ホーム » エッセイ » 【 高速増殖炉『もんじゅ』の廃炉をやっと決定 – 日本 】
ほとんど成果らしい成果も無いまま、国費1兆円を浪費し続けた『夢の原子炉』
地元自治体は高額な補助金・助成金をかき集め、雇用機会を提供してきたもんじゅを失うことに反対
AP / ワシントンポスト 2016年12月21日
日本は、少資源国の日本のエネルギー需要の救世主になるという望みに応えることなく、数十年に渡り国民の税金を無駄に食いつぶし続けた実験的な高速増殖炉の廃炉計画を、12月21日正式に承認しました。
安倍内閣は絶え間のないトラブルに苦しみ続けた高速増殖炉『もんじゅ』の廃炉を決定したのです。
22年前にスタートした高速増殖炉プロジェクトはわずか250日間の稼働実績しかありませんが、この間に1兆円という巨額の国家予算が費やされました。
高速増殖炉『もんじゅ』は燃料としてプルトニウムとウランの混合核燃料を使って発電を行うプロセスの中で、使った以上のプルトニウムを作りだし、永久的に核燃料を自給自足し続ける『夢の原子炉』として設計されました。
しかし『もんじゅ』は稼働して数か月で、冷却剤として使われていたナトリウムの大規模な漏出事故を起こして停止、その後も数々の安全上の欠陥が見つかり、何年何十年という単位で停止していました。
その間の2011年3月、巨大地震と巨大津波が引き金となり福島第一原発が周辺の環境に壊滅的被害を与る事故が発生し、日本では原子力発電所に関し新しい安全基準が導入されることになりました。
『もんじゅ』を管理する政府当局は試算した結果、新しい安全基準に適合させるため必要な改良工事を行うには、新たに5,400億円の費用と8年に渡る作業が必要なことが明らかになったとしていました。
高速増殖炉『もんじゅ』がある福井県で菅義偉官房長官は会見を行い、
「『もんじゅ』を再稼働させるためには莫大な費用と貴重な時間を費やすことが明らかになったため、もんじゅを廃棄することに決定しました。」
地元自治体は高額な補助金・助成金をかき集め、地元で雇用機会を提供してきたもんじゅを失ってしまうことに反対しています。
一方で政府当局者は『もんじゅ』が無くなっても、日本の燃料サイクル計画には変更は無いと語りました。
しかし燃料サイクル計画を批判してきた人々は、この計画は実現性が乏しく失敗続きであり、現実的な選択肢として使用済み核燃料の地下埋設処理を検討すべきだと主張しています。
政府当局は『もんじゅ』に代わる別の高速炉を検討していますが、具体的なことはまだ何も決まっていません。
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【 避難が進まず、深刻化する難民の人道的危機 】《2》
アメリカNBCニュース 2016年12月16日
シリアのアサド政権の勢力が反乱軍からアレッポを奪還しましたが、双方の非難の応酬が続き、一般市民の避難が進まない状況に陥っています。
12月15日荷車に家財道具を山と積み上げ、反政府側の勢力圏だったアレッポ東部から避難する住民。(写真上)
アレッポ市内の孤立した地域から市民と反政府勢力の兵士を避難させる取り組みが始まった2日目、市民の脱出準備が進んでいたにもかかわらず、政府と反政府側の非難の応酬が激化したため突然停止しました。
同、近所の住民に介添えされ避難する初老のシリア人男性。(写真下・以下同じ)
アレッポの支配権を巡る内戦は6年目に入ったところで収束する見込みとなりました。
避難する住民。
12月15日アサド政権の支配下にあるサラヘディン地区で、一部が内戦によって破壊された建物の中から、反政府側の勢力圏から避難してきた反政府側兵士とその家族たちを見下ろす住民。
アレッポ西郊の反政府側の勢力下にあるカーン・アル・アッサール地区にバスで避難してきた市民。
シリア国内で活動する人権団体は臨時の病院等を設備した上で、独自に手配したバスを使いアレッポ市内からイドリブ郊外にあるこの場所に住民たちを移送しています。
12月15日まだ反政府側の勢力下にあるカーン・アル・アッサール地区にたどり着くと同時に、涙を流した男性。
6年目に入ったシリア内戦で、反政府側は重要な反抗拠点だったアレッポ市東部からの脱出を余儀なくされることになりました。
この戦争は同時に、史上最悪となる難民危機を作りだす結果となりました。
http://www.nbcnews.com/slideshow/thousands-evacuated-rebel-held-aleppo-n696996