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国民の62パーセントが昭恵夫人が国会で証言するよう求めている
政権寄りのメディアですら、安倍政権不支持の割合が支持を上回っていることを明らかにせざるを得ない状況
アルジャジーラ 2018年3月27日
2015年6月7日ドイツ、ガルミッシュ・パルテンキルヒェン付近での安倍晋三首相と安部昭恵首相夫人(写真)
かつては超保守主義者として知られる夫とは対照的に進歩的な考えを持っている点に注目が集まっていた安部昭恵首相夫人は現在、かつて関わりがあった国家主義教育機関への不正な国有地売却問題で、再び苦しい立場に追い込まれています。
日本の野党各党は国有地が国家主義教育機関である森友学園に、不当と言えるほど安く売却された不正便宜供与疑惑と事実を隠ぺいするため公文書が改ざんされた問題で、安部昭恵首相夫人が国会で証言を行うよう要求しています。
この一連の疑惑によって安倍首相への支持率はぼろぼろになっています。
日本の財務省は3月12日、安部昭恵首相夫人について言及している部分削除するなどして、取引に関する公文書を改ざんしたことを認めました。
一方昭恵夫人の夫である安倍首相は、自分自身並びに昭恵夫人が土地の売却手続きに介入したこと、そして隠蔽工作を命じたことを否定しています。
▽ 逆説的な見解
安部昭恵首相夫人は(55歳)は夫が2012年に首相に就任して以降、同性愛者の権利を訴えるパレードに参加したり、原子力発電の継続に反対したり、あるいは沖縄で予定されている米軍基地建設に反対して抗議者のもとを訪れるなど、自由主義的立場の人々の共感を得ていました。
彼女はまた小さなオーガニックレストランを経営しており、大麻を医療用途に限って合法化することに賛成する発言をしたこともあります。
こうした一連の行動によりにより、首相夫人は「身内の野党」というニックネームをつけられました。
しかし一方ではこれまで公の場では安倍首相の保守的な見解にこれまで以上に足並みをそろえる行動をとってきました。
さらには戦没者を祀る東京の靖国神社の参拝も行いました。
靖国神社には第二次世界大戦(太平洋戦争)後の連合軍の裁判所において争犯罪者として有罪判決を受けた戦争指導者も合祀されているため、中国と韓国は日本の過去の軍国主義の象徴と捉えています。
安倍首相自身は2013年12月に靖国参拝を一度参拝しましたが、その後は参拝することを控えています。
昭恵夫人を知る人は、一見すると彼女が逆説的な見解を持っていることについて別に驚く必要はないと語りました。
「彼女は理論や論理に基づいて行動するのではなく、心の命ずるままに行動する人なのです。」
NPO法人の代表を務める豊永さんがこう語りました。
▽ ノーコメント
3月に入り日本の政界では森友スキャンダルが爆発したため、彼女は直接この問題に関わる発言はしていません。
昭恵夫人は自分自身が置かれている立場についてまるで理解していないとして批判を浴びています。
3月9日の夕刻、森友事件に関わったされる近畿財務局の職員が自殺した可能性があると警察が捜査を続けていたこの日、昭恵夫人はある有名人が主催したパーティーに参加していました。
この時の様子がこの有名人のインスタグラムに投稿されたと地方紙が伝えました。
その後この投稿は削除されました。
同じ3月9日、前日に開催された国際女性デーのアートフェアで笑顔を浮かべた昭恵夫人の写真がフェイスブックに投稿されました。
支持するコメントが書き込まれた一方、「配慮に欠ける」「殺人者」などと昭恵夫人を厳しく批判するコメントも書き込まれました。
批評家などからは昭恵夫人は今は自制すべきだろうという意見が出ています。
保守派であり安部政権を支持するサンケイ新聞は、滝田真紀子記者の次のような論評を掲載しました。
「これまでの日本の首相夫人の誰とも異なる昭恵夫人のフリースタイルの生き方には、多くの人が魅了されてきた。」
「しかし、現在は行政が厳しい状況に置かれており、彼女の不適切な言動が政権の足元をすくう結果につながっている。」
滝田記者はこう続けました。
「現在の言動は首相夫人としての一線を越えてしまっており、自制を心掛けることが賢明ではないだろうか。」
安部首相は昭恵夫人が森友事件について国会で証言することを拒否していますが、3月26日発行の日経ビジネスの世論調査では、62%が夫人が国会の場で疑問に答えるべきだと回答しています。
同じ調査で安倍政権の支持率は42%に低下し、内閣に反対を表明する人の割合は49%に上昇しました。
昨年のこの事件が明るみに出るまで、昭恵夫人は安く払い下げられた国有地に森友学園が建設する予定だった小学校の名誉校長になる予定でした。
さらに昭恵夫人は天皇制を中心に置く戦前の国家主義教育同様のカリキュラムの下で教育を行っていた森友幼稚園を訪問していました。
https://www.aljazeera.com/news/2018/03/akie-abe-accused-land-sale-scandal-180326160533384.html
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タックス・ヘヴンという言葉がありますが、日本という国が詐欺まがいの行為や政治的ペテンのパラダイスになってしまっていることに怒っておられる方も多いと思います。
これは保守とかリベラルとかそういうレベルの話ではなくて、ただ単に本当かウソかという話です。
しかもこの記事にあるように大きな問題は『国有地売却における不正便宜供与』と『公文書の改ざん』と2つあるのに、27日の佐川長官の公文書改ざんについて「上からの指示はなかった」という国会での証言だけで与党自民党は全てが決着したかのような、いつも通りの『すり替え』を行おうとしています。
オノレの自己保身のために日本を詐欺漢のパラダイスにするな!
私たちはもっと怒るべきだと思います。
9月総裁選に向け、テレビ放送を支持率回復のための自分の道具に変えてしまうつもりの安倍首相
安倍首相のなりふり構わぬ延命策、日本という国の一層のプラックボックス化に深刻な懸念
ロイター / ニューヨークタイムズ 2018年3月26日
安倍首相は日本の放送局に公平性を求める法律を廃止したいと訴えています。
こうした政策に批判的な人々は、そうなれば日本の放送がセンセーショナルな報道、極端な見解や意見を表現する場になりかねないとの懸念を深めています。
安倍首相は日本の構造改革関連法案のひとつとして放送法の改正草案を公表し、5月早々にも法案の形にまとめ上げる方針を固めたことを、複数の政府関係者がロイターに伝えました。
この問題については影響が多岐にわたることから、情報提供者は全て身分の秘匿を求めています。
この情報筋によると、草案には日本の放送法の第4条の廃止が含まれています。
第4条は放送免許保有者には対照的な政治的見解を示すことを求めており、これまで米国公平主義原則の日本版ととみなされてきました。
しかし米連邦通信委員会(FCC)は、放送局の自由を制限しているとの批判を受け、1987年にこの原則を廃止することを決めました。
2011年に一連の手続きが完了したことにより、米国では政治的立場を明確にしたラジオのトークショーやニュース番組を生み出すのにつながったとという評価がなされています。
かしペンシルバニア大学のアンネンバーグ・コミュニケーション・スクールのコミュニケーション担当準教授のビクター・ピッカード氏は次のように語りました。
「放送法には公正の原則の予防措置が必要であり、そうでないと公共のメディアは市場の影響、すなわち金の力に左右されやすくなってしまいます。」
「アメリカの先例は、むしろやってはいけない教訓とすべきものです。」
▽ 低下する安倍政権支持率の回復が真の狙い?
安倍氏は従来の放送法を改変し、テレビ局のチャンネルを放送法第4条による制限を受けていないオンライン・メディアと同等の立場に置くという見直しを望んでいると語っています。
なおこの法律は印刷媒体には適用されません。
2月の国家開催中、安倍首相はインターネット広告代理店サイバーエージェントとテレビ朝日が運営しているライブ放送サービスであるアベマTVに出演しました(番組名と安倍首相の間には経済的なつながりなどはありません)。
安倍首相は出演している間、彼は提示されるべき反対意などがないまま、一方的に自分の主張だけを展開することを許されました。
「従来の放送メディアとデジタルメディアを区別することはもはや無意味です。公的資産である放送電波を最大限に活用するため、放送事業を大胆に見直すべきです。」
安倍首相はこう述べました。
しかし批評家は放送法の改変は安倍首相の支持を強化し、数多くの問題が指摘されている日本の平和憲法の改変を推進するために、安倍政権を支持する翼賛的放送の量を増やそうという邪まな意図に基づくものだとの批判を強めています。
安倍氏は今年9月におこなわれる自民党総裁選挙で3回目となる3年任期を獲得するものと期待していましたが、不当な便宜供与に関わるスキャンダルとが明るみにでた上、その事実の隠蔽工作への関与が疑われ、窮地に立たされています。
「安倍総理が望んでいることは、自分の見解を宣伝することだ」
野党希望の党の奥野総一郎議員がこう語りました。
日本ではテレビは依然として人気が高く信頼されている媒体です。
公共放送はNHK1局です。
日本政府が公開したデータによれば、平日に一般世帯がインターネットは100分未満、新聞購読は10分未満であるのに対して、テレビ視聴には168分を費やしています。
同じ調査によれば、70%の人々が新聞が提供する情報は信頼できると回答し、テレビを信頼できる媒体だと回答したのは66%でした。
がインターネットが信頼できる情報源であると回答したのは約34%の人々でした。
▽ 公正の原則
保守的な政治家は政権に対して批判的なテレビ放送局を攻撃するために、数年来放送法を利用してきました。
安倍首相と同政権の元総務大臣は、2016年にテレビ局が政治的に偏向した放送を繰り返していると、テレビ局の放送免許を取り消しが閉鎖に追い込む可能性に言及しました。
国境なき記者団は、安倍政権がメディアを弾圧する材料に使われかねないという批判が相次いだ特定秘密保護法を立法化したことについて厳しく批判しています。
日本は現在、国際基準の『報道の自由度』において、マラウイやハンガリーにも劣る72位にランクされています。
近年、安倍氏の政策を批判的に伝えていた有名なニュースキャスターが相次いで辞任に追い込まれた事実は、放送局に対する政治家からの圧力が強くなっているいるとの事実を裏打ちするものだと見られています。
武蔵大学でメディアと社会学の研究を指導している長田浩三氏がこう語りました。
「私たちは少し歪んだ状況に置かれています。現在日本において政府自身が『もっと自由が必要だ、この制限を撤廃しよう。』と言っているのです。」
しかし長田氏は放送法第4条が、テレビ放送が権力機構のプロパガンダ・マシン(宣伝の道具)として使われることを防ぐという、本来の目的に留意しなければならないと語りました。
「この法律の背景にある歴史的事実を理解することなく、第4条を都合よく改変することはあってはなりません。」
ほとんどの放送局は安倍首相の動きに反対しています。
日本商業放送協会会長であり、日本を代表する商業放送局TBSを運営するTBSホールディングス名誉会長である井上寛氏は、
「フェイク(偽りの)ニュースを扱うことは今や世界共通の社会問題になっており、バランスの取れた情報を提供するメディアの役割はかつてない程高いものになっています。」
https://www.nytimes.com/Japan's Abe Seeks to Remove 'Balance' Requirements in Broadcast News
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公正の原則より居直りの原則、居座りの原則、それが安倍政権、といったところでしょうか?
森友学園スキャンダルについて、国民の側にしてみれば何も明らかになっていないのに、そして安倍政権の退陣を求める声がこれほど高まっているのに、5月法変更のシナリオを明らかにするなどというのはどういう神経なのでしょうか?
しかしこのまま安倍首相の居座りを許せば、この先日本という国がどんなことになってしまうのか、明らかにされたという見方もできます。
一般市民は戦い続けるしかありません、でなければ民主主義や基本的人権について口にしたら『非国民』と罵られる日本になってしまうかもしれないのですから。
安倍首相は批判の矛先を『防波堤』である麻生財務大臣に集中させるつもり?
野党分裂 / 衆院選の投票率の低さ / 北朝鮮の核兵器・ミサイル開発の脅威 - あらゆる材料を動員した安倍政権支持率の回復
リンダ・ジーグ / ロイター 2018年3月20日
2012年の政権復帰以降、安倍晋三首相は夫人の昭恵氏が個人的に関係のある森友学園に国有地を売却した問題の疑惑の渦中にあり、現在最大の政治危機に直面しています。
安倍首相は、国有地が法外に安く森友学園に払い下げられた経緯に昭恵氏が関わったこと、そして一連の取引について記録した公文書を改ざんしたこと、そのいずれに対しても関与を否定しました。
そして政権が発足して以降、安倍政権を支えてきた一人である麻生財務大臣も、部下である財務省官僚が行なった記録文書の改ざんについて関与したことも責任をとることも否定しました。
しかし3月中旬に行われた世論調査では、安倍首相の支持率は31%まで低下したという結果が明らかになりました。
低下している支持率は、2018年9月に行われる自民党総裁選挙で3回目3年の任期の獲得という安部首相の期待を打ち砕く可能性もあります。
仮に安倍首相が勝利すれば、彼は日本の政治史上で最長の首相としての任期を手にすることになります。
以下、今後の『あり得るシナリオ』について検証した結果についてご紹介することにします。
▽ 安倍首相の支持率が回復し、自民党総裁としての任期を手中にした場合
昨年安倍首相(63歳)の支持率は森友学園への国有地払下げ問題や加計学園への便宜供与疑惑などによって著しい低下を経験しました。
その結果与党自民党は東京都議会選挙で歴史的な敗北を喫しました。
しかしその後の世論調査では安倍政権の支持率は回復し、野党の分裂と投票率の低さに助けられ、さらには北朝鮮の核兵器とミサイル開発の脅威に対して厳しい姿勢をとることにより、10月の衆議院の解散総選挙で3分の2という「圧倒的過半数」の議席を獲得しました。
もし森友問題においてこれ以上大きな事実が暴かれたり別のスキャンダルが明らかにならなければ、再び昨年と同じような展開になる可能性があります。
安部首相が外交問題において何らかの手腕を発揮すれば、その傾向は一層強まることになるでしょう。
さらに安倍首相は批判の矛先を辞任の意向について否定している麻生首相に集中させることを決心する可能性があります。
しかしそんなことをすればかえって一般市民の怒りを安倍首相に集中させる結果となり、麻生氏がその役割を担っている「防波堤」を失ってしまう可能性があります。
自民党の支持率が回復し、党内の支持者が態度を変えなければ安倍氏は自民党総裁として第3期目の任期を獲得し、2021年まで首相の座に座り続けることが可能です。
▽ 9月以前の辞職
安倍政権の支持率がさらに下がりそのまま回復しなければ、過去に首相を辞任した経験があり、二度とそんな目にはあいたくないと思っていても、9月に行われる自民党総裁選挙の投票前に辞任することを決心するかもしれません。
安部首相は2007年の第一次安倍内閣の発足後、閣僚の相次ぐスキャンダルと議会の機能停止により、自らの健康上の問題を理由に、首相就任後1年で辞職を余儀なくされました。
辞任することになれば、安倍首相は現在自民党の政策責任者を務めている岸田文夫元外務大臣(60歳)に政権を譲り渡そうとすると見られますが、その際、連立与党の公明党のバックアップに大きく依存しなければなりません。
この場合自民党は特別な形で総裁選挙を行なわなければならないでしょうが、一般党員を含めない形で国会議員だけの投票によって総裁を選ぶことになるでしょう。
この総裁選で選ばれるのは一般党員の間では一定の評価があるものの同僚議員の間ではあまり人気が無く、安部政権とはっきり距離を置いている石破茂元防衛大臣ではなく、どちらかといえば目立たない存在であり、安部首相のようなタカ派ではない岸田元外務大臣だと見られています。
岸田氏も石破氏も、日本の公的負債が膨み続けていることに懸念を表明している点は同じです。
▽ 9月までの任期を何とかこなしきった場合
影響力を失った安倍氏が右往左往迷走しながらも9月までの総裁任期を全うする可能性もあります。
その場合、石破茂元防衛大臣との激しいつばぜり合いに直面する可能性があります。
他のライバルたちも安部首相への挑戦を決心すれば、反安倍票が割れて、安倍氏が予想外の勝利を手にしてしまう可能性があります。
しかしそのような形で3期目を手に入れても、様々な点で問題視されている平和主義に基づく戦後憲法、平和憲法の改定や労働市場の規制緩和などの方針を思うように進められなくなる状況が考えられます。
通常の形で選挙が行われれば衆参両院の議員と一般党員の投票によって自民党総裁が決まることになりますが、その場合は石破茂元防衛大臣(61歳)の勝利の可能性が高くなります。
野田誠子総務大臣(57歳)も立候補の希望を表明していますが、勝利の可能性は低いとみられています。
https://uk.reuters.com/article/uk-japan-politics-scenarios/uncertainty-prevails-as-scandal-clouds-japan-abes-future-idUKKBN1GW10U
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今回の記事は翻訳していてさっぱり面白くありませんでしたが、解ったことは今私たちが目の当たりにしている安倍政権というものが史上最低の自民党によって支えられているということでした。
私の中では自民党イコール利益誘導というイメージがありますが、これほど低次元の腐敗・汚濁にまみれた政権運営は自民党といえど史上初めてなのではないでしょうか?
例えば大平正芳元首相とか、鯨岡兵輔氏とか、潔癖な姿勢とヒューマンな精神を持った保守政治家などはもういないということに痛恨の思いがします。
安倍氏が失脚しても「核兵器の装備を検討すべきである」と語っている石破氏が首相になったら、日本はもっと危ないことになってしまうような気がします。
しかしこのまま安倍政権が続けば、国際社会において日本人そのものへの評価が暴落するに違いありません。
腐敗については正す、そしてその後どうすべきなのかということも考えなければなりません。
「良識を壊されてしまった」職員、財務省の組織的指示により文書を改ざんしたと書き残して自殺
麻生財務大臣、自らの政治生命を守るためG20財務相会議を異例の欠席
ダニエル・ハースト / ガーディアン 2018年3月16日
安倍政権に留まらず今や日本政府全体を巻き込むスキャンダルに発展した不当便宜供与疑惑は、担当した財務省職員が記録を改ざんするよう強制されたというメモを残し自ら命を絶ったことにより、一層雲行きが怪しくなってきました。
日本の財務省は3月12日、安倍首相と昭恵夫人と個人的につながりのある人物が経営する国家主義的教育を行う教育機関に国有地を85%値引いて売却した事件を巡り、14点の文書を改ざんしたことを認めました。
改ざんは昨年初めに行われ、国会議員が土地の払い下げに関して利益誘導が無かったのかどうか調査を行うための資料として経緯を記録した公文書が提出される前に、安倍首相と昭恵夫人に関連する記述などが削除されました。
3月初旬、神戸市内の自宅で土地の払い下げを監督した現地財務省の関係者が死亡しているのが発見されました。
今の段階で、50代の初老のこの男性職員が今回の事件についてすべての責任を押し付けられるかもしれないと懸念を深めていることに関する詳細なメモを残していることが明らかになっています。
NHKの取材によるとこの職員は、上司から大阪の国有地売却に関する公式文書が『必要以上に詳細過ぎる』ため直接的に関わりの無い部分を変更するように指示されていたと語っていました。
この男性職員は単独で行動したのではなく、財務省の指示に沿って行動していたことも明らかにしたと一部では伝えられています。
自殺した職員の遺族は、「どのような事であっても不正をすることを嫌悪していた」誇り高い男性であったと語りました。
男性職員は昨年8月の時点で親戚に「精神的にも肉体的にも疲れ果てた」と語り、彼の「良識が壊されてしまった」と伝えていました。
毎日新聞の報道によれば、遺族は次のように語っています。
「すべての事実が明らかにされることを願っています。私は彼の死を無駄にしたくはありません。」
様々な分野から安倍政権に対する批判が噴出する中、麻生太郎副首相兼財務大臣は自らの政治生命を守るため、3月20日からアルゼンチンで開催されるG20財務相会議に出席しないことを決定しました。
麻生氏は自民党内の重要な派閥を率いる影の実力者であり、麻生氏が財務大臣として辞任を余儀なくされてしまえば、安部首相の支持基盤も危ういものになります。
安倍晋三首相は1年前、国有地が異常に安く払い下げられた事件に自分または夫人が関与していたということが証明されたら、首相の職も議員の職も退くと明言しましたが、3月14日彼は再び一切の関与を否定しました。
(タイトル写真 : 財務省による公文書改ざんの事実が公表された後、抗議のため首相官邸前に抗議のため集まった人々。)
https://www.theguardian.com/world/2017/mar/23/shinzo-abe-wife-akie-accused-giving-cash-ultra-nationalist-school
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特定秘密保護法、共謀罪法、そして今度は放送規制全廃という『カネとチカラがあれば何でもできる』社会の実現に向けた安倍政権の取組は、どう見ても日本の民主主義制度の破壊につながっていくとしか思えません。
集団的自衛権の行使容認により、朝鮮半島で軍事衝突が起きた場合には日本の自衛隊が戦闘に加わらなければなくなることは必至( ニューヨークタイムズ http://kobajun.biz/?p=33221 )という状況の中で、もし自民党の思惑通りの憲法改定が実現してしまったら、もはや日本の平和主義は実質的に崩壊するでしょう。
それこそが安倍政権の狙いなのでしょうが、彼らは何のために日本の多額の国家予算と人的資源を軍事に投入させようとしているのでしょうか?
何度もご紹介しましたが、NHKで放映されたオリバー・ストーン監督の『もうひとつのアメリカ史』の中では、米国が『衛星国家』を意のままにしようとする際、CIAが巨額の現金を右翼などにばらまいて混乱状態を作りだし、社会に『秩序の回復』を求める機運を演出し、その中で別の政治勢力の台頭を促すという手法が紹介されていました。
『別の政治勢力』の背後には当然米国CIAがいることになります。
私が右翼の街宣車を見ていつも思うのは、バスを改造したあの街宣車はどう見積もっても1,000万円以上するだろうに、いったいどこから金が出ているのだろう?という事です。
日本で放送規制全廃などが実現したら、CIAなどの仕事はきわめてやりやすくなるに違いありません。
東日本大震災と福島第一原発の事故の後、民主党政権が崩壊し安倍政権がとってかわりました。
その後、日本の民主主義かどう変質したかは、この[星の金貨new]でご紹介した2,000件を超える海外メディアの記事に書かれてきました。
今ここで再び安部首相の『逃げ』を許したら、日本の国民は思ってもみなかった場所に連れて行かれる、そう考えるのは私一人ではないはずです。
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【 国有地不当廉売スキャンダル、追い詰められた安倍政権は部下の担当職員を攻撃 】
政治家からの圧力もないのに官僚が勝手に公文書を改ざんするなど、あまりにも不自然
AFP通信 / ガーディアン 2018年3月19日
日本の総理大臣は政権への支持率が急落し、手中にあった政治権力のタガが緩み続ける中、不当な便宜供与と事件の隠ぺい工作について反論しました。
安倍晋三首相は国会での答弁で、問題となっている国有地の売却に関する文書を改ざんするよう官僚に支持していないことを強調しました。
「私は決して文書の書き換えの指示はしていません。」
このスキャンダルは安部首相と首相夫人と親交があると主張する国家主義者である学校経営者に対し、2016年に国有地が売却された問題に関わるものです。
この売買においては国のトップとの交友関係により、市場価格を著しく下回る販売価格が設定されたと指摘されています。
この問題が初めて表面化したのは昨年の事ですが、売却を巡る手続きについて記録した公文書が改ざんされた事実が明るみに出て、スキャンダルとして再浮上することになりました。
野党の議員が公表したオリジナルの文書と改ざんされた後の文書を比較すると、安部首相に言及している部分が削除され、さらには安部昭恵夫人と麻生太郎財務大臣に関する複数の記述も削除されました。
麻生財務大臣は「ひと握りの官僚が独断でやったことだ。」と語り、改ざんは部下に責任があると主張しました。
しかし法政大学の政治学を専門にする山口二郎教授は、こうした説明について国民は「全く納得していない」と述べました。
「なぜその土地は割引価格で売られたのでしょうか? 政治家からの圧力がなければ、こんなことは決して起きないはずです。そのことに有権者は怒っているのです。」
山口教授はこう説明しました。
安倍晋三首相は「行政全体の信頼を揺るがしかねない」と事実関係を認め、「国民に深くおわびする」と繰り返し謝罪を口にしました。
朝日新聞が行った最新の世論調査によれば、 安倍政権への支持率は前月より13%低下し、31%にまで下がりました。
この数字は2012年末に安倍氏が再度首相の座に就いて以来、最低の支持率になりました。
別の調査では昨年10月に突然行われた衆議院解散総選挙以前から現在までの安倍内閣の業績について、評価しないという人々の数の方が初めて多くなりました。
2018年9月に予定されている自民党総裁選挙で3選を果たし、日本史上の最長の任期を実現しようとしている安倍首相ですが、政界のアナリストである山口教授はこのまま支持率が下落し続けると、来年の衆院選に先立ち与党内にも安倍首相は責任をとるべきだという雰囲気が広がる可能性があると語りました。
安倍首相は改ざん前の公文書を見ても、自らの手が清潔であることは明らかだと主張しました。
「改ざん前の文書を見ても、私や妻が国有地の売却や学校の承認に関与したという証拠がないことは明らかです。」
しかし野党側は、安倍首相に対しこの問題の責任をとって辞任するよう要求しています。
「これは閣僚全員が辞任すべきほど重大な問題です。」
参議院議員のなんば奨二氏はスキャンダルに対する安倍首相の関与に疑問を呈し、こう要求しました。
楽天証券の久保田雅之チーフ・ストラテジストは、安倍首相と麻生財務大臣の責任を問う「声が高まり続けている」と指摘しました。
「さまざまな世論調査で安倍内閣の支持率が急落しており、安倍政権の安定性は失われ、その基盤は揺らいでいます。」
https://www.theguardian.com/world/2018/mar/19/japan-shinzo-abe-land-sale-scandal
森友問題の文書改ざんは「すべてひとにぎりの財務省官僚が勝手にやったことだ…」それが安倍政権の『見解』
安倍首相との個人的なつながり/ぶざまな悪質さ/自殺した財務省職員が書き残したメッセージ/……
エコノミスト 2018年3月15日
安倍首相という人物は、どうやら猫よりもさらにしたたかな習性を持っているようです。
(原文は has often appeared to have more lives than a cat. 英語には A cat has nine lives. 『猫は叩いたぐらいではなかなか死なない』という意味の諺があります)。
昨年も首相夫人である安倍昭恵氏と交友関係のある人物が経営する超国家主義教育機関である森友学園に対し、財務省の地方機関が国有地を常識はずれなほど安い価格で払い下げたスキャンダルも何とか切り抜けました。
スキャンダルの中身は - 安倍氏自身は否定していますが - 学校の建設予定地になった国有地が払い下げられた際、安倍首相との個人的なつながりを理由に法外な値引きが行われたというものです。
一度は乗り切ったはずのスキャンダルでしたが、そのぶざまな悪質さゆえにさらに形を変え、再び現れて安倍首相を悩ませることになりました。
麻生太郎財務大臣は3月12日、朝日新聞が伝えた自らが監督する財務省の職員が日本の国会に意図的に誤った情報を流したという報道内容が事実であることを確認しました。
昨年国会が森友学園の事件を調査していた時、財務省が国会に証拠として提出していた公文書のうち14件が改ざんされたことが明らかにされました。
財務省は、安倍昭恵首相夫人が新設される小学校について賞賛した発言をはじめ、夫人に関連する記述を複数の公文書から削除しました。
昭恵夫人は一時期この小学校の名誉校長に就いていましたが、昨年夏スキャンダル発覚後に辞任しました。
さらには改ざんされた文書からは、安倍首相、麻生大臣、森友学園の経営者である籠池康則氏の3人がいずれも、森友学園が信奉しているのと同じ類の国家主義を鼓吹する組織である日本会議に関連しているという記述も削除されました。
森友学園のカリキュラムには毎日天皇陛下の写真に頭を下げること、中国と韓国への蔑視、第二次世界大戦で日本が敗北するまで全国の子供たちに愛国教育を施すための教典である教育勅語の復活などが含まれます。
今回の問題について安倍政権は一方的に財務省を非難しています。
そして事件の責任は数名の財務省官僚にあるということを示唆しています。
このうちの1人はすでに辞任しました。
今のところ安倍首相や麻生氏が国有地を不当に安く払い下げることを支持した、あるいは国会で偽証するよう指示したという証拠は出ていません。
しかし日本では、直接口にしなくともボスが何を望んでいるか、そのためには自分が何をすべきか、それを配下が思い計って行動するということは別に珍しいことではありません。
今月初めに自殺した財務省の別の職員は、自分が文書を偽造するよう命ぜられたというメモを残していると伝えられています。
警察はこの点について確認も拒否もしていない状況です。
首相経験もある麻生財務大臣は、これまで引責辞任を拒否していますが、世論調査では日本人の71%は辞任するべきだと考えているという結果が出ています。
自民党の中には、安倍首相が今回の大疑獄の責任を負うべきだと言っている人もいます。
これ以上政権に対する支持率が下がれば、そうした意見が増えることになるでしょう。
安倍政権への支持率は先月から6ポイント下落しましたが、依然として45%の高い水準を維持しています。
昨年安倍首相は本人あるいは夫人が森友学園問題に直接介入したことが証明された場合には、首相はもちろん国会議員の職も辞任することを約束しました。
今年の秋自民党総裁として再選を目指している安倍氏にとって、このタイミングで森友問題が再度スキャンダルになりことのほか厄介なことになりました。
安倍氏の勝利はこれまでほぼ間違いのないものとみなされていました。
事実取り巻きの幹部連中はわざわざ安倍氏一人のために、自民党の3選ルールの変更までやってあげていました。
しかしこれまで自民党総裁の座を巡って安部氏に挑戦することをあきらめていた党内の派閥の領袖たちが、今やその考えを改めようとしているかもしれません。
もし麻生氏が安部首相夫妻への弾除けになって財務大臣の職を辞任するような事態にでもなれば、秋の総裁選で麻生氏は別の候補者の支持に回る可能性もあります。
安部首相はつい最近別の敗北を喫しました。
3月初旬、安倍政権は目玉にしていた働き方改革法案の根拠となるデータに欠陥がある事が解り、国会に提出していた法案の一部を撤回しなければなりませんでした。
今回国内の反対勢力がこのスキャンダルについて激しい追及を行っているのは、安倍政権のこれ以上の独走にストップをかけるためです。
たとえ今回の一連の騒動によって安部氏が心待ちにしている日本史上最長の任期を持つ首相になることを阻止できなかったとしても、日本国憲法から平和主義条項を削除するという何かと問題の多い目的はうまくいかない可能性があります。
ただし、ここでもう一度申し上げます。
安部氏はあなたが考えるよりはるかに狡猾でしたたかな人物であることをお忘れなく…。
https://www.economist.com/news/asia/21738926-finance-ministry-admits-it-misled-parliament-it-investigated-previous-claim-misconduct
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この記事の冒頭、猫好きの方や動物愛護という点であまり愉快でない思いをさせてしまったかもしれません。
しかし冒頭ご紹介したように、英語のことわざに係るものなのでご容赦ください。
翻訳の中身については、執筆者の意図をだいぶ忖度(そんたく)したつもりですが、趣旨と異なる部分があるかもしれません。
疑問に思われた方はエコノミストの原文(上記のURL)をご参照ください。
ちなみに今、忖度(そんたく)という言葉に相当する英単語は何か?ということが話題になっているようですが、この記事による答えは『 try to predict what one's boss might want 』でした。
スキャンダル騒ぎはもうたくさん、汚い話とは無関係なもっと謙虚な人物を日本の首相に!
何でも隠したがる上、傲慢かつ威圧的な日本の官僚主義
モトコ・リッチ / ニューヨークタイムズ 2018年3月12日
日本の安倍晋三首相は1年前、国有地が異常に安く払い下げられた事件に自分または夫人が関与していたということが証明されたら、首相の職も議員の職も退くと明言しました。
しかしこれまでそうした証拠が示されたことは無く、スキャンダルをやり過ごしながら権力を握り続けてきました。
しかし3月12日に発表された政府報告は、公文書からいくつかの重大な証拠が削除された可能性があることを示唆していました。
この事実は安部首相を再び批判の矢面に立たせることになりました。
財務省の内部調査は、氏名不詳の財務省の当局者が問題となっている土地取引に関連する公式文書を改ざんしたと結論づけました。
調査結果が明らかにされた直後から日本国内では大きな騒動が持ち上がり、政権に批判的な立場の人びとからは麻生太郎財務大臣の辞任を求める声が大きくなっています。
首相経験もある麻生財務大臣は3月12日の記者会見で、現職に留まり続けると述べました。
しかし政治解説者などは、今回の事実の暴露は実際に安倍政権にとって政治的に不利な現実を導き出すだろうと見ています。
ニューヨークに本拠を置く政治的リスク・コンサルタントであるテネオ・インテリジェンスのアナリストであるトビアス・ハリス氏は、
「これは安倍首相が思い描いている今後の大きく変えるものだ」
と語りました。
「安倍首相は3期連続で首相を務めなければならないと求めていますが、そのための基盤は雲散霧消しました。」
民間の極右的教育機関に対し国有地が不当に安く払い下げられた事件について、ごく一部の人間しか関わることが出来ない状況であり安倍首相と昭恵夫人の関係性が強く疑われてきましたが、両者ともこれまで1年以上に渡りそうした批判をそらし続けてきました。
野党の議員からは幅広い分野に対する捜査を繰り返し求められましたが、昨年の突然行われた衆議院の解散総選挙では一方的勝利を獲得し、首相として史上最長の任期を手に入れることが確実視されていました。
しかし財務省が3月12日月曜日、政権与党である自民党に対し80ページにわたる報告書を提出したことで、状況は一変しました。
財務省官僚が国有地売却に関する14件の文書を改ざんし、そうした趣旨の発言をしたはずだとこれまで疑いを持たれてきた安倍昭恵首相夫人の発言などが削除していたことが明らかになったのですこれに対し麻生財務大臣は、文書改ざんは限られた少数の官僚が行なったものだと示唆しました。
「文書の改ざんに関与したのは、財務省官僚の一部の人間だけです。」
麻生財務大臣は、今回の改ざんが財務省の一握りの官僚の手によるものだという事を示唆しました。
「財務省全体が関与しているわけではなく、一部の人間のせいで全省の信頼が失われるのは残念です。」
安部首相は、事実が公表された直後に謝罪しました。
「行政の長として、深くお詫び申し上げます。」
安部首相は調査によって「真実全体が明らかにされる」ことを望むとつけ加えました。
今回財務省が認めた事実の中で最も劇的なのは、安倍昭恵首相夫人に関連する記述を財務省官僚が削除したという点です。
そして幼稚園児に19世紀に作られた国家への奉仕を説く教育勅語を復唱させ、他で使われている教科書に掲載されている第二次世界大戦(太平洋戦争)中のアジア各国における残虐行為に関する記述により大日本帝国の本当の姿が歪められている、そう教育していた森友学園の経営陣と財務省の官僚が会合を重ねていたという記述も削除されていました。
削除された記述によれば森友学園側は、安倍昭恵首相夫人が一時名誉校長の地位に就いていた小学校を新しく建設する予定だった土地について、「良い土地ですから、話を前に進めてください。」と語ったと大阪の財務省当局者に伝えていました。
大阪市は現在全国で3番目に人口の多い都市です。
報告書によると財務省当局者は、土地の売却文書からいくつかの自民党議員の名前を削除しただけでなく、安倍首相を始めとする有力な保守系政治家が所属し、大きな影響力を持つ保守系圧力団体である日本会議に関わる記述も削除していました。
記者会見で麻生財務大臣は、財務省官僚が書類の改ざんを行ったのは昨年の2月から4月の間であったことも明らかにしました。
昨年2月、安倍晋三首相は1年前、国有地が異常に安く払い下げられた事件に自分または夫人が関与していたということが証明されたら、辞任すると明言していました。
記者たちは麻生財務大臣に対し、財務省の官僚たちは安部首相の立場を守るために改ざんに踏み切ったのかを尋ねると、自分の知る限りにおいて安部首相自身はこの件に一切関わっていないと答えました。
先週、土地売却を監督した財務省理財局の元局長だった佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官が辞職しました。
さらに今月初め、土地売却を担当していた大阪の出先機関の財務省職員が自殺しました。
野党の議員たちは問題の国有地払下げ問題について、関与していないという安倍首相の発言に長い間疑問を持ち続けてきました。
しかし財務省における甲状腺がん文書の改ざんが明らかにされたことで安部首相自身が率いる与党内にも、官僚が独自の判断で改ざんに及んだという説明に疑問を持つようになりました。
日経新聞の報道によれば小泉純一郎元首相の後継者で将来の自民党のリーダー候補の一人と目される小泉進次郎氏は、「トカゲのしっぽ切り」と批判しました。
「改ざんが事実なら、ありのままを国民に伝える必要があります。」
小泉氏がこう語りました。
「単に行政上の手続きという問題でなく、すべての政治に影響を及ぼす問題として取り上げなければなりません。」
また、自民党内の安部氏のライバルのひとりである石破茂氏は3月11日に行ったスピーチの中で、次のように語りました。
「財務省の官僚が政治家からの支持が無いまま、公文書を改ざんするという権限を持っているとは考えられません。」
「誰がこれを行ったかを明らかにしない限り、自民党自体に対する信頼が揺らぐことになるでしょう。」
日本国内の報道によると、文書改ざんが行われた可能性が取りざたされて以降、世論調査では安倍首相に対する支持率は低下していると見られます。
読売新聞が週末に行った世論調査では、安倍首相への支持率は5カ月ぶりに50%を下回りました。
そして回答者のうち80%の人々が安倍政権は一連の疑惑に適切に対応していないと答えました。
アナリストらによればトランプ政権が打ち出した鉄鋼製品やアルミニウムに対する高関税の付加対象から日本を除外するよう求める交渉や、北朝鮮のキム・ジョンウン委員長との直接会談を目指すことを表明したトランプ政権と日本の外交政策の今後の展開によっても、安倍首相への支持率は下がる可能性があります。
法政大学の政治学教授である山口二郎氏は、次のように語りました。
「今回の事件によって日本の国政に対する信頼や安倍政権の威信は大幅に低下することになるでしょう。」
安倍首相に対し批判的な立場の人々は、正確な事実に関する情報開示がまるでためらうようにゆっくりとしか進まない状況について、日本の報道機関の腰の弱さと日本政府の官僚制が持つ保守的傾向のを象徴するものだと語りました。
上智大学の政治学者である中野晃一教授は日本の官僚主義についてこう語りました。
「何でも隠したがる上、傲慢かつ威圧的です。」
中野教授は野党が分裂状態だったため、安倍首相の政治姿勢に掣肘を加える程の力を持つことが出来なかったことを付け加えました。
アナリストはスキャンダルが繰り返されたことによるダメージは、必然的に安倍首相とその政治的プロパガンダを徐々に弱らせていくことになるだろうと語りました。
安部首相が最も重要視してきた長期目標は、日本国憲法における平和主義条項を改変する事です。
その目標も見通したが立たなくなってきています。
たとえ安倍首相が辞任を回避できたとしても、9月の自民党総裁選挙における再選の可能性は低下しています。
テネオ・インテリジェンスのトビアス・ハリス氏は
「安部首相自身が関与したという明確な証拠がなければ、辞任を余儀なくされるまで追いつめられるという状況は今のところ考えにくいと思います。」
と語り、次のようにつけ加えました。
「しかし9月に行われる自民党の総裁選挙については、これだけのことが繰り返されればもうたくさんだという気分があると思います。自民党内ではおそらくこんな会話が交わされているのではないでしょうか?
『こんなハラハラさせられる展開も、これ以上のスキャンダル騒ぎももうたくさんだ。そろそろもっと控えめで、汚い話とは関係ない人物を党首に据えようじゃないか?』
自民党内はそんな気分になっているのではないでしょうか?」
https://www.nytimes.com/2018/03/12/world/asia/shinzo-abe-japan-scandal
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この問題に関する3月19日付の朝刊に掲載された共同通信社のアンケート結果を見て驚いたのは、安倍内閣の支持率がまだ38パーセントある、ということです。この種のアンケートについてはサンプルの抽出方法に多少の疑問がありますが(電話番号を機械的に純粋にランダムに発生させたら、必然的に人口の多い都市部が軽視される結果になりますね)、それでもこの数字は安倍政権以前の歴代の『不人気』な内閣のそれと大差ありません。
さらに安倍首相が辞職する必要はない、と回答したのは約48パーセントに上っています。
ということは、今回のこの事件が民主主義制度の根幹を揺るがす近代民主主義国家にはあってはならない事件であり、ましてそれに一国の首相や権力中枢が関わっている疑いを持たれた以上、もはやそのような政権の存続は許されない、という意識を5割近い日本国民は持っていないということになります。
ここからは私見ですが、戦前同様「お国のためだ」と強権的に要求されたら抵抗できない(あるいはするつもりのない)国民が5割近くいるということになります。
「今の政権はおかしい。政策に恣意的な歪曲が多すぎる上、国民の基本的人権を侵そうという意図が透けて見える。今すぐそうならなくとも、戦前同様国民の生命すら軽視する危険な強権国家に続く道を開こうとしている。それは決して許してはならない。」
今私たちに必要なのは寛容ではなく、こうした危機感だと思うのですが…
賃金上昇により消費支出が回復して目標の2%のインフレ率達成が実現するという日銀の楽観的見通しに疑念
木原麗華 / ロイター 2018年3月9日
今年1月の家計支出は落ち込みから回復する動きを見せたものの、一般勤労者の実質賃金はこの6か月で最大幅の落ち込みを記録し、2018年に入り消費支出が勢いを失っています。
日本経済は28年ぶりに最長期間の経済成長を記録しているとはいえ、この先その勢いを失い下落傾向に転じる懸念が出てきました。
3月9日に発表された膨大な量のデータは、好調な企業業績により一般勤労者の賃金が上昇して消費支出が回復し、その結果目標としている2%のインフレ率達成が実現するという日銀の楽観的見通しに疑念を生じさせることになりました。
賃金上昇の弱さも上記のような市場の予測を裏付ける可能性があります。
市場のアナリストは、日本銀行が現在行っている大規模金融緩和策を打ち切るタイミングは、他の主要先進国と比べ大きく遅れることになるだろうと分析しています。
キャピタル・エコノミックス(Capital Economics)のエコノミスト、マルセル・ティリアン(Marcel Thieliant)氏は、
「2018年1月の基本給与の減速は、日本銀行がすぐには金融緩和政策から撤退することができない状況にあることを示唆しています。」
「企業に対し大きなコストアップ圧力をかけるためには、賃金は現状よりもはるかに速いペースで上昇しなければなりません。」
日本政府が公表したデータによれば、2018年1月の家計支出の伸びは1.9%で、昨年12月の伸びよりも0.1%減速しました。
しかし公表されたデータを詳細に検討すると、1月の支出の増加は寒さが異常に激しかったことによる値上がりにより燃料費や医療費の負担増を強いられたことによるものでした。
インフレ調整後の2018年1月の一般勤労者の賃金は前年同月比で0.9%低下し、2017年7月の1.1%の下落以来の最大の落ち込みを記録しました。
こうした結果を受け、日本政府が大企業各社に対し年一回の賃金改定のタイミングで3%以上の賃金引き上げを迫ることは確実と見られています。
その結果は2週間ほどで明らかになる予定です。
しかし企業側は価格の動向に敏感な消費者の反発を恐れて製品の販売価格等の引き上げには慎重になっており、こうしたことも日銀のインフレ率を上昇させる取り組みの妨げになっています。
2月のサービス部門の景況感は10カ月ぶりに3カ月連続で悪化し、消費者支出の脆弱性を強調することになりました。
日本政府は、1月から消費支出調査のうち家計調査データの調査方法を簡略化しましたが、これが今回の結果に影響している可能性があります。
一部のアナリストは、一般世帯の消費支出データは、限られた数の家庭サンプルから集められており、それが支出に積極的ではない高齢世帯に偏る傾向があり、小売売上高データよりも変動幅が大きく、結果的に小売部門の売上高調査より悪い数字が出やすいと指摘しました。
https://uk.reuters.com/article/uk-japan-economy-spending/japan-real-wages-slump-overshadow-rebound-in-household-spending-idUKKCN1GK398
2017年夏の政権支持率の急落を『乗り越え』、衆議院解散総選挙で一方的勝利を手にした安倍首相の計算は?
安部首相が今回の疑惑から素早く脱出し、その姿をくらますための『煙幕装置』はもう存在しない
ダニエル・ハースト/ ガーディアン 2018年3月12日
日本の安部首相と夫人が関わったとされ悪循環に陥った便宜供与疑惑は、財務省が記録を改ざんして安倍首相夫妻への言及をすべて削除するという改ざんを認めたことにより、他方面からの批判に火をつけました。
安倍晋三首相は新たな事実が暴露されたことについて、「行政全体の信頼を揺るがしかねない」と事実関係を認め、「国民に深くおわびする」と謝罪を口にしました。
安部首相は以前、大阪の国家主義者の学校経営者に売却された国有地の価格を大幅に引き下げることに、自身あるいは夫人が関与していることが関わっていたことが証明されれば、首相を辞任すると語っていました。
日本の財務省は3月12日、問題の国有地の査定額を85%引き下げる決定を行ったことに関係する複数の公式文書を改ざんしたと認めました。
文書のうちの1点は、改ざん前は教育機関の森友学園に言及したものであり、安部昭恵夫人は小学校建設について「良い土地ですから前に進めてください」と勧めていたとの記述がありました。
しかしこうした記述は国有地売却問題を調査していた議員に提出された段階では削除されていました。
共同通信社によると、この時提出された文書には、「学校の教育方針に涙が出るほど感動した」と恵夫人が語ったという記述も抹消されていました。
さらに財務省の当局者は、森友学園のトップも加盟していた保守派のロビー団体である日本会議を安倍首相が支持しているという記述も削除しました。
森友学園が経営していた幼稚園では、園児たちに皇室の肖像写真の前で深々とお辞儀をさせ、君が代を毎日歌い、国のために自分の身を犠牲することの崇高さを称える1890年公布の教育勅語を学ばせていることで注目を集めていました。
安部昭恵夫人は森友学園が新設する小学校の名誉校長を務めることになっていましたが、昨年2月国有地の不正売却疑惑が持ち上がった段階で辞任しました。
安倍政権は先に、昭恵夫人が森友学園の幼稚園を訪問した際、首相に代わって現金100万円が入った封筒を学園の経営者に与えたという主張を否定しています。
学校関係者への不正な便宜供与スキャンダルが繰り返された昨年、政権の支持率は急落しましたが、安部首相はそれを乗り越えたかのように10月に行われた衆議院の突然の解散総選挙では一方的な勝利を手にしました。
しかし今回の暴露により、安倍首相と麻生太郎財務大臣に対する政治的圧力は強まっています。
麻生外相は12日午後、辞任の意思がないことを改めて表明しましたが、改ざんについては謝罪しました。
今年9月には自民党の総裁選挙が予定されており、安倍首相は自民党党首として3期目を確保すると同時に、首相の職に留まり続けることを希望しています。
しかし顧問会社のテネオ・インテリジェンスのトビアス・ハリス副社長は次のように語りました。
「安倍首相を今回の疑惑からいち早く脱出させるべく、その姿をくらますための『煙幕装置』はもはや存在しないと思います。」
「そして自民党のベテラン議員たちに、さらに3年間総裁の任期をこなすことを納得させるのは非常に難しいと思います。」
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12日以降の安部首相の対応を見ていると、ここはもう無理スジでも何でも強引にすべて否定してやり過ごそうという底意が透けて見えます。
そのために官僚が何人犠牲になっても、アベ・アソウさえ生き残れば良いのだと言っているかのようです。
今回の事件を財務省の一部の官僚に押しつけようという動きがあからさまですが、前川喜平氏に対する文部科学省の省ぐるみの嫌がらせを見ても、打ち続く官僚の腐敗と暴走を止めるには、火の元凶である安部政権を止めることこそ必要なのではないでしょうか?
安倍政権の誕生以降これまで各国各紙の記事を翻訳しご紹介してきた通り、先進各国のメディアは実に6年間に渡り『日本の民主主義は危機的状況に陥っている』と繰り返してきました。
この状況を見て、私たちはどんな行動をとるべきなのでしょうか?
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【 日本の財務省、安倍首相の昭恵夫人に関する記述のある公文書を改ざん 】
国民の8割が「安倍政権は一連の疑惑に適切な対応を行っていない」
ドイチェ・ヴェレ 2018年3月12日
国有地を自分の支持者に法外に安い価格で払い下げた問題について、関連する公文書から安倍首相本人、昭恵夫人、麻生財務大臣の3人の名前を削除したことを日本の財務省が認めました。
安倍首相はこの件で支持者に対し職権によって便宜を図ったという疑惑を持たれており、批判が高まっています。
昨年、大阪府内の国有地を首相夫人の昭恵氏とつながりがある国家主義者の学校運営者に市場鑑定価格を大幅に下回る価格で売却したことが報じられ、一挙に問題化しました。
麻生太郎財務大臣は同省の職員が14通の公式文書を改ざんしたことを認めましたが、その目的は安倍晋三を擁護するためだったとは考えていないと語りました。
野党の議員らは3月12日月曜日、安部首相自身の名前に加え、昭恵夫人、麻生財務大臣の名前が削除されたことを明らかにするため、改ざんされる前と改ざん後の両方の文書を公開しました。
「公式文書の改ざんは非常に重大な問題であり、誠に遺憾。陳謝いたします。」
記者会見で麻生財務大臣がこう語りました。
「重要なのはこうしたことが二度と起こらないようにすることであり、我々は調査に全面的に協力しています。」
▽国税庁長官の辞任
麻生財務大臣は、佐川宣寿国税庁長官が6日金曜日辞任したことについて問われると、一連の事件の責任をとって辞任する意思のないことを強調しました。
佐川氏は事件が明るみに出た当時、国有地売却を担当する財務省理財局の責任者を務めていましたが、事件の最中に国税庁長官に抜擢されました。
一方、今回のスキャンダルに関係していたとみられる財務省職員が3月初旬自殺しました。
麻生財務大臣は問題とされている文書は佐川氏の国会における答弁と整合性がとれるように内容が書き換えられたと語りました。
野党側は、問題の渦中にいる私立学校経営者の籠池康則氏が国有地の払い下げ価格を引き下げるために、安倍首相と昭恵夫人との関係を利用したものだと非難しています。
安倍昭恵首相夫人は問題の土地に建設される予定だった小学校の名誉校長の地位に就いていましたが、スキャンダルが発覚すると辞任しました。
安部首相は国有地が不当に安く払い下げられた問題に、自身あるいは夫人が関わっていた証拠が示されれば首相を辞任すると語っていましたが、今回の公文書の書き換え疑惑は安倍政権にダメージを与える可能性があります。
月曜日に発表された世論調査では、安倍首相への支持率は先月から6ポイント低下し48%に下がりました。
回答者のうち80%の人々が安倍政権は一連の疑惑に適切に対応していないと答えました。
安倍晋三首相は9月に行われる自民党総裁選挙で3期目の就任を目指しています。
安倍首相と昭恵夫人による直接介入を覆い隠す『煙幕装置』はもはや存在しない
現場の官僚たちが公文書を改ざんするような権限を持っていたとは考えられない
スタンリー・ホワイト、梶本哲司 / ロイター 2018年3月12日
ロイター通信の検証により、国有地売却を巡り政権支持者へ異常とも言える便宜が図られた事件で、財務省の文書から安倍晋三首相、昭恵夫人、麻生財務相の関与が疑われる記載が削除されていた事実明らかになりました。
首相夫人の昭恵氏との交流が深かった政権支持者に対し、国営地が異常に安く払い下げられたことに関する疑惑が昨年明らかになって以来、安倍首相は大きな問題を抱え続けています。
就任してから6年目を迎えた安倍首相は妻である昭恵夫人が学校運営者の森友学園に異例とも言える便宜を図ったことを否定し、証拠が見つかったら(首相の職を)辞任すると述べていました。
隠蔽疑惑は安倍首相の政治的立場にダメージを与え、3期連続で自民党党首として君臨するという希望を打ち砕く可能性があります。
今年9月に予定されている自民党党首選挙で勝利すれば、日本政治史上最長の任期を担う首相になることになります。
麻生財務大臣は3月11日月曜日の記者会見で、売却を担当する財務省の部署の何人の関係者が、当時の財務省高官の国会での証言とつじつまが合うよう文書の書き換えに関与したと語りました。
これに対し野党側は安倍内閣で2期副首相を務め、安倍首相の再選希望の鍵を握ると見られている麻生財務大臣の辞任を要求しました。
これに対し77歳の麻生財務大臣は財務省が改ざんを行ったことについては謝罪しましたが、辞任する意向はないと述べました。
麻生財務大臣は、「責任を痛感しており、深くおわびする」と陳謝しました。
日本の立憲民主党の枝野代表は、最も大切な問題が未解明のまま残されていると語りました。
「私たちは全ての未解明の疑問について、徹底的に厳密に究明しなければしならない。何を目的に、誰がそれを命じたのか?」
枝野代表は記者団の質問にこう答えました。
「これまで繰り返し行われた議会での答弁は一体何だったのか?真実から目をそらさせるようにすることが目的ではなかったのか?」
専門家は麻生氏と安倍氏が現在抱えるリスクは、土地売却そのものよりも隠蔽疑惑によるダメージの方が大きいと語っています。
「隠蔽疑惑は当初の事件そのものよりも、一層大きな問題になっています。」
上智大学の中野耕一教授がこう語りました。
財務省の担当者は議会証言と一致させるために、財務省の指導で2月以降、14件の書類が改ざんされたことを明らかにしました。
改ざんされた内容の中には今回の疑惑の中心にある小学校への安倍昭恵首相夫人の訪問があります。
さらには安倍首相と麻生財務大臣と保守的政治団体の日本会議との関係性に言及したものもあります。
疑惑の中心にある森友学園が運営する幼稚園は、日本会議が信奉する民族主義的カリキュラムに沿った教育を行っていました。
安倍首相が3期目の首相を目指す総裁選挙において、麻生財務大臣の支持は極めて重要な意味を持っており、安倍政権の安定のためには必要不可欠です。
「少なくとも、財務大臣として生き残る可能性は急激に低下しているように感じられます。」
テネオ・インテリジェンスのトビアス・ハリス副社長が電子メールでこのように伝えてきました。
トビアス・ハリス氏は、安倍首相と昭恵夫人による直接介入を覆い隠す『煙幕装置』はもはや存在しないと語りました。
しかし、ハリス氏は次のようにもつけ加えました。
「今や焦点となりつつあるのは、安倍首相は9月の任期切れを待って秩序立った退任を実現することができるのか、あるいは第一次安倍内閣の時同様、突然の辞任という展開になるか、そのどちらなのかということです。今回の一連の暴露という事件の最中で、今後安倍首相に対する支持が確実に回復するという展開は私は考えられないと思っています。」
国税庁長官の佐川宣寿氏は金曜日、今回の事件に関する国会での発言の責任を取って突然辞任しました。
佐川氏は今回文書改ざんを行った財務省当局の責任者を務めていましたが、昨年7月の国税庁長官への起用は、これ以上事件が拡大しないように図る答弁を国会で繰り返したことへの褒賞だという批判が上がっていました。
自民党のメンバーからは、延々と続く隠蔽が党への信頼を蝕む可能性があるとの声も上がっています。
自民党議員のうち、自民党総裁の地位を安倍氏と競うという姿勢を隠そうとしない石部茂氏は、3月10日須末こう語りました。
「現場の官僚たちがそのような権限(公文書を改ざんする権限)を持っていたとは考えられない。」
「誰がこのようなことを命じたのか明らかにしなければ、自民党への信頼が揺らぐことになるだろう。」
63歳の安倍晋三氏は2012年12月に首相に就任した際、日本経済を復活させ、日本の防衛力を強化すると公約しました。
安倍首相は2007年に閣僚のスキャンダルによって国会が混乱し、自身も健康を害したことを理由に就任1年で首相を突然辞任しました。
その5年後保守派を代表する立場で首相として異例の復帰を果たしました。
その政権与党は昨年2017年10月の衆議院議員選挙では、野党の混乱に乗じて全議席の3分の2の「大多数」を獲得しました。
読売新聞が3月9日から11日までの3日間に行った世論調査では、安倍内閣の支持率は48%に下がりました。
不支持は42%に上昇し、回答者の80%は今回の問題が適切に処理されていないと回答しました。
https://uk.reuters.com/article/uk-japan-politics/japan-pm-finance-minister-under-fire-over-suspected-cover-up-of-cronyism-idUKKCN1GO03B
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私に言わせれば、これほどのスキャンダルが発覚してなお、安倍政権への支持率が48パーセントもあるという事の日本人の異常さの方を感じます。
今回のスキャンダルをまたまた「誠にもって遺憾」で終わらせてしまったら、もはや日本の行政は不正も腐敗も癒着も情実もなんでもありになってしまいます。
まさに経済は先進国、政治は後進国の有様です。
今度こそ、民主主義の根幹を腐らせる内閣を終わらせなければ、我々日本人の民度は世界の中で大暴落してしまうでしょう。
安倍政権によって日本の民主主義がボロボロにされてしまう前に、私たち市民はそれぞれの場所でそれぞれの思いを込め行動を起こすべきでしょう。
原子力災害から7年、いまだ5万の人びとが故郷を失ったまま…帰還への夢を持ち続ける被災者
同じ時代を生きて来た同世代の退職後の人々が、再び希望の火を灯そうと途切れることなく取り組みを続ける大熊町
ダニエル・ハースト / 大熊町 ガーディアン 2018年3月9日
志賀修養氏は大熊町復興のプロジェクトリーダーですが、もし避難命令が解除された場合、家族が帰還を望むかどうかは確信が持てないと語りました。(写真:ダニエル・ハースト / ガーディアン)
日本の東、太平洋岸の大熊町はかつては人口10,500の活気ある町でした。しかし今、町内の家屋は無人のまま建ち並んでいます。
大熊町に誰も住む人がいないのはこの町が7年前、巨大地震と巨大津波をきっかけに3基の原子炉がメルトダウンするという史上最大の原子力発電所事故を引き起こした福島第一原子力発電所に最も近い場所にあること、そして事故後周辺市町村で続けられてきた除染作業がまだ完了していないため避難命令が敷かれたままだからです。
しかし大熊町は完全な廃墟になったわけではありません。
じじい部隊という名の60歳以上の人々が町内を欠かさずパトロールしています。
彼らが愛するかつての故郷の見守りを続けているのは頼もしげな退職者たちのグループです。
横山宗光さん(65歳)は、ピックアップトラックから数メートル離れた場所に立ち、かつて町の中で不審な人物を見かけたときに彼と彼の友人たちがとった対応を思い出しました。
「ある日、町の中をうろついている不審な人物を見かけました。どう見ても挙動が怪しかったので私たちはこの人をトラックに乗せました。」
穏やかな物腰のかつての町役場職員の横山さんがこう語りました。
「疑わしい行為や人物を見かけたら、もちろん当局に通報することにしています。」
横山さんは5年前にチームを結成した6人の退職者のうちの1人であり、この町に住宅を所有する人々が恐れる留守宅荒らしや火災予防を取り組みの一つにしています。
「私たちはこの先もう何年も生き続けるわけではない」ため、若い世代の人々よりも放射線被曝については深刻には心配していないと語りました。
ほとんど毎日、彼らは現在暮らしている新しい家から1時間から2時間をかけてやってきて、パトロールのボランティア活動にいそしんでいます。
始めた頃は不審者や空き巣の摘発などが主な仕事でしたが、現在は町の清掃や片付けが主な仕事になっています。
野生のイノシシによる被害を調べたり、水路に積み上がったゴミを取り除いたり、倒木を片付けたりしています。
「私たちはみな同じ時代を生きてきたし同じような年齢のため、目標を共有しやすい上、この町に再び希望をもたらしたいという点で気持ちがつながっているのです。」
横山氏が一緒の取り組みをする仲間についてこう語りました。
▽ かつての故郷に向けた長い道のり
大熊町の通りはこれまでとは異なり少し賑やかになってきました。
町のいくつかの地域では、入居者は自宅を定期的に訪れ片付けをすることなどは許可されていますが、そのまま泊まったりすることはできません。ロ
しかし他の場所ですでに新しい生活を築きつつあることを考えれば、彼らを再び大熊町の住民として元の場所で生活させるまでは長く困難なプロセスであることは明らかです。
大熊町の復興計画のリーダーである志賀さんでさえ、状況が比較的正常に戻ったとしても、残りの家族はこの町には戻らないだろうと考えています。
そもそもことは物理的にももと住んでいた家に戻ることすら簡単なことではないのです。
志賀さんが所有する土地は福島第一原子力発電所の事故によって作り出された大量の放射性核廃棄物の中間貯蔵施設とするよう指定された場所に
含まれています。
さらに志賀さんは3人の子供のうちの1人が、巨大津波から逃げようとした際、近隣の人たちを「津波がのみこんでいく有様」を見て心に大きな傷を負ってしまったと語りました。
志賀さんの子供たちは現在20代になっています。
「このような苛烈な体験を強いられた人が大熊に戻るというのはとても難しいことです。」
「子供たちはもう帰らないと言っています。。妻ももう戻りたくはないようです。だから戻るなら男一人でこの場所に戻らなければなりません。家族もなく、妻もなく、ただ一人で…」
大熊町は控えめながら回復へと動き始めました。
50世帯の住宅が建設されましたが、これはアンケートによって帰還の意思表示をした世帯数と同じです。
志賀さんによれば大熊町はいずれ100棟の一戸建て住宅を建設する予定です。
しかしこれは地震、津波、原子力発電所事故の三重災害が発生するいぜと比べればほんのわずかです。
志賀さんは帰還を希望しているのは高齢者に偏る傾向があると付け加えました。
福島県のどの場所と比べても、浪江町ほど元どおりの町の姿を取り戻すということが難題中の難題だという場所はありません。
当局は一部の地区を除いて、2017年3月31日に浪江町の避難命令を解除しました。
しかし浪江町のかつての21,000人という人口に対し、、現在までに戻ったのはたったの490人でした。
浪江町役場職員の青田洋平氏は、浪江町の港湾地区であった請戸地区の方を眺めながら、この数字を明らかにしました。
請戸地区は浪江町の中でも海抜が低く、15.5メートルの津波によってほぼ全滅しました。
青田さんの自宅もそのとき破壊されてしまいました。
青田さんの自宅もそのとき破壊されました。
▽ 痛恨の想いを抱かせる光景
「もちろんこの有様を見れば、何が起きたのかをあらためて思い知らされます。」
といち早く地元の小学生が避難し、津波の被害を免れることができた高台に立ち、青田さんはこう語りました。
この地区の家屋のほとんどは破壊され、現在学校の建物は廃墟となっています。
「浪江町の請戸地区には約1,900人の住人がいましたが、残念なことに182人が津波で死亡しました。 正確に言うとそのうちの30人の行方がまだわかっていません。これらの30名については遺体も遺留品も確認できていません。」
福島県全域で164,865人に達した避難者がいた2012年5月と比べ、現在では県外への避難者は50,000人を下回っており、事態は著しく進展した、福島県当局はそう表明することを切望しています。
しかし人々は必ずしも帰還を急いでいるわけではありません。
浪江町から南相馬に避難した65歳の渡辺理恵子さんは、なぜ帰ってこないのか、それぞれがそれぞれに理由を抱えていると語りました。
彼女は毎日南相馬から通いながら『グランマ・キッチン』という名称の食堂を経営しています。
この食堂は労働者に食事や弁当を販売しています。
渡辺さんは、浪江町の人々はこの町で将来を計画することについて多少尻込みするところがあると指摘します。
「かつての大熊町の住民たちは周囲を見回し、友人や知人、あるいは隣人が帰ってきたことに気付き
『ああ、そろそろそ自分たちも町に戻るき時が来たのかもしれない。何かできることをすべき時が来たのかもしれない。』
と感じるようになってきました。
私たちは毎日祈っています
そして浪江町に一人でも多くの人が戻ってこれるように私たちは毎日一生懸命働いているのです。」
渡辺さんは思いを決したように、そして微笑みながらこう付け加えました。
「私たちは決してあきらめません。」
https://www.theguardian.com/environment/2018/mar/09/fukushima-communities-struggling
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先日仙台市内から福島県のいわき市内まで、福島第一原子力発電所事故の沿岸部の被災地を、常磐自動車道の上からでしたが観察する機会がありました。
楢葉町では操業している工場の近くに放射性廃棄物を詰めた大量の黒いビニールバッグが置き並べられた様子に「無残な…」という思いが去来しました。
この近くが福島第一原子力発電所なのだな、と感じたのは急にたくさんの高圧送電線の鉄塔が視界に入った時でした。