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【 フクシマ : 強い比放射能を放つ粒子状物質、ホット・パーティクルがもたらす脅威 】〈2〉

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所要時間 約 8分

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人が放射能を被ばくする場合、外部被ばくに加え、内部被ばくが重なる可能性がある
ホット・パーティクルによる被ばくは、平均的な外部被ばくと比較して被害が深刻

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 4月3日

人が放射能を被ばくする場合、外部被ばくに加え、内部被ばくが重なる可能性があります。
(1) 平均被ばく線量による外部被ばく量の予測
(2) ホット・パーティクルの福島第一原発からの放出量は、一般的な放射性物質に比べれば少ないため、これによる内部被ばくの例は数少ないものとなります。
このため大部分の人は、ホット・パーティクルによる内部被ばくを受けていないはずです。

しかし数%の人々は1個ないしそれ以上のホット・パーティクルによって被ばくをしていると考えられます。
そしてホット・パーティクルによる被ばくは、平均的な外部被ばくと比較して、被害が深刻である可能性があります。

従って人々の被ばくについて正確に把握しようとすれば、空間線量による外部被ばくの程度だけではなく、ホット・パーティクルによる被ばくについても正しい状況を把握する必要があるのです。

私たちのもとに様々なサンプルが送られてきたことにより、私たちは今被ばくの実態がどのようなものであるか、その全体像を描くことが出来るようになりました。
同時に私たちは平均被ばく線量の資料を基に、基礎的な部分の解明も進めています。

分析に用いるのはガンマ分光測定法です。
分光測定法は約100年前から存在し、私たちはこれを使って送られてきたサンプル内の放射性物質の崩壊がどこまで進んでいるかを確認する作業を行っています。

現在福島周辺では、至る所で3種類の放射性同位元素、すなわち放射性物質の存在を確認しています。
そのうちの2つがセシウム134とセシウム137です。
これらふたつの放射性物質が一定の割合で様々な物質内で確認されていることにより、その物質が福島第一原発の事故によって放出されたものである事を確信できるのです。

さてこれらの放射性物質ですが、原子力発電所において何らかの出来事が発生しなければ、環境中には存在しないはずのものです。

NBC 4
そしてセシウム以外に存在が確認されているのがラジウム226です。
ラジウム226は原子力発電に使われるウラン燃料そのものと直接の関係があり、核分裂の最初の段階で生成されます。

私たちは日本やアメリカなどから送られてきた塵のサンプルの分析を行う際、この3種類の放射性物質、セシウム134、セシウム137、そしてラジウム226が存在の有無について分析を行っています

そしてこれら3つの放射性物質の存在が確認されると、私たちは次の段階の分析に移ります。
ホット・パーティクルの存在の有無についてです。

もしホット・パーティクルの存在が確認されれば、さらに次の段階であるホット・パーティクルそのものの分析へと進むことになります。
最終的に残った中でホット・パーティクルと疑われる物質を取り出して銅板の上に置き、エックス線を照射して撮影を行います。
一週間の長期露出を行います。
これは考案されてからおそらく1世紀以上の時間を経た、使い慣れた手法のひとつです。

CBS02
しかし手法の古い新しいにかかわらず、この方法によって私たちは強い放射能を放つ、微細な物質である放射性物質の存在を確認できるのです。
そしてエックス線のプレートに反応があり、様々な条件からそれがホット・パーティクルである疑いが強まれば、私たちは精密カッターを使ってその物質だけを取り出し、走査型電子顕微鏡用のアルミニウムのプレートの上にそれを配置し、分析を行います。
この顕微鏡は古臭いものではなく、私たちが解明しようとするこの物質の基本構造を明らかにしてくれる機能を有するものです。

ではあなたもこのビデオを見ながら実際に顕微鏡を通して見ていると想像してみてください。
ジョイスティックと一組の十字キーを操りながら、一個一個のホット・パーティクルの5,000倍、10,000倍、あるいは15,000倍の画像を確認することが可能です。

テレビゲームの操作を思い出してください。
あなたはホット・パーティクルにエックス線ビームを照射し、それぞれ種類の違う物質を視界から消していくことが出来、現実に存在する物質を一つ一つ確認することが可能になります。
このような方法を用い、プルトニウム、アメリシウム、ウラン、ラジウムなどの各放射性物質の存在をひとつひとつ確認することが可能になるのです。

NBC 7
私たちはこうしたプロセスを経て、1キロも2キロもあるようなサンプルの中からごくわずかなホット・パーティクルを探し出し、実際に抽出することが可能にしているのです。
そうして初めて完全な検証と分析が可能になるのです。

そこに至るまでの手続きは煩雑で複雑なものですが、その代り非常に貴重な結果を手にすることが出来ます。
なぜなら誰かがこのホット・パーティクルを吸入あるいは摂取するようなことなれば、重大な結果につながってしまうからです。

〈 第3回につづく 〉

http://fairewinds.org/hottest-particle/
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春もたけなわ、吹き渡る風に爽やかさを感じる季節です。
外を歩いていると、思わず胸一杯に深呼吸をしたくなるのですが…
ちょっと待てよ…
ここは福島第一原発から90キロ、この記事を読む限りホット・パーティクルがあっても不思議ではない場所。
吸いかけた春の空気を吐き出しました。
まさに
「こんな世の中に誰がした?!」

明日30日・水曜日、掲載をお休みさせていただきます。
【 フクシマ : 強い比放射能を放つ粒子状物質、ホット・パーティクルがもたらす脅威 】〈3〉
は、5月1日・木曜日に掲載致します。
よろしくお願い致します。

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※古い投稿の画像の削除について
現在、2012年以前の投稿について、トピックスニュース等重要でない画像の削除を行っています。
ページによっては、画像が著しく少なくなっている可能性があります。
悪しからずご了承ください。

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【 ジェニー・ダンロップ作品集 】

ガーディアン[カメラ・クラブ] 3月4日
(掲載されている写真をクリックして大きな画像をご覧ください)

GRD 1
良い意味での強烈な色の世界が広がります。
自然の形象が上手に生かされていますが、線の力強さも感じます。
『緑の上の緑』と『赤の上の緑』の2作品は鮮烈な印象を与えます。
一方の黄色の作品は柔らかいイメージを持ち、特に背景に関する着想は秀逸でした。
これに対し『青』の印象は冴えません。
木の幹か一本の枝を青空に配置すべきだったかもしれません。
GRD 2
GRD 3
GRD 4

【 フクシマ : 強い比放射能を放つ粒子状物質、ホット・パーティクルがもたらす脅威 】〈1〉

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所要時間 約 6分

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福島第一原発が放出した、単位質量あたりの放射能が非常に強い物質が人々を脅かす
戸外より屋内の方が高くなっってしまったホット・パーティクルの危険性
あなたの被ばく線量が『平均値以内』に留まっているかどうか、実際に測定してみなければ解らない

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 4月3日

3年前フェアウィンズは、東日本の広い範囲、そして北アメリカの西海岸地域で確認されたホット・パーティクル(比放射能の大きな粒子状物質)の問題を取り上げた最初の組織のひとつでした。
ホット・パーティクルは危険な物質ですが、その存在を確認するのは容易ではありません。

今回ご紹介するビデオの中で、カルトーフェン氏は福島第一原発から約500キロ離れた場所で、彼がこれまでに見つけた最も強い放射能を発するホット・パーティクルについて検証を行っています。

フェアウィンズがもし日本国籍の組織であれば、特定秘密保護法によりこのビデオの公開は禁じられるかもしれません。
アーニー・ガンダーセンが概略をご紹介した後で、内容について要約をした説明を行っていきます。

こんにちは、フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。

今回はフェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションがこれまでご紹介した中で最も重要である、プロの原子力(核)技術者であるマルコ・カルトーフェンとともに制作したビデオを改めてご紹介いたします。
本編をご覧いただいた後で、あらためて私の方からもう一度解説をさせていただくことにします。

私の名はマルコ・カルトーフェン、土木技師でありワーチェスター工芸研究所の博士論文提出資格者です。
私が行っている研究の主要なテーマは、放射能汚染物質、および化学汚染物質が一般家庭に粉塵として入り込む状況を解明することです。

120125
この研究は放射能汚染が疑われる際、一般市民がどのような形で放射線を被ばくしてしまうのか、その状況(あるいはメカニズム)を明らかにする上で重要な部分になります。

家屋の中を検証してみると、周辺環境よりも汚染が深刻化している傾向が見られます。
家屋は環境中の汚染物質を集め、保管する場所と化す傾向があるのです。

お考えいただきたいのは一日24時間のうち、一般的に人々が実際に戸外で過ごす時間と、家屋内で過ごす時間、そのどちらが長いかという点についてです。
この点を考えれば、実は戸外における被ばくはその滞在時間に応じた少ないものである可能性が高いのです。

ソーシャルメディアの優れた点は、私たちのような研究分野の人間が数多くの人々と接することが出来る機会を提供してくれること、そしてボランティアを希望する人々によって自発的な科学的組織を作り上げることが出来るという事です。

その結果、私たちは多くの人々の家庭の使用済みの掃除機の紙パック、空気清浄機の使用済みフィルター、その他各家庭に取り付けられているエアコンや換気扇などのフィルターの類を研究材料として送ってもらうことが出来ました。

そして私たちはこうしたサンプルのすべてがまっすぐ私たちの手元に届くよう、独自のシステムを作り上げることにより、一軒一軒の人々の被ばく状況を検証・比較することが可能になったのです。

汚染02
私たちは北日本から送られてきたサンプルを実地に検証しました。

東京から送られてきたサンプルも実地に検証しました。

そしてアメリカ合衆国国内、そしてカナダで採取されたサンプルも検証し、人々が実際にどの程度の被ばくをしてしまったのか、全体の概略を把握しようと務めたのです。

そしてその結果私たちは、ホット・パーティクルの存在に嫌でも注目せざるを得なくなったのです。

改めて放射線被ばくについて考えてみましょう。
法律的な観点からこの問題を見た場合、まず大切なのは人々の被ばく線量の平均値を出すことです。
そしてその次にどの程度の被ばくなら安全なのか、その数値を決定しなければなりません。

安全だと考える数値を超えて被ばくをしてしまった場合には、あなた自身で何らかの対策を取る必要に迫られることになります。
何らかの形で基準値なるものが設けられていても、あるいは除染などの作業が行われていても、あなた自身が行動する必要があるのです。

Kaltofen
私たち研究者と行政などの仕事の違いは何でしょうか?
たとえ全人口の平均被ばく線量がすでに公表済みであっても、ひとり一人のひばく状況の違いを明らかにしていくのが私たち研究者の役割です。

そして一人一人の被ばく状況の違いは、福島第一原発事故の爆発により環境中に放出されたホット・パーティクル、すなわち強い放射能を帯びた塵状物質が何らかの経路をたどり、いったいどれだけの量がその人の家屋に入り込んでしまっているかに左右されることになるのです。

〈 第2回につづく 〉

http://fairewinds.org/hottest-particle/
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こちらも内容としては[フェアウィンズ]が昨年7月に紹介したものを、翻訳し掲載した事があります。( 【 放射線科学の世界的権威が明らかにする・日本の黒い塵、その正体 】 http://kobajun.biz/?p=13069 )
ただし、前回ご紹介した際は、ガンダーセン氏とカルトフェン氏の対談方式であり、動画はありませんでした。

そして今回はホット・パーティクルについてさらに踏み込んだ内容になっています。
今回は全4回に分けて掲載する予定です。

【 福島の事故発生からまだ3年あまり…にもかかわらず原子力発電の推進を決定した安倍政権 】

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所要時間 約 6分

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民意、そして終わっていない福島の危機を徹底して無視、再稼働される日本の原子力発電所
フクシマの教訓が一番軽視されている国、それが日本

ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 4月11日

no more 01
▽ 無視される国民の不安、葬り去られる国民の願い

福島第一原発の事故発生から3年が経過した日本で、原子力発電の再開への動きが本格化しました。
日本政府が新たに公表したエネルギー基本計画は、原子力発電を重要な発電手段と位置づけその推進を決定しました。
しかし日本国内では2011年に発生した福島第一原子力発電所の事故により、原子力発電という技術の安全性に対する疑念と不安が広がっています。

4月11日金曜日、国民よりも国家に強い権能を持たせるべきであると考える安倍首相は、自身が率いる日本政府として、原子力規制委員会が安全であると判断した原子力発電所については、操業を再開することを決定し、前民主党政権が決定した原子力発電の段階的廃止の方針を白紙に戻しました。

日本では2011年、津波が引き金となって福島第一原発で巨大災害が発生した後、全国の48基の原子炉すべての稼働を停止させました。
最近行われたストレステストにより、数か所の原子力発電所は未だ稼働できる状態に至っていないことが判明しました。

no more 02
2010年6月に承認された前回のエネルギー基本計画は、二酸化炭素の排出量削減に焦点があてられていました。
具体的には再生可能エネルギーと原子力発電を合わせた割合を2020年までに50%にまで引き上げ、最終的には国内の発電手段の70%をこの二つによって賄うとしていました。

2011年に巨大災害が発生する以前、日本では全発電量の約30%を原子力発電がまかなっていましたが、計画では2030年までに原子力発電の割合を全体の50%にまで引き上げようとしていました。

「日本政府はすべてのプランを見直している最中です。福島第一原発の事故以前に作成されたエネルギー戦略はこれを撤回します。」
菅義偉官房長官がこう語りました。
「具体的な作業は開始されたばかりです。」

新しい計画の具体的内容については、その決定時期も総発電量に占めるそれぞれの発電手段の割合も明らかにされてはいませんが、日本は再生可能エネルギーのパーセンテージを上昇させることにより、原子力への依存割合を「可能な限り低い」レベルに引き下げるとしています。

▽ 国の存亡がかかった危機

世論調査の結果は、日本の国民の半数以上が原子力発電所の再稼働に反対しています。

2011年に東日本を襲った津波は福島第一原発の冷却装置を水没させ、発電所側はこの事態にどのような有効な手立ても打つことが出来ませんでした。
その結果3基の原子炉はメルトダウンし、大量の放射性物質を放出し、広域にわたって放射能汚染が広がってしまったのです。
この結果、何十万人もの住民が避難を余儀なくされてしまいました。

no more 05
グリーンピース・ジャパンで気候問題、エネルギー問題を担当する高田ひさよさんは、安倍政権による新しいエネルギー基本計画を『電力業界への贈り物』と評しました。
「原子力発電所の事故は国を存亡の危機に追い込む、非常に危険な発電手段であるという事は、誰もが知っている事実です。」
高田さんがこう語りました。
「この計画全体が受け入れることが出来ないものです。特に非常に危険な発電手段である、原子力発電をさらに20年間続けるという点において。」

3.11の津波と地震は18,000人以上の人命を奪いました。
福島第一原発の原子炉のメルトダウンは直接人の命を奪ったわけではありませんが、3年が経った今も原発の周囲で暮らしていた130,000人以上の人々は自宅に戻れずにいます。
それというのもその場所が放射能に汚染されてしまっているからであり、これは福島第一原発が引き起こした問題にほかなりません。

汚染されたしまった福島第一原発の周囲の広大な地域の中、ごく最近になって住民の内のごく一部の人々が自宅に戻って生活することを許可されました。

福島第一原発の施設内では事故収束・廃炉作業が妨げられる事故・トラブルが繰り返し発生する状態が続き、この作業は今後数十年間続くことが予想されています。

01ドイツ・反原発
「世界最悪の原発事故を起こしたことなど無かったかのように、日本のエネルギー政策が決定されたという事実に対し、私たちは強い遺憾の意を表明します。」
国際環境NGO のFoE(Friends of the Earth)Japanはこのような声明を発表しました。( http://www.foejapan.org/energy/news/140411.html )

福島第一原発の巨大事故はドイツを含む世界中の国々に、原子力政策を再考するように促したはずでした。

http://www.dw.de/three-years-after-fukushima-japan-forges-ahead-with-nuclear-energy/a-17560046
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現政権とその取り巻きのY新聞、S新聞、NHKなどにより『原発再稼働やむなし』という世論形成への工作が続けられていますが、そんなことは民主主義社会としてはおかしいのだ、という事を改めて思い起こさせてくれる記事です。

【 フクシマ、危険にさらされる子供たち、脅かされる子供たちの未来 】〈5〉

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所要時間 約 6分

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染色体異常が発生する危険は、20ミリシーベルトはおろか10ミリシーベルト以下でも上昇を確認
福島第一原発の周囲の避難指定解除地区に、子どもたちや妊娠前の女性が戻ることの危険は大きい

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 3月20日

2010年バーティの研究グループは、医療用X線検査が人間の染色体転座の発生率にどのような影響を与えるか、マクロ的立場からの研究結果を発表しました。

彼らはそれまで発表されていた可能な限り多くの研究結果からの資料を検証し、低線量放射線の影響に関する研究精度を高めようと努めました。
彼らはそうした努力を重ねた結果、低線量の被ばくによる健康被害の存在を確認しただけでなく、20ミリシーベルト以下の被ばくによって染色体異常が発生する頻度が上昇することを突き止め、彼ら自身驚くことになりました。

さらには10ミリシーベルト以下の被ばくレベルのグループの中にも、染色体異常が発生する頻度が1ケタの値ではあっても上昇している事例を確認したのです。

秩序立てて検証してみましょう。

この仮定的三段論法は、二つの前提条件を持つ古典的論理構造によっています。
このようなことです。
Pという条件によってQという事実が成り立つ。
そして、Qという条件によってRという事実が成り立つ。
ならばPという条件によってRという事実が成り立ち得る。

101604
これまで見てきた科学的な分析結果を、この仮定的三段論法に当てはめ、結論を導き出しましょう。
低線量放射線被ばくをする機会が増えれば、染色体異常の発生確率が上昇する。
染色体異常の発生確率が上昇すれば、ガン発生の危険性が上昇する。
したがって我々は以下のような結論を導き出すことが可能である。

低線量放射線被ばくをする機会が増えれば、ガン発生の危険性が上昇する。

この三段論法は、少し単純化され過ぎているかもしれません。
いまだその全容が解明されていない複雑な生物学的システムを、基本的論理構造の中に落とし込むのは簡単なことではありません。
しかしながら、正当な理論体系の中に最先端の生物科学研究の結果を当てはめて行けば、得られる結論はそう間違ったものではないはずである、という事は言えるはずです。
このビデオでは、これまで正しいとされてきた放射線生物学的研究、そして最新の放射線生物学的研究、その両方の成果をご覧いただきました。

女の子02
全米科学アカデミーは1年間に20ミリシーベルト以下の被ばくであっても、ガン発症の危険性が上昇する可能性がある事を示唆しています。
科学アカデミーが2006年に発表した研究が、その事実を裏付けています。

しかし最新の研究はこの科学アカデミーの研究が、真のガン発生リスクを低く見積もりすぎていることを示唆しています。
最新の研究は、20ミリシーベルト以下の放射線被ばくであっても、遺伝子の損傷を引き起こすことを突き止めました。

したがって、これら権威ある研究、そして最先端の科学研究の両方から得られる結論は以下の通りです。

日本政府が安全であると規定した、年間20ミリシーベルト以下の被ばくをする環境で生活を続けることは、とうてい安全とは言えないのです。

————————————————–

アーニー・ガンダーセン :
まず、イアン・ゴッダードが行ったこの卓抜した分析と結論に、敬意を表したいと思います。
アメリカ国立科学アカデミーのBEIR第7号レポート[電離放射線の生物への影響]を基に、日本が福島において設定したガン発症リスクは500人に1人というものでした。

都路町帰還05
しかし、現実はそれよりも悪いものです。
5歳の少女のガン発症リスクは、発表されたデータの5倍に上ることがわかりました。
これは彼女たちが『放射線量20ミリシーベルト以下の比較的安全な地区』に戻ったなら、100人に1人の割合でガンを発症する危険性があることを意味します。

しかもアメリカ国立科学アカデミーのBEIR第7号レポートにはホットパーティクルの問題が含まれていません。
そしてゴッダード氏が行った明快な低線量放射線被ばくの分析により、現実のガン発症の危険性は直線しきい値なしモデルが示す値よりもさらに悪いものであると考えられるのです。

〈 完 〉

http://fairewinds.org/cancer-risk-young-children-near-fukushima-daiichi-underestimated/
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今回の記事は2012年2月にフェアウィンズのサイトに掲載され、【星の金貨】では2月から3月初めにかけて、一度翻訳・ご紹介したものとほぼ同内容です。
福島第一原発の指定避難区域の一部が解除され、住民の帰還が始まってしまったことに危機感を募らせたガンダーセン氏が部分に手を加え、2014年3月20日に再度フェアウィンズのホームページで紹介されたものを翻訳しました。

この記事を読むと、指定避難『解除』区域に子供たち、とくに少女たちが帰還してしまう事の危険性の高さが実感として理解できます。

今の子どもたちと、この子供たちがやがて大人になって結婚し生まれてくる子供たちを守るために、低線量の放射線を浴び続けることの危険性を、常識として日本の社会に根付かせる努力を続けましょう。

【 フクシマ、危険にさらされる子供たち、脅かされる子供たちの未来 】〈4〉

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所要時間 約 7分

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繰り返し行われた調査・研究により、低線量の被爆の危険性は実証されている
低線量の被爆が長期間続けば、原爆症を上回る危険が生まれる
長期間の低線量被爆をしてしまった場合、人間の遺伝子が損傷してしまう可能性

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 3月20日

私たちが検証してきた15か国の調査結果公開から2年後の2009年、ジェイコブの研究チームは、新たに8つの原子力産業労働者についての調査を行いました。
特に放射能に汚染されてしまった場所で働く労働者の被ばく状況を明らかにすることは、低線量ではあっても持続的に被ばくをしてしまった場合の結果について明らかにすることにつながりました。

そして総合的に分析した結果、崩壊速度が遅い放射性物質への被ばくの方が、健康被害が深刻である可能性が高まったのです。

例を挙げましょう。
ジェイコブの研究チームはそれまで行われた9つの研究結果をひとつの表にまとめあげました。
映像に映っている表は原子力発電関連施設労働者が死亡の危険のあるガンを発症する割合が、一般のそれを上回っていることを明らかにしています。
原子力発電関連施設労働者に関するそれぞれの研究結果はゼロの値に対し、どの程度危険性が増したのか、赤い点の位置と線の長さによって表示しています。

対照的に青色の点は原子爆弾の被爆(生存)者たちのガン発生リスクを表しています。
双方を比較した場合に整合性が保たれるよう、年齢、性別について調整してあります。
ご覧いただければわかるように、赤い点(線)はほとんど青い点(線)の右側に描かれています。
つまり原子力産業の労働者の発がんの危険性は、原子爆弾の被爆者よりも一段と高いものであることが解ります。

これは注目すべき重要な事実です。
なぜならこれまでの放射線被ばくの危険性に関するデータは、短時間に高い線量を被ばくした原爆症患者の研究に基づくものであり、短時間に高い線量を被ばくすることの方がより有害であると考えられていたからです。
しかしジェイコブ研究チームによる検証の結果、こうした考え方には大きな疑問が生まれました。

101603
ジェイコブ研究チームの論文については、雑誌『職業病と環境医学(Occupation and Environmental Medicine)』に掲載されたものを参照しました。

「最近の研究の結果、『低線量の放射線が日常生活の中で徐々に体内に取り込まれていく被ばく形態は、高線量を一気に浴びてしまう被ばくより健康への害が少ない。』とする仮定に疑問が呈されるようになりました。」
「ほぼ同じ累積量の被ばくをしてしまったと考えられる人を比較した場合、高線量を短時間で被爆した日本の原爆の被害者に対し、低線量を長時間浴びた人々の発がん割合は同程度かあるいは上回っている傾向があることが確認されたのです。

ジェイコブ研究チームのこのグラフは、これまでの発がんリスクモデルの矛盾を指摘することになりました。
これまで代表的なものとして認められてきた発がんリスク・モデルは、その数値が左(より安全である)側に寄っています。
2番目は私たちが始めに検証した、科学アカデミーの発がんリスクモデルです。
どちらの調査も、その多くを原爆被害者である被爆生存者が体験した、短時間の大量被ばくをベースにしています。
そして3番目の線は原子力産業労働者の、長時間にわたる低線量被ばくによる発がんリスクを表すデータは右に寄っており、ガン発症の危険性が原爆被害者のリスクを上回っていることを表しています。

NBC福島03
最新の包括的な分析の結果、以下の推論が成り立ちます。

すなわち、これまで代表的であった発がんリスクモデルは、長期間の低線量被ばくによる発がんリスクを低く見積もっている可能性があるのです。

科学は長期間の低線量被ばくがもたらす危険性について、目で見てわかる程のマクロ的な問題だけでなく、ミクロの視点における危険性についても明らかにしています。

最近の研究は長期にわたる低線量被ばくが、人間の遺伝子を損傷させてしまう危険性ついて、高い精度で明らかにできるようになりました。

染色体転座(染色体の一部、または全部がちぎれて, 他の染色体に結合した状態)は、 遺伝毒性を持つ化学物質や放射線によってDNA分子が損傷することによりDNA分子の再生不良が起き、遺伝子が損傷してしまう現象の事です。

染色体転座は染色体異常としても知られており、様々な種類のガンの発生原因になると考えられています。
すなわち、放射線が誘発する染色体異常は放射線がもたらすがん発生メカニズムの、原因の部分を形作っています。

Fukushima children
中程度~高線量の放射線が染色体異常を増加させることは、繰り返し実証されてきました。
一方、低線量の被ばくが遺伝子のどのような影響を与えるかはまだ不明であるとされてきました。

しかしこれまでご説明してきた、低線量の長期にわたる被ばくによる発がんのメカニズムが本当なら、低線量の被ばくであっても、ガン発症の危険性が上昇することを疑う理由はどこにあるというのでしょうか。

〈 第5回につづく 〉

http://fairewinds.org/cancer-risk-young-children-near-fukushima-daiichi-underestimated/
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記事中に出てくる『遺伝子損傷』は極めて深刻な結果をもたらします。
遺伝子の中のDNAの配列はきわめて複雑な人体の設計図の働きをしていることが解明されつつありますが、放射線はそのDNAをずたずたに切り離し、配列をめちゃくちゃにしてしまう事が解ってきました。
それが妊娠、出産において深刻な結果につながることが解っています。
私個人はガンの発症より、その事の方がより深刻な事態だと考えています。

【 フクシマ、危険にさらされる子供たち、脅かされる子供たちの未来 】〈3〉

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科学的に検証済みの子供たちの被ばくの危険、その真実の隠ぺいにのみ加担する大手メディア
ガン発症率の高い原発関連施設の労働者、日本ではその10倍の被ばくをしても『安全』

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 3月20日

科学的に検証済みの子供たちの被ばくの危険、隠ぺいにのみ加担する大手メディア
ガン発症率の高い原発関連施設の労働者、日本ではその10倍の被ばくをしても『安全』

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 3月20日

放射線被ばくに関し、子どもたち、とりわけ少女たちのガン発症危険率が著しく高いという米国科学アカデミーのデータは、大手のメディアも各国政府関係者にも広く公開されているものです。
しかし彼らは放射線生物学が解明した放射線による障害の実態と原子力発電の危険性を伝える代わりに、一般の人々に対し20ミリシーベルト以内の被ばくは安全であり、低線量被ばくが健康に与える影響はまったく未解明であるという考えを植えつける役割のみを果たしているのです。

アメリカCBSニュース「低線量放射線を長期間被ばくすることの影響はまだ解明されていないにもかかわらず、日本政府が安全基準を緩和したことに抗議するため、福島の住民が東京に向かいました。低線量の放射線を長期間被ばくした場合、人体にどのような影響があるかは未だに解明されていません。」

イアン・ゴダード : 誤って正確な情報を伝えることが出来なかったのならまだしも、主要メディアは一般の人々に対し、これまでご紹介してきた米国科学アカデミーによる低線量被ばくに関する科学的な分析結果について、そんなものは存在していないかのように信じ込ませようとしています。
しかし自分たちがどれだけ社会正義に反する報道を行っているか、そんなことには気づこうともしない大手メディアが作りあげたカーテンの外側では、科学は着実に進歩を続け、低線量被ばくの危険性についても、その実態の解明が進んでいます。

そして2006年の米国科学アカデミーの報告書の公開以来、続いて次々と発表された研究の成果は、同アカデミーの報告が的確であったこと、あるいはガン発症の危険性についての評価がむしろ控えめであったことが明らかになったのです。

2007年、職業上低線量放射線被ばくをしている人々に関する、それまでで最大規模の調査結果が公表されました。

この調査研究では、15カ国の40万人以上の原子力産業の労働者が対象になりました。
その結果、放射線の被ばく線量とガンによる死亡率の密接な因果関係が明らかになったのです。

廃炉12
調査の対象になった労働者の就労期間の平均は10.5年、そして、その間の平均被ばく線量は19.4ミリシーベルトでした。
これは平均すれば、1年間に1.85ミリシーベルトの割合で被ばくが続いたことを意味します。
1年間に20ミリシーベルトの被ばくを『許容』されてしまった福島の子供たちは、世界の平均的原子力発電所の労働者の10倍の被ばくをすることになり、ガンの発症率も10倍に昇る可能性があります。

さらに正確な一年間の被ばく線量を計算するため、このデータは国別の平均雇用年数とその間の累計被ばく線量の平均がわかるようになっています。

これらのデータから計算すると、調査対象となった原子力発電関連施設の労働者の年間の被ばく線量の平均値は1.95ミリシーベルトとなり、年間を通し2ミリシーベルトに達しない値であることがわかります。
そしてこの研究結果はあらゆる人間の平均被ばく線量も明らかにしており、その値はさらに低く、年間で0.45~0.5ミリシーベルトになります。

これらの結果から、原子力産業に従事する労働者の年間被ばく線量は最大でも、福島の子供たちが浴びても構わない、とされる放射線量の10分の1にとどまっていることがわかります。
そしてこの平均10.5年間にわたる原子力発電所関係の労働者の被ばくに関する調査は、低線量の被ばくであっても、その累積量に応じてガン発生の危険性が高まることを明らかにしたのです。

廃炉13
正確を期することにしましょう。
平均すれば原子力産業労働者の就労期間は10.5年ですが、90%の労働者は全就労期間を通じて50ミリシーベルト未満の被ばくに留まっています。
そこで50ミリシーベルトを10.5年で割ると、これらの労働者の被ばく線量は年間平均5ミリシーベルト以下に留まっていることが解ります。
福島で許容される被ばく線量の4分の1です。

さらに15か国の各国の原子力産業労働者の被ばくの影響について正確を期すために、研究者たちは以下のやり方も行いました。
すなわち全体から1か国ずつ各国のデータを除外して再計算し、前述した数値を下回る平均値が出てくるかどうかを確認したのです。
この副次的分析による発がん可能性の値は、最初にご覧いただいた科学アカデミーのBEIR VIIの結果をすべて上回りましたが、共通点があることもわかりました。
したがってどの国のデータを取り上げても、特に偏った結果が出ているものは無かったのです。

この研究をまとめた人々は、原子力関連施設の労働者が発症したガンの中に肺がんが含まれていることから、労働者の間で一般的だった喫煙との関連性についても検討しました。
しかしこれまで行われた調査・研究では喫煙の習慣が放射線被ばくによる発がん性の値を高める、あるいは放射線被ばくが喫煙による肺がんの発症率を高める相互関連性は、非常に低いものであることが証明されています。
今回の調査結果においても、喫煙習慣とガン発生との間の相関関係について有意な検証結果は得られませんでした。

101406
それではここまでの結論をまとめてみましょう。

15か国で51人の科学者が参加して実施された調査研究は、原子力産業労働者に対してこれまで行われた中で最大のものです。

この調査は原子力産業労働者の発がん率が高いことを証明しました。

原子力産業労働者全体の年間被ばく線量の平均は2ミリシーベルトですが、多くの労働者は年間5ミリシーベルト以下の被ばくをしています。

そして日本は年間20ミリシーベルトの被ばくを安全であるとしていますが、その線量は世界の原子力産業労働者の平均被ばく線量の10倍、そして大半の原子力産業労働者が一年間に被爆する量の4倍以上という値なのです。

〈 第4回につづく 〉

http://fairewinds.org/cancer-risk-young-children-near-fukushima-daiichi-underestimated/ + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【動物と子供たちの詩】カーペンターズ
(歌詞の日本語訳 : 星の金貨プロジェクト)

動物たちと子供たちに神のご加護を
この世界では、彼らは声を上げることができないのですから
選択の自由などあるはずも無いのですから

動物たちと子供たちに神のご加護を
彼らが今見つめているこの世界が
彼らのために存在したためしは無いのですから

もし彼らを闇が包み込もうとしたら
彼らの行く道を照らしてあげてください
彼らにこそ愛を与えてください
彼らがいる場所すべてをを光で満たしてください

動物たちと子供たちに様のご加護を
嵐が襲ったら彼らに憩う場所を与えてください
彼らを守ってください
彼らが寒さに震えないように

もし彼らを闇が包み込もうとしたら
彼らの行く道を照らしてあげてください
彼らにこそ愛を与えてください
彼らがいる場所すべてをを光で満たしてください

嵐が襲ったら彼らに憩う場所を与えてください
彼らを守ってください
彼らが寒さに震えないように
こどもたちを
こどもたちを

[ Bless the beasts and the children ]

Bless the beasts and the children
For in this world they have no voice
They have no choice
Bless the beasts and the children
For the world can never be
The world they see
Light their way
When the darkness surrounds them
Give them love
Let it shine all around them
Bless the beasts and the children

Give them shelter from a storm
Keep them safe
Keep them warm
Light their way
When the darkness surrounds them
Give them love
Let it shine all around them
Bless the beasts and the children
Give them shelter from a storm
Keep them safe
Keep them warm
The children
The children

【 フクシマ、危険にさらされる子供たち、脅かされる子供たちの未来 】〈2〉[フェアウィンズ]

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放射線被ばくの危険性について、政府の安全という見解のみ伝え、独自に検証を行わないNHK
世界最大規模の調査研究は、年間2mSvからガン発症確率が上昇することを証明
2mSv、10mSv、20mSv…少女たちのガン発生危険率は、顕著に上昇する

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 3月20日

BIER(Biological Effects of Ionizing Radiation・電離(イオン化)放射線による生物学的影響)の報告書に記載されているのは放射線被ばくとガンの発症の因果関係についてだけですが、放射線が人体に与える悪影響はガンだけではありません。
従って現実はもっと悪いものになると考えなければなりません。

BIERの報告書が触れていないガン以外の深刻な問題が二つあります。
ひとつはホットパーティクル(比放射能の大きな粒子状物質)です。

ホットパーティクルは現場周辺で広く確認されていますが、人々の体内に入り込んでしまっていることが考えられます。
子供たちの手に付着した放射性セシウムは、手づかみにされた食べ物と一緒に体内に入り込んでしまっている恐れがあるからです。
こうした実態についてはBIERの報告書は把握していません。

そして最後の問題はイアン・ゴダードの動画の中のデータの中に隠されています。
日本の原子力関連機関と国際原子力機関(IAEA)では、福島の被災者の被ばく線量は計測が難しい程に低いものであり、したがって直接的な健康被害は考えにくいというものです。

しかしこの動画の中のデータは、現実がその正反対であることを証明しているのです。

☆☆☆  ☆☆☆  ☆☆☆  ☆☆☆  ☆☆☆   

福島第一原発の事故発生により、日本政府は放射線被ばく許容限度を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げました。
子どもたちに対してすら、それをしたのです。

岡原10
NHK : 4月19日、文部科学省は子供たちの年間被ばく許容限度を年間20ミリシーベルトとしました。
イアン: 政府の 役人は年間20ミリシーベルトの被ばくなら安全だと言っています。
本当でしょうか?!

このビデオの中で私たちは日本政府の役人たちの安全性に関する主張について、すでに確立されている放射線生物科学による検証を行っていきます。
米国科学アカデミーは福島県全域に存在する放射性物質はガンを発症させるだけでなく、最終的には女性と子供たちを死に至らしめると予測しています。

この動画ではさらに日本政府の安全だとする宣言について、最近行われた研究結果を基に検証を行います。
この研究は原子力発電所で働く職員を対象に行われた、これまでで最大規模の調査をまとめたものです。
この調査研究では15か国の400,000人について調査を行い、被ばく線量が年間2ミリシーベルトを境に、ガンによる死亡率が上昇することを突き止めました。
これは福島県内で「安全」とされている値の、実に10分の1の被ばく量なのです!

この日本のTV番組を見ると、放射性物質の危険性について日本政府と日本の大手メディアが、一般市民が正しい理解の下に正しい対応ができるようにする能力を身に着けることを、妨害しているということが、簡単にわかります。
一般の人々が正しい知識の下にエネルギー手段を選択できれば、誰にとっても安全な本当の民主主義社会が実現できるはずなのです。

そのようなわけですから、少々長くなりますが最後までおつき合い願いたいと思います。

110624
アメリカ合衆国科学アカデミーは、放射線科学に関して検討する際の理論的根拠を提供してくれます。
そして同アカデミーは低線量被ばくに関する報告書を、定期的に刊行しています。
この報告書は危険予測モデルが形作られて以来の、数十年間の疫学研究・放射線生物学研究に基づいています。
科学アカデミーの最新の報告書は、調査の基になった資料と分析結果の両方を公開しているため、広い範囲で放射線被ばくが発生した場合のリスク・モデルを検証することができます。
この科学アカデミーの報告書があるおかげで、私たちは20ミリシーベルトの被ばくのガン発生リスクについて確認することが可能なのです。

ここに100ミリシーベルトの被ばくによって引き起こされるガンの発生割合が年齢別・性別によってどのように異なるかを表した、米国科学アカデミーが作成した表があります。

黄色で強調されているのは、被ばくした場合の全種類のガンについて10万人当たりの発生割合の予測です。
見てすぐにわかる事ですが、ガンのリスクは男女とも、年齢の増加に伴って一様に減少していることがわかります。
言い換えれば、放射線を浴びた場合に最も傷つきやすいのは、子供たちの体なのです。

このグラフの中に表されているデータを、個別に検証してみましょう。
ガン発生リスクのグラフは、いったん被ばくをしてしまえばその影響がどこまでも続くという事実を証明しています。
つまりいったん被ばくをしてしまえば、生涯にわたってのガン発生の危険性が発生するという、放射線の特徴的な側面を表現しています。

汚染06
一定量の被ばく線量について科学アカデミーが制作した表を見てみると、日本政府が『安全である』と宣言した20mSvのポイントで、Y軸のガン発症率が上昇に転じていることが解ります。
しかし10ミリシーベルト、2ミリシーベルトのポイントでもガン発症率に変化が現れています。

20ミリシーベルトの被ばくは安全ではなかったのです!
さらにもっとも重要なことがあります。
子どもたちのガン発症率の変化は顕著であり、中でも女の子の場合、放射線被ばくによる発がん性リスクが著しく高くなっています。
事実、同年齢の男の子と比べると女の子の場合は、ガン発症リスクはほぼ2倍になります。
そして30歳の女性と比べた場合には、5歳の少女は5倍、乳幼児の女の子は7倍も放射線被ばくに対しガンの発症率が高い事が解ります。

これによって全ての人間の中で、乳幼児を含む少女たちが、放射線被ばくにもっとも傷つきやすい存在である事が解るのです。

〈 第3回につづく 〉

http://fairewinds.org/cancer-risk-young-children-near-fukushima-daiichi-underestimated/

【 フクシマ、危険にさらされる子供たち、脅かされる子供たちの未来 】〈1〉[フェアウィンズ]

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子どもたちの被ばくを、成人と同列に考えてはいけない!
いったん放出されてしまった放射性物質は、環境中を何度も行き来する
20mSvの場所に少女たちが戻ってしまったら、ガン発症確率は全年齢平均の5倍になる

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 3月20日

福島第一原発の事故が発生してから3年の月日が経過しましたが、気がかりなのは被災地近辺の日
本の人々、とりわけ子供たちの健康についてです。
今回ご紹介するのは、イアン・ゴッダード博士とアーニー・ガンダーセンが、福島第一原発の事故の影響を受けた福島県内外の子供たちのガン発生の危険性について昨年検証を行った動画を再編集したものです。

ガン発生の危険性に関する統計結果は、特に年若い少女たちにおいて驚くべき高さに上っています。
福島第一原発の放射性物質によって住民が被ばくしてしまった地区では、毎年少女たち100人に1人の割合でガンの発症が確認されています。
この割合でガンの発症が10年間続けば、100人中10人の少女がガンを発症してしまうことになってしまいます。
この統計結果はまさに戦慄すべきものですが、日本政府はその場所に住民を帰還させようとしているのです。

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションのアーニー・ガンダーセンです。
今回ご紹介するのはイアン・ゴダードによる動画ですが、この動画は一度ご紹介したことがあります。(【放射能汚染・こどもたちの真のガン発生割合】http://kobajun.biz/?p=1944 )

BEIR
しかしまず、動画をご覧いただく前にBEIRについお話したいと思います。
当然ながらBEIRはBeer(ビール)の事ではありません。

BEIRはBiological Effects of Ionizing Radiation、すなわち電離(イオン化)放射線による生物学的影響の略語であり、米国科学アカデミーの報告に基づきます。
私がこの問題についてかんがえるようになったきっかけは、日本からもたらされた二つの気がかりな報道でした。
ひとつは日本を代表する報道機関であるNHKのニュースですが、福島県内のスギ花粉に非常に高い線量の放射性セシウムが付着していることが確認されたという内容でした。
分析した結果、スギ花粉1キログラム当たり1秒間に25万回の放射性崩壊を起こす(25万ベクレルの)放射性セシウムが検出されました。
当然ながら福島第一原発が放出した放射性セシウムが付着したと考えられますが、この問題の深刻さは、春になればこのスギ花粉は再び環境中に舞い上がり、風に乗って各所に運ばれていくという点にあります。
この時私が懸念したのはその報道姿勢、すなわち事実を伝える際にどういう言い方をしたかという事でした。
NHKはこの事実を次のように伝えました。
「東京で生活している人が普段浴びている放射線量の10倍程度の値であり、健康に対する害は大きくはありません。」
さて、健康に対する害は少ないとする根拠が、どのような計算方法によるものであったのかが問題です。
私自身の考えでは、1秒間に25万回の放射性崩壊を起こす放射性セシウムが大量に環境中に放出されれば、人体に対する健康被害を真剣に検討すべきであるということになります。

NBC 3
もう一つの報道は、日本の英字新聞であるジャパンタイムズの記事からで、福島県内で放射能に汚染されたイナゴが捕獲されたというものでした。
このイナゴは1秒間に4,000回の放射性崩壊を起こす(4,000ベクレルの)放射能に汚染されていました。

ではなぜ、その事実が問題なのでしょうか?
日本人の一部には酒のつまみにイナゴを食用にする習慣があるのです。
記事の内容は以下のようなものでした。
「科学者はビールのつまみ程度に食べるのであれば、油で揚げてマヨネーズをつけてイナゴを食べても、人体にさほどの問題は無いと述べています。」
私の考えは違います。
ビールを楽しむのは差し支えありませんが、4,000ベクレルのイナゴを食べるのは全く別の問題です。
国民の健康を守るべき政府当局の規制対象となるべき問題です。

私はBIER(電離放射線の生物学的影響)に関する問題を、いやでも思わざるを得ません。
米国科学アカデミーによる電離放射線の生物学的影響に関する報告によれば、放射線の被曝量とガン発生割合はリニア、すなわち比例関係にある事を伝えています。
放射線を浴びれば浴びる程、ガンの発症割合は高くなるという事です。

NBC13
ガンの発症割合を下げたいのなら、できるだけ被ばくを避けなければなりません。
なぜなら被ばく線量とガン発症率は直線の相関関係にあるからです。
これは『直線しきい値なしモデル(LNT - Linear No Thresholdアプローチ)』と呼ばれています。

訳者注※国際放射線防護委員会(ICRP)は、放射線による生物への影響について、直線しきい値無し(LNT)の立場で勧告をだしており、各国で採用されている。しかし、様々な立場から批判もある。
これ以下なら安全だというしきい値はあるのかないのか、ある場合はどこなのかについては、専門家の間でも長年論争の的になっており、21世紀初頭現在も確定していない。(wikipedia『低線量被曝問題』より引用)

BIERは以下のような説明を行っています。
もし100レム、すなわち1シーベルトの放射線被ばくをした場合、ガン発生確率は10人に1人の割合になります。それを10レム、すなわち100ミリシーベルトの被ばくに抑え込むことができれば、ガン発生確率は100人に1人の割合になるのです。
さらにもう1段階低減させ、それを10ミリシーベルト(1レム)の被ばくに留めれば、ガン発生確率は1,000人に1人の割合になります。

現在日本では、年間被ばく線量が20ミリシーベルト(2レム)以下に留まると判断されれば、避難区域の指定が解除され、自宅に戻って以前通りの生活に戻ることが許可されることになっています。
つまり政府の指示通りに避難指定解除区域に戻って生活をすれば、年間20ミリシーベルトの被ばくをすることになり、その人のガンの発症確率は500人中1人という割合の分、高くなるという事です。

112814
しかし現実はもっと悪いものになるはずです。
なぜならBIERはこの確率を算出する際に対象として選んだ人間は、子供たちから高齢者まで全年齢を対象に調査を行ったからです。
高齢者の場合、被ばくしてからがんを発症するまでの間、老衰や心臓発作その他の理由で死亡する確率が高くなります。
一方若い人々は新旧の細胞が入れ替わる速度が早く、被ばくをしてからの生存期間が長いため、ガンの発症率は高いものになります。

BIERの報告書を実際に手に取り、その中の表12-Dを確認していただければ、少女たちのガン発症確率が全年齢平均の5倍に上るという事実をご確認いただけるでしょう。

つまり指定避難解除区域に少女たちが戻ってしまえば、そのガン発症確率は5倍になってしまうのです。
つまり指定避難解除区域で暮らす少女たちは、100人に1人の割合でガンを発症する可能性があるのです。
少女たちは何年もその場所で暮らすことになります。
5年経てば、ガンを発症した少女の数は、5人にまで増えている可能性があるのです。

〈 第2回につづく 〉

http://fairewinds.org/cancer-risk-young-children-near-fukushima-daiichi-underestimated/
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今日から4回の予定で、アーニー・ガンダーセン氏が福島の子供たちの健康と今後について深く憂慮されている記事をご紹介します。
同じ汚染地帯について、なぜ子供たちの方が危ないことなってしまうのか、その事が『科学的』にお分かりいただけるものと思います。

【 日本の原子力政策、プルトニウム備蓄への異常なこだわり 】〈後篇〉

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日本が未だに核燃料サイクル計画にしがみついていることは、科学的に見て不合理
核燃料サイクル計画に莫大なカネをつぎ込んだ日本政府と原子力産業界、最早後には引けない状況

田淵ひろ子 / ニューヨークタイムズ 4月9日

六ヶ所村
英国とロシアを含む数カ国が核燃料を作るためにプルトニウムの再処理による核燃料サイクルの実施に踏み切りましたが、アメリカ合衆国はジェラルド・R・フォード、ジミー・カーター両大統領の下で、この計画の実施が核兵器の拡散に新たな途を与える可能性がある事から実施を見合わせました。
もしアメリカが核燃料サイクルの実施に踏み切れば、後に続く国が相次ぐことが予想され、その結果世界中でプルトニウムの備蓄が行われる事態が到来することを恐れたためでした

そのアメリカの当局者がとりわけ懸念するのは、日本のプルトニウムの警備が極めて手薄なことです。
日本国内にあるプルトニウムの保管および使用済み核燃料からのプルトニウムの抽出作業は六ヶ所村再処理工場で行いますが、法律により銃の携帯が許されない日本では警備員は武器を持つことが出来ません。
現在は武装した警官が施設内に常駐するようになりましたが、海外の核不拡散問題の専門家はこうした警備状況では武装したテロリストに襲撃された場合、敵しようが無いと懸念しています。

従業員の詳細な身元調査を行う計画はあるものの、六ヶ所村再処理工場で働く人々はこれまで犯罪歴やテロリストとの関連に関する身元調査を受けたことがありません。

原子力規制委員会01
現在六ヶ所村再処理工場は原子力発電による稼働の認可を待っている状態ですが、安倍政権が閣議決定する予定の新エネルギー計画は、六ヶ所村再処理施設の速やかな稼働へと圧力を強めることになるでしょう。
(六ヶ所村再処理工場には海外で再処理済みのプルトニウムが、すでに貯蔵されています。)

日本の当局は、彼らの核燃料サイクル計画をあきらめるつもりは無いようです。

まだ戦争の傷跡の残る1950年代、最初に原子力発電の目標を設定した時点で当時の日本政府の当局者は、核燃料サイクル計画の実現により日本が輸入石炭、輸入天然ガス、輸入石油に依存しなくて済むエネルギー独立を実現するためのエネルギー安全保障の実現を国家に対して保証して見せました。
日本にとっての新たな同盟国であるアメリカは、この計画を歓迎しました。
当時のアメリカは自国の原子力発電技術と、現在日本で行われているものと類似した核燃料サイクル技術の輸出を切望していたからです。

六ヶ所指令室
アメリカ合衆国は日本の原子炉稼働に向けウラン燃料の提供を行い、さらに原子力発電の研究用として約300キログラムの兵器級プルトニウムを日本に移送しました。
ごく最近、日本がアメリカへの返還に同意したのがこのプルトニウムです。

日本国内に残ったのが核燃料サイクル計画のためのプルトニウムですが、計画は技術的問題を解決できないことに加え、計画そのものへの反対もあってすでに数十年の遅れが発生しています。
「日本がエネルギー安全保障の実現のため、未だにプルトニウムの再処理による核燃料サイクル計画にしがみついていることは、科学的に見て不合理なことです。」
ハーヴァード大学ケネディ行政大学院のマシュー・バン準教授がこう語りました。

エネルギー安全保障の実現もさることながら、日本政府と未だに大きな政治的発言力を有する原子力産業界はこれまで核燃料サイクル計画に莫大な額の投資を行なってしまったため、最早後には引けない状況に陥っている、複数の批評家がそのように見ています。

六ヶ所村再処理施設だけでも、これまで2兆2,000億円以上、そして20年以上の歳月が費やされているのです。

anti-nuclear01
「あなた方は核燃料サイクル計画の実施を決定し、そして国内各所にその設備を着々と建設してきました。
その結果多額の投資が回収出来なくなってしまったのです。このまま計画を順調に進めることは非常に難しい、その事を認めるべきではないでしょうか?」
ヒラリー・クリントン国務長官の顧問を務め、現在はブルッキングス研究所の上級研究員を務めるロバート・アインホーン氏が、日本のプルトニウム備蓄について議論を行ったネルディスカッションの席上、こう発言しました。

日本国内の核燃料サイクル計画の支持者は、半減期が長期にわたる核廃棄物の排出量が減ることになると主張しています。
前の民主党政権が核燃料サイクル計画の段階的縮小を示唆した際には、怒った六ヶ所村議会・役場は全国の原子力発電所から集められた使用済み核燃料を、そのまま各原子力発電所に突き返すと息まきました。
核燃料サイクル計画の実現の遅れにより、日本国内の原子力発電所では使用済み核燃料を収納する場所が無くなりつつあるのです。

「私たちにとって、最も頭の痛い問題です。」
日本の原子力委員会の鈴木達治郎委員長代理がこう語りました。

そして国内には、日本がプルトニウムの備蓄を続けることが国家の安全保障上有益であると主張してはばからない人々がいます。
中国との外交的緊張状態が続き、北朝鮮が日本海でミサイル発射実験を行うなどしている現状を見れば、プルトニウムの保管を続けることは抑止力のひとつとして悪い選択肢ではないと主張しています。

核ミサイル
「誰を傷つける訳でもありません。」
元官僚の石川和男氏がこう語りました。
「中国も北朝鮮も、日本はいつでも核兵器を製造することが可能だと考えてくれるでしょう。」

〈 完 〉

【 日本の原子力政策、プルトニウム備蓄への異常なこだわり 】〈前篇〉

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将来日本を再び、原子力政策を強力に推進する国家にする!核燃料サイクルはそのための橋頭堡
安倍政権のエネルギー政策の基本は、あくまでも原子力発電の継続・推進

田淵ひろ子 / ニューヨークタイムズ 4月9日

Japan Plutonium
兵器級プルトニウムの国内貯蔵をあきらめることに同意したちょうど数週後、核拡散の危険性が生じることになるにもかかわらず、日本はこれから数十年間に渡りプルトニウムの新たな生産を行う計画の推進を決定しました。
これから日本国内で生産されるプルトニウムは核兵器を作るのに最も適した形のものではなく、その分すぐに脅威になる訳ではありませんが、相応の知識と技術、そして時間があれば核兵器用のプルトニウムに生成することは可能になります。
すでに日本国内には相当量のプルトニウムが保管されていますが、新たな生産によりその備蓄量は一層の拡大を見ることになります。

「日本政府は数百キログラムのプルトニウムを米国に変換することは大々的に宣伝する一方、国内にそれ以上のプルトニウムの備蓄がある事については、きわめて軽い扱いしかしていません。
東日本大震災において内閣総理大臣補佐官(東北地方太平洋沖地震による災害及び原子力発電所事故対応担当)を務めた馬淵澄夫衆議院議員がこのように指摘しました。
「その対応は偽善者そのものです。」

Gorleben貯蔵所
国内に蓄積されているプルトニウムの使い道は、福島第一原発の事故発生後、批判が高まり続けている日本の核燃料サイクル計画です。
この核燃料サイクル計画は、早ければ11日金曜日にも安倍内閣によりその推進が承認されることになっています。
核燃料サイクル計画は使用済み核燃料の中からプルトニウムを抽出し、再び核燃料として利用しようとするものです。この計画を支持している人々は、天然資源にめぐまれない日本がエネルギー面における自立を達成出来る手段であると考えています。

しかしこの核燃料サイクル計画を行うには莫大な費用がかかる上、核兵器の拡散に反対する内外の専門家からも批判を浴びており、与党内部にも反対の声が多く、そのため核燃料サイクル計画の承認は繰り返し延期されてきた経緯があります。
核兵器不拡散を求める専門家が恐れるのは、核燃料サイクル計画によって生み出されたプルトニウムがテロリストによって盗み出される事態、あるいは攻撃目標そのものになってしまう事です。
同じ懸念を有するアメリカ政府は、これまでプルトニウムの備蓄を増やすことについては考え直すよう、静かではあっても強い要請を繰り返してきました。
日本国内の多くの原子炉で燃料として使われているウランと比べると、プルトニウムを核兵器に転用することははるかに容易です。

Reactor 4
福島第一原発の事故を体験したことで、原子力発電が持つ途方もない危険性に気づいた多くの日本人の間では、一度は民主党政権が原子力発電を段階的に廃止すると国民に約束したにもかかわらず、安倍政権がそれを覆し、さらには核燃料サイクル計画の実施にまで踏み込んだことは、将来日本において原子力政策が再び強力に推進されることになる、その兆候ではないかとの懸念が深まっています。
現在国内にある稼働が可能な日本の原子炉は、福島第一原発の事故後に導入された新しいより厳格になった安全基準の下、すべてが稼働を停止しています。

核燃料サイクル計画は、いったん事故を引き起こせばウラン燃料以上にな危険なプルトニウム混合燃料が国内の数基の原子炉で使用されることを意味します。

核燃料サイクルによって生産されるプルトニウムは単体では原子炉の燃料として使用する言葉出来ないため、ウランと混ぜ合わせたMOX燃料(モックスねんりょう - 混合酸化物燃料)に加工する必要があります。

日本がプルトニウムの備蓄を積み増そうとする計画は、領土問題や歴史認識の問題においてすでに関係が悪化している東アジア地区の近隣諸国の、現在の日本政府に対するいらだちや懸念を一層強めることにつながり、この地区の政治情勢の一層の不安定化につながっています。

原爆
4月に入って中国政府は日本が『平和利用をはるかに逸脱する規模で』プルトニウムとウランの備蓄を行っているとして批判しました。
言外には日本が核兵器の自前での開発を決定する場合に備え、日本がプルトニウムの備蓄を増やそうとしているとの批判の意味が込められています。

しかし安倍首相を始め日本の核燃料サイクル計画を支持する人々にとっては、計画の実施によりもたらされる危険よりも、日本の歴代の政治家指導者などが数十年思い描いてきたエネルギー資源の独立により得られるメリットの方が大いに価値があるのです。

安倍政権は現在はウラン燃料の入手は容易であり、価格も安価にとどまっているものの、将来入手が困難になったり価格が高騰した場合には、日本のエネルギー政策が脅かされることになると主張しています。
「日本は、核燃料サイクル計画を続けなければなりません。」
経済産業省で長年エネルギー政策に携わってきた元官僚の石川和男氏がこう語りました。
「日本のエネルギー安全保障は、核燃料サイクル計画にかかっているのです。」

しかし日本の核燃料サイクル計画については、世界中から懸念の声が上がっており、これから何十年もその状態が続くことになるのです。

〈 後篇につづく 〉


 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

手違いにより公開時刻が送れてしまった事をお詫び申し上げます。

この記事中に出てくる元官僚氏の発言には、核燃料サイクル計画について「福島第一原発の事故『程度の事』で、この計画をあきらめられるものか!」という本音が透けて見えるようです。
いつも思う事ですが、日本の官僚政治に欠けているもののひとつは、現実を見ながら軌道を修正していくという柔軟性です。
おそらくは日本の政策は一度計画が動き出すと、『官僚利権』『政治家利権』とも言うべきものがぞろぞろ発生するのだと思われます。
それが政策が持つべき現実性、方向性をどんどん狂わせていく。

六ヶ所村再処理工場の核燃料サイクル計画などはその最たるものではないでしょうか?

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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