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安倍首相に日本国憲法を改定できるだけの国民の負託はあるか?!《後編》

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所要時間 約 7分

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安倍首相には社会の下の方で暮らしている人々の面倒をもっとちゃんと見てほしい

首相の権力が強くなりすぎて周囲にはイエスマンしかいなくなる。そんなことでこれからの日本は大丈夫なのか?

 

モトコ・リッチ/ ニューヨークタイムズ 2018年9月20日

公共放送のNHKが今月実施した世論調査では、今年秋に憲法改定法案が国会に提出された場合、憲法改定を支持する人はわずか18%に過ぎないことが明らかになりました
全体の3分の1がこの秋の国会にそのような議案を提出する必要はないと回答し、約40%はわからないと答えています。

 

安倍氏が自民党総裁として第3期の任期まで手に入れたことは、その政治的地位が劇的に転換したことの証です。
2006年から2007年まで第一次安倍内閣では不祥事が相次ぎ、選挙では致命的な敗北を喫するなど散々な結果に終わりました。

2012年に再び首相の座に返り咲くと、安倍氏はアベノミクスと名づけた経済政策の下で低金利政策と財政出動(主にインフラ整備)政策を推進し、経済再生に焦点を当てました。

 

二度目の安倍内閣の下で、自民党は衆参両議会における支配力を強固なものにしました。

「2012年に首相の座に返り咲く以前、安倍氏は成熟したスキルを身につけていました。」
京都大学で国際政治を専攻する中西寛教授がこう語りました。
「安倍首相の権力基盤は経済にあると考えられます。」

しかし減少と高齢化が同時に進行する人口問題、国家的経済規模の2倍以上にまで膨らんでしまった財政赤字ということを考えると、そしてもし世界規模の貿易戦争が拡大激化する方向に向かうことになれば、安倍首相の意のままになる分野は極めて限られたものになるはずです。

 

「ここから先には懸念材料がたくさんあります。そして安倍首相はすでにアベノミクスを通じて、広げられるだけ手を広げてきました。」
元衆議院議員で早稲田大学社会科学部教授中澤幹子氏がこう語りました。
「安倍首相はすでに使えるものはすべて使い切ったはずです。」

 

これまで日本の一般市民は安倍氏の経済政策の恩恵を受けてきたと必ずしも感じていません。

「何も変わりませんでした。」
東京に隣接する埼玉県在住の養護老人ホームの管理人、石森美輪さん(46)がこう語りました。
「少なくとも給料は上がりませんでした。私は安倍さんには社会の下の方で暮らしている人々の面倒をもっとちゃんと見てほしいと思っています。」

安倍首相はその経済計画の一環として多くの女性を職場に進出させ、女性たちが「輝く」社会を作り出すことの重要性を訴えてきたはずでした。
しかし批評家たちはその遅々として進まない進捗状況を指摘しました。
世界経済フォーラムのグローバル・ジェンダー平等性ランキングで、日本は144カ国中114位というのが現実です。

 

この事実についてワシントンにある外交問題評議会の日本専門家であるシーラ・A・スミス氏は次のように語りました。
「社会における女性の役割についての疑問に関し、安倍政権は私が思っていたよりもはるかに社会保守主義的傾向にあると思われます。」

 

野党の力が極端に弱い日本で安倍氏の政権運営が長期に及ぶことについては、安倍氏とその与党があまりにも多くの力を持ちすぎるという懸念が生じています。

「これだけ長く首相の座に留まり続けたら、もう誰も「いいえ」と言えなくなる状況に陥ってしまうのではないでしょうか?それが心配です。」
東京都内の歌舞伎劇場で助手を務める岩崎紀子(46)さんがこう語りました。
「首相の権力が強くなりすぎて、周りにはイエスマンしかいなくなる。そんなことで大丈夫なのでしょうか?」

しかし国際情勢が混沌とする中、国内的には政権が転覆するよりはましだとする意見もあります。
東京都内のデパートの生鮮食品売り場に勤務する天野進(57)さんがこう語りました。
「私たちの生活はそれほど素晴らしいとは言えませんが、悪いという程でもありません。」
「あまり急激に変わっても困りますから。」

 

[完]
https://www.nytimes.com/2018/09/20/world/asia/japan-shinzo-abe-election
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これから3年安倍政権が続いて本当に日本は「変わらない」のでしょうか?
心ある人々が懸念しているのは、その逆なのではないでしょうか?
平和憲法の下での日本は、ベトナム戦争のときもアメリカにどれほど圧力をかけられても『派兵』だけはできませんでした。
おかげで日本はベトナムの地で太平洋戦争で犯した過ちを繰り返すというリスクを回避することができたはずなのです。

 

戦場は人間の感覚を狂わせてしまいます。
ベトナムの地ではアメリカ軍はもちろん同盟各国の兵士たちも精神を壊し、現地で残虐な行為をするのみならず、狂気と荒廃を母国に持ち帰ることになってしまいました。
ベトナム、イラク、アフガニスタン…アメリカは大規模な海外派兵を重ねていくにつれ軍産複合体が影響力を強めていく一方で、心を壊し、結果的に人生まで壊してしまう人間の数が増え続けていったはずなのです。

 

戦争そのものに崇高さなどありません。
ドキュメンタリーではありませんが、『プライベート・ライアン』『バンド・オブ・ブラザース』『シンドラーのリスト』等々、繰り返し描かれてきたのは極限状態に置かれた人間同士が最後まで心を通い合わせる『人間としての崇高さ』であって、戦争そのものは野蛮で残酷で、しかも愚劣きわまりない行為です。

 

それを美化する人間を首相として据え置くことの危険きわまりなさを、自衛隊は正義軍となった以上徴兵は当然だと言い出しかねない状況を作り出すことの危険さを私は憂えています。

安倍首相に日本国憲法改定の負託はあるか?!《前編》

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自ら膨らませた財政赤字、追い詰められる国民生活、トランブ政権からの強力な圧力 - 得点の無いアベ政治
多方面に影響が及んだ森友・加計スキャンダル、成長しない日本経済、性差別…混迷する日本の社会と経済

 

モトコ・リッチ/ ニューヨークタイムズ 2018年9月20日

安倍晋三首相は9月19日、自民党総裁選挙で勝利を収めたことにより念願の日本の政治史上最長の首相になる可能性が現実のものとなったと同時に、宿願である平和主義憲法の改定に向けた意欲をたくましくしています。

 

安倍首相は相次いだ自分と関係のある政治的スキャンダル、停滞しままの労働者の賃金、そして特に北朝鮮の核開発問題に関すして明らかになったトランプ大統領に対する影響力の低下などいくつものマイナス要因を抱えながら、一人だけの対立候補に勝利しました。

この勝利により自由民主党総裁としての新たな3年の任期が63歳の安倍氏に与えられ、自動的に首相としての留任が保証されます。
2012年12月に選出されてから7年後の2019年11月まで在職していれば、20世紀初頭の明治時代に首相としての長寿記録を作った桂太郎を上回ることになります。

 

しかし安倍首相は幾つもの困難な課題を抱えこんでいます。
増え続ける国家的債務、気候変動に起因するとみられる自然災害の脅威の増大、急速に高齢化が進む社会、2020年の東京オリンピックなど見渡せば数かぎりない課題に直面しています。

安倍氏は自民党総裁の就任演説でこう語りました。
「みなさんと協力して、子どもたちの世代が希望と誇りを持てるような日本を引き継ぐため、全力を尽くしたいと思います。」

政治アナリストたちは安倍氏が安定した立場を利用して強い政治力を発揮できる背景にあるのは、それ以前めまぐるしく首相が交代することに日本国民が疲れてしまっていたという事情だと分析しています。

 

第二次世界大戦以降、日本の総理大臣の平均在任期間は約2年です。
一方の安倍氏は来年末までに首相に留まっていれば、第一次安倍内閣時代を含め在任期間が約8年の桂太郎を超えることになります。

 

安倍氏に批判的な人々は、多方面に影響が及んだスキャンダルや経済成長の低迷、あるいは長年約束してきた性差別撤廃のための対応に失敗するなど、事態がもつれてしまっていることに失望しています。

 

しかし今回対立候補として立候補した元防衛大臣の石破茂氏は、方針変更を正当化するだけの十分な支持を集めることはできませんでした

ワシントンにある外交問題評議会の日本専門家であるシーラ・A・スミス氏は、次のように語りました。
「日本の人々は安倍首相の3選を必ずしも手放しでは喜んでいないでしょうが、それじゃあ誰だったらもっとうまくやれるのか?答えを知っている人はいないと思います。」
「それが自民党内であろうと日本の有権者全体の話であろうと、トランプ政権の問題を別にしても目下日本が直面している全ての課題を考えれば、今はみんながリスクを回避することを優先すべきだと考えているのだと思います。」

 

トランプとの親密な関係構築を絶え間なく続けてきた安倍氏は、ニューヨークで開催される国連総会への出席の機会をとらえトランプとの首脳会談を行う予定です。
安倍首相は日本製の自動車関連製品に輸入関税を課すと脅かすトランプ政権の声明を受け、日米の二国間貿易交渉を受け入れるよう圧力を受ける可能性もあります。

トランプは大統領に就任してわずか1週間のうちに包括的貿易交渉であるTPP(環太平洋パートナーシップ)からの米国の離脱を決めましたが、安倍首相はアメリカを再び交渉に参加させるべく日本を率いてきており、二国間貿易交渉を諦めさせるためには合理的説明を求められることになるでしょう。

国内では、戦後アメリカによって占領されていた1947年に制定された日本国憲法の戦争放棄を宣言する条文の改定に着手しようとした段階で最大の試練に見舞われるでしょう。

安倍首相は自民党総裁選で3選を果たした際、「皆さんと一緒に憲法改正を進めたい」と述べました。
彼の祖父である岸信介元首相も平和憲法の平和主義条項の改定に取り組みましたが、失敗しました。
それゆえ、憲法の改定は安倍首相の最大の宿願となっています。

 

しかし事情に詳しい人々は、いかなる内容であっても憲法を改定するためには議会だけでなく一般国民の幅広い支持が必要であり、安倍首相は無視できないリスクに直面することになるだろうと見ています。

 

慶応大学で国際政治を専攻する細谷裕一教授が次のように語りました。

「もし国民投票で支持を得られなければ、憲法改正は安倍首相にとって自殺行為になるでしょう。」

 

《後編に続く》
https://www.nytimes.com/2018/09/20/world/asia/japan-shinzo-abe-election

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アベ3選の先に何があるか?

あってはならないのは私たちの生活の根本的転換、質的転換です。

憲法の改定は私たち戦後日本の社会と経済を大きく変えてしまう可能性、否、危険性があります。

 

今の日本社会は変わるべきなのか?

現代の世界事情と齟齬があるとしたら、それはどの点なのか?

『厳しさを増す安全保障環境』とは具体的に何を指すもので、現状のままでは状況はどのように変化する可能性があるか…

等々、憲法を変えるというのであれば、こうした問題について綿密で丁寧な議論が必要です。

 

それが「自衛隊は一生懸命やっているのに今のままではかわいそうだから、憲法に自衛隊は日本の正規軍だと明記しましょう。」

などというのは議論でもなんでもありません。

議論というのはそういうものではありません。

民主主義国家の首相の発言とは到底思えません。

 

 

アベさん、経済再生の公約を反古にして改憲に走ったら、地獄を見ますよ…

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経済再生の公約をかなぐり捨てて改憲に向かうことは、日本の将来にとって最悪の選択
憲法改定より経済改革をまず達成しなければ、無駄に長く政権にとどまった人物として歴史に名を残す

 

エコノミスト 2018年9月20日

前任者までは日本の首相はすべて短命に終わってきましたが、安倍晋三氏は前任者の5人と比べるとはるかに長い期間首相を務めています。
今週は自民党総裁に3期連続での勝利をやすやすと手にしました。
昨年行われた衆議院議員会選挙での自民党の圧勝を考えると、安倍氏は2021年まで首相を続けることは確実な状況です。

 

彼が新に手にした任期を全うすると、彼は1885年に日本の内閣制度が創設されて以降最長の任期を務めた首相ということになります。

彼の下で衆議院選挙では3度、参議院議員選挙では2度の勝利を手にしました。
連立与党の議席を合わせると、安倍首相は国会の3分の2以上を手中にしています。
最も印象的と言って良いのは、自民党の体質的弱点ともいうべき派閥争いを許さなかったことでしょう。

 

自らが関係する様々なスキャンダルが明るみに出たにもかかわらず、自分自身が3期目の首相を務めることができるように党則の変更を仕組んだため、権力をしっかりと手中にしています。

安倍氏は3選を果たしました。

安倍氏はかつて無いほど強いこの権力を、経済政策を完成させるために利用すべきです。
代わりに日本の平和主義憲法を改定することに目の色を変えれば、泥沼に足を取られ身動きできなくなるでしょう。

 

安倍首相の長期政権はそれなりに日本に貢献し、政策立案の一貫性を可能にしました。
何十年もの長期間不況に在った日本のGDPは、ゆっくりとですが成長しています。
インフレ率は低いままですが、、安倍氏の在任期間の大部分において経済動向については少なくともポジティブであったと言うことができます。

 

そのパフォーマンスによって得られたものを見る限り、安倍氏の政権運営は1980年代以降最もうまくいったものの一つです。
それを実現させたものは大規模な財政出動と最大限の金融緩和政策であり、この2つが安倍政権の経済政策のすべてでした。

的を外れた『3本の矢』

 

安倍氏の下で日本は世界紛争において軍事力の行使を想定した役割を演じようとしています。
安倍首相は日本の「自衛隊」をさらに強力なものに仕上げ、国連平和維持活動に参加すべく海外の紛争地帯に送り込みました。
そして9月中旬、中国の力で勢力範囲を拡大しようとする行動への広範な対抗措置の一環として、安倍政権は戦後初めて南シナ海に潜水艦を派遣することを承認しました。
そして同盟国が攻撃を受けた場合、これまではタブーとされてきた軍事的援護を可能にする安全保障関連法案を可決成立させました。

 

安倍首相はさらに常設の軍隊の保持を禁止する現在の憲法を修正し、すでに既成事実化している「自衛隊」の常設軍としての地位を法的に明快なものにしたいと考えています。
これは中国の軍事的台頭という点を考えると、まったく合理的な考えです。

 

しかし憲法の改定は言葉以上に日本では複雑な問題です。
それはそのまま戦前の軍国主義国家同様の侵略的海外政策のイメージにつながるためです。

安倍首相は第3期の在任期間のうちに比較的容易に国会議員と国会の同意を得て国民投票に持ち込み、憲法改定を実現できると考えているかもしれません。

 

その考えは間違っています。

 

安倍首相は外交分野において日本も米英のような武断的政策を実現できるようにしたいと意欲を燃やしているのかもしれませんが、日本に最も必要なのは「あたりまえの」経済です。

 

安倍首相がさんざん宣伝してきた政策 - アベノミクスは未完成です。
財政出動と大規模金融緩和、その最初の『2本の矢』は最も重要な第3の矢の政策、すなわち永続的な日本経済の成長を可能にするための本格的な構造改革に着手するまでの時間を稼ぐためものであったはずです。

 

確かにいくつか着手したものもあります。
安倍首相はTPP交渉の合意によって、これまで日本政府の手厚い保護のもとにあった日本の産業界を本格的国際競争の場に立たせるため12カ国の国が参加したTPP交渉を妥結させました。
ただしトランプのアメリカは安倍首相の説得にもかかわらず途中で手を引きました。

また年金支給開始年齢の引き上げや年金受給者の医療費負担額の増額などにも取り組むなど、多様な政策を実行することを公約しています。

安倍首相がまずしなければならないことは、こうした公約を現実のものにすることです。

 

さまざまな分野で、安倍首相の改革はあまりにも後手に回り続けています。

 

人口の減少が続く日本では、女性の社会進出を容易にしなければなりません。
しかし安倍首相は保育所の数を増やすことしかやっておらず、それすら満足なものではありません。

安倍首相は日本の一般市民に移民政策が日本経済に貢献しうるという説得さえしようとはしませんでした。
代わりにひそかに訓練生としての短期滞在労働を認めはしたものの、それではせっかく日本語を学んでも長く滞在することはできません。

 

一方、労働市場は過度な規制が敷かれたままです。
労働者は一旦雇い入れると解雇することが難しく、税法上も既婚女性がフルタイムで働くことは不利なままです。

 

とどのつまり安倍政権は日本の労働者と同じく、長期政権でありそれなりのスキルがあるにもかかわらず、生産性は不十分です。

安倍首相はその政治力を本来向けるべき方向に向けるべきです。

 

経済改革は憲法改定よりも優先すべき事項です。

それは日本が中国に対等に渡り合っていくためには今以上の経済力が必要であるということだけが理由ではありません。

 

さもなければ安倍氏は長期政権を実現させた首相としてではなく、大切な時間を無駄に費やしただけの人間として歴史に名を残すことになるでしょう。

 

https://www.economist.com/leaders/2018/09/22/japans-prime-minister-is-more-of-a-survivor-than-a-reformer

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これまで訳した記事を見る限り、日本が採るべき経済政策に関するエコノミストの主張は一貫しています。

完全自由化と合理化です。

しかしそれには大きな痛みが伴い、生活の基盤を脅かされてしまうという人々も少なくないでしょう。

それを国民を追い詰めることなく、いかに日本経済と世界経済の潮流との整合性を取っていくかというのが善政のはずです。

 

ところが安倍首相の本音は改憲一本槍であり、経済政策はそこに国民の支持をつなぎとめるための表看板にすぎません。

そのために安倍政権の経済政策は他人任せでおざなりです。

張り切って『財政出動』するのは決まって国政選挙の後であり、『大型景気対策』と銘打ったその中身は選挙で自分たちに票を入れた支持層に対する税金を使ったバラまきです。

 

これで日本経済の本当の改革が実現できるはずもありません。

現に私たちの生活は所得税に住民税、健康保険料に介護保険料に厚生年金、どんどん重くなるばかりです。

その先に合理的な解があるのならまだ我慢もできますが、皆さんはアベ政治の先に多くの一般市民が納得できる合理的な日本があるとお考えですか?

アベ3選「憲法改定は政府および国会が最優先すべき課題ではない」

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安倍首相に憲法改定を実現させられるだけの信任は無い
憲法の改定より経済再生と人口減少対策、それが有権者が考える日本が優先して取り組むべき課題

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年9月20日

安倍晋三(安倍晋三)首相が自民党総裁に大差で再選され、史上最も長い任期の首相として平和主義憲法を改定する目標に進むと見られます。

安倍首相は自民党総裁選の投票総数807票のうち553票を獲得しましたが、これにより首相就任職の継続が保証されることになり、何かと異論が多い自衛隊の名称を持つ日本軍の法的地位を強化するための計画を推進するものと見られています。

 

投票前夜、安倍首相は自民党議員と党員の集会で
「新しい国づくり」を決意したと語り、
「若い世代に誇りを持てる希望のある日本を引き継ぐことを約束する」と述べました。

 

安倍首相は戦後自衛隊に課されていた様々な制約を緩和することに政治的キャリアを費やしてきた保守派として知られますが、今回の総裁選では最大のライバルである石破茂元防衛大臣に大差をつけて再選されました。
石破氏は憲法改定をするための十分な時間が確保されていないとの懸念を表明していました。

9月20日の安倍首相の勝利は事実上、首相としての任期をさらに3年延長します。
もし2019年11月時点でまだ首相に就任していれば、1900年代初めに通算3期2,886日間に渡って首相を務めた桂太郎を追い越すことになります。

 

2度にわたる不当便宜供与のスキャンダルから逃げきった安倍首相は、2006年後半に発足した第一次安倍内閣では激動の年を過ごしました。
しかし2012年12月に首相の座に再び着いてからは、選挙で自民党が負けたことはありません。

 

安倍首相は当初掲げていた憲法第9条の戦争を放棄する条項の包括的な改定計画をいつの間にか放棄し、現行憲法では認められていない自衛隊の合法性を憲法に明記する改定を主張しています。
彼はまた日本が侵略戦争を戦うのを禁じる条項は維持し続けると語っています。

第2次世界大戦に敗戦した後、日本を占領していた米国によって起草されたとされる現行の憲法第9条は、戦争を放棄し、国際紛争の解決手段として軍隊を使用することを禁じています。

しかし安倍首相は3年前、自衛隊の防衛に関わる定義を変更する安全保障関連法案を成立させ、集団的自衛権の行使を可能にしました。
理論的にはたとえ自国の領土が脅かされなくても、日本軍は攻撃を受けている同盟国を援助するため軍事行動を起こすことができるということです。

 

憲法を改定するためには衆参両議院で3分の2の賛成票を必要とし、国民投票で過半数の賛成票を必要とします。

しかし軍事を拡大するためのいかなる動きも、特に戦後の平和主義に強い愛着を持つ比較的年齢の高い有権者の間で安倍首相に対する支持を損なう可能性があります。

NHKが2018年初頭に行った世論調査によれば、回答者の31%が安倍氏の提案に賛成、23%は反対、40%はわからないと回答しています。

 

安倍首相の憲法改定案は、20世紀前半の日本の軍国主義の犠牲者でもあった韓国と中国両政府との関係に影響を与えることにもなります。

有権者のほとんどは憲法の改定より経済と人口減少の方が日本が優先して取り組むべき問題だと考えていると、アナリストは指摘しています。

 

「憲法の改定は政府および国会が最優先すべき課題とは見なされていません。」
ワシントンのテネオ・インテリジェンス(Teneo Intelligence)の日本問題の専門家であるトビアス・ハリス氏はこのように語り、憲法改定は安倍首相と自民党への反対投票を拡大させる可能性があるとつけ加えました。

 

https://www.theguardian.com/world/2018/sep/20/shinzo-abe-set-to-be-japans-longest-serving-pm-after-winning-party-vote

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安倍首相9年の任期が確定、と言うだけでも心が暗くなるのに、今度は日本の民放放送の団体が改憲に関する意見広告の量的規制をおこなわない、というニュースが伝わってきました。

日本には『良心』という言葉が消えてしまったのか?と思うほど心が暗澹としてきました。

 

この人間たちにこれ以上好き勝手を許せば、日本は再び第二次世界大戦以前の不公正・不平等・非民主的な闇社会に逆戻りしてしまいます。

いよいよ私たち自身が戦わなければならない時代の幕が開くことになりました。

SNSなどでの発信はもちろん、改憲を後押しする企業の製品・TVコマーシャルを多量に流す商品の不買など、私たちが私たちの未来のためにできることを考え行動しましょう。

トランプの貿易戦争・次のターゲットは?日本

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トランプ「日本がこれまで貯め込んだ貿易黒字を吐き出させてやる…」
「一体どれほどの金額をアメリカに支払わなければならないか、私が思い知らせてやる」

 

ドイチェ・ヴェレ 2018年9月7日

ドナルド・トランプ米大統領は引き続きアメリカの貿易赤字を減らすことに力を入れており、次の目標し日本である可能性があります。
トランプは日本政府に貯め込んだ貿易黒字を吐き出させたいと周囲に語っていると米国の新聞が伝えました。

 

中国、EU、カナダ、そしてメキシコ、トランプは多方面で貿易戦争を戦っていますが、米国のビジネス紙ウォール・ストリート・ジャーナルは次の戦いの相手として日本が浮上してきていると伝えました。

9月7日のウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された編集補佐のジェイムズ・フリーマン氏のコラムは、トランプは2017年の日本の688億ドルの対米貿易黒字について、今年も目立った「改善」が得られる見込みがないことを「問題」視しています。

 

フリーマン氏は大統領と直接会談した際、同氏が米国経済に対して肯定的なコメントを寄せたことに感謝の意向を伝えた際、アメリカがアジア諸国と概ね「良好な関係」を維持していることを評価しました。

「しかしもちろん、彼らが一体どれほどの金額をアメリカに支払わなければならないか私が思い知らせてやれば、そんな関係はすぐに終わってしまうだろう。」
トランブの発言をフリーマン氏はこのように伝えました。

このニュースを受け市場では主要な同盟国を相手にアメリカの貿易赤字額を減らそうとする取り組みの中で、トランプが世界第3位の経済規模を持つ日本に狙いを定めたとの推測が広がり、ニューヨーク取引市場の午後の相場で日本の通貨は直ちに反応しました。

これまで数多くの会談を行ったり共にゴルフをしたりと日本の安倍首相との間には親密な関係が築かれていると周囲を思わせてきただけに、トランプの発言は周囲は少なからず驚かせることになりました。

 

▽ 中国は引き続き主要目標である

 

日本に対するアメリカの貿易赤字額は依然として大きなものですが、5年前の733億ドルと比較すると多少減っています。
2018年7月末までの時点では、さらに約400億ドルまで減少しました。

 

これに対し、米国の対中国貿易赤字額は今年7月に368億ドルとなり、過去最高の10%の増加を記録しました。
欧州連合(EU)に対する貿易赤字額も、前月比50%増の176億ドルに達しました。

 

トランプは米国大統領に就任以来ずっと中国に照準を合わせ続けており、中国政府に政策の変更を迫り、より多くのアメリカ製品の輸入、そして年間3,350億ドルの対米貿易黒字を削減するよう圧力を強めてきました。

アメリカ政府は9月7日に期限切れとなった2,000億ドルに達する懲罰的関税に代わり、中国に対する一連の新たな経済制裁措置を準備していると見られます。
これは年間約5,000億ドルにのぼる中国からの輸入品のうちね2,500億ドルを対象としたものになると見られています。

これに対し中国商務省はすでに報復措置を行うことを公表、その中には米国から輸入品に600億ドルの関税をかける措置が含まれています。
これまでのところ、中国は米国が行う制裁関税に対し1ドルごとに同じ1ドルの割合で報復してきましたが、米国からの輸入総額は年間2,000億ドル以下のため、トランプが行っている制裁措置に対していずれ報復の余地がなくなることになります。

 

▽ 企業経営者たちの怒り

 

しかしアメリカの企業各社は、トランプが行っている貿易戦争に懸念を深めており、関税の報復合戦から手を引くよう求めています。

 

米国の技術系企業であるシスコ、デル、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、ジュニパーネットワークスは9月7日、主要製品が中国政府の新たな懲罰的関税のリストに含まれるのを防ぐため、トランプ政権に対し政にぎりぎりの段階で要望書を提出しました。

4社はトランプと米国通商代表部(USTR)のロバート・ライトヒャー(Robert Lighthizer)に宛てた共同書簡で、ネットワーク機器に高額の関税が課されることになれば、小売価格引き上げにつながり、消費行動を鈍らせる結果につながると主張しています。

 

書簡には
「米国通商代表部が10%から25%の追加関税を課すことになれば、米国企業や労働者、顧客、米国の消費者はもちろん、米国の経済的・戦略的優先事項にまで悪鋭影響が幅広く、歪んだ形で及んでしまうことになります。」
と書かれています。

高額な関税の対象となる製品のリストには、クラウド・コンピューティング・データセンターに必要な多数のコンポーネント、完成製品が含まれています。
関税が課されればすぐにデータ処理と通信を処理するサーバー、ルーター、スイッチの価格上昇につながることになります。
打撃を受けると予想される他のコンポーネントには、米国の大手ハードウェアメーカーとGoogle、Amazon、Facebookなどのクラウドコンピューティング企業が輸入しているマザーボードとメモリー・モジュールがあります。

 

これら米国企業の共同声明は、米国の伝統産業の大企業が取り組んできたアプローチから逸脱するものです。
これらの企業ではこれまでは自分たちの事業に懸念を持ちつつも、トランプ政権の貿易政策についてはっきりと反対の意思を明らかする経営者はほとんどいませんでしたる

しかし先進的企業の経営者たちによる今回の声明は、そうした姿勢にはっきりと距離を置くものになりました。

 

https://www.dw.com/en/next-stop-in-trumps-trade-crusade-japan/a-45392469

気候変動による主要作物の栄養成分の変化、数億の人類が栄養欠乏の危険にさらされる!

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二酸化炭素濃度の上昇は地球規模で重要な作物の栄養価に重大な脅威をもたらす

気候変動による作物の栄養素の減少は『現在すでに緊急事態』である栄養不良・栄養失調の問題をさらに深刻なものにする

 

チャーリー・シールド / ドイチェ・ヴェレ 2018年8月27日

二酸化炭素濃度の上昇は地球規模で重要な作物の栄養価に重大な脅威をもたらす…

 

新たな研究結果が公表され、こうした作物によってやっと生きている世界で最も貧しい数千万から数億人の人々にとって、それは壊滅的なものになる可能性があるという結果が示されました。

新たな研究では大気中の二酸化炭素のレベルの上昇により数億人の人々が栄養欠乏の危険にさらされる可能性があり、開発途上国の健康の未来について深刻な疑問が生じています。

 

ハーヴァード大学公衆衛生学部のT.H.チャン氏の研究グループは8月27日に発行された気候変動ジャーナルに掲載した論文の中で、気候変動の広がりが人間が日常的に摂取している栄養成分にどのような影響を及ぼすか、その脅威の程度について詳細な報告を行いました。
今後数十年間に炭素排出量が劇的に減少しなければ、これから地球上の1億7,500万人が亜鉛欠乏症を起こし、2050年までには1億2,200万人が生きるために必要なタンパク質の摂取ができなくなる可能性があると推定しています。

 

これに加え出産適齢期の14億人の女性と5歳未満の児童が鉄分摂取量の4%を失い、貧血状態に陥る危険性があります。

注意すべき作物の栄養成分の変化

 

さらにこの調査は、水不足、気温上昇、二酸化炭素レベルの上昇などの気候変動が野菜、豆類、米などの栄養成分を変化させ、品質と収穫量に影響を与えていることを表す調査結果を報告する文献が増え続けていることを指摘しています。

現在世界の二酸化炭素(CO2)レベルは400ppmを少し上回っている状態です。

 

もし将来CO2レベルが550ppmに達した場合、その環境下で作物を栽培すると現在の作物に比べ、タンパク質、鉄、亜鉛の濃度は3~17%低下してしまうことになります。

気候学者は今すぐCO2排出量の削減に取り組まなければ、その濃度は2100年までに1200ppm以上に上昇する可能性があると予測しています。

 

世界最貧地域で生きるリスク

 

様々な分野でテーマごとの研究が行われているにもかかわらず、それらを総合し地球規模で人類全体の健康にどのような影響が及ぶのかというテーマについての研究はほとんど行われていません。

このハーヴァード大学の研究グループは世界の151カ国における低栄養摂取による健康への影響を評価するGENuS(Global Expanded Nutrient Supply - 世界全体の規模の栄養供給)のデータベースを使用して、米、小麦、ジャガイモなどの主食となる作物の栄養素が減少することにより、最もダメージを受ける可能性のある地域についても検証しました。

 

その結果についてハーヴァード大学プラネタリー医療保険組合の責任者であり、今回の研究の共同責任者であるサミュエル・メイヤー氏はドイチェ・ヴェレの取材に対し、次のように答えました。
「気候変動による他の様々な問題の最大の被害者と同様、『最貧国』の人々が最も大きな影響を受けるでしょう。」
「栄養素欠乏症の限界に近づいている人々、そして必要なミネラルや特定の栄養素についてかなりの部分をこれらの主食作物に依存している人々にとって、今回の発見は極めて重要です。」

 

米と小麦のような主要作物は世界中の30億人以上の人々にとって大切な食糧源です。
多様な食事を用意できない貧しい国々の多くの人々が、カロリー摂取のほとんどをこうしたこれらの主食穀物をに依存しています。
これらの『食物の多様性が低い』鉄や亜鉛やタンパク質の豊富な『動物性タンパク摂取の機会がほとんどない』人々こそ、作物の栄養不足によってもつとも深刻な被害を受けることになります。

そして最大の被害を受けると予想される国は、21世紀半ばまでに亜鉛が不足している人口が5,000万人、タンパク質欠乏症が3,800万人、鉄欠乏症に陥っている女性や子供が502万人になると推定されているインドです。

 

▽ 世界的に栄養失調が「極度に悪化する」

 

現在すでに地球上の20億人が栄養不足に陥っています。
これとは別に必要十分な栄養価のある食事ができていない人々が約8億1,500万人、新鮮な野菜の摂取量が十分でないことにより死亡する人が毎年150万人に上っています。

ドイチェ・ヴェレの取材に応じたワシントン大学で世界規模の健康問題について研究しているクリスティー・エビ教授がこう語りましまた。
「このまま何もしなければ、気候変動による作物の栄養素の減少は『現在すでに緊急事態』である栄養不良・栄養失調の問題をさらに深刻なものにする恐れがあります。

 

エビ教授はさらに鉄分の不足が鉄欠乏性貧血を引き起こし、「心不全や発達障害などの重篤な合併症を子供たちに引き起こす可能性があります。」と述べています。
そして亜鉛の欠乏は「食欲減退と嗅覚の喪失につながり、ケガや傷が治りにくくなり、さらには免疫機能の障害」につながる可能性が高くなります。
「亜鉛は人間の成長と発達を支える重要な微量栄養素であり、妊娠中の女性の健康維持と子どもの成長には食事による十分な摂取が重要になります。」

▽ 世界全体の問題

 

しかし主要な作物の栄養不足の影響を受けるのは発展途上国だけではありません。
この調査の結果は、世界中の保険衛生と食料の必要な量と質の確保にはっきりと悪影響を与えるものです。
エビ教授は、地球温暖化による作物の品質の低下は『人間すべてに悪影響を与える可能性』を持っています。

肉、穀物、果物、野菜を含む多様な食事は、十分なビタミン、微量栄養素、およびタンパク質を摂取するために最低限必要な条件です。

しかしエビ教授は「それだけの質と量が確保された食生活は、すべての国の貧困人口に行き渡らない可能性があります。」と指摘しています。

 

地球温暖化による作物の品質の低下が先進国と発展途上国の両方の人々に悪影響を与える可能性があるにもかかわらず、ハーヴァード大学のマイアーズ氏は富裕国の国民と研究チームの今回の調査結果の間には「互いに関連する道徳的要素」があると語ります。
マイヤーズは、「私たちが家の中を暖かくする方法、何を食べるかという選択、移動手段、何を購入して消費するかという選択」が結果的に「食品の栄養量を減らし、他の場所で暮らす人々と将来の世代の健康に影響を与える」可能性があることを肝に銘じるべきだと語りました。

 

「アメリカや中国など大規模経済国家の行動が、世界で最も弱い立場の人々を危機的状況に追い込んでいることを理解する必要があります。」

 

https://www.dw.com/en/climate-change-threatens-crop-nutrition-puts-millions-at-risk/a-45245760

ハラハラしながらトランプの顔色をうかがうアベ・ジャパン《後編》懸念が深まる日米同盟の行方

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日本の軍事費を現在の倍以上に増額しようとしている与党自民党

日本の首相があれだけ媚びへつらっても、トランプは日本にどんな保証も与えはしなかった

 

エコノミスト 2018年9月6日

これまで日本とアメリカは様々な問題で小競り合いをしてきましたが、安全保障と貿易関係だけは別でした。
しかし今、トランプは経済問題で有利な条件を引き出す材料として安全保障問題を利用する準備が整ったようです。

 

日本政府当局者は現在、極めて強固だった軍事同盟をトランプ率いるアメリカがどのように貿易問題の取引材料として利用しているか、注意深く見守っています。

 

そして要求通りに軍事支出を増強しないNATOの加盟国に対してはアメリカは防衛の義務を放棄すると脅している手口についても注視しています。

トランプはアメリカ軍の韓国駐留経費についても不満が蓄積しています。
この点を見て日本政府関係は同様に日本国内の米軍基地の諸経費についても、トランプが同様の考えを持っているのかどうか測ろうとしています。
「NATO加盟国に起きたことは、遅かれ早かれ日本でも起きるでしょう。」
元駐米大使の加藤良三氏がこう語りました。

 

日米間の同盟関係が決裂するまで悪化すると見ている関係者はほとんどいません。
しかしトランプの予測不能な行動は、日本の政治指導者が独立した積極的な外交政策を展開する努力を強めるよう促しています。
その中には隣り合う巨大な存在との関係を修復することが含まれています。

昨年末に東南アジア・サミットの際に合わせ開催された安倍首相と習近平国家主席の首脳会談以降、世界第2位の中国と3位の日本との政府関係者同士の交流のテンポが高まっています。

10月には安倍首相が日本の首相として7年ぶりに中国の首都北京を訪問する予定になっています。

 

また北方領土をめぐる争いが続いているロシアとの関係を改善するため 9月10日、ウラジオストクで開催される経済フォーラムに参加する予定を立てています。
この間彼はロシアのプーチン大統領に加え、習近平国家主席と会談する可能性が取りざたされています。

 

安倍首相にとってアメリカの外交政策に関する最も大きな誤算は貿易分野におけるものでした。
安倍首相はトランプがアメリカはもはや環太平洋パートナーシップ(TPP)の一員ではないと宣言し、TPPから離脱してしまったことを無視してきました。
それでもなんとか安倍首相はアメリカを除く10カ国で貿易協定を締結するところまでこぎつけました。
安倍首相は加盟各国に対し協定の批准のスピードアップを促しています。

これとは別に7月には数年越しの厳しい交渉を経て、日本はEUと世界最大規模の相互自由貿易協定を締結しました。
安倍首相はトランプの保護貿易主義的指向に対抗する動きとして、これを歓迎しました。
さらに日本はもう一つの貿易協定であり、ASEAN加盟10カ国と他の複数の国が参加するアジア地域包括的経済連携に力を入れています。

 

しかし安全保障分野では日本は米国の傘下にとどまり続ける以外、現実的な選択肢は無いと考えています。
そして安倍首相は実際に、日本国憲法による制約があるものの海外の紛争地帯で日本の自衛隊がアメリカ軍と共同軍事行動ができるよう安全保障関連法案を成立させ、アメリカとの軍事同盟関係を強化しようとしています。

 

安倍首相は戦闘によって自衛隊員が犠牲になることは避けたいと思っています。
昨年平和維持活動に参加させるため自衛隊員を海外派遣した際は、隊員が殺害されたら辞任すると約束していました。

日本は他の軍事パートナーとの関係構築も行っています。
いわゆる Quadは日本、アメリカ、オーストラリア、インドの間で進展している安全保障パートナーシップであり、メンバー間の協力を強化すること急務であるとされています。
NATOや欧州各国、特にイギリスやフランスとも防衛協力の強化について話し合いを進めています。
先月イギリスは東南アジア地域における軍事協力を強化する一環として東南アジアに3隻の駆逐艦を派遣しました。

 

日本自身も防衛力を強化しようとしています。
8月には、米国のミサイル迎撃システムを装備した新型駆逐艦を投入しました。
そして2023年までに同じくミサイル迎撃システムの陸上版であるアメリカ製のイージス・アショアの導入が計画されています。
軍事アナリストによれば、北朝鮮に対して使用可能な空中発射巡航ミサイル、そして米国製のF-35戦闘機を追加購入も計画されています。

 

与党自民党は、NATOが設定した目標であるGDPの2%に相当する金額にまで軍事費を増加させたいとしています。
ただし、NATO各国の多くはこの『目標』を達成していません。
NATOの欧州メンバーの平均1.3%、アメリカの3.1%と比較すると、2017年に日本が軍事費に費やしたのはGDPの0.9%でした。

これらの取り組みは大統領になる前、アメリカが攻撃された場合日本は「家にいたままソニー製のテレビを見ている」可能性があると嘆いたトランプを喜ばせるに違いありません。

アメリカは長い間、日本に対しもっと軍事費を増額し、隊員が射殺される可能性がある場所に自衛隊員を派遣してはならないという日本国憲法による制約を放棄するよう、日本に迫ってきました。

 

しかし、トランプが大統領であり続ける限り、日本は現在のアメリカが信頼できる友人なのかどうか心配しなければならないでしょう。
元太平洋軍司令官のブレア氏が次のように語りました。
「かつて日米間にちょっとしたいさかいはありましたが、日米双方が同盟関係の改善に取り組み、充実した中身に仕上げる必要があることを常に理解していました。」

 

しかし現在の日米両国の政府関係者に、その理解が引き継がれているかどうかは分かりません。

 

[完]
https://www.economist.com/asia/2018/09/08/japan-is-worried-about-its-alliance-with-america

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中国の『軍事的台頭』について、中国の友人たち(一人は杭州市の病院長、一人は南京市の大学教授、一人は太原市の私立学校長)に尋ねたことがあります。

彼らは一様に顔をしかめ、快く思っていない、困ったものだという感想を漏らしました。

 

国内には、中国の軍備が膨張していく様子を見て、さあ大変だ日本は危ないぞと煽って回る連中がいます。

世界地図を見ればわかることですが、日本列島は中国の東側にフタをするように横たわっており、その結果中国としてはアメリカのシーレーンに対し、海軍力を強化することによって南シナ海において外洋との接続レーンを確保する路を見出したいというだけの話のように思えます。

尖閣で揉めるのは、そこに新たな不安定要因を持ち込ませたくないというあたりが本音かとも思います。

陸軍は対ロシア、対ベトナム、そして西方の少数民族に対する押さえというあたりがその本質ではないでしょうか。

 

ところが先ほどの国家主義者連中はまるで中国13億人が束になって攻め込んでくるかのように煽って回っています。

その結果を客観的に見れば、信じられないほど高額な武器を大量にトランプに売りつけられているだけ。

 

1930年代に現実以上に『敵の脅威』を煽ってまわった結果、日本人は1944年から45年にかけ、世界のどの国も体験しなかった地獄に突き落とされました。

21世紀に国境を越えた向こうにいる相手との諍いを軍事紛争にまで発展させてしまったら、それ以上の地獄が待っているはずです。

 

ユーゴスラビアの解体やシリアの内戦で、どれだけ多くの人間がどれほど悲惨な目にあったか、私たちはこの目で見てきました。

世界規模ではユーゴスラビア、シリアは『小国』扱いになるでしょうが、それでも起きたことの悲惨さはまさに戦慄すべきものでした。

もし日本と中国の間で武力紛争が起きれば、その何十倍、いや何百倍の凄惨な地獄が作り出されるに違いありません。

 

対外紛争の解決に『戦争』の二文字はない、私たち日本人はその前提があってこれまで70年間の繁栄と平和を可能にしてきました。

今ここで、それを大転換しなければならない積極的理由はありますか?

ハラハラしながらトランプの顔色をうかがうアベ・ジャパン《前編》懸念が深まる日米同盟の行方

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トランプはこれまでずっと東アジア地区において安倍首相の存在を無視する外交を展開し、最大の屈辱を与えてきた
自動車輸出にまで高額の関税をかけられてしまったら、アベ外交のぶざまさは忍耐の限度を超えてしまう

 

エコノミスト 2018年9月6日

広島からそう遠く無い場所にある岩国基地にある管制塔に登ると、海軍と言う言葉の日本式婉曲的表現である海上自衛隊とアメリカ海兵隊が共同所有する巨大施設を1峯することができます。
眼下にある滑走路からアメリカ海兵隊のF-35戦闘機が空に向かって舞い上がっていきます。
すぐ近くに見える格納庫にあるのは、最新鋭の水上機です。

 

これまでの10年間で岩国基地はみるみる大規模な施設になってきました。
アジア太平洋地区に展開する米空軍にとって最大拠点の1つであり、約5,000人の米軍兵士と一緒に約1,500人の日本人スタッフが働いています。

岩国基地は、日本国内にある米軍基地としては異例の日米両国が共同で使用する形をとっています。

 

岩国基地は日米間の安全保障関係がどのように強化されているかを表す存在である、この基地のアメリカ軍の最高幹部であるリチャード・フュスト大佐と日本側の最高幹部である森田義和大将が異口同音に語りました
岩国に配属されているアメリカ海兵隊員たちは、数年前と比べ自衛隊との共同訓練の頻度が高くなっていると語りました。

共同訓練が頻繁になっているのは日本国内の他の軍事拠点でも同様であり、戦闘パイロットはもちろん、サイバー攻撃を担当するデスクワークの自衛官・兵士もまた同じです。

かつての太平洋軍司令官で米国のシンクタンク・笹川平和財団のデニス・ブレア氏は、日米間の軍事的連携はこれまで以上に緊密になっていると語りました。

 

米軍による防衛協力をかつて無いほど必要だと考えている日本にとって、これは幸運なことです。

中国は現在もなお1930年代から1940年代にかけて日本が行った侵略行為に対する憤りを隠そうとせず、そのことが東シナ海の島々の領有権をめぐる紛争の一因となっています。

 

中国の軍事力は急速に増強されており、アジア地区における覇権国家としてアメリカに取って代わることを熱望しているようにも見えます。
一方、北朝鮮は日本全国のどこであっても核兵器攻撃ができる軍事力を持っています。

 

日本はロシアとの間では、第二次世界大戦を正式に終結されるための平和条約の調印を行っていません。
日本政府関係者は9月中旬に、シベリアでロシアと中国が大規模な軍事共同演習が行われることについて懸念を深めています。

さてその日米同盟ですが、ドナルド・トランプ大統領(冒頭の写真 : まるで使用人のような態度をとっている安倍首相の向かって右側の人物)一人のせいでこれまでにないほどのストレスにさらされています。
日本政府が心配しているのは、トランプ政権が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記と予告なく合意を形成し、米国の安全だけを確保し日本に対するミサイル攻撃の危険性が解消されないという事態です。

 

最近の北朝鮮の核開発問題をめぐる各国の首脳級の外交において、日本はほとんど蚊帳の外に置かれていると感じてきました。
事実、安倍首相の外交特別補佐を務める河井克行氏は、6月のシンガポールで開催されたトランプ・キム首脳会談について日本に警鐘を鳴らす出来事だったと語りました。
会談後、トランプ氏は韓国との合同軍事訓練の中止を発表し、朝鮮半島から米軍を撤収する考えを示しました。
「日本が新しい安全保障環境に入ったことは決定的となりました。」

 

この問題についてトランプはやりすぎだと考えている関係者はほとんどいませんが、同盟国に対するこれまでの米国の対応に常に疑問を呈し、日本の繁栄を許したのは世界経済秩序のあり方に問題があるというトランプの信念について、日米両国の関係者は憂慮していることを隠しません。
しかし彼らはまだ公然とその懸念を公のものにしたいとは思っていません。

例えば河野太郎外相は、安倍氏とトランプ氏の間の個人的な親密を指して、日米の同盟関係が「かつてないほど強いものになっている」と称賛しています。
そしてトランプがどの国の国家元首よりも日本の首相と多くの時間を共にしているとも語っています。

2月14日、トランプと安倍首相は北朝鮮問題を軸に電話で1時間以上会談しました。
河野氏はバレンタインデーでのこれだけ長い時間のチャットは、自分は妻とだってしたことがないと冗談交じりに語りました。

 

日本の一部の関係者は私的な見解だと断った上で、トランプがアメリカは同盟国を含む世界各国にいいとこ取りされてしまっている上、アメリカ軍が世界中に展開している現状にも憤慨していると解り、だいぶ狼狽したと語りました。
しかし日米関係に詳しい人間は、日本に駐留するの54,000人のアメリカ軍の任務は日本の防衛だけではなく、東アジア地区のアメリカの覇権を守るためであることをトランプが理解していないようだと語りました。

 

そして今、最も危険な暴風雨になろうとしているのが貿易問題です。
トランプ氏はアメリカの貿易赤字へのこだわりが強く、最大の相手国の一つが日本です。
2017年の対日貿易赤字は700億ドル近くに上りました(図表参照)。
トランプが望むのは農産物の輸入関税引き下げを日本に押しつけることです。

日本は目下抵抗しています。
日本側はトランプが貿易収支だけでなく、アメリカに対する日本への投資規模も検討材料とすべきだと主張しています。
日本企業はアメリカ国内で毎年380万台の自動車を生産していますが、その数は日本からアメリカへの輸出台数の2倍以上になります。

 

しかし、元太平洋軍司令官のブレア氏(バラク・オバマ大統領時代の国家情報機関長官)は、鉄鋼とアルミニウムの関税強化から日本が免除されなかったことは、次に来るはずの事態の「舞台稽古」のようなものだと語りました。
日本は中国とは異なり、トランプの世界の自由貿易体制に対する横暴に対しては耐え忍ぶだけで報復しないようにしています。
しかしもしアメリカが自動車に25%の関税を適用することになれば、本人も語っていますが安倍氏といえど何らかの対応をしないわけにはいかなくなるでしょう。

 

過去6年間で日本の対米自動車輸出は倍増し、400億ドルに達しています。
すでにトランプはこれまでずっと東アジア地区において安倍首相の存在を無視する外交を展開し、最大の屈辱を与えてきました。
その上自動車という重要な輸出品目にまで高額の関税をかけられることになったら、安倍首相のぶざまさは忍耐の限度を超えてしまうかもしれません。

 

《後編に続く》
https://www.economist.com/asia/2018/09/08/japan-is-worried-about-its-alliance-with-america

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このところ掲載記事の公開日時の設定に関して度々間違い、先に公開予定のまだ編集中のものが意図せず掲載されるミスを何度か繰り返しました。

ご覧の皆様にはご迷惑をおかけしていますが、ご容赦ください。

福島第一原発「放射線被曝による死亡」をやっと認めた日本

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肺がんにより死亡した福島第一原発の事故収束作業員の家族に補償金の支払命令

これまで放射線被ばくが原因の疾病発症を認められた作業員の数は4人、死者は初めて

ロイター/ ガーディアン 2018年9月5日

 

日本政府は、2011年の東日本大震災発生の際、地震と津波によって破壊された福島第一原発の事故収束作業に当たっていた作業員が、放射線被ばくによって死亡したことを初めて認めました。

 

2011年3月、マグニチュード9.0の地震によって発生した津波は約1万8,000人の命を奪うと同時に、東京電力福島第一原子力発電所において25年前に発生したチェルノブイリの原発事故以来、世界最悪となる原子力災害を引き起こしました。

 

そして今回、日本の厚生労働省は肺癌で死亡した50代の男性の家族に賠償金を支払うべきであるとの判断を下したと、同省の職員が明かしました。
この作業員はこれまで日本各地の原子力発電所で働いてきましたが、東京電力福島第一原子力発電所では2011年3月に原子炉がメルトダウンして以降、少なくとも2回働いていたことが確認されています。


この男性は2016年2月に癌と診断されたと政府関係者が語りました。

 

厚生労働省はこれまで福島第一原発で働いていた4人の労働者の病気の発症が放射線被ばくによるものであることを認定していますが、死亡したのはこの男性が初めてだとこの職員が語りました。

 

福島第一原発の原子炉のメルトダウンにより、周辺市町村で暮らしていた16万人以上の人々が自宅からの退去を余儀なくされました。
それ以降これまで数百から数千の人々が命を落とす羽目になりましたが、その原因は事故発生後の混乱しきった状況、原発難民としての苦しい生活、そして将来を見通せない生活からくる精神的ダメージであり、日本政府は放射線被ばくによる死者は出ていないと主張してきました。

現在東京電力に対しては、福島第一原発の事故が引き起こした数かぎりない深刻な問題について補償を求める訴訟が日本各地で起こされています。

 

https://www.theguardian.com/world/2018/sep/05/japan-admits-that-fukushima-worker-died-from-radiation

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北海道の大地震で大規模な地滑り[速報写真]

 

ガーディアン 2018年9月6日

北海道をマグニチュード6.7の地震が襲い、厚真町と札幌市を中心に大規模な地滑りが各所で発生しました。

上記の写真はいずれも厚真町内の大規模な地滑りの発生現場

上記2点は札幌市内の災害発性現場

札幌市内に設けられた携帯電話の充電ステーション

 

下記のオリシセなるサイトで大きな画像をご覧になることができます。

https://www.theguardian.com/world/gallery/2018/sep/06/earthquake-landslides-hokkaido-japan-in-pictures

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フェイスブックなどにお書きになっていらっしゃる方がいらっしゃいますが、農業生産高が1兆数千億の北海道がご覧の写真のような状況になっているにもかかわらず、安倍政権が決定した災害への対策金はたったの5億円。

これらの写真に掲載されている土砂を全部取り除くことすら出来ないかもしれません。

その事実は北海道地震の対策についてはうわべだけをつくろい、実質的には見捨てた、ということを自ら証明したことになるのでは無いでしょうか?

 

一方で安倍政権は4,000億円を超える米国製のミサイル防衛システムを買うこと(買わされる)の必要性については議論の余地など無い!という態度をとり続けています。

防衛省が次年度予算で購入するとしているF-35Aステルス戦闘機は1機150億円だと言われています。

 

安倍政権の下で生きなければならない私たちは肝に命じなければなりません。

 

現場に駆け付けてくれた消防、警察、自衛隊の人々は別にしても、大災害が起きても日本政府が本気で助けてくれることは無い。

所得税・住民税・消費税から介護保険料まで公的負担が一方的に増やされ続けているにもかかわらず、災害が起きたらその後のことは『自己責任』なのです。

そしてオリンピックや万博が開催される時は、イベントの盛り上がりを邪魔しないように被災者はただ黙って耐え忍んでいなければなりません。

 

日本国民である以上、これからは最先進国とはとても言えない理不尽な扱いを受ける覚悟が必要だということを、忘れないようにしてください。

 

北朝鮮は脅威!中国も脅威!何だって脅威!記録的金額の軍事予算を要求する安倍政権

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「中国の空軍力・海軍力も脅威」史上最大の軍事負担を国民に迫る安倍政権
180億円だったはずのミサイル防衛システムの導入費用、『トランプ・セールス』で4,200億円に暴騰

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年3月31日

日本の防衛省が北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応し、さらには東アジア地区における中国の空軍力の拡大、海洋活動の活発化と規模の拡大に対抗するためだとして記録的な軍事予算を要求しています。

今年後半に閣議決定の上議会で承認されれば、昨年と比較して2.1%増の5兆3千億円の予算が成立し、安倍首相の下で7年連続の軍事予算増額が現実になります。

 

8月末に公表されたこの防衛省の予算には4,200億円のミサイル防衛システムの導入費用が含まれていますが、昨年は180億円だったはずのものが急激に増えています。
その内の大部分の2,334億円は、北朝鮮が発射するミサイルを追尾・迎撃する米国製のイージス・アショア・ミサイル防衛システム2セットの購入に充てられる予定です。

日本の正規軍である自衛隊は米国と日本が共同開発した射程距離と精度が改善されたされたSM-3ブロックIIA迎撃艦載機の導入費用、この高度な迎撃機と協同作戦行動を可能にするための高性能のジェット戦闘機と駆逐艦の導入も要求しています。

 

今年6月のアメリカ大統領ドナルド・トランプと北朝鮮の金正恩(キム・ジョンイル)との首脳会談が実現し、緊張緩和への道筋が見えてきましたが、日本は北朝鮮政府に対する強硬姿勢を維持しなければならないと防衛当局は主張しています。

日本は年度ごとの防衛見直しの中で、防衛省は北朝鮮は2016年の初頭以来3回の核実験と40発の弾道ミサイル発射を行うなど「深刻で緊急性の高い脅威」という事実に変わりはないとしています。

 

北朝鮮は昨年2基の弾道ミサイルを発射し日本の国土上空を通過させましたが、日本政府は住民に対し避難場所を確保するよう警告を発していました。

一方でこうした事態を見て、トランプは北朝鮮が核・ミサイル実験を行ったことを利用し、日本と韓国に対し最新鋭の米国製軍事機器を購入するよう促しました。

現在日韓両国には数万人規模の米軍が駐留しています。

 

安倍首相は北朝鮮が核兵器、弾道ミサイル開発を急いでいると語り、これこそ日本が防衛力を強化し、第二次世界大戦後自衛隊に課された憲法上の制約を取り払わなければならない証拠に他ならないと主張しています。

 

1945年以降米軍の占領下にあった中で編まれた日本国憲法は、国際紛争の解決手段として軍事力を使用することを禁じ、自衛隊の役割を日本を防衛するという目的に限定しています。

安倍首相ははこれまで憲法改正を明言してしてきましたが、2015年には同盟国を支援する必要が生じた場合に自衛隊が武力行使できるようにする、集団的自衛権行使を合法とする法律を制定しました。
これより日本は理論的には、第二次世界大戦以降初めて、国外での軍事力の行使が可能になったのです。

 

安倍首相は日本国憲法が課している様々な制約に反対の立場を明らかにしながら政治的キャリアを築いてきましたが、9月に実施される自民党の総裁選挙で予想通り勝利すれば、自衛隊の法的地位を憲法上明確にする作業を開始する見通しです。

さらに安倍首相は近年、日本を取り巻く安全保障環境が「より厳しく不確実」になったと述べました。

 

日本の防衛省の文書はシンガポールで行われたトランプとキムジョンウンの会談が画期的かつ重要性だと指摘したものの、日本政府の当局者は、北朝鮮指導者の曖昧な誓約について具体的進展は確認できていないと語りました。

日本は中国の防衛費の増加、南シナ海における軍事施設の建設、東シナ海で日中間の紛争の原因となっている尖閣諸島周辺での海洋活動を活発化させていることに神経を尖らせています。
そして中国空軍の戦闘能力の強化に対抗するとして、防衛省はF-15戦闘機への更新に540億円、F-35ステルス戦闘機6機の購入に920億円を要求しています。

 

中国政府は今年3月、中国軍の近代化の一環として8.1%増となる1.11兆元(約18兆円)の国防予算を発表しました。

 

https://www.theguardian.com/world/2018/aug/31/japan-record-defence-budget-north-korea-china-threat

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今回の北海道地震を見て、自衛隊の装備について重大な疑問があります。

自衛隊は実質的な日本の正規軍ですが、一方では大災害の救助隊という性格を持っています。

私自身も東日本大震災を体験した際、被災地の至る所で自衛隊が救助・復旧作業に従事している姿を目にしましたが、その分市民の『安全確保』が早まったように思います。

 

しかし北朝鮮のミサイルはいつ、何のために飛んでくるのでしょうか?

ミサイル1基を発射するにしても北朝鮮には多額の経済的負担が発生するはずですが、それでも日本にミサイルを撃ち込むことによって彼らは何を手にすることができるのでしょうか?

どころか自分たちにはどんな利益もないのに、アメリカ軍に軍事力行使の格好の口実を提供することになり、自分たちの体制崩壊の引き金を引くことになるでしょう。

北朝鮮はしたたかですが、馬鹿ではありません。

 

日本は対中国・対北朝鮮という対立・緊張状態を演出し煽り続けることで、自民党一党支配を継続させてきた【 世界でただ一カ所、未だに核兵器を突きつけ合う場所 】という米国CNNの評論記事( http://kobajun.biz/?p=32547 )をご紹介したことがあります。

まさにその通りで、北朝鮮の脅威というのは、私は「可能性が限りなく低いバーチャル・クライシス」だと思います。

 

一方で東日本大震災以降今回の北海道地震まで、日本ではどれだけの数の大きな災害が発生したでしょう?

 

日本政府には現実に発生している脅威に、迅速・適切に対応していただきたい。

 

そのために必要なのは、トランプに根をつりあげられてしまつたイージス・アショアなどではなく、災害救助設備、被災地での安全確保設備ではありませんか?

 

 

 

 

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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