

安部首相が率いる自民党はこれまで何十年もの間、憲法第9条を戦勝国アメリカが日本に押しつけた屈辱の産物とみなしてきました。

つまるところ、同党の古屋圭司衆議院議員の言葉を借りれば、自民党はこの日本国憲法の改定を明確な目標として1955年に誕生しました。

安部首相の祖父である1950年代当時の岸信介首相は、在任中に憲法の改定を実現させようと懸命の取り組みを行いましたが果たせませんでした。

安部首相はこれまで環境づくりに精力的に取り組み、足場を固めた上で憲法改定に乗り出しました。

「憲法を不朽の大典とみなす国民は、今や少数派になりました。」

安部首相は支持者に対し、こう語りかけました。

 

安部首相が自信を持ってこう語る背景には理由があります。

安部首相が率いる連立与党は日本の衆参両院の議席の絶対多数を占めており、同じく憲法改定に前向きな他の党の同意を得れば、国民投票実施のために必要な国会の議席3分の2以上の確保は充分に可能だと判断したのです。

北朝鮮が頻繁に繰り返すミサイル発射実験も、安部首相の主張に貢献する結果となっています。

 

しかし安倍首相の目論見通り事が運ぶかどうかは未だ解りません。

 

NHKが行なった最新の世論調査では、国民の57%が憲法第9条の改定に反対している一方、賛成派は25%に留まり、現実は安部首相の見解とはおよそ逆になっています。

 

憲法改正に対する支持が日本国内でピークを迎えたのは10年以上前のことです。

社会学者の小熊英二慶応大学教授は、特に現代の若者は、外国との外交紛争に慎重な見方をするようになったと語りました。

そして安倍首相自身も、日本国民にとっての最大の懸念は安全保障問題ではなく、経済問題だという事を認めています。

 

未完のファミリー・ビジネスにばかり熱心に取り組むようなことになれば、安部首相の『悲願』は再びその手からこぼれ落ちることになるかもしれません。

 

http://www.economist.com/news/asia/21721690-voters-are-up-arms-about-idea-shinzo-abe-sets-date-revising-japans-pacifist?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

【 見つからない!高レベル放射性核廃棄物の最終処分場 : 日本 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 8分

処分の見通しもない大量の高レベル放射性核廃棄物を抱え込んでいる日本に、これ以上原発を稼働させる余裕は無いはず

最終処分場は地震が多発する不安定な日本の国土で、100,000年の間、高レベル放射性核廃棄物を『完全に』安全な状態で保管し続けなければならない

福島第一原発事故の被災地は汚染のひどさを理由に、他の原発の高レベル放射性核廃棄物まで背負わされる可能性が高い

 

ジュリアン・ライオール / ドイチェ・ヴェレ  2017年5月5日

 

日本の原子力産業界が作り出している高レベル放射性核廃棄物の処分場建設の候補地に挙げられている地方自治体が次々と拒否を表明する中、日本政府は尚も最も安全にこれらを埋設できる地下処分場の建設予定地を探し続けています。

 

これから100,000年の間、18,000トンの高レベル放射性核廃棄物を安全に保管できる廃棄物処分場を建設可能だと専門家が考える候補地について、日本政府はこれらを地図に落とし込む作業の総仕上げに入っています。

この地図は2017年6月に公開される予定になっていますが、日本政府は同時に日本全国でシンポジウムを開催し、なぜこうした施設が必要なのか説明した上で、この計画に対する国民の支持を得ようと考えています。

 

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故の記憶は生々しく、未だに多くの被災者が苦境に立たされていることを考えれば、日本政府のこうした計画が国民の理解、あるいは支持をそう簡単に取り付けられるとは考えられません。

 

原子力発電所が排出する高レベル放射性核廃棄物の最終処分場を造る計画が日本の原子力産業界から最初に示されたのは2002年のことでした。

しかしその当時でも、この計画の受け入れについて具体的検討を行った地方自治体はほとんどありませんでした。

 

それから 15年が経過し、その間発生した福島第一原子力発電所の事故により、いくつかの原子炉の永久廃炉が決定し、高レベル放射性核廃棄物の最終処分場建設はいっそう差し迫った問題になっています。

 

▽ 放射能もれ

 

巨大地震によって日本列島の沖合で発生した高さ13メートルの津波が4基の原子炉に襲いかかり、大量の放射性物質が環境中に放出された福島第一原発の事故は、日本という国が多発する地震によっていかに不安定な状態にあるのかをあらためて強く認識させることになりました。

最終処分場はそうした国土で100,000年の間、高レベル放射性核廃棄物を『完全に』安全な状態で保管し続けなければならないのです。

 

京都に本部を置いて反原子力発電運動を続けるグリーン・アクション・ジャパンのアイリーン・ミオコ-スミスさんは、日本政府にはそれ程の事業を成し遂げる能力は無いと考えています。

「2011年に起きたことは、日本中のどこであってもこうした天災から逃れることはできないという事を教訓として私たちに伝えました。それ以外の都合の良い事実があるなどと考えることは、」

ドイチェ・ヴェレの取材にアイリーンさんがこう答えました。

福島第一原発の事故以降、原子力発電に対する国民の不信と反対意見は高いままですが、アイリーンさんは日本政府は対象となった自治体が首をたてに振るまで、補助金や補償金を釣り上げる使い古された手段を使って処分場の候補地を手に入れようとするだろうと考えています。

 

▽ 公金

 

「彼らはこれまでずっと何とか最終処分場の建設予定地を確保しようとしてきました。そしてその土地が候補地として充分な安全を確保できるかどうか、調査を受け入れただけで町や村に対して多額の資金を提供してきたのです。」

アイリーンさんがこう語りました。

「こうした資金欲しさからこれまで何人かの自治体の首長が調査を受けて入れてきました。最終的に処分場建設を受け入れるつもりは無かったとしても、調査が行なわれると決まっただけで、住民たちは直ちに激しく反発したのです。住民たちは激しい怒りを隠そうともしませんでした。」

「結局すべてのケースで自治体の首長は決定を翻しました。政府の提案を受け入れた自治体はただの一か所もありませんでした。」

「しかし私が現在恐れているのは、遅かれ早かれ日本政府が場所を決定し、自治体に対してはその受入れを一方的に命令することになる事態です。」

 

日本政府は最終処分場の安全確保には万全を期すと語っています。

そして活断層や火山活動による地震の影響がない場所の、地表から300メートル以上の地下に作られることになっています。

そして浸食や風化の恐れが無く、さらには油田や石炭層からも離れ場所に位置しなければなりません。

交通アクセス条件も考慮される必要があり、さらには海岸線から20km以内の場所が望ましいとされています。

 

▽ 高レベル放射性廃棄物

 

建設される最終処分場はガラス固化された高レベル放射性廃棄物を詰めたキャニスターを25,000個収容する能力が必要です。

2011年に福島第一原子力発電所が事故を起こしてから国内の原子炉はそのほとんどが停止していましたが、マグニチュード9.0の地震規模の天災にも耐えられるよう求める新たな安全基準をクリアした原子炉から順次稼働させる現在の政策が続けば、高レベル放射性核廃棄物の量は今後さらに増え続けることになります。

国際基督教大学で国際関係論を専攻するスティーヴン・ナジ准教授は、どの自治体が処分場建設を受け入れることになっても、日本政府が多額の補償金を支払わなければならないことだけははっきりしていると語りました。
「これまで全ての政権がそうしてきたように、あらゆる地方自治体に対し処分場建設を受け入れれば、地域活性化のために多額の政府資金を提供すると言って回ることになるでしょう。しかし福島の事故を目の当たりにした日本人の多くが、原子力発電に拒否感情を持つようになっており、行く先々で激しい抵抗に会うことになるでしょう。」
「私は日本政府内においても、原子力発電を段階的に廃止する方が望ましいという意見が強まっていると考えています。しかし現段階でそこまで踏み切るのは現実的ではないことが明らかです。」

 

政府が「最適候補地」を発表した段階で明らかになるでしょうが、高レベル放射性核廃棄物の最終処分場の建設にふさわしいとして挙げられるのは、本州の中心部ではなく、多分比較的人口の少ない東北地方か北海道ということになるでしょう。
東北・北海道ともに、地方の活性化対策が死活問題になっている市町村が多数存在します。

そしてさらに残酷な展開が予想されます。
福島第一原子力発電所周辺の放射能汚染は極めて深刻なため、結局、最終候補地として選ばれるのは事故の被災地にされた福島県内の市町村の可能性が高いのです。

 

http://www.dw.com/en/japan-seeks-final-resting-place-for-highly-radioactive-nuclear-waste/a-38709488

【 憲法改定を求める動きを加速させる『北朝鮮の脅威』】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 11分

戦争を放棄している日本国憲法は、多くの日本人にとって誇るべきものである

いかなる武力紛争にも関わらないとする平和主義は、実際に70年間日本が戦争と無関係な国家であることを可能にしてきた

 

 

ジュリアン・ライオール / ドイツ国際放送 2017年5月3日


日本国憲法が施行されて70周年を迎えた5月3日、安倍首相は第二次世界大戦に敗北して以降ずっと日本政府のすべての行為に制約を課してきたこの憲法に変更を加えたいという願望を改めて表明しました。

 

安倍晋三首相は保守派の政治家としてこれまでずっと、国家の安全保障と防衛政策について規定する日本国憲法の一部を書き直したいという『宿願』を繰り返し表明してきましたが、これまではその宿願を実現できる環境を手に入れることができずにいました。

しかしアジア太平洋地域、特に東北アジア地区における外交・安全保障上の状況はこれまでとは異なり、日本人は自分たちが脅威にさらされていると感じるようになりました。

 

特に日本人が恐れるのは核兵器とそれを搭載でき日本を射程圏内に収める弾道ミサイルを手にする北朝鮮の独裁体制です。
日本人のもう一つの大きな懸念は、近隣諸国が領有権を主張している南シナ海の島々を実力で支配下に置き次々と軍事施設等の建設を続けている中国の軍事的台頭です。

中国政府は日本と領海を接する東シナ海においても、沖縄県にある無人の尖閣諸島(中国名は釣魚台列島についても同様に領有権主張をしています。
中国の沿岸警備艦はこの島々がある日本の領海に頻繁に侵入しては出て行くという示威行動を繰り返し、領海から出て行くよう求める日本側の警告を無視する行動を繰り返しています。

 

北朝鮮が挑発的行動をエスカレートさせ緊張が高まる中、米国のトランプ大統領はアジアの同盟国との関係を重視する姿勢を具体化させています。(写真上)

 

▽ 手直しが必要?

平均的日本人にとって現在は北朝鮮や中国との関係が『懸念される時代』であり、交付されてから70年が経つ現在の憲法は今日の状況には合わなくなってきており、見直すことが必要であるという提案が説得力を持つようになっています。
そして変えることが最も『必要な』部分は、日本は「永遠に戦争を放棄する」こと、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と規定している第9条です。

日本の歴代の政権はこの条文について日本の国土を防衛する権利までは制限していないと解釈し、実質的な軍隊である自衛隊の存在は合法的であるという見解を引き継いできました。
そしてその結果。自衛隊はその規模も戦力も拡大を続けてきました。

 

しかし自衛隊の戦力がどれほど大きくなろうとも、日本国憲法第9条はその軍事力の行使については厳しく制限しています。

憲法記念日の数日前に共同通信社が実施した世論調査によれば、回答した人の49%が、第9条を見直す必要があると回答し、いかなる変更にも反対すると答えた47%を上回りました。
安倍氏の首相就任後の2012年12月に実施された世論調査では、国民の51%が第9条の改定に反対し、45%が改定を支持していました。

 

安倍首相は長年の『宿願』に対する支持が高まったことを受け、憲法改定についての議論を開始することを誓いました。
安倍晋三首相は自民党が主導する会合で、「日本国民に対し自信を持って、この国の未来がどうあるべきかという私たちのビジョンと理想的な憲法のあり方」を自信をもって示すべきだと語りました。

 

▽ 平和で豊かな
安倍首相は東アジア地区で高まっている安全保障上の脅威から、日本国内の人口減少や労働力の縮小に至るまで、国が抱える課題について具体的に言及し、自分が「平和で豊かな日本の未来を切り開いていく」と語りました。

保守派の人間の多くは、現在の憲法が太平洋戦争後の混乱の中、強大な力を持っていた同盟国によって敗戦国の日本に課せられたものであり、今日の現実を反映する必要があると感じています。

福井県立大学国際関係学部の島田洋一教授はドイチェ・ベレの取材に「第9条は何年も前に改訂されるべきだったと思う」と答えました。

 

「日本が脅威に直面していることは明らかであり、その状況は年を追うごとに深刻になっています。」

奥村教授がこう語りました。

「生物兵器や化学兵器はもちろんのこと、核兵器とミサイルを装備した北朝鮮がもうそこまで迫ってきているのです。キム・ジョンウン体制の北朝鮮がこれらすべての兵器を開発済みであることは疑いないのです。」

「北朝鮮問題は目前に迫った脅威ですが、長期的視野に立った場合日本の主権を脅かすことになるのは中国の領土的野心です。その実例を南シナ海を囲む各国は厳しい教訓とともに突きつけられました。」

「現在の憲法は私たちが基本的に隣人を信用しなければならないとしています。しかし、中国、北朝鮮、あるいはロシアといった国々を信頼するよう求められることは非現実的な事ではないでしょうか。」

そして奥村氏は最後にこうつけ加えました。

「私たちは自分自身で身を守る能力を身に着ける必要があります。」

 

国際基督教大学で国際関係論を専攻するスティーヴン・ナジ準教授は、安倍首相が長年望んできた日本国憲法を改定するための諸条件を初めて揃えることができたと確信しています。

「日本人を悩ませている短期要因は北朝鮮です。北朝鮮はすでに核弾頭や化学兵器を日本国内の目標に打ち込むことを可能にする各種のミサイルを開発済みです。」

ドイチェ・ヴェレの取材にナジ準教授はこう答えました。

 

「日本が脅威に直面していることは明らかであり、その状況は年を追うごとに深刻になっています。」

奥村教授がこう語りました。

「生物兵器や化学兵器はもちろんのこと、核兵器とミサイルを装備した北朝鮮がもうそこまで迫ってきているのです。キム・ジョンウン体制の北朝鮮がこれらすべての兵器を開発済みであることは疑いないのです。」

「北朝鮮問題は目前に迫った脅威ですが、長期的視野に立った場合日本の主権を脅かすことになるのは中国の領土的野心です。その実例を南シナ海を囲む各国は厳しい教訓とともに突きつけられました。」

「現在の憲法は私たちが基本的に隣人を信用しなければならないとしています。しかし、中国、北朝鮮、あるいはロシアといった国々を信頼するよう求められることは非現実的な事ではないでしょうか。」

そして奥村氏は最後にこうつけ加えました。

「私たちは自分自身で身を守る必要があります。」

 

国際基督教大学で国際関係論を専攻するスティーヴン・ナジ准教授は、安倍首相が長年望んできた日本国憲法を改定するための諸条件を初めて揃えることができたと確信しています。

「日本人を悩ませている短期要因は北朝鮮です。北朝鮮はすでに核弾頭や化学兵器を日本国内の目標に打ち込むことを可能にする各種のミサイルを開発済みです。」

ドイチェ・ヴェレの取材にナジ准教授はこう答えました。

 

▽ 長期的課題

 

「日本にとっての長期的課題は中国の存在です。東アジア地区において急速に存在感を大きくしている中国は、私たちがこの目で見てきたように南シナ海で、そして東シナ海でも軍事的な圧力を大きくし続けています。

「安部首相はこうした状況に、力で対決するため日本の軍隊の存在を正式に認めさせることについて、重要性と合理性があると考えるようになったのです。」

ナジ准教授はこう強調しました。

 

しかし日本国憲法によって保障され、いかなる武力紛争にも関わらないとする平和主義は、実際に70年間日本が戦争と無関係な国家であることを可能にしました。

そして現在、平和主義に対する世論の支持はむしろ上昇傾向にあります。

戦争を放棄している日本国憲法は多くの日本人にとって誇るべきものです。

こうした日本の人々の意識こそ、安部首相が憲法第9条の内容を大幅に変えてしまう事は不可能だと、ナジ准教授が信じる最大の理由です。

 

「安部首相はこの数年、日本の安全保障政策の一環として日米同盟の重要性を強調してきました。そのためには日本の自衛隊が同盟国、実際には米軍と協同の軍事行動を行う上で障害となる制約を取り払う必要があります。そのために憲法第9条の条文の変更が必要なのです。」

 

日本政府は自国の軍事力を法的に正式に規定した上で国際舞台での軍事行動を可能にするする法律の整備にこだわりを持ち続けており、こうした部分の法整備を今後も続けて行くことになるだろうと付け加えました。

「私は安倍首相が日本国憲法に思い切った改変を加えることができるとは考えていません。

しかし防衛能力と日米の軍事同盟を強化することによって、現実を変えていくことは可能だと考えています。」

 

http://www.dw.com/en/japans-new-drive-to-rewrite-constitution-amid-north-korea-threat/a-38672296

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

日本の人びとだけでなく、世界の心ある人々も人類の理想だと考えているのが日本国憲法第9条です。

日本国憲法の成立の経緯がどのようなものであれ、ベトナム戦争に参戦「してしまった」韓国などと比べても、70年もの間平和主義を貫いてきた日本は、世界中から特別の尊崇を受けてきました。

それほど価値あるものを、北朝鮮の半分狂人としか思えない体制に振り回された挙句捨ててしまうなど、許されて良い話ではない、個人的にはそう考えています。

【 安倍首相、憲法の改定を宣言 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 7分

戦争の完全放棄を宣言していることで世界的に有名な第9条、日本の平和主義は憲法によって守られている

安倍首相の改憲の決意表明に対し、ソーシャル・メディア上には大量の反対意見が書き込まれた

世論調査では回答者の82パーセントが「平和主義を国是とする現在の憲法を誇りに思う」と回答した

 

モトコ・リッチ / ニューヨークタイムズ 2017年5月3日

 

日本の安倍晋三首相は5月3日水曜日、アメリカ軍の管理下に置かれていた1947年に制定された日本の平和憲法を改定する計画を発表しました。
憲法制定70周年を迎え保守系の民間団体が主催した式典で紹介されたに送りつけられたるビデオ・メッセージで安倍首相は憲法を2020年までに改定すると明言し、自衛隊として知られる日本の軍隊の地位を「明文として書き込む」と発言しました。
日本が北朝鮮から継続的な安全保障上の脅威を受け続けている状況の中、227,000人以上の現役兵士で構成されている「自衛隊が違憲かもしれない」という状況をこれ以上放置できないと強調しました。

 

北朝鮮が挑発的行動を繰り返し、安全保障上の懸念が高まっているとする安倍政権は、日本の軍備の増強を進めています。
つい最近では朝鮮半島の沖合で訓練を行うアメリカの航空母艦カール・ヴィンソンの護衛艦としての役割を果たすため、日本は海上自衛隊の2隻の駆逐艦を派遣しました。
そして5月1日海上自衛隊の駆逐艦2隻は空母カール・ヴィンソンと3隻の軍艦のアメリカ海軍攻撃機動艦隊の補給艦1隻とともに航行を始めました。

 

戦争を完全に放棄することを宣言していることで世界的にも有名な第9条があることで、日本の平和主義は憲法によって守られています。
日本国憲法第9条は戦後、日本は平和主義国家であるべきだと考える多くの日本国民の拠り所となってきましたが、この条項を変えてしまいたいというのは安倍首相の長い間の宿願でした。

これまで日本国憲法を改変しようという動きは国内においても、そして韓国や中国からも、かつての軍国主義の復活を意図するものだとして疑いの目を向けられてきました。

 

歴代の日本の政権は同じ考え方を持つ学者たちとともに、憲法は国家の自衛権を認めている以上、自衛隊の存在は合法的なものだと主張してきました。

しかし安倍首相は憲法第9条について、広範囲に『解釈の変更』を進めるとともに、2年前には『集団的自衛権』という考えのもとにこれまで認められていなかった、同盟国の軍隊とともに海外での戦闘を可能にする安全保障関連法案を国会で成立させました。

 

この法律の成立に対しては何日にもわたる国会での攻防とともに、かつてない大規模な、そして長期間の一般市民による抗議活動が展開されました。

憲法の改定を提案するというのは政治的に周到で万全な配慮を必要とするという認識に立ち、安倍首相はメッセージの中で日本は「平和主義に徹するという姿勢を堅持しなければならない」とつけ加えることを忘れませんでした。

しかし専門家はこの発言は憲法改定の真意を疑っている人々をとりあえず安心させ、憲法改定を可能にする道筋をつけるための周到な計算のもとに行われたものだと指摘しました。
安倍首相とその政権は「日本国憲法第9条は日本国民に広く支持されているため、これを廃棄しようとすれば憲法の改定が非常に困難になるということに気がついたのです。」
上智大学で政治学を専攻する中野孝一教授がこう語りました。

 

憲法記念日の直前、公共放送局NHKによる世論調査が行われ、回答者の82パーセントが「平和主義を主唱する現在の憲法を誇りに思う」と回答したことが明らかにされたのです。

安倍首相の提案は「一見すると合理性があるようにも考えられますが、まず最初に憲法を破壊した上で、次に憲法が定める『事後法の禁止』行為によって憲法改定を図っている点、批判は避けられないでしょう。」

中野教授がこう語りました。

東京都内では約55,000人が憲法改定に反対する集会に出席し、ソーシャル・メディア上には大量の反対意見が書き込まれました。
「日本国民の多くがどんな犠牲を払ってでも、憲法を変えるべきだと熱心に望んでいるのでしょうか?私はそんな『大勢の意見』など聞いたことはありません。』
ツイッターでトモ・キムラさんがこう発言しました。
しかし別の1人は、安倍首相は憲法を現実に合わせようとしているだけだと発言しました。「私は日本の安全保障環境が劇的に変わったという現実に合わせ、憲法を改正しなければならないと思います。」
匿名のハンドルネーム500円未満さんがツイッターにこう書き込みました。

 

前大阪府知事の橋下徹大阪市長は、読売新聞の取材に対し、今や憲法を改正すべき時が来ていることは明らかだと答えました。
「自衛隊は太平洋戦争直後は憲法に違反していたかもしれません。」
「しかし自衛隊が現在合法な存在であるということは疑いのない事実です。」

 

元政府官僚で明治大学国際総合研究所の客員研究員の奥村準氏は、安倍首相は改憲案を設立させることはおそらく可能だろうと語りました。
昨年7月の参議院選挙では連立与党とその同調勢力は議席の3分の2を獲得し、憲法を改定するための発議権を手に入れることに成功しました。

どのような変更でも、憲法の条文を変更するためには国民投票で過半数の賛成を得なければなりません。
共同通信社が5月に入って発表した世論調査は、日本国憲法の平和主義的な条項を書き変える必要があるかどうかという問題について、回答者はほぼ半数対半数に意見が真っ二つに分かれているという結果を明らかにしました。

 

https://www.nytimes.com/“Shinzo Abe Announces Plan to Revise Japan’s Pacifist Constitution”

【 平和憲法の改変、民主主義プロセスの破壊を続ける安倍政権 】(再掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 11分

憲法第9条により平和主義は戦後日本の復興の礎となり、平和国家日本の再建は確実に進んでいった
軍国主義が一般国民に強制したものは極端な服従、戦争末期の玉砕や特攻による集団自殺
軍国主義に縛りつけられていた日本の潜在能力に、躍進する自由を与えた平和憲法

多くの日本人は長く続いた平和な黄金時代に、幕を下ろすことなど一切望んではいない

 

ピーター・ポッパム / インディペンダント  2014年7月17日

安倍&豪州首相
日本の安倍晋三首相は与党が過半数を制する国会の議席数を利用し、日本は集団的自衛権を行使し得るとする憲法の「再解釈」を行いました。
この決定は国民の大きな怒りを買い、その怒りは時間が経っても容易には収まりそうにありません。

日本の現在の憲法は西側の法律家たちによって考案され、敗戦によって自信を喪失していた国に対し施行が課せられ、完全な平和主義の国家の再建設がすすめられることになりました。

 

憲法第9条の条文は次の通りです。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」

この憲法の発布以来、日本の国家主義者たちはその規定する内容について「屈辱的な」ものであると憤懣を募らせ続けてきました。
しかし平和主義は戦後日本の復興の礎となり、平和国家日本の再建は確実に進んでいったのです。

日米安保条約に基づくアメリカの軍事力の傘の下にいることも日本人に軍事力の不必要さを感じさせてきましたが、それ以上に多くの国民が日本は平和国家に生まれ変わったのだという認識を持ったことにより、戦前の軍国主義がもたらした様々な恐怖や悲劇からいち早く立ち直ることを可能にしたのです。

大東亜共栄圏03

第二次世界大戦中に日本軍の占領地区における残虐行為などが戦後明らかにされると、当時詳しい事情も知らずに大日本帝国の戦争推進政策に賛同していた一般国民は、驚きと恐怖に打ちのめされました。

『大東亜共栄圏』こそは大日本帝国が創り出した壮大な規模の欺瞞でした。
アジア各国と対等の同盟関係を結ぶ振りをしながら、日本人は各国民に対し人種的に優位に立っているという真意を隠し持ち、天皇を神格化して様々な形で利用しようとしていました。

軍国主義が一般国民に強制したものは極端な服従、戦争末期の玉砕や特攻による数多くの若い人々への集団自殺の強制、さらには日本中の都市が壊滅寸前に追い込まれ、多くの民間人が犠牲になったアメリカ軍による空襲、猛爆でした。

 

東南アジア諸国は大日本帝国の侵攻により、西欧の帝国主義国家の植民地からの脱却を果たしたため、当初は恩恵があるように感じた国々もありました。
しかし独立の喜びに浸っていたのもつかの間、間もなく彼らはいやでも日本の醜い真意に気づかざるを得ない状況に追い込まれていきました。
以後彼らは二度と大日本帝国の『恩恵』について、口にすることはなくなったのです。

大東亜共栄圏02
マッカーサー元帥が統治責任者を務める中で公布された平和憲法は、軍国主義に縛りつけられていた日本の並外れた潜在能力を自由にしました。

そのエネルギーは産業の復興に向かい、日本経済を泥沼から引き出しただけでなく、生活水準の改善を著しく改善することになりました。

日本人は別に自画自賛することが大好きな訳ではありませんが、しかし一面では真実です。

1930年代に誇らしげに語られた『大東亜共栄圏』構想は、結局は日本に膨大な数の死と惨めな敗戦をもたらしただけでした。

 

1930年代の軍国主義国家を、1950・60年代の平和主義国家日本と比較してみたらどうなるでしょうか?

『トランジスタ・セールスマン』は、当時の池田勇人首相が推進した高度成長政策について、フランスのド・ゴール大統領が日本人を幾分かの軽蔑を込め揶揄した言葉でした。
しかし日本は近代国家史上2回目となる繁栄を謳歌し、戦時中と異なり日本人が東南アジアで忌み嫌われることはもはや無くなりました。
事実、日本の海外投資のあり方は綿密に調査に基づく緻密なものであり、この点往々にして高圧的であり相手を小ばかにしたような中国のやり方とは対照的なものでした。

憲法第9条01
東南アジア、東アジア地区において平和主義国家日本が半世紀の間続けてきた、現地の人びととの融和を大切にする友好的な政策が生み出したこのような高い評価を、簡単に台無しにする方法があります。

それが安倍首相とその支持者たちが天性持っている国家主義的思考であり、彼らが今進めている国家主義的政策です。

 

東南アジア、東アジア地区において平和主義国家日本が半世紀の間続けてきた、現地の人びととの融和を大切にする友好的な政策が生み出したこのような高い評価を、簡単に台無しにする方法があります。
それが安倍首相とその支持者たちが天性持っている国家主義的思考であり、彼らが今進めている国家主義的政策です。

それこそが今日本が外交的に危機的状況に追い込まれている本当の理由なのです。

そして安倍首相が憲法第9条の解釈の変更を行うことにより日本という国家の性格と政策を一変させてしまおうとしていることに対し、国内から広範囲な反対が巻き起こっていることの原因です。

 

国内において国民の大きな反発を引き出したものは、安倍首相が行ったそのやり方でした。
巧妙に仕組まれたごまかしというべきかもしれません。
安倍氏はかつて一度、短期間首相の座にいたことがあります。
その時は目立つほどの業績も無く、その後数年間は注目を浴びることもありませんでした。
そして2012年、1980年代半ばから停滞が続いている日本経済を復活させるため、新しい政策を大胆に実行するという公約を掲げて政権の座に返り咲きました。

集団的自衛権01
その政策のシナリオはきわめて複雑なものでしたが、これまで試されたことは無いというメリットを持っていました。
そして今のところ、完全な失敗に終わったということにはなっていません。
しかし東アジア地区において拡大を続ける中国の覇権と争うため、再び日本を強大な軍事力を持つ国家に変貌させる、そのためには日本の国のあり方まで変えてしまうという政策は、本来含まれてはいなかったはずでした。

コンセンサスについての考え以外は、日本の民主主義は完ぺきというには程遠いものなのでしょうか?

 

日本では実業界においても、そして政界においても、民主主義の理念とは相いれないものが奥深く存在するのではないでしょうか?

こうした事情から経済発展の早さと比較して、日本の政治社会の進歩は世界の中でむしろ遅い方だと見られています。 - 多くの場合、日本の企業や政治組織などにあって何か特別な状況が発生した場合には、誰もが同じ方向を向き、上からの命令に喜んで従うという態度を示さなければなりません。
このやり方で安倍首相は日本の平和憲法を踏みにじりました。

日本のニュース解説者などが指摘しているのは、安倍首相の「内閣による解釈の変更」という民主主義とは相いれない手法です。

2007年の第1次安倍内閣の当時、安倍首相は国民投票法を含め思い切った憲法の改変を提案しました。
もし当時の議会の承認が得られれば、成功していたかもしれません。

憲法解釈変更 7
しかしそこに至るまでのあまりに困難な道のりを考え、今回は自分たちにとって簡便な手法を用いることにしたのです。
これによって安倍首相は、本来なら必要とされる国民の合意を取りつけることなく、自らが増強に心血を注いでいる日本の軍事力を海外で行使できるとする解釈を成立させたのでした。

この過程において安倍首相は、民主主義国家において本来許されないはずの行為を繰り返し行いました。
フィナンシャルタイムズの記事にもあった通り、日本の経済を再生するとする安倍首相の取り組みはまだ道半ばです。
その実現のためには、政権をしっかりと支える多くの政治的資本を必要とします。

 

しかしその好戦的、すなわち戦争を挑発して回るような安倍政権の政治姿勢に対する国内外の反感は、本来の目的であったはずの日本の経済再生を失敗に終わらせ、元の木阿弥にしてしまう可能性があります。

なぜ日本はアメリカが主導する軍事行動に、歩調を合わせ続けなければならないのでしょうか?
平和主義は日本にとって、慣れぬ新しい概念ではありません。

16世紀にキリスト教宣教師を追い出した後、日本は世界との交易の扉を閉ざした上で銃器の使用を厳しく制限し、武士が帯びていた刀はやたらと振り回す武器ではなく、名誉の象徴としての位置付けに変わりました。
鎖国と呼ばれるこの政策は、国家間の戦争が多発した時代において、長く平和な時代を日本にもたらしました。

沖縄戦01

戦後の平和主義は経済が停滞していた時期にも、日本人に長い間平穏な生活を保障してきました。

多くの日本人は、必要とされる適切な議論が行われないまま長く続いた平和な黄金時代に幕を下ろすことなど、一切望んではいないのです。

 

原題 : Shinzo Abe’s way of reinterpreting Japan’s pacifist constitution won’t wash
He has bitten off more than he can chew
http://www.independent.co.uk/voices/comment/shinzo-abes-way-of-reinterpreting-japans-pacifist-constitution-wont-wash-9613153.html
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 70年間続いた平和主義は今や日本が誇るべき伝統、時の権力者の勝手な破壊を許していいのか?】(再掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 12分

わざわざ外国に行って人を殺すような行為はしない、それは日本人にとっての新たな文化、新たな伝統
安倍首相の右傾化政策は、戦前の日本を地獄の業火に引きずり込んだ悲劇的失政に通じる
平和憲法は戦争で殺された300万以上の日本人の、そして2,000万以上のアジア人の犠牲者の上に成立したもの

 

ザ・ガーディアン 2014年7月1日

No War
1943年、石田雄氏が日本軍に徴兵されたとき、彼はアジアを西欧列強の植民地支配から解放するための正義の戦争に参加するのだと信じていました。
彼の中では日本の軍国主義に対する疑いが芽生えていましたが、毎日繰り返される戦闘訓練の中でいつしか彼本来の人間性は鈍麻し、戦争の大義を信じるようになっていたのです。
そして降伏…
軍国主義の厳しいタガが外れると、戦地における日本軍の残虐な行為が次々と明らかになりました。
石田氏は以後の人生を、日本の平和憲法を護ることに捧げる決心をしたのです。
この憲法は当時日本を実質的に統治していた、アメリカ占領軍当局の下で制定・発布されたものです。

そして今、約70年の時間が過ぎた後の日本の防衛政策の劇的な転換を見て、かつての大日本帝国陸軍の士官であった石田氏は、日本の若者が再び海外の戦場に送り込まれる事態が現実となることを恐れています。

 

7月1日、保守タカ派の安倍首相とその内閣は、長い間禁じられてきた日本の海外での武力行使を容認する内閣決議を行いました。
この決定は石田氏が見る限り、日本を再び無謀な戦争に引きずり込んでしまう可能性があります。

「安倍首相がしていることは、私たち日本人の平和憲法の原則を破壊する行為です。」
東京大学の名誉教授である石田雄氏がこう語りました。
「国外において一切人殺しをしない、ある意味でそれは日本人の貴重な遺産の一部分を形成しています。そのような大切な理念を国民が望んだからではなく、ひとりの人間が命令したから捨て去る、なぜそのようなことをする必要があるのでしょうか?」

広島04
現在91歳の石田氏は日本とアメリカの共同作業によって編まれた平和憲法こそが、戦後70年間続いた平和主義の土台を支え続けてきたと考えています。

「戦後私は、軍国主義青年になるために長い間洗脳されていたのだと気がつきました。」
石田氏がこう語りました。
「そのために自分の存在意義についての喪失感に打ちのめされていたとき、私は平和憲法と出会い、目の前が一気に開ける思いがしたのです。」

安倍首相が憲法を解釈しなおし、集団的自衛権の行使は容認されるとしたことで、こうした日本の平和主義的伝統が捨て去られる危険にさらされ、平和主義国家としての基盤が潰え去ろうとしているのです。

 

しかし日本が憲法の改変そのものを行う可能性は無いのでしょうか?
安倍首相は国会内と国民投票で手続きを進めるために必要な賛成票を得ることが出来ないと判断し、憲法の改変という選択肢を本当にあきらめたのでしょうか?

 

国際紛争の解決手段として戦争を放棄し、武力の行使を禁じる憲法第9条の解釈の変更が行われることになっています。

安倍首相率いる自民党と連立を組む公明党合わせた議席数は全体の過半数を上回り、この後、憲法第9条の解釈の変更は議会で承認されることになっています。
そうなれば日本は第二次世界大戦終了後初めて、集団的自衛権の行使が容認されることになります。

実際の運用では国連の平和維持活動、そして本格的な戦争状態には陥っていない、いわゆるグレーゾーンへの武装した自衛隊の派遣が可能になるのです。

しかし最も心配されることは、『強い同盟関係にある』軍隊救援のため派遣された自衛隊が、アメリカ政府の強い要求により本格的な戦闘へと引きずり込まれる危険性がある事である、こうした批判もあります。
実際に安倍首相は第2の任期において防衛予算を増額し、自衛隊の体制と装備の充実に力を注いできました。

そして第二次世界大戦における日本と日本軍の歴史的記録を書き換えようと図る日本の保守派の政治家を代表する人物として、台頭する中国の軍事的脅威と、北朝鮮の核開発計画から日本と同盟国を防衛するためには、現行憲法が邪魔になると主張します。

1日火曜日に行ったテレビ演説の中で、安倍首相は日本が平和主義国家であることに変わりはなく、憲法第9条の解釈の変更により自衛隊が海外の戦闘地帯に派遣される可能性がある事を否定しました。
その代り、日本国民を防衛するためにより優れた態勢が築かれることになると語ったのです。
例えば日本の防衛のため戦闘を行っている米国艦船を、日本の海上自衛隊が防衛することが可能になる、安倍首相はこう説明しました。
「これは、日本人の幸福に資するための対策なのです。」
「平和国家としての日本の立場に変更はありません。」

 

今回の解釈変更について、内閣が作成した文書にはこう書かれています。『我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない時に、必要最小限度の実力を行使する』

WP504
しかし、20世紀半ば、日本の軍国主義政策の直接の被害者となった近隣諸国からは、批判的な論説が相次ぎました。
「中国政府は、中国の脅威を過剰に煽り立てる日本政府の行為に反対する。」
中国の外務省スポークスマンは北京での記者会見の席上、こう語りました。
「長い間希求し続けてきた平和な世界の実現への取り組みを、日本はもはや捨ててしまったのだろうか?近隣各国がそうした疑問を持つのはごく自然な事です。」

韓国政府のスポークスマンは次のように語りました。
「過去日本の軍国主義の犠牲となった近隣諸国の懸念を払拭し、地域の平和と安定のために平和憲法をこれからどう生かすべきか、日本はそこを原点に議論すべきあると考えています。」

自衛隊に対する制約を取り払おうとする安倍首相の一連の政策に対しては、日本国内でも多くの反対の声が挙がっています。
約10,000の人々が月曜日の夕方、首相官邸前でデモを行いました。

 

同様の集会は7月1日火曜日にも開かれました。

「現在の憲法は、300万人以上の日本人の、そして2,000万人以上のアジア人の戦争の犠牲の上に成り立っているのです。」
74歳になる村田良彦さんがこう語りました。
「私たちはその事を肝に銘じる必要があります。」

 

いくつかの最近の世論調査の結果は、有権者の大部分が集団的自衛権の行使容認には反対していることを明らかにしました。

一方、解釈変更を支持する立場の人々は、不確実性を増すアジア太平洋地区の状況に対応するため、日本は他の見民主主義国家同様の防衛政策を採用しているだけだと語りました。
「地域の平和と安定を守るため、関係諸国と協力しながら共同の枠組み作り上げるために、我々は現在より率先的な役割を演じようとしているのです。」
AP通信の取材に、自民党の安全保障研究委員会の委員長を務める岩屋たけし氏がこう答えました。

憲法解釈変更 7
しかし石田名誉教授が次のように指摘しました。
安倍首相は靖国神社参拝により、あえて日中、日韓の間の緊張関係を演出し、その上で今度は自衛隊に対する最終的な制約を取り払う挙に出た事により、東アジア地区に危険な時代を創り出してしまった、と。

 

かつて徴兵され太平洋戦争の戦場に送り込まれた男性から見れば、昨年末に世論の反対を押し切って特定秘密保護法を成立させたことを始めとする安倍首相の日本の右傾化政策は、かつての日本を地獄の業火に引きずり込んだ悲劇的な失政に通じるものがあります。

「特定秘密保護法の成立を見て、私はすぐに1928年の治安維持法を思い出しました。治安維持法の成立により、反対者を逮捕する事、そして国政に関わる情報を隠してしまう事が極めて容易な事になってしまいました。」
石田名誉教授が当時をこう振り返り、次のように続けました。
「憲法9条の解釈を変更した事により、日本は再び海外に実戦部隊を送り込む事が可能になりました。 歴史が再び繰り返すのではないか、そう心配せざるを得ないのです。」

 

http://www.theguardian.com/world/2014/jul/01/japan-pacifists-military-intervention-shinzo-abe
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

2017年の憲法記念日が過ぎ、いよいよ安倍政権の憲法改変への動きが加速しそうな展開となってきました。

連休中ということもあって新規の翻訳作業が思うように進まず、これまで翻訳した中で特に心に残った記事をアーカイブとしてご紹介させていただくことにしました。

以下は翻訳当時の私のコメントです。

 

集団的自衛権の行使容認が閣議決定された後、自民党が多数を占める宮城県議会が『この際、憲法改正までやりましょう』という決議を行いました。
その提案演説を聞くとこれまで各所で語られてきた改憲派の主張と比べて何ら新しい論点などは無く、要するに現在の内閣に「宮城県の自民党はよくやっている」と言われたいがためのこびへつらい、私にはそう見えます。

しかしこういう人間たちが一番怖い、私はそう考えます。
なぜなら長年研究・考察を続けてきた挙句の結論ではなく、ただ権力の一部に連なりたいという『欲』だけが動機であるため、議論などができるはずがないからです。

 

前回も書きましたが、筋の通った国権主義者などならそれなりに研究・考察を続けてきた上での主義・主張なので、対立した立場の人びとともきちんとした議論ができるはずです。

しかし欲が動機の人間たちは、どこかに後ろめたい気持ちがあるのかどうか、そして自分の中で論理が完結している訳でも無いため、反対する市民などには、往々にして高圧的・強圧的な態度をとることになります。
日本の戦時中、気に入らない相手を『非国民』と罵倒して歩いたのは、まさにこのような人間たちです。
実際に権力を握ったとき、この人間たちは特高警察、ゲシュタポなどの組織を使嗾し、民主主義的議論をしたというだけで凄惨な暴行、拷問を加えられる世の中が出現してしまいました。

これ以上の『闇』を広げてはいけないと思います。
私たちはできることを倦むことなく、こつこつと続けていかなければなりません。

【 戦場のヴァイオリニスト 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 7分

ISISはイスラム教の何かを代表するものではなく、ただ単に自由を抑圧する無法者に過ぎない

テロリズムに抵抗し、美しい音楽を楽しむ自由すら抑圧しようとするすべてのイデオロギーに反対する

 

ロイター / アメリカNBCニュース 2017年4月20日

 

モスル出身のヴァイオリニスト、アメーン・ムクダッドさんは2年半に及んだイスラム国(ISIS)によるモスル市支配の下で、大切な楽器を破壊されるという経験を強いられましたが、今再びモスル市東部で演奏を始めました。

 

イラクのモスル市内にはイスラム教の聖地に加え、キリスト教の古代の聖地もあります。

ISISとの戦闘で廃墟と化したモスルの街中で、イラクのヴァイオリン奏者アメーン・ムクダッドさん野外の小さなコンサートを開きました。

演奏したのはアメーンさんがISISによる厳しい支配が続く中で、密かに作曲を続けていた自作の曲です。

その間もモスル西部からはアメリカ軍が主導する空爆の轟音、爆発や発砲の音が絶え間く響いてきていました。

 

「この場所は、ひとつのセクトのためのものではありません。すべての人々のための場所なのです。ダーシュ(Daesh : アラビア語の無知で乱暴な人間たちを指す軽蔑語 – 転じてISISの嫌悪・軽蔑的呼称)はイスラム教の何かを代表するものではなく、ただ単に自由を抑圧する人間たちに過ぎません。」

ロイター通信の取材に対し、アメーンさんがこう語りました。

「ダーシュは何もかも間違っています。」

 

ISISの戦闘員たちは彼の家に乱入して、楽器を没収、彼の音楽はイスラム原理主義に対する冒涜だと決めつけました。生命の危険を感じた28歳のアメーンさんは2014年にモスルを脱出し、今回の約1時間のコンサート開催を機に初めて帰還を果たしたのです。

 

アメーンさんがコンサートの場所に選んだのは、宗教を超えた連帯を訴えるため、ヨナスの墓あるいはイスラム教の預言者ユーニスのモスクと呼ばれる場所でした。

「私は自分の演奏を通して世界にメッセージを送りたいのです。テロリズムに対する抵抗、美しい音楽を楽しむ自由を抑圧しようとするすべてのイデオロギーに反対の声を挙げるきっかけを提供したいのです。」

アメーンさんがこう語りました。

「音楽を否定するのはすべて醜い人間たちです。」

 

▽ イスラム国(ISIS)に立ち向かう

 

アメーンさんは、ソーシャルメディアを通してコンサート会場と時間を告知しましたが、この時点でイスラム国(ISIS)がまだチグリス川を挟んでモスルの旧市街の東部を支配下に置いており、自分の命を危険にさらす大胆な行為でした。

 

古代のニネヴェの遺跡の近くにあるコンサート会場を防衛していたイラク政府側の兵士たちは、近くにロケット弾が着弾したことを理由にコンサート中の一般市民の安全を保障できないとして最初、コンサート会場に設定した場所への立ち入りを拒みました。

しかし粘り強い交渉の上、兵士たちはコンサートの開催を受け入れ、演奏が始まると拍手を送る聴衆の中に加わったのです。

 

「夢のような演奏を楽しむことが出来ました。」

イスラム国(ISIS)の市内占領によって大学での勉強を途中であきらめなければならなくなった女性、タハニー・サレハさんがこう感想を述べました。

 

私は戦争がモスルの人々の人生までを奪うことはできなかったのだというメッセージを伝えたかったのです。」
「ご覧のようにモスルの街はめちゃくちゃに破壊されてしまいましたが、それでも私たちは幸せな生活を取り戻したいのです。そのためにも音楽が必要なのです。」

 

イスラム国(ISIS)がこの街を支配していた期間、あらゆるエンターティメントが禁止されていました。
それにもかかわらずムクダッドさんは一人で、あるいは減り続けていた数人の仲間たちと、イスラム国(ISIS)の兵士に探知されないよう窓を閉め切り、用心を重ねながら演奏を続けていました。

「あまりに恐ろしくて、時に私は演奏するのをやめなければなりませんでした。、しかしそんな時でも、アメーンは演奏をやめようとはしませんでした。」
アメーンさんの友人で、一緒に音楽サークルを結成した同じヴァイオリン奏者のハカム・アナスさんがこう語りました。
「私たちは彼があっという間に殺されてしまうと思い、演奏をやめるよう何度も説得しましたが、彼は聞き入れようとはせず、演奏を続けました。」

 

ある晩、イスラム国(ISIS)の兵士たちがアメーンさんの自宅に乱入して楽器を破壊した後、血祭りに上げてやると脅しました。
アメーンさんはバクダットまで逃れ、危うく一命を取り留めました。

モスル市内からイスラム国(ISIS)の勢力を一掃するまでこれから約半年を必要とするという際どい状況を反映し、この日アメーンさんのコンサートにやってきた住民は20名ほどにすぎませんでした。
その大部分が若い人々です。
その一人、アブドラ・サイエルさんがこう語りました。
「これこそは、私たち若者が必要としているものなのです。」

 

http://www.nbcnews.com/news/world/iraqi-violinist-ameen-mukdad-plays-mosul-troops-battle-isis-n748836

【 あれだけ人の人が亡くなったのも、あれほどひどい原発事故が起きたのも… 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 6分

「東北で良かった」ただでさえ遅れがちな東日本大震災と福島第一原発事故からの復興に、さらなる混乱

巨大地震、巨大津波、そして最大規模の原子力発電所事故が重なった三重災害が「首都圏ではなく、東北地方を壊滅させただけで終わって良かった」

 

ロイター / ガーディアン 2017年4月26日

 

日本の今村雅弘復興大臣は、首都圏ではなく代わりに東北地方が巨大災害に襲われて『良かった』と発言し、辞任、事実上更迭されました。

 

4月26日、巨大地震、巨大津波、そして最大規模の原子力発電所事故が重なった三重災害が首都圏ではなく東北地方を壊滅させることになって良かったと発言した、安倍政権の閣僚が事実上更迭されました。

この大臣は2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故によって壊滅した被災地の復興を促進することが職務でした。

 

安倍政権の下では閣僚や与党議員が失言をしたり、あるいはスキャンダルが繰り返されてきましたが、今村復興大臣は相次ぐトラブルの最新事例を提供することになりました。

今村復興大臣は、マグニチュード9.0の巨大地震によつて巨大津波が発生し、約20,000人の人々が死亡・行方不明になった災害の損害規模について言及した後、こう述べました。

「これがまだ東北で良かった。」

 

この発言は今村復興大臣が今月4日、チェルノブイリ以降最悪の原子力発電所事故となった福島第一原発事故の自主避難者の帰還問題について記者会見の席上「本人の責任だ」と発言し、居合わせた記者たちを怒号した後、部屋を飛び出して批判を浴びた、わずか数週間後のできごとでした。

安倍首相も直ちにこれを非難し、首相自身として謝罪を行いました。

今村大臣の辞任が素早く決定した背景には、今回の発言に対しては与党内にも同情論が無く、さらには安倍政権が受ける打撃を最小限にとどめようとする意図があったものと見られています。

 

「東北の被災地の人々を傷つける極めて不適切な発言であり、本来被災者に寄り添って働かなければならない復興大臣への信頼を著しく損なう行為で、誠に遺憾です。」

今村氏が辞任を表明した後、安倍首相は記者団の質問にこう答えました。

 

今回の発言はただでさえ遅れがちな東日本大震災と福島第一原発事故からの復興という問題に加え、東北の被災地の産業がなかなか軌道に乗れずにいる事実を改めて浮かび上がらせることになり、政権側にとっては痛い失点となりました。

被災地では現在、多くの避難家族が故郷に戻ることをあきらめざるを得ない状況に置かれています。

 

同じく被災地の復興に尽力すべきはずの務台政務官は2016年9月1日、台風10号に伴う豪雨被害の視察で岩手県岩泉町を訪れた際、同行者に「おんぶ」されて水たまりを渡ったことが報じられ、物議を醸した上、今年に入って「長靴業界はだいぶもうかった」と発言した責任を取り、3.11の災害発生から6周年を迎える直前、辞表を提出し辞任せざるを得なくなりました。

 

さらに4月中旬、中川俊直経済産業大臣政務官は不倫と重婚に関する疑惑について一連の報道があり、辞任に追い込まれました。

中川氏は後に自民党も離党しました。

 

しかしこうした一連のスキャンダルに加え、首相自身にも森友学園を巡る疑惑が国内を騒がせたにもかかわらず、世論調査によれば安倍首相の支持率は尚50%前後を維持し続けています。

つい最近、自民党は総裁の任期を3年連続3期にまで延長し、安倍首相は2018年の現在の任期を終えた後も尚、首相の地位に留まり続けることが可能になりました。

安部首相は戦後最も長期に政権の座に座り続ける可能性が出てきました。

 

https://www.theguardian.com/world/2017/apr/26/japan-reconstruction-minister-quits-after-inappropriate-comment-on-disaster-zone

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

今回のこの騒動、大臣辞任で決着がはかられているようですが、それで済む話でしょうか?!

こんな発言は大臣はもちろん、国会議員として、政治家として、そして人間としてどうなのか?!

ということを問うべきではないでしょうか?

【 日本の新テロ等対策 – 共謀罪法案、国家権力の一層の強化を狙う安倍政権 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

与党は犯罪と戦うことが目的と主張、しかし拡大する疑念『真の目的は一般市民の自由のはく奪』

一般国民の基本的人権を守るべきことを明確に宣言している日本国憲法の理念を敵視する自民党

自民党の憲法改定草案は、日本の自由主義と民主主義を廃止するための設計図

民主主義の健全性を守るためには、国民が国家権力の増長を監視し続ける必要がある

 

エコノミスト 2017年4月20日

 

この数週間、日本の国会を犯罪を犯す『予定』を持つ人間たちを罰する法律の是非について討議を行ってきました。

安倍政権は「組織犯罪処罰法」を改正した新テロ対策法案の目的は日本をテロリズムから守る事だと主張しています。

しかし犯罪発生率が最低を記録し、最後の大規模なテロ犯罪の発生が20年以上前、そして2015年の1年間で銃犯罪による犠牲者が1名だけという日本にあって、テロ対策を強化する法律が必要だという主張には多分に無理があります。

 

そして日本弁護士連合会も、日本の警察機構がこれ以上強力な力を持つことに疑問を抱いています。

日弁連は日本の警察機構が犯罪のための共謀行為を摘発するためには、現行法で十分機能すると語っています。

いま批判的な多くの人々が、安定政権の座に座り続けている自民党の下心を疑っています。

 

「新テロ対策法案に対する必要性は非常に小さなものです、しかしこの法律が潜在的に持っている危険性は巨大です。」

野党民進党の階猛(しな たけし)衆議院議員がこう語りました。

この法案が成立すれば、個人の自由が侵害されることになると、彼は主張します。

「現在の政府は、憲法が保障する個人の権利を保護することよりも、国民に対し国家が自由に権力を振るう事かできるようにすることの方にきわめて熱心です。」

 

公平に見ても、これまで60年間日本の政治権力を握り続けてきた自民党は、個人より国家の権利を優先させる姿勢を隠そうとはしてきませんでした。

 

自民党は1947年に当時日本を統治下においていたアメリカの下で成立した、自由主義の理念に基づく日本国憲法を廃止したいと考えています。

自民党はその憲法の中で戦争の放棄をうたっている第9条を敵視しており、さらには天皇を国家元首の地位から象徴に変えてしまい、一般国民の基本的人権を守るべきことを高らかに宣言している日本国憲法の理念を忌み嫌っているのです。

 

自民党が新たに用意した憲法の改定草案はこうした理念を捨て去り、代わりに国民に対し国家を敬う姿勢を要求しています。

国歌と国旗に対しては、敬意を表さなければなりません。

国民の権利には常に「責任と義務」が伴い、一般市民は「公共利益と社会秩序に従わなければなりません。」

もしそのような秩序を守らないのであれば、言論の自由は制限されることになります。

 

明治大学のローレンス・レペタ氏によれば最も驚かされるのは、「想定される定義の要件がきわめて幅広く、しかも曖昧な条件の下で」首相に、国家非常事態を宣言する強力な権限を与えるとされていることです。

 

レペタ氏は、自民党の憲法改定草案が、日本の自由主義と民主主義を廃止するための設計図だと考えています。

 

自民党がしばらくの間野党の立場に甘んじていた時代に党内の強硬派によって編まれたこの憲法改定草案について、一部の自民党の政治家は個人的に行き過ぎることを認めています。

「誰もこの草案をまともに取り上げようとはしていません。

笹川平和財団(シンクタンク)の渡辺恒雄氏がこう語りました。

渡辺氏によればもし自民党が本当にこの草案を有権者に売り込もうとするのであれば、もっと魅力的な文書に変える必要があります。

しかし2012年に再び権力を奪い返した自民党は右傾化の姿勢を鮮明にし、この草案が公共政策にますます影響力を発揮しつつある現状を示唆しています。

 

2016年、国連の特別報告者(国連から、何らかの特別手続きに関して調査を行い、その報告を行う任務を与えられた人物 ※ALK http://eow.alc.co.jp/ を参照 )は、日本の安倍晋政権が、政権批判をしていた放送局を「偏向報道をしている」と決めつけ、放送法を盾に放送免許を取り上げると脅迫したことについて、非難する声明を明らかにしました。

 

2013年にはジャーナリスト、弁護士、学識経験者などがその必要性に疑問を呈し、一般市民が強硬に反対と抗議の声を挙げ続ける中、自民党は、政府がありとあらゆる情報について国家機密と指定できる権限を付与し、違反者に対しては厳罰を科すことが出来る特定秘密保護法を強行採決の上成立させました。

 

この法律は表向き日米間の安全保障問題に関する同盟関係の強化に貢献します。

アメリカはこれまで防衛政策上の機密情報が、繰り返し日本側から漏えいしてきたことに不満を募らせていました。

しかし実際には、特定秘密保護法が完全に合法的てべあるはずの主題、例えば福島第一原子力発電所事故により実際にざれほどの範囲が放射能に汚染されたのかといった資料を探し出したり、それを公開することが犯罪とされる恐れを生むことになりました。

 

自民党の林義政衆議院議員は、現実に日本を戦前社会に戻そうと考えている議員はほとんどいないと主張しています。

しかし一方で林議員は、一部の自民党議員が極右的政策を実現させようとしていることを認めました。

それでも林議員は2020年の東京オリンピックを安全に開催運営するために、新テロ対策法案、共謀罪を罰する法律は必要だと成立を支持しています。

 

衆参両院における自民党の圧倒的優位は、新テロ対策法案がさしたるトラブルもなく成立するだろうという事を意味しています。

それこそは一般的日本人を最も悩ませている、強力な野党勢力の不在という問題を浮かび上がらせるものだと民進党の階猛(しな たけし)衆議院議員が語りました。

 

自民党は国家権力が強大になり過ぎるという事に、きわめて鈍感であるように見受けられます。

しかし民主主義の健全性を守るためには、国民が国家権力の増長を監視し続ける必要があるのです。

 

http://www.economist.com/news/asia/21721213-ruling-party-says-its-fighting-crime-opposition-says-its-squeezing-civil-liberties-new?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

私がこの新テロ対策法案について考えているのは、特定秘密保護法と併せ、この二つが『序章』である可能性があるという事です。

この2つの法律に加え、これまで民主主義社会において当然の権利とされてきた抗議行動や抗議キャンペーンなどについて細部にわたり制限する法律を別に作れば、一般市民もジャーナリストも簡単に罪に陥れることが可能になる、一方で官僚側の専横が可能になる『ブラック社会』が到来することになります。

私たち日本人はそうした危機の到来を、深刻に感じ取る必要があると思います。

【 米国の東芝ゲンパツ事業の崩壊に続き、英国の展望も瓦解 】《後篇》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 6分

計画の継続・実現が危うくなってきた英国の新たな原子力発電所建設

原発にとらわれるのではなく、電力事業の構造すべてを見直す時期が来ている

 

アダム・ヴォーン/ ガーディアン 2017年4月14日

 

技術やスキルの水準を維持するために必要なだけの原子炉建造が行なわれていないアメリカ、新世代の原子力発電所の建設に意欲を燃やす英国、しかしこの2国間には最新の技術経験と部品・部材のサプライ・チェーンに問題がある、という共通点があります。

 

サフォーク海岸にあるサイズウェルB原子力発電所が1995年に実際に稼働を始めて以降、英国では新しい原子力発電所の完成例はありません。

 

フランス国有企業のEDFは、サマセット州のヒンクリー・ポイント原子力発電所の建設事業において2基の原子炉を2025年までに稼働させる予定ですが、現場でコンクリートを注ぎ始めたここに至るまで、様々な課題を克服してきたと主張しています。

 

ヒンクリー・ポイントで建造中のEPR型原子炉は、同社がフィンランドで、そしてフランスのフラマンヴィルで建造している原子炉と同型のものですが、2か所ともすでに工期が遅れ、予算超過に陥っています。

英国内の各地で計画されている新たな原子力発電所の建設はすべて外国の企業が行なっていますが、本格的な建設作業に着手するまでまだ数年がかかる見通しです。

 

東芝はカンブリア地方にあるムーアサイド原子力発電所でウェスティングハウス製のAP1000型原子炉3基を建造中ですが、アメリカ国内の2か所の同型原子炉建設がウェスティングハウス社の経営破たんにより暗礁に乗り上げたことを受け、共同企業体の形で進めてきたムーアサイド原発の事業そのものの売却を検討していることを今週明らかにしました。

 

この発表に対し、韓国電力(KEPCO)が事業の買い取りを検討中だと2017年3月発表しました。

これを受け英国政府のグレッグ・クラーク商務長官が共同で原子力事業を行う件について話し合うため、4月早々韓国に向かいました。

 

しかし韓国が英国の原子力事業のパートナーとなれるのかどうか、確実な話ではありません。

5月に予定されている韓国の大統領選挙の有力候補2人は4月中旬、ともに原子力発電からの段階的撤退と再生可能エネルギーへの移行を支持すると表明しました。

さらにムーアサイドで韓国電力がすでに認可の下りているウェスティングハウス製AP1000型原子炉ではなく、自社の技術による原子炉製造をおこなうとすればその審査から認可までの時間を考えれば数年の遅れの発生は避けられそうにありません。

 

英国内の労働組合関係者は、ムーアサイドの問題については英国政府が直接に関与することによって、事業の継続性を担保する必要があると語っています。

英国内の組合の連合組織であるGMBのジャスティン・ボーデン書記長は

「今回の一連の騒動の根本部分にある最も大きな疑問は、この国の最も重要な電力供給の問題のすべてを、一体全体なぜ外国企業任せ、外国政府任せにしているのか?という事です。」

 

仮に計画中の原子力発電所の建設稼働が実現しなくとも、国内の電力需要を賄うだけの予備プランがあると英国政府は主張していますが、4月中旬になって東芝の経営危機がますます深刻になってきたことを受け、英国内には国のエネルギー政策そのものを見直すべきではないかという意見が強まっています。

 

「もはや別プランについて真剣に検討すべき時が来ています。」

ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(英ロンドン大学の代表的なカレッジ)エネルギー研究所のポール・ドルフマン教授はムーアサイド原発の計画はもはや実現不可能だと考えていますが、今回の騒動を見てこう語り、次のように続けました。

「もはや英国のエネルギー政策全般を見直すべき時に来ており、電力網の再整備、太陽光発電システムの本格的導入、エネルギー効率やエネルギー管理システムなどに関する総合的戦略について議論すべきです。」

 

4月14日に公表された報告書はもう一つの選択肢に光をあてることになりました。

これまで風力発電所の新設を認めないとの立場を謳ったマニフェストを保守党が撤回したことです。

英国政府はヒンクリー原子力発電所建設のためフランス企業のEDFに特恵的とも言える有利な条件を与えましたが、地元のスコットランドの風力発電業界団体による分析によれば、現地での風力タービンの建設や設備費用は補助金を全く必要としない程安くなっています。

 

計画通りに原子力発電所を完成稼働させられるのかどうか判断しなければならない英国政府は、風力発電の著しい技術的進歩とコストの低下を前に、エネルギー政策の再考を迫られているように見受けられます。

 

〈 完 〉

https://www.theguardian.com/business/2017/apr/14/toshiba-us-nuclear-problems-uk-cautionary-tale

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
カテゴリー
メタ情報