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【 もはや手をこまねいてはいられない、東京電力は福島第一原発の現場を『根本的に』立て直せ 】

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厳しいスケジュールが手抜きやミスの発生頻度を高め、任務・手順も理解できない現状
「福島第一原発の状況は改善に向かっている」、その事実が欲しい日本の規制当局

AP通信 / ワシントンポスト 10月28日

NRC&東電
独立した監視機関として発足してから13ヶ月、初めて行われた原子力規制委員会と東京電力の会議において、最早正常な機能を有していない福島第一原発で急増している事故やトラブルを減らすため、『抜本的な対策』を採るよう、東京電力の経営陣に対し求めました。

日本の原子力規制委員会の田中俊一委員長は、福島第一原発で事故・トラブルが急増している事態を受け、広瀬直己東京電力社長を呼出しました。
この席で田中委員長は原子炉を冷却する際に汚染された高濃度の放射性物質を含んだ水が漏出につながった一連の人為的ミスを含め、福島第一原発で頻発している事態について懸念を表明しました。

福島第一原発では様々な事態に現場の職員・作業員が対応を迫られる中、人為的なミスが繰り返され、事態の深刻化を招いています。
田中委員長はこうしたミスが続いている状況について、度重なる「愚かな間違い」は士気と責任感の低下によるものである可能性について言及していました。

汚染水配管
東京電力が最近公表した報告書は、福島第一原発の現場に構造的な問題がある事を認めています。
福島第一原発の現場では作業員が厳しいスケジュールに追い立てられ、ともすれば手を抜く傾向があり、ミスの発生頻度も高まり、その時々における任務や手順を完全には理解できていない状況があります。

2011年3月にメルトダウンを起こした福島第一原発については、広瀬社長は東京電力が充分な数の作業員・職員を確保できなくなっていることを認めました。
この事態については、他の原発や関連施設から人員を福島第一原発に回して対応すると語っています。
しかし昨年だけで東京電力を辞めた職員の数は、700人以上に昇っています。

10月21日、相沢東京電力副社長は、今後2~3年の間は、充分な数の作業員・職員を確保できる見通しであると語りました。
しかし数十年を要する事故収束・廃炉作業において、その間必要な人員を確保しづけることは可能かどうかは定かではありません。
「今後長期間必要になるがれき撤去のための作業員の確保については、まだ見通しは立っていません。こうした作業には我々の従来のものとは異なるスキルが必要です。」
記者会見の席上、相沢副社長がこう語りました。
外国人労働者を受け入れる可能性について尋ねられた相沢副社長は、今直ちには行わないとしても、将来的にはその可能性を残しておくと返答しました。

082904
原子力規制委員会の田中委員長が広瀬直己東京電力社長と直接話し合いをしたのは、今回が初めてでした。
その理由の一つとして、原子力規制委員会発足以前、日本の核監視機関であったはずの経済産業省の下部機関であった原子力安全・保安院が、東京電力と不適切ななれ合いの関係を続けていたことが挙げられます。

原子力規制委員会の職員の一人は、今回広瀬直己東京電力社長を呼び出した背景には、田中委員長の重大な懸念があると語りました。
田中委員長を始めとする原子力規制委員会の委員は、今後東京電力に対する指導・監督を強めていく意向であるとも語っています。

会議に出席した原子力規制長の池田長官は、田中委員長は広瀬社長に対し次のように語ったことを記者会見の席で明らかにしました。
福島第一原発で頻発している問題を解決するためには、東京電力が示した単なる手順の変更などでは無く、長期的展望に立った『抜本的な対策』を必要とすると。
しかし今回の会議はわずか数分という短さでした。

明治大学の講師で、原子炉技術者である後藤昌司氏は、今回の会議が今後どの程度の改善効果を発揮するかについては、疑問が残ると語りました。
「大切なことは、彼らが本当は何について話したのか?という点だと思います。」

「私が見る所、日本の規制当局には、福島第一原発の様々な障害が取り除かれ、事故収束・廃炉作業が進み始めた、という状況が必要なのだと思います。」

NRC Barett
加えて田中委員長は東京電力側に対し、現場の作業員が防護マスクなしでも働けるようになるまで、福島第一原発の敷地内の放射線量を下げる取り組みを行うよう求めました。
防護マスクの着用が作業員間のコミュニケーションを阻害し、過酷な労働環境を作り出しているからです。

田中委員長はさらに、東京電力がこの重要な問題にもっと資金を振り向ける必要がある事を指摘しました。
これに対し広瀬社長は、東京電力が事故収束・廃炉作業の経費削減を行い、問題が発生してからその都度対応を考える態勢が、福島第一原発の今日の事態を招いてしまったことを認めました。

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japan-top-regulator-urges-utility-drastic-steps-to-eliminate-mishaps-at-crippled-nuke-plant/2013/10/28/b87e2eb4-3f85-11e3-b028-de922d7a3f47_story.html?tid=auto_complete
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私には原子力規制委員会がそれに当てはまるのかどうか判断のしようがありませんが、日本の規制当局には「福島第一原発の状況は改善に向かっている」という事実が必要なのだ、という指摘に改めて納得しました。
言い換えれば、原子力発電所事故が起きても、収束させることは可能である、と証明して見せることが必要だという事でしょう。
何のために?
もちろん、国内の原子力発電所を再稼働させるためです。

しかし今や福島第一原発は、人間の手によって作れ出されたにもかかわらず、人間の手に負えなくなっている。
それが本当の状況だと思います。
だから、原子力発電はやってはいけないのだと。

【 こんなことは、もう2度と繰り返さないでください!】

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被災者の切実な願いを押しつぶそうとする圧力、日本国内で台頭
新安全基準、公的利益に関する規定、原子力発電の倫理的整合性に関する検証が無い

スヴェンドリニ・カクチ / IPSニュース 10月15日

反原発テント
3月11日に襲った巨大地震と巨大津波が重要な設備である原子炉冷却システムを破壊し、福島第一原発の3基の原子炉でメルトダウンが発生してから2年半、今年30歳になった尾賀あや子さんは、自分がもうどうしようもない状況にまで追いつめられてしまったことを痛感しました。
当時夫と共に大熊町の福島第一原発から5キロほどの場所で生活していた尾賀さんは、町を捨てて避難しなければなりませんでした。

かつてはどこにでもいる農民のひとりでしかなかった女性は、今や日本国内で広がり続ける反原子力発電感情を引っ張る熱心な活動家のひとりに変貌しました。
2011年3月11日に発生した悲惨な出来事により故郷を追われた福島の何百何千の人々とともに、彼女は今、国内の原子炉を再稼働しようとする意図を隠そうともしない日本政府に、真っ向から立ち向かっています。

安倍晋三首相は先月行われた記者会見の席上、相変わらず『経済成長』への強いこだわりを見せ、「世界で最も厳しい基準に基づき、原子力発電所の再稼働をめざす」ことを断言しました。

仮設住宅01
このような首相の発言は、尾賀さんが抱いてきた最悪のシナリオを裏書きするものでした。
現在数百人の避難者とともに福島第一原発から約100kmの距離にある会津若松市で生活する尾賀さんは、2度と自分たちのような人々を作るようなことはしてはならない、そう固く決心しています。
「原子力発電がもたらす様々な災厄の実態を明らかにしていくこと、それが私が今しなければならない事だと考えています。」
IPSニュースの取材に、尾賀さんがこう答えました。

福島第一原発の事故発生を見て、日本の反原発感情はピークに達しました。

日本の代表紙の1紙である東京新聞が2012年7月に実施した世論調査では、3,000人の回答者の内約80%が原子力発電に反対する態度を明らかにしました。

未だに85,000人の人々が家を捨てたままの状況に追い込まれ、広大な国土が汚染されてしまい、数多くの農家や漁業関係者が莫大な経済的損失を被ったことを考えれば、こうした結果は驚くには値しません。
しかし今、尾賀さんや日本の反原子力発電の活動家たちは、自分たちの取り組みを無に帰そうとする勢力の台頭に危機感を募らせています。

アルジャジーラ抗議集会
政権与党の自民党、そして大企業が経済的損失とエネルギーの安定供給を理由に、国内の原子力発電所の再稼働を声高に要求しているのです。
かつて国内の電力需要の30%を賄っていた日本の原子力発電所の50基の原子炉は、現在定期点検を含む様々な理由により稼働を停止しています。

世界第3位の規模を持つ日本経済(GDP:約596兆円)は、そのエネルギーの約9割を輸入に依存し、今期は原子力発電所の停止に伴う火力発電用燃料の輸入増加などにより貿易収支が約1兆200億円の赤字を記録しました。

日本政府は原子力発電事業を再開するためには、地元の了承を得るとともに、厳しい安全基準をクリアすることを求めています。
日本は2012年9月、独立した行政機関として、国内のトップレベルの科学者、技術者からなる原子力規制委員会を立ち上げました。

委員長を務める田中俊一氏は福島出身の科学者ですが、原子力規制委員会の今後のあり方、そして福島第一原発の事故収束・廃炉作業を行わなければならない東京電力の今後については、公の場で
「闇の中の手探り状態である。」
と語りました。

事故調査委員会06
2013年7月に施行された原子力規制委員会の新たな安全基準は、縱深防御の概念に基礎を置きます。
すなわち、三重四重の事故防止策を施すと同時に、地震や津波、そして他の過酷な事態による安全機能が同時に失われてしまった場合にも、尚安全を確保できるよう求めています。
そして原子力発電を運営する電力会社は、原子力発電が立地する活断層の有無についても調査を求められ、より高い防潮堤や緊急時の指令室等も設備さなければなりません。

国民はこうした安全基準の強化については、一定の評価を行っているようです。

これも日本を代表する新聞のひとつである朝日新聞が2013年7月に実施した世論調査は、こうした安全基準の採用により、原子力発電の廃止を要求する人々の割合の低下につながったでしょうか?
同じ1,000人を対象とした調査では、より厳しい安全基準の下での原子炉の再稼働に賛成する人々の割合が2月には37パーセントだったのに対し、7月時点では40パーセントに上昇していました。

この数十年、原子炉の設計に携わってきた科学者の田中光彦氏は、原子力発電の反対派と推進派の戦いをダビデとゴリアテの戦い(旧約聖書サムエル記 : 巨人兵士のゴリアテは羊飼いの少年であったダビデが投石器から放った石を額に受けて昏倒し、自らの剣で首を刎ねた。この故事にちなんで、弱小な者が強大な者を打ち負かすたとえとしてよく使われる – ウィキペディア)に例えました。

090107
「市民の活動家たちは強力な権限を有する日本政府と、豊富な資金力を誇る大企業に立ち向かっていかなければなりません。」
田中氏がIPSニュースの取材に答えました。
「経済価値、金銭がまずは優先される日本社会において、市民活動家たちは世論を動かす必要があります。」

田中氏は現在の安全基準の採用、そして承認を得るための手続きには深刻な欠陥があると考えています。
「再稼働のための手続きの透明化の問題を別として、福島第一原子力発電所事故の真の発生原因について、科学的解明が行われないまま、国内の原子炉が再稼働されようとしています。」

高さ13-15メートルの津波だけが原子炉の事故の発生原因だとする公式説明に、多くの科学者が批判的立場をとっています。
原子炉が破壊されたまま手も付けられない状態なのに、発生原因を特定するだけの絶対的な科学的な証拠が手に入るはずがないのです。

原子力発電の安全の専門家であり、「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」の代表を務める井野博満東京大学名誉教授も、
そうした指摘をする専門家のひとりです。

第一大破壊
「現在の政府側の安全基準については公的利益に関する規定、(そもそも人間社会において原子力発電のような行為を行っても良いのかどうかという)原子力発電の倫理的整合性に関する検証が無く、満足できる物とは言えません。」
IPSニュースの取材に井野氏がこう語りました。
「国民一人一人の意見を丹念に吸い上げ、充分に時間をかけて丁寧な議論をした上でなければ、これ以上原子力発電を継続すべきではないのです。」

井野氏も新しい安全基準は、厳格さにおいて十分ではないと語りました。
井野氏がこう指摘しました。
例えば沸騰水型原子炉において、新しい安全基準は電力会社などの管理者に対し、フィルターの設置については無期限の猶予を与えており、これでは水素爆発を完全に暴威することはできないと。

福島第一原子力発電所の事故は、1986年にウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で発生した事故以降、最悪の事故だと考えられています。
福島第一原発においては危機的状況が続いており、東京電力と日本政府は高濃度の汚染水が海洋中や周辺地区に漏出している問題の解決のため、苦闘を続けています。
10月10日、東京電力は高濃度の放射性セシウムを、福島第一原発近くの海洋中から検出したことを明らかにしました。

8月には福島県庁が、約200,000人の子供たちを対象に行った甲状腺の検査についての新しい統計を公表しました。
朝日新聞の記事によれば、このうち44人の若年層に甲状腺がんを含む異常が認められました。
事故発生当時、彼らは6歳から18歳という年齢でした。

120915
尾賀さんは今年8月、避難民が自宅に残されたままの大切なものを持ち帰るため、政府によって実施された一時帰宅の際、夫が自宅を訪れた際の話をしてくれました。

「私にも懐かしい我が家に行ってみたいという気持ちはありましたが、行くのは止めました。」
IPSの取材に尾賀さんがこう語りました。
「私は将来、自分で子供を生もうと考えています。ですから放射線を浴びるわけにはいきません。
私たち若い世代は、行政など当てにせず自分で自分の身を守る必要があります。その上で、社会を変えていく努力を続けていく必要があります。」

http://www.ipsnews.net/2013/10/not-fukushima-again/
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福島第一原発の事故において、最も許せないのが原発難民となってしまわれた方々へのこの国の配慮です。
日本政府の官僚たちも、東京電力の『官僚』たちも、まずは自分たちの責任を少しでも減らそう、その事ばかりが先に立つ。

原発難民の方々が苦しむ時間を、一分一秒でも減らしたい。
未来が見える日の到来を、一日でも早めたい。
そんな事を考えた事があるのでしょうか?!

そこを考えた形跡など無い事は、ほとんどの国民が解っているのです。
だからこそ、福島第一原発に関する『政府発表』も『東京電力発表』も、国民からは信用されない。
私はそう思っています。

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【 Q.サカマキが写しだす日本 】 《後編》

ニューヨーカー 10月16日
(写真をクリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

坂巻 8
10月上旬、ニューヨークを活動拠点とする日本人写真家のQ.サカマキ氏が、インスタグラムに一連の作品をアップロードしました。
日本での滞在中、サカマキ氏は東京での通勤風景から、そして相模湾での日本のサーファー文化まで、日本の中心部における日常を写真に撮り続けました。

サカマキ氏はこの20年間、国際的視点から故国である日本の光景を写真に撮り続けてきましたが、今回初めて父祖代々の地、三河地方を旅しました。

今回の撮影に関し、サカマキ氏は最初からインスタグラムの事が念頭にあったと語りました。
「私は撮影の際、用途によってフイルムとレンズを使い分けるようにしています。」
そしてインスタグラムで発表されている写真を見ていると、他では得られないひらめきが得られるのだと語りました。
そして彼自身、実験的作品の撮影を試みる、前向きな気持ちがわいてきたと付け加えました。

三河地方の寺院とサカマキ氏の母親(写真上)

  三河地方の農民(写真下・以下同じ)
坂巻 9
  京都・嵐山の桂川
坂巻 10
  湘南海岸、七里ケ浜。
坂巻 11
  湘南海岸、七里ケ浜。
坂巻 12
  嵯峨野から京都市内を遠望する
坂巻 13

【 大型の台風の通過、あふれ出した高濃度汚染水 】

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これまでいやという程繰り返されている過失、悪化する一方の事態
その場しのぎの対策が後の問題を作り出す、変わらない愚劣な繰り返し

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 10月21日


破壊された福島第一原子力発電所の事故収束にあたっている東京電力は、汚染水の漏出を止めるための擁壁の内側に19日来降り続いた雨が流れ込んだため、汚染されてしまったと発表しました。
この擁壁の各所で汚染水があふれ出したと見られ、一部は太平洋に達した可能性があります。

これは福島第一原発の事故収束・廃炉作業において、これまでいやになる程繰り返されてきた過失、そして悪化する一方の事態の最新のものでした。

東京電力によれば豪雨による雨水は20日曜日、人の足程の高さの汚染水貯蔵タンク群を取り囲むように作られた、コンクリート製の擁壁の内側に溜まりました。
福島第一原発の施設内で汚染水漏れの事故を繰り返し、東京電力に対する世論の厳しい批判の高まりを受け、東京電力はこの擁壁を建造しました。

汚染水タンク01
しかし20日曜日、この擁壁は汚染された場所に雨水を溜めこむダムの働きをしてしまいました。
建造した擁壁のうち、11か所で汚染された雨水が擁壁の高さを超え、外に溢れだしました。
あふれ出した水は付近の側溝に流れ込み、福島第一原発の専用港の外側の太平洋にまで流出してしまった可能性があります。

豪雨の後、東京電力は水があふれ出した場所で水質検査を行いましたが、6か所で1リットルにつき10ベクレルの規制値を超える放射性ストロンチウム90が検出されたことを明らかにしました。
汚染が最もひどい場所では、制限値の71倍の放射性ストロンチウム90が検出されました。

専門家によればストロンチウム90は人体に入ると骨に蓄積し、白血病を引き起こす恐れがあり、今回の流出が懸念されます。

東京電力はこれまでなぜ、地面のいたるところで放射性ストロンチウム90が検出されるのか明らかにしていませんが、一番疑われるのはやはり2011年3月に発生した一連の爆発事故です。

もう一つ疑問なのは、20日日曜日の降水量については、日本の気象庁は約10センチと公表していたにもかかわらず、人間の足程の高さがある擁壁から水が漏れ出してしまったのか、という点です。
21日月曜日になって東京電力は、最も『ありそうな』説明を行いました。すなわち前の週に東日本を通過した台風がもたらした雨により擁壁内にはすでに水が貯まっていて、そこに今回の豪雨が加わったため、水が溢れだしたという説明です。

NRC Barett
東京電力は排水溝の水をいったん貯水タンクに入れ、放射性物質の検査を行った後、海洋に放出するよう、設備を整えました。
しかしこの際に使用する揚水ポンプは、台風などによる大量の雨水を処理しきることはできず、このため高い場所では水位が20センチを超えるほどになった雨水が溢れだした、東京電力はこう説明しました。


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【 事故から2年半、深刻さを増す福島第一原発の汚染水問題 】

チコ・ハーラン / ワシントンポスト 10月23日

http://www.washingtonpost.com/posttv/video/thefold/toxic-water-slows-japan-nuclear-cleanup/2013/10/23/f4d9c884-3c2c-11e3-b6a9-da62c264f40e_video.html
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【 Q.サカマキが写しだす日本 】 《前編》

ニューヨーカー 10月16日
(写真をクリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

坂巻 1

10月上旬、ニューヨークを活動拠点とする日本人写真家のQ.サカマキ氏が、インスタグラムに一連の作品をアップロードしました。
日本での滞在中、サカマキ氏は東京での通勤風景から、そして相模湾での日本のサーファー文化まで、日本の中心部における日常を写真に撮り続けました。

サカマキ氏はこの20年間、国際的視点から故国である日本の光景を写真に撮り続けてきましたが、今回初めて父祖代々の地、三河地方を旅しました。

今回の撮影に関し、サカマキ氏は最初からインスタグラムの事が念頭にあったと語りました。
「私は撮影の際、用途によってフイルムとレンズを使い分けるようにしています。」
そしてインスタグラムで発表されている写真を見ていると、他では得られないひらめきが得られるのだと語りました。
そして彼自身、実験的作品の撮影を試みる、前向きな気持ちがわいてきたと付け加えました。

  東京の中学生(写真上)

  東京ゲート・ブリッジ(写真下・以下同じ)
坂巻 2
  東京オペラシティタワー
坂巻 3
  東京の朝のラッシュアワー
坂巻 4
  東京の朝のラッシュアワー
坂巻 5
  東京、歌舞伎町のホステス
坂巻 6
  鎌倉、鶴岡八幡宮の七五三
坂巻 7

【 原発廃止への本格的議論開始のきっかけとせよ – 小泉元首相の方針転換 】

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国会事故調査委員会報告書に基づく本格的議論は、未だに果たされていない
いま議論すべきは小泉氏の功罪では無く、原発廃止の是非についてである

編集委員会 / ニューヨークタイムズ 10月14日

Koizumi2
「日本の原子力発電所をゼロに!」
この呼びかけとともに、在任中高い支持率を誇ったかつての日本の首相、小泉純一郎氏が再び檜舞台に返り咲きました。
その大胆な方針転換は、国内にある原子力発電所のできるだけ多くを再稼働させ、あまつさえ日本製原子炉の輸出を促進させようという同じ自民党の安倍晋三首相の姿勢に疑問を呈することになりました。
小泉氏は、これ以上日本で原子力発電を続けることには将来性が無く、そもそも無責任であると考えます。

日本はその未来のため、この小泉氏の方向転換を有効に利用する道を模索すべきです。
発生から2年半が過ぎた福島第一原発の原子力発電所事故、こうした事故が二度と起きないよう、建設的な議論を始めるべき良い機会とすべきです。

先に国会は福島第一原発の事故について、独立の事故調査委員会を組織、委員会は今回の事故について『人間の手により作りだされたものである』と結論する報告書を作成しました。
ところがこの報告書について、肝心の国会ではほとんど議論らしい議論も無いまま、過去に追いやられてしまいました。

再稼働反対0620
小泉氏の方針転換は各方面に波紋を広げていますが、これは与党内にもさまざまな意見がある事を示唆するものです。
2001年から2006年にかけ、民間主導の規制緩和・自由化を推進した首相として、彼は『安価でクリーン』な原子力発電の熱心な支持者でした。
小泉氏は、原子力発電は今や最も金のかかる発電手段であると断言しています。
そして福島第一原発の事故収束・廃炉作業には数十兆円に上る費用を必要とするだけでなく、核廃棄物を処理するためにはいったいどれだけの費用が掛かるのか、全く不明な点を指摘しました。

さらに小泉氏は、経済成長を実現するためには原子力発電が必要だと主張する現政権の考え方も批判しています。

この国の政治的な風向きを読み取るのに非常に鋭敏な感覚を持っていた小泉氏が、ここに来て原子力発電所ゼロの主張を行っていることにより、15年続く経済停滞から今なお脱しきれずにいる日本において、原子力発電の全面廃止に向けた大きなムーヴメントが盛り上がる可能性があります。

福島第一原発の事故が発生してしまった現在、停止中の原子炉を再稼働させるためには、日本の原子力発電に対する国民の揺るぎない信頼が必要です。

120915
しかしもはや原子力発電に対する揺るぎない信頼などは存在しません。

世論調査によれば、安倍政権の支持者の間でさえ、大多数の日本人が原子力発電の継続に反対しています。
そして先週行われた世論調査によれば、調査を受けた日本人の76パーセントが、福島第一原発の現状について「コントロールされているとは思わない」と回答しています。

日本政府はこれ程の規模の地震と津波が襲ってくることは二度と無いだろうと考えています、千年に一度の出来事だったのだと。

その一方でこれから30年以内に、より人口が稠密な地域である本州中部から西日本にかけ、巨大地震と巨大津波が襲う可能性が60%から70%であると見積もっています。
そして東京から九州に到るその沿岸部には、原子力発電所が点在しているのです。

安倍首相は経済の停滞から日本が抜け出すためには、まず何よりも心理的にデフレ意識を捨て去ることが大切だと強調してきました。
確かにそうした心理状態を国家的規模で作りだすことが出来れば、停滞する経済からの脱出が可能になるかもしれません。

082402
この点について、小泉元首相は説得力のある論旨を展開しています。
もし政府与党である自民党が、原子力発電ゼロの日本を実現に向け動き出すことを表明すれば、
「日本の社会は世界にも例の無い、再生可能な社会を築き上げるという目標の下に、一致団結することが可能である。」
そして国民の意識は、すぐにでも前向きなものになるだろう、と。


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私も小泉政権の『際限もない自由化』がもたらした結果には一言も二言もあります。
しかし今はまず、原子力発電を止める議論をもっと活発に行う事の方が大切ではないでしょうか?
誰が議論のきっかけを作ったかは問題ではないと思います。
結果として日本の原子力発電を止める、それこそが目標であるはずです。

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【 原因不明の難病・奇病、疑われる遺伝子組み換え農園の農薬使用 】

AP通信 / アメリカNBCニュース 10月22日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

arg01
アルゼンチンの農夫ファビアン・トマシは農薬を散布機に入れる際、使うべき防護器具についてはどのような知識も持ち合わせてはいませんでした。
その結果47歳の彼は、生きた奇形骨格の標本のような体になってしまいました。
「私は手袋もマスクもせず、航空機で散布する農薬を何百万リットルも調合しました。 私は、農薬の害について何も知りませんでした。すべてが手遅れになった後、科学者に恐ろしい農薬の害について説明を受けたのです。」(写真下)

arg03
学校教師のアンドレア・ドゥルエッタが暮らす町では、住宅地から500メートル以内の場所での農薬の散布が禁止されているにもかかわらず、彼女の家の裏口から30メートルほどの場所の大豆畑では農薬の散布が行われています。
つい最近、彼女の息子たちが裏庭のプールで遊んでいた際、全身に農薬を浴びせられる出来事がありました。

生まれたばかりの赤ちゃんを腎不全で失ってしまったソフィア・ガルティカは、原因を探るうちに、違法な農薬散布の存在に行き当たりました。
しかし、検査を受けた近所の子供たちのうち、80%の子供たちの血液の中に、農薬はすでに入り込んでしまっていたのです。

アメリカの遺伝子組み換え技術はアルゼンチンを世界第3位の大豆生産国に押し上げました。
しかしアメリカの化学製品が作り出したブームは大豆畑、綿花畑、そしてトウモロコシ畑の中にだけ留まることはありませんでした。

アルゼンチンの大豆生産の拠点となっているサンタフェ地区のガン発症率は、国内の他の場所の2倍~4倍という高さです。
国内の最貧困地区のチャコでは、バイオ技術による大豆生産が飛躍的に伸びると同時に、悲惨な先天性欠損症の子供たちの数が4倍に激増しました。

「率直に言って、農業生産方法の著しい変化が、病気の世界にも大きな変化を作り出してしまいました。」
こうした子供たちのための医療機関を共同で設立した小児科医のメダルド ・アビラ ・バスケス 博士がこう語りました。
「これまで健康に暮らしてきた人々の間に、突如高率のガン発症、先天性欠損症や難病・奇病の発症が見られるようになってしまったのです。」

多くの臓器に問題を抱えて生まれ、重度の障害者になってしまったカミラ・ベロン、2歳。医師は原因は農薬である可能性が高いと話しています。
カミラが暮らす地区では、大量の農薬が散布され、広域に渡り地下水が汚染されている可能性があります。(写真上)

モンサント社のラウンドアップなどの農薬の空の容器が、アルゼンチンのリサイクル・センターに捨てられていました。
ラウンドアップなどの主要成分であるグリフォセートは、アルゼンチン国内では1エーカー当たり、アメリカ合衆国の8~10倍という量が使われています。(写真下・以下同じ)
arg02
住宅地近くの農地を耕すトラクター。住宅地周辺での農薬の散布は禁止されているが、AP通信の記者はトラクターの中に大量の農薬が積まれているのを目撃しました。
arg04
バイオ工学大豆農園の敷地近くで、パチンコで遊ぶ少女たち。
アメリカ合衆国セントルイスに拠点を置くモンサント社が特許を持つラウンドアップの使用により、大豆、綿花、トウモロコシなどの作物の収量が飛躍的に増大すると約束してから17年になるアルゼンチン。
農薬の使用量は増え続け、農業省によれば1990年の900万ガロンから今日8倍となる8,400万ガロンにまで増加しました。
arg05
5歳のアイーシャ・カノの全身には毛の生えた大きなほくろが無数にあり、医師はその原因について説明できずにいます。
医師によれば、このような症状の発現は、農薬の大量散布以前にはあり得なかったと語っています。
arg06
チャコ地区で暮らす双子の姉妹のうち、右側のエリカは慢性呼吸器疾患を患っています。家には水道水がありません。
arg07

【 見えてきた危険な未来、急落する現場の士気 – 福島第一原発 】《第3回》

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東京電力が日本政府に求めるのは、金を出すこと、口を出すことでは無い
国際社会への支援要請、東京電力にとっては単なるパフォーマンス

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 10月15日

2011年6月18日

2011年6月18日


労働者不足、そして繰り返される事故という現実に直面し、東京電力にはこの数週間、海外の専門家による支援をもっと積極的に受け入れるよう圧力がかかっています。

10月の初め、安倍晋三首相は京都で開催された国際科学会議の席上、こう語りました。
「日本は、みなさんの専門的知識を必要としています。」

一見、福島第一原発の事故収束・廃炉作業を国際社会にオープンにしたとも取れるこの発言ですが、ロンドンに拠点を置き、環境中の放射性物質の問題などに関するコンサルタントを独自に行っているイアン・フェアリーは、日本はその基本姿勢を変えるつもりは無いと語りました。
「日本の原子力関係部局は、国際社会に対して支援を求めています。『これは深刻な危機です。問題の解決のため、支援をお願いします。』しかし東京電力と日本政府にはそんなつもりは無いはずです。

東京電力は自社の事故収束・廃炉作業の遂行能力に揺るぎない自信を持っており、たとえ解決に向け大きく前進できる技術であっても、それを外部から受け入れるつもりなどありません。
例えそれが日本政府の官僚によるものであっても、この点を譲るつもりはないのです。」

2013年9月12日

2013年9月12日


「東京電力は何もかも他人抜きでやる、そういう企業なのです。」と、最近14年間勤めた東京電力を辞めた吉川明宏氏がこう述べました。
「東京電力は政府が介入して来て、あれこれ指示をすることなど受け入れるつもりはありません。欲しいのは政府の資金だけなのです。」

吉川氏は事故直後は世間の批判に対して反発を覚えていた彼の同僚たちも、国内外からものすごい量の東京電力に対する批判が積み上がっていくのを見て、いつしか落胆を覚えるようになり、その結果若い社員たちは会社を去り、定年を控えた社員たちは早期退職の途を選ぶようになったと語りました。
「命がけで働いていた社員たちも、自分たちがまるでいじめられていように感じていました。」

Jビレッジへのバス待ちの列
「東京電力は技術的問題を解決することにばかり資金を集中させようとしていますが、現場で実際に作業を担当する人員も同様に大切なはずです。」
「私は、現場の作業員の不足について非常に心配しています。早くこの問題を何とかしないと、福島第一原発は施設の崩壊の前に、作業体制が崩壊することになるでしょう。」

下請け、孫請け会社によって日本全国から雇用され、福島第一原発の現場で危険で、文字通り骨の折れる作業を担当する数千人の非正規従業員にとって、もし致死量の放射線を浴びるようなことになった場合には相応の報酬を受け取ることが出来るだろうという思いは、ものの見事に裏切られることになりました。

宿泊設備に寝泊まりするための『経費』を差し引かれた後に、彼らの手元に残るのは一日あたり2~3前円というのが相場です。
中には、零細な下請け企業が、そのまま受け取れば日給の半分程度の額になる危険手当をピンハネしていた例もありました。
この指摘に対し、下請け企業は事業を継続させるための運転資金が必要なのだと抗弁しました。

粗末な報酬は多くの作業員に福島第一原発の現場を去り、周辺地区の除染作業員として働く道を選ばせることになりました。
受け取る報酬は同額でも、放射線被ばくの危険性ははるかに低いのです。

120913
「福島第一原発の現場作業を実際に行っているのは、汚れ仕事を担わされている下請け会社をつれた、大手ゼネコンなのです。」
吉川氏がこう指摘しました。
「彼らは談合して東京電力との契約金額を釣り上げる一方で、下請け企業への支払いはできるだけ少なく留めようとします。下請け企業は労働者には安い賃金しか支払えないのです。」

福島第一原発の南にあるかつてのサッカー総合運動施設、Jヴィレッジで暮らす東京電力作業員の生活環境は、最近になってやっと改善されました。

事故発生から約2年の間、Jヴィレッジの敷地に建てられたプレハブ方式の簡易宿舎では、夜間共同トイレに行くまで、数百メートルの距離を歩かなければなりませんでした。
事故を起こした経営陣の後任として社長に就任した広瀬尚美氏が、施設の不備が作業員たちが健康を損なう一因となっているとの専門家の指摘を受け、東京電力は今年になってやっと遅ればせながらも各部屋ごとにトイレを設備したのです。

東京電力・広瀬
「東京電力本社の役員たちの頭の中には、福島第一原発の現場の作業員がどういう暮らしを強いられているかということについて、どういう考えもほとんどありません。」
愛媛大学の谷川教授がこう語りました。
「被災者に対する補償をどうするかという事で彼らの頭の中はいっぱいになっており、補償がまだ済んでいない補償者への対応を怠ったとして追及される事態だけは避けようとしているのです。」

しかし、来月には着手予定の4号機の使用済み核燃料プールから1,300個の使用済み核燃料ユニットを取り出すという最も危険な作業を前に、果たして東京電力にはその作業を無事故で進める能力があるのかという、深刻な懸念が高まっています。
そうした中で、現在進行している作業員の危機的状況の問題はほとんど無視されたままです。

毎月一度現場を訪れ、作業員に服薬指導などの健康管理を行うチームを率いる防衛大学医学部の重村氏は、作業員が24時間利用できる産業カウンセリングの態勢が未だに福島第一原発内には整備されていない点を指摘しました。
「この事実に、私は驚かざるを得ません。」
「今、現場で働いている人々は、自身の健康について心配すると同時に、将来ここでの作業が原因で発病した際に、東京電力が補償に応じかどうかについても懸念しています。」

街頭抗議
「彼らは自身の健康と命を危険にさらしているのです。しかし、数年の内には使い捨てられてしまうのではないか、その事を絶えず気に病んでいなければならないのです。」

〈 完 〉

http://www.theguardian.com/environment/2013/oct/15/fukushima-nuclear-power-plant-cleanup
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この記事を読んでいると、東京電力の現在の『低姿勢』は、ただひたすら世の批判をかわすための『擬態』に過ぎないのか、と思ってしまいます。
現場で懸命に危機と戦っている『人間たち』に、感謝も何も無い。
その事実が証明しているのではないでしょうか?

勝手ながら、明日10月25日(金)は休載日とさせていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い致します。

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【 福島第一原発の作業員、危険な状況と低過ぎる報酬を告発 】

ポーラ・ハンコックス / アメリカCNNニュース 10月21日

【 見えてきた危険な未来、急落する現場の士気 – 福島第一原発 】《第2回》

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着実に増え続ける作業員の累積被ばく線量
東京電力の優先課題はまずは金銭、現場の安全では無い
専門知識を持たない東京電力と大手ゼネコンが重要な役割、結局は苦しむ羽目に

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 10月15日

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東京電力の文書は2011年3月から2013年7月までの間、138人の従業員の累積被ばく線量が100ミリシーベルトに達したことを報告しています。
さらに331名の累積被ばく線量が75mSv以上100mSv以下の値に達し、彼らが福島第一原発内で働ける時間のタイムリミットが近づいていることを表しています。
伝えられるところでは、これら累積被ばく線量が限界に近づいている人々は、他の原子力発電所に異動されるか、あるいはいったん離職し、しばらくたってからから再び福島第一原発の現場に戻るよう依頼される場合があります。

しかし、妻や子供、家族が暮らす場所の近くに職を得た人々、あるいは消耗しきってしまった人々、これ以上のストレスに耐えきれなくなった人々が現場を去っていきました。
「彼らは今後10年以内に無くなってしまうかもしれない会社で働き続けることに不安を感じ、これ以上福島第一原発の現場に留まる意義について答えを見つけられなかった人々なのです。」
福島第一原発の作業員を対象に精神医療を行うチームを率いる、重村淳防衛大学医学部講師がこう語りました。

福島第一原発の現場にとどまった労働者達は、ここの所立て続けに起きている放射能漏れや汚染水漏れ、あるいは汚染水をもろに浴びてしまうような事故が続くことにより、被ばくする機会が一層多くなり、被ばく線量が増え続ける危険を冒している、そう認識しています。

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今年始め東京電力は(東京電力職員、下請け企業職員を合わせて)1,973人の福島第一原発の作業担当者が、100ミリシーベルトを上回る甲状腺被ばくをしてしまったと公表しました。

「これらの労働者はその生涯において、発がんリスクが少し上昇する可能性があります。」
ロンドン大学インペリアル・カレッジの分子病理学を専門とするゲリー・トーマス教授がこう語りました。
「100ミリシーベルトは、大規模な疫学的調査を行う際、ガン発生率に大きな変化が起きる目安として使われる被ばく線量です。調査対象の数が小さいとその変化は微細なものなってしまうため、調査対象を大きくしなければならないのです。」

トーマス教授はさらにこう続けました。
「しかしわたしはむしろ、現地で働く人々については、喫煙量の増加、放射線被ばくに対する恐怖から極度のストレスにさらされていることの方をはるかに心配しています。その事の方が彼らの健康にとっては、より大きな脅威になり得るからです。」
トーマス教授やその他の専門家は、甲状腺の被ばく線量の増加が直ちにガンの発症率の増加につながると早急に結論を出すことに対して異論を唱えていますが、国際社会から注目を浴び続けているにもかかわらず、その過酷なスケジュールが福島第一原発の現場で働く人々の健康に悪影響を与えていることは否定できません。

「私は、特にうつ病とアルコール中毒についてとりわけ心配しています。」
こう語るのは愛媛大学大学院医学系研究科の公衆衛生学・健康医学を専門とする谷川武教授です。
「私は身体的苦痛、そして心的外傷後ストレス障害の典型的な症状を数多く確認しました。」

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臨時雇用の下請け作業員の多くが、福島第一原発周囲の避難区域の南に位置する温泉地帯、湯元などの料金の安い宿泊施設で暮らしています。
これらの旅館やホテルの経営者からは、飲んで暴れる作業員についての苦情が寄せられていましたが、そんな中、昨年一年間で作業員の数は減少して行きました。
最近では福島第一原発の作業員は、小名浜港近くのバーや風俗営業の飲食店に数多く集まるようになりました。

匿名を条件に取材に応じてくれた42歳の下請け作業員は、今、福島第一原発の作業員の間でアルコール中毒が蔓延しつつあると語りました。
「前の晩に大量のアルコールを飲んで、翌日震えながら現場にやってくる作業員を、私はたくさん知っています。夏の間は、二日酔いで現場にやって来て、熱射病で倒れた作業員を何人も目撃しました。」
「作業員の間のコミュニケーションはよくありません。いつも職場のボスの事ばかり気にしています。新入りは同僚たちからさげすみの目で見られ、現場に来ても何をどうしていいのか、まるで分らない新人もいるのです。」

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もう一人の労働者、彼も匿名を条件にこう証言しました。
「二日酔いで現場に来たと思ったその数分後には、熱射病で倒れてしまった作業員がいたよ。」

現在は引退している、かつて福島第一原発の原子炉建設にも参加したゼネラル・エレクトリックの技術者の中行輝さんが、長期的に見て東京電力とその関係会社は、充分な知識を持った技術者を廃炉が完了するまで確保できるかどうか、難しい局面に立たされていると語りました。

「今ですら十分に訓練された人材が、福島第一原発では不足しています。」
中さんがこう語りました。
「東京電力にとって、最優先課題は金銭です。原子力に関する確かな技術、そして安全は二の次三の次なのです。だからこそ事故が発生したのではありませんか?
東京電力の経営陣何としても会社を存続させる、そればかり主張しています。
彼らの眼中にあるのは株主、債権者の銀行、そして日本政府なのです。福島の被災者の方々のことなど考えていません。」

福島第一原発の南にあるいわき市で会社を経営する中さんは、これまで東京電力に対し技術提供を行ってきました。
中さんは原子力発電所の事故収束・廃炉作業について、必要な専門知識を持っていない東京電力と大手ゼネコンが重要な役割を担ってしまったために、結局は苦しむ羽目になっていると指摘しました。

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「従業員の多くが、こうした状況の中で働いた経験を持ってはいません。だからこそ四六時中作業員の被ばく線量が上がり続けているのです。」
中さんがこう指摘しました。
「再び現場に入って一線で働く意思表示をした退職者を再雇用するよう、私は東京電力に提案しました。
しかし経営陣はこの提案を拒否したのです。」

〈 第3回につづく 〉

http://www.theguardian.com/environment/2013/oct/15/fukushima-nuclear-power-plant-cleanup
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ブエノスアイレスでオリンピックのメダリストたちが飛び上がっている写真を見て、複雑な思いに駆られました。
今回ご紹介した記事で取り上げられている、福島第一原発の現場で働く人々。
私たちにとって、本当のヒーローはどっちのかと…

福島第一原発の現場で働く人々について、国際社会、なかんずく国際メディアの評価と国内報道の扱いにこれほど差があるのはなぜなのでしょうか?
やはり『格差』なのでしょうか?
それとも、マスコミが触れてはならない日本の『暗部』がそこにあるからでしょうか?

もう一度、自分が翻訳した[人間を!使い捨てる!東京電力・福島第一原子力発電所](‪ http://kobajun.biz/?p=11259 ‬)を読み返そうと思っています。

【 見えてきた危険な未来、急落する現場の士気 – 福島第一原発 】《第1回》

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第一線で働く作業員たちの、体と心をむしばむ健康問題
危機の最中、現場の作業員の報酬まで引き下げた東京電力
これから先を思うと暗澹たる思い – 内部関係者の証言
頼られることばかりが多く、報われることは少ない福島第一原発の現場労働

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 10月15日

現地の視察を行う安倍首相

現地の視察を行う安倍首相


放射線防護服に身を固め、フルフェイスのマスクと固いヘルメットとを着用した安倍首相は、居並ぶ作業たちを前に、断固とした口調でこう語りました。
「日本の将来はあなた方の双肩にかかっています。」
「あなたたちが頼りです。」

安倍首相の直近の福島第一原発の訪問において、この激励を聞くことができたのは緊急司令室内の少人数の要員だけでした。
しかしこの激励は、3基の原子炉がメルトダウンして3年近くが経った世界で最も危険な産業事故現場、福島第一原発内の第一線の現場で働く約6,000人のスタッフ、技術者、エンジニア、ドライバー、そして建設作業員全員に向けられたものでした。

あらゆる難題が積み重なり、次から次へと新たな問題や放射性物質の漏出事故が持ち上がる福島第一原発の現場では、彼ら実際の作業にたずさわる人々が深刻な士気の低下、健康上の問題、そして将来への不安に苦しんでいます。
内部関係者に対するガーディアンの取材が、これらの問題の存在を明らかにしました。

福島第一原発の事故収束・廃炉作業はまだ始まったばかりですが、最低でも40年はかかると見られているその作業の取り掛かり段階で、早くも危険な作業に従事する資格を持つ要員不足の問題に直面しています。

汚染水配管
汚染水の浄化装置の作業を行っていた作業員男性6名が、高濃度汚染水を浴びてしまう事故が発生、約900名の東京電力職員と約5,000人の関連会社・下請け会社の従業員が直面させられている問題が浮き彫りになりました。

今回の事故では全員が防護服と防水服を着用していたため、東京電力によればただちに健康被害に見舞われる事態にはなりませんでした。
しかし一方では、2011年3月の原子炉のメルトダウン以来続いている事故収束・廃炉作業が、いよいよ最も危険な段階に入りつつあることを示す事件となったのです。

一連の汚染水漏れ事故に触れ、原子力規制委員会の田中俊一委員長はこうコメントしました。
「不注意によるミスは、往々にして士気の低下と関係がある場合があります。」
「ポジティブな環境で前向きな気持ちで働いている時、人間というものは不注意によるミス、明らかな間違いは行わないものです。福島第一原発で最近人為的ミスが多発する背景には、こうした環境の欠如があるものと、私は考えています。」

ここに来て福島第一原発では放射能汚染水の漏出、そして放射性物質の漏出が立て続いて発生し、これに伴って作業現場の放射線量も増大し、作業に取り組む労働者の精神状態、そして東京電力一社が事故収束・廃炉作業にあたっていることへの懸念を引き起こしました。

101312
定期的に作業現場を訪問し、カウンセリングなどを行っている医療チームの知見に基づけば、チェルノブイリ以来最悪の原子力発電所事故を起こした日本に対し、国際社会からは事故収束・廃炉作業の確実な進展を明らかにするようプレッシャーがかかり続けているにもかかわらず、繰り返し悪いニュースばかりが報じられる現状が、作業にあたる人々の精神を蝕んでいます。

福島第一原発の作業員のカウンセリングを行っている精神医療チームを率いる、防衛大学医学部講師の重村淳氏がこう語りました。
「この6カ月、福島第一原発では状況はほとんど進展がありませんでした。」
「東京電力は事態を打開するために最善を尽くしてきましたが、状況は相変わらず厳しいままなのです。」

重村氏は福島第一原発の作業員の70%が、メルトダウンの発生により家族を避難させなければならない状況に陥っていることを一番に懸念しています。
作業員自身もまた失ったものを回復するには至っておらず、家族から離れて、臨時の簡易宿泊施設での不自由な暮らしを強いられているのです。

作業員自身が今回の3重災害 – 地震・津波・原発事故の被害者なのです。
「作業員たちは津波の被害と原子力発電所の爆発事故により、精神的外傷を負っています。しかも自分たちが被災者としてどれだけの被ばくをしてしまったのか、全く分かっていないのです。」
重村氏がこう指摘しました。
「そのことが深刻な結果として現れています。彼らは絶望感、意欲の喪失、そしてアルコール依存症などの慢性症状に苦しんでいます。」

NBC20
精神的に追い詰められている彼らの状況は、雇用主である東京電力が次々に持ちあがる問題の対応に追われ、将来が危うくなっていることにより、さらに悪いものになっています。
東京電力は福島第一原発において悪化が続く汚染水問題を解決するよう、国内外で高まる世論の圧力を受けています。
こうした事態を受け、日本政府は約500億円を拠出し、直接事故の収拾に乗り出さざるを得なくなりました。

能力のあるなしに関わらず東京電力は、先に安倍首相が国際社会に公約したように、オリンピックが開催される2020年までに何としても汚染水の漏出を止めなければなりません。
しかし福島第一原発における作業員の不足は、それに対する最大の障害になっています。

東京電力はその事故収束作業の内容に対する批判の矛先をかわし、膨れ上がる事故収束のための費用を圧縮するため、2011年にすべての従業員に対し20%の減給を求めました。

当時37,000人の従業員がいた東京電力から、2011年4月から今年2013年6月にかけ、1,286人が会社を去りました。
一方では、2012会計年度と2013年には一人の採用も行いませんでした。

東京電力社員
東京電力の広報担当である吉田まゆみ氏によれば、東京電力は2014年4月、新たに331人の採用を予定しています。
「優秀な人材が昇進し、非生産的な社員は降格される、こうした人事が素早く実現されるシステムに体制が変更される予定です」
吉田氏がこう語りました。

しかし、経験豊かな有能な社員や作業員が被ばく限度利用に達してしまい、現場を去らなければならない状況については、東京電力は今のところどうすることもできないのです。

〈 第2回につづく 〉

http://www.theguardian.com/environment/2013/oct/15/fukushima-nuclear-power-plant-cleanup
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今日から3回に渡り、ガーディアン(英国)紙に掲載されたジャスティン・マッカリー氏の福島第一原発の作業員に焦点を当てた記事をご紹介します。
同氏はこれまでも何回か福島第一原発の作業員に関する記事を書いてこられましたが、いずれもが読み応えのある、内容の深いものでした。

今回も読んでみて、心の重くなる厳しい現実について描写しています。
避難民、作業員、4号機の使用済み核燃料、汚染水…
福島第一原発の現実はいずれもが心が重くなる話題ばかりです。

しかし、4号機の使用済み核燃料の問題を除けば、真正面からの解決に取り組み、本来行うべき事をすれば、前進・改善は可能なはずなのです。

なのに「福島第一原発の事故収束 - 業界利害を優先し、危険な状況に追い込んでいる」(ニューヨークタイムズ - http://kobajun.biz/?p=11016 )のです。

『進行中の福島の危機』、本当は何が起きているのか《第5回》

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汚染水問題、事故直後から今日の状態を、誰もが予見できたはず
いずれ事故は免れない、その場所で1~4号機は稼働していた
『生き残った』原子炉5号機、6号機が証明している事とは…

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 10月3日
(ビデオ / 17:00~終了)

これから東京電力が行おうとしている対策は、原子炉・タービン建屋群の地下に、大量の、一日あたり400トンという量の地下水が流れ込んでいることに起因するものです。
東京電力は1~4号機の周り全てに遮水壁を巡らそうとしています。

配管を巡らせて敷地の周囲に冷却溶剤を流し込み、地面を凍結させ、地下水の流れ込みを遮ろうとする計画を実施しようとしています。
この凍土壁は遮水壁と名づけられました。
計画通りに進めることができれば、2.5キロ以上に渡る遮水壁が出来上がることになります。

しかしその遮水壁が、想定通りの効果を発揮するかどうかは保証の限りではありません。
まずこれほど大規模に地中を凍結させるという事業が、実際に行われたことが無いのです。
次に、仮に凍土壁=遮水壁の造成に成功したとしても、底の部分が開いているために将来再び汚染水漏れが発生する可能性があるのです。

そしてその遮水壁も完成までには2年の月日を要し、それまでは現在と変わらず汚染水が太平洋に流れ込む懸念が続くことになります。

著作
凍土壁の問題を検証していて、思い出したことがあります。
私が福島第一原発の事故発生後、その年のうちに出版した著作[福島第一原発 - 真相と展望 (集英社新書)]についてお話したいと思います。
2年前のその時点で、この福島第一原発の敷地の汚染は、充分に予見が可能でした。
なぜなら事故発生直後の4月には、福島第一原発の管理者である東京電力はすでに増え続ける汚染水の問題に直面していたのです。

これら建屋群の地下部分がいずれ浸水してしまうだろうことは、誰にでも予見できたことなのです。

私は上記の著作の中で、建屋群の山側、すなわち水が流れ込んでくる側にゼオライトを敷き詰めた排水溝を掘る必要性について述べました。
私がこうした対策が必要だと判断した理由は、福島第一原発の敷地内に流れ込む地下水を汚染させずにそのまま海に流してしまうこと、すなわち放射性物質が海に流れ出さないようにするためでした。

この原子力発電の地下部分をバスタブだと考えてみてください。
このバスタブには栓がされており、水を排水できないようになっています。
このバスタブに水が貯まり続けているため、東京電力はこれ以上水が入らないよう、バスタブよりも背の高い壁を築こうとしているのです。

01 Spiegel
私が考える対策は違います。
私はこのような高い壁は作りません、栓を外すのです。

私が考える対策の要点は、水が海に流れ込むのを防ぐことではありません。
要点は、流れ込む地下水を汚染させない事です。
もし2年半前、汚染のひどい建屋群がある場所を迂回するようにゼオライトを敷き詰めた排水溝を作っていれば、福島第一原発の技術者たちは丘陵地帯から流れ込む地下水を、汚染されないまま海に放水することが出来たはずです。

しかし今ではもう手遅れです。
地下水は汚染されてしまいました。
福島第一原発の敷地内で地下水をくみ上げれば、汚染された水があふれ出すことになります。

東京電力が行おうとしている地下凍結による遮水壁、それが想定通りの効果を発揮するかどうか、私たちはその目撃者になることになります。

それでは最後に福島第一原子力発電所の現状について、改めて総合的な観察をすることにしましょう。
今回のお話を始めるに当たり、私は福島第一原発の1~4号機をどこにどのように建造するかの決定を行ったのはアメリカの企業、ゼネラル・エレクトリックとEBASCOという名前の会社の技術者たちであったことをお伝えしました。

福島第一原発全景
そして少し離れた場所に原子炉5号機と6号機があります。
この2基は1~4号機と同じ場所にはありませんね?
海岸線から離れた場所に建造されました。
しかも物理的にも高い場所にあります。

そうです。
東京電力は解っていたのです。
ゼネラル・エレクトリックの1~4号機の設計が誤りであったことを。

1~4号機はまるでカーボンコピーのように同じ場所に作られました。
しかし原子炉5号機と6号機は海岸線から充分離れた場所に、しかも1~4号機と比べ、約3メートル高い場所に建造されました。

その結果、2011年3月、津波が福島第一原発を襲った際、1~4号機と5号機6号機の運命は全く異なったものになったのです。
5号機と6号機については、著しい損傷というものは発生しなかったのです。

つい最近、日本の安倍政権は5号機と6号機についても、廃炉は免れないとする意思表示を行いました。
実際に5号機と6号機の周辺においても高い放射線量が計測されています。

福島5・6号機
しかしメルトダウンが進行したり、爆発が起きたりはしませんでした。
ほぼ建造された状態を保っており、廃炉などの作業も計画的に進めることが出来るはずです。

日本の技術者たちは1~4号機の誤りに気づいたからこそ、5号機と6号機は海岸線から離れた、もっと高い場所に建造したのです。

〈 完 〉

http://fairewinds.org/media/fairewinds-videos/tour-fukushima-daiichi
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全編を訳し終わり、ガンダーセン氏の慧眼に改めて感服しました。
東京電力による福島第一原発の事故収束・廃炉作業が、世界中から何度も批判されながら、なぜこうも場当たり的な、その場しのぎの対策を繰り返しているか、その理由がわかったような気がします。

「原子炉1~4号機については、そもそもの基本が間違っているのだ…今さら何をしたところで、根本的な解決は不可能なのだ。」
そのような絶望にも似た思いがあるのではないでしょうか?
そのような原子炉はできるだけ早く使用を止めるべきであったはずが、結局は事故を起こすまで会社ぐるみ、いや日本の原子力行政ぐるみ気づかないふりを続けてきたのだと思います。
しかし、5号機、6号機が『生き残った』ことが、何よりも雄弁にその事実を物語っている…
ガンダーセン氏の今回の指摘で、その事がよくわかりました。

そして「2年半前ならまだしも、今はもう手遅れ」という指摘。
日本は「水蒸気の中に浮かぶ島」だという事を思い出しました。
一年中、至る所多量の雨が降る従っていったん土壌が汚染されると、その汚染が際限も無く広がっていくということになってしまう。

このように考えると、日本という国は地震と津波だけでなく、その気象条件からも、「原子力発電をやってはいけない国」なのではないでしょうか。

長い文章におつき合いいただき、お疲れさまでした。
文章中、論理的に誤っていたりすれば、原文では無く、私の翻訳によるものです。
明日21日(月)は新規掲載をお休みします。
よろしくお願い致します。

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【 50年経っても色あせない、ベトナム戦争記録写真の衝撃 】

アメリカNBCニュース 10月16日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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AP通信のカメラマンたちは、ベトナム戦争の事実を象徴する写真を世に送りつづけました。
このたび出版された写真集『ベトナム 戦争の真実』(AP通信社)にはそうした写真が多数掲載され、未だに大きな説得力を持っています。

たった一枚の写真が、内臓をぎゅっとつかまれたような衝撃を与えることがありますが、この写真集には有名なもの、そうでないものを含め多数掲載されています。
その時、フォトジャーナリストが撮影しながら受けた衝撃が、50年を経た今もそのまま伝わってくるような説得力を持っています。

1966年1月1日、ベトコンのテト攻勢の猛攻撃を逃れ、泥水の貯まった水路に身を隠す家族。(写真上)

vet02
自らも目を負傷した衛生兵が、負傷した軍曹の手当てを続けながら、一瞬空を見上げています。1966年1月30日に撮影されたこの写真は翌2月ライフ誌の表紙を飾り、その年のロバート・キャパ・ゴールドメダルを獲得しました。(写真下・以下同じ)
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ヘルメットに、手書きで『戦争は地獄だ』と書いたバンダナをまきつけていた兵士。1965年6月。
vet04
ベトコンの疑いをかけられた女性が小銃の銃口を押しつけられ、南ベトナム政府軍の兵士に尋問を受けています。1967年11月。
vet05
戦場から兵士の遺体を回収するアメリカ軍のヘリコプター。1966年5月。
vet06
現地のベトナム人のこどもを救い出すアメリカ兵。1966年8月。
vet07
市内の道路に遺棄されたベトコン兵士の射殺遺体、そして足を停めて見つめるサイゴン市民。1968年5月。
vet08
重傷を負った兵士に、懸命の蘇生措置を続ける衛生兵。
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『進行中の福島の危機』、本当は何が起きているのか《第4回》

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4号機の使用済み核燃料の取り出し作業、想像できない程の『危険』
海岸に沿って散乱していた、冷却システムの残骸が物語るもの

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 10月3日

4号機の爆発後、現場に入った東京電力は使用済み核燃料プールの床の部分の強化を行いました。
これは大きな余震が起きた場合、別の大きな懸念がある事を証拠立てるものです。
事故直後の4月、あるいは5月時点に戻って考えると、核燃料プールの床が崩落する危険性があったことは明らかです。

現在4号機建屋は全体に覆いが掛けられた状態になっており、間もなく核燃料の取り出し作業が始まろうとしています。

現在4号機の核燃料は、パッケージに入ったタバコのような状態になっています。
たばこのパッケージが新しいままなら、タバコは一本ずつ簡単に引き抜くことが可能です。
しかしパッケージがひしゃげてしまっていたり、乱暴に引き抜いたりすれば、タバコは引きちぎられてしまうでしょう。
同じようなことが、4号機の核燃料プール内で発生する可能性があるのです。
核燃料の収納ユニットはすでに変形しており、万が一にも核燃料を力任せに引き抜くようなことをすれば、核燃料が破損してしまう恐れがあります。

GRD01
4号機原子炉建屋は爆発によって崩落し、当然ながら最上階にあった核燃料プール内のユニットは変形しました。
ですから4号機核燃料プール内の使用済み核燃料の取り出しが来年いっぱいまでかかるという予定は、別に驚くには値しないのです。

原子炉建屋の右側に排煙塔があるのがお分かりですか?
この排煙塔は現在4号機とつながっています。
そこで作業としては核燃料プールのガスを抜き、フィルターを介して排煙塔から大気中にこのガスを放出することになるでしょう。
その際、再びクリプトンが放出されることになります。
クリプトン85(不活性の放射性ガスで、半減期は10.76年。ウランやプルトニウムの核分裂反応により生成し、核実験や原子炉の中で作られる。燃料棒の再処理の過程で、全量が環境に放出される : ウィキペディア)です。
これは核燃料プールの内部が損傷してしまっている以上、避けられない事態なのです。

こうした作業は、国内の原子力発電所で定期的に行われています。
通常使用済み核燃料プールで行われるのは、排煙塔を使ってガスを吸いだし、大気中に放出する作業です。

第一原発大規模工事
4号機の今後の作業を注視してください。
環境に負荷をかけざるを得ない作業が必ず行われることになると思います。

ともかくも今は、3号機と4号機の使用済み核燃料プールからすべての使用済み核燃料が取りだされるまで、再び大地震が発生しないことを祈らなければなりません。

4号機建屋は3号機に比べると構造的な強度に優れていますが。3号機爆発による破壊によって、危ない状況であることにかわりはありません。
青い色の4号機建屋の地面に近い部分に、内側から押されたようなふくらみが認められます。
青色の部分はコンクリート壁ですが、その上は鉄骨がむき出しになり、先ほど申し上げたようにシアーズ・ローバックで売っている鉄製物置のような強度しかありません。

しかし、その青色のコンクリート部分にも、3~5センチほどのゆがみが出来ています。
これはオイラー・ストラト・バックルといわれる物理現象の第一段階で、原子炉4号機が地震の揺れによって損傷を起こしたものと考えられます。

海側全景
そして海沿いに原子炉建屋とは別の、一並びの建物があります。
これがタービン建屋です。
原子炉建屋と同程度の面積を占めていますが、内部には原子力発電所の安全にかかわるような重要な設備は存在しません。
しかしその建物の基礎部分には、高濃度の核廃棄物で汚染されています。
タービン建屋と海岸線の間には、未だに破壊によるがれきの一部が散乱しています。

実はこれらは津波によって機能を完全に破壊された冷却システムが、元あった場所に散乱しています。

このシステムはディーゼル装置を冷却する働きをするはずでした。
しかし私が以前にも申しあげたとおり、この装置は津波によって水没しなくとも、正常に機能するはずの無いものだったのです。
(散乱していたがれきが、津波到達前にこの装置が地震によって倒壊したしまった事を示唆している限り)海岸線に散乱するこの装置の破片が、すべてを物語っているのです。

〈 第5回・最終回につづく 〉

http://fairewinds.org/media/fairewinds-videos/tour-fukushima-daiichi
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相変わらずガンダーセン氏の指摘は卓抜です。
国内報道だけでは解らなかった、タービン建屋と海岸線の間に散乱する残骸の正体について、初めて理解することが出来ました。

ただクリプトンの問題を扱った段落の翻訳は、いまひとつ解りやすさを欠くかもしれません。
翻訳技術の未熟さによるもので、お詫び申し上げなければなりません。

『進行中の福島の危機』、本当は何が起きているのか《第3回》[フェアウィンズ]

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所要時間 約 6分

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核燃料ペレットが散乱していたはずの3号機周辺、事故直後にブルドーザーで『地ならし』
4号機使用済み核燃料プール内でのメルトダウン、日本破滅へのシナリオ

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 10月3日

さて、3号機の内部でどれほど恐ろしい出来事があったのか、その点も大きな疑問のひとつです。
解っていることは3号機ではデトネーションが起き、この世の中にはデトネーションが作り出す衝撃波に耐えられる原子炉は存在しないという事です。

アメリカの原子力規制委員会は、デトネーションが作り出す衝撃波の問題には触れたがりません。

したがってここアメリカにおけるこの問題の解決のための結論は、問題の存在自体を無視する、という事なのです。

しかしここにはひとたびデトネーションが発生し、衝撃波が作りだされれば原子炉はどうなるのかという、はっきりした証拠が画像として残っています。
原子炉建屋の内側部分では、驚くほど高い放射線量が計測され、外側には爆発によって破壊された核燃料棒の一部であるペレットが散乱していました。

第一大破壊
現在、それらはすべて取り片づけられました。
しかしこの事実が指摘するのは、3号機の使用済み核燃料プールの中身はどうなったのかということに対する深刻な懸念です。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私は3号機についてはこれまで、使用済み核燃料プール内で臨界が発生した可能性のある事を何度も指摘してきました。
3号機の周辺に核燃料棒の一部が散乱していたという事実は、臨界が実際に発生したことを証拠立てるものだと考えられるのです。

もしこの核燃料の一部が原子炉そのものから出てきたと考えるなら、原子炉の格納容器が破壊されるか、あるいは実際には起きる可能性がきわめて低い、何か全く別の経路を考えなければなりません。

事故直後、3号機の周囲にあったきわめて高い放射線を発するこれらの物質があった地面はブルドーザーによって地ならしされました。
従って、この核燃料の一部は未だに地面の浅い部分に埋もれている可能性があります。

東京電力や日本政府はこの3号機の問題を、いったいどうするつもりなのでしょうか?
使用済み核燃料プール内には核燃料が残されたままになっていますが、これらをすべて取り出す必要があります。
しかし3号機周辺は放射線量が突出して高く、危険過ぎて人間が近づける状況にはありません。

NRC Barett
この状況で再び大きな地震が発生したら、いったいどうなってしまうか、それが目下の私の最大の懸念です。
マグニチュード9.0までの地震ではなくとも、再び大惨事になる危険性があるのです。
マグニチュード8.5の地震が発生すれば、私の懸念は現実のものになってしまうでしょう。
3号機の原子炉建屋は最も損傷がひどく、大きな地震が発生すれば倒壊してしまう恐れがあります。
現在3号機原子炉建屋は、それをすっかり覆い隠すように外壁が作られつつあり、年末までにはこの工事は完了するでしょう。

しかし今はまだ、露出した状態にある事を忘れてはなりません。

では通路を横切って、4号機に行ってみましょう。(ビデオ 12:00~)

福島第一原発の事故が発生した時、4号機は稼働していませんでした。
しかし他の原子炉同様、爆発を起こしました。

4号機について最も危険な問題は、事故発生時、核燃料が格納容器内に入ってはいなかったという点なのです。
核燃料のすべてが格納容器から取り出され、使用済み核燃料プール内に入っていました。
全ての専門家の懸念がこの一点に集中しています。
事故発生当時日本国内にいたアメリカ人に対し、福島第一原発の半径80キロ圏内から退去するよう勧告が行われたのも、この核燃料の存在が理由でした。

福島第一原発上空
例え福島第一原発の原子炉1号機、2号機、3号機すべてが爆発したとしても、日本人全体に対する大きな脅威とはなりえませんでした。

問題は4号機です。
事故当時、その核燃料の温度は上昇していました。
物理的に熱くなっていたのです。

当時4号機の使用済み核燃料プールには、充分な量の水がありませんでした。
もしその水も流れ出てしまっていたら、核燃料プールでメルトダウンが発生したはずでした。
そしてこの核燃料プールと大気の間には、どんな障害物も存在しませんでした。

1~3号機ではメルトダウンが発生しましたが、放射性物質の漏出があったにせよ、核燃料は格納容器内にあり、何もかもがだめになった訳ではありませんでした。
最も深刻な問題、それは4号機の使用済み核燃料プール内の水が無くなった場合、発生するはずだったのです。

FR24 破壊された福島第一原発
事故直後の様子を思い出してください。
事故後真っ先に行われたのは、放水による注水作業でした。
ヘリコプターによる空中散布すら試みられましたが、これはほとんど効果がありませんでした。
ヘリコプターでは、使用済み核燃料プールを水で満たすことは不可能なことは解っていたはずです。

しかしどのような方法を用いても、まずは4号機の使用済み核燃料プール内を水でいっぱいにしなければならなかったのです。

現在は4号機使用済み核燃料プールは水で満たされており、内部の核燃料の安定化が実現できています。

〈 第4回につづく 〉

http://fairewinds.org/media/fairewinds-videos/tour-fukushima-daiichi

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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