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【 フクシマ : 強い比放射能を放つ粒子状物質、ホット・パーティクルがもたらす脅威 】〈2〉

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所要時間 約 8分

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人が放射能を被ばくする場合、外部被ばくに加え、内部被ばくが重なる可能性がある
ホット・パーティクルによる被ばくは、平均的な外部被ばくと比較して被害が深刻

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 4月3日

人が放射能を被ばくする場合、外部被ばくに加え、内部被ばくが重なる可能性があります。
(1) 平均被ばく線量による外部被ばく量の予測
(2) ホット・パーティクルの福島第一原発からの放出量は、一般的な放射性物質に比べれば少ないため、これによる内部被ばくの例は数少ないものとなります。
このため大部分の人は、ホット・パーティクルによる内部被ばくを受けていないはずです。

しかし数%の人々は1個ないしそれ以上のホット・パーティクルによって被ばくをしていると考えられます。
そしてホット・パーティクルによる被ばくは、平均的な外部被ばくと比較して、被害が深刻である可能性があります。

従って人々の被ばくについて正確に把握しようとすれば、空間線量による外部被ばくの程度だけではなく、ホット・パーティクルによる被ばくについても正しい状況を把握する必要があるのです。

私たちのもとに様々なサンプルが送られてきたことにより、私たちは今被ばくの実態がどのようなものであるか、その全体像を描くことが出来るようになりました。
同時に私たちは平均被ばく線量の資料を基に、基礎的な部分の解明も進めています。

分析に用いるのはガンマ分光測定法です。
分光測定法は約100年前から存在し、私たちはこれを使って送られてきたサンプル内の放射性物質の崩壊がどこまで進んでいるかを確認する作業を行っています。

現在福島周辺では、至る所で3種類の放射性同位元素、すなわち放射性物質の存在を確認しています。
そのうちの2つがセシウム134とセシウム137です。
これらふたつの放射性物質が一定の割合で様々な物質内で確認されていることにより、その物質が福島第一原発の事故によって放出されたものである事を確信できるのです。

さてこれらの放射性物質ですが、原子力発電所において何らかの出来事が発生しなければ、環境中には存在しないはずのものです。

NBC 4
そしてセシウム以外に存在が確認されているのがラジウム226です。
ラジウム226は原子力発電に使われるウラン燃料そのものと直接の関係があり、核分裂の最初の段階で生成されます。

私たちは日本やアメリカなどから送られてきた塵のサンプルの分析を行う際、この3種類の放射性物質、セシウム134、セシウム137、そしてラジウム226が存在の有無について分析を行っています

そしてこれら3つの放射性物質の存在が確認されると、私たちは次の段階の分析に移ります。
ホット・パーティクルの存在の有無についてです。

もしホット・パーティクルの存在が確認されれば、さらに次の段階であるホット・パーティクルそのものの分析へと進むことになります。
最終的に残った中でホット・パーティクルと疑われる物質を取り出して銅板の上に置き、エックス線を照射して撮影を行います。
一週間の長期露出を行います。
これは考案されてからおそらく1世紀以上の時間を経た、使い慣れた手法のひとつです。

CBS02
しかし手法の古い新しいにかかわらず、この方法によって私たちは強い放射能を放つ、微細な物質である放射性物質の存在を確認できるのです。
そしてエックス線のプレートに反応があり、様々な条件からそれがホット・パーティクルである疑いが強まれば、私たちは精密カッターを使ってその物質だけを取り出し、走査型電子顕微鏡用のアルミニウムのプレートの上にそれを配置し、分析を行います。
この顕微鏡は古臭いものではなく、私たちが解明しようとするこの物質の基本構造を明らかにしてくれる機能を有するものです。

ではあなたもこのビデオを見ながら実際に顕微鏡を通して見ていると想像してみてください。
ジョイスティックと一組の十字キーを操りながら、一個一個のホット・パーティクルの5,000倍、10,000倍、あるいは15,000倍の画像を確認することが可能です。

テレビゲームの操作を思い出してください。
あなたはホット・パーティクルにエックス線ビームを照射し、それぞれ種類の違う物質を視界から消していくことが出来、現実に存在する物質を一つ一つ確認することが可能になります。
このような方法を用い、プルトニウム、アメリシウム、ウラン、ラジウムなどの各放射性物質の存在をひとつひとつ確認することが可能になるのです。

NBC 7
私たちはこうしたプロセスを経て、1キロも2キロもあるようなサンプルの中からごくわずかなホット・パーティクルを探し出し、実際に抽出することが可能にしているのです。
そうして初めて完全な検証と分析が可能になるのです。

そこに至るまでの手続きは煩雑で複雑なものですが、その代り非常に貴重な結果を手にすることが出来ます。
なぜなら誰かがこのホット・パーティクルを吸入あるいは摂取するようなことなれば、重大な結果につながってしまうからです。

〈 第3回につづく 〉

http://fairewinds.org/hottest-particle/
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春もたけなわ、吹き渡る風に爽やかさを感じる季節です。
外を歩いていると、思わず胸一杯に深呼吸をしたくなるのですが…
ちょっと待てよ…
ここは福島第一原発から90キロ、この記事を読む限りホット・パーティクルがあっても不思議ではない場所。
吸いかけた春の空気を吐き出しました。
まさに
「こんな世の中に誰がした?!」

明日30日・水曜日、掲載をお休みさせていただきます。
【 フクシマ : 強い比放射能を放つ粒子状物質、ホット・パーティクルがもたらす脅威 】〈3〉
は、5月1日・木曜日に掲載致します。
よろしくお願い致します。

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※古い投稿の画像の削除について
現在、2012年以前の投稿について、トピックスニュース等重要でない画像の削除を行っています。
ページによっては、画像が著しく少なくなっている可能性があります。
悪しからずご了承ください。

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【 ジェニー・ダンロップ作品集 】

ガーディアン[カメラ・クラブ] 3月4日
(掲載されている写真をクリックして大きな画像をご覧ください)

GRD 1
良い意味での強烈な色の世界が広がります。
自然の形象が上手に生かされていますが、線の力強さも感じます。
『緑の上の緑』と『赤の上の緑』の2作品は鮮烈な印象を与えます。
一方の黄色の作品は柔らかいイメージを持ち、特に背景に関する着想は秀逸でした。
これに対し『青』の印象は冴えません。
木の幹か一本の枝を青空に配置すべきだったかもしれません。
GRD 2
GRD 3
GRD 4

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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