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【 個人的打算による解散総選挙を強行、日本人は尚もこの首相に国の命運を賭ける鍵を預けるのか 】《後篇》

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アベノミクス最大の特徴は、考え得る限りの美辞麗句を使って実情を糊塗する宣伝能力
様々な口実を並べ立てながら、実は自分の延命を図るためだけの解散総選挙は不誠実のそしりを免れない
「改革」を何百回も繰り返し叫ぶ安倍首相、実は自分の支持層を手放さないことの方を優先

 

エコノミスト 2014年11月22日

安倍05
アベノミクスというのはすべてがそうではないとしても、つまるところは巧妙に作られた呪文の類だったのでしょうか?

仮に日本銀行の大規模な量的緩和措置が無かったとしたら、日本経済がいったいどこまで縮小することになったか、それは誰にもわかりません。

2013年に実施された日銀による大規模な金融緩和政策により、インフレ率は目標値近くまで行きました。
今年10月に実施された2度目となる金融緩和措置も、日銀が設定した2%のコアインフレーション数値目標に対し、実態経済が落ち込んでしまっていた以上、政策としては妥当と言えるものでした。

財政政策に関し問題なのは、緩和策の結果が一向に現れていない点です。
振り返って考えれば、日本政府は消費税の5%から8%への引き上げを4月に実行に移すという明らかな誤りを犯しました。
この措置は日本経済をノックアウトしたも同じ事でした。

安倍首相が2度目の消費税引き上げを2015年10月から2017年4月まで延期すると決断したのは当然の対応でしたが、それを実現するためにはこれからさらに4年の任期が必要だと主張し、衆議院の解散総選挙を求めたことについては、不誠実、陰険のそしりを免れません。

経済が停滞している状況において財政再建を優先してしまえば、結果が悲惨なことになるのは解りきっていました。

株価下落
安倍首相が再任されたとしても、金融政策にも財政再建策にも決め手を欠く状態が続きます。
しかし今のうちはアベノミクスが打撃を幾分緩和するかもしれません。
安倍首相のアドバイザーのひとりは『消費者心理をあやつる』政策を掲げています。
その具体的内容は、株価を押し上げることで企業心理、消費者心理を揺さぶり、デフレ意識を捨てさせることです。

しかしその手は何度も繰り返すうちに効果が薄れてきます。
日本銀行はさらなる緩和策を実施することも可能ですが、その衝撃と効果は回を重ねるごとに弱まっていかざるを得ません。

そしてアベノミクスは日本経済を持続的に成長させるために必要な3段目の対策、経済の構造改革をし残したままになっています。
この点に関しては政府による宣伝が実際を大きく上回りました。
政府は硬直した雇用体系を改善して開かれたものにし、外国人すら自由に就職できるシステムを構築するという、誰が聞いても素晴らしい発表を行いました。
実を結んだものはわずかでした。

企業においては社外独立取締役を迎え入れるべく規定が見直され、より多くの女性が社会進出し、農業への企業参入が進みましたが、全体の印象としては事態の進展を実感できるほどではなく、世界の中で特に優れているという訳でもありません。

反安倍01
安倍首相の顧問は、次の任期こそ違った展開になると主張しています。
アメリカとの貿易交渉を成功させるため、農家の保護に関する障害物を取り除きます!
労働市場を改善します!
税制改正により、雇用創出を促し、消費支出を上向かせます!

確かに安倍首相は経済界からは多少の援護を得ることができるかもしれません。
円安の進行により、輸出関連の大企業の冬のボーナスは気前の良いものになりそうです。
商品の在庫は減少し、雇用状況も逼迫しています。
一例をあげれば、名古屋では建設会社が非正規雇用を大幅に増やした分交際費を大盤振る舞いし、夜の飲食店従業員の手取りが倍になりました。

                  

▽ 既得権益層との決別をすべきタイミング

                   

しかし長い目で見れば、既得権益のしがらみから解放され、新たな手法により政治を行う事が出来る政治指導者でなければ、本当の意味で日本を成長させることは出来ないでしょう。

                        

安倍首相にも改革思想はありますが、それを成し遂げるために既得権益層の支持を手放すつもりは毛頭ありません。
リスクを取ろうとしない政治指導者が、改革を実現させることは不可能です。

                  

〈 完 〉

http://www.economist.com/news/leaders/21633820-shinzo-abe-has-called-snap-poll-consolidate-power-voters-should-give-him-one-more?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

【 個人的打算による解散総選挙を強行、日本人は尚もこの首相に国の命運を賭ける鍵を預けるのか 】《前篇》

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アベノミクスの最大の特徴は、考え得る限りの美辞麗句と実情を糊塗する宣伝能力
安倍首相は自分の権力基盤を強化するため、不意撃ちの解散総選挙を決断
『私が取り戻した!』日本、多くの一般国民の家計が圧迫され、本格的な不況局面に突入

エコノミスト 11月22日

安倍05
2012年、安倍首相は自分こそが経済を立て直して日本を復活させる男だと売り込み、年末の総選挙で日本の有権者は彼に地滑り的な総選挙勝利を進呈しました。
それからちょうど2年、安倍首相は衆議院を解散し、12月14日投票の総選挙実施を宣言しました。

「我々はこの機会を逃すわけにはいかないのです!」
安倍首相はこう声を張り上げました。
当然ながら日本の有権者は今後も同じ馬に乗り続けるのかどうか、再び選択を迫られることになりました。

安倍首相の政治的計算ははっきりしています。

安倍政権の支持率はかつて地球の重力をものともしない程に高いものでしたが、この秋急な転落の憂き目を見ました。
そして来年になれば安倍政権は防衛政策の見直し、すなわち憲法第9条の解釈の変更問題や現在稼働を停止している原子力発電所を相次いで再稼働させるなど、国民に不人気の政策を相次いで実行することになります。
そして与党自民党内においても安倍首相に対する不満がこれ以上うっ積する前に、新たに4年間の委任状を手に入れようとしています。

ヒットラー安倍
これに対し野党勢力は充分な得票を見込める候補者を立てることができず、各党は混乱の中にあります。
観測筋は今回の選挙で連立与党が30~40議席を失うと見ていますが、その程度では連立与党の基盤が揺らぐことはありません。

安部与党と呼ばれる政治家の中には自民党が議席を上積みし、公明党との連立が無くても単独で議会を支配できる体制の実現を望んでいる人間もいます。

しかし問題をうやむやにするうまい方法などはありません。

安倍政権は日本経済を復活させるという公約のもとに、政治を行ってきたはずでした。
数年前初めて政権の座に就いた時はこの取り組みに見事に失敗しており、なおさら公約は大切にすべきものであるはずでした。

安倍首相は20年近く続いている日本のデフレに終止符を打って経済を復活させると、これまで際限もなく同じことを繰り返してきました。

アベノミクスは大幅な金融緩和策、多額の財政出動と広範囲の構造改革を行う大胆な経済政策であるという言葉巧みなキャンペーンが展開され、安倍首相に有利になるイメージ作りを行った人間たちの中には経済学者も含まれていました。

集団的自衛権01
安倍首相は2012年の末、政権の座に着くや否や、
「日本を取り戻した!」
という有名な宣言を行いました。

しかし11月17日に公表された日本の第3四半期間の国内総生産 – GDPの数値のひどさは、安倍首相が取り戻したのが別物であることを明らかにしました。

日本はほんとうの経済不況に、その位置を戻してしまったのです。

円安が招いた物価上昇に平均的労働者の賃金は追いつかず、一般家庭の多くは家計が圧迫されるようになったとの実感を強めることになりました。

〈 後篇に続く 〉

http://www.economist.com/news/leaders/21633820-shinzo-abe-has-called-snap-poll-consolidate-power-voters-should-give-him-one-more?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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選挙関連のニュースを見ていて青ざめる思いがしたのは、今回の解散総選挙のため私が住んでいる宮城県が10億円の補正予算を組まなければならなくなったという事実についてでした。
同様の資金を日本中の都道府県が用意しなければならない訳ですが、これを3.11の被災者の救済に振り向けたらどれだけの対応がとれるかという事を考えずにはいられませんでした。

それだけの公費がこの記事にあるように、個人的打算のために費やされるのだとすれば、日本の総理大臣というのはほんとうにエラいものだと言わざるを得ません。

【 アベノミクスのほんとうの評価は? 】《後篇》

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ぼろぼろの、みすぼらしい、〔行為などが〕卑しい、粗末な – shabby(シャビィ)『アベノミクスはシャビィノミクス』
2度の消費増税に耐えられない日本経済の危うさは、『アベノミクスは失敗』のシグナル
小泉政権のカタチだけを真似た、安倍政権のまさに大義なき総選挙

 

エコノミスト 2014年11月22日

安倍エコノミスト1122
日本の世論は総選挙の必要性など感じていません。
いくつかの選挙区では自民党の地方本部ですら不満を口にしています。
中部地方の岐阜県では、地方の党本部が解散総選挙を行うことに正式に反対する決議を採択しました。
決議は、政府に政治的空白を作りだす危険を冒す代わり、景気回復に専念するよう求めました。

安倍首相は消費税の再引き上げの延期については、すでに支持を取りつけました。
しかし解散総選挙のほんとうの狙いについては、別の可能性があります。

多くの日本人はもし予想通りに安倍氏が首相として再任されれば、新たな4年間の任期中に何より雇用問題と日本の農業の構造改革という、最も困難な課題に着手するだろうことを期待しています。

これに加え、自民党は野党に対しもうひとつのアドバンテージを持っています。
野党が無秩序なまま、バラバラの状態で選挙戦を迎えることへの期待です。

2009年の選挙で地滑り的勝利を手にして政権の座に就いた後、2012年にはまさに屈辱的な敗北を喫し、野党最大会派の民主党は支持率が10%未満にまで落ち込み、地方の選挙区において自民党の候補と対決する利害計算を度外視する候補者を探し出すのに苦労しました。
民主党については、野党として2番目の勢力を持つ維新の党との連携も考えられますが、右寄りの橋本代表は前向きではありません。

橋下演説
一般の有権者が総選挙に対し熱意を書いている状態は、自民党に加え連立与党である公明党に有利に作用する可能性があります。
自民党と公明党の強力な選挙マシーンは2012年12月の総選挙では際立った集票力を発揮し、衆議院480議席中325議席をもたらし、安倍政権は67%という大多数を手にしました。
今回の選挙では180議席が改選の対象となりますが、最近の世論調査で安倍政権に対する支持率が低下していることから、与党の議席が減ることも考えられますが、減少が40議席以内であれば安倍政権が国政運営を継続できる安定多数が確保されることになります。

決定的勝利を手にすることが出来れば、安倍首相の党内での地位はさらに揺るぎないものになるだろう、こう語るのは昨年安倍政権の経済政策の立案にも関わった自民党の山本厚三氏です。
そうなれば今年9月以降相次ぐ閣僚のスキャンダルによりイメージが悪化した安倍政権にとっては、再び強力な政策推進のための条件がそろうことになります。

しかし、あらゆる状況がアベノミクスに反対の立場を取る人々から、安倍政権を追い詰めるチャンスを奪ってしまう訳でもなさそうです。
日本国内で突出して高いアメリカ軍基地の存在に対する県民感情が主な理由であるとしても、11月16日に行われた沖縄県知事職選挙での敗北は、自民党の支持が万全ではないことを示しました。

反安倍01
沖縄県知事選の勝利は安倍政権の政策遂行の後押しになるだろうと考えていた人々にとって、選挙に敗北したことは落胆内外の何ものでもありませんでした。
この敗北以降、安倍首相は改革課題について具体的な言及を行なわなくなりました。

しかしこれすらも計算の上である可能性があります。
現在アメリカと太平洋沿岸諸国との間ではTPPに関する交渉が進行中であり、日米の交渉の重要性をこのタイミングで際立たせれば、いやでもTPP交渉の行方が注目されて地方の有権者の支持を失ってしまう可能性があるからです。

日本の農民はTPPの交渉の行方次第では、自分たちの生計が著しく脅かされるのではないかと憂慮しています。
そして今回の解散総選挙により、安倍政権が推進してきたはずの女性活躍推進法案など、いくつかの改革案が廃案になろうとしています。

それでも消費税率の2度目の引き上げの時期を1年以上先送りすることにより、安倍政権は政府官僚に対しにらみがきくことをアピールしました。

安倍首相が本気で改革に取り組もうとすれば、最大の抵抗勢力は各省庁と自民党の中にいます。
安倍首相の政治顧問のひとりが個人的な見解だと断った上で、今回の突然の解散総選挙について2005年に当時の小泉政権が行った郵政民営化への国民の支持を確認するための選挙に匹敵するものだと語りました。

Shabbynomics 1
しかし今度の12月の選挙が、小泉首相が獲得した圧倒的な支持を安倍首相にももたらすという保証などはありません。
小泉首相には抵抗勢力をことごとく退けて郵政の民営化を実現するという大きな、具体的な目標がありましたが、安倍首相には国民に再び信を問わなければならない大義などは一向に見当たりません。

〈 完 〉

http://www.economist.com/news/asia/21633874-shinzo-abe-preparing-do-battle-snap-general-election-bigger-struggle-will-be?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

【 アベノミクスのほんとうの評価は? 】《前篇》

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ぼろぼろの、みすぼらしい、〔行為などが〕卑しい、粗末な – shabby(シャビィ)『アベノミクスはシャビィノミクス』
論理的に滅茶苦茶な、安倍首相の『いま、衆議院の解散が必要な』理由
2度の消費増税に耐えられない日本経済の危うさは、アベノミクス失敗のシグナル

エコノミスト 11月22日

安倍エコノミスト1122
11月18日に行われた安倍首相が解散総選挙に打って出るという発表は、国内外に大きな波紋を広げました。
安倍首相が表明したところでは、今回の選挙は2度目の消費増の引き上げを延期したことについて国民の信を問うということになっていますが、それではあたかも安倍首相が国内の財政緊縮派と戦ってきたかのように受け止められてしまいます。
果たしてそうでしょうか?

安倍首相は国民に対し安倍首相の経済政策、20年近く続いている日本の経済停滞を終わられるための唯一の方策であるとの主張を繰り返す、いわゆるアベノミクスについても今回の選挙で審判を下すよう求めています。

その主張は論理的に滅茶苦茶です。

実際のところは現在、日本において解散総選挙の必要性はほとんどありません。
そして消費税の引き上げを先送りしたことについて、安倍首相の存立基盤が危うくなったという事実も認められません。
夏場の第2四半期、日本経済が期待を裏切ってマイナスに転じたことを発表したことが報じられた直前、国内では野党ですら消費税の引き上げの先送りに反対はしていませんでした。

今回の選挙は下院にあたる衆議院の議席を巡っての争いですが、現在安倍政権を支える連立与党は衆議院・参議院共に絶対的過半数を制しており、その状態は2016年まで保証されています。

Shabbynomics 1
新たに発表されたデータは日本のGDPが第3四半期、年率換算で1.6%縮小したことを伝えました。(表上 shabbynomics : シャビィノミクス – ぼろぼろの、みすぼらしい、〔行為などが〕卑しい、粗末な – http://eow.alc.co.jp/search?q=shabby )
今年4月に実施された第1回目の消費税引き上げにより第2四半期、消費支出を大きく落ち込ませることになったとの批判を招き、7.3%国内総生産を落ち込ませたのに続くものになりました。

日本の緊縮財政派の人々は、巨額の国家負債を減少させるためには2度目の消費税引き上げが不可欠であるとしていますが、安倍首相はこの問題を決して本格的な財政危機に発展させないことを担保できるのであれば、2017年の春まで消費税の引き上げを延期することが可能です。

多くの政治家が来年春に予定されている一連の地方選挙が終わるまでは解散総選挙は無いだろうと考えていたため、12月2日に公示され以降手早い展開が必要になる選挙戦に対しては、準備不足の状態です。

一方、日本が再び不況に陥っているという知らせは、アベノミクスについて耳ざわりの良い宣伝文句を考え出さなければならない側に、慎重な対応を求めることになりました。

秘密保護法05
日本政府は、第3四半期に約1%の成長を期待していました。
その後与党の政治家たちは、アベノミクスの成果により日本は消費税引き上げ後の経済の足踏み状態から抜け出すことが出来たと主張するつもりでいました。
「実際問題として、地元に戻って何を訴えるべきか決めかねている議員が多数を占めているのです。」
安倍首相が率いる自民党の前議員で現在は政治ロビイストである田村幸太郎氏がこう語りました。

日本経済が2度目の消費税引き上げには到底耐えられない程危うい状況にあるとするなら、アベノミクスは経済政策としてすでに失敗しているというシグナルである可能性があります。

それだけに、突然の解散総選挙の知らせに対する最初の反応は困惑でした。
自民党成すだけでなく、多くの国民が次の疑問を口にしました。
「なぜ今?」

〈 後篇に続く 〉

http://www.economist.com/news/asia/21633874-shinzo-abe-preparing-do-battle-snap-general-election-bigger-struggle-will-be?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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エコノミストの記事には時々快哉を叫びたくなるものがありますが、さしずめこの記事もそのひとつでしょう。
国際市場で原油価格が下がっているのに日本国内だけはガソリン代が高騰し、楽しみにしている週末の遠出も回数を減らさざるを得ない状況に追い込まれている我が家としては、『シャビィノミクス』とはよくぞ言ってくれました、という気分です。

【 日本の不況転落、ヨーロッパ経済の停滞、暗雲が垂れ込める世界経済 】

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日本は安倍首相の多額の国家予算をつぎ込んでの経済対策にもかかわらず、この6年間で4度目の経済後退局面に入った
ヨーロッパと日本は世界経済の成長に貢献できないまま、自国の経済そのものが悪化している

ローリ・モンゴメリー、グリフ・ヴィッテ / ワシントンポスト 11月17日

株価下落
アジア経済の急激な原則とヨーロッパで続くスタグネーションは、きわめて高い失業率と低い賃金の上昇率が対になってここ数十年の中で最悪になり、世界を長期にわたる経済恐慌へと導く危険性がある、経済学者がこのように警告しています。

11月17日月曜日、日本は安倍首相の多額の国家予算をつぎ込んでの経済対策にもかかわらず、この6年間で4度目となる経済の後退局面に入ったと公表しました。
一方、英国のデイビッド・キャメロン首相は、世界経済が再び経済恐慌に陥る危険性が見えてきたと警告しました。

「6年前に発生した金融恐慌により世界経済は立ち上がる事が出来ないほど打ちのめされ、停滞が続いたままになっていますが、再び目の前で赤信号が点滅し始めています。」
キャメロン首相は英国紙ガーディアンにこう執筆しました。

世界の2つの経済大国、ヨーロッパと日本は世界経済の成長に貢献できないまま、自国の経済そのものが悪化の様相を見せています。
ヨーロッパでは失業率が11.5パーセントに達し、経済学者の中からは大恐慌と変わらない状況に陥っていると語っています。

2008年に発生した金融恐慌の後、世界経済を壊滅の淵から何とか抜け出すことに貢献した新興成長市場も、成長が鈍っています。

ロシアとブラジル経済は不況により打撃を被り、中国経済は成熟しつつあり、投機的な不動産バブルの泡がはじける段階に入っています。

香港01
「中国はきわめて規模の大きい粗削りな巨大企業ですが、その先行きには大きな疑問符がついています。」こう語るのは、コンサルティング会社IHSのチーフ・エコノミストであるナリマン・ベーラベシュ氏です。
現在の状況は、世界的な危機を発展した2008年の金融市場の崩壊と著しく異なります。

「世界経済が上向く要素はありませんが、だからと言って直ちに経済恐慌の発生という深い穴に落ちこむほど危険な状態にある訳でもありません。」
ウェルズ・ファーゴのグローバル・エコノミストであるジェイ・ブライソン氏がこう語りました。
「今回の苦境はこれまでと大きく異なっています。」

日本とヨーロッパの経済停滞は、これまでアメリカ合衆国の先行きを暗くすることはありませんでした。

米国経済は年間3パーセントの成長が確実に続いています。
ガソリン価格の下落により、アメリカに800億ドル(約9兆5,000円)の資金が流れ込みました。
ダウ・ジョーンズ平均工業株価は17日月曜日に13ポイント上がりました。
スタンダード・アンド・プアーズ500の株価指数は、この時点では海外の経済の悪化に関する知らせが届いていなかったため、最高記録に向けじりじりと値を上げていました。

しかし輸出は米国経済の13パーセントを占めており、若干の影響が出始めています。
今やヨーロッパと日本の景気後退がアメリカ経済の回復にも影を落とし始めています。

Abeno03
経済学者はヨーロッパの経済の停滞と政治的麻痺状態が、今後の世界情勢を左右する最も大きな懸念材料だと語っています。
ガーディアン紙への寄稿の中でキャメロン首相はユーロ圏について
「きわめて高い失業率、物価の下落、逆行する経済成長により、いまや3度目となる深刻な不況を目の前にぐらぐらと揺れている状態。」
と表現しました。
貿易交渉の進展が遅れる中で、中東地区とウクライナ東部の紛争が激化し、エボラウイルスが拡大するという緊急事態について、キャメロンは特に留意すべきだと警告しました。
そして、世界は「不安定性と不確実性の危険な状況」に対して、何らかの対策を講じるべきであると訴えています。

キャメロンの厳しい予測は、オーストラリアのブリズベーンで開催されたG20サミット終了後に明らかにされました。
G20サミットでは世界最大規模の経済圏の指導者たちが、世界経済を何とか成長軌道に乗せるための戦略を具体化させるための検討を行いました。

世界経済に対する否定的な見解、特にヨーロッパに対する懸念は別の場所からも指摘が行なわれました。
イングランド銀行のマーク・カーニー総裁は、先週、ロンドンでリポーターにこう話しました。
「忌むべき亡霊がヨーロッパ中を闊歩しています。経済恐慌という名の亡霊が。」
国際通貨基金のクリスティーン・ラガルド総裁はヨーロッパを低い成長と低いインフレ、高い失業率と莫大な金額の負債が支配しつつあり、「新たな思わしくない条件がそろいつつある」ことについて警告しました。

TPP05
17日月曜日、欧州中央銀行のマリオ・ドラギ総裁は成長を促すためには通貨政策だけでは達成は不可能だとして、EUの議員たちに採るべき対策に関する提言書を提出しました。
「2015年ユーロ圏ではあらゆる機関があらゆる対策を取る必要があります。」
各国政府並びにEU、そして政策に関わるすべての機関が、経済回復のための一貫した戦略の展開に取り組む必要があります。」

EUとアメリカ合衆国の首脳はドイツに対し、もっと公共投資を増額するよう求めました。
しかしドイツ自身もその経済状況は万全とは言えず、ドイツの首脳はユーロ圏の各国はまずは自国の経済機構の改革を行う必要があると反論しています。

しかしヨーロッパの先行きだけが危ない訳ではありません。
17日月曜日、日本政府が発表した第3四半期の速報値は国内総生産が1.6パーセント減少し、世界第3位の経済圏が第2四半期に続いて景気後退局面に入っていることを明らかにしました。
この発表は、第3四半期には日本経済は2%の成長を達成すると予測していた経済専門家たちを沈黙させ、物価の下落が続き20年間停滞が続いたままの日本経済を復活させ、先進国中最大の危険な程多額の負債を抱える政府財政を健全化に向かわせるとの安倍首相の公約の先行きを怪しいものにしました。
この安倍首相の経済政策の中には2014年4月、17年ぶりに税率を3%引き上げる消費税の引き上げが含まれていましたが、消費支出に予測した以上の打撃を与えてしまったと月曜日、安倍政権の閣僚が認めました。

反安倍01
安倍首相の経済政策の支持者であり、長年日本経済を専門に分析してきたアナリストのピーター・タスカ氏がこう語りました。
「日本経済の数値は全くひどいものになりました。言葉では表現できない程ひどい、ひどいものです。税率引き上げを主張する緊縮財政派が日本経済をだめにしたことは明らかです。」

GDPの数値の発表を受け安倍首相は来年秋に予定されていた消費税の再度の引き上げの延期を決定、その真を問うため衆議院を解散し、12月抜き打ちの総選挙実施を実施すると発表しました。

対照的にインド、英国、アメリカ経済は、世界の中で先行きが明るいグループに入っています。
この1年米国の雇用は安定して拡大を続け、失業率は2008年の金融危機以前のレベルに戻りました。
原油価格も急落し、経済学者はヨーロッパの不況の深刻さもアメリカ経済を回復の軌道から蹴落とすことは無いだろうと語りました。
「世界不況が深刻なものにならない限り、アメリカ経済に再び転落の危険が生じることはないでしょう。」
IHSのチーフ・エコノミストであるベーラベシュ氏はこう語ります。

しかし、「我々は、これから米国経済に起こりうる可能性について、充分用心しなければなりません。」
経済予測の専門会社のマクロエコノミック・アドバイザーズ社の専務取締役であるジョエル・プラッケン氏がこう語りました。
日本とヨーロッパの経済不振は、すでに2015年度のアメリカ経済の成長率の予測を2、3ポイント引き下げる結果につながりました。
「一連の財政上の混乱が新たに浮かび上がることが、現在最も懸念される危険です。」
プラッケン氏がこう語りました。
「いったん財政破綻が始まってしまえば、その連鎖に国境はありません。」

http://www.washingtonpost.com/business/economy/japan-recession-europe-stagnation-cast-pall-over-global-economic-outlook/2014/11/17/5cd81612-6e8f-11e4-ad12-3734c461eab6_story.html
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安倍政権に私が最も『欺瞞』を感じるのは、選挙の時だけ『経済問題に専念してみせる』点です。
いざ政権の座について安倍政権が行ったのは
教育現場に介入し、子供たちに国家主義教育を強制したこと( http://kobajun.biz/?p=16270 )
特定秘密保護法を成立させたこと
軍事予算を大幅に拡充したこと
憲法九条の解釈の変更を行い、戦後日本の平和主義に終止符を打とうとしていること
そして原発の再稼働政策を推進してきたこと

いざ政権の座につけば経済問題は二の次になり、脇目も振らずに推進したのは国家主義的政策でした。
しかし選挙になると、これらの問題には触れようともしません。

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【 小規模な火山噴火の群発は、地球温暖化を遅らせる可能性 】

リンダ・キャロル / アメリカNBCニュース 11月20日

火山 1
地球温暖化は、群発する世界中の小さな火山噴火の影響が無ければ、より一層悪化する可能性があると新たな研究結果が明らかにしました。

地球温暖化は、群発する世界中の小さな火山噴火の影響が無ければ、より一層悪化する可能性があると地理物理研究ジャーナルに掲載された新たな研究結果が明らかにしました。
研究チームは少なくともこの15年間、世界各地で発生した噴火により二酸化硫黄が大気中に放出され、それが低成層圏に滞留することにより地球温暖化に遅れが発生している可能性があるとしています。

これまで科学者は噴火が大規模である程、地球の空気を冷やすことがあることは把握していましたが、小規模な噴火の場合は二酸化硫黄が成層圏にまで達することは無いと考えていました。

二酸化硫黄はフロンが商品化される以前、冷蔵庫の冷媒として使用されていた気体です。
低成層圏の二酸化硫黄は酸素と結びついて硫酸のしずくを形成し、それが地球に降り注ぐ太陽光を反射し、大気圏の温度を下げる働きをします。

これまでの研究は人工衛星からの観測結果を用いていましたが、低成層圏の状態まで把握できる人工衛星はなく、小規模な火山噴火の影響までは解析できずにいたのです。
研究チームはNASAの地上からの観測データを用い、今回の解析を行いました。

ここ15年、世界の火山活動は活発化しています。
それ以前の20年間と比較すると、この15年間は地球温暖化の進行が遅くなっていますが、二酸化硫黄の存在はその原因のひとつになり得ます。

「しかしその影響は長続きしません。」
国際研究チームの責任者である、デイヴィッド・リドリー氏がこう語りました。
「現在の状況はいわば中休みのようなものであり、再び地球温暖化の進行が顕著になる可能性の方が高いのです。」

御岳山01

【 大義なき解散総選挙、首相の狙い通りの展開となるか? 】

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経済回復の重要な鍵を握る労働者の賃金と消費支出については、現実には改善がなかった
選挙結果を有利に導くため、莫大な税金を投入する『新たな経済政策』の発表を準備中
勤労者世帯の収入の増加を図ることに失敗したアベノミクス、2期連続で日本経済が後退

ガーディアン 11月18日

GRD安倍
安倍晋三首相は、国民に人気の無い2度目の消費税引き上げを表明し、アベノミクス成長戦略の継続の可否を問うため、12月に抜き打ちで衆議院の総選挙を行う事を表明しました。

安倍晋三はレビ中継された記者会見で、12月14日金曜日に衆議院を解散し、総選挙を行うと表明しました。
この席で安倍首相は消費税の8%から10%までの2度目の引き上げについて、2015年10月から2017年4月まで、計画よりも18ヵ月遅らせることも表明しました。
安倍首相の発表は1年を4期に分けたGDPの数値が、2012以来初めて不況に陥ったことを示した翌日に行われました。
日本経済は、第2四半期に7.3%と大幅な落ち込みを見せた後、7月から9月までの第3四半期、さらに年率1.6%縮小しました。
今年4月に実施された消費税の5%から8%への17年ぶりの引き上げは、世界第三位の規模を持つ日本経済の60%を占める個人消費支出を大きく減少させる結果につながり、多方面の批判を浴びました。

「私はたくさんの意見を聞き、それらを考慮に入れた上で、アベノミクスの成功を確実なものとするため、消費税の2度目の引き上げを2017年4月まで18カ月間延期することを決定しました。」
安倍首相はこう語りました。
そしてアベノミクスの『3本の矢』の効果が、雇用機会の増大と企業収益の改善という望ましい形で現れていると語りました。
しかし経済回復の重要な鍵を握る労働者の賃金と消費支出については、現実には改善は見らません。
この点について安倍首相は、先行する2つの数字に遅れることなく「回復しなければならない」と語りました。

安倍首相は17日月曜日に明らかになった予想外のGDPの落ち込みについて、消費税の3%の引き上げが個人消費支出に重くのしかかった結果であり、来年10月再び消費税を引き上げればデフレーションから脱出する取り組みを危険にさらすことになると語りました。

ヒットラー安倍
GDPのデータは巨額の財政出動、金融緩和、構造改革の3つの政策の組み合わせであるアベノミクスにとって大きな打撃となりました。
安倍首相は個人的に尊敬する英国の前首相であるサッチャー夫人の言葉を模し、日本を再び成長軌道に乗せるためには、アベノミクスの以外の選択肢は無いと強調しました。

日本国内の多くのアナリストが7月~9月の第3四半期に2%以上経済が成長すると予測しました。
一部の経済学者は落ち込みに対するリバウンドがあるはずだとまだ考えていますが、しかし来年始めまでそうした反発はありそうに見えません。
4年の任期のうち、ちょうど半分の2年が過ぎた段階で、なぜ解散総選挙を行うことを決心したのか尋ねられ、安倍首相は次のように答えました。
「非常に重要な決断をした以上、直ちに国民に改めて信を問うことが必要だと考えたからです。私は有権者に審判を仰ぐつもりです。」

安倍首相は先進国中最大の負債を抱える日本に対する懸念が高まり続けているのを受け、解決策の一つとして2段階に分けた消費税の引き上げに同意しました。

急速な高齢化が進む日本では、医療費の公的負担と社会保障費が急激に膨らみ続けており、これを増税によって賄う事はどうしても必要な措置とされてきましたが、2015年10月に予定されていた消費税を8%から10%まで引き上げる2度目の増税を延期することにより、安倍首相は国家財の立て直しを優先しなければならないとする与党自民党内の財政再建派を敵に回すことになりました。
これについて安倍首相はGDPの数値が期待を大きく裏切る低いものとなったことを受け、20年間続いてきたデフレからの脱却のため、成長戦略を最優先させることにしたと語りました。

憲法解釈01
安倍首相は選挙結果を有利に導くためため、改めて安倍政権の最大の目的は経済の再生であることを訴えるつもりであり、そのために2兆円から3兆円に昇る景気刺激策を発表する準備を進めていると伝えられています。

「7月から9月までのGDP数値は、期待したほど良いものではありませんでした。」
「しかし我々は長期にわたるデフレーションから抜け出す可能性を手にしています。我々はその機会を逃すことは出来ないのです。そして国際社会の信用を回復できるまで、財政再建のための取り組みを最後まで続けなければなりません。」

安倍首相は消費増税の先送りにより、収入は増えないのに支出ばかりが増えて困窮している有権者の支持を得ることはできるでしょうが、財破たんの危険をとりあえずは先送りしておいても大丈夫なのだという事を、自民党内の財政再建派を納得させられたわけではありません。

テネオ・インテリジェンスで日本を担当するアナリストのトビアス・ハリス氏は、来年9月に予定されている自民党の党首選挙において安倍氏が再び党首に選出されるためには、今回の選挙で完全勝利を得ることが必要だと指摘し、次のようにつけ加えました。
「消費税の再引き上げについての支持は得られたとしても、アベノミクスは成功を収めつつあると力説しているにもかかわらず、2期連続で日本経済が景気後退を続けている原因について、安倍首相ははっきりさせなければなりません。」
「さらには勤労者世帯の収入の増加を図ることに失敗した点についても、原因を明らかにする必要があります。」
「衆議院における現在の連立与党の圧倒的多数を少しでも損なうことになれば、安倍氏個人にとっては痛手となります。ましてや過半数を割るような事態になればなおさらのことです。」
ハリス氏は最後に、与党の敗退という事態に陥れば安倍首相の任期は危ういものになり、来年の自民党総裁選挙では有力なライバルが登場することになるだろうと語りました。

http://www.theguardian.com/world/2014/nov/18/japan-calls-snap-election-shinzo-abe
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私は昨年両親が相次いで亡くなり、自分の恥を言うようですが、年収分のちょうど倍ほどの株式を相続しました。
これまで株になどにはまったく興味が無かった私はすぐに1社分を処分しましたが、別の証券会社は売却ではなく相続を求めてきました。
そのまま放置しておいたのですが、ここの所の株高で100万円以上値上がりしました。
しかし株高の分など所詮アブク銭であり、値上がり分など絵に描いた餅に過ぎないと思っています。
実際にガソリン高を始めとする物価の高騰により、生活に対する圧迫感が強まっています。
年収が100万円増えればこうした事態に対応できるでしょうが、現実に求められているのは節約です。

試みに相続した株式の当時と現在の評価額をそれぞれの円ドルレートでドルに換算し、比較してみました。
約3,400ドルのマイナスでした。

これこそがアベノミクスのからくりだと思いました。
国内だけ見ていると何だか良いようにも見えますが、国際的評価ははっきりと下落していました。
一見儲かったように見える、けれど実際の生活は苦しくなるばかりです。

【 不況転落、日本経済予想外の悪化 – アベノミクスを検証する 】

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生活必需品の価格は上昇、賃金は実質的に目減り、結果的に国民生活はより貧しいものになってしまった
株価上昇や企業資産増加によって生み出された富が、一般国民の手に渡ることはなかった
安倍首相は状況が自分に有利なうちにもう一度選挙を行い、さらに4年間思い通りの政策実行が出来る環境を作ろうとしている

                    

ジョナサン・ソブル / ニューヨークタイムズ 2014年11月 17日

                

景気悪化

                       

                  

2014年第3四半期のGDPの数値が予想を起きく下回るマイナスの結果となり、日本経済が相変わらず苦しい停滞状態にあることが明らかとなったことで、20年近く続いている経済不況から日本を甦らせるとの公約を繰り返してきた安倍首相の政策に、疑問を突きつける結果となりました。

国内総生産が2期連続でマイナスとなったことで、日本の政治状況も一変する可能性が出てきました。
安倍首相に近い立場の人々は、首相が衆議院の解散総選挙を行うつもりであると語っています。
今回発表された国内総生産の速報値はその決定に大きく影響するものと見られ、その結果については今週中に明らかになるものと見られています。

                   

「残念なことに、数値は良くありませんでした。」
安倍首相は連立を組む与党公明党が主催するイベントでの講演で、こう語りました。
「しかし長いデフレーションから日本を抜け出させる機会をついに手にした現在、見す見す逃すわけにはいかないのです。」

4月に実施された消費税引き上げは、明らかに消費支出を阻害する原因を作りました。
その結果日本経済は下降局面に転換、自律的景気後退局面に入り込みました。
これを受け、安倍首相が来年に予定されている2度目の消費税引き上げを見送り、国民に信を問うための衆議院の解散総選挙を行う可能性が極めて高いものとなりました。

憲法解釈変更 7
内閣府が発表した国内総生産の速報値は、7-9月の国内総生産の速報値が年率でマイナス1.6%に落ち込んだことを伝えました。
前期の4-6月の第2四半期についても、政府は前回発表のマイナス7.1%をさらに下回るマイナス7.3%に訂正しました。
安倍首相は2年前に労働者の平均賃金と消費者物価が低下を続ける日本の経済の停滞状況に終止符を打つという公約を掲げて政権の座に就きましたが、今回の予想外の数値はその安倍政権が直面する問題の難しさを強調することになりました。
アベノミクスと称する同政権の経済運営は、日本銀行による国債の購入を始め景気刺激策が中心を成していました。
しかし経済学者は前政権によって承認された消費税の引き上げを安倍政権が実施したことにより、景気刺激策の効果は非常に鈍いものになったと指摘しました。

消費税の引き上げは、国内総生産の2年6か月分という、先進国の中で最大の、そしてきわめて莫大な金額に昇る日本政府の負債がこれ以上膨らまないようにすることが目的でした。
しかし労働者賃金が伸び悩み、消費マインドが低迷する中、日本経済はこれ以上の税負担の増加には耐えられないとする懸念があります。
消費税率の引き上げは国の負債の問題に解決の糸口をつける代わり、日本経済全体をさらなる停滞へと向かわせるだけになる可能性があります。

「消費税を引き上げれば日本政府の歳入が増える可能性がありますが、その結果再びデフレーションに落ちこむようなことになれば何の意味もありません。」
安倍首相は16日、オーストラリアのブリスベーンで開催されたG20首脳会議の席上、こう述べました。
安倍内閣の甘利経済産業大臣は月曜日の経済報告の後、消費税の引き上げが
「日本経済からはデフレマインドが払しょくされてはおらず、予想した以上の影響が及ぶことになった。」
と語りました。

道半ばとも言える日本の消費税引き上げですが、日本では最大の政治問題となると同時、アメリカ政府の懸念の的ともなりました
米国財務省のジェイコブJ.ルー長官は、日本とEUの政策立案者に対し、より一層の景気刺激策を実施するよう求めました。
「ヨーロッパ経済と日本経済の本格的な悪化、中国経済の減速、どれをとっても米国経済にとっては望まぬ逆風になる可能性があります。」
ジェイコブ・ルー財務長官がこう語りました。

日本の消費税引き上げは2回に分けて行われることになっていましたが、今年4月に第1回目が実施された段階ですでにその影響は容易ならないものとなっていました。

秘密保護法05
4‐6月の第2四半期の実績は急激に減速し、国際通貨基金などの国際機関と日本銀行などの国内機関はともに、今年度と翌年度の日本の成長率の予測を下方修正しました。

年率2%の持続的インフレの目標達成が困難なことが誰の目にも明らかになり、日本銀行は10月末、債券購入プログラムの一層の拡大に踏み切りました。
それでもなお、17日月曜日に明らかになった数値は、もっと楽観的な見通しを立てていたアナリストを狼狽させるのに充分なものでした。

報道機関も研究機関も、その経済専門家が予測した数字は平均すると年率2%をわずかに上回るものでした。
これに対し公表された報告書は、日本経済の重要な多くの分野で弱い動きを明らかにしました。
消費者支出は4月の一回目の消費税引き上げ後の落ち込みからかろうじて上向きましたが、住宅建設と設備投資の指標は後退しました。

企業の製品の在庫削減も予想された以上の規模になりました。
経済が成長局面にあれば各企業は増大する需要に応えるためより多くの生産を行う必要がありますが、実際には在庫調整により成長は鈍化し、徐々に停滞へと向かう原因のひとつを作りました。

日経主要銘柄の平均株価は約3%下落し、円の対ドル相場も下落しました。
ヨーロッパ市場では17日午後、株価はわずかに値を上げました。

特定秘密 1
2度目の消費税引き上げは来年10月とまだ間がありますが、やめるにせよ延期するにせよ法改正が必要であり、議会における審議時間を考えると安倍首相はすぐにでも決断する必要があります。
消費税引き上げが計画通り実施されれば、今年4月に8%に引き上げられた18か月後、すべての商品とサービスに対し10%の消費税が課されることになります。

安倍首相は2度目の消費税引き上げのためには何%の経済成長が必要か、その数値を口にしたことはあません。
しかし経済顧問のひとりである本田悦郎氏は、4%近い成長が必要であると語ったことがあります。
だとすれば民間の予測より高く、実際の数値よりもはるかに高いものでなければなりません。

アベノミクスは現在、とりわけ微妙な段階にさしかかっています。

消費者物価は望んだほどではないものの、そして株価の上昇や企業資産の増加程の勢いはないものの、上がることは上がっています。
しかし株価の上昇や企業資産の増加によって生み出された富が、平均的労働者の手に渡ることはありませんでした。
生活必需品の価格の上昇に対し、賃金は実質的に目減りしており、結果的に人々の生活はより貧しいものになってしまいました。

自由民主党のベテラン議員で安倍首相のもう一人の顧問である山本厚三氏は、物価の上昇に「賃金が追いつくまで」増税が延期される必要があると語っています。
安倍首相とその側近グループは、さらに大胆な、そして既得権者に左右されない経済政策実施の必要性を感じ始めているように見受けられます。

日本銀行が多額の資金を市場に流し込むことには、経済を活性化させる一方で消費税引き上げだけは実現させる基盤づくりの狙いもありました。
しかし今や安倍首相は変則的な対応ではあっても、とにかく景気刺激を最優先する政策を実施しなければならない状況に追い込まれているように見えます。

しかし安倍首相に批判的な人々は経済分野における各種の規制緩和などは、日本経済の持続的発展により多くの貢献をすると考え、もっと他の分野で大胆な政策を実施するよう求めています。

「予想されたものよりより、はるかに悪い結果になってしまいました。」
野党民主党の枝野幹事長がこう語りました。
「消費税引き上げ直前の駆け込み需要と実施後の大幅な消費の落ち込みは、アベノミクスの限界を示すものです。」

特定秘密01
安倍首相が率いる自民党は衆参両院において過半数を制しているため、法改正手続きにも問題が起きることは無く、消費税引き上げの延期を決めるために議会の解散総選挙を命じる必要はありません。
仮に安倍首相が日本経済の低迷により消費税引き上げを先送るすることが妥当だと判断した場合、若干の法改正が必要になりますが、与党自民党と連立与党公明党で衆参両院の過半数以上を制しているため手続きに問題が発生することはありません。

この点について専門家は、安倍首相が消費税率引き上げの延期について国民全体からの幅広い支持を取り付けたいと考えている可能性があると語りました。

「安倍内閣は消費税率引き上げの延期に対する一般国民の支持を確認するために、計算づくで衆議院の解散総選挙を実施しようとしています。」
クレディ・スイスのアナリストは顧客に対する書信にこうしたためました。
読売新聞は安倍首相が解散総選挙を宣言するのは18日夜になると伝えました。
現在の衆議院議員の任期は2016年半ばまであり、今解散総選挙を行うとすれば1年半以上任期が短縮されることになります。

特定秘密04

                    

一部の政治解説者は、安倍首相は状況が自分に有利なうちにもう一度選挙を行い、さらに4年間思い通りの政策実行が出来る環境を作ろうとしているのだと指摘しました。

                  

これに対し日本の野党勢力は弱く無秩序な状態にあります。
最近の世論調査評価の結果は、安倍政権に対する高い支持率に若干の陰りが見え始めたことを伝えましたが、未だに50パーセント前後を維持しています。

                 

http://www.nytimes.com/2014/11/17/business/international/defying-expectations-japans-economy-shrinks-further.html?_r=0
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今回の記事はものすごく長くなってしまいましたが、2回に分けると主旨が曖昧になるためまとめて掲載します。

かつてドイツのデア・シュピーゲル誌が、
『安倍首相は成長、成長というけれども、人口減少が続いている上に急速な高齢化が進む日本において、どうやって経済を成長させることができるのか?もっと科学的に分析し、まずは成長の担い手を作っていくべきではないか。』
と指摘しました。
日本経済の停滞の根本原因は構造的なものであるのに、従来の景気刺激策で問題の解決はできないはずだと2年前に指摘していました。
そしてアベノミクスの先に待っているのは、格差の拡大だとも警告していました。( http://kobajun.biz/?p=12105 )

また英国のエコノミスト誌は安倍首相は国民に約束した経済の復活の方はなおざりで、国家主義的政策の方にばかり熱心であり、このままではアベノミクスはつまづかざるを得ないと繰り返し警告していました。

私たち日本人にとって不幸なことに、その通りになってしまったのではないでしょうか?

【 降って湧いた年内の解散総選挙、その本当の狙いとは?】

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解散総選挙は、政策転換の責任を国民に転嫁することが目的?
多数派一般国民の生活改善は実現されないまま、アベノミクスの成果をうやむやにする
烏合の衆と化した野党、今ならこの機に乗じて議席の上積みすら期待できる

エコノミスト 11月15日

安倍首相01
安倍首相は衆議院を解散し総選挙を行うかどうかについては、まだ明確に決めてはいないと語っています。
しかしなぜ今安倍首相は解散総選挙を行う必要があるのでしょうか。
近年の内閣の中ではもっとも支持率が高く、党首を務める自民党が主導的立場にある連立政権は衆参両院において過半数を制しています。
安倍首相は本来であれば2016年末まで選挙によって信を問う必要はありません。
それでも安倍首相が年内に解散総選挙を行うという観測は急速に広まっています。

安倍首相の顧問は11月17日に日本の第3四半期のGDPの数値が公表された直後、解散総選挙に関する決定がなされるだろうと語っています。
安倍政権への支持率は歴代内閣の中で高い数値を示していますが、その支持率が下がり続けているという世論調査の結果が、解散の動機付けとなった可能性があります。
しかし最も大きな理由は、一般国民に人気の無い来年10月に予定されている消費税8%から10%への引き上げ、それを見送るという措置に国民の支持を取り付けることが目的である可能性が高いと見られます。

経産省前風船
今年4月に実施され消費税の5%から8%への引き上げは、日本経済を横ざまの打撃を与えました。
長く停滞が続く日本経済のデフレーションに終止符を打つと宣言した安倍政権の経済政策は、その実現がすっかり遠のいた観があります。
消費税の引き上げを見送るという措置について、安倍首相は制度的には解散総選挙を必要とはしません。
解散総選挙の実施は飽くまで安倍首相個人の判断にゆだねられることになります。
日本経済が2度の増税に耐えられないだろうという事実は各所に現れ始めていますが、消費税の引き上げを見送るという決断は極めて慎重を要するものです。

そのためには自民党は新たな法律を可決制定する必要があります。
2012年、当時政権を担っていた民主党は、国の借金が限度を超えて膨らみ続け、いずれは国家経済の破たんにつながりかねない問題に正面から取り組むため、消費税引き上げなどの法律を制定しました。

大企業や高級官僚も制定された法律通りの政策実行を求め、消費税増税の延期に反対の立場を取っています。
このような状況の中で、最も難しい立場に追い込まれているのが日本銀行です。

japan01
2016年までにインフレ率を2%代にまで引き上げるという目標の達成が危うくなった日銀は、10月31日突如思い切った金融緩和策の拡大を開始しました。
黒田日銀総裁は、かつては日本の国家財政再建のため消費税の引き上げは絶対条件だとする財務省の出身です。
黒田総裁は今回の思い切った金融緩和により、安倍首相が消費税引き上げの決断をしやすくなるだろうと計算したものと思われます。
黒田総裁と考え方を同じくする高官のひとりが、安倍首相が消費税の引き上げを見送るようなことになれば、GDPの240%という巨額の財政赤字を陰で支えている日本の国債に対する信用が、一気に崩壊してしまう危険性があるとの懸念を示しました。

バラバラで無秩序の日本の野党勢力の状況も、連立与党にとっては好材料です。
連立与党は2012年の選挙で480議席中325議席を獲得しましたが、野党の分立により今回さらなる上積みを実現する可能性すらあるのです。

民主党を始めとする野党議員は、ここのところ続いていた安倍政権の閣僚のスキャンダルを追及することに熱心なあまり、降ってわいたような解散総選挙には準備が整いません。

特定秘密 5
しかし安倍首相が看板に掲げてきた、賃金も含めた労働者の環境改善と自由主義市場経済の発展、その結果はどうなのでしょうか?
今や抜き打ち解散選挙に全力を注がなければならなくなった野党などは、こうした構造改革の行方を見守る余裕がなくなったかもしれません。

改めて国民の信を問うことになる安倍首相にとっては、選挙後の新たな現実の方に魅力があるのかもしれません。
選挙結果によっては、安倍首相の政策実施が容易になる可能性があります。

しかしリスクもあります。
安倍首相が長期にわたって日本経済を押し上げるために必要だとしたいくつかの公約は、未だに実現のめども立たないまま放置されているからです。

http://www.economist.com/news/asia/21632601-will-prime-minister-mandate-really-seek-another-one-snapping-attention?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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いつも報道記事&写真報道の組み合わせで掲載していますが、本日は変則ですが報道記事の2本立てにさせていただきます。
これまで翻訳紹介してきたエコノミストを始めとする海外の論調は、安倍政権が日本の経済復興を公約に掲げる割には不熱心で、国家主義的政策にばかり熱心であり、このままでは日本経済の復活は失敗に終わる危険性があると繰り返し指摘してきました。
それが現実になってしまい、国民は大迷惑です。
その政権に今年12月、日本は再び選挙の勝利を進呈するつもりなのでしょうか?

明日19日は掲載をお休み致します。

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【 アベノミクス無惨!日本、再び景気後退局面へ 】
予想を大きく下回った日本の第3四半期GDP、解散総選挙、消費税増税の見送り確実に

AFP通信 / ガーディアン 11月17日

GRD日本の景気
安倍晋三首相にとって大きな打撃が現実のものになりました。
今回、小幅ながら成長を見込んでいた市場にとって今日発表された日本の第3四半期のGDPの速報値は驚きの数字であり、これで12月に総選挙が実施されることが確実となりました。

日本経済は2014年第1四半期、第2四半期と収縮が続いた後、景気後退局面に落ちこみ、長期にわたる経済の低迷が続いた日本経済をふたたび成長局面に向かわせるとした安倍首相にとって大きな打撃となりました。

内閣府が発表した日本の国際総生産GDPの7~9月期の第3四半期の実績はマイナス0.4%、年率換算でマイナス1.6%となりました。
この数値は世界第三位の規模を持つ日本経済について、今年4月に実施された消費税の増税がその腰を折ってしまったこと、そして来年10月に予定されているさらなる消費税の引き上げがどれ程の重荷であるかを強調することになりました。

これまで第3四半期については、日本経済新聞ほか民間の経済予測は0.5%、年率換算で2.0%の成長というものでしたが、住宅関連の数値が大幅に落ち込んだこと、個人消費が回復しないことなどから逆に落ち込む結果になりました。
この数値を受け、来月12月の抜き打ちの衆議院解散総選挙の実施、そして来年10月の消費税の再増税の見送りが確実なものになりました。

今年4月に実施された消費税5%から8%への引き上げは、弱いながらも成長局面に入ったとされていた日本経済に急ブレーキをかけることになりました。
消費税増税後の第2四半期の4月~6月期は個人消費、企業の支出がともに落ち込み、マイナス1.9%、年率換算でマイナス7.3%となりました。
2014年の第1四半期、GDPがプラス1.6%を記録し、安倍政権の経済政策、いわゆる『アベノミクス』の先行きは明るいものと見られていた時と状況は全く逆になりました。

10月に日本銀行は経済が後退局面に入りつつあるとの判断から追加の大幅な金融緩和策を実施しましたが、今回発表された数値はその日銀の予測をはるかに超える悪いものとなってしまいました。

http://www.theguardian.com/world/2014/nov/17/japan-drops-into-recession

【 安倍首相の防衛政策転換に抗議 : 男性、都内で焼身自殺 】

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安倍首相の下で進められる、戦後日本の平和主義からの後退に抗議
人権の抑圧、平和主義の否定、民主主義プロセスの破壊、その先にあるのはどんな社会なのか
特定秘密法の施行など、国民に評判の悪い政策の実施を確実にするための解散総選挙

ロイター通信 / ガーディアン 11月12日

安倍04
一人の男性が日本の防衛政策の転換に抗議し、焼身自殺しました。
死亡した男性は安倍首相が進める日本の平和主義からの後退に対し、首相あての抗議文を残していました。
NHKの報道によれば、この男性は安倍首相の下で進められる戦後日本の平和主義からの後退に抗議の意を表すため、都内の公園で自らの体に火を放ち焼身自殺しました。

阿部政権は今年7月、有権者の多くが反対したにも関わらず日本国憲法によって長い間続いてきた厳しい制限を取り払い、自衛隊の海外での作戦の実施を可能にする法案を設立させ、国家主義者の手に大きな勝利をもたらしました。

日本の国内報道によれば、安倍首相は2015年10月に予定されている消費税率の引き上げを見送り、今年12月末に総選挙を実施する可能性が高くなっています。
日本政府内部の関係者は、これは集団的自衛権の行使に必要な法案の成立をめざし、さらには特定秘密法の施行など国民の間で評判の悪い政策の実施を確実にするためだとしています。

憲法第9条01
11月11日夜、緊急通報を受けた警察が東京都内の日比谷公園に駆けつけると、全身が炎に包まれている男性を発見しました。
日比谷公園は都心にあり、近くには国会議事堂や霞が関の官庁街などがあります。
男性は都内の病院に搬送されましたが、すぐに死亡が確認されました。

男性が亡くなった場所の近くにはビデオ・カメラ、そして安倍首相と衆参両院業宛ての遺書が見つかり、内容は安倍政権が行った集団的自衛権行使容認する憲法第9条の解釈の変更に対する抗議文であったとNHKが伝えました。
警察はこの件に関しては確認していないとコメントしています。

今年6月にもひとりの男性が間近に迫った憲法第9条の解釈の変更に抗議し、都内残さ点で数百人が見ている前で焼身自殺を図りました。

SDF03
この集団的自衛権行使を可能にするためにはさらなる立法措置が必要ですが、一連の動きに対しては数千人から数万人の一般市民が参加する抗議集会が度々開かれています。
来年、安倍政権は国民の強い反対に直面させられ、支持率の低下につながったこれらの政策の実現のため、いくつもの法案について議会通過を図る必要があります。

http://www.theguardian.com/world/2014/nov/12/man-dies-tokyo-setting-himself-fire-protest-japan-defence
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亡くなられたのはきっと正義感の強い方だったのでしょう。
人権の抑圧、平和主義の否定、民主主義プロセスの破壊、その先にあるのがどんな社会なのかを目にしたくなかったのかもしれません。
しかしやはり、生きてこの問題と戦い続けていただきたかったという思いが残ります。
下のフィルムに描き出されたような世界が、再びこの地上に姿を現さないようにするために。
この子供たちの姿を、再び現実のものにしないために。

『失政!アベノミクス』【 一層の格差を生み、一般国民を置き去りにした安倍政権の経済政策 】

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アベノミクスが救済したのは日本経済では無く、大企業と富裕層の投資家たち
置き去りにされた一般国民にとって、アベノミクスの政策的失敗はすでに明らかである
世界市場では原油価格は低迷、にもかかわらず円安により日本だけが燃料費の高騰に苦しんでいる
冷静に振り返ってみればアベノミクスの経済的恩恵など何もなかった、多くの日本人がそう考え始めている

エコノミスト 11月8日

安倍03
10月31日金曜日、日本銀行が予想外の発表を行った結果、世界の金融市場は大きな反応を示しましたが、日本国内においてその措置はデフレ脱却を図る安倍政権にテコ入れするためのものでした。
日本のGDPの16%に相当する年間あたり80兆円の日本国債を買い入れるという思い切った措置の発表は、このところ続いていた安倍政権の閣僚による一連のスキャンダルから国民の目をそらすのに充分な威力を発揮しました。

安倍政権の経済政策はこのところうまくいっていませんでした。
4月に実施された消費税の引き上げは、消費者がかつてない程厳しく支出を控える結果を招きました。
日本の経済にインフレを起こそうという政策の効果は消滅しかかっていました。
そして日本銀行内では保守派の意見が支配的となり、『何が何でもインフレを実現させる』という黒田日銀総裁が宣言した政策の妨害が行われているといううわさが広まっていました。

それは今回黒田総裁が発表したさらなる金融緩和策が、わずか1票差で可決された背景を物語るものであったかもしれません。
10月31日に開催された量的緩和拡大の是非を問う投票では、4人が反対票を投じたのです。
このように日銀の中ですらコンセンサスが出来ていなかった事実は、量的緩和策そのものと同じくらいの物議を醸すことになりました。

Abenomics 2

しかし今回の日銀の金融緩和策の強化は、日本の政界におけるもうひとつのコンセンサスについては、その実現性を高めることになりました。
安倍首相は2015年10月、消費税の2度目の引き上げ、すなわち8%から10%への引き上げるかどうかの決断をもうすぐ迫られることになっています。
もし消費税の引き上げを見送るのであれば、安倍首相は年内にそのための法改正を行う必要があります。

2014年度第2四半期の経済数値が明らかになり、GDPが年率換算で7.1%も下落したことが解り、安倍首相の経済顧問の多くが消費税の引き上げが政策として誤りであったことを確信しました。
現在、膨らみきった日本の財政赤字を削減しようと取り組む財務省と首相官邸の間では、消費税引き上げを実施するかどうかの激しいやり取りが行なわれています。
現在は消費税引き上げの実施を見送ろうという意見が優勢になりつつあります。
重要閣僚のひとりである甘利明経済産業大臣は、予定通り消費税を引き上げる対応を支持しているものと見られています。

現実問題として、日本の国家財政の信用を守るためには消費税の引き上げは必ず実行しなければならないと考える黒田総裁の今回の思い切った措置は、安倍首相が引き上げを見送るという選択肢を大きく遠のかせた可能性があると、アメリカ、コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授が主張しています。

2014年第3四半期の間の最終的なGDP数値が12月上旬に発表される予定ですが、安倍首相はこの段階で消費税引き上げの可否について判断するものと見られています。
第3四半期のGDPの速報値は11月17日に明らかになる予定です。

株価

消費税の問題がこれほど大きくなっているのは、まさに消費拡大を求められている一般国民に対し、その影響が大きく広範囲に及ぶからです。

アメリカ、そしてヨーロッパ同様、安倍政権の金融緩和政策によって潤ったのは、大量の株式や東京と2、3の大都市に不動産などの資産を所有している大企業と裕福層の人びとでした。
日本の一般国民、特に過疎化が進む地方の住民などは経済の回復など実感すること無くここまで来ました。
多くの日本人が、冷静に振り返ってみればアベノミクスの経済的恩恵など何もなかったという事を感じ始めており、その分安倍政権への支持も弱まってきています。

消費税の引き上げに加え、一般家庭は円安の進行による電気代、ガソリン代や燃料代などの高騰と戦い続けてきました。
世界ではここ数週間需要の減少から原油価格が低迷しているにもかかわらず、日本だけが燃料費の高騰に苦しんでいます。

黒田総裁が一層の金融緩和策を実行したことで、少なくとも一つだけは成果を感じ取ることが出来ました。
直ちに市場が反応し、円安が一層進んだことです。

政府の年金基金が外国株を含む株式の保有額を二倍にするというニュースは株価平均を大きく押し上げると同時に、一層の円安の進行をも促すことになりました。

日本経済02

今回の金融緩和措置の衝撃が大きすぎたため、安倍政権のもう一つの課題である構造改革についてはほとんど言及されなくなってしまいました。
安倍政権は折に触れ大胆な構造改革の効用を繰り返し宣伝してきましたが、現実になったのは退職金と引き換えに永久就職の社員を解雇する代わり、数百万人の非正規雇用労働者を生み出すことを日本の企業に許すことでした。
こうした政策の実施による効用は、女性の就労機会が増えたことです。
2012年末の安倍政権の誕生以来、約820,000人の女性が労働人口に加わりました。
政府は大企業に対し、女性を役員に任命し、その数を公表するよう強く求めることになっています。
公務員の採用者の中、今年度は女性が5分の2を占め、女性採用者が大幅に増えました。
先月、安倍政権の2人の閣僚が金銭上のスキャンダルから辞任せざるを得なくなりましたが、このことがいったんは拡大基調に乗った女性採用の道を再び狭くすることが無いように望まれます。

そして今、別の舞台ではこれまで高額の関税等を課すなどして保護されてきた農業分野なといくつかの部門において、思い切った自由化を行うかどうかの交渉が続けられています。
安倍首相の顧問を務める竹中平蔵氏は、この分野における現在の政府の取り組みは大幅に後退していると語っています。
竹中氏はかつての小泉政権において、政府指導の自由化を強力に推進しました。

特定秘密 3

政権与党内で政治資金スキャンダルが相次いで明らかになった後、敵対勢力を沈黙させるため、安倍政権が年内に抜き打ちで衆議院の解散総選挙を行うとの観測が有力となってきました。
現在小党分立の上、党内の統制も取れなくなっている野党勢力は確かに選挙を戦える状態にはありません。

解散総選挙の噂は日本銀行の金融緩和策の発表後、さらに強いものになりました。
しかし安倍政権は衆参両院で過半数を制しており、求められる改革を本当にするつもりがあれば出来ないことはありません。
要は、安倍首相がそれを使い切れるかどうかということです。

http://www.economist.com/news/asia/21631106-prime-minister-has-been-given-opening-will-he-take-it-riding-rescue?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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記事中にもある解散総選挙が現実のものになりつつあるようですが、その本当の理由についてこれまで読んできた各国記事の中身から、私個人は次の可能性があると思っています。
① TPPの交渉において、日本がアメリカに対し大幅な譲歩をせざるを得なくなっている
② 日本の2014年第4四半期の経済数値が壊滅的なものになる恐れがある
いずれにせよ安倍政権にとって致命的な失点となり支持率が急落する恐れがあります。
これに加え野党の状況が戦後最低レベルにある今、政権の延命の勝負時だと判断したのではないでしょうか?
皆さんはどうお考えでしょう。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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