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【 住民の抗議が続く中、鹿児島県知事が九州電力・川内原発の2基の原子炉の再稼働を承認 】

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再稼働のための一連の手続きが完了したことが、原子力発電所の安全が確保されたことにはならない
「地元住民の理解が何より大切」…実際には地元住民の意向も国民の意見も反映されてはいない

AP通信 / ガーディアン 11月7日

川内原発議会
2011年3月11日に襲った巨大地震と巨大津波により、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを起こした事故の後、日本では原子力発電の管理運営について新たな安全基準が採用され、国内すべての原子炉がその基準を満たすよう求められました。
九州地方の鹿児島県にある九州電力・川内原発は、この基準をクリアし再稼働が認められる最初の原発になる見通しです。

伊藤鹿児島知事は再稼働に対し住民が反対意見や懸念の声を上げる中、川内原発の2基の原子炉の再稼働について、最終承認を与えました。
「総合的に判断し、『当分の間は原発を活用せざるを得ない』と判断しました。今後は定められた手順に従って、計画通りに着実に進めていくことが何よりも大切です。」
伊藤知事は記者会見の席上、このように語りました。

九州電力・川内原発は原子力規制委員会による現地での審査を経て来年早々には再稼働する見込みですが、鹿児島県知事による承認はそのための最終的な手続きが完了したことを宣言するものです。
今年7月日本の原子力規制委員会は、福島第一原発のメルトダウンを教訓にしたより厳しい安全基準に基づく審査を行い、九州電力・川内原発に合格点を与えました。

川内原発エコノミスト
日本国内48基の稼働可能な原子炉は、大飯原発が一時的に約1年間稼働したことを除けば安全点検及び修理のため順次停止したままになっており、川内原発が再稼働すれば新しい安全基準のもとでの稼働第一号になります。

川内原発の立地自治体である薩摩川内市はすでに再稼働を承認する市議会の議決手続きが完了しており、今回の鹿児島県知事の承認により地元自治体による手続きが完了したことになります。

しかし住民の一部は、一連の手続きが完了したことにより原子力発電所の安全が確保されたとは考えていません。
10月31日県議会で議決が行われた際には、傍聴席の市民から反対の声が挙がり、賛成多数により承認されたと発表する議長の声はほとんど聴き取ることができませんでした。
共同通信社によれば、傍聴席では立ち上った市民たちが『川内原発再稼働No!』のサインを掲げ
「市民の命を守ることを優先すべきである」
「恥を知れ」
などの声を次々と挙げていました。

地元住民の大きな懸念のひとつが川内原発を取り囲むように存在する複数の活火山です。

101318
日本の安倍晋三首相は日本がエネルギー資源のほとんどを輸入に頼らざるを得ない以上、長引く原子力発電所の停止は日本経済に悪影響を与えるとして、国内48基の原子炉を複数再稼働させる政策を推進してきました。
安倍政権のエネルギー政策を支持するよう地元を説得するため鹿児島県を訪問した宮沢経済産業大臣は、
今回の鹿児島県の発表をもろ手を挙げて歓迎し、次のように語りました。
「地元住民の理解を得ることは、何より大切なことです。」

http://www.theguardian.com/world/2014/nov/07/japanese-nuclear-power-plant-fukushima-restart
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今やドイツのみならずフランスやアメリカにおいてさえ原子力発電所の廃炉が次々決定しているにもかかわらず、福島第一原発の事故を起こした当の日本においては事故を起こした原子炉以外の廃炉は一基も決まっておらず、再稼働のための手続きばかりが進行しています。
私は鹿児島県議会の傍聴席で「恥を知れ」と叫んだ方の心が痛いほどわかります。

以下の新聞記事をお読みください。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201411/20141112_63024.html
「きょうで震災から3年8カ月。人生で築き上げてきた全てを失った。行政は避難民を救ってくれず、自ら立ち上がらなくてはならなかった」
この言葉の重さを、今こそかみしめるべき時ではないでしょうか?

【 混乱が続く日本の電力事情と再生可能エネルギー、今後の展開は? 】

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予想をはるかに上回る事態の進展により、混乱状態が続く日本の再生可能エネルギー開発
巨大発電施設頼ることなく、必要とする場所で適切な規模の発電・売電が行なわれる時代が来る
再生可能エネルギーの可能性ではなく、補助金目当てのペーパー事業が排除されることになる

AP通信 10月30日

AOL NYC01
この国がクリーンエネルギー社会へ移行することを信じて投資を行った人々同様、大場純一氏もまた怒れる人間のひとりです。
コンサルタント業を営む大場さんは現役引退後の収入の柱とすべく九州地方にある自宅に隣接するかつて水田だった場所に、道義的にも何ら恥じることの無い投資として約2,000万円をかけて最大容量50キロワットの太陽光発電システムを設備しました。

しかし大場さんが発電した電気を販売する先であるべき九州電力は、最近になって同社に対する新規の電気の販売申し込みの受け付けの一時中止を発表したのです。
同時期、日本国内の4社の電力会社も同様の措置を取ることを発表し、残る2社は一部についての制限を発表したのです。
電力各社は自然エネルギー等による新規の売電申し込みが殺到している事態に対応しきれないと語り、日本の野心的な再生可能エネルギーの開発戦略の先行きに不安が生じる事態となっています。

さらに太陽光発電などの場合常時安定した出力を得られない点と、蓄電設備の不足が問題になっています。

「九州電力ショックは、ドミノ式に拡大しています。」
大場さんがこう語りました。
「電力会社日本政府が互いに共謀し、国家レベルの詐欺を行っているようにしか見えません。」

チェルノブイリ以降最悪の原子力発電所事故となった福島第一原子力発電所事故の悪夢から一日も早く立ち直り、そして世界最高レベルの再生可能エネルギーの実現を目指し、日本は空前の自然エネルギー開発ブームに見舞われました。
しかしその発電コストが非常に高くつく上、各電力会社が福島第一原発の事故以降停止していた原子炉の再開に向け積極的に動き出した現在、自然エネルギー開発は無残な失敗に終わろうとしています。
日本における自然エネルギーの供給過剰状態は、ドイツとスペインがかつて経験したものでした。

太陽光4分ごと
九州電力管内の太陽光発電設備の接続申請は今年3月72,000件に跳ね上がり、前年度の年間トータルにほぼ匹敵する史上空前の件数となりました。
翌4月1日から再生可能エネルギーによって発電した電気の買取価格が1Kwhあたり36円から32円に引き下げられる事を受け、何とか3月中に手続きを完了させようと申し込みが殺到したためでした。
日本における発電コストは、通常1Kwhあたり23円前後です、
現在申請済みのシステムがすべて設置完了したとすると、日本の電気使用総量の8%が太陽
光発電によって賄われることになります。
この発電量に仮に32円の買取価格を適用した場合、国内の電気料金には3兆円という莫大な金額が上乗せされることになります。
政府の委嘱を受け再生可能エネルギー買取制度の見直しを行っている委員会は、この実質的な補助金制度をできるだけ混乱が生じないように終了させるため、できるだけ早い結論を求められています。

あてにしていた再生可能エネルギー事業による収入プランが雲散霧消してしまう事を心配しているのは大場さんだけではありません。
太陽光発電事業に投資した日本人の多くは、現行の補助金制度が10年程度継続することを願っていました。
大場さんは自然エネルギー開発に投資した企業などが倒産してしまう事を恐れています。
現時点では自宅に太陽光発電システムを設備し、売電によりエネルギーコストの削減を見込んでいた一般家庭にも影響が及ぶ可能性があります。

第一大破壊
2011年3月に発生した地震と津波によって福島第一原発の事故が発生する前、原子力発電所は日本の電気の総需要の約3分の1を供給していました。
資源が少ない日本は、原油と天然ガスの需要のほとんどを輸入によって賄っています。
日本では現在、稼働可能な48基の原子炉すべてが停止しており、世界第3位の規模を持つ経済社会を維持するため莫大な量の原油・天然ガスを輸入せざるを得ず、経済的に大きな負担となっています。

このような事情も併せ、安倍首相が率いる保守政権は経済界・実業界を優先する政策を採っており、事情が許す限りできるだけ多くの原子炉を再稼働させる方針です。
そして新しく採用された安全基準をクリアしたとして、九州電力・川内原発の2基の原子炉をまず
再稼働させることにしました。

福島第一原発の事故後に策定された日本の新たなエネルギー政策は、太陽光、風力、水力、そして地熱発電を含めた再生可能エネルギーの発電割合を、2030年までに20%にするとうたっています。

福島第一原発の事故の発生以前、日本の再生可能エネルギーの発電割合は実質的にはゼロでした。

安倍首相は再生可能エネルギーの開発推進を続けると語っていますが、現在の状況は海外の投資家、そして地元企業の動静に影響を与える可能性があります。

これまで日本に進出した外国企業の失敗例を参考に、アメリカの太陽光発電企業大手のファースト・ソーラー、サン・パワーの2社はいち早く日本法人を立ち上げ、積極的に素早い事業展開を行ってきました。
日本の通信大手であるソフトバンクもアメリカのスプリント社を買収し、福島第一原発の事故後積極的な太陽光発電システムの事業展開を行ってきました。

FR24 破壊された福島第一原発
東日本大震災の発生時、原子力発電所の事故により電力の供給が不安定となり、ソフトバンクが生命線とするネットワークが大きなダメージを受けて以来、創立者である孫正義社長ははっきりと原子力発電に反対する立場を取り、再生可能エネルギー開発推進の提唱者となりました。

ソフトバンク社は20カ所に及ぶ風力発電所を竣工・建設中であり、ゴビ砂漠においても風力発電設備を開発しています。
同社は日本国内において発電・売電事業に対する規制が撤廃され、大手電力会社による市場独占も解消されると確信しています。

ソフトバンク社の再生可能エネルギー事業を担当するSBエナジー社の代表を務める藤井社長は、日本が無計画に自然エネルギーの開発に突き進むのではなく、太陽光や風力も含め数世代に渡る最善のエネルギー生成計画を取りまとめるべきだと語っています。
藤井社長は日本が将来、一か所の巨大発電施設が広域に電力を送るシステムが解消され、必要とする場所で適切な規模の発電・売電が行なわれる時代が来ると考えています。

藤井社長は政府主導による日本の再生可能エネルギー開発の失敗を残念に思っており、この問題について国全体が開かれた議論を行うべきだと語りました。
「私たちはドイツが犯した誤りを検証することも無く、学ぶこともありませんでした。」

太陽光 2
ドイツでは2010年に開始された自然エネルギー開発の途上、2011年に福島第一原発の事故が発生したため、急きょ原子力発電の全廃を決定しました。
その結果電気料金が急上昇することとなり、一部の国民が電気料金の支払いができなくなり、電気の購入を一時ストップする事態に陥ました。

日本政府の再生可能エネルギー開発部門の後藤次長は、現在申請が出されている太陽光発電システム設置と補助金の申請について、申請だけ行って具体的事業の計画を持たない業者を排除するなどの、選別作業が必要になるだろうと語りました。

当初申請基準を厳正にすることも検討されましたが、現在起きているような事態は発生しないだろうとの楽観的な見通しの下、自然エネルギー開発への参入を容易にするため制限を設けることが見送られました。
後藤氏は大場氏のように現在の日本政府の対応に腹を立てている人々に対し、冷静に今後の事態の推移を見守るよう願っています。
「もうしばらく、我慢してお待ちいただきたいと思います。」
後藤氏がこう語りました。
「もう少しで混乱を収拾し、望むような展開になると思います。当初予想よりもはるかに早く、事態が展開してしまいました。」

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/after-fukushima-japan-gets-green-boom-_-and-glut/2014/10/30/8753e816-6003-11e4-827b-2d813561bdfd_story.html
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長いので2回に分けようかとも思いましたが、結論が解りにくくなるので一挙に掲載させていただきます。

私自身も今年、進言が容れられて会社で太陽光発電システムを設置しましたが、システムの設計と部材調達を終えた時点で申請を行いました。
このため申請後3か月後にはシステムが完成し、実際に発電(自家消費&売電)を始め、今年東日本は好天の日が多かったため計画を大きく上回る発電実績を記録しました。

実際の設備工事を行ったのは誰もがその名を知っている大手電機メーカーグループでしたが、担当者によると『売電価格の権利確定』だけのため申請を行っている事業者も多数いるという話でした。
部材の値下がりを待って実際の設備工事を行い、少しでも利ざやを稼ごうという、どこにでもいる『思惑買い』のグループです。
これらの業者がいずれ排除されることになるという事であり、例えば当社の場合は契約時の売電価格は20年問題なく保障されることになるという事でした。
つまりは再生可能エネルギー事業者すべてが不利になるという事ではないのです。
この辺が一連の報道で一番わかりにくい点でしょう。

【 過半数の国民が反対、包囲網突破の再稼働 】

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日本人の多くが望んでいなくとも、結局は再稼働させるつもりの日本政府、深まる国民との亀裂
立地市町村に他の選択肢を考慮させないよう、日本政府・電力業界から惜しげも無く供与される莫大な額の補助金
原子力規制委員会の審査基準は原発の設備・機能の問題に偏り過ぎ、他の数多くの問題に触れようとしていない

エコノミスト 11月3日

川内原発NYT
3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こしてから4年近くが経つ今、日本は原子力発電の再開に向け動いています。
九州地方、鹿児島県薩摩川内市議会は10月末、市民傍聴席から抗議の声が挙がり続ける中、九州電力・川内原発の2基の原子炉の再稼働を承認する決議を行いました。

2011年3月11日以降、福井県にある大飯原発の2基の原子炉が一時的に14カ月間稼働し、その後昨年9月に再び稼働停止した例を除き、日本国内48基の原子炉は原則停止しています。
その中、川内原発の2基の原子炉が、事故以降初めて稼働の承認を得たことになりました。
この後予想される通りに11月7日に鹿児島県も承認を行なえば、川内原発は来年早々にも稼働を開始することになります。

この決定は九州電力にとっては喜ばしいことかもしれませんが、原子力発電の継続を巡って二分された日本の世論の亀裂を一層深めることになるでしょう。

日本政府は莫大な金額に昇る化石燃料の輸入額を減らすため、現在停止中の原子炉を可能な限り何基でも再稼働させようと必死になっています。
原子力規制委員会は以前より厳しいと言われる新しい安全基準を採用し、一般国民の原子力行政への信頼を回復すべく、それまでの原子力安全・保安院に代わって組織されました。
川内原発の再稼働承認は、新たな原子力行政が国民の信頼を回復しつつあることについての最初の兆候であるという見方もあります。

川内原発エコノミスト
九州電力は川内原発について、原子力発電所が安全を確保できる地震の規模を部分的に見直すことによって、原子力規制委員会の認可を得ました。
そして日本政府、電力業界から薩摩川内市に対して惜しげも無く供与される莫大な金額の補助金なども、市議会が疑問を敢えて口にしないようにするために大きな効果を発揮しました。

しかし万が一事故が発生した場合、放射性物質が飛散する可能性がある圏内に位置する市町村の住民たちに、川内原発の再稼働に承認を与えたことを納得させることには無理がありました。
鹿児島市は川内原発から約40キロの場所にある人口60万の都市ですが、福島第一原発から北西方向40キロの場所にある市町村は、放射線量が高く未だに人が暮らすことができません。

さらに鹿児島県には複数の活火山もあります。
こうした懸念から川内原発から30キロの場所にある鹿児島県中部の都市、姶良(あいら)市は同原発の稼働停止・廃炉要求を圧倒的多数で決議しました。
さらにいくつかの周辺市町村は、再稼働の可否に関する発言権を求めています。

法的に日本政府は、立地自治体とは異なる周辺自治体の意見を聞く必要はありません。

しかし多くの日本人は原子力発電の継続に反対しており、政治的に難しい決断を迫られることになります。
原子力発電所に対する一連の訴訟の中で、原発周辺住民の避難計画も重要な問題になっています。
今年5月には、地方裁判所が大飯原発の再稼働を禁じる判決を行いました。
関西電力はこの判決を不服として上告しました。

福井地裁判決
原子力発電の継続に反対する人々は、日本政府と現在国内20基の原子炉の再稼働承認のための審査を受け付けている原子力規制委員会の審査基準が、地震規模に対する耐震性能や事故発生時のベントなど、原発の設備・機能の問題に偏り過ぎていると批判しています。
原子力発電所の再稼働を急ぐあまり、事故発生時に周辺住民をいかに安全に避難させるかという点については充分な対策が講じられていないというのが実情です。

こうした問題に対して最も影響力を持つ立場にあるのが、世界最大規模の柏崎-刈羽原子力発電所が立地する新潟県の泉田知事です。

2007年の地震では柏崎-刈羽原子力発電所内で火災が発生しましたが、通路を確保できなくなった緊急作業員が立ち往生する事態が起きました。
知事室への緊急回線も不通になり、泉田知事はテレビ報道を通して事態の推移を見守る他なくなってしまったのです。
泉田知事は30km圏内に440,000人が生活している柏崎-刈羽原子力発電所で、再び同様の事態が発生した場合の対応について懸念を深めています。

柏崎刈羽原子力発電所を所有しているのは、事故を起こした福島第一原子力発電所の所有者でもある東京電力ですが、担当者は海外から派遣されてきた調査官に対し、柏崎刈羽は現在は世界で最も安全な原子力発電所であると語っています。

柏崎刈羽原発
東京電力は柏崎刈羽原子力発電所の2基の原子炉の再稼働を申請しました。
これに対し泉田知事はその前に、新潟県内の周辺住民の現在の「著しく不十分な」避難計画の大幅な変更を行うよう希望すると語っています。
泉田知事の要望の中には、現在首相にしか与えられていない避難命令を発する権限を地方自体に移譲することや、原発事故が発生した場合に備えての地方自治体自身の緊急司令室の設置等が含まれていると言われています。
2011年に発生した福島第一原発の事故では対応が常に後手に回ったとの批判が強い東京電力ですが、同社の幹部は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働には会社の命運がかかっていると語っています。
しかし再稼働に聴漕ぎつけるためには、まずは泉田知事を納得させられるだけの対応を取らなければなりません。

http://www.economist.com/news/asia/21630808-country-lurches-towards-nuclear-comeback-critical-mass?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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「原子力規制委員会の審査基準は、原発の設備・機能の問題に偏り過ぎている」
まさにその通りです。
増え続ける核のゴミ、放射性核廃棄物の問題はどうするのでしょうか?

私が暮らす宮城県では、福島第一原発の事故によって県内で発生した放射性廃棄物の中間貯蔵施設を巡って、処分場建設の最有力候補とされてしまった町が必死の抵抗を行っています。
料簡の狭いことを言えば、首都圏に電気を送るため建設された隣県の原発が事故を起こしたために発生した核廃棄物を、なぜ私たちが引き受けなければならないのか今一つ合点がいきません。

そもそも宮城県の山側に放射性廃棄物の中間貯蔵施設を建設した場合、下流域一帯がすべて汚染されてしまう危険性があり( http://kobajun.biz/?p=18732 )、個人的意見としては中間貯蔵施設の建設など、とんでもない話です。

ことほどさように、原発を稼働させてしまえば次々に解決不能の厄介な問題が持ち上がることは明々白日のはずなのです。

【 脅迫される村 】《後篇》

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安倍政権の誕生以来、すべてが感情的で、しかも反動的になってしまった
本名を明かさずにWEB上でつながり、執拗な攻撃を続けるネット右翼
史実に目を向けようとしないネット右翼、現実から再び目をそらすよう脅迫している

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 10月28日

NYT01
こんなことがありました。
2014年7月、東京の北、群馬県庁は怒りをぶつけるような内容の抗議の電話を受け、10年前に公共の公園に建設した韓国人強制労働者の記念碑の撤去を決定しました。
似たようなキャンペーンは、長い間日本人の反戦感情のよりどころとなって来た長崎でも行われました。
今年4月の完成をめどに1945年の原爆投下で亡くなった韓国人労働者のための慰霊碑の建設が計画されていましたが、計画が無期限延期となりました。

「安倍政権の誕生以来、すべてが感情的で、しかも反動的になってしまいました。」
猿払村の元副村長で、戦争中朝鮮人労働者と日本人の囚人を使役して建設が進められた浅茅野飛行場について詳細な調査を行い、その結果をまとめた著作を出版した前田保仁氏がこう語りました。
前田氏は現在90歳です。

「私が浅茅野飛行場の史実を調査発表した当時、保守陣営でさえ強制労働があったという点については異議を唱えませんでした。」

北海道にある人口約2,400人の村役場の職員は、この問題について役場の電話が鳴りっぱなしになった時、その背後にいたのは100人に満たない人間たちだったと証言しました。
村がこの慰霊碑を建設するにあたり韓国政府に財政支援を受けているという話が流布され、その行為は国家反逆(内乱)罪によって裁かれるべきであるという攻撃が繰り返されました。
ここに至り、当時の立見村長は慰霊碑建設の中止を命じる決心をしました。
「事はもう小さな村が単独で戦える問題ではなくなってしまったのです。」
立見氏がこう語りました。

Abeno08

ウェブ上で電話による攻撃を組織した人間たちは、ごくわずかな人を除き本名を明らかにはしませんでした。
しかし一人の人物が電子メールによる取材に応じました。
この人は的場氏、自分を北海道の60歳の医師だと語っています。
彼は日本の戦時犯罪に関する虚報を流し続ける大手メディアに対し、彼らが抵抗するために採れる手段はこうした方法しかないとして、ネット右翼が使うウェブを使った圧力戦術を弁護しました。
的場氏は猿払村役場に抗議の電話をかけ続けた人間たち同様、飛行場建設に従事させられた朝鮮人に対し『強制労働』という表現が用いられることに抵抗しています。
「朝鮮人の強制連行、強制労働は作り話です。」
的場氏は電子メールにこう書きました。
「朝鮮人が飛行場建設に従事したのは、自らの意思によるものなのです。」

しかし正統的な研究を行う歴史学者の多くは、70万人に上る朝鮮人が徴用され、戦時中日本国内で強制労働をさせられたとしています。
前田氏は猿払村に埋葬された朝鮮人は、この70万人の中の人びとであったことにほぼ間違いはないと語っています。
数百人の朝鮮人たちが、窓の無い監獄同様のバラックに収容されていました。
多くの朝鮮人が逃亡を図りましたが、ほとんどは捕えられ凄惨な制裁を加えられました。

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敗戦後、日本の軍関係者は戦争犯罪の記録を残さないようにするため、関係書類を急いで焼却処分しました。
しかし飛行場建設に従事させられた82人の朝鮮人の名簿は、処分される事無く猿払村に残されていたと前田氏が語りました。
彼らは全員20代、30代であり、飛行場建設中に劣悪な衛生環境と栄養失調、そして厳しい労働条件が重なり、発疹チフスや他の疾患を患い、命を落としていきました。

村の郵便局長から話を聞いた建築家の水口氏は2006年から2010年にかけて日韓両国の研究者とボランティア数百人による発掘隊を編成し、村内の3か所の埋葬場所から38件の重要な記録と証拠を発掘しました。
今は酪農地として牧歌的な景色が広がる現地を訪れた水口氏は、慰霊碑の建立をあきらめたわけではないと語りました。

「史実には無関心な彼らは、現実から再び目をそらすよう私たちを脅迫しています。」

青い防水ビニールシートでおおわれている、埋葬場所の発掘現場の傍らに立ち、水口氏はこう語りました。
「閉ざされた史実への扉を開き、真実を解明しようという私たちの邪魔を許すわけにはいかないのです。」

< 完 >

米冒頭の写真 : 朝鮮人労働者の埋葬場所の傍らに立つ水口氏。

【 脅迫される村 】《前編》

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戦争犯罪の痕跡を残すことは許さない、執拗な要求と攻撃が繰り返された
長い間政治と経済の停滞が続いてきた日本、その中で成長した若者たちの不平不満が利用されている

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 10月28日

NYT01

日本の北端、北海道の沿岸にあるこの村で、今は郵便局長を務める一人の男性が居合わせた事件に幕が引かれ、以来沈黙を守り続けてからすでに半世紀以上が経過しました。
固く口を閉ざしてきた村民が重い口を開き、ここで起きた悲惨な出来ごとについて重要な証言を行い、それを記録できるようになるまでに水口浩一氏はこの場所に何度も足を運びましたが、気がつけば数十年の歳月が過ぎていました。

第二次世界大戦中この場所に滑走路の建設を強行しようとした日本軍は、結局80人以上の韓国人労働者を虐待と栄養失調によって死に至らしめました。
水口さんたちは最終的に場所を突き止め、住民たちと一緒に約2メートルの高さの慰霊碑の建設を始めたのです。
この小さな村が戦争中の悲惨な事件の記録を保存しようとする取り組みは、10年前であれば完成まですんなりと行ったことでしょう。
しかし昨年後半、猿払村役場には村民を裏切り者呼ばわりする脅迫電話が執拗に、繰り返しかかって来ることになりました。
そしてインターネット上でネガティヴ・キャンペーンが組織化され、猿払村のホタテ貝の不買運動を求める者も現れました。
動揺した村長は慰霊碑の建設の中止を命じました。

これまでの日本において、軍国主義国家であった時代を再評価するなどということは容易に許されることではありませんでした。
日本は軍国主義国家が引き起こした数々の問題を努めて記憶の彼方に押しやり、平和主義国家の建設に邁進し、今日の繁栄を築き上げました。
しかし戦争中に日本が犯した罪についてはきちんと記録すべきであるとする水口さんのような人々に対し、事実を否定しネット上で脅迫を行う行為が最近になって増加しています。

『ネトウヨ』と総称される彼らはネット上の寄り集まりであり、人道上・人権上問題のある発言を繰り返したために厳しい批判を浴び、日本の政治社会において一度はその片隅に追いやられました。
しかし戦前戦中の日本についての否定的評価を肯定的なものに書き換えようとする右派・安倍政権の誕生ともに、再び活発に動き始めました。
そして政治の動向に無関心であるか、あるいは後のたたりを恐れて口をつぐみがちな日本の市民社会において、その言動はいやが上にも目立つようになりました。

Abeno10
「私は脅迫に屈してしまったことについて、村長を責めるつもりはありません。」
手描きの地図でかつて飛行場建設が行われた場所に案内してくれた、もと建築家で79歳の水口さんがこう語りました。
「責められるべきは、将来日本が再び道を誤ることが無いよう真実の記録を残す取り組みを支援するため、声をあげようとしない日本の社会の方です。」

研究者は積極的な言動を行っているネット右翼の総数は2〜3千人を上回ることは無く、彼らの多くが定職を見つけることが出来ない、非正規雇用の労働者であると見ています。
過激な言動を繰り返す彼らは、長い間政治と経済の停滞が続いてきた日本の中で成長し、不満を募らせてきた若者たちに具体的なはけ口を与えることにより利益を得てきました。

彼らは第二次世界大戦の終結以降約70年間、日本側の戦争犯罪のみが言われ、アメリカによる広島・長崎への原爆投下など連合国側の戦争犯罪については一切触れられることが無いのは不公平であり、日本の威信を著しく傷つけるものだと主張しています。

「我々は、絶えず反省することを求められる日本には飽き飽きしています。」
猿払村の慰霊碑のようなものは日本の『自虐史観』を象徴するものだとして批判した、右派の若者たちに人気があるブロガーである26歳の京本和也氏がこう語りました。
京本氏は熱心さを通り越して脅迫行為までおこなっているのは、ほんの数名に過ぎないと語りました。

中国・韓国との領土問題の激化が京本氏などネット右翼への支持の源となっていると、一橋大学の阪口正二郎教授が語りました。
両国は20世紀前半、日本の軍国主義の犠牲者の立場にありましたが、21世紀初頭の今日、アジア地区において経済大国日本の地位を追い越し追いつこうとする位置にいます。
「ネット右翼は自分たち自身の地位の不安定さと、国家としての日本の将来の不安を重ね合わせているのです。」

ヘイトスピーチ04
2013年12月の自民党の地滑り的勝利以来、日本の左派系の政治家の活動は極めて精彩を欠き、権力機構にどのような影響力も発揮できない状態が続いています。
国粋主義的ウェブサイトを運営し、人種差別主義者とともに日本国内の韓国朝鮮系住民へのヘイトスピーチを繰り返す過激右翼の活動の活発化は、こうした状況と軌を一にしています。

安倍政権はネット右翼とは立場を異にすると宣言することが遅く、この点繰り返し批判されてきました。
9月には安倍政権の閣僚の一人である山谷えり子国家公安委員長と、ネット右翼最大のグループである在特会の幹部が並んで写っている写真の存在が明らかとなりましたが、政権はこの問題に触れようともしませんでした。

坂口教授や他の専門家は、かつての日本の政治家が反省や謝罪の態度を表明したことすら、今や国粋主義者や極右の攻撃の対象とされる、そうした政治文化の変化がこうした結果を生み出していると指摘しました。

米冒頭の写真 : 朝鮮人労働者の埋葬場所の傍らに立つ水口氏。

〈 後篇に続く 〉


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彼らに極端な排撃行動を行なわせているのは、最早自身の力では置かれている環境を変えようが無いという閉塞感でしょうか?
その閉塞状況を暴力によって打開したいという衝動でしょうか?
いずれにしてもユートピアが現実にはありえない以上、こうした人々はどの時代にも存在せざるを得ません。

ほんとうの悪は彼らを使嗾し、利用しようとする人間たちです。
火がついてしまっている彼らに、こう囁けばいいのです。
「君たちは国士だ、自分の利害より先に国の事を憂える立派な人間だ。」
そしてそれとなく目標、つまりは『敵』を指し示してやればいいのです。
卑劣さも極まれりと言うべきかもしれません。

【 遺族会支部、靖国神社に戦争犯罪人14名の分祀を要請 】

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戦没者の魂を祀る施設が、国際的な政争の場と化していることに心を痛める遺族
家族を戦場に送り自殺的な死を強要した戦争指導者と大切な肉親が合祀されることに、一貫して反対してきた遺族もいる

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 10月28日

靖国神事
靖国神社に対し大きな影響力を持っている第二次世界大戦で戦死した日本兵の遺族の会が、現在これら一般将兵と合祀されている戦争犯罪人14名を分祀するよう神社側に申し入れました。
これは戦争犯罪人を合祀してしまったために、靖国神社が長年国際的な政争の場と化してきたことを憂うあまりの措置です。

日本遺族会福岡支部は10月27日月曜日、靖国神社に合祀されている東条英機首相を含む戦時指導者、A級戦犯14名の分祀を求める決議を行いました。
A級戦犯を靖国神社とは別の場所に埋葬すべきであるという考え方、いわゆる『分祀』の構想はこの何年かの間に広く検討されるようになりましたが、日本で最も保守的な利益団体(共通の利益を求め活動を行う団体)のひとつである日本遺族会がこうした考え方を支持したのは初めての事です。

靖国神社は日本の近代戦、20世紀前半の軍国主義日本の二度の大戦で犠牲になった約250万人の戦没者を祀っていますが、政府要人の参拝などによりこれまで何度も外交上の摩擦の原因となってきました。
昨年末に国家主義の推進を声高に唱える安倍首相が行った靖国神社への参拝は、中国、韓国の両国の怒りを買い、両国との外交関係は他の要因も絡んで史上最悪とも言える状況に陥っています。
安倍首相は常々第二死世界大戦中に戦地で命を落とした兵士たちを称える言葉を口にし、靖国神社への参拝や献納に熱心であり、それらはすべて自分自身の政治基盤である遺族会も含めた右派の人々の歓心を得るための行動であるとする見方が一般的です。

広島14
こうした理由からひとつの支部とはいえ、27日に遺族会の中から地域紛争のこれ以上の拡大を防ぐための柔軟な対応を求める提案が実際に行われたことは、人々を驚かせることになりました。
そして今、福岡支部に続く支部が現れるかどうかに注目が集まっています。

今回の決議は靖国神社にまつわる論争の根本的原因のひとつを取り除くためのものです。
靖国神社には日本に太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)の開戦を強い、後の東京裁判において人道に対する罪によって有罪判決を受けたA級戦犯の魂が祀られています。
有罪判決を受けたうち、7名が絞首刑に処せられました。
罪状言い渡しの前に自殺した人間もおり、他は収監されました。

戦場においていかなる栄誉を与えられた軍人であっても、遺体そのものが靖国神社に埋葬されることはありません。
靖国神社は日本独自の宗教である神道の考え方に基づき、死者の魂を祀る施設です。

14人のA級戦犯は1978年、靖国神社の神職により祀られている英霊簿の中に密かに加えられました。
これは当時の日本国内の国家主義者の一部が、A級戦犯は戦勝国となった連合国側に一方的に犯罪者とされたのであり、本来ならば愛国者として扱われるべきだと主張したことを受けての行為でした。
1年後この合祀が明らかになると昭和天皇は靖国神社への親拝(天皇陛下の参拝)を取りやめ、合祀に対する不快感を示されました。
以降、現在の明仁天皇も靖国神社への親拝は行っていません。

第二次世界大戦04
14人のA級戦犯を合祀したことは、1980年代に入り日本の政治家要人が靖国神社を参拝する度、中国、韓国が抗議を繰りかえす主な原因を作りだしました。
両国はA級戦犯を合祀したことは、第二次世界大戦中に軍国主義が行った悪行に対する日本の反省が不足していることを象徴するものであると主張しています。

60年間戦後日本の与党として君臨した自由民主党を代表要る立場の政治家が、A級戦犯の分祀を主張したことがありました。
分祀をすれば、政治家が靖国神社を参拝しても、第二次世界大戦中の日本の戦時指導者と開戦への道を進ませたその政策を支持しているのではないかという疑いをもたれることなく、戦没者に対し弔意を示すことが可能になります。

しかし現在は民間の宗教施設となっている靖国神社の行為の神職は、一度英霊簿に加えられた魂を再び取り除くことは不可能であるとして、分祀にはこれまで徹底して反対してきました。
そして政界が分祀を行うように圧力をかけることは、日本国憲法が定める政教分離に違反するものであると批判してきました。

遺族会はこれまで靖国神社を支える団体の中でも、筆頭にある存在と見られてきました。
しかし遺族中には、家族を戦場に送り自殺的な死を強要した戦争指導者と大切な肉親が合祀されることに、一貫して反対してきた人々もいます。

広島07
福岡支部の決議文は、次のように訴えています。
14名の戦争犯罪人の分祀が実現した上で、
「日本国首相だけでなく、天皇陛下も皇后陛下も、そして一般国民すべてが、誰に遠慮することなく戦争の犠牲になった人々に哀悼の祈りを捧げることができるようになることを願っています。」


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欧米のメディアは安倍政権について『保守政権』(Conservative)という書き方をしますが、本当の保守とは何でしょうか?
従来の価値観を出来るだけ変ずに生きたい = したがって変革による環境の変化を望まない = 静かな暮らしを続けたい
というのが、『保守』の本態だと私は考えています。

その象徴が神道であり、日本の古式神道とは自然の中で清浄な場所を見つけ、そこを人々のよりどころとして掃き清め、静謐さを守るというものであったはずです。
例えば自分たちが大切に守ってきた神域を外国系の企業が買収し、そこにパチンコ店を建設するようなことになれば大いに憤ってよいと思いますが、神域でも何でもない無人島を巡って争いの種を大きくしたり、国内で暮らす他国籍の人々を脅迫したりするのは本来の保守とは全く別物だと思います。

この記事中の遺族会の方々も、大切な家族の霊を静かに祀りたいだけなのではないでしょうか?

【 原発立地自治体での投票を繰り返しながら、じりじりと再稼働へと進む日本 】

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川内原発の再稼働によって生活と生計手段が脅かされる可能性がある住民全てを対象に、公開の場でその意向が確認される必要がある
川内原発から60キロ、霧島連山の硫黄山では火山活動が活発化

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 10月28日

川内原発NYT
薩摩川内市議会は九州電力・川内原発2基の原子炉の再稼働の可否に関する議決を行い、賛成多数で承認、ここに2011年に発生した福島第一原子力発電所の事故以降初めての日本国内での原子力発電の再開が実現される見通しが強まりました。

東京の南西およそ1,000の場所にある鹿児島県薩摩川内市議会の26人の議員中19人は、九州電力・川内原発の再稼働に賛成票を投じました。
4人が反対、3人が棄権しました。

九州電力・川内原発は福島第一原発の事故後に導入された新しい安全基準を一番最初にクリアしましたが、薩摩川内市議会の議決により直ちに再稼働できるわけではありません。
九州電力は操作上の安全基準をクリアする必要があり、続いて鹿児島県の承認を得る必要があります。
こうした事情から川内原発の2基の原子炉が実際に再稼働するのは翌年になる見通しだと、県の関係者が語りました。

今回の動きは日本の原子力発電を段階的に再稼働させ、福島第一原発の事故以前と変わらぬ状況にまで復活させようと考えている安倍晋三首相には追い風となります。
原子力発電所の停止により、原油と天然ガスを大量に輸入せざるを得なくなっている日本はそのコストに苦しんでおり、さらには温室効果ガス削減の目標達成も危うくなっているとして、安倍首相は原子力発電所の再稼働を支持しています。
一方で大多数の日本国民が原子力発電所の再稼働を望んでいない現実に直面している安倍首相は、再稼働させるかどうかの最終的判断は地元に一任すると語っています。

川内原発再稼働02

グリーンピースは28日に行われた議決は、九州電力・川内原発周辺の住民たちの意思と『はっきり矛盾している』とするコメントを公表しました。
「多くの重要な安全上の問題が未解決であるか、無視されています。川内原発の再稼働によって生活と生計手段が脅かされる可能性がある住民全てを対象に、公開の場でその意向が確認される必要があります。」
グリーンピース・ジャパンで原子力発電問題に取り組んでいる柏木愛氏がこう語りました。

他の多くの原発立地自治体がその経済を原子力発電所に頼っているのと同様、薩摩川内市もまた歳入の多くを原子力発電関連に依存しています。

日本国内のすべての原子炉が2011年3月11日の巨大災害以降、稼働を停止しました。
この時襲った巨大地震と巨大津波は福島第一原子力発電所の重要な設備である原子炉冷却システムを破壊し、3基の原子炉がメルトダウンの状態に陥りました。
この事故により福島第一原発周辺で生活していた160,000人の人々が避難を強制されることになり、市町村そのものも放射性物質に汚染されてしまいました。
未だに多くの避難住民が、放射線線量が高すぎるため故郷にも自宅にも戻れずにいます。

101406

日本では福島第一原発の事故の発生を受けて原子力発電所の安全基準が改定され、稼働を続けるためにはこの基準をクリアする必要が生じ、このため国内の稼働可能な原子炉48基がすべていったん停止しました。
稼働を停止した原子力発電所に代わり主に国内の火力発電所がフル稼働の体制に入ったため、日本では化石燃料の消費が一気に増大、原油と天然ガスについては輸入に頼らざるを得ない経済事情に大きな影響が出ることになりました。
福島第一原発の事故発生以前、日本は電力の供給の約30%を原子力発電に依存しており、2030年にはその比率を50%にまで引き上げる計画がありました。

川内原発の再稼働については、周辺自治体住民の意向がはっきりと分かれています。
2基の原子炉が立地する薩摩川内市に対しては、数十億円に上る補助金が給付されています。
しかし原子力発電所からそう遠くない位置に有り、万が一事故が起きれば薩摩川内市とほぼ同様の健康被害が発生すると考えられる、いちき串木野市のような自治体に対する助成金等の金額はきわめて限られています。
今年度、いちき串木野市の30,000人の市民の半数以上が、川内原発の再稼働を止めるよう求める嘆願書に署名しました。

この問題は川内原発から約60キロの場所にある火山の活動が活発化し、専門家が小規模な噴火が起きる可能性があると警告したことにより、より一層込み入ったものになりました。

御嶽山06
日本の気象庁によれば、霧島火山のうち硫黄山では最近になって微弱振動が増加しており、最近発生した7分間続いた弱い地震等などの状況を考え合わせると、火山活動が活発化している可能性があります。

http://www.theguardian.com/world/2014/oct/28/japan-nuclear-power-reactors-satsumasendai-fukushima

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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