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日本国憲法、改定の行方は?

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所要時間 約 8分

日本が最優先で取り組まなければならない問題、それが憲法改定だと考えている人はほとんどいない

日本の平和主義的理念を憲法に正式に記載し続けるべきだ、有権者はそう回答している

 

ドイチェ・ヴェレ 2017年10月23日

安倍晋三首相は衆議院議員選挙における一方的勝利の後、平和主義国家として存在感を示してきた日本の本質を、自分の考えに基づいて変えてしまう野心を追求することを誓いました。

ドイチェ・ヴェレは安部首相は日本国憲法の何を変えたいのか、そして何がその障害になるのか、独自の検証を行いました。

▽『戦後』憲法

第二次世界大戦の降伏したことを契機に、日本憲法は民主主義のプロセスを確立し、象徴としての天皇の地位を定義し、平和主義を基本とする国家を確立しました。

しかし主に日本人以外の起草者たちが徹底的な討議を行って作り上げた憲法が公布されて、すでに70年を超える歳月が経過しました。

そうした中、日本が常設軍を維持する権利を認めさせようとする新たな動きが浮上しています。

▽ 第9条『永久に戦争を放棄する』

日本の憲法第9条は、その平和主義の本質を象徴するものです。

第9条の条文の第一項では、『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』と述べ、

第二項では『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』と規定しています。

しかし安倍首相は、常設軍である自衛隊の維持を禁じる憲法の一部を改正するよう提案しています。

▽ 認識の問題
日本国憲法は、『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』と定めていますが、実際には世界有数の優れた装備を誇る軍隊を常設しています。

日本政府は他国などから攻撃を受けた場合に国家を防衛するため、自衛隊の存在を正当化してきました。しかし安倍首相は現状を法的に正当化するため、憲法の改定によってそれを実現させたいと考えているのです。

▽ 審議、議決、国民投票
安倍首相率いる連立与党は、憲法改正を発議するために必要な衆参両院の議席数の3分の2以上を占めていますが、すぐその手続きを始めるとは言っていません。

起草・公布以来一度も手を加えられたことが無い憲法を改訂するためには、3分の2以上の議決により衆参両院を通過なければなりません。

その後憲法改定の賛否を問う国民投票が行われ、過半数の国民の賛成が要求されるだけです。

▽ 平和主義の理想は生き続けている

国民の世論は憲法を改定するかどうかについて意見が分かれていますが、日本が何を置いてもまず取り組まなければならない問題が憲法改定だと考えている人はほとんどいません。

 

そして世論調査の結果の多くが、有権者は日本の平和主義的理念を憲法に正式に記載し続けるべきだと回答していることを明らかにしています。

読売新聞が行なった世論調査では、安倍首相が主張する日本の常設軍の存在を正式に憲法に記載すべきだという意見に賛成すると回答したのは35%にとどまり、42%は反対しているという結果を伝えました。

▽ 政治的分断

たとえ自民党支持者であっても、そして同じ考えを持つ保守派の人びとであっても、安部首相の主張をそのまま受け入れようとしているわけでは無く、安部首相のビジョンの前には数々のハードルが横たわっています。

そして日本国憲法をどう変えるのかという議論においても、憲法改定を主張する議員たちの意見は様々です。

しかしその事について安倍首相はあまり悩んではいないようです。

今回の衆議院選挙で自民党が一方的勝利を得たこ結果を見て、安部首相は次のように語りました。

「国民の生命や平和な暮らしを守るという決心を新たにしました。たとえ何があろうとも…」

 

http://www.dw.com/en/the-future-of-japans-constitution-explained/g-41071323

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安部首相は「議論を行う」と言ってはいるものの、自分の目指す方向に世論操作を行うつもりだな、ということを多くの国民が理解しています。

しかし私たち国民は受け身に回るのではなく、この機会に正面から議論を挑むべきではないでしょうか?

なぜ日本において正規軍を常設することが危険なのか?

そのために避けて通れないのが、第二次世界大戦(太平洋戦争)において、なぜ盧溝橋事件という中国における局地紛争が中国とアメリカに対する全面戦争に発展してしまったのか、その検証です。

日本はその検証を、国民全員が見ている場で未だ行っていません。

どころか科学的検証をしようとすると、安倍首相のような国家主義者たちが『自虐史観』だの何だのと客観的検証の妨害を始めるのが今の日本です。

 

戦争は仕掛けた側が「この辺りでちょうど良い」と考えるタイミングで止められるものでは決してありません。

多国籍軍の『完勝』に終ったはずのイラク戦争の後、周辺諸国まで巻き込んだ大混乱が発生し、無数の市民が命を失い続けている事実は、現に私たちが目撃しているものです。

米軍がアパッチヘリで、ソ連製T60戦車を主力にしたイラクの正規軍の隊列を徹底的に破壊したまでは簡単だったもしれません。

記録映画を見ましたが、あれは戦争というよりは屠殺に近いものでした。

しかしその後「戦勝軍」であったはずのアメリカ軍はしばらくすると、各所で襲撃を受け、イラク戦争中より戦後の犠牲者数が上回る緊急事態となりました。

その後、米軍が撤退すると、ご存知の通りイスラム国[ISIS]が現れ、イラク国民は塗炭の苦しみにあえぐことになりました。

 

どれ程優秀な兵器を揃えても、実際に戦争を始めてしまったら泥沼に落ちこんでしまうのは、アメリカはベトナムでも、イラクでも、アフガニスタンでも体験させられたはずです。

それでも戦争から逃れられないのは、第一次世界大戦と第二次世界大戦をきっかけに国力をジャンプアップさせた『成功体験』があり、その背後に軍産複合体という巨大なシンジケートが隠れているからです。

私たち日本人の税金が注ぎ込まれてそこから高額な兵器を大量に買わされ、挙句私たちの子供たちが国外の戦場に送り込まれるようなことになったら…

もう受け身ではいられませんよね…

 

 

 

「5割を超える国民が支持しない」首相、その憲法改変の資格を問う!

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所要時間 約 10分

これ程国民に不人気な首相がこれ程偏った勝利を手にするなど、世界の先進諸国ではほとんどありえない

憲法を改定する資格を得たいのなら、戦前戦中の軍国主義の復活を望むのではないという事を、すべての面で証明しなければならない

民主主義の基本に無理解であり、黒い関係と疑惑がつきまとう人間に、国家の規範を改める資格はあるのか?!

 

エコノミスト 2017年10月28日

自由で公平であるべき選挙において、これ程国民に人気の無い首相がこんな偏った勝利を手にすることは、世界の先進諸国の中ではめったに見られない事です。

安部首相は日本人の全体の3分の1の支持を集める一方、国民の51%は不支持を表明しています。

しかし現実には10月22日に行われた選挙の結果、自民党と連立政党が衆議院の3分の2の圧倒的過半数の議席を手にしました。

こうして突然の解散・総選挙という賭けに出た安倍首相は、同じ手法を用いて失敗をした英国のテレサ・メイ首相と異なり、易々と勝利を手にしたのです。

 

安部首相の勝因の一つは反対勢力である野党の空中分解でした。

カリスマ性があると評価されていた小池東京都知事が率いる希望の党は、発足当初こそ誇大広告され盛り上がりましたが、選挙キャンペーンをやり損なった結果、議会ではなくラーメン店の座席をいっぱいにする程度の議席しか獲得できませんでした。

 

そして希望の党に合流したグループと袂(たもと)を分かち、リベラル派として安部首相の対抗勢力としての存在を急浮上させた立憲民主党でしたが、獲得議席は465議席中55議席に過ぎません。

安部首相は挑戦者たちの選択においても、ツキに恵まれました。

安心という選択

 

しかし安倍首相の勝利のもう一つの理由、それは心理的に不安に陥っていた有権者が安心を求めていたことです。

安倍首相が選挙前に指摘したように、日本は国民の高齢化と北朝鮮の脅威という2つの危機に直面しています。

北朝鮮は日本の領海内に何度もミサイルを発射する一方、そのミサイルに取り付ける核弾頭の開発を急いでいます。

ふたつの危機はともに深刻なものであり緊急性の高い問題ですが、高齢化は進行を遅らせたり少子化を逆転させたりして人口動態を変えるためには何十年という歳月を必要とする、長期的課題でもあります。

これに対し北朝鮮の脅威は飽くまで緊急性が高い問題です。

 

結局多くの有権者は、たとえ個人的には好ましいとは思っていなくとも、日本の安全を守ることに関しては安倍首相の方が他の選択肢よりも確実性が高いと判断したのです。

そして口ではそんなことは無いと否定しつつも、ドナルド・トランプ大統領はいついかなる時もアメリカが日本を助けるという保証はないという印象を日本国民に与えることによって、安部首相を助けました。

安部首相は長年平和主義に基づく日本国憲法を改定することを強く求めてきましたが、今回の選挙によってその信任を得たことになりました。

これは合理的な目標です。

しかし物事は額面通りに受け取ることはできません。

第2次世界大戦後に勝利したアメリカによって日本に課された現在の日本国憲法第9条は

「国際紛争の解決手段としての戦争を、日本は永久に放棄する」とし、

「陸海空軍その他の戦力を一切保持しない」と定めています。

 

ところが日本は70年以上にわたり陸、海、空軍を維持し、重大な憲法違反し続けてきました。

日本の軍事予算は世界で8番目の規模を持っています。

300,000人の自衛隊は世界標準から言っても最新鋭の装備を誇ります。

歴代の日本政府は、こうした現実に対しで何とか憲法とつじつまが合うように『自衛隊』というラベルを貼り、フィクションに固執してきました。

こうした法的な偽装は、現実とは異なる表現を書き記した付箋紙をべたべたと貼って、そこにある戦車を覆い隠そうとするようなものです。

安部首相がこれだけの規模の軍隊の維持を続けるため、憲法上規定を明快にしたいと考えるのは合理的と言えます。

 

法治国家において法による支配は重要な原則であり、政府自らがあからさまにその原則に反するようでは、国家としての体をなさなくなります。

さらに問題なのは、憲法第9条について『解釈の変更』に代表される何十年間に及んだ問題のはぐらかしが、日本が東アジア地域や国債社会の安全保障を維持する上でどのような役割を果たすべきかについての議論を混乱させてしまっています。

日本政府が同盟国を援助するためにもっと積極的な対応をしようとする度、あるいは国連の平和維持活動に積極的に参加しようとする度、日本の平和主義者は「違憲」であると叫んでいます。

ほとんどの場合、正しいのは彼らです。

たとえその主張が容れられなくとも、物事を遅らせることはできます。

昨年まで自衛隊は日本の近海などで攻撃を受けている同盟国を掩護するため武力行使することはできませんでした。

そして国連平和維持活動のための国外への自衛隊の派遣は、ジョークだと陰口をたたかれてきました。

イラクに派遣されていた自衛隊は基地を攻撃してきた武装勢力に武力で反撃することが許されなかったため、オーストラリア軍によって保護してもらわなければなりませんでした。

そして2017年、アフリカの紛争国として典型的とも言うべき南スーダンに駐留していた自衛隊の平和維持部隊は、その場所が危険だという理由で撤退しました。

続く7月、安部政権の防衛大臣がこの周知の事実を隠蔽していたとして辞任に追い込まれました。

 

憲法第9条を改変することは簡単なことではなさそうです。

安倍首相は第一段階として衆参両議会の3分の2以上の賛成を得るため、彼らを納得させられるだけの口実を考え出さなければなりません。

それは安倍首相お気に入りの強硬派の議員だけでなく、穏健派の同僚議員たちの支持も取り付けなければならないということです。

そして次に国民投票で過半数の国民の賛成を得なければなりません。

この段階では『闘い」になる可能性もあります。

憲法第9条を書き換えることになれば、中国と北朝鮮は1930年代から1940年代にアジア東部を侵略した日本の軍国主義復活への第一歩だと非難するでしょう。

しかしそんな批判は的外れです。

たの多くの国々同様、日本には自国を防衛する権利があります。

裕福な国家として民主主義制度が整備されています。

そして世界の平和と安定を保ち続けるため、そうあるべきであるというそれなりの貢献もしています。

そして高齢化が進み減少が続く人口動態、そして70年という歳月をかけて平和主義がしっかりと根付いた日本は、もう誰にとっても脅威ではありません。

 

しかし残念なことに、安倍首相自身はこうした事実とは逆の印象を与え続けています。

 

もし安倍首相が憲法の改定の実現を望み、海外の反対意見を減らしたいのであれば、靖国神社との関わりを断たなければなりません。

どのように抗弁しようとも、靖国神社には侵略された国々はもちろん自国民にすら無残な死を強いた戦争犯罪人が祀られています。

日本が戦前戦中に行った残虐行為の非を認めなければなりません。

 

そして太平洋戦争中に植民地支配を担当する大臣として何万という中国人に強制労働を課した過去を持ちながら、戦後首相になった自分自身の祖父を賞賛することもやめるべきです。

 

もし日本が実力にふさわしい国際的地位を手に入れたいのであれば、本当の歴史を受け入れなければなりません。

 

https://www.economist.com/news/leaders/21730646-its-pacifist-wording-hindrance-global-peacekeeping-time-japans-prime-minister

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エコノミストの記事には日本のメディアには無い視点から書かれたものがあります。

これなどその典型です。

そうです…忘れていました。

この首相に国家の規範である憲法を変えてしまう資格はあるのか?!

私たち日本国民は、まずそのことを問わなければなりません。

 

憲法というのは国の規範であり、私たちの生活の基盤を形成するものの中で最大の存在です。

それを変えるというのであれば、きわめて公平で無私な人間な人間の手に委ねるべきです。

この記事はその事を改めて教えてくれるとともに、反省もさせてくれました。

さすが世界の『ウルトラ中立』メディアの自認と自信が無ければ書けない記事です。

日米豪の専門家が読み解く、安倍首相の選挙戦の一方的勝利と今後の日本

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所要時間 約 13分

枝野幸男氏が立ち上げた立憲民主党が燃え上がらせた炎により、日本のリベラリズムは息を吹き返した

日本の小選挙区制度の欠陥が、世論と国会における議席配分との間に大きな隔たりを作りだしている

政治の世界での男女平等の実現に、日本の政党の中で最も強く反対してきたのが自民党

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2017年10月23日

安倍首相が10月22日投票の衆議院議員選挙で野党に対し決定的勝利を得たことで、日本という国と周辺地域がどこに向かうことになるのか、日本と世界の専門家5人がそれぞれの見通しを語りました。

 

▽ 平和主義について充分に話合う必要がある

[グリフィス大学(オーストラリア・クイーンズランド・ブリスベーン)准教授マイケル・ヒーズル]

 

憲法改定についての慎重な議論は、まさに日本が今必要としているものです。

この問題は他を圧する程に重要なものですが、日本国内では左右両翼のイデオロギー対立により意見が大きく割れたままです。

左派は日本の平和主義の土台となっている憲法第9条には手を触れるべきでないと主張しています。

しかしその姿勢は世界情勢の変化によって現実的なものとは言えなくなっており、憲法第9条が掲げる理想的平和主義と現実の国際情勢との食い違いが目立つようになっています。

中国の海洋進出と国際社会への影響力を強めようとする野心と、アメリカが東アジア太平洋地区においてこれまでと変わらないやり方で地域の安全保障に貢献し続けるのかどうか米国の意欲に対する中国の野心と不確実性を伴い、現在の環境でそれを維持することは現実的ではない。

 

日本とオーストラリア国はそれぞれの地域の現状維持のためにもっと貢献する必要があります。

私自身の見解としては、中国と北朝鮮という例外を除けば、東アジア地区の安全保障に対するこれまでの日本の姿勢に反対している国はありません。

東南アジア諸国とオーストラリアが日本の軍国主義の復活を懸念していた時代は終わりました。
日本と米国との関係において、米国との同盟関係を維持しつつ他国との安全保障関係を構築したいのであれば、日米両国の利益は両立させなければなりません。

すでに明らかとなっている通りアメリカには自分たちが構築・維持している安全保障体制に他国をただ乗りさせる余裕はなくなっているのです。

▽ 日本の体制変更への宿願達成の鍵を手にした安倍首相

[テンプル大学(東京キャンパス)アジア研究センター所長 ジェフ・キングストン]

 

政治の重心が右に移動したために、21世紀の日本のリベラリズムは生命維持装置につながれることになりました。

しかし今回選挙で枝野幸男氏が立ち上げた立憲民主党が放った火により日本のリベラリズムは息を吹き返し、立憲民主党は今回の選挙のシンデレラ・ストーリーの主役を演じることになりました。

 

枝野氏が主張するのは憲法の改定に対し妥協することない姿勢をとり続けることであり、多くの国民が反対している2015年に成立した安全保障関連法案の廃止です。

また安倍政権の目玉であるアベノミクスが富裕層に一層有利な経済環境を提供した結果、日本社会では格差が拡大しているという一般市民の認識についても取り上げています。

枝野氏は現在、多くの国民にとって自由民主主義のよりどころとなっています。

現在立憲民主党が掲げている炎は風の中で揺らめいて見えるかもしれませんが、いずれ安倍政権の政策の欠陥や矛盾を明らかにしていくための格好の立場を手に入れました。

一方の安部首相は長年の宿願であった憲法の改定が、今や自分の手中にあることを実感しているでしょう。

国会で憲法改定への提案が議決された後に実施される国民投票において、国民の支持を取り付けるため、これから巨大な規模のPRキャンペーンが展開されることになるでしょう。

多少北朝鮮と中国政府からも応援を得て(原文通り)、今回は安部首相が望むものを手に入れる可能性が高いという方に私は賭けます。

 

▽ それ程大きな変化は期待しにくい

[明治大学国際総合研究所客員研究員 奥村 準]

 

安倍首相率いる連立与党が衆議院においてぎりぎり全議席の3分の2を確保したことで、憲法改定法案を可決成立されることが容易になりました。

一方で経済政策に大きな変化はないでしょう。

安全保障問題については日米同盟を重視し、北朝鮮に対しては強硬姿勢をとり続けることになるでしょう。

希望の党は現在の連立与党に代わり得る、現実的な選択肢として短期間で浮上しました。東京都の小池百合子知事は、敢えて言うなら彼女の最悪の面を再び露呈したと言って良いかもしれません。

慎重を要するはずの政策決定において自分の好みを表に出さず、忠告を謙虚に受け止める能力の欠如によって、最大野党であった民進党との連携を台無しにしてしまいました。

 

日本は21世紀前半、少なくとも東京オリンピックが開催される2020年までは、見た目だけ小春日和といった状況でのろのろと進む可能性が高いでしょう。

しかし現在西側社会のいくつかの国々 – そこには当然日本も含まれるわけですが - で現実となっている事を考えると、日本の状況は間違いなくこれから悪化していく可能性があると考えています。

 

▽国民の信託の無い安倍首相の一方的勝利

[上智大学政治科学教授 中野 晃一 ]

 

日本の小選挙区制度には欠陥があり、主要問題に関する世論と国会における議席配分との間には大きな隔たりがあります。

今回の選挙で自民党は一方的勝利を得ましたが、安倍首相が憲法の改定について本当の意味での負託を手に入れたとは言えません。

このような低い投票率の下で実施された選挙で、自民党と安倍首相があたかも国民全体からの支持を得たかのように言う事は間違っています。

 

今回の選挙結果もまた選挙制度の機能不全と分裂した野党の恩恵を受けて自民党が勝利した事例がまたひとつ増えたというに過ぎません。

 

憲法改定は日本の国論を2分する最も大きな問題であり、先の英国のEU脱退問題に似ています。

それは誰が最も大きな利益を受け取るのかという利害を中心に据える政治から、国民のアイデンティティを重視する政治への転換が進む世界的傾向を反映しています。

アメリカにおいては移民と人工中絶であり、英国においてはEUからの離脱問題、そして日本においては憲法の改定が最も大きなテーマです

戦後に確立した自由民主主義社会に満足しているのか、それとも戦前の日本に象徴される旧体制の日本とその価値を復活させたいのか、今日本人が問われているのはその事なのです。

この問題はきわめて感情的な問題です、特に安倍首相にとっては…。

安部首相はすでに集団的自衛権の行使を可能にする法案の解決成立を強行しており、これ以上憲法の改定に拘泥する理由は無いはずですが、感情が許さないのです。

日本において差し迫った問題は経済の停滞であり、高齢化社会などの問題であるはずであり、他の政治家も一般国民も憲法についてこれ程思い悩む必要はないはずなのです。

 

政権与党は現在衆参両院において安定多数の議席を確保しています。

しかし憲法の改定については、国民の意見は大きく分かれていると言えるでしょう。

憲法を改定するためには国民投票において過半数の賛成票を獲得することが必要ですが、安倍首相がその票を獲得できるかどうかはまだ流動的です。

イギリスのEU脱退のための国民投票の結末を見れば、現在政権の座にある者がわざわざ国民投票を求める必要性はないということがわかるはずです。

▽ 今回も置き去りにされた女性の政治的地位の向上

[RMT大学(オーストラリア・メルボルン)日本語講師 博士 エンマ・ダルトン]

 

今界の選挙では実質的に解散した野党民主党に代わり、2つの新しい政党が出現し、多くの興奮をかき立てました。

もう一つ目立ったのは一般的な問題であるにもかかわらず残念ながらほとんどの場合顧みられない問題、すなわち女性の政治的立場の進歩です。

 

日本の政治社会における男性優位は長年にわたり続いてきた問題であり、今さら取りざたされなければならない問題ではありません。

世界の中の経済強国、すなわちOECD諸国の中で健康福祉と教育分野では人権と女性の社会的立場の向上に見るべき成果があるものの、こと政治と経済の分野で女性の地位が著しく低いという状況は、日本の民主主義と平等に対する疑問を提起しています。

 

長年政権の座に座り続けている自民党への強力な権力集中と、日本の女性たちの政治的立場の脆弱さは無関係ではありません。
22日に投票が行われた衆議院選挙で、自民党の候補者のうちわずか8%が女性でした。

これまで20年間、女性グループは政治の舞台に相応の数の女性を参画させて男女平等を図るようキャンペーンを行ってきました。
この政治の世界で男女平等を実現するという考え方に、日本の政党の中で最も強く反対してきたのが自民党なのです。

事実、安倍首相が今回、突然の衆議院解散総選挙を決定した際、政党内の男女の比率を適正な比率に改めるよう促す法案が事実上廃案になりました。
今回再び自民党政権が信任された以上、日本の政治社会における女性の地位向上は望むべくもない状況になりました。

 

https://www.theguardian.com/world/2017/oct/23/what-now-for-japan-after-abes-landslide-election-victory

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なるほど、自民党はレイシズムだけでなく、性差別も常態化している組織なのか…色々な記事を読んでみるものだな、と思いました。

 

ところで立憲民主党の誕生でリベラリズムの火が再び勢いを盛り返しました。

気になるのは初動期に安保法制廃止に力を入れ過ぎると、予想もしない方向から妨害が入らないか?ということです。

田中角栄元首相は中国との国交正常化を達成した後、アメリカ側から情報が『提供された』スキャンダルによって失脚しました。

自民党の金丸信氏は同じく北朝鮮との外交関係を改善させた直後、失脚しました。

民主党政権はアメリカに対する日本の外交的立場を引き上げる交渉を持ちかけた後、崩壊しました。

安倍首相はなぜ復活できたのでしょうか?背後に誰かがいるのではないでしょうか?

 

私の脳裏に刻みつけられたシーンがあります。

チリで穏健派社会主義政権を誕生させたアジェンデ政権の崩壊です。

米国のオリバー・ストーン監督が監修しNHK・BSで10回シリーズで放映された『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』の中で語られたアジェンデ政権の崩壊は、CIAの謀略というものがどういうものかを如実にもの語っています。

 

せっかく灯ったリベラリズム、『お互いさまの民主主義』の火を守っていきたい、そう考える人間のひとりとして、立憲民主党はまずは市民と語りあい、市民とともに着実に成長していけば良いと思っています。

自民党は日本社会に利害の根を張り巡らせて『地盤』を作り、今回の選挙で 『組織力』を見せつけました。

支持者と利害を共有する自民党に対抗するのに、立憲民主党は何を支持者と共有するのか。

これからが正念場です。

【 選挙戦に勝利した安部首相、次は一般市民との戦いが待っている 】

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所要時間 約 8分

他にどんな公約を掲げていようと、今回の選挙目的は安部首相・自民党・国家主義者による憲法改定

市民による草の根民主主義の実現を目指す立憲民主党が、野党として最大の勢力を持つことになった

 

森次 健 / AP  2017年10月23日

日本の連立与野党は、安倍晋三首相の5年近くに及ぶ政権責任者としての実績を問う衆議院選挙で大きな勝利を収めました。
今回の勝利は安倍首相に自民党総裁として、来年9月に新たな3年の任期を獲得する可能性が高まりました。

長年日本の平和主義を守り続けてきた日本国憲法の改定という積年の目標に対し、一般国民から消極的な支持しか得られない現在の状況の打開を試みる安部首相に、在任期間2021年までの長い時間を提供することになります。

 

当面自民党の勝利は、2012年12月に辞任以降安倍首相が展開してきた政策の継続を意味する可能性が高いと見られます。すなわち北朝鮮に対する厳しい外交姿勢、防衛政策をメインとするトランプ政権との密接な協力関係の維持、大規模緩和策を柱とする金融政策、そして原子力発電を推進です。

日本のメディアは23日日曜日投票が締め切られるとすぐに、安倍首相が率いる自民党と連立与党の公明党を合わせて衆議院の議席の3分の2を独占する可能性があると伝えました。
NHKは23日月曜日の未明、荒天のため同日中には正確な結果が確認できない可能性があると伝え、非公式の結果としながら連立与党が465議席下院議席312議席を獲得して全議席の3分の2にあたる310以上の議席を獲得したことが確実になったと伝えました。一方の野党側が獲得した議席は143議席でした。

 

安倍首相の連立政権はすでに参議院においても3分の2の議席を独占しており、両議会において絶対多数の議席を手にしている以上、事実上安倍首相は対立側から激しい反発を受けることになっても、いかなる政策も法律の制定も自分の思い通りに推進できる体制を手にしたことになります。
安倍首相は今回の選挙結果について有権者が安部首相の政治方針を支持し、その強力なリーダーシップの継続を望んでいる事をはんえいするものだと語りました。

「今回の選挙結果は、確固たる政治基盤のもとで政策が確実に推進され結果を得ることができる我々の体制の方を有権者が選択し、期待しているという反映したものです。」

安部首相はNHKの取材にこう答えました。

 

しかし安倍晋三首相の支持率は選挙前の2017年夏に30%台に下がっており、自民党党首としても日本国首相としても、その基盤は言われているほど確固たるものではないという指摘もあります。

「私は今回の勝利を謙虚に向かい合い、今後の政務について謙虚に誠実に務めていくつもりです。」

一連のスキャンダルが続いたことに言及しながら、安部首相はNHKの取材にこう答えました。

 

安倍首相は9月中旬衆議院の解散を決め、急な選挙が行なわれました。

衆議院は次期首相を指名する点、参議院より大きな権限を持っています。

アナリストは野党が混乱を深め、政権への支持率が幾分改善されたタイミングを見計らい、自分の政治的立場の足固めをするため、安部首相は衆議院の解散総選挙を決めたものと考えています。

ポピュリストである小池東京都知事が新党を立ち上げ、その人気が盛り上がった際、安部首相のこの計画は一時的に齟齬をきたしそうになりました。

しかし小池氏が立ち上げた希望の党への期待はたちまちにしぼんでしまい、小池氏自身は衆議院議員選挙への出馬を否定することになりました。

NHKは選挙戦終盤、希望の党の獲得議席数がわずか49議席に留まるだろうと伝えました。

小池氏はパリで開催されていた国際市長会に出席していましたが、インタビューに対し希望の党の選挙情勢が「非常に厳しい」と語りました。

小池氏は自分の発言の一部が有権者の反発を招いた可能性があり、この点については自分に責任があると語りました。

 

選挙後は別の新党、立憲民主党が希望の党を凌駕し、野党として最大の勢力を持つことになると見られています。

立憲民主党は市民のための政治を目指すリベラル派であり、希望の党と安倍首相が率いる自民党は保守政党です。

安倍首相が率いる自民党と国家主義者であるその支持者たちは、何年にも渡り憲法の改定を提唱してきました。

彼らは1947年に制定された日本国憲法が第2次世界大戦における勝利者の世界秩序と価値観を日本に押しつけたものであり、日本敗北の負の遺産だと主張しています。

日本国憲法は国際紛争の解決手段として戦争を放棄し、日本が軍事力を行使できるのは自国の防衛に限定していますが、実際には日本はアメリカ軍と協力して軍事作戦を展開できるだけの、世界有数の近代的軍事力を備えています。

 

日本国憲法はこれまで一度も改訂された事はありませんが、改定するためにはまず最初に衆参両院の3分の2の賛成を得て、その後に国民投票で承認される必要があります

これまで行われた世論調査では、日本国民は日本国憲法の改定に反対を表明しています。

 

https://apnews.com/05358e02e29a4dad94f493bbf50d8a05/Japanese-Prime-Minister-Abe-heads-to-impressive-election-win

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選挙戦を見ていると『盗人猛々しい』という言葉が思い浮かぶ時があります。

福島第一原子力発電所事故の発生当時、立憲民主党の枝野氏が経済産業大臣であったことをやり玉に挙げ、攻撃した人間がいました。

「何を言うか?!」

と多くの人が思われたでしょう。

原子力発電事業を日本国内で強力に推進したのが自民党なら、福島第一原発の事故収束・廃炉作業についての完全な見通しも立たず、原発難民にされてしまった人々の救済も充分に行われないまま、原発の再稼働を推進しているのも自民・公明の連立与党・安部政権のはず。

特に原発事故被災者の方々の窮状は聞くたびに心が苦しくなります。

 

そんな中、「おたがいさまの(思いやりのある)社会を築きましょう。」という立憲民主党・枝野代表の呼びかけは心に沁みました。

私自身、特に東京で独り暮らしをしていた時に、『困ったときはお互いさまだから』といういたわりや思いやりに、何度も救われる思いをしました。

 

分断された社会は不幸に向かいます。

分断に乗じて私利私欲をたくましくする輩も現れます。

せっかく現実になった草の根民主主義の力、それを守り育てていくための私たち一人一人の取組と努力が大切な時代が始まりました。

【 日本はなぜ核兵器禁止条約を受け入れようとしないのか? 】

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核兵器のない世界を実現するために努力するという安部首相の発言は虚言

21万人以上が殺された広島と長崎の人々にとって、日本の不参加は到底容認できるものではない

 

山口まり / AP通信 2017年9月21日

世界で唯一原爆を投下された国である日本は、これまで核兵器の世界的禁止を繰り返し要求してきました。

しかしその日本は核兵器保有国とNATOと同じ立場をとり、ニューヨークで開催された国連総会において核兵器の製造・保有を禁止する条約に署名することを拒否しました。

この条​​約は9月20日に50カ国によって署名されましたが、同数の国が批准した時点で発効することになります。

すでにタイ、ガイアナ、バチカンの3カ国が条約を批准しており、この条約が効力を発揮すれば、核兵器の開発、試験(実験)、生産、取得、保有、備蓄が禁止されることになります。

ではなぜ日本がこの条約に反対しているのか、背景にあるものを探ってみましょう。
『米国の核の傘によって守られている日本』

日本は自国の領土内において核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずという非核三原則を宣言していますが、密接な同盟国である米国の広範囲に及ぶ核抑止力、すなわち「米国の核の傘」によって守られています。

北朝鮮のミサイル・核兵器開発の脅威が増している中、日本は日米同盟における軍事的役割を強化しており、こうした状況が日本政府が条約に署名することを困難にしています。

安倍晋三首相の下、日米両国は二国間の安全保障体制の強化を急いでいます。

日本に加えNATOの大半の国々、韓国、オーストラリアを含むアメリカのほとんどの同盟国がこの条約に関する協議に参加しませんでした。

 

『被爆者たちの長年の取り組み、そして悲願』

 

原子爆弾の被災者である被爆者のほとんどは、核兵器のない世界を実現するためにこれまで懸命の取り組みを続けてきましたが、その長年にわたる着実な努力が今回の条約の実現の原動力となっています。

広島原爆の被爆者で作る日本の代表的なグループのひとつ、被団協の事務局次長である藤森俊樹氏は国連総会議場で、核兵器は人類とは絶対に「共存しない」と訴え、この条約はそのための第一歩であると述べました。

藤森氏は日本政府が署名しなければならないと発言し、日本政府の拒否は藤森氏自身を含む多くの被爆者の心を壊したと語りました。

2017年8月9日の長崎市での記者会見で田上富久長崎市長は、この条約の成立に関わろうとしない安倍政権を非難し、核兵器のない世界を実現するために努力するという安部首相の発言は虚言だと批判しました。

さらに田上市長は1945年8月の2回の米国による核爆弾の投下によりその年の末までに21万人以上が殺された広島と長崎の人々にとっては、日本の不参加は到底容認できるものではないと述べました。

 

『この条約は核保有国と非保有国との溝をかえって広げてしまう?』

 

日本政府は核廃絶は世界中の国々とって最終的な共通目標であるとしながら自国がこの条約間締結に参加しなかった理由について、核兵器禁止への日本の取り組み方法が条約に定めるものと違うため、署名していないと説明しています。

河野太郎外相はニューヨークで記者団に対し、核兵器保有国と非保有国との間には溝があり、さらに実際にどのようにして核兵器のない世界を実現するかという方法論について非保有国の間にもギャップがあると述べました。

河野外相は日本は核兵器の廃絶と各国の非核化という共通の目的のために誰もが参加できる共通の基盤を作りたいという希望を持っており、この両陣営の橋渡しの役割を担うつもりであると語りました。

 

(写真No.1)

2015年8月6日、原爆投下70周年の慰霊祭の会場で、遺族が広島記念館に原爆犠牲者の名簿を納める際、お辞儀をする遺族に答礼する広島市長の松井和実氏。

率直な発言をすることで知られる松井市長は、原爆の生存者である被爆者が生涯に渡り核兵器廃絶のための取り組みを続けてきたことを称賛しました。

その上で日本政府に対し、米国の核の傘に依存する政策の転換を訴え、可能な限り早く核兵器禁止条約に参加するよう要請しました。

 

(写真No.2)

2016年5月26日、広島の広島平和記念公園の南東部にある原爆ドームの周囲に集まった人々。 日本は世界で唯一広島と長崎の2つの都市に原爆を投下された被爆国であり、その碑には核兵器の使用について「二度と過ちを繰り返しません」と刻まれているにもかかわらず、核兵器保有国とNATO加盟国同様、核兵器禁止条約には署名しませんでした。

これは米国ときわめて密接な関係を持つ同盟国であり、米国の核兵器によって守られているという認識を持っているためです。

 

https://apnews.com/5a9990f8d9e242438e7b557f228ba9f3/AP-Explains:-Why-Japan-doesn't-sign-nuclear-arms-ban-treaty

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皆さんはNHKがこの条約に関する報道を行う際、冒頭に必ず

『アメリカの核の傘に守られている日本としては…』

と前置きすることにお気づきでしょうか?

そうした『認識』は絶対的な事実とは異なり、必ず注釈しなければならないものではないはずです。

『アメリカの核の傘に守られているという認識もある日本としては…』

という表現が正しいはずですが、これも政権の『圧力』によるものなのでしょうか?

 

月曜の朝を迎え、その政権があれ程のスキャンダルの後もほとんど無傷のまま選挙を終えました。

失望感、無力感にとらわれておられる方も多いでしょう。

しかし一方では立憲民主党というリベラルの、そして平和主義を志向する人々のための橋頭保も出来ました。

選挙前の民進党は果たして市民が信頼して良い存在なのかどうか危ぶまれる存在でした。

しかし立憲民主党は日本国内のリベラルがその存在すら危なくなった時、いわば人々の願いが結実する形で誕生し、漂おうとしていた民意を受け止めてくれる存在になりました。

 

ノルマンディー上陸作戦はダンケルク撤退の翌年に実現した訳ではありません。

そしてリベラルは枝野党首が言うように右でも左でもありません。

キング牧師やジョン・レノンが右でも左でも無く、ただただ市民の正当な権利と平和を希求していたように、私たちも願う事を途切れさせないよう、心を折ることなく進んで行きましょう。

【 民主主義と自由主義の価値を理解できなかった日本人 】[社外社説]

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選挙が終わった後、安部政権と正面から対決できる新党、それは立憲民主与党

日本の民主主義を守りたいという願いを結集させた立憲民主与党、残念なことに本格的躍進のためには準備期間が短すぎた

リベラル派陣営と左派政党の選挙協力を事実上葬り去り去った小池氏、安部首相への最高の応援

安部首相の解散総選挙の決定は党利党略目的、同時に憲法が定める政治規律にも反する

 

中野晃一 / ニューヨークタイムズ 2017年10月15日

9月日本の議会を解散して10月22日投票の総選挙の実施を決定したとき、安倍晋三首相は政治権力という観点から決断を行ったようです。

反対勢力の野党は混乱しており、政権の支持率は再び上昇していました。

エスカレートする一方の北朝鮮の好戦的姿勢により、安部首相のタカ派的姿勢がある意味正当化されていました。

事実、この決定は安倍首相自身の政治的弱点を露呈すると同時に、日本の政治的特質の弱点をなおさら悪化させてしまうという問題をもはらんでいました。

 

日本の政治について、有権者の多くは政策を重視しています。

しかし現実は自民党と新たに誕生した保守系政党との2大政党制の実現に向かいつつあり、新しく誕生したリベラル派の政党は脇に追いやられようとしています。

その結果日曜日の投票の結果がどうなろうとも、有権者の考え方と現実の政治とのギャップがますます拡大する結果になるでしょう。

 

行政府が立法府である議会を一方的に解散できる制度に正当性があるかということについては、いくつかの異論があります。

実際憲法学者の一部は首相に議会制度を自分の意のままにする権限などは無く、今回の安部首相の決定は党利党略に基づくものであると同時に憲法が定める規律に反するものだと批判しています。

国民も同様には安部首相の決定を好意的には評価していないようです。

共同通信の調査では、60%以上の回答者が否定的な見解を持っていることを明らかにしました。

安部首相が解散を決定した背景にあるものは、自分の関係者に対し便宜を供与するため政治的影響力を行使したとされる2件のスキャンダル、そして南スーダンにおける自衛隊の活動に関する事実の隠ぺいがあったとされる件について、真相を究明しようとしていた議会の追及から身をかわそうとしていたことの他にも、さらに別の利己的な動機があったと見られています。

今年6月には一般市民の自由を犠牲にして警察の側により広い捜査権限を与える共謀罪法案を強行成立させた後、議会における通常の審議を一方的に打ち切りました。

 

反発した野党側は議会の4分の1の議員が要請すれば臨時で審議を行うことができるという憲法の定めに基づき、臨時の議会を召集するよう求めました。

安倍晋三首相は3カ月以上にわたりその要求を無視した挙句、法の定めでは1年後に行えばよいはずの総選挙を前倒しし、9月28日に国会が再開されるとすぐに再び議会を解散したのです。

この時点で自民党とその連立与党は衆参両院の議席の3分の2以上を独占しており、安部首相が見せた『逃げの姿勢』は、なお一層の疑惑を招くことになりました。

 

しかし現実には、安倍首相の議会における圧倒的多数支える基盤には陰りが見え始めています。

安部首相が率いる与党自民党は前回の総選挙で有権者全体の約4分の1の支持しか得ませんでしたが、結果的には『地滑り的勝利』を手にしました。

これはひとえに日本の小選挙区制度によるものです。

衆議院の議席の3分の2は小選挙区制度で選ばれた議員のものですが、この制度は野党勢力に対して一方的に不利であると同時に、投票者の投票意欲を削ぐ結果につながっています。

有権者は前時代の日本の過去の業績を称賛し、独特の民族主義的な調子で経済的にも軍事的にも「強力な」日本を実現させようとする安倍首相の『日本を取り戻す』というスローガンに決して支持を表明してはいません。

安部首相は2015年、日本のいわゆる平和主義に基づく憲法の精神を完全に損なうことになると見られていた集団的自衛権を合法化するための新たな安全保障法案を提案した結果、国民の大規模な抗議に直面しました。
結局安全保障慣例法案は可決されましたが、安部首相が望んでいる自衛隊の活動範囲の拡大、その他の問題も含め国論は分断されたままでした。

読売新聞が今月行った世論調査によると、安倍首相が主張する自衛隊の存在を憲法に明記するという提案に42%の回答者が反対を表明しました (支持者の割合は約35%です)。
日経新聞の調査によると、安倍政権に対する支持率は加計学園、森友学園のスキャンダルの真っ只中にあった7月下旬に26%にまで下がりましたが、10月の第2週末の時点で約37%まで回復しました。

 

そこで湧き上がるのが、安倍政権の政策がこれほど不人気なのに、なぜ安倍首相は権力の座に座り続けていられるのか?という疑問です。

 

安部首相の権力掌握の極意は、他の選択肢が存在しないということに多くを負っています。

2009年から2012年の短期間、一度は政権の座に就いた民主党は経験の無さを露呈し、結果的に無能であるとの評価を覆すことはできず、以来国民の信用を失うことになりました。

2011年の福島で発生した原子力発電所事故で新たな形で市民運動が活発化し、民主党はこうした市民団体や少数の左派政党と提携しました。

この戦略は功を奏し、2016年の参議院議員選挙で一定の成果を得ることができました。

しかしその一方では、民主党内の保守派の中で不満がくすぶるという結果にもつながりました。

民主党は市民運動の中で一定の地位を築く一方、日本の野党の永遠の課題のひとつ、強力なリーダーの不在という致命的な弱点を解消することはできませんでした。

保守派の前原誠司氏は今年9月1日に民進党の新しい党首に選出されましたが、これまでの民主党の当主か全てそうであったように、一般市民から熱い支持を得るには至りませんでした。

 

今年7月に行われた東京都議会選挙で安倍首相に決定的な敗北を与えた、ポピュリストでありメディア政策に精通した小池百合子東京都知事について見てみましょう。

9月に安倍首相が衆議院の解散を発表した当日、小池氏は新しい「希望の党」の結党大会を盛大に開催しました。

小池氏は直ちに前原誠司氏との間で協議し、民進党の候補者を希望の党が引き継ぐという、国民にとって意外な取引を発表しました。

その後しばらくは、小池氏は安部首相と直接対決すべく勢い込んでいるように見えました。

しかし実際に選挙が開始されると、小池氏は詳しい説明をすることなく、自分は今回の衆議院議員選挙には立候補しないことを表明しました。

この決定は安部首相に対し、新たな勝利をもたらすことになりました。

そして安倍首相はライバルになるはずだった人物から、もう一つ別の勝利を譲られることになったのです。

小池氏はそれまでに自由主義陣営と左派政党の選挙協力を、事実上葬り去っていたのです。

小池氏は「日本をリセットする」ために希望の党を創設したと主張しています。

それはご都合主義の曖昧なスローガンであり、自民党の「日本を取り戻す」を想起させるものです。

希望の党の公約は人の心をつかみやすく作られていますが、実現性については曖昧な部分が多く残っています。

原発ゼロ、電柱ゼロ、花粉症ゼロ、その他がありますが、小池氏の保守的な立場と根本的に食い違っているものもあります。

 

2007年の第一次安倍内閣で防衛大臣を務めた小池氏は、イデオロギー的に安部首相とほとんど変わるところはありません。

衆議院議員選挙への出馬を取り下げた理由の一つに、小池氏自身は安部首相に取って代わろうというつもりはなく、むしろ選挙後に獲得した勢力を背景に安部首相との協定を結ぶつもりがあったという事がありました。

投票日を一週間後に控え、いくつかの世論調査は衆議院の465議席中、自民党単独で約300議席を獲得するだろうとの予測を一斉に発表しました。

小池氏自身が衆議院選挙への出馬を取りやめて以来、希望の党の支持率は低迷し、小池氏自身への支持も減っています。

しかし何はともあれ、大勢は決してしまいました。

民進党はもうほとんど存在しません。

その元メンバーの大部分は希望の党の旗の下で選挙運動を行い、リベラル派議員の多くは立憲民主党の創設を決めました。

立憲民主党の主要な綱領は党名が示す通り、一連の問題について、特に憲法の改定に関して安倍首相と正面から対決することです。

その姿勢は人気を集めていますが、いかんせん準備期間が短すぎて、今回の選挙で大きく躍進することは期待できないでしょう。

 

日曜日に投票が行われる以前、すでにひとつの結果がすでに明らかになろうとしています。

今回の衆議院選挙結果は、日本のリベラル左派の崩壊を物語るものになるでしょう。

本当の意味でのチェック&バランス機能を持たない保守系2大政党時代が日本の中で姿を現しつつあり、国民全体の利益と現実の国政とのギャップが拡大を続けています。

 

https://www.nytimes.com/2017/10/15/opinion/liberalism-japan-election.html?rref=collection%2Ftimestopic%2FJapan&action=click&contentCollection=world&region=stream&module=stream_unit&version=latest&contentPlacement=1&pgtype=collection

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一回の掲載としては異例の長文になりましたが、今日をおいて掲載の機会は無いのでぜひお読みいただきたいと思います。

私自身はまだ間に合うと考えたい、そう思っています。

私はこれまで政治活動を行った経験は無いのですが、先日、普段は選挙に行かないという女性に、

「将来、君の大切な子どもたちが戦場に連れて行かれるようなことにならないよう、今回だけは選挙に行ってくれませんか?」

と頼んでみたところ、

「ほんとですね!」

と投票に行くことを快諾してもらいました。

1人が1人を誘うだけで力が倍になる、そう信じてこれからも草の根民主主義を実践して行くしかありません。

なぜ自民党は選挙に勝ち続けるのか?:政治理念より支持者への見返りが第一

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所要時間 約 7分

これほどの政治支配はアメリカやヨーロッパの民主主義国家ではあり得ない

派手なインフラ事業で現金と雇用を大盤振る舞い、ただでさえ危機的状況の公的負債を積み増す安部政治

むずかしい問題の本質的な解決はすべて先送り、支持者を潤わせればそれで良いという情実型の選挙戦術

 

エコノミスト 2017年10月12日

今治市は四国と本州を分ける瀬戸内海を見下ろす場所にある美しい中世の城(今治城 : 冒頭の写真)で知られています。

しかし近頃では別のランドマークが注目されています。

それは今治市を上から見下ろす場所に建設中の魅力的なカレッジキャンパスです。

公共の場所に建設され、政府の助成金96億円によって成立した事業でしたが、建設半ばのこの獣医学部は、巨額の助成金が交付されることになった背景には安倍晋三首相の存在があったという主張がつきまとっています。

 

元文部科学省の官僚は、同省が仲間が経営する新しい大学に許認可を与え補助金を交付するために、安部首相が影響力を行使したと主張しています。

首相側はこれを否定しています。

野党の政治家は、今回安倍首相が10月22日が投票日となる衆議院の解散総選挙に打って出た理由の一つは、この加計問題に関するさらなる質問をうまく切り抜けようとしているのだと指摘しています。

しかしこうした一連の問題も、安倍首相が率いる自民党に対し今治市民が向き合う姿勢にはほとんど影響を及ぼしてはいないようです。

「多くの人が悪魔と知りつつも、これからも支持を続け恩恵にあずかろうと考えているようです。」

今治市で商店を経営する高須佳子さんがこう語りました。

 

四国地方は長年にわたり自民党の拠点となってきた、地元野党の政治家である福田剛氏がそう指摘しました。

今治市議会では32議席中27議席、県議会では47議席中26議席を自民党とその与党議員が占めています。

衆議院議員選挙を見てみると、2014年の選挙では四国の小選挙区11席のうち自民党がとれなかったのは1議席、比例代表では6議席中3議席を獲得しました。

自民党が全国的規模で敗退した2009年の選挙でも、四国地方に限っては小選挙区13議席中の8議席と比例代表で2つの議席を確保しました。

安倍晋三首相が率いる自民党は1955年以降、数年間を除き権力を握り続けてきました。

政治学者の猪口孝氏は、これほどの政治支配はアメリカやヨーロッパの民主主義国家ではあり得ない状況だと指摘しました。

この「あり得ない形」の原因の一つに日本の選挙制度があります。

四国のような保守的な農村部には、国政に対する大きな発言権が与えられています。

最高裁判所がこれまでの制度を違憲としたため、日本政府は気が進まぬ様子ながら一票の格差を縮小する方向に動きましたが、自民党は依然として利益を得続けていると、東京大学のケネス・マックエルウェイン氏が指摘しました。

 

政治への無関心も自民党に有利に作用しています。

2014年の衆議院選挙の投票率は52%であり、第2次世界大戦以降最低の水準でした。

しかし自民党は政治理念よりも現実的利益を優先させることで、揺るぎない支持を得ています。

自民党は保守的であるとよく言われていますが、一方では昔ながらの社会民主主義的な政策も看板として掲げています。

年金制度を守る姿勢を強調し、大盤振る舞いをして派手なインフラを構築して四国のような場所にも現金や雇用をもたらし、ただでさえ危機的な状況にある公的負債を積み増しています。

その例として1999年には、本州と四国を結ぶ巨大な橋を建設するシリーズの仕上げとして、10本目となる今治と本州を結ぶ優雅な橋が完成しました。

ちょうどその1年前には、約170km離れた四国と本州とを結ぶ3本の橋が落成しました。

 

安部首相が財布のひもを握っている日本政府による一連の大規模な景気刺激策は、回復への足取りの重い日本経済の実態が表に出ないようにする効果を発揮しています。

他の先進各国ではどの政党も国家財政を健全化させることに最大の責任を持とうとしている、こう考えるのは河野太郎外務大臣です。

「日本では、大きな政府と小さな政府という両方の政策をひとつの政党が担っているのです。」

 

今治市の経済を支えてきたのは、自民党に絶対的な忠誠を誓う造船業や繊維会社の経営者たちでした。

しかしこうした産業は近年衰退の一途をたどり、地元の人口縮小も歯止めがかかりません。

しかし地元野党の政治家である福田剛氏によれば、相変わらず多くの人々が自民党の方を向いています。

これまでこうした伝統的産業は衰退を続けてきました。

人口減少もさほど気にはしていないようです。

しかし日本の有権者たちは長い年月をかけ日本がどう変わったかという事より、政治に期待すべきものは選挙が終わった後に自分たちがどんな見返りを得られるのかという点にある、そう完全に割り切ってしまっているようです。

 

https://www.economist.com/news/asia/21730204-scandals-and-economic-stagnation-seem-do-it-no-harm-why-ldp-keeps-winning-elections-japan?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

被災者の人権を侵害 – 日本の原子力行政 : 福島第一原発事故の被災者、窮状を国連で証言

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所要時間 約 9分

財政的に追い詰められ、まだ危険な量の放射線が残る自宅に戻ることを強制されている原発被災者

自宅を捨てて逃げなければならなかった原発被災者に、二重三重の経済的困難がのしかかる

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2017年10月11日

2011年に発生した福島第一原発の事故により自宅を捨てて避難せざるを得なかった女性が、ジュネーヴの国連本部で開催される委員会に先立ち、原発難民にされてしまった人々の人権が侵害されていると証言する予定であるとガーディアンの取材に答えました。

福島第一原子力発電所の3基の原子炉のメルトダウンした後、園田光子さんは夫とともに10歳の息子を連れてそれまで住んでいた村から自主的に避難しました。

 

園田さんは国連人権委員会の席上、こうした避難者が財政的な困難に直面し、事故発生から7年近くが経っても放射線量が危険な値に留まっているかつての住居に戻ることを強制されていると証言することになっています。

園田さんはジュネーヴの委員会に先立ち、日本国内で開催される調査会で証言することになっていますが、ガーディアンの取材にこう答えました。

「私たちは日本の政府からも社会からも、見捨てられたように感じています。」

園田さんのように事故当時、指定避難区域以外に暮らしていた住民で現在他の場所で避難生活を送っている人々の数は約27,000人と見積もられています。

彼らが暮らしていた場所については未だに放射線量の高さに懸念があり、果たして住民の安全が保たれるのかどうか懸念が残りますが、日本政府は今年3月に住宅費用の援助を打ち切りました。

これに加え福島地区の再建の取組の一環として日本政府は、一度立ち入り禁止区域に指定された後除染作業を行った区域について再び居住地としてこれを開放する方針を示し、これによって事故の際立ち退きを命じ去られた数万人の住民は来年3月に補償金と住宅援助の両方の支払いを打ち切られることになりました。

 

このように政府が財政支援を打ち切る方針を明示したことにより、避難民の人びとは不可能とも言える選択を迫られることになりました。

放射能による汚染が解消されていない場所に戻って暮らすか、安全な場所で暮らす代わりに国家による補償を打ち切られ、今以上に苦しい生活を強いられるか、そのどちらかを選ばなければなりません。

グリーンピース・ジャパンにおける世界的なエネルギー・キャンペーンの先駆者であるケンドラ・ウルリッヒ氏は、次のように述べました。

「原発難民の人々にはかつて住んでいた家に戻るかどうか冷静に判断する選択権を与えられるべきであり、そのために充分な財政援助を提供されるべきです。」

「もし原発難民の人びとが経済的圧力によって帰還を余儀なくされているのであれば、それは情報に基づく決定を下せる立場にないという事です。この度の国連総会は、日本政府に対し正しい対応を行うよう、圧力をかけることが目的です。」

 

原発事故によって避難を余儀なくされた人々は、『ホットスポット』と呼ばれる放射線量が極端に高い場所が各所に残っているにもかかわらず、今度は福島第一原発近くの自宅に戻ることを強く勧められているのです。

今年3月に避難命令が解除された飯舘村では、前例の無い規模での除染作業が行なわれた住宅や学校など公共施設に対しては安全だと宣言されたものの、周囲の森林の多くは放射能が高いままです。

「野外刑務所、そんな表現をしても良いかもしれません。」

ウルリッヒ氏がこう語りました。

「こうした場所に戻ってしまえば、人々の生活の質が受ける悪影響は厳しいものになるでしょう。この場所での生活は森林とは切っても切れない関係にあります。しかし放射能汚染により森の中に入ることは決して許されません。そして森林全体を除染することは不可能です。」

数ヶ月間各所を転々とした後、園田さんと家族は2年間京都に住んでいましたが、その場所の自治体が無償でアパートを提供してくれました。

その後これまでの4年間は夫の母国である英国で暮らしてきました。

フリーの翻訳家であり日本の書道の師範でもある園田さんは

「私たちは実質的に2度に渡り避難しなければなりませんでした。息子も私も最初は本当に苦労しました。私たちは日本を離れたくはありませんでした。」

 

食品の安全性と内部放射線被ばくに対する深刻な懸念があるため、親戚に会うための短期の滞在を除いて、園田さんはもう二度と福島の故郷に戻ることはではないと確信を深めています。

「私の故郷の村はとても美しい場所なので、本当に悲しいです。」

と彼女はこう語りました。

「そこには私たちの家があり、引退後はそこで生活するつもりでした。」

福島第一原発の事故による避難は家族を離散させてしまいました。

園田さんの両親は暮らす場所を新たに手に入れるために必要な資金を調達しようと悪戦苦闘していますが、捨てざるを得なかった自宅の住宅ローンの支払い義務が重くのしかかっています。

園田さんが次のように語りました。

「今年3月、日本政府が住宅援助を打ち切ったことは冷酷な仕打ちでした。」

「何人かの友人は望まないのに、福島に戻るという以外の選択肢が無くなってしまったのです。」

原発難民の支援を行っているグリーンピース・ジャパンは、園田さんが行なう証言が被災者への財政的支援を継続し、住民の帰還計画を推し進めようとしている日本政府に対する国際的な圧力を構築するための最初のステップとなり、政府が計画を撤回する結果に結びつくことを期待しています。

 

グリーンピース・ジャパンは過去、福島周辺の放射線量が、国際放射線防護委員会が勧告している放射線への曝露限度である1ミリシーベルト(mSv)を下回るまで、福島周辺の安全宣言を行なわないよう日本政府に要請していました。
日本政府は長期的には年間1ミリシーベルトを長期目標とするとしていますが、原子力発電所の労働者に適用される年間曝露限度である年間20ミリシーベルト以下の地域に、一般の住民が帰還して生活することを奨励しています。

こうした日本政府の態度に対し、園田さんが次のように語りました。
「なぜ一般の人、特に女性や子供たちが国際的に定められた限度の20倍の放射線がある場所で生活しなければならないのでしょうか?」

「日本政府は、被災者にきちんとした回答をしていません。」

 

1番目の写真 : 指定避難区域の外側で農作業をする園田さんの叔母

2番目の写真 : 福島第一原発事故発生の前、近くの山間の渓流で水を飲む園田さんの息子と友だち

3番目の写真 : 福島第一原発の事故発生の前、自宅近くを歩く園田さんの家族

https://www.theguardian.com/environment/2017/oct/11/fukushima-evacuee-un-japan-human-rights

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お断りしなければなりませんが、原文の記事には『安部政権』も『安倍首相』も一切書かれていません。

被災者への援助を打ち切るのは Japanese Government であり、Abe Administrationとは書かれていません。

しかし原子力行政は国の重要な政策の一つであり、その方針を決めるのは現政権、すなわち安部政権に他なりません。

本文中に『日本政府』とあるものは、すべて安部政権と置き換えるべきです。

しかしながら原文を尊重し、本文中は『日本政府』とさせていただきました。

※英文からの翻訳のため、個人名・固有名詞の漢字表記に誤りがある場合があります。

【 福島第一原発の最大規模の集団訴訟で賠償支払い命令 】

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所要時間 約 8分

おびただしい数の人々が自宅を捨てて避難しなければならなかった巨大な原子力発電所の事故、日本政府にも責任がある

根こそぎ破壊された人間の暮らしについて『補償する』ことは、果たして可能なのか?

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2017年10月10日

日本の裁判所は福島第一原子力発電所の運営する東京電力と政府に対し、2011年3月3基の原子炉がメルトダウンした事故の影響により様々な形で被害を受けた住民に対し、約5億円の損害賠償を命じました。
福島地裁の判決はこれまでの裁判所の判決と同様、大量の放射線が放出され何十万何万というおびただしい数の人々が自宅を捨てて避難しなければならなかった巨大な原子力発電所の事故に対し、日本政府に責任があるという事も明確にしました。

 

3基に上る原子炉のメルトダウンという事故の発生により、それまでの生活を根本から破壊されたとする12,000人の人びとが全国で30件の同様の訴訟が行なわれていますが、3,800人の原告を含む集団訴訟はその中で最大規模のものです。

2017年3月、25年前のチェルノブイリ原子力発電所事故以降、世界最悪の原子力事故となった福島第一原発の事故について、国にも過失があったとする日本の裁判所として初めての判断が下されました。

そして2011年3月11日に強力な地震と津波によって深刻な原子力発電所事故を引き起こした東京電力は、3件の訴訟すべてにおいて損害賠償を命じられることになりました。

判決によれば事故発生当時避難を命令されなかった福島県の住民を含む原告は、最高で36万円の賠償を受け取ることになります。

 

しかし裁判所は、それまで生活していた住居が再び人間が安全に暮らせる数値に放射線量が下がるまでの期間、月額5万5000円の補償を支払うように求めた原告の訴えは却下しました。

このケースは政府とTepcoが6つの原子炉のうちの3つの炉で燃料の溶融を防ぐために使用されていた発電所の冷却システムを破壊し、バックアップ発電機を破壊した災害を予見できたかどうかにかかっています。


いずれの裁判でも、福島第一原子力発電所の6基の原子炉の内3基で、本来から原子炉の炉心で核燃料のメルトダウンを防ぐために機能するはずだった冷却装置を破壊し、併せて非常用の発電機も使用不能に陥らせるほどの災害の発生を日本政府と東京電力が予め想定することはできたかどうかという点が重要な争点となりました。

 

福島地方裁判所は、福島第一原発が位置する東北地方の太平洋沿岸地区を襲う危険性について、すでに約10年前に状況が解明されていたにもかかわらず、日本政府当局は東京電力に安全対策を改善するよう命令しなかったと指摘しました。

原告側の主張は2002年に日本政府が専門家に依頼して調査を行った結果、今後30年以内にマグニチュード8.0の地震が発生する確率が20%、その際高さが15.7メートルに達する津波が発生する可能性があるとした報告に基づいています。

裁判所は、日本の原子力行政が責任を持って原子力産業界に働きかけ、東京電力に対し福島第一原発の地下に置かれていた非常用ディーゼル発電機を高地に移動させるとともに、原子炉建屋を耐水性を強化するように命じていれば、原子炉がメルトダウンする事態を防ぐことができた可能性が高いという原告の主張を支持しました。

これに対し日本政府と東京電力は東日本の太平洋岸一帯を破壊し尽くす程強力な津波の襲来を予測することは不可能だったと主張し、福島第一原発の事故はやむを得ないものだったと主張してきました。

 

災害から約7年が経過しましたが、未だに5万人以上の被災者が仮設の住居での生活を強いられ続けています。

一部の被災地域では政府の避難命令が撤回され、放射線の脅威が本当に取り除かれたのか危ぶみつつも指定避難が解除された市町村に戻った人々もいますが、多くの人がもう二度と故郷に戻ることはできないと語っています。

https://www.theguardian.com/environment/2017/oct/10/fukushima-residents-win-500m-yen-payout-over-nuclear-disaster

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これまで原発難民にされてしまった方々から直接うかがったお話に、この稿の内容を重ね合わせたとき、最初に思ったことは『補償とは何か?』という事でした。

 

私が知っている現在20代で事故当時高校生だった女性は、自宅が楢葉町の小高い丘の上にあり、学校帰り度々目にしていた山間に夕陽が沈んで行く景色が大好きだったと話してくれました。

それは人間としての感情のひとつであり、そうした風景を永遠に奪われても、もちろん補償の対象とはなりえません。

彼女は仙台市内の大学に進学しましたが、「幸いに」原発難民として迫害や嫌がらせを受けることは無かったとも話してくれました。

その話を聞いた時には、本当に心が痛みました。

自分とは関係の無い会社が引き起こした産業事故の被害者にされたことで、なぜ迫害や嫌がらせを受けることを心配しなければならないのか、あまりに理不尽な話だと感じたからです。

しかし国内報道でも度々伝えられたように、原発難民にされてしまった方々のなかに、実際に避難先で数々の理不尽な扱いにさらされることになった方も数多くおられたようです。

彼女はこうした体験を私に終始穏やかな口調で話してくれました。

しかし彼女を知る別の人は、家族がいよいよそれまで暮らしていた自宅を『捨てなければならない』と決まった時、信じられないほど取り乱し、その後精神を病む寸前まで行ったのだと教えてくれました。

 

彼女は今年結婚し、新幹線を乗り継いで行かなければならない程遠い場所にある新居で暮らすことになりましたが、福島県いわき市内に新たに居を定めたご両親と一緒にかつての自宅を訪れて哀惜の思いを新たにし、その後新天地へと旅立っていきました。

 

こうしたお話も含め、そして自分が数多く手がけた翻訳記事の中で語られていた体験談も含め、一度生活の根底を破壊されてしまったら、もう取り返し様がないのだという厳然たる事実が存在することを思い知らされました。

人為的にそれを補償するなど、到底不可能な話です。

 

人間は物質だけを揃え整えて生きている訳ではありません。

私も一度過労で倒れて、ごく一時的にでしたが記憶を無くしたことがあります。

あの時感じた恐怖というのは、例えようのないものでした。

人生というものが記憶の積み重ねであることを痛感させられた体験でした。

 

原子力発電所が一度事故を起こしたら、周辺で暮らしている人々は『何もかも捨てて』避難しなければなりません。

もう原発など無くても、いかようにも電気を作ることができる時代になっているはずです。

現在の政権・安部政権は、何より人間の暮らしを守ろうという意思を持っているでしょうか?

福島第一原発の事故に関する日本国内の議論はまだまだ足りない、そう感じさせる記事でした。

【 まだ、原発?】

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廃炉にされる原子力発電所の数が、建設中の原子力発電所の数を上回る時代が到来した

米国は自分たちが始め世界中に混乱を広げてしまった原子力発電の、終息への道筋を示さなければならない

 

マギー・ガンダーセン / ベン・シュルマン・リード/ フェアウィンズ 2017年6月22日


廃炉にされる原子力発電所の数が建設中の原子力発電所の数を上回る時代がやってきました。

現在世界中で稼働している原子炉は1960年代に構想・実現されたものであり、21世紀社会になって急速に進歩した再生可能エネルギーとの競争において大幅な後れを取ることになり、経済的成果が実現不可能となった結果、次々と閉鎖に追い込まれています。

今や世界中の人びとが福島第一原発で発生したのと同じ事故が、その場所に原発がある限り世界中いつどこででも起こり得るという事を理解するようにもなりました。

 

一度はこれからの35年間12日ごとに1基の割合で新しい原子炉を建設し、2050年までに1000基の新しい原子炉を稼働させる計画を夢見た原子力産業界ですが、もはや原子力に依存する必要性がなくなり、誰ももうそんなことを望みもしなければ欲してもいないという厳しい現実に直面しています。

 

世界最多の原子炉が稼働している米国では、マサチューセッツ州ピルグリム、ニューヨーク市郊外のインディアンポイント、ニュージャージー州オイスタークリーク、カリフォルニアのディアブロキャニオン、そして最近ではスリーマイル島ペンシルバニアで、それぞれの原子力発電所が近い将来閉鎖されることになると発表されました。

米国内の原子炉の停止は経済面だけに留まらず地球環境にとっても良い影響が期待できますが、廃炉は高額な費用を要する複雑な工程を持つ作業であり、これまでこれらの巨大施設を支えてきた地元のコミュニティには少なからぬ損害を与えることになります。

原子力発電所の稼動が完全に稼働を停止すれば、地元自治体や地元の経済界は原発の経済的恩恵からの財務体質の転換を円滑かつ確実に実現しなければなりません。

併せてきわめて有害な放射性核廃棄物の長期的な安全保管を可能にしなければなりませんが、米国政府はこれまでそれを実現できていません。

 

さらには発電をやめた原子力発電所はそれそのものが巨大な放射性核廃棄物となるため、物理的に数十年間の安全管理が必要になることに加え、地域社会は今よりももっと健全で持続性の高い方法での電力供給を可能にしなければなりません。

その上で多様なやり方で自給自足できるように経済を再構築していく必要があります。
現時点で原子力発電所が立地する市町村は「ホスト・コミュニティ」と呼ばれていますが、残念なことにその経済規模は小さく、経済的にも原発以外に主だった収入源は無いというのが現実です。

こうした市町村で将来の運営計画が検討される際、原子力発電所からの発言がいつも取り上げられる訳ではありませんが、現実には市町村の命運を握る存在です。

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションはバーモント・ヤンキー原子力発電所が抱えている問題と欠陥、そして立地自治体であるウィンダム郡が当然受けるべき配慮が欠如していることを継続的に監視し報告しています。

 

2014年バーモント・ヤンキー原子力発電所が閉鎖される時になって、バーモント州の議員と州政府の職員たちはバーモント州の権利とバーモント州のすべての市民の権利を守るためには、自分たちが同原発の運営会社であるエンタジー社と本来国の原子力政策を健全に運営する立場にあるはずの原子力規制委員会、その両方と戦わなければならない立場に置かれていることに気づきました。

 

バーモント州は州内唯一の原子力発電所であるバーモント・ヤンキーの廃炉プロセスの条件について交渉中であり、アメリカ国内で原子力発電事業から撤退するための的確な手続きと、廃炉と解体の作業を円滑に進める方法についてのモデルケースとなっています。

バーモント州は移行に際し、発電所の法人所有者の権利と利益だけでなく、すべての利害関係者の利益を保護するための公正な手続きを模索しています。

 

バーモント州は州内唯一の原子力発電所であるバーモント・ヤンキーの廃炉プロセスの条件について交渉中であり、アメリカ国内で原子力発電事業から撤退するための的確な手続きと、廃炉と解体の作業を円滑に進める方法についてのモデルケースとなっています。

バーモント州は移行に際し、発電所の法人所有者の権利と利益だけでなく、すべての利害関係者の利益を保護するための公正な手続きを模索しています。

 

原子力発電所が立地するすべての市町村の住民にとっての本当の疑問は、地方税をきちんと収めている地元の住民たちの権利を守り、その声を代弁してくれるのはいったい誰なのか、という事です。

廃炉作業の実際の進行状況はどうなのか、地下水の水脈や河川の流域は汚染されていないか、

そして地域経済の健全性を保つための構造転換は順調に進んでいるか、等の問題に住民の立場で取り組んでくれる存在です。

 

ところが停止中の各原子力発電所の放射線量と廃炉作業の進行状況の監視に責任を持つべき原子力規制委員会(NRC)は、上記のような周辺住民の人権問題にはまるで無関心であり、どのような対策も行っていません。

すべての環境を守るため保証されなければならない清浄な空気を吸う権利、安全な水を飲む権利、そして停止した原子力発電所の様々な部品から漏れ出す放射能に汚染されていない食品だけを口にする権利、このような環境問題と人権問題はすべて、米国内の地方自治体と州政府に任せっぱなしにされています。

バーモント州はもっと安全でより透明性の高い廃炉プロセスの実現を求め、高放射性核廃棄物と汚染された原子力発電そのものの安全かつ永続的な廃棄に移行する作業をめざし、自治体として地域社会果たすべき役割の実現をリードしています。

 

わたしたちフェアウィンズもオープンで透明な廃炉プロセスを提唱しながら幅広く対話を行うことにより、米国が始めた原子力発電事業に終止符を打ち、世界中に広がってしまった混乱を収束に向かわせるために指導的役割を果たし得ると信じています。

 

原子力発電から脱却し、経済的にも妥当な費用で、しかも地球上のすべての生き物が健康な状態で生存を続けることができる環境を守ることに貢献する安全なエネルギー社会への転換を、地域社会が協力して実現する、それがフェアウィンズが目指しているものなのです。

 

http://www.fairewinds.org/newsletter-archive//oegf127i8zwvkcg5koxzivdipspzk9

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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