星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » アーカイブ

【 オキナワ戦 : 沖縄の人々にとっての太平洋戦争 】《1》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 10分

広告
広告

沖縄を『たたきつぶす』ために、戦史上最大規模の火力と物量を集中させたアメリカ

世界の軍事史上、これ程の距離をこれ程の物量を移動させて陸海空合同の作戦が行なわれた例は他にない

前途に希望の無い戦いで、日本軍将兵10万と沖縄県民10万が無残に殺されることになった

 

クリストファー・ドン / アメリカCNNニュース 2015年3月13日

 

%e6%b2%96%e7%b8%84%e6%88%a601

1945年3月に行われたフィリピンのルソン島全域に対して行われた攻撃を例外にすれば、沖縄戦はアメリカにとって第二次世界大戦を通して最大規模の上陸作戦になりました。

1945年4月1日日曜日復活祭に開始された作戦は、町でも、村でも、凄惨な戦いが展開されました。

この当時の沖縄の人口は500,000ほどでしたが、中には人を寄せ付けないような山岳地帯や深く切れ込んだ谷あいに暮らす人々もいました。

 

攻撃するアメリカ側にとって、この戦いは物資補給と戦略立案の戦でもありました。

「かつて見たことも無い規模の攻撃は、総勢545,000人のアメリカ陸軍兵と海兵隊員を乗せた遠洋航海に耐えうる1,600隻の艦船がオキナワに押し寄せました。」

歴史家ロバート・レッキーはその著作『悪魔からの贈り物 : 第二次世界大戦物語』の中にこう記しました。

「あらゆる武器を合わせた火力、兵員数、そして動員された艦船の総トン数は、いずれも史上有名なノルマンディー上陸作戦のそれを上回るものでした。」

 

%e6%b2%96%e7%b8%84%e6%88%a602

ロバート・レッキーが『物量の化け物』と表現したアメリカ軍の装備は、7,500マイル離れたアメリカ西海岸からわざわざ運ばれてきました。

世界の軍事史上、これ程の距離をこれ程の物量を移動させて陸海空合同の作戦が行なわれた例は他にありません。

 

そして沖縄の地上は、はたちまち残虐な大量殺戮の場と化しました。

一度の戦いで過去例のない犠牲者を出しながら、アメリカ軍は人間としての常識を超えた執拗さと勇敢さを示す日本人がこもる拠点をひとつひとつつぶしていく作業に没頭せざるを得ませんでした。

それらの拠点には軍人だけでなく、民間人もいました。

 

長年続いた戦争と物資や食料の窮乏に疲れきった日本人は、南部の海岸線に沿った最終的な防衛線に向けじりじりと後退して行きました。

 

最早アメリカ軍が300メートルの至近距離にまで迫って来た時、牛島満中将と参謀長の長勇中将は礼装に着替え、海を見渡せる場所にある司令部壕に敷かれた白い布の上に正座し、武士の作法に則り割腹自殺しました。

 

%e6%b2%96%e7%b8%84%e6%88%a611

6月22日、公式に沖縄戦の終了が宣言されました。

約100,000人の日本兵が、80,000人とも100,000人とも言われる民間人とともに死亡しました。

一方、アメリカ軍側の犠牲者も死亡12,520名に達しました。

このうち5,000名の将兵が海上で命を落とし、アメリカ海軍史上最悪の犠牲者数を記録することになりました。

負傷者の数も37,000人に上りました。

 

どれをとっても、沖縄は太平洋戦争で最も多くの血が流された場所になったのです。

 

沖縄本島は、日本の本土から600キロメートル離れた場所にあり、この後予定されていた日本本土上陸作戦の、たちまちに巨大な物資兵員が集積するアメリカ軍の基地と化したのです。

しかし沖縄戦が終了した6週間後、広島と長崎に原子爆弾が投下され、日本本土への上陸作戦は必要が無くなりました。

 

そしてアメリカ軍は、沖縄を出発する機会を永久に失ったのです。

 

沖縄戦03

そして今日、国際報道で取り上げられる沖縄とアメリカ軍の関係は、周辺海域での外交的緊張、活発な軍用機の活動、そして無法な振る舞いに及ぶアメリカ軍兵士とその関係者に象徴されることになったのです。

このような沖縄の歴史を理解すれば、外の世界の人々はそこに怒りに満ちた人々が多数暮す単純な世界をそうぞうするかもしれません。

海外のものに対しては何にでも、特にアメリカ人に対して強烈な拒否感情を持っている人々を。

 

しかし現実はそうではありません。

沖縄にいるのはとても人間的で、そしてきわめて寛容な人々です。

沖縄の那覇空港に到着し、最初に目に入るのは 「めんそーれ」という言葉です。

それは沖縄へようこそと言うほどの意味です。

この言葉は商店の壁に貼られたバナーにも書かれ、ときには暖かく微笑みながら沖縄の人々からあなたに向けられます。

 

沖縄戦04

あなたはこう考えるかもしれません。

「長い年月、大編成の外国の軍隊が駐留を続ける環境に置かれていても尚、沖縄の人々は幸せでいられるのだろうか?」

 

《2》に続く

http://edition.cnn.com/2015/03/12/travel/okinawa-world-war-ii-travel/index.html

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

原題はWorld War 2 なので、第二次世界大戦と訳すか太平洋戦争とするか迷いました。

全島を地獄にしてしまった戦争を沖縄の人々が普段どう呼んでられるのか、その知識がないためです。

 

米軍基地がらみの事件や今の基地移転問題に動きがあると、沖縄の問題がクローズアップされますが、しかし沖縄の人々の心までを思い測った報道がきわめて少ないということに改めて気がつきました。

そして私たち「本土」で暮らす人間に最も欠けているものは、沖縄の人々の心を理解しようという姿勢だと感じました。

全3回のこの稿では、最後に「沖縄の心」について語られる部分があります。

私自身はその締めくくりに最も強く感動しました。

 

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

【 2016年報道写真50選 】《4》

 

アメリカNBCニュース 2016年12月21日

8月17日山林火災の後、カリフォルニア州キーンブルック近郊のライトル・クリーク通り脇の丘、で、尚も燃え続ける付近の山。

不規則で移動速度が極めて早い延焼により、南カリフォルニアでは90平方キロ以上の山林が焼失、数千人が避難する騒ぎとなりました。(写真上)

 

1月19日イラク国境に近いトルコ南西部のクルド人が暮らす町シロピで、破壊された家屋の中に立つ子どもと母親。(写真下・以下同じ)

トルコ政府は国内南西部の市街地から、民族の分離独立を目指すクルディスタン労働者党の勢力を一掃するため、夜間外出禁止令を出した後一斉攻撃を行いました。

8月17日シリア北西部のアレッポに対するアサド政権側の空爆の後、倒壊した建物の中から救出され、救急車の中で搬送を待つ5歳の男の子オムラン・ダクニーシュ。

倒壊現場からオムランと家族を最初に救出したのはボランティアの救助隊ホワイト・ヘルメットでした。

血だらけのまま呆然とする男の子の姿は、戦争で荒廃したアレッポで暮らす恐怖を象徴する写真として、ソーシャルメディアを通し世界中に波紋を広げました。

11月20日にアメリカ、ノースダコタ州のキャノン・ボール郊外のロック・インディアン居留地のそばで、ダコタ・アクセス・パイプラインの建設計画への抗議デモを行う人々に放水する警察。

8月以降イリノイ州にある製油所まで石油を送る総工費4,460億円のこのプロジェクトは4州の数千人の住民が影響を受けることになります。

ノースダコタとサウスダコタの州境にまたがるインディアン居留地の人々は、飲料水と彼らの聖地が汚染されるとして激しく反対しています。

この争いは現在法廷に持ち込まれていますが、裁定は2017年の1、2月前後になる予定です。

4月28日シリア、アレッポで24時間近く続いた包囲攻撃と空爆により、負傷し、ほこりまみれになった女性。この攻撃では市民60名以上が死亡しました。

http://www.nbcnews.com/slideshow/year-pictures-2016-n697021

【 オキナワ : アメリカ軍からの土地返還、不安も不満も緩和されず 】《後編》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 10分

広告
広告

アメリカ軍の土地返還は結果的に住民の負担を増すだけ、目的は基地機能の強化以外の意味は何もない

ヘリパッド建設により住民は絶えず騒音に悩まされ、事故発生に怯えて暮らさなければならなくなる

 

モトコ・リッチ / ニューヨークタイムズ 2016年12月22日

 

12月22日名護市ではヘリポートの建設とオスプレイの飛行飛行再開に抗議する人々がデモ行進を行いました。
今年の夏には、ヘリポートの建設現場に資材を運び込む道路で妨害活動を行った人々が警官隊と衝突する事件も起きています。

 

こうした動きとは別に沖縄県議会は22日、県内でのオスプレイの飛行停止と全機の沖縄からの引き上げを要求する決議を採択しました。

オスプレイも使用しているアメリカ軍のヘリコプター離着陸施設に周囲を囲まれている場所の一つである東村の住民の中には、今回の土地の返還が彼らが生きていく上でどのような貢献もしないと語る人々もいます。
「今回の土地の返還は私たちの負担を増すだけです。」
東村議会の議員、56歳の伊佐郁子さんがこう語りました。
「目的は基地機能の強化、それ以外にどんな意味もありません。」

 

東村で宿泊施設とカフェを経営する58歳の葦峰厳達さんは、ヘリパッドが建設されてしまえば、住民は絶えず騒音に悩まさせれるのに加え、事故発生に怯えて暮らさなければならなくなると語りました。
「もし今以上に多くのオスプレイが配備されるようなことになれば…」
葦峰さんは次のように続けました。
「私たちはもう、ここでの暮らしを続けることはできなくなるでしょう。」

しかし公共放送NHKが12月21日に行ったインタビューの中で、伊集盛久東村長は大部分が森に覆われたこの土地の返還を歓迎しました。
「土地の返還後は、この場所を国立公園として整備し、観光資源として沖縄全土の振興のため役立てたいと考えています。」
伊集村長はこう語りました。

 

沖縄はその全面積の5分の1を占有していますが、アメリカ合衆国と日本が北部訓練場半分の返還に合意したのは20年前、アメリカ軍の3人の兵士が12歳の女の子を集団で暴行した事件の後、日米が交わした幅広い計画の中のひとつです。
この計画の中には沖縄本島の南部にある普天間空軍基地を移転させることも、日米の合意事項として含まれています。
後に人口密度が低い名護市周辺が移転先の候補地として選ばれました。

翁長沖縄知事は北部訓練場半分の返還の記念式典が行われた同じ日、アメリカ軍基地すべての沖縄県からの撤去を求める集会に参加しました。

翁長沖縄知事は前任者の仲井真知事が許可した、名護市辺野古沖に2本の新しい滑走路を建設するために必要な埋め立て作業の建設許可を取り消しました。

 


これに対し日本政府は沖縄政府相手に訴訟を起こし、今週、最高裁判所は翁長沖縄知事が建設許可を取り消すことはできないとの裁定を下したのです。

 

《完》

http://www.nytimes.com/2016/12/22/world/asia/us-japan-okinawa.html?rref=collection%2Ftimestopic%2FJapan&action=click&contentCollection=world&region=stream&module=stream_unit&version=latest&contentPlacement=1&pgtype=collection&_r=0

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

私はアメリカ軍の海兵隊員だという人を実際に見たことがありますが、その体の大きさと頑健さに驚き、自分のような華奢な人間など手首ぐらいなら簡単に折られてしまいそうだと感じたことがあります。

私が感じたのは肉体的恐怖と言われるものでしょう。

 

私が暮らす地元には自衛隊の航空基地があり、時々ヘリコプターの小編隊が頭上を通過して行きます。

自衛隊のヘリコプターの場合は高度を上げて飛行していますが、それでも雲が低い位置にあるときなどは爆音が響き渡ります。

それに対しニュース映像などで沖縄の米軍機の飛行の様子を見ると、市街地であってもかなりの低空を飛び回っていることに驚かされます。

これが頻繁に頭上を行きかうのでは、その下で暮らすのは大変な事だと思います。

 

そして何かといえば銃が持ち出され頻繁に人殺しが起きているアメリカ社会からやってきた人間を大量に収容している米軍基地が、あちこちにある。

しかもわれわれ一般の日本人には想像もできないような武器に囲まれて…

最先進国アメリカの正規軍であれば、その規律も相応に厳しいはずであり犯罪者集団であるはずもありませんが、実際には沖縄県民が人道上許されないような犯罪の被害者にされ、むごたらしい目に遭わされている。

 

こうした現実には、アジア太平洋地区の沖縄の戦略的価値と同じ重さは無いのでしょうか?

 

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

【 2016年報道写真50選 】《3》

 

アメリカNBCニュース 2016年12月21日

 

2016年7月16日、トルコ、イスタンブールのボスポラス海峡大橋でクーデターに失敗し降伏する兵士たち。(写真上)

エルドアン大統領の休暇中を狙った軍のクーデター未遂は7月15日深夜首都アンカラとイスタンブールに戦車が侵入して開始されました。

夜通し爆発や発砲が続き、少なくとも270人が犠牲になりました。

トルコ政府はクーデターがアメリカ国内に拠点を構えるイスラム聖職者フェスラー・グレンが背後で糸を引いていたと見て、同氏が指導していた運動の支持者に対し大規模な取締りを開始しました。

フェスラー・グレン本人はあらゆる関与を否定しています。

 

8月29日リビア沖約20キロの海上ですし詰めの木造船から海に飛び降り、救助船に乗り移ろうとする難民。彼ら数千人の難民のほとんどはエリトリアを脱出してきたもので、イタリアの沿岸警備隊など他の機関に救助される前に、NGOのプロアクディヴァ・オープン・アームズのメンバーによって20隻以上のボートから救い出されました。(写真下・以下同じ)

10月24日フィリピンのマニラ市内で、TVカメラの照明の中に浮かび上がる射殺遺体。

誰が銃撃したのかは不明です。

6月に就任して以降ロドリゴ・ドゥアルテ大統領はかつてない厳しい違法薬物の取締りを行い、故これに関連する死亡者は6,000人を超えました。

9月25日エチオピアのキビッシュ近くの南オモ渓谷の木の上に立つスリ族の子どもたち。

スリ族は古くからナイル川流域で生活してきた農耕民族です。

オモ川に沿って建設されるギベの3つのダム、アフリカで3番目となるに大規模水力発電所、そして綿と砂糖を栽培するためのプランテーションと工場の建設は広範囲にわたって行われ、流域昔と変わらぬ生活を続けてきた先住民族の生活を脅かしています。

結果的に彼らが従来の生計を捨てることになれば難民化せざるを得なくなり、種族も消滅してしまう可能性があり、人権団体等が懸念を深めています。

グローバリゼーションと開発の進行により、従来の素朴な農業や牧畜が成り立たなくなっています。

エチオピアは、これからの5年でダム建設により15,000メガワットの発電能力を手に入れようとしています。

3月22日に発生したブリュッセル空港での爆発事件に巻き込まれて負傷し、着ていた制服もぼろぼろになったまま呆然とする40歳のインド、ムンバイ出身の客室乗務員(右側の女性)。

イスラム過激派は、ヨーロッパ中心部の空港と地下鉄で自爆による連続テロ事件を引き起こし、、少なくとも34人が犠牲になりました。

肺炎による休養の後、9月16日アメリカのワシントンD.C.で開催された黒人女性のための討論研修会の席上、演説を行うアメリカ民主党公認大統領候補ヒラリー・クリントン。

http://www.nbcnews.com/slideshow/year-pictures-2016-n697021

【 オキナワ : アメリカ軍からの土地返還、不安も不満も緩和されず 】《前編》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

広告
広告

「米軍には沖縄の人々に対するいかなる思いやりも無いということを、極めて残念に思います。」

沖縄に駐留するアメリカ軍の主な任務は日本の国土の防衛だけではなく、アジア全域におけるアメリカの権益を護ること

 

モトコ・リッチ / ニューヨークタイムズ 2016年12月22日

 

米軍基地の存在を巡って緊張が高まっている沖縄県で、12月22日アメリカは日本に対し沖縄本島北部にある約4,000ヘクタールの土地を正式に返還しました。

アメリカ合衆国が第二次世界大戦(太平洋戦争)後占領を続けてきた沖縄を1972年に日本に返還して以降、最大規模の土地の使用権の移動になりました。

 

米国のキャロライン・ケネディ駐日大使は今回の返還について、沖縄本島におけるアメリカ軍の存在を今後縮小していく動きの第一歩になるものだと語りました。

日本に駐留しているアメリカ軍の約半数の50,000人の兵員が現在沖縄県内各地に配置され、沖縄本島の5分の1の面積をアメリカ軍が占有しています。

 

22日名護市の海岸にあるリゾート地で開催された式典で、ケネディ大使は今回の返還を「マイルストーン」と表現し、次のようにつけ加えました。

「日本全土に対する安全保障上の盟約の実効性を維持しながら、沖縄県における基地負担の軽減を継続的に行っていくアメリカの決意を示すものである。」

 

しかし今回の返還もまた、これまで多発してきた県民とアメリカ軍との間の軋轢同様、沖縄県内に激しい論争を巻き起こすことになりました。

 

アメリカ軍がその半分を兵士のジャングルでの戦闘を想定した訓練のために使ってきた土地を返してもらう代わり、日本政府は沖縄県内のアメリカ軍が占有している敷地内に新たに6カ所ヘリコプター発着パッドを設備することに合意しました。

今回の合意について、人数的には多くはないものの激しく反発するグループは、ヘリパッドを建築することによる騒音被害の拡大、さらには事故発生の可能性がある事への懸念を表明しました。

長い間、沖縄の人々はアメリカ軍の基地の存在に関連した暴力と騒音に悩まされ続けてきました。

今年5月にはアメリカ軍の元海兵隊員が20歳の沖縄の女性を殺害して逮捕され、アメリカ軍の存在に対する県民の反発はここ数カ月間高いままになっています。

沖縄本島の北部、ちょうどヘリポートが造られている名護市沖合にでアメリカ軍のオスプレイ・ティルトローター機が墜落した(アメリカ軍当局は『不時着」と主張)今月、県民の懸念はいやがうえにも高まることになりました。

米国軍は飛行を再開すると公式に発表する以前から、1週間をかけてオスプレイの編隊すべての地上の基地への移動を行い、地元住民を怒らせ、翁長雄志沖縄県知事がケネディ駐日大使も出席した土地返還の式典を欠席する事態となりました。
「米軍には沖縄の人々に対するいかなる思いやりも無いということを、極めて残念に思います。」
翁長知事は声明でこう述べました。

日本の稲田防衛大臣は今回の土地返還について、すべての沖縄県民に恩恵をもたらすことになったと賞賛しましたが、オスプレイが事故を起こした件については「遺憾」の意を表明した上で、アメリカ軍は「二度とこうした事故を起こさないよう、万全の対策をとること」を求めました。

 

第二次世界大戦の終了とほぼ同時に、日本はアメリカ軍にとって最前線の重要拠点となりました。
駐留アメリカ軍の主な任務は日本の国土を防衛するだけではなく、アジア全域におけるアメリカの権益を護ることです。
アメリカ合衆国でつい最近展開された激しい大統領選挙戦において、ドナルド・J・トランプは日本に駐留するアメリカ軍兵士と基地の存在を争点の一つに挙げました。
トランプはアメリカ合衆国が日本を防衛するために過剰な経済的負担を強いられていると主張し、場合によってはアメリカ軍を日本から撤退させるという選択肢もあることを示唆しました。

 

しかし現在のところアメリカ軍当局は引き続き日本に、そして沖縄に駐留を続けることを約束しています。
ただしケネディ駐日大使は22日の返還式典でアメリカ合衆国が「アメリカ軍の存在の影響を減らす」よう努めるとの発言を行いました。

 

《後編に続く》

http://www.nytimes.com/2016/12/22/world/asia/us-japan-okinawa.html?rref=collection%2Ftimestopic%2FJapan&action=click&contentCollection=world&region=stream&module=stream_unit&version=latest&contentPlacement=1&pgtype=collection&_r=0

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

私という『本土』の人間は沖縄の苦しみを正しく理解しているだろうか?

それは結局、沖縄県民となって家族とともにその場所で暮らす以外に方法はないのかもしれません。

しかし理解に一歩でも近づくため、土地返還を扱ったニューヨークタイムズの記事、そして続いてアメリカ軍が常駐することになった背景を全島の史跡を巡りながら考察したアメリカCNNニュースの記事をこの年末年始、続けて掲載することといたしました。

 

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

【 2016年報道写真50選 】《2》

 

アメリカNBCニュース 2016年12月21日

 

2016年3月20日、キューバ、ハバナ市内の国際空港に着陸態勢に入ったアメリカ大統領専用機。

バラク・オバマ大統領と彼の家族を乗せたエアフォース・ワンがハバナ市街上空を通過した時の写真。オバマ氏は1928年に当時のC・クーリッジ以来キューバを訪問した初の現職米国大統領として歴史に名を残すことになりました。(写真上)

 

6月10日ケンタッキー州ルイビルでボクシング・チャンピオンの故モハメッド・アリの葬列の到着を待って、遺体を運んでいる霊柩車に触れようとする人々。

手にした旗には「モハメッド、あなたを愛しています」と書かれています。(写真下・以下同じ)

モハメッド・アリは長くパーキンソン病に苦しんだ後、6月3日74歳で永眠し、この日遺体が生まれ故郷の町に運ばれてきました。

3月5日フロリダ州ブエナ・ビスタ湖のチャンピオン・スタジアムでブレーブスとパイレーツの春季トレーニング試合で、打者が手を滑らせて客席に飛んできたバットを避けようとする人々。
写真中央の男の子は間一髪で顔を直撃される被害を免れました。

4月14日仙台市の八木山動物公園から逃げ出した雄のチンパンジー、チャチャが電柱の上で近づいてきた捕獲員に威嚇する瞬間。2日間に渡る逃亡の後、チャチャは動物公園に戻されました。

8月24日イタリアのアマトリーチェを襲った大地震の後、携帯電話をチェックするアルバニア出身の32歳の修道女。
地震発生の直前、数人の女性が丘の上にある中世の町アマトリーチェで下界の暑熱を避け、くつろいでいました。
地震に襲割れて修道院の半分が倒壊し3人の修道女と4人の初老の女性が犠牲になりました。

9月1日にイタリアのアマトリーチェ近くの山村ラツィオで、粗石の間に生き埋めの人間がいないか捜索する救助隊員。マグニチュード6.2の大地震が8月24日にイタリア中部を襲い、292人を殺しました。

http://www.nbcnews.com/slideshow/year-pictures-2016-n697021

【 ホワイトカラー・ブルース : 一度は燃え尽きたサラリーマンが再び立ち上がるとき 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

広告
広告

長寿化が進む日本社会、変わりつつある終身雇用制度による身分保障

仕事の中身ではなく、長時間やみくもに働くことによって身分を保証されてきた日本の会社員

 

エコノミスト 2016年12月20日

 

東京にある社会人材学舎は、ほかとは少し異なる種類のビジネス訓練施設です。

所属しているのは3分の2が男性ですが、そのほとんどは日本の大手企業の終身雇用制度による身分保障を自ら捨てて再出発しようと考えている人々です。

終身雇用の慣習から抜け出す第一歩は、張り巡らせてきたバリアを壊すことから始まります。

例えば、持参した弁当を中身が解らないようにして知らない人と分け合う事もあります。

かつてサラリーマンだった塾生は少し神経質な笑みを浮かべながらも、一年を通し他人というものがコミュニケーションを築くべき相手であることを実地に学ぶことになります。

 

この社会人材学舎の理事で専任講師を務める小澤松彦氏は、この方法は第二のキャリアを築く準備段階で、会社員あるいはビジネス・パートナーとしてではなく個人として人や社会と交流するためのものだと説明してくれました。

小澤氏は真の意味での人間としての自立を目指す、これらのコースを専門に担当しています。

 

形式的序論を大きく重んじる日本という国にありながら、ここの塾生たちは名刺の交換すらしたことはありません。

氏名、肩書、その他の個人情報を塾の中で明かすことは禁止されています。

塾生たちは自分に別の名前をつけています。

これは塾を一歩出た外の社会に存在する、かつての会社社会の地位や価値観を復活させないようにするためです。

「私たちはゼロから出発し、塾生の人々が自分を再発見するためのお手伝いをしているのです。」

小澤氏がこう語りました。

 

長い間日本のサラリーマンは、身に着けたスキルではなく、会社への忠誠心とどれだけ身を粉にして働くかということの方に重点を置く報酬制度に基づく職業エスカレーターとも言うべきものに乗ってきました

サラリーマンというのは戦後1945年以降にできた定義ですが、その中身はしばしば数世紀も前の日本の伝統に縛られてきたものだ、こう語るのはかつて安倍首相の経済顧問を務めた八代尚宏氏です。

 

戦後間もなく到来した日本の高度成長期、企業は終身雇用制度を確立させ、それによって必要な人材の確保を行いました。

この制度の下ではより多くの報酬を得るために必要なことのすべては、企業内に留まったまま年齢を重ねていくことだったのです。

 

お返しにサラリーマンたちは、雇い主である企業の過酷な要求にも応えなければなりませんでした。

場合によっては自宅から何百キロも離れた子会社への異動を2、3日前に通告されても拒否することができませんでした。

父親たちは単身赴任を余儀なくされ、多くの子どもたちが父親のいない家庭で育つことになりました。

 

サラリーマンたちは、家族ではなく仕事を心の支えとして生きていかなければなりませんでした。

早稲田大学で労働問題を専門に研究する小倉一哉准教授によれば、日本の会社員はドイツ、フランスのビジネスマンと比較すると、平均で1年間に400時間以上長く仕事をしていることになります。

 

しかし日本ではまだ多くのサラリーマンが頑なに塹壕の中で身構えています。

何とか日本経済を成長軌道に載せようとしている安倍首相は、このサラリーマンの中でも底辺近くに位置し、低賃金で働く契約社員やパートタイム労働者により多くの権利を与えることを約束しました。

政策として同一労働同一賃金を実現するための法改正などがありましたが、結局はこうした根本的構造改革は見送られることになってしまいました。

 

それでも多くの日本企業が定年延長の傾向が続く中、かつてのようにすべての労働者を完全に引退するまで雇用し続ける体力を失いつつあり、終身雇用制度は実質的に崩壊しつつあります。

家電メーカーなど不振が続く業界では早期退職者の募集などを繰り返し行っていますが、対象となる人々の年齢いかんでは再就職のための訓練もむ難しくなる可能性もあります。

 

社会人材学舎の理事で専任講師を務める小澤松彦氏は日本人の平均寿命が70歳前後であった時代には終身雇用制度も成り立っていたと語りましたが、現在では多くの企業が早期退職に応じる正社員に対し、高額な補償を行うようになっています。

 

多くのサラリーマンが早期退職を選択するようになりました。

社会人材学舎の塾生のひとりである伊藤弘幸さんは45歳で23年間乗り続けてきたサラリーマン・エスカレーターから降り、外の世界へと一歩踏み出しました。

辞めた理由は仕事が退屈だったからだと語りました。

「リスクを採る必要もなく、思い切って挑戦することもありませんでした。」

 

伊藤さんは現在東京の社会人材学舎に通っていますが、日本国内には同様の機関が増えつつあります。

伊藤さんは教師として第二の人生を歩いて行きたいと考えています。

かつてのサラリーマンたちは、それまでの思考法を捨て去るために週2回5カ月間社会人材学舎に通うことになります。

数十年もの間単調な過重労働を続けてきた後、やっと彼らの目が輝くようになるに違いありません。

 

http://www.economist.com/news/business/21712164-increased-longevity-means-lifetime-employment-isnt-lasting-distance-japan-new?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

【 2016年報道写真50選 】《1》

 

アメリカNBCニュース 2016年12月21日

 

2016年7月9日ルイジアナ州バトンルージュ警察署の本部近くで、警察官による黒人青年射殺事件に抗議する女性。この後写真の女性は逮捕・拘留された。

ミネソタ州で発生した警察官による黒人男性射殺事件を始め、2016年には警察官による有色人種射殺事件などが相次ぎ、全米に『Black Lives Matter(黒人の生命も大切なはずだ!)』運動が広がることになりました。(写真上)

 

9月5日のスペインのベニタチェル村、プールの中から山林火災を見つめる2人の男の子。

この山林火災では20機以上の消防用航空機が出動し、消防士は気温が摂氏40度の中、消火活動にあたりました。(写真下・以下同じ)

8月14日リオデジャネイロ・オリンピック100メートル短距離走の準決勝で後方を確認するジャマイカ代表のウサイン・ボルト。

ボルトは3大会で100m、200m短距離走両方の金メダルを獲得すると偉業を成し遂げた3人目の選手になりました。

8月5日リオデジャネイロのマングエイラ・スラム街で、オリンピックの開会式の打ち上げ花火を見物する住民。

10月9日フィリピン、マニラ市内、葬儀のため運び込まれた父親の遺体を前に泣き崩れる6歳の女の子。25歳の父親は隣人とともに殺害されているのが発見されました。

フィリピンではドゥアルテ大統領の就任以降麻薬取引の嫌疑をかけられた人間が、警察が関わった分だけで約2,000人が殺害されたと見られています。

 

9月11日シリア北西部の都市アレッポでアサド政権側の空爆が行なわれる中、赤ちゃんを抱いて避難を急ぐ男性。

http://www.nbcnews.com/slideshow/year-pictures-2016-n697021

 

【 高速増殖炉『もんじゅ』の廃炉をやっと決定 – 日本 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 6分

広告
広告

ほとんど成果らしい成果も無いまま、国費1兆円を浪費し続けた『夢の原子炉』

地元自治体は高額な補助金・助成金をかき集め、雇用機会を提供してきたもんじゅを失うことに反対

 

AP / ワシントンポスト 2016年12月21日

 

日本は、少資源国の日本のエネルギー需要の救世主になるという望みに応えることなく、数十年に渡り国民の税金を無駄に食いつぶし続けた実験的な高速増殖炉の廃炉計画を、12月21日正式に承認しました。

安倍内閣は絶え間のないトラブルに苦しみ続けた高速増殖炉『もんじゅ』の廃炉を決定したのです。

 

22年前にスタートした高速増殖炉プロジェクトはわずか250日間の稼働実績しかありませんが、この間に1兆円という巨額の国家予算が費やされました。

高速増殖炉『もんじゅ』は燃料としてプルトニウムとウランの混合核燃料を使って発電を行うプロセスの中で、使った以上のプルトニウムを作りだし、永久的に核燃料を自給自足し続ける『夢の原子炉』として設計されました。

 

しかし『もんじゅ』は稼働して数か月で、冷却剤として使われていたナトリウムの大規模な漏出事故を起こして停止、その後も数々の安全上の欠陥が見つかり、何年何十年という単位で停止していました。

 

その間の2011年3月、巨大地震と巨大津波が引き金となり福島第一原発が周辺の環境に壊滅的被害を与る事故が発生し、日本では原子力発電所に関し新しい安全基準が導入されることになりました。

『もんじゅ』を管理する政府当局は試算した結果、新しい安全基準に適合させるため必要な改良工事を行うには、新たに5,400億円の費用と8年に渡る作業が必要なことが明らかになったとしていました。

 

高速増殖炉『もんじゅ』がある福井県で菅義偉官房長官は会見を行い、

「『もんじゅ』を再稼働させるためには莫大な費用と貴重な時間を費やすことが明らかになったため、もんじゅを廃棄することに決定しました。」

地元自治体は高額な補助金・助成金をかき集め、地元で雇用機会を提供してきたもんじゅを失ってしまうことに反対しています。

 

一方で政府当局者は『もんじゅ』が無くなっても、日本の燃料サイクル計画には変更は無いと語りました。

 

しかし燃料サイクル計画を批判してきた人々は、この計画は実現性が乏しく失敗続きであり、現実的な選択肢として使用済み核燃料の地下埋設処理を検討すべきだと主張しています。

政府当局は『もんじゅ』に代わる別の高速炉を検討していますが、具体的なことはまだ何も決まっていません。

 

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japan-decides-to-scrap-monju-fast-breeder-nuclear-reactor/2016/12/21/a1827506-c747-11e6-acda-59924caa2450_story.html?utm_term=.b69fbefd810d

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

【 避難が進まず、深刻化する難民の人道的危機 】《2》

 

アメリカNBCニュース 2016年12月16日

 

シリアのアサド政権の勢力が反乱軍からアレッポを奪還しましたが、双方の非難の応酬が続き、一般市民の避難が進まない状況に陥っています。

12月15日荷車に家財道具を山と積み上げ、反政府側の勢力圏だったアレッポ東部から避難する住民。(写真上)

アレッポ市内の孤立した地域から市民と反政府勢力の兵士を避難させる取り組みが始まった2日目、市民の脱出準備が進んでいたにもかかわらず、政府と反政府側の非難の応酬が激化したため突然停止しました。

 

同、近所の住民に介添えされ避難する初老のシリア人男性。(写真下・以下同じ)

アレッポの支配権を巡る内戦は6年目に入ったところで収束する見込みとなりました。

避難する住民。

 

12月15日アサド政権の支配下にあるサラヘディン地区で、一部が内戦によって破壊された建物の中から、反政府側の勢力圏から避難してきた反政府側兵士とその家族たちを見下ろす住民。

アレッポ西郊の反政府側の勢力下にあるカーン・アル・アッサール地区にバスで避難してきた市民。

シリア国内で活動する人権団体は臨時の病院等を設備した上で、独自に手配したバスを使いアレッポ市内からイドリブ郊外にあるこの場所に住民たちを移送しています。

12月15日まだ反政府側の勢力下にあるカーン・アル・アッサール地区にたどり着くと同時に、涙を流した男性。

6年目に入ったシリア内戦で、反政府側は重要な反抗拠点だったアレッポ市東部からの脱出を余儀なくされることになりました。

この戦争は同時に、史上最悪となる難民危機を作りだす結果となりました。

http://www.nbcnews.com/slideshow/thousands-evacuated-rebel-held-aleppo-n696996

【 ゲンパツが二酸化炭素(CO2)の排出量を減らすというのは本当の話ですか?】《3》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

広告
広告

新型原子炉より8割も安い金額で、同じ出力の太陽光・風力発電システムを完備できる

欠点の多い20世紀の原子力技術をリサイクルして、21世紀に新たな問題を作り出すような愚は避けなければない
二酸化炭素(CO2)排出量を削減するために、処理不可能な放射性核廃棄物を作り出すほど愚劣なことはない

 

アーニー・ガンダーセン / フェアウィンズ 2016年10月19日

 

地球温暖化防止のため、8兆2千億ドル(約965兆円)もの費用をかけて1,000基の原子炉を建造する?!

もっと安い費用でもっと効果的な選択肢があるはず…冷静に考えれば誰もが気づくはずです。

電力産業とは利害関係を持たないラザール・フィナンシャリー・アドバイザリー・アンド・アセット・マネジメントは、そのわずか20%の金額で同じ出力の太陽光発電システムあるいは風力発電システムを整備できると試算しています。

 

しかも1,000基の原子炉を建造するのにいったいどれだけの時間がかかるのでしょうか?

その間CO2(二酸化炭素)の排出が待ってくれるわけではありません。

 

2016年度の世界原子力産業の現状報告によれば、2006~2016年に作動を開始した46基の原子炉・原子力発電所の平均建設時間は10.4年でした。

これには建設候補地の選定作業、技術開発、申請許認可業務などの時間は含まれていません。

これは太陽光発電所が設計から建設完了まで概ね2年しかかからないのと、実に対照的です。

 

新たに1,000基の原子炉を建造するのに35年という歳月が必要ですが、その間に地球のCO2(二酸化炭素)濃度は70ppm増加することになります。

そしてこれらの原子炉が稼働を始めても、放出されてしまったCO2(二酸化炭素)は減る事はありません。

 

原子力発電を支持する人間たちは、将来いつの日か、そして何らかの方法によって原子炉を建造するための費用が低減されるはずだと主張しています。

そして建設にこれ程時間がかかるのも、いつかは『過去の話』になるだろうとも…

しかし私には原子力発電を推進する人間たちが、2030年には安価でしかも建設に時間がかからない原子炉のプロトタイプを完成して見せるからもっと金を出してくれ、そう言っているようにしか聞こえません。

 

これら原子力発電の効用を盲信している人々は、原子力発電にはまだまだたくさんの可能性があると主張しています。

実例として挙げられているのが進行波炉(しんこうはろ)、小型モジュラー炉、ナトリウム冷却高速炉、キセノンガス冷却炉、トリウム原子炉、などのいわゆる第4世代原子炉です。

原子力産業界とその政界工作担当者たちは、各国の政府から多額の補助金を引き出そうとして、これら空想的な原子炉のアイディアを次から次へと持ち出しています。

 

世界的な気候変動の問題は、今生きている私たちの世代が解決しなければならない問題です。
二酸化炭素(CO2)排出量を削減するために、極めて高額な費用を必要とし、しかもその上限がわからないほど高額な上、1基建造するのに10年以上時間時間がかかる原子炉を2030年から作り始めるという計画に各国政府が貴重な資源と時間を費やすことになれば、地球温暖化問題は尚一層悪化してしまうでしょう。

幸いなことに再生可能エネルギーによる発電手段はすぐにでも活用可能であり、二酸化炭素(CO2)排出量を削減するために必要なタイミングで、必要な規模で設備することが可能なのです。
しかも必要な費用は原発とは比べ物にならないほど少なくて済むのです。

 

新しい原子炉を建造するということは、21世紀の問題を解決するためにに20世紀の技術を使うということです。

 

世界的な気候変動の問題は、今生きている私たちが解決しなければならない問題です。
二酸化炭素(CO2)排出量を削減するために、極めて高額な費用を必要とし、しかもその上限がわからないほど高額な上、1基建造するのに10年以上時間時間がかかる原子炉を2030年から作り始めるという計画に各国政府が貴重な資源と時間を費やすことになれば、地球温暖化問題は尚一層悪化してしまうでしょう。

 

幸いなことに再生可能エネルギーによる発電手段はすぐにでも活用可能であり、二酸化炭素(CO2)排出量を削減するために必要なタイミングで、必要な規模で設備することが可能なのです。
しかも必要な費用は原発とは比べ物にならないほど少なくて済むのです。

新しい原子炉を建造するということは、21世紀の問題を解決するためにに20世紀の技術を使うということです。

もっと深刻な問題があります。
二酸化炭素(CO2)の排出量を減らすために世界中で原子炉を稼働させれば、世界中で放射性核廃棄物という他の物質とは比較にならないほど危険な物質を作り出すことになります。

 

原子力発電をあくまで推進しようとしている人間たちは、私たちにこう思いこませようとしています。
根本的処理が不可能な極めて危険な放射性核廃棄物を、25万年の間安全に保管し続けることができるほど人類の能力は高い。
一方で太陽光発電によって生み出した電気を一晩中通して蓄えておけるほど、人類の能力は高くはない。
こんな主張に同調できるはずがありません。

 

20世紀の欠点の多い技術をリサイクルして、21世紀に新たな問題を作り出すような愚は避けなければなりません。
莫大な費用と長期に渡る建設期間が必要な新しい原子力発電所を建設することは、世界的な気候変動の問題をかえって悪化させてしまうことはすでに証明されました。
原子力産業界が張り巡らせている二酸化炭素(CO2)の煙幕を吹き払い、原子力発電以外のはるかに少ない費用で短い期間で設備することが可能な再生可能エネルギーを活用して地球温暖化の問題と取り組むことの方が、はるかに合理的な選択であるはずです。

 

〈 完 〉

http://www.fairewinds.org/demystify//demystifying-nuclear-power-nuclear-powers-carbon-dioxide-co2-smoke-screen

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

【 避難が進まず、深刻化する難民の人道的危機 】《1》

 

アメリカNBCニュース 2016年12月16日

 

シリアのアサド政権の勢力が反乱軍からアレッポを奪還しましたが、双方の非難の応酬が続き、一般市民の避難が進まない状況に陥っています。

2016年12月16日にアレッポの反政府勢力の勢力圏だった西部から避難する市民。(写真上)

アレッポ市内の孤立した地域から市民と反政府勢力の兵士を避難させる取り組みが始まった2日目、市民の脱出準備が進んでいたにもかかわらず、政府と反政府側の非難の応酬が激化したため突然停止しました。

 

12月15日アレッポ東部から一般人と反政府勢力の戦闘員を避難させるため、政府軍の勢力下にある地区に駐車するバスの車列。(写真下・以下同じ)

シリア国内に駐在している人権監視団体は、市民と反政府勢力の避難が15日に始まったものの、合計8,000人(約3,000人の戦闘員と300人以上の負傷者を含む)が呈したままのバスと救急車内に待機させられていると報告しています。

12月15日、アレッポの南郊で救急車内で避難を待つ負傷した男の子

12月15日、負傷した女性を載せた荷車を押す男性。

12月15日孤立した地区から避難する住民。

http://www.nbcnews.com/slideshow/thousands-evacuated-rebel-held-aleppo-n696996

【 ゲンパツが二酸化炭素(CO2)の排出量を減らすというのは本当の話ですか?】《2》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 10分

広告
広告

新たに1,000基の新型原子炉を稼働させたとしても、CO2(二酸化炭素)排出量は増え続ける

わずかな割合の二酸化炭素(CO2)排出量を削減するために、ゲンパツは信じられないほど巨額の投資を要求する

 

アーニー・ガンダーセン / フェアウィンズ 2016年10月19日

 

around12

大気中のCO2(二酸化炭素)の濃度は、100万個の空気分子の中にいくつCO2(二酸化炭素)の分子が含まれているかという単位で計測されます。

これがppmという単位です。

産業革命以前の時代、世界的なCO2(二酸化炭素)濃度の通レベルは、およそ280ppmであったと考えられています。

 

歴史上初めて商業用原子炉が世界で本格的稼働を始めた1970年、CO2(二酸化炭素)の世界的な排出量は約16ギガトン、そして大気中のCO2濃度はおよそ320ppmでした。

世界で初めてCO2(二酸化炭素)の排出量が地球温暖化をもたらすと提言したNASAの

ジェームズ・ハンセン博士は、地球規模の破滅的な気候変動を避けるためには、大気中の炭素濃度を350ppm以下に留めなければならないと主張しました。

 

ベルギー・ティアンジュ原発

しかし2015年までに、多額の政府資金が原発建設・維持のための補助金として世界各国で交付された結果、438基以上の原子炉が建造され、この間化石燃料を使った火力発電と合わせ36ギガトンのCO2(二酸化炭素)が大気中に放出されるようになりました。

そして大気中の二酸化炭素濃度はすでに400ppmを超え、毎年約2ppmの割合で増加を続けています。

 

原子力産業界のロビイストとそのマーケティングを担当する企業は、もし現在稼働中の438基の原子炉がもし存在しなかった場合、大気中のCO2(二酸化炭素)濃度はもっともっと悪化していただろうと我々が考えるように仕向けようとしています。

では彼らは438基の原子炉を稼働させたことにより、どのくらいの量のCO2(二酸化炭素)の排出を削減できたと主張しているのでしょうか?

世界原子力協会の産業業界団体は、438基の原子炉の代わりに化石燃料を燃やす火力発電所が稼働していれば、2015年1年間に1.1ギガトンの温室効果ガスが大気中に放出されていただろうと見積もっています。

 

川内原発NYT

では算数の問題です。

1.1÷(36.0+1.1)=0.0296…

つまり1.1ギガトンは総排出量の約3%です。

3%という数字は別に誤植ではありません。

世界中に438基の原子炉が築かれましたが、全部合わせて達成できたCO2(二酸化炭素)の削減量は3%だけでした。

 

今度はこれを原子炉1台について考えてみましょう。

438基の原子炉は1基ずつ0.007%未満のCO2(二酸化炭素)削減に貢献しています。

この程度の数値で、これ以上の海面上昇を防ぐために、あなたの町にある古くて危険な原子炉の稼働を続けさせるべきであるという主張を正当化できるでしょうか?

 

時間を2050年まで早送りしてみましょう。

マサチューセッツ工科大学(MIT)は、2015年のパリ協定(COP 21)が合意内容通りに実行され、さらに新しく1,000基の新型原子炉を稼働させても、世界的な二酸化炭素の排出量は少なくとも64ギガトン/年にまで増加するとする試算結果を明らかにしました。

 

01ドイツ・反原発

これ程の増加が見込まれることはCOP 21の協定内容とかけ離れているように見えますが、多くの人口を抱えるインド、中国、東南アジア、アフリカ諸国などが欧米並みの生活水準の実現を目指している状況がそうさせているのです。

 

本題に戻りましょう。

2050年までに新造の原子力発電所はCO2(二酸化炭素)の排出量削減に貢献できるのでしょうか?

 

残念ですが過去に実際にあった出来事が前提条件となります。

世界原子力協会はCO2(二酸化炭素)の排出削減と気候変動の問題を解決するため、1,000基の原子炉を新造する必要があると主張しています。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の予測も新たに1,000基の原子炉が2050年までに稼働することが前提となっています。

世界原子力協会自身の計算によれば、1,000基の原子炉を新たに建造することによって削減できるCO2(二酸化炭素)の排出量は一年間に3.9ギガトンという量です。

 

台湾03

もう一度算数の問題です!

2050年のCO2(二酸化炭素)の総排出量64ギガトンのうち、1,000基の新造原子炉が削減できるのは3.9ギガトン、つまり全体のわずか6.1%、これでは絶滅の危機に瀕しているホッキョクグマを助け出すことはできません。

 

これら1,000基の原子炉を擁する原子力発電所が安く、そして素早く建設することが可能なら、原子力発電所建設に投資することはまだしも意味のあることかもしれません。

しかし原子力産業界とは利害関係を持たないラザール・フィナンシャリー・アドバイザリー・アンド・アセット・マネジメントは、この1,000基の新造原子炉の建設コストが8,200,000,000,000ドルに上ると見積もる試算結果を公表しました。

わずか6% のCO2(二酸化炭素)の排出量を削減するために、8兆2千億ドル(約965兆円)が必要なのです。

 

-《3》に続く -

http://www.fairewinds.org/demystify//demystifying-nuclear-power-nuclear-powers-carbon-dioxide-co2-smoke-screen

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

下の写真ですが、私の中でアレッポというのは秀逸な建造物が数多く残る輝ける古代遺跡都市というものでした。こうした観光資源に恵まれたシリアという国は『地中海の真珠』と言われたレバノンと並び、産油国ではなくとも中東でも豊かな国のひとつであったはずです。

それが5年間に渡る内戦の結果、遺跡に留まらず今を生きる多くの人々が暮らす場所を奪われ、命を奪われました。

民主化を求める抗議運動がなぜ内戦にまで発展したのか?

理由は様々あるでしょうが、双方に武器を渡した連中がいたはずです。

結局民主化は実現せず、街はロシア・シリア連合というダースベイダーの帝国軍のような軍隊にめちゃくちゃにされてしまいました。

何のために5年もの間、アレッポの市民たちは苦しみ続けたのでしょうか?

 

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

【 内戦の悲惨さと愚かさを記した傷跡 】《1》

 

アメリカNBCニュース 2016年12月15日

 

シリアのバシャル・アル・アサド大統領政権が反乱軍からアレッポを奪還しましたが、そこには内戦の悲惨さを証拠だてるありさまが広がっていました。

2010年10月6日、シリア、アレッポの旧市街のアレッポにある古代のグランド・ウマイヤ・モスクを散策する見学者。(写真上)

 

2013年12月15日時点の、同じグランド・ウマイヤ・モスク。(写真下・以下同じ)

2016年12月13日アレッポ市内の大部分を占領し、グランド・ウマイヤ・モスクを歩く政権派の兵士。

何週間にも及ぶ激しい戦闘の末、体制派の軍隊は5年間続いた反体制派の軍を壊滅状態に追い込み、アレッポ全市を支配下に置こうとしています。

2009年12月11日アレッポの史跡の砦から見たアレッポの旧市内。

2016年10月12日時点のアレッポの史跡の砦と廃墟の塊と化してしまった旧市街。

内戦以前のアレッポは、シリアで最も人口の多い都市でした。

http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-dec-12-n695231

【 ゲンパツが二酸化炭素(CO2)の排出量を減らすというのは本当の話ですか?】《1》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 10分

広告
広告

新しい原子力発電所建設は、地球温暖化の危機をさらに悪化させる!

一般世帯の電気料金を一気に暴騰させた『原子力の平和利用』、原子力発電所の建設・維持コスト

 

アーニー・ガンダーセン / フェアウィンズ 2016年10月19日

 

around12

1971年、私は原子力発電の効能を布教して回る「原子力の聖職者」のメンバーの一人になりました。

私は公認の資格を有する原子炉操作員としてキャリアを始め、途中原子力工学の技術者として2段階を進み、最終的に原子力企業の上席副社長になるまで、原子力産業界一筋に歩みました。

 

私は原子力産業の発展にいわば宗教的情熱を傾け、原子力技術の発展が発電コストの低減に直結し、それまでとは比較にならない程安い電力供給が実現するものと信じていました。

 

そして歴史的出来事とも言うべき1973年のオイルショックの際は、ガソリン不足とガソリンスタンドの前に出来た長い長い車の列は、私を含めた何百人という原子力エンジニアに、原子力発電こそが『エネルギー不足』の唯一の解決であるかのように思わせたのです

 

1970年代と80年代、自分たちが実際に体験したエネルギー不足の問題を解くカギは、唯一原子力発電であると私たちは考えていました。

この時代、化石燃料の利用と地球温暖化や気候変動の問題とを結びつける科学的なデータは存在しませんでした。

地球の大気中の二酸化炭素の量が増え続ける現状を放置すれば、気候変動その他全世界が重大な事態に陥る可能性を明らかにしたのは1988年のNASAのジェームズ・ハンセン博士が初めてでした。

 

GE Mark 1

1953年、米国のアイゼンハワー大統領は核爆発を兵器としてではなく利益を生む手段として利用する「原子力(核エネルギー)の平和利用」計画を初めて明らかにし、西暦2000年までに少なくとも1,000基の原子炉を国内に設置するという壮大な計画をぶち上げました。

しかし1979年にスリーマイル島の事故が起きるその以前すでに、原子力発電所の建設コストが暴騰するとともに、建設スケジュールも計画より大幅に遅れる事態が常態化するようになっていました。

 

熱心に語られた1,000基の計画に対し実際に建設されたのは結局110基に留まりました。この他に120基が実際に設計段階まで進んでいましたが、1キロワットの電気も生産する事無く建設は中止になりました。

 

1985年には「原子力の平和利用」というアイゼンハワーが描いた夢は無惨に崩れ、それが人類にとって悪夢を生む施設であることが次第に明らかになってきました。

フォーブズ誌は1兆ドルを超える建設資金と公的助成金が原子力発電所建設につぎ込まれた世界的な原子力発電所建築ブームについて、盲目的かつあまりに偏った政策であると指摘し、「歴史上最大の経営災害」であったと表現しました。

 

中国原発建設02

原子力発電所が次々と建設されている間、電気料金は急上昇を続けました。

「原子力の平和利用」のおかげで、一般世帯は高額な公共料金を支払わなければならない立場に置かれることになったのです。

 

20世紀の間、アメリカ合衆国で建造が予定された原子炉の数は230基を超えていましたが、現在稼働しているのは99基です。

世界原子力協会によれば2015年現在、世界各国を合わせて稼働中の原子炉の数は合計438基になります。

 

20世紀、様々なエネルギー危機の可能性が取りざたされましたが、電気の供給が長期間停止するような事態は現実に発生したことは無く、明りが消えることもありませんでした。

そして原子力発電の普及により『電気メーターなど必要が無くなる程電気料金が安くなる』という原子力産業界の夢のような主張も決して現実のものにはならなかったのです。

 

AOL NYC01

21世紀に入り再生可能エネルギーによる発電手段が次々に現実になり、安価で安全な発電が可能になると、今度は原子力産業界は二酸化炭素の排出量の増加が世界的気候変動の危険要因になるというジェームズ・ハンセン博士の予測に原子力発電存続の正当性の根拠を求めるようになりました。

そして原子力産業界の政界工作担当者が国会議事堂に押し寄せ、『原子力の平和利用』に代わり、地球温暖化防止の『現実的』手段として、『原子力ルネッサンス』が21世紀のプロパガンダとして掲げられることになったのです。

 

ところで原子力産業界による最新の主張、すなわち原子力発電が二酸化炭素排出量の増加防止策として有力な手段となり得るというのは、検証の結果正しいと認められたのでしょうか?

その答えは「NO!」です。

 

科学的検証の結果は、新たな原子力発電所建設が地球温暖化の問題を一層悪化させることを明らかにしています。

 

問題をはっきりさせるため、具体的データを検証する前に二つほど予備知識が必要です。

ひとつめ、念を押すまでもありませんが石炭や石油のような化石燃料を燃やすことにより環境中にCO2(二酸化炭素) が放出されます。

 

第三世界03

現在大気中に放出されているCO2(二酸化炭素)の量は膨大であり、ギガトン(GT)という単位で計測されています。

1ギガトンのCO2(二酸化炭素)という時、それは10億トンという量になります。

「ppm(parts per million)」という単位が用いられることもあります。

毎年こうした単位で量られるCO2(二酸化炭素)が大気中に放出され、拡散していくのです。

-《2》に続く -

http://www.fairewinds.org/demystify//demystifying-nuclear-power-nuclear-powers-carbon-dioxide-co2-smoke-screen

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

16日朝のNHKニュースが福井県にある高速増殖炉もんじゅについて、日本政府が30年かけて廃炉にする方針であることが明らかになったと伝えていました。

全国に広がった反原発運動を前に、もんじゅは途方もない維持費用がかかるにもかかわらず原発を推進する立場から見て弱点にしかならず、この際切り捨ててしまった方が得策だという事なのでしょう。

事情はともあれ福島第一原発の事故が無ければこうした決断も無く、日本の公的負債に巨額の上積みを続けていったに違いなく、ひとつの前進であることには違いありません。

一方で敷地内に新たな研究用高速炉の建造を『検討する』と伝えていましたが、こちらは当面原子力発電を止めるつもりはないぞ、という意思表示なのだと思います。

 

今回ご紹介する稿は原発の本当のコストというものが副次的テーマになりますが、ゲンパツが排出する核のゴミ、高レベル放射性核廃棄物について現実にどのような根本的解決(化学反応等によって無害化するなどの)手段も無い以上、実際は『いったいいくらかかるか見当もつかない』- すなわち予想をはるかに超える巨額の処理費用が必要になる可能性が高いと私は考えています。

 

その費用は電力会社の役員報酬や社員の給与を減額するのではなく、電気料金や税金の形で国民ひとりひとりに『ツケ』回しされることになります。

原発について考えるとき、このことを念頭に置き続ける必要があると思います。

 

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

【 12月12日の報道写真から 】

 

アメリカNBCニュース 2016年12月9日

 

day01

12月12日激しい戦闘が続くモスル周辺の自宅からハゼール難民キャンプに避難してきたイラク人難民。(写真上)

 

12月12日インド、ニューデリー市内でスモッグに覆われる地下鉄の高架線路。デリー地区は世界で最も環境汚染のひどい都市のひとつです。

様々な対策が検討されていますが、インド政府が緊急事態を宣言することが日常化しています。(写真下・以下同じ)

day02

12月12日ベラルーシのミンスクで摂氏マイナス6度の気温の中、森の脇を飛び過ぎるスズメの群れ。

day03

12月12日世界中のイスラム教徒が開祖ムハンマド(マホメット、モハメット)の誕生日を祝ったこの日、インド、ムンバイで爆竹に点火される瞬間、耳をふさぐ子供たち。

ムハンマドは西暦570年イスラム暦第3の月の12日、グレゴリオ暦では12月11日にメッカで生まれました。

day04

http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-dec-12-n695231

 

【 日本をほんものの成長軌道に載せるために 】《後篇》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 7分

広告
広告

日本における最大の問題は、柔軟性の無い労働市場にある

日本の可能性を現実のものにするためには、殻をひとつ破らなければならない

 

エコノミスト 2016年11月5日

 

wantedly

日本における最大の問題は、柔軟性の無い労働市場にあります。

かつてほどではないとしても日本企業は終身雇用を旨とし、長く勤めた社員程高く評価されます。

典型的サラリーマンの理想とされるのは、学校を卒業後はひとつの企業に身を捧げるようにして務め、出世のための会談を一段一段登っていくことです。

より良い待遇を求めて会社から会社へ渡り歩くことではないのです。

こうした日本社会の特徴は、企業において中堅として働ける人々を獲得することを難しくしていると、WANTEDLY(ウォンテッドリー)の社長を務める仲さんがこう指摘しました。

ウォンテッドリーの社員は全員が新顔ということになります。

ウォンテッドリーは、互いに条件の合う企業と求職者を結びつけるため、ひとつのフォーラムを提供します。

 

現在アメリカにも進出を果たしたピアツーピア(互いが同格同士のやりとり)のフリーマーケット・アプリのメルカリの石塚りょうさんは、日本では社員を解雇することは難しく、その事がかえって成長し進化を遂げた人がもっと良い機会を手に入れることを難しくしていると語りました。

 

経済低迷02

こうした背景は、成功を手にした日本の新しいビジネス起業家の中に若い女性が目立つ、理由の一つかもしれません。

「彼女たちは現在の職場で性差別の問題に直面させられており、独力を発揮できる場では他には負けない能力を持っているのです。」

ウィリアム斎藤さんがこう語りました。

 

会社の整理手続きをもっと簡単にできるようにする必要もあります。

アメリカでは5年以内に廃業する企業が中小企業全体の33%を占めますが、日本はわずか12%です。

古い企業が時折日本政府の援助によって延命措置が取られる例がありますが、これはかえって新生企業の設立を妨げることにもなります。

 

日本政府が作った現在の仕組みの中では、開発・研究に対する中小企業補助金などの制度を活用できるなど、新生企業よりすでに設立され軌道に乗っている会社の方が有利になっています。

 

日本銀行

さらにはもし中小企業が倒産した場合、日本国内で主に資金提供元となっている銀行は融資をする際に非常に面倒な保証人の手続きをとっているため、個人である保証人の負担が極めて重いものとなっています。

日本政府は新世代事業の中で最も人気のあるスタイルの多くを制限する、あるいは禁止する煩雑な規則を廃止すべきかもしれません。

Uber(ウーバー・テクノロジーズが運営する、自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリ)は、他の国とは違い日本では高級車だけを取扱います。

Airbnb(エアビーアンドビーは世界中の旅行者に宿泊施設・民宿を貸し出す人向けのウェブサイト)を使って部屋を貸し出す事業についての判断はグレーのままです。

メルカリの石塚りょうさんはこうした状況を恥ずべきものだと語り、日本において最も可能性が高いのは消費者対消費者の事業だと指摘しました。

 

新たに起業するための費用が安くなり、一生涯の雇用を保証してくれる終身雇用の機会を見つけることが難しくなった今は、これまで挙げてきたような問題に日本が取り組む良い機会かもしれません。

 

経済低迷03

GEM(国際的起業家調査◆ベンチャー企業の研究に定評があるロンドン・スクール・オブ・エコノミクスと米国のバブソン大学が呼び掛け、先進7カ国にデンマーク、フィンランド、イスラエルを加えた計10カ国の研究者を組織して1998年に行われた起業家調査。-[アルク]http://eow.alc.co.jp/より引用)によれば、日本社会全体では起業を志向する人々の割合は高くは無いものの、機会があれば自分に

起業する能力があると考える日本人の割合は19.5%で、アメリカ人の17.4%を上回っています。

 

日本には可能性があります。

しかし日本の企業家は前に進むためには、殻をひとつ破らなければなりません。

 

〈 完 〉

http://www.economist.com/news/business/21709578-japan-needs-do-more-encourage-new-businesses-how-rev-up-japanese-startups?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

【 12月9日までの報道写真から 】《2》

 

アメリカNBCニュース 2016年12月9日

 

week01

12月8日イラク、モスル東部ザーラ地区にある国連機関が運営する食糧配布所前、妹の手を握って並ぶイラク人の男の子。(写真上)

 

12月7日ブラジル、リオデジャネイロの『スラム街』マングエイラ地区にある15人が暮らす小さな家屋。この場所は2016年リオデジャネイロ・オリンピックの開会式・閉会式が行われたマラカナ・スタジアムから1キロメートルほどの場所にあります。

スタジアムはワールドカップとオリンピック開催のため数億ドルを受け取りましたが、スラム街の住民たちは自分たちにはほとんど恩恵は無かったと語っています。(写真下・以下同じ)

week02

12月4日、アメリカ、ノースダコタ州キャノンボール郊外にある先住民族ロック・スー族の居留地の上に上がる花火。

居留地の近くを通る予定のダコタ・アクセス・パイプラインの建設が、居留地の環境と文化を破壊する恐れがあるとして建設を制限する措置が決定したことを祝って。

week03

http://www.nbcnews.com/slideshow/week-pictures-dec-2-9-n694191

【 日本をほんとうの成長軌道に載せるために 】《前篇》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 7分

広告
広告

起業する・実業家になるという事が、良い職業選択であると考える日本人の割合は31%だけ

新しい事業を始められない原因は、日本人のDNAの中にあるのではなく日本の社会構造の中にある

 

エコノミスト 2016年11月5日

 

wantedly

LinkedIn(リンクトイン : ビジネス向けのソーシャル・ネットワーキング・サービス)の日本版とも言える、新世代のためのジョブサイトWANTEDLY(ウォンテッドリー)は、たとえカリフォルニアの会社であったとしても違和感はありません。

繁盛しているこの会社のオフィスを特徴づけているのは、今はやりの家具と卓球台です。

32才の最高責任者である仲晶子氏は、黒っぽいスーツに白のワイシャツやブラウス姿の代わりに、ジーンズとソックスをはいて歩き回る社員たちを率いています。

会議室には有名なマンガ・コミックの登場人物の名前がつけられています。

 

しかしWANTEDLY(ウォンテッドリー)のような会社はまだまだ一般的な存在ではありません。

 

景気が良かった1980年代、そして1990年代の後半に始まり短命に終わったドットコム・ブーム以降も、日本はWANTEDLY(ウォンテッドリー)のような会社が起業する際、条件的に決して恵まれているとはいえません。

起業する・実業家になるという事が良い職業選択であると考える日本人の割合は31%だけですが、2014年に世界中の大学が協力して調査・編集・完成させた企業家精神モニター調査(Global Entrepreneurship Monitor  - GEM)によれば、その順位はプエルトリコに次いで下から2番目というものでした。

日本と比べると、アメリカは65%、中国は66%、オランダは79%の学生が職業選択として起業する・実業家になることが望ましいと回答しました。

 

linkedin

日本の安倍晋三首相は、日本経済復活のための一策として、国民に対し新たなビジネスを始めることを奨励しようとしました。

これまでになかった仕事を作りだすこと、そしてアメリカと比べると65%に過ぎない生産性を高めることに着手することは、日本経済の復活に向けて何としても実現しなければならない必須の要件です。

 

安部首相は起業することをもっと簡単に、手早く実現できるよう制度改革を行いましたが、現実はなかなか変わりませんでした。

例を挙げると2016年上期、日本国内のベンチャー・ビジネスへの投資は928億円で、前年同期の765億円と比べ、投資規模としても大きくは無く上昇率もおおきいものではありません。

しました。

日本では株式市場の存在が大きく、起業資金を集めるためには株式の公開公募の方が方法としては一般的であるのです。

 

大学キャンパス02

日本では主に生命科学と生物工学において、有望な企業が2、3誕生しました。

そうした会社のひとつ、スパイバー(Spiber - 「スパイダー(Spider:蜘蛛)」と「ファイバー(Fiber:繊維)」を組み合わせた造語)はクモの糸をヒントに強度がきわめて強い絹糸のような、人工クモ糸繊維という新しい素材を創り出しました。

 

しかし日本に新しい起業の動きを創り出すためには、しなければならないことはまだまだあります。

日本ではリスク回避がことのほか重視されます。

大部分の日本人は何より失敗することを恐れます。

 

2011年3月に発生した東日本大震災の地震と津波によって様々な形で被害を被った人々とともにニットウェアを制作販売する会社を立ち上げた御手洗たま子さんは、震災で生計手段を失った人々が再び立ち上がる気持ちになれるように、その先駆けをつとめたかったのだと語りました。

しかし震災から5年が経った今も、立ち上がることが出来たのはわずかな人々だけです。

 

life-science

「ひとつの形にとらわれる必要はありません。」

起業家から米国政府、そして日本政府のアドバイザーに転身したウィリアム斎藤さんがこう語りました。

同氏はアメリカ西海岸で行っていた事業を整理した後日本に渡り、出資を受けた企業を設立し軌道に載せる事業も手掛けています。

 

「そうした問題の原因は日本人のDNAの中にあるのではなく、日本の社会構造にあります。」

慶應義塾大学の國領二郎教授がこう語りました。

 

〈 後篇に続く 〉

http://www.economist.com/news/business/21709578-japan-needs-do-more-encourage-new-businesses-how-rev-up-japanese-startups?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

【 12月9日までの報道写真から 】《1》

アメリカNBCニュース 2016年12月9日

 

week01
12月9日中国の瀋陽市内の公園内の凍結した湖で、氷を割って泳ぐ男性。(写真上)

 

12月8日パリ市内、はもやに覆われるエッフェル塔。
人間の髪の毛の太さよりはるかに小さく有毒な、そして人間ののどを攻撃する微細な煤塵が市全体を覆い、パリはこの10年で最悪の汚染状態になっています。
この事態を受け市当局は車両の通行制限その他の例外的措置を取っていますが、ほとんど効果は見られません。(写真下・以下同じ)
week0212月4日パリのセーヌ川でスタンド・パドル競争をするサーファーたち。
week0312月7日のスコットランドのエジンバラで、クリスマス・ツリー迷路を楽しむ市民たち。
week0412月2日キューバ、バヤモでフィデル・カストロの灰を運び込む葬列の到着を待つ人々。
week05http://www.nbcnews.com/slideshow/week-pictures-dec-2-9-n694191

 

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
広告
広告
カテゴリー
メタ情報