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米国の核戦争実施計画、その立案者が告発する!《8・完結》

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所要時間 約 12分

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トランプのように、敵性国家に対しあからさまな脅迫を行う大統領は史上初めて

アメリカ政府の安全保障担当の高官に内部告発に踏み切る勇気を求める!

核兵器はいざとなったら使った方が勝ち - 狂気に支配されている北朝鮮、そしてアメリカ

 

デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ホアン・ゴンザレス :

さて現在の北朝鮮の脅威とそれに対するトランプ大統領の対応についてのニュースを聞いていると、大統領は北朝鮮を火の海にしてやるとさかんに脅迫していますが、彼らの議論に対するあなたの正直な感想をお聞かせください。

私はアメリカ国内では現在よりも1980年代の方が、『核の冬』に対する恐怖感や核兵器に対する危機意識は切実だったように思うのですが。

 

ダニエル・エルスバーグ:

これまでお話してきたように、アメリカの歴代大統領は核兵器の使用に関して実質的には脅迫ともとれる発言や行動を行ってきました。

しかしトランプのように、あからさまな脅迫を行う大統領は史上初めてです。

そして核兵器保有国に対してこうした威嚇を行うのは、キューバのミサイル危機以降初めてになります。

 

ハリー・トルーマン大統領は67年前の朝鮮戦争当時、北朝鮮に対して核兵器の使用をちらつかせたことがありますが、当時の北朝鮮は核兵器保有国ではありませんでした。

そして、東京とドレスデン、ハンブルグを除けば、敵国を世界が見たことも無いような火炎地獄につき押さすために核兵器は必要ありませんでした。

朝鮮戦争当時、アメリカは核兵器を使わずに北朝鮮を文字通り火の海にし、人間が作ったものは柱一本残さないような攻撃を行いました。

したがってトランプと同年齢以上の北朝鮮のすべての人びとにとって、アメリカが作り出す『火の海』は現実に体験させられたものなのです。

トランプは朝鮮戦争当時4歳だったはずですが、朝鮮半島の人びとにとっては消し難い記憶です。

従ってトランプの脅迫を聞いた朝鮮半島の人びとは、「アメリカはまたあれをやるつもりなのだ」という恐怖にとりつかれて当然なのです。

そして今日、北朝鮮は核兵器保有国になっています。

もし彼らがまともな頭を持っていれば、自分たちからアメリカを攻撃することは無いでしょう。

なぜならそれは完全に自殺行為だからです。

 

北朝鮮のすべての男性、女性、そして子供たちは必然的に皆殺しにされてしまうでしょう。

従って北朝鮮の方から先制攻撃を仕掛けて来ることはあり得ないと思います。

 

ではアメリカ側の先制攻撃に対し、北朝鮮は報復攻撃をしないと考えて良いでしょうか?

少なくとも北朝鮮は韓国に対する核兵器使用に踏み切るでしょう。

アメリカと一緒に軍事演習を繰り返してきた相手に対し、報復することに専念することになると思います。

それは自殺的行為ですが、少なくともそこまでは思い切ることになると思います。

それが核兵器の使用がもたらす必然的な結果であり、回避することは不可能であり、まさに『目には目を』の論理です。

核兵器は報復攻撃よりは先制攻撃の方が効果的であり、報復攻撃はためらうよりも実行する方がましなのです。

こうした考え方は狂っていますが、それは北朝鮮だけのものではなくアメリカも70年間この狂気に支配されてきました。

 

エイミー・グッドマン:

あなたはかつてもっと多くの内部告発が行なわれるように求めたことがありました。

私はその点を重要視したいと思っています。

陸軍の内部告発者として有名になったチェルシー・マニングさんは現在刑務所を出ることが出来ましたが、彼女は7年間の間収監されていました。

彼女はアメリカの外交政策、イラク戦争とアフガニスタンの戦争に関する70万件以上の機密ファイルとビデオをウィキリークスに漏えいした罪に問われました。

マニングは、第一次世界大戦の際に制定された諜報活動取締法のもとで有罪判決を受け、2013年に35年の刑期の有罪判決を受けました。

今年 1月に、離任直前のオバマ大統領が彼女の減刑を行ない、やっと自由の身になりました。

しかし結局彼女は内部告発者として米国史上最も長い間刑務所に収監されたことになります。

刑務所から解放された後、マニングは米国ABCニュースなぜ内部告発者になる決心をしたのか、心の内を話しました。

 

チェルシー・マンニング:

当時私はすべての情報を総覧する立場にありました。

そこにあったのは、ただただ死、破壊、暴力ばかりでした。

結局私はそれ以上、報告と統計だけをまとめる作業を止めることにしました。

代わりに人間として人間を見ることにしたのです。

 

米国ABCキャスター:

アメリカ国民が広く正しい情報を共有することを可能にしたとあなたを賞賛する人々もいますが、一方では敵側に漏らしてはいけない情報を提供してしまったかもしれませんよね?

 

チルシー・マニング:そうかもしれませんが、私が責任を持つべきなのはアメリカ国民に対してだと思っています。

それだけではありません、ご存じのとおり政府職員には責任があります。

息子の遺体をかいいだいて泣き崩れる男性。
10月3日、アレッポ。

エイミー・グッドマン:これがチェルシー・マニングさんの本音だったと思います。

ダン・エルスバーグさん、あなたは最新の著作の随所でアメリカの核兵器政策に携わっている人々に、本当の危険性について警告する内部告発を行うよう呼びかけていらっしゃいます。

あなたは亡命中のエドワード・スノーデン氏にも面会されましたね。

どのような情報を今すぐ公開したいと思っていらっしゃいますか?

 

ダニエル・エルスバーグ:

始めに申し上げたいのは、チェルシー・マニングさんとエドワード・スノーデン氏は私にとって英雄だということです。

と同時に私にとっては同じようなプロセスを経て同じ信念を持って決断し、内部告発を行ったという点で地球上の他の誰よりも、共有するものが多い、という事です。

現在チェルシー・マニングさんとエドワード・スノーデン氏と同じような立場にいる人々、特に政府機関などで重要な立場にいる人々に伝えたいことがあります。

トランプ大統領が核保有国である北朝鮮に対しどのような武力行使を行うつもりなのか、結果としてどれ程悲惨な状況が作られるのか、どれ程の規模の破壊が行なわれるのか、これらを分析しまとめた文書が存在するはずです。

 

エイミー・グッドマン:

相手は北朝鮮になるのでしょうか?ロシアという可能性もあると思われますか?どうなのでしょう…

 

ダニエル・エルスバーグ:

そうですね、違いは…

 

エイミー・グッドマン:

イランという可能性も…

ダニエル・エルスバーグ:

もちろんどこが相手であっても、もしトランプが核戦争を起こす準備を進めていることが明らかにされた時点で、おそらくイランではこれまでの国際合意をを取り消し、核兵器開発計画を再開することになるでしょう。

半世紀前、私はランド研究所とペンタゴンにいましたが、その時と同じようにイランとの戦争はすぐに現実になる可能性があります。

当時アメリカ側はイランとの軍事衝突は不可避だと考え、その際に核兵器を使うまでの状況に発展した場合の対応を常に検討していました。

原因のひとつとして今日ほどロシアとの間のやり取りとりが円滑では無かった事が挙げられます。

 

もしこうした事実をつかんでいても、それを議会に報告したり報道機関に明らかにすることには、個人的に大きなリスクをともないということを考えてなければなりません。

私も危うく刑務所行になるところでしたし、チェルシー・マニングに至っては数年の間刑務所に収監されてしまいました。

しかしその事実には人類の生存という、きわめて大きな命題がかかっていました。

そして私が1961年のキューバ危機当時、本当にやりたかったこと、そして1964年にペンタゴンがベトナム戦争に本格的に介入してアメリカが大きな傷を負う前に、私がしておけばよかったと思っていることを考えてみてください。

待っていてはいけないのです。

マーティン・ルーサー・キングが語ったように、時すでに遅し、という事態に陥りかねないことはあるのです。

キング牧師はまさに今私たちが直面させられているような、緊急性の高い事態の事を言っていたのではないでしょうか?

現在私たちが直面している危機は、長年ひた隠しにされてきた本当の危険をペンタゴンの人間たちと私たち一般市民に思い知らせることになるのではないでしょうか?

 

エイミー・グッドマン:

残念ながら問題は未解決のままです。

ダン・エルスバーグさん、本当にありがとうございました。

エルスバーグさんの新しい著作『地球を終末に向かわせる装置 : 核兵器の戦争計画立案者の告白』は、アメリカ合衆国の核兵器戦争計画の最高機密文書のコピーに基づき、これまで隠されていた事実を明らかにしています。

 

《完結》

https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he

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今年最後の投稿になりました。

アメリカの核軍事政策の中枢にいたことのあるダニエル・エルスバーグ氏の長いシリーズも年内に終らせることが出来ました。

2018年1月からは新たな掲載を始めさせていただきます。

皆さんが穏やかな年末年始を過ごすことが出来るよう願っております。

 

米国の核戦争実施計画、その立案者が告発する!《7》

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所要時間 約 8分

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アジア・ヨーロッパの周辺国で発生する『戦争関連死』は信じられない程多数に上る…それが核兵器を使った戦争の恐ろしさ

核戦争が始まってしまった場合全人類の3分の1が死滅するという予測 - 実際には3分の3になる

 

デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ダニエル・エルスバーグ:

さて、繰り返しお話した通り、『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』は実際に場実在し、私はアメリカがソ連・中国のすべての都市を短時間で破壊し尽くすだけの核兵器を装備していることを知ることになりました。

そしてその『核兵器戦略』では6億人以上の人間が殺されることになっていました。

そしてその数字には何万発という核爆弾が爆発することにより放出される放射性物質や延焼により、ヨーロッパ・アジアの周辺国で死亡する数億人分の『戦争関連死』は含まれていませんでした。

 

当時のレベルでは天候が被害の拡散にどう影響するか、核爆発の延焼がどこまで及ぶかなど、副次的要因の計算はできなかったので、今日のような精密な予測は不可能でした。

しかしこうした間接的被害者の数が信じられない程多数に上るのが核兵器を使った戦争なのです。

アメリカの核攻撃によって死亡する人間の数が億という単位になるとお話しましたが、当然そこにソ連の報復攻撃による死者の数か加わります。

従ってその数は10億を超えるものになりますが、当時の地球の人口は約30億人です。

つまり核兵器による攻撃とその報復攻撃により、当時の地球人口の3分の1が殺されてしまうことになります。

 

私は映画作品『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』の重要人物ストレンジラヴ博士のモデルのひとり、「水爆の父」エドワード・テラー博士から直接話を聞いたことがあります。

「熱核兵器を使用した戦争が起きれば、最大で人類の3分の1が死滅することになるでしょう。」

この数値はアメリカ軍の統合参謀長の見解とほぼ同じです。

私はその話を聞いた時、3分の2まで水が入ったコップを思い浮かべました。

しかし実際には、テラー博士は間違っていました。

ランド研究所のカーン氏も間違っていました。

誰もがちゃんとした答えを出すことが出来ませんでした。

実際に核兵器を使った戦争が起きてしまったら、殺害されるのは全人類の3分の3になるでしょう。

 

現在もアメリカの核兵器は多数の都市に照準を合わせたままになっています。

人類はもうこうした状態を続けることを終わらせることを願っているはずですが、多数の都市が軍事目標にされたままになっています。

これらの都市はいずれ徹底的に焼き払われることになっているのです。

 

そしてすでに計算済みの核兵器攻撃の被害だけでなく、その先には計算外のさらに憂慮すべき結末が待っているはずです。

第二次世界大戦末期の1945年3月9日と10日に行われた東京大空襲による大火災では、一都市内で複数の大火災が発生することによる火炎旋風が発生しました。

この現象がこれまで確認されているのは第2次世界大戦中のハンブルク、ドレスデン、そして東京の3例しかありません。

一面に広がった大火災が空気柱をはるか成層圏の高さにまで上昇させたことが解っています。

 

そして1983年以前には解らなかったことについても精密な予測ができるようになりました。

これだけの核兵器が使用されれば、約1億トンの煤煙が成層圏に吹き上げられ、長期間地表に届くはずの太陽光がさえぎられることになるだろうということです。

成層圏では雨が降ることも無く、これらの煤煙はまるで地球を覆い隠すようにして広がったままの状態に陥ります。

 

それによってまたは太陽光の70パーセントが地表への到達がブロックされ、植物の成長が阻害され、地球上のすべての人々、基本的にという意味に訂正させてください、基本的にすべての人間を飢えさせることになります。

 

カール・セーガン博士が今から約30年前の1983年に初めてこの考え方を公表しましたが、その際人類の絶滅という事態は現実になり得ると発言していました。

最新の計算では『絶滅』まで至ることは無いだろうということになっています。

人間という種は優れた順応性を持っており、ニュージーランドの端っこの方で暮らす数百万人は軟体動物を食べながら生存を続けることが可能だという、新たな見解が示されています。

しかし地球上の人類の98〜99%は絶滅の危機に見舞われることは間違いがなく、核兵器の全面使用が『地球を終わりに向かわせる』ことは間違いありません。

 

米国とロシアの両国が依然として今すぐにでも核兵器攻撃を始められる態勢を維持したままであるという事、そして発射を命令できる権限を持つ人間が複数存在し、警告が発せられれば直ちに核ミサイルが発射される可能性があること、大陸間弾道ミサイル・システムは敵の攻撃にさらされれば直ちに報復措置に出るよう設計されていること、さらには自国に対する攻撃が確認されれば核兵器を使うか否かの判断を求められるシステムが存在する以上、核戦争の危機は常に身近にあると考えなければなりません。

 

さて、これまでこうした警告は両陣営で何回も繰り返し誤って発せられ、何度も核戦争の一歩手前まで行ったことがあります。

1995年、冷戦終結から7年後、エリツィン大統領は両陣営で初めて、核戦争を開始するためのブリーフケースとボタンを公開しました。

一例としてノルウェーの気象予報ロケットがロシアの首都モスクワを壊滅させる可能性のある核ミサイルに誤認されたことがあります。

その際エリツィンは、ミサイルであれば着弾する寸前まで『報復攻撃』を命令する事を躊躇しました。

そして最終的にロシアはそれが誤った警告であると判断しました。

もし当時エリツィンが違う判断をそうでなければ、今頃私たちはこうして生きてはいられなかった可能性があります。

なぜなら一方の側、あるいは両陣営の攻撃から作りだされる核の冬が、ずっと前に私たち人類を飢えさせてしまっていただろうからです。

 

《8》に続く

https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he

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核兵器を『持つな!持たせるな!』

という反戦スローガンがありますが、ここまで読み進むと核兵器の真実とはまさにその言葉通りだという事を実感します。

国土の防衛というと多少聞こえが良く感じるかもしれませんが、核兵器とはまさに人類史上最も愚かな発明だという事を痛感します。

米国の核戦争実施計画、その立案者が告発する!《6》

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所要時間 約 8分

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フィクション映画で登場した『地球を終わりに向かわせる装置 』は実在し、アメリカはそれを20年間知らなかった

自動的に爆発して放射性物質をばらまき、地球上の全生物を絶滅させる皆殺し装置 - 最悪の最終兵器

 

デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ホアン・ゴンザレス :
私たちは1971年にペンタゴン文書を暴露したダニエル・エルスバーグ氏にいろいろお話をうかがっています。
エルスバーグ氏の最新の著作は『地球を終わりに向かわせる装置 : 核戦争計画制作者の告白』です。
エルスバーグ氏はかつてアメリカの核兵器計画の機密文書についての内部告発を行ったこともあります。
私はスタンリー・キューブリック監督の映画作品『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』のシーンを思い浮かべるのですが…
エルスバーグさんはこの映画はドキュメンタリーかもしれないと冗談をおっしゃっていました。

このブラックコメディは、キューバのミサイル危機発生からわずか2年後の1964年に公開されました。

 

エイミー・グッドマン:

この映画は核兵器を搭載した米国の爆撃機が、ソ連との国境付近のあらかじめ決められた巡航ルートを提示飛行中に「ウィング・アタック・プランR」の実行命令を受けた時から始まる米ソ間の核戦争の危機に主題にしています。

この命令は精神に異常をきたした空軍基地の司令官ジャック・リッパー准将が発したもので、彼はアメリカの首都ワシントンが攻撃された場合に直ちに対応できるよう予め付与されていた権限を使って攻撃命令を出してしまいました。

この映画の大部分はアメリカ政府の作戦司令室が舞台になっています。

作戦司令室で大統領とペンタゴンの最高顧問は打ち合わせを重ね、大統領自身のためらいにもかかわらず、軍の最高幹部たちはこのままソ連を攻撃しようとします。

しかし大統領のもとに呼ばれたソビエト駐米大使がソ連側が装備している新兵器について思想を明かすと、アメリカ側は予想もしなかった困難な問題を突きつけられることになりました。

 

それはソ連が攻撃を受けた場合に自動的に爆発し、地球上の全生物を放射性降下物で絶滅させる皆殺し装置、つまり最悪の兵器が実戦配備されているという事実でした。

この映画では大統領科学顧問のストレンジラヴ博士が、彼自身も関わったブランド(BLAND)コーポレーションという名の機関の調査に基づき、作戦司令室で大統領から対しソ連の新兵器について説明を求められます。

 

[映画の中で]

マフリー大統領(ピーター・セラーズ):

しかし、どんなやり方をすれば全て自動でそんなことが可能になるのだ?何とかそれを止める方法は無いのか?

ストレンジラヴ博士:

大統領、それはただ単に可能だというだけではなく最も重要な部分です。

この装置のすべてを表すものです。

ご存知のように『抑止力』というのは、相手の心の中に攻撃に対する恐怖心を作りだす技術です。

したがって人間の干渉を排除する、しかも人間の手で取り消すことが不可能な完全自動化された意思決定プロセスを持った最終兵器は人間にとって最大の脅威です。

これ程解りやすいものは無く、しかも機械としての信頼性も高く、有無を言わせない存在です。

 

『バック』タージッドソン将軍(アメリカ軍高級幕僚・ジョージC.スコット)

我々にも一基でいいからそんな装置が欲しいものだ。

 

エイミー・グッドマン :

これは1964年の映画スタンリー・キューブリック監督の映画作品『博士の異常な愛情』 の一場面ですが、今回のゲストであるエルスバーグ氏の最新の著作『地球を終わりに向かわせる装置 : 核戦争計画制作者の告白』の主題でもあります。

映画の中にブランド(BLAND)コーポレーションという組織が登場しますが、これは実在のランド(RAND)コーポレーションの事だと思いますがキューバ危機当時のあなたの同僚が『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』という言葉を作ったのですね?

ダニエル・エルスバーグ:

ハーマン・カーンがその言葉の発明者です。

彼はこう言いました。

「ところで君、この『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』は実に多くの人間を殺すことになるんだよ、実際、誰もかれもが殺される…。」

しかし彼はそんな装置は実在しないと言いました。

かれがこう語ったのは1959年、そして1960年です。

そして私たちが知る限り、そんな装置は存在しませんでした。

しかし彼は間違っていました。

『地球を終わりに向かわせる装置(Doomsday Machine)』は実際にはその時から実在し、その状況は現在も続いているのです。

 

私たち一般市民はその存在をその後20年間は知らないままに過ごしました。

私たち市民はソ連と中国のすべての主要都市を一瞬で破壊できる装置をアメリカがすでに装備済みだなどという事はまったく知りませんでした。

そしてその事実に驚いた私は、マクナマラ国務長官の下でそんなシステムの維持継続をやめるよう主張しました。

「仮想敵国のすべての都市を攻撃目標に設定するなどという行為は自制すべきです。報復攻撃であっても先制攻撃であっても、それをすれば敵国の国民を皆殺しにすることになりますよね?なぜそこまでしなければならないのですか?

そんなことをすれば敵側も絶対に報復攻撃を行うでしょう。そして我々がやったのと同じように、我が国のすべての都市に核ミサイルを撃ち込むように追いつめてしまう。

彼らはどんな手段を使ってでも、全面的な報復攻撃を行うにきまっている。

そもそもなぜモスクワを破壊してしまうのですか?敵の戦略中枢を破壊してしまったら、誰が戦争の中止を命令するのですか?降伏すると誰が決めるのですか?どうやって戦争を終わらせるのですか?」

私は自分の言っていることは正論だと思っていました。

しかし私が進言したことが取り上げられることは、一切なかったのです。

それから何十年も過ぎチェイニー国防長官が就任しました。

数年後、彼はモスクワに照準を合わせたままになっている核兵器の数の多さに驚くことになりました。

その数は数百という単位です。

まさにキチガイじみている、そうとしか思えませんでした。

 

《7》に続く

https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he

米国の核戦争実施計画、その立案者が告発する!《5》

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所要時間 約 8分

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核戦争によって西側同盟国が壊滅することを、アメリカは自分たちへの直接的脅威とは考えていなかった

北朝鮮の『限定戦争構想』とアメリカの『全面先制攻撃構想』、共通するのは『狂気』

 

デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ホアン・ゴンサレス :

エルスバーグさん、あなたは数年後になってはじめてフルシチョフ自身の手によってアメリカの領海内にいた潜水艦隊の指令や司令官に戦争を開始できる権限を委譲していたことが解ったとおっしゃいましたが…

 

ダニエル・エルスバーグ:

比較的最近の1990年代にそれは明らかになり、最終的に確認できたのは21世紀に入ってからの事でしたが、フルシチョフがやったことはキューバに核弾頭を搭載した中距離弾道ミサイルを配置しただけではありませんでした。

それはまさに今、北朝鮮のキム・ジョンウンがやっていることとまったく同じです。

 

フルシチョフはヨーロッパに配置した移動型の中距離核ミサイル発射装置によって、アメリカと同盟関係にある西欧諸国を破壊できると考えていました。

移動型のミサイル発射装置を発見するのは困難であり、その攻撃によって死亡するのは西ヨーロッパの市民約1億人であるとソ連側は試算していました。

フルシチョフは、MELと呼ばれるアメリカが発見することも破壊することもできない中距離ミサイルを装備して、NATO加盟国の西ヨーロッパ同盟国を破壊し、1億人以上を殺す能力を整備する決心をしていました。
それでも西ベルリンにいたアメリカを動揺させることも、追い出すこともできそうにありませんでした。
ソ連側が西ヨーロッパを軒並み破壊する能力を持てば東西の核戦争を誘発する可能性がありましたが、それはアメリカが西ベルリンの地位を維持することにこだわった理由ではありません。

 

いずれにしても西ヨーロッパに核兵器を突きつけてもアメリカが動揺しないと判断したフルシチョフは
「我々は米国を射程に入れる範囲内にミサイルを装備しなければならない。」
と語り、中距離ミサイルをキューバに移動させたのです。

これに対し、北朝鮮のキム・ジョンウンにはソ連にとってのキューバのような同盟国はありません。
ソ連が西ヨーロッパを破壊すると脅してもアメリカが動揺しなかったように、北朝鮮はすでに韓国や日本を破壊できるミサイルを保有しているにもかかわらず、アメリカ本土を直接攻撃できるICBM(大陸間弾道弾)の開発を急いでいるのです。
キム・ジョンウンはフルシチョフの先例に倣っているのです。
フルシチョフのキューバが極めて危険であったと同様の事態です。

当時のキューバは世界史上最も厳しい監視対象になった島でした。
U2偵察機、偵察衛星、低空偵察飛行機、アメリカは考えられる限りの偵察行動を行いましたが、フルシチョフがキューバに中戦術核兵器として短距離ミサイルを装備していた事実を発見・確認することはできませんでした。
ソ連のミサイル部隊がいたことすら把握していませんでした。

 

そしてフルシチョフは当時の絶対的中央集権主義のソ連の独裁者としては考えられない判断をしていました。
もしアメリカがキューバ侵攻のための艦隊を派遣した事実を確認したら、これらの戦術核兵器を使用するか否かの判断を現地の指揮官に委ねたのです。
目の前にアメリカ艦隊が現れたことを確認したら、いちいちモスクワに指示を仰ぐ暇はありません。
これに対しアメリカ側は、フルシチョフがそこまで思いきった対応を取っているとは夢にも思っていませんでした。

 

フルシチョフの理論も、そしてフルシチョフ自身も非常に賢明でした。
ソ連がキューバに装備したミサイルはアメリカ本土の南の外れ、マイアミまでも到達する能力は持っていませんでした。


これらはすべて戦術核ミサイルであり、短距離ミサイルでした。
目の前に現れたアメリカ艦隊を完全に吹き飛ばし、100,000人の将兵を殺す能力は持っていましたが、それでおしまいです。
それ以上事態をエスカレートさせるだけの威力は持っていませんでした。
実質的にそれ以上はやらないと宣言しているのと同じでした。
30年後、その事実を知ったマクナマラ元国務長官はこう語りました。
「馬鹿げている。アメリカが100,000人もの将兵を失ったのに、ソ連に全面報復できないなんて…」
馬鹿げているのはマクナマラの方です。

 

金正恩(キム・ジョンウン)もフルシチョフと非常に似通った見通しを持っているのかもしれません。
すなわち韓国に駐留しているアメリカ軍との限定戦争が可能だと。
馬鹿げています。
しかしソ連と中国に25,000発の核ミサイルを打ち込み、何億もの世界中の人々を巻き添えにして殺してしまうという冷戦当時のアメリカの『核兵器戦略』と比較すれば、まだしもまともだと言えるかもしれません。

 

《6》に続く

https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he

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ここまで読み進むと(私の場合は翻訳を進めると)、核兵器というものが所有するだけで大変リスクの高い物だという事を強く感じます。

物理的に管理保管することに最大限の配慮が必要なことは当然の話で、そこにどのような人間がいて誰が関わるのかという事が、時には致命的な事態に発展する危険性があるようです。

しかも攻撃する報復するという行為には、報復をされないようにするためにやるならとことん破壊し尽くすという、恐怖の裏側の究極の残虐性がついて回るようです。

 

それが生きるという事が、社会や国家が平和であるという事が大前提である世界のほとんどの人びとの考え方と決定的に異なる点だとおもいます。

 

[星の金貨new]では【 世界でただ一カ所、未だに核兵器を突きつけ合う場所 】(米国CNN / http://kobajun.biz/?p=32547)というタイトルで堀田絵里さんがお書きになった論説をご紹介しましたが、アメリカを仮想敵国として核兵器開発を進める北朝鮮に対し、

「こっちも危ないんだ!」

と主張して多額の軍事費を投入し、あげく核兵器の保有の意思まで見え隠れし始めた日本に、本当の意味での『安全保障』の実現はあるとは到底考えられません。

一度書いたように思いますが、戦争や核兵器についての考え方がきわめて雑で安易な政治家が日本には多すぎます。

米国の核戦争実施計画、その立案者が告発する!《4》

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所要時間 約 9分

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『敵』の鼻先で実戦さながらの軍事演習を行うことなどは、きわめて危険で愚劣な挑発行為

直接軍事行動を起こすと脅迫することは賢明な選択ではない、それが北朝鮮危機に対しキューバ危機から引き出せる教訓

 

デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ホアン・ゴンサレス :
キューバのミサイル危機は、恐らく歴史上アメリカ合衆国が核戦争に巻き込まれる危険性が最も高くなった瞬間だと思われますが、ここで改めて当時のケネディ大統領の演説の抜粋をご紹介します。

 

ジョン・F・ケネディ大統領:
「親愛なる国民の皆さん、おはようございます。
私たち合衆国政府は約束どおり、キューバにおけるソ連軍の軍備増強の状況について監視を続けています。
これまでの1週間、このカリブ海の島に一連の攻撃用ミサイル発射設備が建設中であるという事実を確認しました。
キューーバに建設中の基地の目的は、西半球に対する核攻撃能力を提供すること以外にはあり得ません。」

 

エイミー・グッドマン:

そうですね、あれはケネディ大統領でした。
1962年の10月のキューバのミサイル危機の際にあなた自身が直面させられた事実についてお話しいただけますか?
当時あなたが担当していたことについて話してください。
これはあなたがペンタゴン論文を公表した数年前の出来事ですね。

ダニエル・エルズバーグ:
そうです。私は1962年10月22日、ラジオでケネディ大統領がキューバにミサイル基地が建設中であるという発表を聞いたことを覚えています。
そして私は後にRAND研究所の総裁に就任した、当時の国防次官補を務めていたハリー・ローウェンに電話して、こう話しました。
ローウェンはこう答えました。
「すぐに次の飛行機に乗ってこっちに来てくれ。」
言われた通り、私はすぐに飛行機に乗ってワシントンに向かったのです。

 

私はワシントンに飛び立ち翌朝早く、ペンタゴンに入りました。
その日、いや私が到着した日の前日から国防総省は立ち入り禁止になっていました。
私は核兵器に関する指揮命令系統の専門家としてであり、キューバ危機の際には実際にその部分に関わる仕事を担当しました。
すなわちソビエト連邦は約30基のミサイルをキューバに設置して何をするつもりなのか?

彼らはワシントンにミサイルを打ち込める体制を作ろうとしていました。
アメリカの統合参謀本部がモスクワを攻撃するように。
設置が完了すればアメリカのどこでも攻撃目標に設定する事ができます。

しかし約30基のミサイルだけではアメリカの報復攻撃を阻止する事は不可能です。
すでにお話しした通り、そんな事をすればアメリカはソ連と中国のすべての都市に対して迅速に2万5,000発の核ミサイルによる報復攻撃を実行する事になります。
そんなことはソ連側は望んでいないでしょうが、それでも彼らは何かをやるつもりなのだ…。

 

彼らはワシントンにミサイルを打ち込める態勢を作ろうとしていたのです。
アメリカの統合参謀本部がモスクワを攻撃する計画を作成していたように。
設置が完了すればアメリカのどこでも攻撃目標に設定する事ができます。
しかし約30基のミサイルだけではアメリカの報復攻撃を阻止する事は不可能です。
すでにお話しした通り、そんな事をすればアメリカはソ連と中国のすべての都市に対して迅速に2万5,000発の核ミサイルによる報復攻撃を実行する事になります。
そんなことはソ連側は望んでいないでしょうが、
「それでも彼らは何かをするつもりなのだ…。」

私はその週、働きづめに働きました。
幾晩かは、私はポール・ニッツェ国防長官の執務室のソファで眠りました。
キューバ危機の間、私は複数のタスクフォースに所属していました。
執行委員会、EXCOMM(国家安全保障会議)などです。

 

翌年になってから私はキューバ危機の際、何が起きていたのかを徹底的に調査しました。
すべての側面について、国家の最高機密以上の情報にもアクセスしました。
しかしキューバ危機について最も重要ないくかの事項は未解明のまま残りました。
それらは何十年もずっと答えが出ないまま今日まできました。

 

今思っているのは、当時私が考えいたのとは逆のことです。
今日の北朝鮮危機とは異なり、ケネディ大統領とニキータ・フルシチョフ・ソビエト連邦書記長は始めから武力衝突に発展させるつもりは全くなかった、それが結論だと思います。
双方とも絶対に武力紛争に踏み出すことはしないと決心していたのであれば、やっていたのはキングコングのように自分の胸をドラミングして、ただ単に相手を威嚇していただけなのだと考えられます。
それがキューバ・ミサイル危機の真相だったのです。

しかしその脅威に真実味を帯びさせるために、フルシチョフは、アメリカ側がソ連はまだ装備していないと思っていた核ミサイルを搭載した潜水艦を、アメリカ本土を攻撃可能な水域内を航行させていました。
ソ連側はいざとなれば海中に潜ませていた潜水艦を一気に海面まで浮上させ、核ミサイルを発射させる準備を進めていたにもかかわらず、アメリカ海軍はその事実を把握できていませんでした。

 

一方、ケネディ大統領はまるで実戦訓練のように軍隊を動かしていました。
事実、危機が勃発する直前、アメリカ軍はキューバ侵攻の軍事演習を行っていました。
ただし演習時、キューバ侵攻演習とは言っていませんでした。
演習は『Ortsac』という作成名が付けられていましたが、フルシチョフはそれがカストロという名前のアルファベットを逆に並べたものであることをすぐに見破りました。
「子供の時分、よくそんな遊びをしたものだ。」

 

しかしアメリカは本気でキューバに侵入すると脅していました。
キューバ人が核兵器を戦争を抑止するための道具として手に入れようとすれば、アメリカはキューバに侵攻すると脅していました。
今日、金正恩に対し抑止力としての核兵器開発を諦めさせるために軍事侵攻を試みることは最良の選択とは言えません。
しかし当時、私たちはまさにそうしたやり方をしていたのです。

ホアン・ゴンサレス :
確かあなたは著作の中で…

 

ダニエル・エルズバーグ:
私が学んだもう一つのこと、それは『敵』の鼻先で実戦さながらの軍事演習を行うことは非常に危険な行為だということです。
私たちは今説明したような軍事演習をやったがために、世界全部を破壊してしまうほどの戦争が始まってしまう直前まで行ってしまいました。

 

ソ連側の核兵器を搭載した潜水艦もそうです。この潜水艦は2人の指揮官によって操船されていましたが、彼らは急浮上して核ミサイルを発射するための前段階として、実際に海中深く潜行し待機状態に入っていました。
サビツキー司令官は核ミサイルをいつでも発射できるように準備させる一方、海上のアメリカ軍の駆逐艦や巡洋艦に対しいつでも攻撃できるように準備行動を命じました。
こうした一連の命令はもう一人の指揮官の同意が必要でしたが、その2人目も彼に同意しました。
こうして彼らはいつでも攻撃を始められる準備を整えました。

しかしこの海域には複数のソ連の潜水艦が潜んでおり、そこに艦隊司令官がいたことが起きるはずの現実を別のものにしました。
アメリカに対し核弾頭を装備した巡航ミサイルを発射するためには艦隊司令官の同意も必要でした。

そして艦隊司令官は否定しました。
その男性、ワシリー・アルヒーポフ司令官のおかげで、アメリカ海軍の巡洋艦が吹き飛ばされることもなく、アメリカ本土に核ミサイルが着弾することもなく、ケネディ大統領がすでに公表していたソ連への全面的な核攻撃をはじめる必要もありませんでした。
今日私たちがこうしてこの場に居られるのは、アルヒーポフ司令官のおかげでもあるのです。

 

《5》に続く
https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he

米国の核戦争実施計画、その立案者が告発する!《3》

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『我々は核兵器を持っている、持っているのになぜそれを使ってはいけないのだ?』と会議で3回繰り返したトランプ

大統領だけでなく、その下の司令官もその下の大差も中佐も、いつでも核兵器戦争を始めることが出来る

 

デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ホアン・ゴンザレス :

ダン・エルスバーグさんに改めて確認します、あなたが明らかにしたのはアメリカが核兵器による先制攻撃を行う結果、巨大規模の大虐殺によって死ぬ人間の数は、米軍統合参謀本部の予想の倍の数になるという事ですか。

そして私たちが信じているように、核戦争を始める発射装置を手にする、あるいはボタンに手を触れることが出来るのはアメリカ大統領だけだというのは間違いであり、実際には核戦争が始まるきっかけを作る機会を持っているという事ですね。

そうした状況について説明していただくことは可能ですか?

 

ダニエル・エルスバーグ:

まず最初に確認したいことがあります。

たとえそれが大統領であったとしても、この地上の誰も、どんな人間であっても、自らの意思で100倍の規模のホロコーストの可能性を作りだす、そしてもちろん実行する能力など持つべきではありません。

そしてそのようなシステムや装置は存在すべきではありません。

しかし現実にそれは存在しており、歴代のすべてのアメリカ大統領がその力を手にし、現在のトランプ大統領もその力を持っているのです。

 

しかし最近の大統領の権限に関する議論をみていると、大統領の絶対的権限ばかりが強調され、その権限は実は他に委譲できるのだという事実が考慮されていません。

トランプ大統領は核兵器による攻撃を命令する権限を他に委譲できるのです。

歴代の大統領すべてが攻撃を命令する権限を他に委譲できたのです。

私は冷戦以降、トランプ大統領が何をしてきた人物なのか詳細な知識はありません。

冷戦時代を通してずっと、カーターやレーガン大統領の時代に至るまでずっと、もし国内の通信が遮断された場合には核兵器を管理している指揮官に攻撃を開始する権限を委譲してきました。

それは、大統領が正式な承認された命令として認識される秩序を発する唯一の権限を持つ唯一の存在であるという考え方は全く間違っているということです。

この事実が意味することは明白です。

核兵器による攻撃を開始することについては、アメリカ大統領1人だけが絶対的権限を持っているという認識は間違っているということ課のです。

 

核兵器の発射ボタンに手を伸ばすことが出来る人間はいったい何人いるのでしょうか?

おそらく歴代の中でその実態を詳細に把握していた大統領はひとりもいなかったと思います。

例を挙げると、1961年私は太平洋軍総司令官(CINCPAC)のハリー・D・フェルト将軍の下で研究者として働いていましたが、司令官は第7艦隊の複数の指揮官に核兵器の発射ボタンの管理を委譲していたことを知っていましたし、さらにこれらの指揮官はさらにその部下たちに管理を任せていました。

もし通信手段が経たれた場合、核兵器の発射ボタンを押すことが出来る人間は当時どれだけいたのか、詳細は解っていません。

 

そして現在、通信の精度は飛躍的に上がっていますが、核兵器を発射できる地位にいる人間がどれだけいるのか、その詳細が不明なのは今も変わりません。

そして私たちは、敵が大統領や軍司令官その他の指揮命令系統を攻撃することによりアメリカが報復攻撃が出来ないようにする、その可能性を作りだすことは決して許されませんでした。

一方、ソビエト連邦の方は権限の所在を曖昧にはしていませんでした。

カーター大統領もその後任のレーガン大統領も、表向きは核兵器攻撃は飽くまで敵側の中枢部分、すなわちモスクワだけを攻撃目標としていると公表していました。

これはアメリカよりも小規模な軍事力しか持たないフランスと英国の対ソ連軍事計画と同内容のものでした。

しかし当時すでにソ連側が『デッド・ハンド』(死者の影響力)と呼んでいたシステムが存在することが知られていました。これはモスクワが破壊された場合には他の指揮官が権力を掌握し、核兵器による報復攻撃を開始できるようにするものでした。

 

こうした手続きはコンピュータによってすべて自動化されており、ハーマン・カーンやスタンリー・キューブリックがその著作や映画作品で描き出した通りの『地球を終末に向かわせる装置』(ドゥームズデイ・マシーン)に描かれていた通り、一定の規模の軍隊もいつでも命令を受領できるようになっています。

しかし一般的には、どの国ももっと下の指揮官クラス、大佐級、中佐級の指揮官が核兵器の発射権限に関与する可能性が高くなっています。

『来るべき時が来た。我々は指揮官を失ってしまった。もはや我々が決断するしかない…」

北朝鮮ではこうした状況にあることがほぼ確実です。

エイミー・グッドマン:

エルスバーグさん、トランプ大統領の次のエピソードはどう思われますか?

トランプ大統領が統合参謀本部のスタッフとの会議で

『我々は核兵器を持っているのだとしたら、なぜそれを使ってはいけないのだ?』

という発言を3回も行なったと伝えられています。

これに対しレックス・ティラーソン国務長官は、本人は発言したことを否定も肯定もしていませんが、

「F—ing moron」(ばか者、軽度知的障害者を指す差別語)

と言ったという報道が行なわれました。

 

ダニエル・エルスバーグ:

その話ですが、ジョー・スカーボロー氏その他の人びとの証言によれば、トランプ大統領は1年前の大統領選挙期間中からそうした趣旨の発言をしていたようです。

そしてもちろん、トランプは核兵器を使うつもりだと思います。
そして彼は今、まさに核兵器を使う意思を持っています。

今やトランプが核兵器を使用するつもりかどうかということはぎもんでもなんでもありません。

それは実際に発砲するつもりかどうか曖昧なまま誰か敵対する相手に銃口を向けるのと同じようなやり方で、トランプは今核兵器を使おうとしています。

現在この瞬間もトランプと北朝鮮のキム・ジョンウンは偶発事故的に発生した衝突で核兵器を使う危険性があります。

これは私が後になって確認した事ですが、そうした危険性は歴代大統領の時代にもありました。

ほとんどは秘密にされていますが、実際に敵に向け核兵器の照準をセットしてきました。

解っているだけで24回以上、恐らくは36回以上です。その事実を暴露した著作が数冊あります。

ダニエル・エルスバーグ:

その話ですが、ジョー・スカーボロー氏その他の人びとの証言によれば、トランプ大統領は1年前の大統領選挙期間中からそうした趣旨の発言をしていたようです。

そしてもちろん、トランプは核兵器を使うつもりだと思います。
そして彼は今、まさに核兵器を使う意思を持っています。

今やトランプが核兵器を使用するつもりかどうかということはぎもんでもなんでもありません。

それは実際に発砲するつもりかどうか曖昧なまま誰か敵対する相手に銃口を向けるのと同じようなやり方で、トランプは今核兵器を使おうとしています。

現在この瞬間もトランプと北朝鮮のキム・ジョンウンは偶発事故的に発生した衝突で核兵器を使う危険性があります。

 

これは私が後になって確認した事ですが、そうした危険性はこれまでの歴代大統領の時代にもありました。

ほとんどは秘密にされていますが、実際に敵に向け核兵器の照準をセットしたことが度々あったのです。

解っているだけで24回以上、恐らくは36回以上です。その事実を暴露した著作が数冊あります。

それ以外の時にはNATO軍でも同じですが、これ見よがしに核兵器の存在を見せびらかしてきました。

米軍指揮官の一人は次のように証言しています。

「ああ、毎日我々は何らかの形で核兵器をいじってるよ。毎日、毎時間…」

これは本当の話です、いつでも核兵器を使えるようにしているのです。

そしてたった今もこれらの人間たちは、まさに狂っている人間の見本ともいうべき2人の人物によって、いつでも核兵器を使えるように待機させられているのです。

これはきわめて危険です。

私はトランプもキム・ジョンウンも狂人のふりをしているだけであることを願っています。

しかしその際に核兵器を手にしているのは危険です。

これはどちらかが怖がって負けを認めるまで行う、危険な度胸試しです。

しかも使われている道具は核兵器なのです。

 

《4》に続く

https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

ここまで読むと、核兵器というものが「持っただけで人間を狂わせる」という指摘が実感としてよく解ります。

そして管理という点でも多くの問題を抱えていることも。

日本の政治家の中には簡単に核兵器の装備を主張する人間がいますが、原発すらズブズブの管理をしかできないのに、日本が核兵器を持ってしまったらどれほどの国家規模の危険を抱え込むことになるのか、洞察力が欠けているとしか言いようがありません。

米国の核戦争実施計画、その立案者が告発する!《2》

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ソ連と中国に25,000発の核ミサイルを先制攻撃する、それがアメリカの『核兵器戦略』の中身

ソ連と中国で3億2,500万人、ヨーロッパで2億人、日本を含むアジアで6億人、それがアメリカの『核兵器戦略』の『予定犠牲者数』

600万人を虐殺したナチスドイツのホロコースト、その100倍の規模の大虐殺を実際に計画していた米国の『核兵器戦略』

 

デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

ダニエル・エルスバーグ :

アイゼンハワー大統領時代の核戦争実施計画の中身を知っている人間はほとんどいなかった、そのことにははっきりした理由がありました。

彼らは狂っていました。

計画を作った人間たちはアイゼンハワー大統領の命令による先制攻撃計画の実施を求めていました。

アイゼンハワー大統領はいかなる場合であっても、ソビエト連邦との間の限定戦争に関する計画は一切望んでいませんでした。

なぜならソビエト連邦との間で限定戦争だけを想定した場合、膨大な数の陸軍師団の増設や戦術的核兵器の大量配備すら軍が要求してくることは目に見えていたからです。

 

そこで彼はソビエト連邦との武力衝突について、あらゆる可能性を検討させました。当時西ベルリンへの地上の補給路として東ドイツ国内に残されていたベルリン回廊での衝突、東西両陣営の勢力が接するイランの国土、そしてユーゴスラビア。

もしたとえば東ドイツで戦争が始まった場合、アイゼンハワー大統領が全面戦争の指揮をとらなければならなくなる可能性について検討させました。

そしてソビエト連邦が初期の段階では核兵器を使用しなかったとしても、全面戦争が引き金となって核兵器戦争が始まるかどうかも検討させました。

 

こうして作成された戦争計画は、アメリカ側が先制攻撃を行う前提で作り上げられました。

そしてソビエト連邦と中華人民共和国のすべての都市を破壊することが必要だとさたのです。

ソビエト連邦と全面戦争になれば、中国との間でも全面戦争になる事態は避けることが出来ないため、中ソ両国の主だった都市すべて - その数は実に25,000という数字ですが - に対し核兵器による先制攻撃を行わなければならないと、この計画書には書かれていました。

このきちがいじみた先制攻撃は、記憶が正しければ、一切の事前通告なしに行われる予定でした。

準備が完了し次第、直ちに攻撃が行なわれることになっていました。

それはまるで膨大な量の核熱爆弾の大行進でした。

ソビエト連邦全土に、そしてソ連以外の場所にも大量に降り注ぐことになっていました。

衛星国、すなわちワルシャワ条約機構の加盟国に対しては、防空網、すべての都市、重要輸送拠点、あらゆる種類の通信網などが攻撃対象とされていました。

そうである以上、東ヨーロッパも全滅を免れることは不可能だったのです。

私は実際にこの計画書を見たとき、アメリカ軍の統合参謀本部がこの攻撃によっていったいどれだけの人間を殺すことになるのか、冷静に計算したとはとても信じられませんでした。

 

事実、この計画の作成に携わったスタッフであり私の友人でもあったアメリカ空軍の大佐達は、この攻撃によって発生する犠牲者の数については想定した数字を見たことがないと私に語りました。

私たちは核兵器を使って攻撃する目標の数、必要な航空機の数、そして関連するあらゆる種類の物を正確に把握しており、繰り返し様々な試算を行っていました。

しかしその中に何人の人間が殺されることになるのか、その計算結果はありませんでした。

そこで私はマックジョウジ・バンディ、ボブ・ケーマーの2人の補佐官に協力してもらい、ケネディ大統領の名で統合参謀本部に対する質問状を起草しました。

質問内容は次のようなものでした。

 

計画書にある第一次先制攻撃を実行に移した場合、どれだけの人間が殺されることになるのか?

 

まず、私はソ連と中国の2カ国に限って試算するように依頼しました。

当時私はこれだけの計算をするのは、相当困難な作業だと考えたからです。

統合参謀本部からも当惑したように次のような回答が来ました。

「答えを出すにはもっと時間が必要である。この問題について我々はこれまで検討をしたことが無い。」

 

しかし私は間違っていました。

そして空軍将校だった私の友人たちも同様でした。

実際には統合参謀本部からは迅速な回答がありました。

「3億2,500万人。ソビエト連邦と中華人民共和国2か国併せて、3億2,500万人が死ぬことになる。」

 

私はさらに質問を重ねました。

「関連死の数は予測できるか?」

数日後、再び統合参謀本部から回答がありました。
東ヨーロッパのソ連の衛星国で1億人、そして西側同盟国ではアメリカが撃ち込んだ25,000発の核兵器が撒き散らす放射性物質によって1億人、風向きによっても結果が違ってくるが周辺諸国でも多数の犠牲者が出る。

中立国であるはずのオーストリアやフィンランド、そして東側諸国と国境を接するアフガニスタン、日本、インド北部などでは合計6億人が死亡することになるだろう…

ところで、当時の世界の人口は30億人でした。

そしてアメリカ軍統合参謀本部のこれらの試算は犠牲者の数を過小評価していることが後に明らかになりました。

600万人を殺害したとされるナチスドイツのホロコースト…

実際にはそれがちょうど100回繰り返されたよりも多くの人間が殺されることが分かったのです。

 

もっと多くの犠牲者がカウントされていなかったことがはっきりとわかりました。

私はひとつの質問をし忘れていました。

すなわち、ソビエト連邦の報復攻撃によるアメリカ人と西側社会の犠牲者について尋ねることを失念していました。

当時、ソビエト連邦はアメリカ本土を攻撃できる核兵器を数百基装備していると考えられていましたが、これは誤りでした。

ソ連はそのほか、西ヨーロッパに対しても数百基、核兵器を装備していたのです。

いったん核戦争が始まれば、どう計算しても西ヨーロッパ諸国が攻撃を免れることは不可能でした。

当時アメリカは西ドイツを含む西ヨーロッパの防衛を行っていましたが、戦争が始まれば彼らを守るために、ヨーロッパ大陸を全滅させる計画を持っていたのです。

 

6億人、それは100回分のホロコーストです。

そして私がこの統合参謀本部の回答書を手にして呆然としていた時、彼らは恥じる様子も無く、いやそれどころか誇らしげに大統領にこう伝えたのです。

「ここに私たちがすべきことです。」

しかし私はこう思いました。

「これはこれまで存在していた中で、最悪の軍事計画です。こんなもの、狂っている!」

これらは架空の話ではなく、アメリカの軍が実際に計画したものなのです。

同僚でもあったハーマン・カーン氏は後にランド研究所を設立しましたが、これら核兵器による攻撃システムが『地球を終わりに向かわせる装置』であることを認めていました。

 

繰り返しますが、これは作り話ではありません。

地球を終わりに向かわせるための大量の核兵器はすでに存在しており、私自身多数の兵器の存在をこの目で確認していました。

 

《3》に続く

https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he

米国の核戦争実施計画、その立案者が告発する!《1》

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アメリカにベトナム戦争からの撤退を決意させたのは、軍戦略担当者の内部告発だった

アメリカの核戦争実施計画、それは人類の戦争史上最悪のものだった

デモクラシー・ナウ 2017年12月5日

 

私たち人類は今、アメリカ大統領のトランプと北朝鮮の金正日(キム・ジョンウン)総書記が本気で核戦争を始めるつもりなのかどうか、深刻な懸念を抱かざるを得ない状況にあります。

そこで今日は過去アメリカ軍の核戦争の実施計画の作成に携わり、後にベトナム戦争の真実について告発を行ったダニエル・エルスバーグ氏と討論を行う事にしました。

1971年、エルスバーグ氏はベトナムへの米国の関わりについて真実を最高機密文書をニューヨークタイムズなどのメディアに告発公開したことで知られる高位の防衛アナリストです。

後にこの文書はペンタゴン・ペーパーとして有名になりました。

エルスバーグ氏の告発はベトナム戦争を終結させるために重要な役割を果たしました。

 

しかしエルスバーグ氏がペンタゴン(米国国防総省)とホワイトハウスにおいて核戦争プランを立案する立場の特別顧問であったことを知る人はほとんどいません。

12月初旬に発行された彼の新しい著作の題名は次の通りです。

『地球を終末に向かわせる装置 : 核兵器の戦争計画立案者の告白』

今日はエルスバーグ氏が担当していたアメリカ合衆国の核兵器戦争計画の最高機密、キューバのミサイル危機が発生した当時に最前線でこの問題と対応した時の様子、トランプ大統領は核兵器を使うつもりなのか、そして告発者として世界的に有名になったエドワード・スノーデン氏やチェルシー・マニング氏を現代の英雄と呼ぶべきなのかどうかについて、一緒に議論をしていきたいと思います。

 

ホアン・ゴンザレス

北朝鮮は、アメリカ側の行動が朝鮮半島で偶発的に核戦争が始まる危機にさらしていると警告しています。

この警告は米国と韓国が12月初めに多数の艦船を展開し、核兵器を搭載可能なアメリカの軍用機200機以上、数千人の兵士を動員して大規模な合同演習を始めたことに対して行われたものです。

そして北朝鮮外務省はトランプ大統領を「核兵器を弄ぶ悪魔」と名指しで避難する声明を発表しました。

 

今年、北朝鮮は米国と韓国が朝鮮半島における合同演習を行なわないのであれば、核兵器の開発計画を放棄する用意があるとの見解を明らかにしていました。

しかしトランプ政権はこの提案を一蹴しました。

北朝鮮とアメリカの間の緊張が高まっている今日、私たちはアメリカ政府で核戦争の計画作成に実際ら関わっていたエルスバーグ氏を交え時間をかけて議論する場を設けました。

エルスバーグ氏はすでに世界で最も重要な内部告発者行った人物として有名ですが、実は違う事でも有名です。

ダニエル・エルスバーグ氏は1971年最高位の軍事アナリストを務めていた当時、ベトナム戦争における米国の関与の歴史を詳しく解説した秘密の報告書を公開しました。

どう見てもアメリカ側に分の悪い戦争であるにもかかわらず、戦場に送りこまれる兵士の数を劇的に増加させたり、北ベトナムへの空爆の量や規模を一方的にエスカレートされているという事実を明らかにしたのです。

彼は機密文書7,000ページの文書をコピーし、ニューヨークタイムズやその他の公的メディアと情報を共有しました。

この報告書は後にペンタゴン・ペーパーとして知られるようになり、ベトナム戦争の終結に重要な役割を果たしたのです。

 

エイミー・グッドマン :

さらにその10年前の1961年、ダニエル・エルスバーグ氏はアメリカ国防総省(ペンタゴン)とホワイトハウスの高位の軍事コンサルタントとして、核戦争の実施計画を立案していたことはあまり知られていません。

エルスバーグ氏は今週発行されたばかりの『地球を終末に向かわせる装置 : 核兵器の戦争計画立案者の告白』と題された著書は、過去に同氏を有名にしたペンタゴン・ペーパーに続き、アメリカ政府の核兵器戦略に関する最高機密を完全に網羅したものです。

エルスバーグ氏は2003年にペンタゴン・ペーパーを公開した際も、ベトナム戦争に関する内部告発を行った際も、核兵器に関する問題には触れていませんでした。

アカデミー賞受賞が予想されているドキュメンタリー映画「アメリカで最も危険な男」のモデルにもなっている人物です。

今回のエルスバーグ氏の告白はペンタゴン論文についての映画の制作を行っているスティーブン・スピルバーグ監督の、新たな映画の主題のひとつになるかもしれません。

それでは数十年前、アメリカ政府の核兵器の実施計画の作成に関わったエルスバーグ氏とともに、この数年間に一体何が起きていたのか、検証を進めることにしましょう。

エルスバーグさん、有名になったペンタゴン・ペーパーをコピーする以前に今回明らかにされた核兵器の実施計画の最高機密文書のコピーを作っていたという事ですか?

 

ダニエル・エルスバーグ:その通りです。

 

エイミー・グッドマン :

すでに報道各社にも明らかにされましたか?

 

ダニエル・エルスバーグ:いいえ、全部については公開していません。

抜粋などについては明らかにしたものもありますが、その際も最高機密である計画の一字一句を忠実に再現したものではありません。

飽くまで要約というべきものだけです。

私が始めてこの問題について報告を行ったのは1961年、ジョン・F・ケネディ大統領の任期です。

私はケネディ大統領の補佐官、マックジョージ・バンディにアイゼンハワー大統領時代に初めて制作された核兵器戦争の実施計画と問題点について説明しましたが、彼はかなりショックを受けた様子でした。

そして他の大統領がそうしてきたように、ケネディ大統領もその計画を最新のものに改めるという選択を行ったのです。

そして私はアイゼンハワー大統領時代の核戦争実施計画を時代に合わせて一新する仕事を与えられました。

アイゼンハワー計画を更新することは、実際のところ、そうですね当時としてさほど難しいものではありませんでした。

計画そのものは人類の戦争史における最悪のものだったと思います。

当時の文官でこの計画の中身を目にした人間はほとんどいません。

事実、当時の戦略空軍司令官のジョージ・ルメイ将軍が核攻撃目標をどの場所に設定しているのか、その中身まで知っている統合参謀本部関係者はほとんどいなかったのです。

 

《2》に続く

https://www.democracynow.org/2017/12/6/doomsday_machine_daniel_ellsberg_reveals_he

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今日から数回に分けて、アメリカの核兵器戦略に関わった重要人物、一般にはベトナム戦争にアメリカが危険な程深入りしていることを世界に向け内部告発した人物して有名なダニエル・エルスバーグ氏に関する討論をご紹介します。

長文のため核兵器の戦争計画、そのショッキングなまでに危険な内容が明らかにされるのは第2回以降の掲載でご紹介することになりますが、その恐ろしさは私たち素人の想像を絶するものです。

ICANに関わった人々がノーベル平和賞を受賞したことにより改めて核兵器の問題に世界の注目が集まっている今、ぜひこの長文の告発を一人でも多くの方にお読みいただきたいと思っています。

【 アベノミクスの5年間を検証する 】

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上昇した経済成長率、上がらなかった給与所得、上昇しなかったインフレ率

アベノミクスは最も重要な目標を達成していません

 

エコノミスト 2017年11月16日

東京の飯田橋にある皇居の北側にある居酒屋チェーン『鳥貴族』には連日仕事帰りの若いサラリーマンや女性たちが集り、比較的低額な予算で焼き鳥とお酒を楽しんでいます。

客たちは註文の際、賃金の上昇が続き人材難に陥っているウェイターの代わりに、店内各所に設置された注文用のターミナル機器のタッチスクリーンを操作しています。

先月同社は、地元産の鶏肉を材料にした焼き鳥2串の価格を従来の298円から6%以上値上げせざるを得なくなりました。

これは同社にとって28年間で初めての値上げになりました。
焼き鳥の店頭価格は一般的にはマクロ経済の指標とはみなされません。

 

しかし、鳥貴族の決定は、安倍晋三首相の名前を冠する日本経済を復活させる政策「アベノミクス」の根底にある論理を実証するものです。

彼の経済戦略は、大規模な金融緩和政策を積極的に進めることにより、子女の支出と投資を活性化させることを目的としていました。

それによって雇用が創出され、賃金を押し上げることになるだろう。

賃金の上昇は、次に物価を押し上げることになるだろう。

その成果は20年間ほとんど途絶えることなく続いてきたデフレーションを終息させ、2%の新しいインフレ目標の達成することによって証明されるだろう…

安倍首相の手法は権力の座に就く以前に形を成していました。

5年前の2012年11月16日、安部氏の前任者である民主党政権の野田氏は日本の議会を解散し、安倍氏の選挙戦での勝利を確実なものにしました。

すぐに市場は反応し為替相場では円が下がり始め、株式市場は安部氏の勝利がもたらす拡大政策を見越して上昇を始めました。

そしてさらに2013年4月に日本銀行総裁に黒田晴彦氏が就任し、金融緩和政策を最大規模に拡大し、大規模な債券購入を始めた時点でこうした期待は一線を越えることになりました。

5年後、日本の通貨は2012年11月と比べ約30%安くなり、日経平均の株価指数は150%以上上昇したのです。

 

こうした政策は経済に人為的に仕組まれた刺激を与えてきました。

日本のGDPは今や7四半期連続で上昇しており、16年間途絶えることなく経済成長を実現するという最長の経済成長を記録することになりました。

インフレによる調整を行なわない名目GDPの拡大は、さらに際立っています。

2017年第3四半期までのこの5年間の経済成長率は11%を超えており、これまでの20年間で最も速い成長率になっています(下図を参照)。

中でも輸出はその増加の大きな原動力になりました。

円安のおかげで、日本の商品に費やされる1ドルは円に換算してこれまで以上の価値のものが手に入るようになりました。

これまでの5年間、民間設備投資も積極的に進み18%以上、一定価格では約15%増加しています。

例えば、鳥貴族は、2017年8月から2018年9月までに80店舗を新規出店する予定です。
アベノミクスは政策の支持者が期待していたよりも多くの雇用を創出しています。

日本の就労年齢人口が400万以上も縮小した事を勘案しても、雇用は過去5年間で270万以上増加しました。その結果、失業率は3%を下回り、日本は1人の求職者に対して1.5以上の求人倍率を実現しました。

 

こうした進展にもかかわらずアベノミクスは最も重要な目標を達成していません。

すなわち2%のインフレ率の達成です。

生鮮食品を除く消費者物価指数は今年に入り、9月までにわずか0.7%上昇しただけでした。

ここからエネルギー価格の上昇分を差し引くと、インフレ率はさらに低い数値になります。

インフレ率の上昇が進まないのはなぜなのでしょうか?

そもそも重要なことなのでしょうか?

理由のひとつが、労働者の賃金が期待どおり速やかに上昇していないということによるものです。

焼き鳥店のウェイターなど、定着率が低く雇用保障が低い職種の賃金の上昇はかなり著しいものです。

 

一方で日本の賃金水準の大勢を決する「中間層」の労働者にはこの状況は当てはまりません。
日本の終身雇用の労働者は会社側が容易に解雇することはできず、労働者の側も途中で退職すれば社会的地位を著しく損なうリスクが発生します。

その結果、労働者不足になっても過剰になっても、労働者の会社に対する交渉力が強化されたり、逆に低下したりという事はありません。

こうして一般的労働者の賃金は、普通の暮らしを続けるために必要な生活費に対し、多くも無く少なくもなくという状態に固定される場合がほとんどです。

安倍首相の下でのチームは、日本銀行が約束したより高いインフレ率が達成されることを期待し、労働者の賃金水準がもっと高いものになって「前向きな」消費行動に移ることを期待していました。

しかし思惑と現実は逆であり、実際の労働者の賃金は低迷するインフレ率の影響を大きく受けています。

政府は現実をはるかに上回る賃金の上昇を期待していたことが、後に明らかになりました。

 

賃金がなかなか上昇しないもうひとつの原因は、もう少し楽観的なものです。

日本はもっと別の労働力の供給市場が存在することに気がつきました。

多数の女性と高齢者が労働市場に誘引されています。

また、昨年は外国人労働者が初めて100万人を超えました。

例えば鳥貴族では、多くのベトナム人労働者が働いています。

 

さらに日本の企業各社は労働コストが上昇した場合、それをそのまま製品価格に転嫁するのではなく、生産性を上げてコスト上昇分を吸収する方法を見つけました。

各企業は鳥貴族で使われているタッチスクリーン端末などの省力技術に投資してきました。

短観(企業短期経済観測調査)によれば、特に深刻な労働力不足に直面している中小企業はこうしたソフトウェア開発への投資を2018年3月末までの1年間に22%以上増加させる計画です。

一方でインフレ率が上昇しない、すなわち物価が高騰しないという事は日本の一般消費者にとっては良いことであり、なぜ政府がわざわざすべてのものの値段を引きあげようとしているのか疑問を持つこともあるでしょう。

鳥貴族の長期間にわたり価格を据え置いてきた末にやむを得ずの値上げですら、チェーンの厳しい顧客の一部からは批判されています。

しかし11月のとある月曜日の夕方、飯田橋の店内にいたお客さんたちの感情はもっと寛容なものでした。一組の学生は、以前の一皿280円という価格を維持するのは不可能だと感じていました。

逆に無理な低価格を続けて、店が無くなってしまうことの方を心配していました。

 

こうした学生たちの心配は、デフレと戦う上でもうひとつの大きな障害となっている日本全体が抱える悲観的な不安感を象徴しているかもしれません。

すなわち、日本の人びとは物価が上がって生活が圧迫されることも心配していますが、デフレが続いて経済停滞からの脱出が出来ない事も心配なのです。

 

https://www.economist.com/news/finance-and-economics/21731419-growth-has-picked-up-not-inflation-what-five-years-abenomics-has-and-has?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

立憲主義を踏みにじる国家元首を弾劾しよう!

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所要時間 約 7分

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憲法違反でトランプを弾劾する運動、アメリカ全土の都市に拡大

法の支配に従おうとしない大統領に対し、国民が自らの手で憲法と民主主義を守ろうとしている

デモクラシー・ナウ 2001年12月1日

ゲスト : ジョン・ボニファス
憲法弁護士およびフリー・スピーチ・フォア・ピープル(人々のための自由な発言)の共同設立者

 

2017年11月、6人の民主党議員がトランプ大統領に対し司法妨害その他の法令違反を犯したとして、大統領弾劾の訴追勧告に署名しました。

これは民主党のサポーターのトム・スターヤー氏が10月に署名運動を開始した弾劾嘆願書に基づくもので、現段階で300万人分の署名が集まっています。

記録に基づけば全米の少なくとも17の市町村がコミュニティが現在、トランプに対する弾劾訴訟を呼びかけています。

 

11月27日火曜日、マサチューセッツ州の町ウェストンは、トランプの憲法違反を犯しているかどうかを下院が審査するよう認める市民の請願を提出した自治体の列に加わりました。

今日はフリー・スピーチ・フォア・ピープル(人々のための自由な発言)の共同設立者兼ディレクターである憲法弁護士ジョン・ボニファス氏のお話をうかがいます。
エイミー・グッドマン:それではドナルド・トランプ大統領を弾劾しようとする努力についての最新情報をお送りします。

今年11月、6人の民主党議員が、トランプ大統領に対し司法妨害その他の法令違反を犯したとして、大統領弾劾の訴追勧告に署名しました。

そこで今日はフリー・スピーチ・フォア・ピープル(人々のための自由な発言)の共同設立者兼ディレクターである憲法弁護士ジョン・ボニファス氏をお招きしてこの問題について検討することにしました。

デモクラシーナウへようこそ!今、いったい何が起きているのですか?

 

ジョン・ボニファス:

現在、一般市民のレベルで重要な動きが勢いを増しています。

先ほどあなたが言われた通り、下院の中で大統領弾劾のための手続きを開始した議員たちが現れました。

そして今、全米の17の市町村がトランプ大統領に反対する弾劾手続きを進めるように求める決議を行いました。

そして私たちが組織した『いますぐトランプ大統領を弾劾する.org』のメンバーを含む数百万人のアメリカ人が、トランプの弾劾を求める請願書に続々と署名を続けています。

法による支配をトランプが踏みにじり続けていることによりアメリカの立憲主義が危機に陥っている状況を見て、憲法と民主主義を守るため人々が立ち上がり行動を始めたことにより、運動が前に進んでいます。

エイミー・グッドマン:

なぜ弾劾するのでしょうか?

ジョン・ボニファス :

弾劾権は無法な大統領を罷免するため、憲法の定めの下私たち国民が持っている正当な権利です。

大統領または側近などが連邦刑事法の違反を犯したかどうか、特任弁護士であるミューラー氏が刑事犯罪捜査という事も視野に入れながら現在手続きを進めています。

 

さらにはこの調査と並行して進めなければならない別の問題があります。

それは大統領弾劾捜査です。

すなわち大統領自身が権力を濫用しているのではないか、国民から得ている信頼をまるで違う方向に乱用しているのではないか、という問題です。

そしてさらには報酬の不正利得や合衆国憲法が定めている腐敗防止条項の違反の疑いも新たに生じています。

ひとつはトランプ大統領は大統領執務室を国家の財産を使って自らの事業に有利な計らいを行っている疑いがあり、これは大統領が守るべき正義を犯すものです。

もうひとつはこれまで聞いたことも無い犯罪、すなわちロシア政府と共謀し先の大統領選挙において陰謀を行った疑いに対し、権力を乱用して真実を明らかにする取り組みを妨害している疑いです。

 

さらにリストは続きます。

もしこうした疑いが事実なら、この大統領は法の下で責任を取らなければならず、そのためには弾劾手続きを進めなければなりません。

 

エイミー・グッドマン:最後にマサチューセッツ州ウェストンについてうかがいます。

何が起きたのでしょうか?

ジョン・ボニファス :

マサチューセッツ州ウェストンは町議会で、これまでご説明した弾劾手続きを進めるよう求める決議を行った一団の市町村に加わりました。

しかし今もっとも大切なのは、私たち国民が、法の支配に従おうとしない大統領に対し立ち上がり、自らの手で憲法と民主主義を守ろうとしている事なのです。

 

https://www.democracynow.org/2017/12/1/cities_across_the_us_join_movement

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

今回の日本の衆議院議員選挙の結果を見てつくづく感じたことは、日本国内からだけでは日本は変えられないという事でした。

度々ご紹介しているオリバー・ストーン監督の『近代アメリカ史」でも、日本のことは『アメリカの衛星国』だと表現しています。

イギリスもフランスも、世界認識の中でアメリカの衛星国という事はありません。

ドイツは東西に分裂していた頃は、西ドイツに多少衛星国的色合いがあったかもしれませんが、統一ドイツの今はそういわれることはないはずです。

 

基本的人権、民主主義にこだわったオバマ政権の下ですらアメリカの対日政策、特に政情のコントロールについてはアメリカの負の部分をできれば日本に肩代わりさせようというものでした。

それが今やアメリカ国民の半数から愛想を尽かされ、日本に対しては『もっと米国製兵器を買い入れろ』と迫る大統領が現職です。

 

今朝の朝刊の一面には、母子家庭を含めた生活保護費が削られるという見出しが出ていました。

日本の首相はアメリカ大統領に『喜んでアメリカ製の高額な武器に日本の税金を投入します!』と答えました。

私たち社会の公正さを守るためには、アメリカの動きにも無関心ではいられません。

 

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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