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『500人の看護師をボランティアとして差出せ』東京2020 – 怒りの声を挙げる日本の看護師たち – 国民の生命よりオリンピック成功を優先

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真夏のオリンピック「大会開催中は10,000人の医療従事者が必要」患者も看護師も健康と生命が危険にさらされている状況下で

                     

写真 : 新型コロナウイルスCOVID-19ワクチンの初回接種を受ける看護師

            

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2021年5月3日

                    

日本看護協会に対し500人の会員看護師を東京2020に派遣するよう求める東京オリンピック組織委員会の要請に対し、医療関係者の怒りの声がわき上がっています。

                  

この要請は、開催国である日本で新型コロナウイルスの感染拡大が悪化の一途をたどる中、ただでさえ過剰な負担を強いられている医療関係者にこれ以上を負担を強いるべきでないという警告が繰り返されていたにもかかわらず、飽くまで大会開催を推進しようとする国際オリンピック委員会(IOC)と東京オリンピック組織委員会が行ったものです。

                 

日本国内での新型コロナウイルスによる死亡者の総数は、つい最近10,000人を超えました。
日本の死亡者数は極東アジア地域で最も多数にのぼりますが、メディアの報道によれば新型コロナウイルスの重症患者の数は昨週末には記録的な1,050人に達しました。
東京その他の患者が急増している地区の医療スタッフは、新型コロナウイルス患者に加え、感染拡大により適切な治療が受けられなくなっている他の病気の人々に専門的な治療を行うための態勢づくりが急務だと述べています。

                      

             

日本の第四波の震源地となった大阪府は、重病患者を収容するためのベッド数が不足し、新型コロナウイルスに感染・発症した人々は、入院する前に救急車で何時間も待つことを余儀なくされています。

                

さらに世界の中で大きく出遅れた日本のワクチン接種の対応は、オリンピック開催にさらなる暗雲を呼び込みました。
オリンピック大会組織委員会の関係者は、一年で最も暑い真夏に開催される東京オリンピックの大会中は、10,000人の医療従事者が必要になると述べています。

               

しかし、最近行われた日本看護協会に対する500人の会員看護師の東京2020への派遣要請は、ソーシャルメディアで『新型コロナウイルスの感染拡大の影響で忙しすぎて、オリンピックに時間を割くことができない』などと悲鳴に似た声を挙げる看護師などの渦を巻くような怒りの声に遭遇しました。

                    

オリンピック開催のための役割分担を求められることに反対を表明した地元の医療組合連合によるツイートは、数日で数十万のリツイートを受け取るほどの反響がありました。

                

日本医療従事者組合事務局長の森田進氏は、新型コロナウイルスへの対応を優先すべきだと語りました。

                 

                  

「新型コロナウイルスの急激な感染拡大と闘いのため深刻な状況を置かれている看護師を、オリンピックにボランティアとして派遣するという提案を私たちは阻止しなければなりません。」
声明のなかで森田氏はこう述べました。
「患者も看護師も健康と生命が危険にさらされている状況下で、飽くまでオリンピックの開催を主張する姿勢に激怒しています。」

       

2月中旬にワクチンの接種を開始した日本で、医療従事者は最初のグループでしたが、多くはまだ1回目の接種すら受けていません。
森田氏は、適切な予防措置を得ていない医療スタッフは、患者の治療やワクチンの投与中にウイルスに感染することを恐れていると述べました。

                  

これまで少なくとも1回のワクチン接種を受けたのは、1億2,600万人の日本の人口の2%未満です。
この数字はOECD諸国の中で最低です。

      

「怒りを感じるだけでなく、(要求の)あまりの鈍感さに驚きました。」
名護市の中心部で暮らす看護師の池田みきとさんはAP通信の取材にこう答えました。
「それは国民の生命がいかに軽視されているかを具体的に示すものです。」

                   

                 

過重なストレスや性も根も尽き果てたという形で仕事を辞めざるを得なかった事例も含め、仕事をやめた看護師をボランティアとして東京2020に参加させることを提案した菅義偉首相の発言が国内の反発を招きました。
「私が知る限りでは多くの医療従事者が休暇を取っており、それは可能であるはずです。」

                  

鳩山由紀夫元首相は次のようにツイートしました。
「今、日本の人々は新型コロナウイルスに感染して死ぬのか、それとも経済的困窮の末死ぬのだろうかと、ほとんどの人が追い詰められた状況にいます。そして大阪その他の場所では看護師たちに助けを求めています。さらにワクチン接種の場に看護師は必要ないのでしょうか?」

                  

野党国会議員の田村智子氏は、次のように述べています。
「事態は極めて深刻です。看護師のみなさんは、どうすればこの状況に対処できるかわからなずにいます。物理的にも不可能です。」

                    

菅義偉首相はIOCと組織委員会による「81日以内に安全で快適なオリンピックを開催することが可能である」という主張をそのまま繰り返し述べていますが、医療の専門家の疑問は深まる一方です。

               

                   

                      

4月のBMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル。1988年からBMJが正式名称となっているイギリスの医学誌)の記事は、日本はオリンピックの開催を「考え直す」べきであり、「国際的規模の大集会イベントは…まだ安全でも快適でもない」と述べています。

                 

東京医師会の尾崎晴夫会長は、最近累積症例数が60万人を超えた日本で、より伝染性の高いウイルスの亜種が蔓延している今、オリンピックを開催することは「非常に難しい」と語りました。
5月2日日曜日、日本は5,900の新たな感染とさらに61人の死亡を報告しました。
「大会開催を望むという精神論はもう十分に聞きました。」
尾崎氏はこう語りました。
「国内外で感染者数を増やすことなく、大会開催をすることなど非常に困難です。」

                 

菅義偉首相は先月、感染者数の急増を抑制するために東京、大阪、その他2つの感染が拡大している自治体で非常事態を宣言し、酒類を提供するレストランは少なくとも5月11日まで閉店するか営業時間を短縮し酒類の提供を行わないよう要請しました。

                    

                    

https://www.theguardian.com/sport/2021/may/03/japan-nurses-voice-anger-at-call-to-volunteer-for-tokyo-olympics-amid-covid-crisis

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自民党の改憲案に含まれる『緊急事態条項』。

この提案をする彼らの『緊急事態』というものが、国民の生命財産が危険にさらされることではなく、オリンピックという一大利権イベントが開催できなくなることを指すのだということを痛感させられる記事です。

戦後70年以上の時間をかけて日本の民主主義を進歩発展させようとしてきた努力を土足で踏みにじる気満々です。

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