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【 原子力発電所の全面再稼働、日本にとって本当に必要なのか 】〈前篇〉

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思うようにならない地方財政、しかし再稼働には複雑な思い
故郷も自宅も奪われ避難を強いられた福島の人々、その悪夢の再来を恐れる
安倍政権の再稼働推進、市町村長や地元に対しては強力な政治的圧力

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 3月20日

伊方原発
原子力発電の実施が公約した日本経済の復興の原動力と信じる日本の安倍首相は、3年前に発生した福島第一原発の事故以来すべて停止している国内の原子力発電所について、今すぐにでも再稼働させるつもりでいます。
しかしそのためには、東京から遠く離れた原子力発電所が立地する、市町村の首長の同意をとりつけなければなりません。

すべての事実は、安倍首相が各自治体の首長の同意を簡単に取り付けることが出来るだろうことを指し示しています。
日本の政治においては、地方の同意を取り付けるという事は、原発が立地する市町村長の同意を取り付けるという意味です。
これら遠隔地の市町村長のほとんどが、原発の停止により税収の途が絶たれた上に仕事の場も失われ、一度は原発関連の収入によって潤った町や村が、再び貧しい状態に追い込まれてしまったと不満を露わにしています。

1977年、瀬戸内海に面した細長い半島に建設された伊方原子力発電所が立地する伊方町長は、なにより地元の商店主たちが原子力発電所の再稼働を求めているのだと語りました。

伊方町の山下和彦町長は、原子力規制委員会が伊方原発の安全性を確認できた時点で、再稼働に同意するつもりだと、インタビューに答えました。

政治評論家はこうした地元自治体の協力的な姿勢が、現在停止中の48基の原子炉をできるだけ多く再稼働させるという安倍政権の方針を実行に移す際、最初に再稼働させる原子力発電所の中に伊方原発を含めた理由だと語っています。

伊方原発内部
伊方原発は早ければ今年の夏にも、再稼働する可能性があります。

しかしそれは伊方町住民10,700人全員が、日本全国の原子力発電所の再び本格的稼働に、もろ手を挙げて賛成しているという事を意味している訳ではありません。

多くの人々が町の中心部から北に数キロしか離れていない場所の、この町のもう一つの主要な収入源であるミカンの木が立ち並ぶ山の連なりの向こうにある伊方原発について、複雑な思いを抱いていることを認めています。
ほとんどの人はそうした思いについて公にはしませんが、原子力発電所の稼働を受け入れざるを得ないという気持ちと恐怖とが心の中でないまぜになっていることを暗に認めています。

町が原発に経済的に依存していることを認める一方、福島第一原子力発電所周辺の住民が故郷も自宅も奪われ避難を強いられたのと同じ悪夢に、自分たちも襲われる可能性がある事を恐れる気持ちも強いと語りました。

「再稼働の問題について、私たちは複雑な思いを抱いています。」
町役場に努める坂本明人氏がこう語りました。
「私たちの生活が原子力発電所の存在によって脅かされる一方、町の経済にとっては必要なのだとの認識も持っています。」

120915
この町に存在する原子力発電所に対する複雑な思いは、日本全国の縮図といえるかもしれません。
福島第一原発の事故以降、すべての原発が停止していますが、一方ではエネルギー資源に恵まれない国土における重要な発電手段の一つが機能できないことについての懸念もあります。

安倍首相とその与党自由民主党は強い政治力を持つ日本の原子力産業界と緊密な関係を維持していますが、安価な電力を提供することにより日本の企業の採算性と雇用を守るため、数か所の原子力発電所を再稼働させることにより、日本の原子力発電の行き詰まり状態を解消すると誓っています。

この再稼働の方針に基づき、新たに組織された原子力規制委員会には、伊方原発の3基を含む国内最新の原子炉17基について、新たに設けられた安全基準に基づく審査を急ぐようにとの政治的圧力が増々強まることになったのです。

原子力発電問題に詳しい政治経済のアナリストや原子力発電関連企業の役員は、この夏の電力の最需要期に間に合うよう、今年5月か6月には最初の認可がおりるだろうと見ています。
最終的に安倍政権が再稼働を行うためには、地元の自治体の承認を得る必要があります。
政治家やアナリストは、このため地方住民がいかなる不安を抱こうとも自治体として再稼働を承認するよう、市町村長や地元に対しては強力な政治的圧力がかけられることになるだろうと語っています。

090101
「原子力発電に関する国民的コンセンサスの欠落は、そのまま原子力発電所が立地する市町村に対し、決定に関する負担を強いることになります。」
安倍政権以前の民主党政権で経済・エネルギー戦略担当大臣を務めた古川元久氏がこう語りました。
「町は国益に関する問題をそのまま押しつけられたと感じるに違いありません。」

〈 後篇につづく 〉


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先週末、私が勤める会社の屋上に350枚近くの太陽光パネルが運び上げられ、私の現実面での原子力発電との戦いが始まりました。
情報面での戦いであるこの【星の金貨】を始めてからすでに3年が過ぎていました。

私が考える現実面における原子力発電との戦いは、原子力発電を不要とする社会システムの構築です。
電気は必要とする場所で再生可能エネルギーで作り出す社会システムが出来上がれば、あんな莫大な金をかけて原発を建設・維持する必要は無くなるはずであり、現実的には処理不能の核廃棄物が増え続ける事もなくなります。

しかも太陽光発電システムを設備すれば、私たちが3.11で体験したようにライフラインが途絶しても、身の回りの必要な電気が無くなる事はありません。

この後大型蓄電池を設備するなどしてシステムは完成、2ヵ月後には電気を自前で作り出す会社になります。
しかし私の戦いはそこでは終わらせないつもりです。
点を面として広げていかなければなりません。
そのための準備はすでに始まっています。

これから先その成果をここでご紹介できるよう、現実面における戦いも着実に進めていきたいと考えています。

『フクシマ : 巨大原子力発電所事故の全容』[ワシントンポスト]

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勝てば大儲け、負ければ巨大事故になる大賭博、それが原子力発電
原子力発電とは周到な手配の下に神話を作り上げ、それを使って普及が図られる発電手段
原発事故が引き起こす最も恐ろしい事実、その実態は未だ明らかになっていないはず

デイビッド・ロックバウム、エドウィン・ライマン、スーザンQ.ストラナハン、憂慮する科学者連盟共著(309ページ、27.95ドル)

ジャスティン・モイヤー / ワシントンポスト 3月16日

The Story of a Nuclear Disaster
1982年、スリーマイル島原子力発電所で起きた部部分的メルトダウンの事故から未だ4年が過ぎない頃、アメリカ原子力規制委員会は、原子力発電所で起こりうる最悪の事故に対し、事前に対策を立てる必要性を否定しました。

広範囲に放射性物質が放出され、死亡者が続出する原子力発電所の事故が発生する可能性について、原子力発電所のひとりは
「スーパーボール開催中で、たまたま満員になっているスタジアムに、ジャンボジェット機が墜落する程の可能性」
しかないと語りました。

そしてきわめて残念なことに、2011年3月、そのジャンボジェット機は墜落しました。

この著作では2人の科学者、1人のピューリツァー賞獲得のジャーナリスト、そして憂慮する科学者連盟(環境グループ)が、津波によって3基の原子炉がメルトダウンするという、それまでの認識を全く覆した、あり得ないはずの事故について振り返ります。

「福島第一原子力発電所の事故は、原子力発電所というシステムが宿命的に抱える弱点、原子力発電所を長年にわたって管理運営する、あるいは適切に監督指導するという事が如何に困難なことであるかを暴露しました。」

「原子力発電とは周到な手配の下に神話を作り上げ、それを使って普及が図られる発電手段です。原子力発電とは大規模災害を賭博の対象にするエネルギー選択なのです。」

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『福島:原子力発電所事故の全容』は2011年3月11日に始まった、誰もが予測できなかった、前例のない事故の全容を明らかにしようとしています。
「全電源停止」、原子力発電所の事故を防ぐためには、電源の確保が不可欠であること…
自分の身が犠牲になることも厭わずに事故に立ち向かった福島第一原発の技術者、作業員がいて初めて、事故の拡大を防ぐことが出来たという事実…
そしてチェルノブイリの事故という前例があったにもかかわらず、東京電力、日本政府、原子力安全・保安院、それらすべてが適切な対応を取れなかったこと…

こうした問題の存在は、事故が発生して初めて分かった事でした。

著作の記述については、所々専門的な技術用語が使われています。
読者は「水素爆発の予防措置、確率的危険度認定、沸騰水型原子炉強化型格納容器へのベント装置設備の必要性」などと言う言葉について、事前の知識が必要かもしれません。
しかし一部にそうした難解さがあるにもかかわらず、この著作には読むものをとらえて離さない力強さがあります。

IAEA
「福島第一原発の事故の根本原因を作りだしたのは、原子力発電に関わることにより大きな利益を手にして得意の絶頂にあった世界各国の電力会社の役員や幹部、原子力産業、原子力に関わる行政機関、そして原子力発電を推進した政治家などでした。東京電力と日本原子力発電関連の各政府機関は、その支部のひとつに過ぎなかったのです。」

アメリカ合衆国内で事故が発生した際、事情は多少異なっていましたが、結果は同じ事でした。
「原子炉の破壊、発電所から放出され環境を汚染した放射性物質、混乱する社会、そして莫大な金額の事故収束費用。

しかし恐ろしいのは、結果がまだわからない事故の影響についてです。

「それを特定することは、きわめて困難です。」
福島の住民で、現在は4歳になる娘を連れて福島第一原発から遠く離れた場所に避難している男性が、2013年、執筆のための調査に訪れていた著者のひとりにこう語りました。

「幼い子供たちに、放射線がどのような影響を及ぼすのか、まだ定説はないのです。」

101603
福島第一原発の事故とは何だったのか、『福島:原子力発電所事故の全容』はその過去の事実を理解するための絶好の解説書であると同時に、これからどんなことが起こりうるかを、的確に描き出しています。

http://www.washingtonpost.com/opinions/fukushima-the-story-of-a-nuclear-disaster-by-david-lochbaum-edwin-lyman-susan-q-stranahan-and-the-union-of-concerned-scientists/2014/03/14/474b0890-a87e-11e3-8599-ce7295b6851c_story.html

【 フクシマの教訓、それは原子力発電の廃止!それ以外ではあり得ない 】

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原子力発電所の事故は、人間が暮らす社会にあっては許されない出来事である
事故について検証不足、日本の原子力発電の再稼働の可否に関する議論

AP通信 / ワシントンポスト 3月13日

Gregory Jaczko 2
3年前、福島第一原発の事故により大量の放射性物質が、環境中に放出されました。
この事態を受け米国原子力規制委員会は、日本国内に滞在中のすべてのアメリカ人に対し、福島第一原発の周囲80キロ圏から直ちに脱出するよう警告を行いました。
今になってみれば、その対応が極端すぎたとの評価があります。

しかし2012年に米国原子力規制委員会を辞任したグレゴリー・ヤッコ元委員長は、当時の処置は正しかったと信じています。

そして福島第一原発の事故が引き起こしたすべての事実を検証すれば、『フクシマの教訓』が日本はもちろん、世界中の原子力発電所の廃止であることは自ずと明らかだと語りました。

「事故の教訓とはこうです。すなわち、原子力発電所の事故は、人間が暮らす社会にあっては許されない出来事である。そしてそれを言っているのは私という個人ではなく、社会全体だという事です。」

ヤッコ元委員長は3月中旬、日本に滞在中でのインタビューでこのように語りました。
ヤッコ氏は2011年3月11日に津波に襲われ、福島第一原子力発電所が巨大事故を引き起こして3年になったこの日、日本で講義を行い、併せて講演も行いました。

東京03
現在はプリンストン大学の子牛を務める43歳のヤッコ元委員長が日本各地で行った講演はいずれも盛況をもって迎えられました。
日本国内の48基の稼働可能な原子炉は現在すべて停止しており、将来原子力発電をこの国のエネルギー政策の中でどう位置づけるべきか、議論が続いています。

一般国民が反対の立場を変えていないにもかかわらず、日本政府は安全審査に合格した原子炉について再稼働させる方針を推進しています。
日本の原子力規制委員会は13日木曜日、九州電力・川内原発の2基の原子炉の再稼働承認について、審査の最終段階に入っていることを明らかにしました。

ヤッコ元委員長は原子力発電の安全性については、これまで常に懸念を持ち続けてきたと語りました。

しかし福島第一原子力発電所の事故においては、専門家と称する人々が事故に対する充分な備えをしていなかった事実が隠され続け、その事が彼自身と日本の国民の原子力発電に対する見方を決定的に変えたのだと語りました。

確かにチェルノブイリとスリーマイル島は大きな事故でした。
しかしヤッコ元委員長にとっては、複数の原子炉が同時に事故を起こすことはありえない、そして事故が発生しても水素ガスの制御することは可能であるという原子力産業界の常識がすべて覆されたという点において、福島第一原発の事故は前二者よりもはるかに決定的なものであったと語りました。

第一大破壊
福島第一原発の事故では3基の原子炉がメルトダウンし、2棟の原子炉建屋が水素爆発を起こしました。
そして事故発生後、3日間も4日間も原子力発電所全体が制御不能に陥るなどと言う事は、福島第一原発の事故以前には考えられなかったことだと指摘しました。
「私たちは、予測できることについてのみ、事故の対応策を用意していただけだったのです。福島第一原発の事故は、予測の範囲を完全に超えてしまっていました。」

福島第一原発で危機が進行している間、米国原子力規制委員会の中では、避難区域を20マイル(約30キロ)にすべきか50マイル(約80キロ)にすべきか、議論が続けられました。
そして事故の詳細が不明である以上、50マイルの避難をするべきだとの結論に達したのです。
50マイルという広域避難は、米国の原発事故対策の基準において採用されたことはありませんでした。

ヤッコ元委員長は、最終的には運が味方して当時海に向かって吹いた風が多くの放射性物質を運び去ったと語りました。
ヤッコ氏は5年が任期の米国原子力規制委員会の委員長を、他の委員から運営方法について抗議を受けたことにより、3年で辞めることになりました。
彼はこの点について、福島第一原発の事故が発生した後では、米国内の原子力発電所の稼働の更新申請を認める気にはなれなかったと打ち明けました。

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福島第一原子力発電所の政府事故調査に参加した畑村洋太郎東大名誉教授は、事故が起きた場合発生する可能性がある事象のひとつひとつについて、どのように対処すべきかの検証を行わない限り、今後日本の原子力発電をどうするかという議論をすることはできないと語りました。

「本当の議論が必要です、しかし現実に私たちが答えを求められるのは、次のような質問に対してだけです。『あなたは原子力発電に賛成ですか?それとも反対ですか?』」
日本プレス・センターにおける会見で、ヤッコ元委員長と並んで座りながら、畑村名誉教授がこう語りました。

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/us-ex-nuclear-chief-fukushima-lesson-is-phase-out/2014/03/13/7bd7433e-aa8c-11e3-8a7b-c1c684e2671f_story.html

【「私たちはフクシマを忘れない!」福島第一原発事故から3年、ロンドン市内で抗議デモ 】

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原子力発電の継続を許すな!福島第一原発がまだまだ危険な状態にある事を、私たちは決して忘れてはいない
チェルノブイリ、フクシマ、スリーマイル、原子力発電の危険性の証拠は歴史に刻まれている

ガーディアン 3月18日

ロンドン福島デモ
3月15日土曜日、ロンドン市内で100人以上の参加者が集まり、福島第一原発の事故後3年が経過したことを受け、原子力発電と核兵器開発に抗議するデモを行いました。

参加者は英語、フランス語、そして日本語で書かれたプラカードや横断幕を掲げ、「原子力発電反対!」「故郷の山河を守れ!」「核兵器開発を許すな!」などと訴えました。
デモはロンドンの中心部を行進し、参加者は「ノーモア・フクシマ」「核兵器・原子力発電反対」などのシュプレヒコールを繰り返しました。

主催者側は、今回のデモについて2011年3月11日に発生した福島第一原発の事故の被災者の存在を忘れないよう訴えるとともに、これ以上危険な原子力発電の継続を止めるようメッセージを世界に発信したいと語っていました。

英国在住の日本人によって組織された『英国反原発・反核日本人会』の広報を担当する小林茂夫氏は、原子力発電の実施は国民の利益、安全性を考えての事ではなく、政治的利害、経済的利益が目的の事業であると、集まった人々に訴えました。
「原子力発電を行う企業は大きな利益を得ることが出来ますが、事業がうまくいかなくなれば、その損失を負担しなければならないのは一般国民、私たちが暮らすこの社会なのです。」

「福島の事故では、たくさんの家族がバラバラにされてしまいました。そして環境中の放射線濃度があまりに高いため、子供たちは外で遊ぶことができません。犠牲を強いられているのは、故郷を汚染されて避難しなければならなくなった人々、汚染された地域で生活している一般市民なのです。」

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そして次のように続けました。
「原子力発電は、必要悪などではありません。すでにもっと安全で、もっとクリーンな発電手段が数多く実用化されています。今原子力発電を選択するのは、政治的な動機によるものです。福島の事を忘れてしまったら、世界中のエネルギー政策において、正しい選択が行われなくなってしまいます。」
「私たちは福島で起きたことを、心に留め置く必要があります。そして、どうすべきかを学ばなければなりません。そしてよりよい社会を建設するために、行動を起こさなければなりません。」

今回の抗議活動の協力者の一人、デイビッド・ポルデン氏がこう語りました。
「福島第一原発の事故発生から3周年、その記憶を心に刻むために私たちはここに集まりました。
私たちは福島の被災者の方々の事を、決して忘れてはいません。そして破壊された原子炉内の核燃料の冷却に使われ、高濃度に汚染された水が太平洋に流れ込んでしまっていることを知っています。さらには原子炉は破壊されたままの状態であり、それを格納する原子炉建屋も著しく損傷しています。福島第一原発は未だに非常に危険な状態にあるのです。」

アルジャジーラ抗議集会
ロンドンで反原子力発電の運動を行っている労働者であるポルデン氏は、さらに次のように語りました。
「我々が日本に送りたいメッセージは、『原発を止めなさい』ということです。
今日本は国内の原子力発電所を再稼働させようとしています。しかし、大多数の日本人は原子力発電の再開に反対しています。そして、このイギリスでも原子力発電を推進する計画が進められています。」

チェルノブイリ、フクシマ、そしてスリーマイル島の事故が、原子力発電所がどれ程の危険性を持っているのか明らかにしたはずである、ポルデン氏がこう指摘しました。

デモに参加した人々は、日本大使館と東京電力の英国支社が入っている建物まで行進するため、ロンドン市内中心部のハイドパークコーナーに集まりました。
緑の党のナタリー・ベネット党首が、英国で原子力発電が行われることに対する彼女の懸念について話しました。

「福島第一原発の事故が発生してから3年、その間何が起きたのかを私はずっと考え続けてきました。」ベネット党首がこう語りました。
「福島の事故は、340,000人という膨大な数の原子力災害の被災者を作りだしました。我々は、同じ出来事がイギリスのブリストルやカーディフなどの都市でも起きてしまう事を防がなければなりません。」

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服飾デザイナーのキャサリン・ハムネットは、集まった人々に現在の政治制度を変えるよう訴えました。
「私は国家の大切な決定はすべて国民投票によって行う、スイスのような直接民主主義の実施を要求します。それは可能なはずです、(技術とコミュニケーションシステムの進歩により)その事は簡単に実現できるはずなのです。」

http://www.theguardian.com/environment/2014/mar/18/fukushima-disaster-london-rally-anniversary

【 ニッポンのゲンパツ再稼働 – せめぎ合う実行行政と規制委員会 】

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安倍首相は原子力発電所の再稼働を、政権の政策とは別のものに見せようとしている
相変わらずの隠ぺい・欺瞞工作を止めない限り、原子力行政が信頼を取り戻すことは出来ない

エコノミスト 3月20日

川内原発
日本の原子力規制委員会は3月中旬、すべてが停止中の日本の原子炉の中で、鹿児島県にある九州電力の川内原発の2基の原子炉が一番最初に再稼働される事になるだろうと語りました。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は、川内原発が新しい安全基準の下、重要な課題をクリアしたと語りました。

なぜ川内原発が最初になるのかについては、原子力規制委員会のメンバーが日経新聞に非公式の形で語った内容がヒントになります。
原子力規制委員会のメンバーの一人は、原子炉の直下で発生する地震の強度について、九州電力の想定が最も現実的で理にかなったものであったと打ち明けたのです。

日本の電力会社や原子力発電企業の中で、九州電力だけが原子力発電のこれまでの地震の想定最大規模を見直し、これまでの540ガルから620ガルに引き上げたのです。
この点が原子力規制委員会に評価されたものと見られます。

原子力規制委員会01
日経新聞の取材に対しこのメンバーは、九州電力以外の企業は地震の想定最大規模を見直そうとはせず、従来と同じ低い想定のままで最稼働の申請を行ったと不満を露にしました。

3月13日に原子力規制委員会が、九州電力・川内原発が再稼働する原子力発電所の最初のものになるだろうと発表した一連の発表と手続きの中に、今後日本がどのようにして原子力発電所の再稼働を行うつもりなのか、その内容が記されています。
日本の原子力規制委員会は説明不足であると同時に、一般国民に対し新たな安全基準に適合するという事がどういう事なのか、懇切な説明を試みたことはありません。

日本政府はことあるごとに日本の新基準が『世界一厳しい』と胸を張りますが、原子力規制委員会そのものはそうした発言は行っていません。
原子力発電に対する不信を募らせている日本国民に対し、改めて原子力発電を売り込むのは政府の役割であって、原子力規制委員会の仕事ではない、田中委員長は繰り返しそう述べてきました。
原子力規制委員会は科学的・技術的側面についての、検証を行うことがその役割なのです。

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一方で安倍晋三首相は、原子力発電所を再稼働されることについては、原子力規制委員会の『認可を得て』行われるのだという点を強調し、政府の責任よりも原子力規制委員会の存在を際立たせようとしています。
原子力行政の広報という観点から見れば、このタイミングで原子力規制委員会が発表を行ったことは悪いことではありません。
それは日本政府の世論の動向を左右しようという動きと、原子力規制委員会の役割は別のものであるという事を改めて表明することになりました。

原子力発電を支持する立場の企業や組織は、九州電力・川内原発が再稼働される原子力発電所の最初のものになる見込みであるという発表が、東日本大震災・福島第一原発事故発生の3周年の日から2日後に行われたことについて、その日が選ばれるべきだったかのかどうか、疑問に思っているに違いありません。

福島第一原発の事故により故郷を追われ、仮設住宅での生活を強いられるなど悲惨な境遇にある人々は、九州電力・川内原発の再稼働に関する報道を複雑な思いで受け止めました。

与党自民党の長老議員のひとりであり、衆議院議長を務める伊吹文明氏は、東日本大震災・福島第一原発事故発生の3周年の追悼式典で、日本は将来に向けて原子力発電の段階的な廃止に踏み切るべきであるという演説を行い、周囲を驚かせました。

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過去において日本の国民は原子力発電の『安全神話』を、疑問を持つことなく受け入れるように巧みな世論操作が行われ、それには原子力規制委員会の前身である原子力安全・保安院も関わっていました。

原子力規制委員会は、かつて九州電力が会社ぐるみ不正な宣伝戦術に関わったことを忘れてはいないことは疑いようのないことです。
2011年夏九州電力の社員がテレビ番組に対し、一般市民と偽って原子力発電を支持する旨の電子メールを送っていたことが明らかになりました。
その狙いは川内原発の北西にある九州電力・玄海原発の再稼働を早めさせることでした。

その電力会社は、どの時点かで、誰かが音頭を取り経営方針を新たにしたようです。
一般市民に伝えるべきことは、はっきりと、よく解るように説明しなければならないという事を、です。

http://www.economist.com/blogs/banyan/2014/03/japans-nuclear-watchdog?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

【 追いつめられる福島第一原発、高まる汚染水海洋投棄実施の可能性 】

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東京電力と日本政府は、福島第一原発が置かれている状況を的確に包み隠さず国民に伝える必要がある
最終的にはこの汚染水を、太平洋に投棄する以外の選択肢はもう無いかもしれない
このままでは来年中に汚染水の保管が、物理的に不可能になる恐れ

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 3月10日

汚染水タンク
日本は巨大地震、巨大津波、福島第一原発の事故の三重災害が発生してから3年が経ちましたが、東京電力は原発内の莫大な量の高濃度汚染水の処理の目処が立たず、対応に苦慮しています。
事故処理を担当する東京電力の上級顧問は、同社に対し最終的にはこの汚染水を太平洋に投棄する以外の選択肢はもう無いかもしれないと告げました。

東日本大震災の3周年直前、数少ない福島第一原発への訪問を行った東京電力の上級顧問のデール・クライン氏は、記者会見で東京電力は相変わらず汚染水漏れの事故を繰り返し、事故収束作業の妨げとなっており、周辺住民を安心させるに至っていないと語りました。

「その事を考えると夜眠れなくなる問題が私にはありますが、それは汚染水問題についての長期的解決策です。」
アメリカ原子力規制委員会の元委員長で、現在東京電力の監視委員会の責任者を務めるクライン氏がこう語りました。
「このまま福島第一原発の施設内に莫大な量の汚染水の保管を続ける事は、長期的には解決策になり得ません。一定程度浄化した上で計画的に放水を行う事の方が、このまま保管を続けるよりも結果的に遥かに安全です。」
「東京電力の汚染水問題の管理能力は向上しましたが、私はまだ満足していません。東京電力は4歩か5歩前に進んだと思うと、すぐに2歩は後退してしまいます。その繰り返しに私はいらだっています。そして汚染水の漏出事故を繰り返し、信頼を損ない続けています。あらゆる側面において、改善が図られるべきです。」

汚染水タンク
昨年夏、東京電力が汚染水を満足に管理できていない事実が明るみに出ました。
東京電力は毎日少なくとも300トンの汚染水が、海洋中に流出している事を認めたのです。

福島第一原発では構造上の欠陥がある貯蔵タンクから汚染水漏れ事故が続き、日本政府が500億円の国費を投じ、この問題の解決に直接乗り出すことを発表した後、この驚くべき事実が発覚したのです。
政府の対策には原子炉建屋がある一角の地下を凍結させる地下凍土策が含まれます。
当座策は、この付近に流れ込む地下水が、破壊された原子炉内にあるメルトダウンした核燃料を冷却する際に著しく汚染されてしまう冷却水と混じり合うことを防ぐ目的で行われます。

東京電力はこの凍土壁について、3月中旬に福島第一原発の敷地内で実験を開始する事を公表しました。
この実験が成功すれば、東京電力は来年破壊された原子炉の周囲に2kmに渡り凍土壁を作り上げる事になっています。
しかし中には凍土壁の技術をこれほどの規模で実施する事を、危ぶむ専門家もいます。

デール・クライン氏も凍土壁による汚染水問題の改善を疑っている一人です。
彼はこのまま福島第一原発内に汚染水をとどめ億よりも、計画的に汚染水を太平洋に放出する方が現実的な解決策であると考えています。

NBC 2
しかしそれを実施するためには、東京電力、日本政府、原子力規制委員会などが地元の漁業関係者の了承を得なければなりません。
さらには中国、韓国を始めとする近隣諸国からの激しい反発を引き出す可能性化があります。
「感情的には非常に難しい問題です。」
クライン氏がこう語りました。
「しかし東京電力と日本政府は、福島第一原発がおかれている状況を、一般国民に対し的確に包み隠さず伝える必要があります。私にいわせれば、福島第一原発の汚染水問題に欠けているのは技術ではなく、この問題を根本的に解決しようという東京電力と日本政府の姿勢です。」

東京電力は、トリチウムを除く10種類を超える放射性物質を取り除くことが出来る汚染水の浄化装置に望みをつないでいます。
トリチウムは人間に体内に入り込んだ場合、癌の発生原因となる可能性があります。

しかしクライン氏は、骨の中に取り込まれてガンや白血病を引き起こすストロンチウム90や放射性セシウムに比べれば、トリチウムの毒性は高いものではなく、太平洋に放出する前にその濃度を薄めることは技術的に可能であると語りました。

03 Spiegel
これに対し福島第一原発の小野所長は、現在のところ東京電力として汚染水を太平洋に投棄する具体的な計画を立ててはいないと語りました。
しかしその一方で小野所長はこの汚染水問題が解決しない限り、福島第一原発の事故収束・廃炉作業の前進はないと語りました。
「私たちにとって最も差し迫った問題は、この汚染水問題です。」
「この問題の根本的な解決を図らない限り、周辺住民の方々に安心していただけません、そして避難されておられる方々の帰還も困難になります。」

「私たちは胸の内にはこの30~40年で福島第一原発の事故収束・廃炉作業を完了させるという前向きな気持ちを抱いています。しかしすべての段階において、最大限の配慮を行いながら作業を進めなければ、トラブルが発生して全体の作業工程が狂い、経過的に多くの方々に迷惑をかけてしまうことになります。」

現在、毎日約400トンの地下水が西側の丘陵地帯から、福島第一原発の破壊された原子炉があるエリアの地下に流れ込んでいます。
現在福島第一原発の敷地内に林立する貯蔵タンクの中には、約300,000トンの汚染水が保管されています。
東京電力は800,000トンの汚染水を保管するためのスペースの確保を目指していますが、これ以上の汚染水の流れ込みを防ぐことが出来ない限り、来年には汚染水の保管が物理的に不可能になる恐れが強まっています。

漏水防止護岸工事
福島第一原発からバスで20分程の場所に、かつてのサッカー・チームのための総合訓練施設であった
Jビレッジがあり、ここは現在福島第一原発の作業員や訪問者のための人員管理のための基地兼物流基地となっています。
そのバスに乗って福島第一原発に向う途中、地震と津波の破壊の跡が生々しく残る被災地にあって、少しずつ除染作業が進んでいる様子がバスの車窓から見てとれました。
大気中の放射線量は低下し続けています。
これを基に日本政府は、一部の地区について避難命令を解除する方針です。

100,000人以上に昇る福島第一原発周辺の原発事故被災者の内、何割かの人々は日中に限り自宅に戻ることを許可されています。
しかしその場所で生活を続けるには、未だ放射線量が高すぎる状態が続いています。
3月10日に楢葉町で測った放射線量は2マイクロシーベルト/時でしたが、日本政府と福島県などはこの値を0.23マイクロシーベルト/時まで引き下げることを目標にしています。
かつての農地には、除染によって取り除かれた土やごみなどを詰めた黒いビニール袋が大量に置き並べられています。
これらは最終処分場が決まるまで、この場所での保管を続けなければなりません。

被災地の沿岸を走る鉄道はこの春、一部で運行が再開される予定ですが、放射能によって汚染された地域では少なくとも今後数年間は再開の見通しはありません。

110622
この地を訪れた記者たちは皆一様に、3年前、地震と津波によりすべての電源が失われてしまった後、この場所で数時間に渡り壊滅的な事故に発展しないよう闘いつづけた、少人数の東京電力の技術者たちの事を思い出していました。

メルトダウンした原子炉1号機と2号機の制御室内では、機能を停止してしまったコントロール・パネルの上に、1人の技術者が刻々と変化する水位計の数値を走り書きした跡が残っていました。
当時この場所で手動のライトを頼りに戦っていたこれらの人々は、もう誰も残ってはいません。
何人かは会社を去っていきましたが、大部分の技術者は被ばく線量が限度を超えてしまったために、最早この場所には残れなくなってしまったのです。

「この場所にいた人々にとって、その間の事がどのようであったか、説明することはとても難しいです。」
東京電力の職員である松井健一郎氏がこう語りました。
「彼らはもうろうとする意識、尽きようとする体力と戦いながら、必死で作業を続けました。彼らにはほんものの使命感があったのだと思います。」

http://www.theguardian.com/environment/2014/mar/10/fukushima-operator-dump-contaminated-water-pacific
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ガーディアンにしても、エコノミストにしても、英国のメディアのいわゆる「フクシマの50人」に対する評価の高さと言うものは一種独特のものがあるかもしれません。
これまでも上記2紙に加え、ザ・インデペンダントの同種の記事もご紹介してきました。
どれ程ひどい状況に追い込まれても、彼らは「逃げなかった」。
その事に対する評価のようです。

一方、最初の首相の任期中に「福島第一原子力発電所に15メートルを超える津波などはやってこない」と断言、事故の間接的な原因を作ったはずの現首相、本人は口を拭ってこの事には一切触れません。
当然ながら、英国3紙の評価は「フクシマの50人」と比べ、雲泥の差があります。

【 日本の脱原発運動をつぶそうとする人間たち 】〈5〉

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日本は潜在的核兵器保有国?プルトニウムさえあれば、「いざという時」核兵器製造が可能になる
六ヶ所村再処理施設は莫大な金額の無駄遣い・核兵器開発疑惑、そんな事は余計なお世話
世界の疑惑・疑念の目が向けられる、六ヶ所村再処理計画

 

ダグラス・バーチ、ジェフリー・スミス、ジェイク・アデルスタイン、センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義) / アメリカNBCニュース 2014年3月11日

核ミサイル
▽ 日本は潜在的核兵器保有国?

これから述べる事実は西側先進国の政界にとって驚くべきことですが、福島第一原発の事故の後、河野氏と反対の立場をとる日本の政治家の中には、六ヶ所村再処理施設の隠されたもう一つの目的を認める者が現れました。
すなわち日本を侵略する意図を持つ国に対し、『その気になれば、日本はいつでも核兵器を製造することが出来る』というシグナルを送り続けること、それがすなわち六ヶ所村再処理施設の隠されたもう一つの目的だというものです。

「原子力発電の推進を求める政治家の中には、我々はいつでも核兵器を開発・保有することが出来るのだと気付かせるために、原子炉を動かし続けなければならないと主張する者もいるのです。」
彼は自宅アパートでの深夜に及ぶインタビューの中で、こう語りました。

防衛大臣経験者で2009年以降与党自民党の指導的立場に立ち、河野氏の強力なライバルである石破茂現自民党幹事長は、保守系雑誌のSAPIOの取材に対し、商業用原子炉の稼働を続けることによって
「日本は短期間で核弾頭を生産することが可能になる」
と語り、物議をかもしました。

石破01
石破氏は次のように付け加えました。
「それは、無言の抑止力です。」

2010年から2011年に日本の首相を務め、それ以前の民主党政権で国家戦略担当大臣、財務大臣を歴任した菅前首相直人氏は、日本も核兵開発能力を持つ必要があると考える有力な政府関係者が数多くいると指摘しました。
こうした核兵器開発能力へのこだわりこそが、日本のプルトニウム核燃料サイクル計画の有力な動機の一つであると語りました。
菅氏の議会内の事務所でセンター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義)が直接行ったインタビューの中で、菅氏は次のように続けました。
「民主党内だけでなく、国内の様々な地位に、日本は独自にプルトニウムを生産し続ける能力を維持すべきであると考える人々がいます。」
「彼らは公の場ではそうした発言は行いませんが、国外に脅威が発生した場合には自前で核兵器を製造する能力を確保したいと考えています。」
日本には平和憲法があり、国内での核兵器の製造、所有、そして持ち込みを禁止する47年の歴史を持つ非核三原則があります。
そして核拡散防止条約に調印・批准しており、これまで日本は核軍縮の主要な主唱国であり続けました。

反原発自転車
日本国内の商業用原子炉を再稼働する際に必要不可欠なのはプルトニウムではなく、その多くを輸入に頼るウラン燃料であり、日本国内に備蓄されているプルトニウムはすべて国際原子力機関の監視下にあります。
日本が核兵器製造に乗り出そうとする場合、まずこうした課題を整理する必要があります。
南カリフォルニア大学のジャックE.C.ハイマンスを始めとする学術関係者は、口を揃えてこう指摘しました。

しかし核兵器開発に関する疑惑は、六ヶ所村再処理計画のスタート時点からついて回った問題です。

外務省の原子力発電局長だった現在76歳の金子熊夫氏は、センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義)の取材に対し、次のように語りました。
日本政府は1977年核兵器開発余地を残すため、当時のカーター米政権に対し、日本国内におけるプルトニウムの製造を認めるよう強く迫った事があると。(他の情報源により内容を訂正済み)

アメリカ政府は日本が潜在的に核兵器開発能力を有している点について、懸念を持ち続けて来ました。
科学技術力、工業技術力、そして最も重要なのは核爆弾の主原料である高濃度ウラン、プルトニウム、そのいずれもが日本国内に存在し、核兵器製造のための条件に欠けるものは無いのです。
この懸念が世界の認識として定着してしまえば、アジア太平洋地区で核兵器開発競争が始まる危険性があり、そうなれば日本と近隣諸国の関係は一気に悪化してしまいます。
アメリカ政府が懸念しているのは、まさにこの点なのです。

アメリカ政府はこの事態を避けるため、二通りの解決策を用意しました。

そのひとつがこの4年間静かに進められてきた日本の外交官と防衛省幹部に対する、アメリカの核抑止力の盤石さを確信させるための作業です。
具体的にはネブラスカの戦略指令本部、モンタナのミニットマン・ミサイル基地、シアトル郊外のトライデント潜水艦基地などの存在です。

しかしアメリカ政府は結局、日本に対し六ヶ所村再処理施設の計画を撤回するように求める事はしませんでした。
この事については日米の、現役・元政府関係者が口を揃えて証言しています。

日本の原子力発電の将来に大きく関わってくる六ヶ所村再処理計画、その中止をアメリカ政府が求めなかった事については、理由があると政府関係者が語りました。

 

日本がエネルギー供給において自立性を高める事が出きれば、世界の経済市場における優位性を確保する事になり、ひいてはその事がアメリカ経済にも好影響を与える事になるというものです。
「日本政府が決めた六ヶ所村再処理計画の推進は、明らかに長期に渡る日本国民の利益にかないます。」
米国エネルギー省副長官のダニエル・ポネマンは2012年7月、東京で行われた記者会見の席上、このように語り、次のように付け加えました。
「六ヶ所村再処理施設が本来の目的に沿って稼働する限りにおいて、日本国内のプルトニウムの備蓄をこれ以上増やさないようする事ができます。それは日本にとっても良い事です。」

しかしポネマンのこの発言は、原子力発電を二酸化炭素排出量の削減問題に絡めて語った場におけるものでした。
彼は地球温暖化に深刻な懸念を持ち、「日本における友人たち、同じ考えを持つ人々と同様」原子力発電を二酸化炭素排出量削減のための有効な手段であると考えています。

ジョン・ウォルフストールは2年前まで拡散防止の専門家としてジョー・バイデン副大統領の顧問を務めるとともに、ホワイトハウス国家安全保障会議でスタッフの一人でした。
ウォルフストールは、アメリカ政府関係者の多くが次のような見解を持っていると語りました。
六ヶ所村再処理計画について断念するように緒言を行ったところで、日本政府は耳を貸そうとはしないだろうし、アメリカ側がその事を強く主張すればする程、日米関係がぎくしゃくしたものになるだけだと。

「六ヶ所村再処理計画は莫大な額の無駄遣いであり、それに固執しなければならない理由も無い、アメリカ側がそうした見解を示す事について、日本は余計なお世話だと考えています。」
「アメリカがこの問題にどこまで関わる事ができるか、私には解りません。」

第一次オバマ政権において核拡散防止に尽力したゲイリー・サモアは、もっとはっきりした表現でこの問題について語りました。
「もし日本政府が本当に決断したのなら、核兵器開発を行うと決断したのなら、アメリカ政府は断固とした対抗措置をとらなければなりません。」

六ヶ所村
アメリカ政府は日本政府に
「六ヶ所村再処理施設にあるプルトニウムの、核兵器製造への転用は行わない」と明言させるか、六ヶ所村再処理計画そのものを断念するよう、説得しなければなりません。

〈 完 〉

http://www.nbcnews.com/storyline/fukushima-anniversary/japans-well-placed-nuclear-power-advocates-swat-away-opponents-n50396

【 日本の脱原発運動をつぶそうとする人間たち 】〈4〉

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『天下り』『天上がり』が横行、ひたすら業界に「尽くす」電力・原子力行政
政界入りし、原子力発電推進のための法整備にまい進した元東京電力役員
国内の各原子力発電所の使用済み核燃料プールは、すでに限度いっぱいの状態
多くの政治家が六ヶ所村にある3,000トンの高放射性核廃棄物について、『決して触れてはならない問題』として扱ってきた

 

ダグラス・バーチ、ジェフリー・スミス、ジェイク・アデルスタイン、センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義) / アメリカNBCニュース 2014年3月11日

東京電力・広瀬
▽ 『天下り』『天上がり』が横行する電力・原子力行政

東京電力の原子力政策に対する影響力は、入れ替わりの激しい人事が行われる中央省庁にあって、そのOBを職員として迎え入れる人事を熱心に行ったことによっても強化されました。
一例としては、原子力発電の推進に反対する立場をとり、日本では微弱な勢力でしかない日本共産党の質問に答えるため用意された経済産業省の報告書によれば、1960~2011年に東京電力は68人の高級官僚を幹部職員として迎え入れました。
そして同じ報告書は1980年から2011年後半までに、経済産業省の出先機関のひとつである資源エネルギー庁のトップクラスの官僚が、他の電力会社の副社長に就任したことを明らかにしています。
こうした行為について、ここ日本では興味深い表現が用いられてます、すなわち『天下り』というものです。

逆のケースも存在します。
こちらは『天上がり』と称されるもので、電力会社や原子力事業を監督する国家機関に20名以上の東京電力の幹部職員が定期的に送り込まれています。
このように電力会社の幹部職員が監督官庁の臨時職員として働いていた例は、2001~2011年の10年間で延べ100人以上に昇りました。
こうした職員の給与は電力会社、あるいは原子力企業が支払っていますが、こうした行為は日本では違法ではありません。

廃炉13
いずれについても衆議院の経済産業委員会の元委員による背景説明に基づくものです。

原子力規制委員会の調査部門で働く職員が、匿名を条件にインタビューに応じ、この『天上がり』のシステムについて次のように語りました。
「警察署の中で、泥棒と警官を一緒に働かせているようなものです。」

こうした『天上がり』人事のもっとも典型的な例は、1998年自民党が、経済産業省を監督する委員会の委員長と科学技術庁政務官に、長年東京電力の役員を務めてきた加納時男氏を指名したことでしょう。

いずれも原子力産業界にとって重要なポストです。
そして加納氏は日本の原子炉でのプルトニウム使用、増殖炉だけでなく、商業用原子炉での使用を可能にするための法律を成立させるため、これらの地位を利用しました。
加納氏はさらにすべての使用済み核燃料を六ヶ所村の再処理施設、あるいは他の同様の施設に送ることを義務付ける法律を成立させました。

こうした電気産業界と経済産業行政の在り方に批判的な河野太郎氏は、加納氏があたかも
「エネルギーと電気に関係があるすべての委員会の、委員長のように振る舞っていた」と批判しました。

国会議事堂前02
河野氏は自身が参加した原子力政策の委員会の席上で異義を唱えたとき、加納氏が
「さて、この部屋で今変な声がしましたが、議事は満場一致で承認されたとみなします。」
と語り、河野氏の異議を無視して議事を進行させました。

2011年、加納氏は議会を引退し、特別顧問として東京電力に戻りました。
電力業界、原子力産業にとって必要な法律は、もうすべて成立していました。

加納氏は、『センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義)』のインタビューの要請を断りました。
しかし彼は2011年、朝日新聞の取材に対し、原子力発電が賢明な選択であることに変わりはないと語りました。
「地元の人々が強く求めから、原子力発電所が建設されたのです。そして原子力発電所が職場と収入を生み出したことは厳然たる事実です。」

「一部の研究者は、低用量放射線被ばくは健康に良いと語っています。 それは、説得力のある意見です。」

加納氏は同じ年、ニューヨークタイムズの取材に対し、世間が彼を東京電力の「使い走り」だと批判していることについて、自分は経済界のために良かれと思って仕事をしただけであり、そうした批判にはもううんざりだと語っていました。

01再稼働反対
▽ 莫大な額の資金と国内に溢れる核廃棄物が、現在の六ケ所村を作り上げた

六ヶ所村がある青森県は吹きさらしの海岸が続く、厳しい気候に苛まれる場所であり、日本の47都道府県の中で、その県民所得は平均以下に留まっています。
「経済的な条件には恵まれていません。」
原子力発電の推進に反対の立場をとる、河野太郎氏がこう語りました。
彼は六ヶ所村や青森県の財政的な窮状も理解しているようでした。
「生きてくためには、厳しい場所です。」

1980年代、日本政府は石油備蓄基地建設とテンサイ栽培の奨励により青森の経済の底上げを試みましたが、うまくいきませんでした。
いずれの事業もいまだ軌道に乗っていません。

青森県の担当部局によると、1993年に始まった核燃料再処理施設の建設工事は六ヶ所村に雇用機会、財源、そして観光資源すらもたらしました。
現在村の税収入の実に88パーセントは核燃料再処理施設に関連するものです。
さらには昨年、村民1人当たりの年収を62%増加させたとの報告がなされました。

さらに人口がわずか12,000人という村に、原子力発電関連施設を全国に設置するため政府が設けた補助金制度から、毎年、26億5,000万円の補助金が交付されているのです。
再処理施設の建設をスムースに進めることが目的です。

青森県によれば、子供も含めた村民1人当たり、235,000円以上が支払われている計算になります。
そして六ヶ所村商工会議所によれば、現地の商工業者の約70パーセントが、原子力発電関連事業の恩恵を受けています。

4号機核燃取出03
当然のことながらこうした恩恵と引き換えに、六ヶ所村には全国の原子力発電所から約3,000トンに昇る高放射性核廃棄物が集積されました。
それらは現在、プルトニウム燃料に『再処理』されるのを待っている状態です。

こうした膨大な量の高放射性核廃棄物について、日本全国で電力事業を独占している日本の電力各社は16年前、その大半を再び原子炉で使える核燃料として再生することを約束しました。
さもなければその核廃棄物は責任をもって引き取ると…

しかし日本政府の当局者は、国内の各原子力発電所の使用済み核燃料プールはすでに限度いっぱいの状態であり、すでに六ヶ所村に送った高放射性核廃棄物を引き取る余裕などは無いと語りました。
そんなことになれば、安倍政権が目論む国内の50基の稼働可能な原子炉の再稼働計画に大きな狂いが生じることになります。

多くの政治家が『決して触れてはならない問題』として扱ってきた六ヶ所村にある3,000トンの高放射性核廃棄物については、合理的解決方法について改めて議論することが必要なはずです。
しかし『原子力ムラ』にとってこの問題こそが最も解決が困難なのです、河野氏がそう指摘しました。

 

〈 第5回につづく 〉

http://www.nbcnews.com/storyline/fukushima-anniversary/japans-well-placed-nuclear-power-advocates-swat-away-opponents-n50396
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『貧』が不幸なのか、それとも福島第一原発周辺の市町村のように故郷が消滅してしまうことの方が悲劇なのか、それは私たち日本人一人一人が考えなければならない問題です。

今回の記事が明らかにしている日本の電力行政、原子力行政には驚き、あきれるしかありませんが、しかし底流にあるのは『貧』への恐怖です。
それは私も含め、誰にでもあります。
相手がその恐怖を『利用』している以上、日本の脱原発運動には、この点も見据えての議論が必要です。
でなければ、強大な力と資金力、そして権力を持つ原子力ムラには敵しようもありません。

掲載途中ですが、明日22日土曜日は掲載をお休みさせていただきます。
【 立場を利用し、日本の脱原発運動をつぶそうとする人間たち 】〈5〉は23日日曜日に掲載させていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

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【 津波が襲った町 】〈2〉

 

ニューヨーカー 3月11日

 

3年前、日本はマグニチュード9.0という、観測史上始まって以来最強の地震に見舞われました。
震源は太平洋沖の海底にあり、5分間続いた揺れにより30フィート近い高さの津波が東日本の沿岸部を襲いました。
岩手県大槌町でも津波は防波堤を超えてこの小さな三陸沿岸の町を襲い、町を破壊しつくし、人々は町の近くの丘の上の墓地まで逃げなければなりませんでした。
この津波による犠牲者は、確認されただけで16,000人を超えましたが、そのうちの1割、1,600人が大槌町の人々だったのです。

地震から数日後、大槌町を訪れた日本赤十字社の代表はこう語りました。
「すべてのものが破壊され、町が平らになってしまった。
これこそ災害以外の何者でもありません。日本赤十字社にこの身を奉じて以降、最悪の事態です。」

アルゼンチンの カメラマン ・アレハンドロチャスキエルベルクは、津波の破壊の跡を記録に残すため、今年始め、大槌町を訪れました。

彼は日本人の協力者の助けを得て、かつての住民たちにかつての自宅の跡地での夜間の撮影の被写体になってくれるよう依頼しました。

流された鉄橋の橋桁の上の青年(写真上)

津波で水浸しになった記念写真(写真下・以下同じ)
大槌10
浴室の残骸、町役場近く
大槌11
からみ合った漁網と車の残骸
大槌12
消防団員と破壊された消防署の跡地
大槌14
漁具の残骸
大槌13
食品加工工場の従業員と工場の跡地
大槌15
浴室の残骸
大槌16

【 日本の脱原発運動をつぶそうとする人間たち 】〈3〉

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所要時間 約 9分

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再処理計画に正面から疑問をぶつけた4人の政府官僚、意見は潰され、そして排除されたのは疑問をぶつけた4人
一貫して原子力発電を支持してきた自民党、その姿勢に対する電力会社の『評価』は多額の政治献金

 

ダグラス・バーチ、ジェフリー・スミス、ジェイク・アデルスタイン、センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義) / アメリカNBCニュース 2014年3月11日

経済産業省
▽退けられる反対意見、排除される批判者

六ヶ所村再処理工場の建設が続く間、日本の経済産業省は原子力発電を支持する人間たちの要塞と化しました。

そうした中、2004年、経済産業省の4人の職員がパワーポイントを使って、プルトニウムの再処理計画は時代遅れであり、しかもその実現性には欺瞞が隠されていると告発する内容の『止められない核燃料サイクル』と題する26ページの報告書を作成し、あえて正面から疑問を呈する行動に出ました。

『センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義)』が入手したこの報告書には、次のように指摘しました。すなわち
「日本の原子力政策が原子力産業界と、その内部に利害関係を持つ人間たちによって支配されている。」
「原子力委員会の5人の委員のうち4人までが、原子力産業界に職業上、あるいは金銭上の利害関係を有している。」
この指摘内容は後に福島第一原発の事故が発生してしまった後、一般国民の前に明らかにされ、広範な批判を浴びることになりました。

六ヶ所村
この報告書はさらに六ヶ所村再処理施設が抱える深刻な問題についても、警告を発しました。
「六ヶ所村再処理施設の建設費用、運営費用、そして使用後の廃炉のためには19兆円もの費用がかかる上、再処理燃料を使った原子炉の実用性については未だ証明されていない。」

そして日本の政治指導者たちはプルトニウム核燃料サイクル計画の実現を急ぐあまり、
「決定的な研究がまだ実現していないことを無視し」、
技術的な検証が不足していることを認識できなかったと指摘したのです。

この報告書を作成した4人は、この報告書に基づく議論を幅広い分野で行うように求めました。
しかし経済産業省はその要求に応える代わり、4人全員を政策立案部門から直ちに排除、報告書を闇に葬り去ったのです。
以上の事実は同省内の直接の関係者の証言に基づくものです。

2012年になってやっと、毎日新聞がこの報告書の存在を突き止めました。
『センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義)』はこの問題について経済産業省にインタビューを申し入れましたが、拒絶されました。

日本の原子力委員会は先のような指摘があったにもかかわらずこれを無視し、2006年に六ヶ所村施設における最初の試験結果を承認しました。
この試験では放射性物質首脳に汚染されたチリ、溶剤、その他の廃棄物が配管や設備を汚染しました。

この結果、六ヶ所村再処理工場をそのまま棚上げにするいかなる希望も消え失せてしまいました。
原子力委員会の試算によれば、六ヶ所村再処理施設を廃棄するためには数十年の作業期間、そして1兆6,000億円を超える費用が必要になります。

そして1955年以降、1990年代の一時期と、2010年~2012年の3年間を除く期間、一貫して日本の政権の座に座り続けた自由民主党の議員は一貫して原子力発電を支持し続けた姿勢に対し、国の総電力の96パーセントを握る10社の巨大企業、電力各社から多額の献金をもって報いられることになりました。

その中で最大の献金を行ったのが東京電力です。
東京電力の企業としての組織的な政治献金は表向き1974年に終わりました。
しかし朝日新聞が2011年に行った調査によれば、自民党が作った政治団体に対し、政治東京電力の役員や幹部による『自発的』な献金が組織的に続けられました。
朝日新聞が入手し、『センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義)』が検証した資料によれば、なくとも448人の東京電力の役員が、1995~2009年に総額約8,000万円をこの政治機関に寄付しました。

東京電力社員
これに対し東京電力のスポークスマンはいずれの献金も個人の判断に基づくものであり、会社としての関与はないと、朝日新聞の取材に対し返答しました。
「会社が寄付をするよう求めたことはありません。」

しかし取締役の一人は朝日新聞の取材に対し、会社側からそれぞれの立場に応じていくら寄付すべきか、繰り返し通達されたと話しました。
社長が40万円、副社長が35万円、常務クラスで18万円前後という金額でした。

 

〈 第4回につづく 〉

http://www.nbcnews.com/storyline/fukushima-anniversary/japans-well-placed-nuclear-power-advocates-swat-away-opponents-n50396
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まさに『国会事故調査委員会報告書』が厳しい表現を用いて指弾した、癒着と腐敗が具体的に書かれています。
そして国民の前で広く議論を行うべきであると『提案』しただけで、いわば『粛正』されてしまった経産省の官僚の悲劇も明らかにされています。

これを読むと原発行政に科学的議論など存在しないのではないかと、強く疑わざるを得ません。
国民、国家のための官僚の良心が押しつぶされる現実は、まさに悲劇です。

 

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【 津波が襲った町 】

 

ニューヨーカー 3月11日

大槌 1
3年前、日本はマグニチュード9.0という、観測史上始まって以来最強の地震に見舞われました。
震源は太平洋沖の海底にあり、5分間続いた揺れにより30フィート近い高さの津波が東日本の沿岸部を襲いました。
岩手県大槌町でも津波は防波堤を超えてこの小さな三陸沿岸の町を襲い、町を破壊しつくし、人々は町の近くの丘の上の墓地まで逃げなければなりませんでした。
この津波による犠牲者は、確認されただけで16,000人を超えましたが、そのうちの1割、1,600人が大槌町の人々だったのです。

地震から数日後、大槌町を訪れた日本赤十字社の代表はこう語りました。
「すべてのものが破壊され、町が平らになってしまった。
これこそ災害以外の何者でもありません。日本赤十字社にこの身を奉じて以降、最悪の事態です。」

アルゼンチンの カメラマン ・アレハンドロチャスキエルベルクは、津波の破壊の跡を記録に残すため、今年始め、大槌町を訪れました。

彼は日本人の協力者の助けを得て、かつての住民たちにかつての自宅の跡地での夜間の撮影の被写体になってくれるよう依頼しました。

かつての自宅跡で(写真上)

2年の間水浸しになっていた、家族の写真アルバム(写真下・以下同じ)
大槌 2
基礎だけが残った2軒の家
大槌 3
津波で流された漁網に絡まった様々な遺物
大槌 4
かつての自宅で
大槌 5
破壊された自動販売機
大槌 6
かつての自宅、自分の部屋があった場所
大槌 7

http://www.newyorker.com/online/blogs/photobooth/#slide_ss_0=7

【 日本の脱原発運動をつぶそうとする人間たち 】〈2〉

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所要時間 約 8分

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原爆と原発は全く別のもの、日本人にそう信じこませる必要がある
秘密裏に進められたCIAの原子力発電普及工作、日本における最大の協力者は…
「高速増殖炉は日本にとって夢の技術」、その宣伝に費やされた広告費は2兆7,600億円

 

ダグラス・バーチ、ジェフリー・スミス、ジェイク・アデルスタイン、センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義 - http://www.publicintegrity.org/ ) / アメリカNBCニュース 2014年3月11日

▽ 原子力エネルギーと日本

日本の原子力エネルギーへの執着は、一方では原子爆弾の凄惨な記憶とつながり、一見実現性に乏しいようにも見えます。
ウランとプルトニウムから巨大なエネルギーを引き出す化学兵器は、アメリカの科学者たちが開発しました。
しかし日本の指導者たちが広島、長崎の原爆投下から学んだ教訓、それは自分たちも同様の核兵器を作る技術を身に着けなければならないというものだったのです。

「私は高松の海軍基地から、広島の原爆雲を見ました。」
叙伝の中でこう振り返るのは、当時年若い水兵だった中曽根康弘氏です。
科学技術分野の最高位の官僚となり、後に1982~1987年に日本の首相を務めた中曽根氏は、広島に投下された原爆を見て、次のように結論づけたと語りました。
「日本もこの技術を平和目的で活用しない限り、永遠に世界の最貧国であり続けなければならないだろう。」

そうした衝撃と衝動は、アメリカ政府によって慎重に、そして秘密裏に育てられることになりました。
わずか8年前、2006年に機密扱いから外された、1954年の当時のCIA長官あての海外電報によって明らかになった、アメリカの核(原子力)科学者と原子力発電産業の幹部が日本向けに企図した『平和の使者、原子力エネルギー』ミッションにはこうありました。

GE Mark 1
『経済再建に対する期待感を日本国民に抱かせ、日本国民の間にある反核感情を消失させよ』

原子力発電の「啓蒙宣伝番組」を日本国内で展開するため、CIAは特に、戦前、警視庁の高官を務め、戦後は読売新聞社の経営者となり、さらに日本テレビを設立した正力松太郎の協力を得ることになりました。
正力が経営する読売新聞は日本国内において原子力発電の宣伝普及を熱心に展開、一方正力自身は日本原子力産業協会(一般社団法人)の設立に奔走、これは原子力産業界と電力会社間が密接に連携するための組織でした。
彼は、1969年に亡くなりました。

1966年、日本はだいたい1年につき1基のペースで原子炉の建造を開始しました。

しかし日本は最初、ウランを核燃料とする軽水炉を建造していく計画でした。
これは次世代の技術として増殖炉が注目されるまで、世界の主流を占めていた技術です。
すなわち日本は高速増殖炉、すなわちプルトニウムを燃料として使用し、その核廃棄物として再びプルトニウムを生みだすため、理論上はあたかも永久機関のように稼働できることからこう名付けられた技術に注目するようになったのです。

始めの選択はウラン燃料でしたが、その選択は誤っていたように考えたのです、これは世界と逆の判断でした。

当初、高速増殖炉はウラン型原子炉よりも安価に済むものと考えられていました。
Japan Plutonium
しかし先に原子力発電を行っていたフランス、イギリス、そしてアメリカは、高速増殖炉については建造するために巨額の投資を必要とし、操作が難しく、その上安全を確保し続けることが難しいとの判断をするに至りました。
このため先進3カ国はすでに数十年前、高速増殖炉の廃止、あるいは段階的撤退を決めていたのです。

河野氏はその少年時代、高速増殖炉が化石燃料を使用する事無く、数千年の間発電を続けることが出来るため、日本にとって画期的な技術であると主張する漫画を読んだことがありました。
彼はこの話を、福島第一原発事故に関する著作の中で明らかにしました。

日本の電力会社は揃ってこの主張を支持し、その主張を国民の間に浸透させるため、この40年間で2兆7,600億円もの広告費を支出してきたのです。
この記事を制作するための日本側のパートナーである、朝日新聞社の調査が明らかにした事実です。

当初の計画では六ヶ所村の再処理工場の建設は、1993年に始まり、1997年には完工の予定でした。
しかし技術的な問題が何度も発生し、これに数々のトラブルや建設上の問題も加わり、結局20年以上の遅れが発生しました。

六ヶ所村
アメリカ、イリノイ州にある高速増殖炉の研究センターであるアルゴンヌ国立研究所の、上級政策顧問であるポール・ディックマン氏は、六ヶ所村再処理工場を
「巨大施設」
と表現する一方、
「達成不能な建設プロジェクト」
でもあると語りました。
その理由についてディックマン氏は、フランスの同様の施設をモデルにしていながら、単にそれをコピーするのではなく、(経験も無いのに)さらなる『改良』を選択してしまったためだと指摘しました。

 

〈 第3回につづく 〉

http://www.nbcnews.com/storyline/fukushima-anniversary/japans-well-placed-nuclear-power-advocates-swat-away-opponents-n50396
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誰が日本の『原子力ムラ』を作ったのか、それについては一度英国のエコノミストが特集した記事をご紹介しました(【日本のメディア王にして、日本の病根を作った男】http://kobajun.biz/?p=7624 )が、今回も別の角度から同じ問題が取り上げられています。

政治とメディア、この両方を駆使して日本に原発を『根づかせてしまった』手法がよく理解できます。

私は今もって民主党政権の鳩山首相、菅首相がなぜ辞任しなければならなかったのかが解りません。
ただ菅首相の場は、福島第一原発の事故後に「原発廃止」を言いだしたため、メディアをしっかりとその手に握った勢力に追い落とされたのだろうと考えています。

当時のNHKを含めた大手メディアが、菅首相の一挙一投足をいちいち批判的に伝えていたことが思い出されます。
「コイツはまた、こんなことを言いだした…」
現在の安倍首相の行動が同じメディアによって
「こんなにも働いてくれている」
と言わんばかりの報道がされているのと、きわめて対照的と言わなければなりません。

私たちは操られていました。

それ程の勢力と戦わなければならないのに、『求心力に欠ける、日本の脱原発運動』と海外メディアからまで指摘される始末( http://kobajun.biz/?p=16950 )。
厳しすぎる現実です。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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