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【 ソーシャル・ネットワーク上の暴言が証明する、日本の政治家・政府高官たちの見識、品性、思いやりの欠如 】《後篇》

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先進国の中で唯一、極右の暴圧的言動を否定しない日本の首相
人種差別を容認するかのような政治家を支持する日本に、嫌悪感を持ち始めた世界

 

AP通信 / ワシントン・ポスト 2013年6月20日

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上智大学の政治学専攻の中野孝一教授は、政治家やその他の人々が失言を繰り返していることについて、彼らの中には問題の多様性を見極めるだけの見識、そして反対の立場をとる人々に対する理解が欠けていることを証拠立てるものだと語りました。

「こうした問題を放置する社会というものは、もはや常識が機能しない社会と言って良いと思います。」
中野教授が語りました。
「人々は徐々に正常な感覚を失っていき、本来問題とされることについても何も感じなくなってしまうのです。」

注意すべき使われ方をしている言葉のひとつが「左翼」です。

少数派の権利を守ること、平和を志向し、時に保守的価値観と対立するリベラリズム全般に対し、この言葉が乱用されるようになりました。

一部メディアと政治的に対立する立場の存在について、安倍首相は度々不適切な発言を繰り返しています。
安倍首相は民主党政権時代の菅前首相について、市民運動の出身であることを理由に『左翼』と呼び、北朝鮮に対する姿勢が甘すぎると批判しました。

安倍首相は(国際的には)国家主義者として知られ、タカ派的言動が目立ちますが、最近のフェイスブックへの書き込みで、公開の集会で野次を飛ばす人々に対し不満を露わにしました。
「聴衆の中に左翼の人達が入って来ていて、マイクと太鼓で憎しみ込めて(笑)がなって一生懸命演説妨害してました…」

「安倍首相、あなたは『左翼』という言葉を、どんな意味でお使いですか?」

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自由主義的立場に立つことが多い日本の朝日新聞の論説委員の松下秀雄氏が、6月16日の朝刊でこう尋ねました。
安倍首相のフェイスブックの書き込みに対しては、左翼、在日朝鮮人、在日中国人に対する嫌悪感を露わにしながら数百もの安倍首相を支持するコメントの書き込みがありました。
しかし同様に多くの人々が、安倍首相が推進しようとしているアメリカが主導する環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉への参加に反対しているという理由で、『左翼』と決めつける、その姿勢に疑問を呈しています。

松下氏は安倍首相には反対意見を尊重するという見識が不足しており、日本の隣国と少数派である在日韓国・朝鮮・中国人に対する差別感情を煽っていると指摘しました。

「右派と左派を明確に区別することに、いったいどんな意味があるのですか?」
松下氏はこう疑問を呈しています。

昨年12月に政権の座について以来、安倍首相は経済政策に重点を置いてきました。

しかし彼のより大きな課題は、日本が強力な軍隊を持てるよう平和憲法を改定すること。そして彼が『美しい国』と呼ぶ、愛国教育が行われ、伝統的な家族主義的価値観と天皇制を尊重する国家をつくりあげることです。

一部の評論家などは、安倍首相のこうした姿勢について、第二次世界大戦以前、そして戦争中の軍国主義的体制の復活を思わせるものだと語っています。

橋下氏が率いる維新の会の党勢の拡大と昨年12月の自民党の勝利は、多くの日本人の目に日本が右傾化していると映っています。
インターネット上で、そして路上で、在日外国人の中では比較的多数を占めながらも、少数派には変わりない在日韓国人に対する攻撃が激化しています。
極右の人間たちが「韓国人を殺せ!」「在日韓国人は韓国に帰れ!」という、人種差別スローガンを公然と叫んでいます。

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日本の少数派の中、在日韓国人は数十万人いて、在日外国人の中では最大の人口を占めています。
彼らは日本が韓国・朝鮮を植民地化していた1910年~1945年に強制連行などによって日本に連れて来られました。
数十年を経た現在でも、彼らは日本社会の中で教育、ビジネスと結婚など、広範囲にわたる差別に直面しています。

反韓国感情が煽られた結果、日本では、憲法が保障する表現の自由から『差別演説』だけは除外するよう国会議員や専門家が提案する事態になっています。

日本のヒューマンライツ・ナウ( http://hrn.or.jp/ )の副理事長を務める伊藤和子弁護士がこう語りました。

「これらのすべての問題は、基本的人権に対する日本人の認識の欠如に原因があります。そしてそのことに対し、世界は今、厳しい目を向けています。」

〈 完 〉

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/gaffes-on-social-networks-by-top-japanese-officials-spark-concern-about-lack-of-sensitivity/2013/06/19/02f5d206-d949-11e2-b418-9dfa095e125d_story.html

【 ソーシャル・ネットワーク上の暴言が証明する、日本の政治家・政府高官たちの見識、品性、思いやりの欠如 】《前篇》

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首相でさえ、フェイスブック上で反対の立場の人々に対し配慮に欠ける表現を行い、非難される有り様

AP通信 / ワシントン・ポスト 6月20日

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ネットの世界の出来事については、後から誰かに泣きついたところでどうなるものでもありません。
これは最近、日本の政治家や官僚たちが高い代償を払い、身に痛みを憶えながら学んだ現実です。
最近明らかになった騒動では、福島第一原発の被災者の救済にあたるべき日本政府の高官が市民活動家に対し、ツイッターで糞便を指す侮辱的表現を用いて攻撃し、更迭されました。

国連委員会におけるもう一人の政府高官の激高ぶりは、うまく人の目に触れずにフタをされ高のように見えましたが、20日にはYouTubeで公開されてしまいました。

安倍晋三首相でさえ、フェイスブック上で反対の立場の人々に対して配慮に欠ける表現を行い、非難される有り様です。

日本は、この4月になって初めて、政治目的でソーシャルメディアを使用することを法律で認めました。
今後の日本の行方を決める上で、重要な役割を果たすことになる7月21日投票の参議院議員選挙において、有権者へのアプローチにソーシャルメディアを活用できるということは天の恵みであると同時に、きわめて重い責任がつきまとうという事にもなります。

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日本の政治家と政党は、記者クラブのシステムを使い、国民が事実や真実に触れることをコントロールしてきました。

このため日本のメディアは記者クラブの席を守るために、しばしば政治家の失敗については見て見ぬふりを決め込んできました。

政治家の側近たちも、政治家が行った問題発言などがテレビや活字媒体などで取り上げられないよう、大手メディアとの『持ちつ持たれつ』の関係の構築に励んできました。

しかし、政治家がいったんネット上で発言を行なえば、こうした防衛策は無力です。

「感情的な部分に食いつかれることになります。いちどフェイスブックの『コメントする』ボタン、あるいはツイッターのツイートボタンを押してしまったら、もう手遅れです。」
「たちまちに鵜の目鷹の目で待ち構えている失言監視人たちに見つかり、『本性を現した』とばかりに食いつかれるのです。」

復興庁統括官付参事官の水野晴久氏は次のツイートのため、更迭されました。
「左翼のクソどもから、ひたすら罵声を浴びせられる集会に出席。不思議と反発は感じない。感じるのは相手の知性の欠如に対する哀れみのみ」

水野氏がこのツイートを行ったのは3月7日でしたが、長らく見過ごされてきました。しかし失言監視人の目にとまり、広く一般に知られてしまったのです。

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5月下旬、今度は国連の委員会での様子が物議を醸すことになりました。
国連拷問禁止委員会において、日本の犯罪容疑者の人権を守ることについては、『まるで中世時代(時代錯誤)だ』と非難したモーリシャスの使節に対し、日本の上田人権人道大使が自国の刑事制度を弁護すべく声を荒げて叫びました。

YouTubeと公式ウェブサイトで公開された映像では、上田大使はブロークンな英語でこう語りました。
「日本は断じて中世国家などではない。我々はこの分野においても、最先進国の一員なのだ。」

この発言に周囲から失笑が漏れると、上田大使は叫びました。
「笑うな!何で笑うんだ?」
「黙れ!黙れ!」

この動画は3日間で20万回以上再生されました。
この映像と事実は日本の大手メディアで繰り返し報道され、6月も半ばを過ぎてから、やっと日本の外務省が上田氏を公式に非難しました。

橋下徹大阪市長は第二次世界大戦前と戦中の帝国陸軍による従軍慰安婦制度について、「必要悪だった」と発言し、ツイートを流しました。

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さらに日本国内にある基地のアメリカ兵の犯罪を減らすために、日本の性風俗産業を積極的に活用するよう提案するツイートを流しました。

この発言に対し、アメリカ軍側は「憤激に耐えず、きわめて不愉快である。」と怒りを露わにしました。
橋下氏は日本の国政政党・維新の会の共同代表を務めていますが、発言について公式に謝罪しました。
しかし謝罪したのは、性風俗産業に関する発言の方だけだったのです。

〈後篇に続く〉

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/gaffes-on-social-networks-by-top-japanese-officials-spark-concern-about-lack-of-sensitivity/2013/06/19/02f5d206-d949-11e2-b418-9dfa095e125d_story.html
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この記事も後半に、ヤマ場が来るため、翻訳者の私としては後篇こそお読みいただきたいと思っています。
明日日曜日は休載日ですが後篇を続けて掲載し、代わって月曜日を休載日とさせていただきます。
ご了承ください。

人種差別主義を一言で言えば、自分の下を作ろうとする行為だと思います。
かつてのアメリカでは、黒人に対し最もひどい迫害を行ったのは『プア・ホワイト』と呼ばれる、白人の貧困層でした。
白人社会の最下層で貧しく苦しい生活を続ける彼らは、黒人を自分たちの『下』に設定し、群れを作ってそれを攻撃・迫害することにより、生きている上でのウサ晴らしをしました。
品性下劣、人間として最悪の行為です。

後篇では日本の人種差別が焦点になります。
ぜひ続けてお読みください。

【 またも、3.11の復興資金、被災地と無関係の事業に 】

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数百億円の被災地の雇用のための資金、無関係の場所で無関係の事業に流用
救われない被災者、雇用されたのがたったの1名という県も複数

ザ・ガーディアン(英国) 6月4日

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2011年3月に発生した日本の三重災害(地震・津波・原発事故)のための1,000億円以上の復興特別予算が、他の場所のチーズやワインのプロモーションを含む、災害とは無関係の事業に使われていたことが明らかになりました。

この特別予算は主に被災地で職を失ってしまった人々の雇用対策を行うためのものですが、被災地から遠く離れた場所でウミガメの生息数の調査、レストランのガイドブックの出版、ゆるキャラのプロモーションなどに流用されていたことを、日本の新聞が伝えました。

この無駄な公共支出の証拠は、日本の朝日新聞が明らかにしたもので、政府が3.11の被災地の復興のために用意した特別予算11兆7,000億円のうちの4分の1が、無関係な事業に使われていたことが数か月前に明らかになったばかりであり、政府関係者を困惑させています。

朝日新聞によれば、2,000億円の雇用のための予算のうち、1,085億円が3.11の被害を受けて18,000人が犠牲になった9つの県以外の、38都道府県の無関係な事業に使われました。
9つの県には、津波によって甚大な被害を受け多数の犠牲者を出した宮城県と岩手県、そして福島第一原発の3基の原子炉のメルトダウンにより、150,000人が避難生活を強いられている福島県が含まれます。

日本政府の菅義偉官房長官は、朝日新聞の報道内容が事実かどうか調査を進めていると語りました。

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「事実を明らかにし、綱紀を粛正するとともに、違反については厳しい対処を行います。」

災害の発生からちょうど2年が過ぎた段階で、尚300,000人以上が仮設住宅で暮らし、その多くが新たな職を見つけられずにいました。

この予算は前政権である民主党政権により災害にあった人々の再就職を容易にする目的で予算化されたものですが、3.11の災害では97%の人々が雇用状況に影響が無かった事が解っています。

朝日新聞によれば今回の対策によって職を得た人は65,000人ですが、このうち被災地で暮らす人は2,000人に留まっています。
朝日新聞は全国の自治体が、雇用創出のための予算配分方法が曖昧な点を利用し、災害とは関係の無い事業に予算を流用したのではないかと推論しています。

被災地から1,000キロ南に離れた鹿児島県では、自然保護対策の一環として職員が300万円を使って10人を雇用し、ウミガメの生息数調査を行いました。
「ウミガメが生んだ卵を守るため、安全な場所に移し替えるよう、指示をさせることもありませんでした。」
調査のため雇用された人が、朝日新聞の取材にこう答えました。

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日本政府の官僚は、被災地の人々が日本全国に避難していると言って、こうした出費について弁護しました。

しかし調査した結果、12の都道府県では被災者の雇用は10名以下に留まっています。
中でも被災地から数百キロ離れた山口県と宮崎県では、2,000名の雇用者のうち、被災者はたった1名でした。

前任者の民主党政権・野田首相が、被災者が住む場所と職の確保について後手に回ったことに批判が集まったのを受け、安倍晋三氏の自由党民主党は、災害復旧の速度を上げると約束して、昨年12月に政権を奪取しました。
政権発足の翌月には今後5年間の災害復旧予算を、19兆円から25兆円に増額すると発表しました。

津波による被害を受けた市町村の災害復旧工事は雇用創出に一定の効果を発揮しましたが、震災と同時に発生した福島第一原発の原発事故によって甚大な被害を被った漁民、農民の長期に渡る雇用創出についてはほとんど効果を発揮しませんでした。

災害復旧にあたる官僚や地方自治体の職員が、復興予算の使い道について苦しい弁明をしなければならなくなったのは、今回が初めてではありません。

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2011年だけで、被災地から1,750km離れた沖縄県の道路の補修工事に5億円、そして東京のスポーツスタジアムの補修工事に3億3000万円が支出されるなど、不適正な支出が次々明るみに出ています。
中でも最大の論議の的となったのは、海洋保護グループ、シー・シェパードによる妨害から日本の捕鯨船団を守るため水産庁が支出した23億円でした。

http://www.guardian.co.uk/world/2013/jun/04/japan-tsunami-victims-unaffected-areas?INTCMP=SRCH
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28日付の朝日新聞朝刊の第一面にも、復興予算の内100億円が電力会社救済のため計上されていることが報じられていました。
その予算を見ると、国民が「仕方がないのかな…」と思うような名称が付され、なる程狡猾なものだと思います。

同じ第一面には、自民党内に「原発の再稼働を推進する議員連盟」が発足したことについてのコメントもありました。

どちらも、福島第一原発の事故について深刻な反省などしていないという事実が如実に表れています。
今、福島では子供たちも含め、どれ程の苦しみと不安が人々を苦しめているか、そんなことを考えようともしない人間が「日本の政治を担っている」、そして私たち国民はそれで良いとしている、そういうことにならないでしょうか?
厚顔無恥、本当にこの政治を続けさせて良いのでしょうか?

【 地上より排除されるべき原子力発電!明確になったその理由 】

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地球温暖化対策として原子力発電を選択する、それは愚策中の愚策
気候変動の問題を解決するために、この世で最も金のかかる発電方法を選ぶわけにはいかない

 

ハビエル E.デイビッド / アメリカCNBCニュース 5月13日

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一度は将来の主役の一人、あるいは化石燃料に対する有力な競争相手と目されていながら、今や原子力発電に対する風当たりはこの上なく強いものになりました。
新たなエネルギー開発計画の推進と、シェールガス開発に代表される新たな化石燃料の国内生産の拡大により、その存在はかすむ一方です。

ほんの数年前まで原子力発電産業界は『原子力ルネッサンス』の実現に向け、わが世の春の到来を心待ちにしていました。

 

しかし状況は一変しました。

 

現在国内のすべての場所において、新たに原子力発電所を建設する計画は大きな壁を前に立ち往生しています。
国家のエネルギー戦略における主要な地位において、水圧破砕法による原油と天然ガスの採取に、開発の主役を完全に奪われてしまいました。

そしてここ数週間のうちには、アメリカ原子力規制委員会が東芝とNRCエナジーとの提携関係について、外国企業による米国内の原子力発電所の管理を禁止する法の適用を行うことになっています。

さらにはカリフォルニア州当局が、トラブルを起こしたサンオノフレ原子力発電所の2基の原子炉について、米国原子力規制委員会が再稼働のための有効な道筋を描けないなら、永久廃炉にすると警告しました。

 

第三世界05

サンオノフレを運営するデューク・エナジー社はつい最近、計画していたノースカロライナ州での2基の原子炉建設を断念したばかりでした。

今や原子力発電の将来は危ういものとなってきました。

世界原子力発電協会によれば米国は世界最大の原子力発電国家ですが、そのアメリカにおいてさえ、その状況ははっきりしてきました。
アメリカ国内には104基の原子炉がありますが、その発電能力の合計は、国内総需要の30%に相当します。

「わずか4年前、原子力産業界は多数の原子力発電所の建設申請をNRCに提出し、自分たちが今や『ルネッサンス』の真っただ中にいることを実感していました。」
かつてのNRCの理事であり、現在は法学教授であるピーター・ブラッドフォード氏がこう語りました。

「しかし、そこが彼らの頂点だったのです。」

「今や状況はまったく異なったものとなり、私たちは今、現役の原子力発電所でさえ稼働を止め、廃炉に追い込まれるという現実を目の当たりにしています。こんなことは数年前には考えられない事でした。」

 

シェール・ガスと天然ガスの価格の低下傾向が続く中、原子力発電所の建設コストは恐ろしい勢いで増え続け、原子力発電に対する評価は確実に下がり続けています。

こうした状況を生み出したもの、それは2年前に発生した福島第一原発の事故、そしてその背景にあったものにほかなりません。

それまで原子力発電を手放しでほめていたアメリカの政治家も、あわてて態度を翻さないわけにはいかなくなったのです。

インディアン・ポイント原発
ニューヨークとメイン両州の電力会社の理事を務めたこともあるブラッドフォード氏は、原子力発電を継続しようという動き、原子力発電コストの急上昇、そしてシェールガス開発の進展という現在の状況を、様々な要因が絡み合った錯綜した状況と見ています。
「原子力発電のような巨大事業は、外洋定期航路の大型客船のようなもので、いったん決めた目的地はそう簡単に変更できるものでは無いのです。」
そして以下のように続けました。
「外部で現状について観察している人々は、多くの事がうまく行かなくなった、と感じています。多くの人々が、原子力発電に関する何もかもが、こんなに一挙にダメになってしまうとは、考えてはいなかったと思います」

いくつかの観測筋によれば、原子力発電に対する急速な支持の低下は、アメリカの中央政界における気候変動対策に対する熱意の喪失に関連しています。

 

シッフ・ハーディンにおける発電所問題と取り組むシェリー・クアーク弁護士は、地元当局者も連邦政府の当局者も、共に原子力発電に対する支持を取り下げた上、気候変動についても多くを語らなくなったと指摘しました。

「気候変動への懸念とそれに関連する諸問題について考えたとき、これから必要なことは化石燃料を燃焼に対し効果的な規制を加えることだと、誰もが考えました。そして数多くの計画が生み出されたのです。」
「しかし今やシェール・ガスの開発により、焦点はコストの問題、そして原子力発電の危険性に移りました。そのために数多くの原子力発電所の建設計画に対し、疑問が突きつけられることになったのです。」
原子力発電はかつてクリーン・エネルギーの代表だと宣伝されたこともありましたが、現在建設工事が進められているのは3か所に留まり、WNAによればこれからの10年間に稼働を開始する予定の原子炉は4基~6基に留まります。

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シェールガス開発ブームに沸くアメリカにおいて、代替えエネルギー政策の中、少なくとも原子力発電についてだけは見直さざるを得なくなるでしょう。

「いわゆる、『あらゆる政策を実行する』としたエネルギー政策は白紙に戻されてしまいました。」
ブラッドフォード氏が原子力発電のコストが莫大なものになった点を指摘し、こう続けました。

「世界的規模の食糧問題を解決するためにキャビアを用意するのは、愚策中の愚策です。」

「気候変動の問題を解決するために、この世で最も金のかかる発電方法を選ぶわけにはいかないのです。」

 

http://www.cnbc.com/id/100728120
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日本の原子力発電が終わらない理由のひとつに、原子力ルネッサンスの最中、気前よく次々と設立された「関連機関」の存在があると思います。
彼らももちろん「原子力ムラ」の住人達です。
彼らは自分たちの存在を正当化するために、理も非も無く原子力発電を支持して行かなければなりません。

その存在について、特にアメリカとドイツのメディアは3.11の直後から問題視してきました。

アメリカはドライです。
最早原子力発電はその高額なコスト、福島第一原発の事故が証明した危険性、そして放射性廃棄物の処理方法が見つからないことを理由に、原子力ルネッサンスをたちまちのうちに葬り去りました。

日本にその決然とした姿勢があるでしょうか?

首相自らが中進国を飛び回り、せっせとゲンパツ関連商品を売り込む。
世界がその姿に見ているものは、何よりモラルの欠如です。

【 新たなる太陽光発電ムーヴメント、今や目前に 】

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アメリカ・シティバンク・グループが、長期に株式を保有するエネルギー企業とは?
急速に後退する『電力会社から電気を買う』という常識

米国CNBC(NBCケーブルテレビ) / エネルギー最新事情(旧アメリカAOLエナジー) 5月9日

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すでに多くの投資家は太陽光発電分野へ投資していた資金を回収しました。
しかし、あるのアナリストによれば、太陽光発電分野における次の劇的展開が始まろうとしています。

「もう一度ブームがやって来るでしょう。」

シティグループ投資部門の調査・分析部門の責任者であるジェイソン・チャネル氏が、CNBCの取材に対し、対抗発電設備の建設ブームが一段落した後にやって来る、新たな動きについてこう語りました。

「次なるブームは蓄電の(電気をためる)分野で始まるものと見ています。そしてそれは私たちが今、最も注目しているテーマのひとつです。」

そもそもの太陽光発電ブームは政府の補助金が起爆剤となって始まったもので、財政再建が焦眉の急となった今は、太陽光発電システムの新たな建設は鈍っています。

実はチャネル氏は2014年の太陽光発電システムの成長が17%に達するものと予想していますが、その前年となる2013年は、全世界的でほぼ5%程度の成長になると見ています。

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しかし現在は未だ需要に対し、設備が供給過剰の状態にあるとチャネル氏は語っています。
かつてアメリカの太陽光発電事業は40%から50%という高いリターンを実現し、多くの資本を集めましたが、最終的にその製造事業はアジアに持って行かれてしまいました。

アジアの低コストの製造設備企業との価格競争に敗れ、アメリカとヨーロッパの企業は自分たちにとってもっと有利な分野が無いかどうか、再検討を迫られています。

「現在確認できているのは、米国企業は今や機器の製造や設置よりも、プロジェクト開発の方へと重心を移しつつあるという事です。現時点ではその方が投資回収率が高くなるからです。」
チャネル氏はこう語りました。

例えばファースト・ソーラー社は太陽光発電所の建設を行っていますが、その投資回収率は「まだきわめて高いものです。」
同社は5月の第2週、第一四半期の利益が52%上昇し、7億5500万ドルの経常利益を確保したことを発表しました。

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チャネル氏によれば、今年2013年の始まりにウォーレン・バフェットが率いるミッドアメリカン・エナジー・ホーディングスは、カリフォルニア州で2つの太陽光発電所開発計画に20億ドル以上の投資を行ない、この分野の魅力がまだまだ高いことを印象付づけました。

しかしチャネル氏は、現在ドイツが耐用年数の高さから、再生可能エネルギー分野における太陽光発電システムの比重が高まっていることを受け、彼の主な投資先は蓄電の分野が中心になるだろうと語りました。

チャネル氏はなぜシティバンク・グループが、ドイツの電力会社の収益性について警告を続けてきたのか、その理由を明らかにしました。
「ドイツ国内では、もはや電力会社から電気を買うという考え方が、退行を続けています。つまり電力会社に対する需要が低下を続けているのです。」

これまで蓄電池の開発を主に手掛けてきたのは、電気自動車やハイブリッド自動車のためのバッテリーを製造する企業でした。
それが現在は、アジアの技術系の企業が、太陽光発電の分野で蓄電池の開発に力を注ぎ始めていることを確認しています。

シティバンク・グループが長期保管目的で投資を行なっているのは、リニューワブル・エナジー(再生可能エネルギー)社、サンパワー社、そしてGCL工学エネルギー社の3社です。

The Next Solar Power Boom Is Coming: Analyst


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この『エネルギー最新事情』( http://breakingenergy.com/ )というメディアは、主に投資家のためにアメリカの最新エネルギー事情について伝えるメディアです。
言い換えれば、エネルギーについてビジネスとして割り切った観点で、その現実と将来性を観察しています。

そのようなメディアが繰り返し原子力発電を否定( http://kobajun.biz/?p=11670 ほか)し、太陽光発電の未来を明るいものと見ているのは興味深いところです。

その目に、日本の首相が、福島第一原発の事故を引き起こした国の首相が自ら原子力発電のセールスマンとなって世界を飛び回っている姿はどう映っているのでしょうか?
非常に興味があります。
ぜひ一度、取り上げてほしいものです。

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【 太陽光発電飛行機、アメリカ大陸横断へ 】

アメリカNBCニュース 6月16日
(掲載されている写真は、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

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着陸(写真下・以下同じ)
太陽光発電飛行機、ソーラー・インパルスHB-SIAプロトタイプが6月16日、アメリカの首都ワシントンのダレス空港に着陸しました。
ソーラー・インパルスは夜間・昼間、いずれの時間帯も飛行可能であり、シンシナティを離陸し、アメリカ大陸横断への挑戦を開始しました。
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モバイル格納庫
ランバート・セントルイス国際空港の、急ごしらえの格納庫に入れられるソーラー・インパルス。
同空港はソーラー・インパルス到着の数日前、強力な嵐によって空港設備が損害を受け、到着したソーラー・インパルスのため、急ごしらえの格納庫が用意されました。
Solar 3
フェニックス上空
5月22日、フェニックスのスカイハーバー国際空港を飛び立ち、朝焼けの空を飛ぶソーラー・インパルス。
Solar 5
素晴らしい眺め
5月3日、サンフランシスコ・ベイエリアのモフェット・フィールドからフェニックスまで飛行するソーラー・インパルス。
Solar 6
離陸
5月3日、自転車に乗った誘導員に導かれ、カリフォルニア州マウンテンビューのモフェット・フィールドから飛び立つソーラー・インパルス。
ソーラー・インパルスはスクーター・タイプ電気モーターを動力とし、ゆっくりと加速しながら時速65kmから80のものスピートで飛行します。
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【 担い手のいない「虚構の」成長戦略! アベノミクス 】《後篇》

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アベノミクス、その政策は10年古い、しかも政策自体はまだ成果をあげていない
円の価値の暴落・国の財政破たん、その先にしか日本の再生はないのか?!

ヴィーラント・ワグナー / デア・シュピーゲル 4月18日

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▽ 心理学と経済学

これまでアベノミクスは言葉の上だけのもので、政策自体が何らかの成果を上げたわけではありません。

しかし影響力は確かに持っていました。

1980年代後期から1990年代初期にかけ、膨らみきった不動産価格と株価、すなわちバブル経済がはじけた瞬間に、かつてはアジアで最大の規模を誇った日本経済は停滞を続けてきましたが、安倍政権の経済政策は『表面上』その状態に終止符を打ったように見えます。

安倍氏は、昨年末の選挙運動の最中、実体経済が心理的影響によって動くものなのだという事を証明して見せました。

彼は日本銀行の独立性を奪い取ると脅し、市場に資金があふれ出すという期待感をかきたてた結果、多くの投資家が円を投げ売って、ドル買いに走りました。

円高は長い間、国際指市場において日本製品、日本車や日本製テレビなどを高価なものにしてきました。
それか昨年の秋以降、円はドルに対し25%以上値下がりしたのです。

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当然の結果として、値下がりした円は実体経済の全セクターを押し上げました。
その効果はトヨタなどの輸出企業には、特に有利に働きました。
トヨタは4月から9月までの総生産台数250万のうち、国内での生産台数を20万台増やすことを検討しています。

より高い企業収益が達成されるとの見込みから、東京証券取引所では強気のムードが作られて行きました。
今年に入ってから、株価の指標である日経平均は25パーセント以上上がりし、この4年半でその最高レベルに達しました。
しかしそれは、実体経済の成長というよりは、投資先として日本を見直した外国の資金の流入によるものだったのです。

▽ 輸入品の値上がりが実体経済を圧迫する

しかし円安だけで、安倍首相が日本経済を立ち直らせることなど不可能です。
実際には安倍首相はすでに、円安の進行により自国の産業の競争力低下を懸念する韓国などの国々と、通貨の切り下げ競争に入りかねない危険を冒しています。

しかし為替レートの低下、円安が日本人にとってすべての面で恩恵をもたらすわけではありません。
円が下がれば下がる程、輸入品の価格は上昇しますが、何でもその影響が深刻なのが、石油・天然ガスなどの化石燃料です。
福島第一原発の事故発生以来、国内の54基の原子炉のうち、稼働しているのは2基だけという状況の中、火力発電用の燃料費の高騰は日本経済に大きく影響しています。

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現在、日本は原油と天然ガスについては、ほとんど輸入に頼っています。

国民の生活が圧迫されていく一方で、安倍首相は消費者の可処分所得を増やすべく、労使問題にも口を挟みました。
彼は国内の企業に対し、「一生懸命働いている人々」には、より多くの賃金を支払うよう働きかける発言を行いました。

この働きかけを受け、国内の大手スーパーマーケット・チェーンなど一部に、この数年間で初めて賃金の上昇に素直に応じる企業も出てきました。
しかしそれはボーナスという『一時金』の支払いに限ってのことです。

こうした『功績』はアベノミクスへの支持者を増やしてきました。
この光跡を足掛かりに、安倍首相は来たるべき7月の参議院議員選挙での決定的な勝利を手にするため、これらの支持を与党自民党への支持につなげていかなければなりません。

しかし諸外国は、安倍首相の壮大な経済実験の先行きを懸念しています。

アメリカのノーベル賞受賞経済学者のポール・クルーグマンは、
「安倍政権が、本来ならとっくの昔に着手しなければならなかった対策を、やっと今実施している。」
点について、世界第三の経済規模を持つ国の政府を賞賛しました。

しかし、名うての世界的投資家であり、巨額の富を持つジョージ・ソロスは、円安を嫌って資産を国外に移す現象が『雪崩を打って』始まる危険性を警告しました。

6月に、日本政府は長期の金融政策と成長戦略を明らかにし、アベノミクス政策の全容を明らかにするとしています。
しかし成長をけん引すべき日本企業は、その多くが新しい戦略、そして革新的な製品を持っていません。

それは安倍首相が号令をかけたからと言って、どうなるものでもありません。

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かつては世界のその威容を誇ったエレクトロニクス企業の巨人パナソニックは、テレビ製造分野において苦々しい損失を被りました。
その競争相手であったシャープにいたっては、今や企業存続の危機に立たされています。同社はその製造部門をアップル・コンピュータと台湾の安売りメーカーのフォックスコンに売却しなければならなくなりました。
さらには現金を手に入れるため、シャープを脅かす存在であったはずの韓国のサムスンに、保有株式の一部を売却せざるを得ませんでした。
さらにシャープは大阪本社において700人規模のリストラを行い、社員数を半減させる予定です。

▽ 破綻への序曲

こうした問題は円安では解決できません。
アベノミクスは実施されるのか10年遅かった、こう指摘するのはそう遠くない将来、日本の財政は破たんするとの著作を発表した藤巻健史氏です。

藤巻氏は尋ねてくる人々を、一家族だけの世帯なら6世帯は入れるぐらい広い、東京都内の庭のあるモダンな住居に迎えます。
藤巻氏は現金を稼ぎ出す方法を知っています。
彼は、長い間、アメリカの金融会社J.P.モルガンのスター・トレーダーとして働きました。
現在は彼自身の投資会社を経営しています。

アベノミクスは日本の転落を速めることになるだろう、藤巻氏がそう指摘しました。

日本政府はその予算を賄うため、新たに44兆円の国債を発行しなければならなくなる、藤巻氏が冷静に計算してみせました。
しかし日本銀行がインフレを煽れば、必然的に国債の金利も上昇することになる。
そして日本は今、莫大な負債を抱えています。

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財政破たんを回避するために、結局日本銀行は大量の紙幣を印刷させられることになる、藤巻氏はそう予測します。
「その結果日本経済は、1923年にドイツを見舞ったようなハイパーインフレに陥ることになるでしょう。」

しかし、藤巻氏は国家の財政破たんにも、利点はあると語りました。
「日本の若い世代の人々は、もうこれ以上公的負債の清算を求められる事は無くなるでしょう。(円の価値が暴落することによって)彼らが日本を再建するための妨げが、取り除かれることになるのですら。」

http://www.spiegel.de/international/business/risky-economic-plan-for-japan-inspires-hope-and-fear-a-894625.html
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東洋経済のオンラインの記事などを読むと、藤巻氏はアベノミクスの結果、日本経済は『ハードランディング』せざるを得なくなるとしています。
では、ハードランディングとは何でしょうか?
要するにハイパーインフレ、海外資産や金などの貴金属資産などを持たない日本人ほぼすべてが破産するという事になるでしょう。
給与所得者は未だ救われますが、自営業者や年金生活者などは悲惨なことになります。
自殺者も急増することになるでしょう。

しかし日本円の価値は暴落するため、日本の公的負債は対外レート換算で一挙に減少しますので、現在の貨幣価値で多額に昇っている負債を一挙に清算できる可能性が出てきます。

それがアベノミクスの究極の目的なのでしょうか?
弱者や高齢者は切り捨てられる、どころかもっと極端な結末が待ち受けている可能性があるのではないでしょうか?

【 担い手のいない「虚構の」成長戦略! アベノミクス 】《前篇》

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高齢化・少子化・人口減少の続く日本で、誰が「成長」を担うのか?!
巨額の負債をさらに積み増す政策の向こう側には、1万円札が紙くずになるハイパーインフレ

ヴィーラント・ワグナー / デア・シュピーゲル 4月18日

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▽ 巧みな宣伝戦術

日本の首都東京の土曜日の午後、ここは秋葉原の商店街の雑踏の中。
髪をブロンドに染め、明るくカラフルな衣装を身に着けた若い日本の女性たちが、通りで踊っています。
彼女たちはマンガ喫茶のプロモーションを行っているのです、ここでは漫画のキャラクターそのものの格好をした若者を見かけるのも珍しいことではありません。

通りを行き交う歩行者たちの頭上高くそびえるビルディングの中では、日本の証券会社が主婦やサラリーマン、年金生活者などを集め、小口投資家のためのセミナーを開催していました。
彼らは銀行預金よりも有利な預け先を探すためにここにやって来た人々ですが、セミナーは空席が見当たらないほどの盛況ぶりです。
このセミナーでは今話題の的になっている演題が取り上げられていました。
「アベノミクスで利益をつかんだのは誰か?そして、次に利益を得るのは誰なのか?」

「アベノミクス - Abenomics」は、日本の首相・安倍晋三の名字と英単語「経済学 - economics」を組み合わせた造語です。
自分たちが選んだ政府の新たな経済政策「アベノミクス」の利益の分け前に預かろうと、日本中の投資家たちが群がり集まる様子は、ここ東京にいても手に取るように解りました。

▽ 復活を果たし、今や『得意の絶頂?』

オバマと安倍
多くの人々がまさか、と思っていましたが、安倍首相と彼が率いる自民党は復活と政権への返り咲きを成し遂げてしまいました。

安倍首相はかつて一連の制作の失敗と健康上の問題により、2007年9月に首相を辞任しました。

彼は自分自身を再生し、経済の停滞に喘ぐ日本の救世主然として振る舞っています。

これまで長い間、安倍首相は、日本の平和憲法の改定を目指し続け、国の内外に波瀾を巻き起こしました。
しかし、今や彼は、その前に日本が中国や韓国のようなライバルに追いつくため、最初に経済的な成功を手に入れなければならないと認めているようです。

そのためのシナリオがアベノミクスであり、浜田孝一米国エール大学経済学名誉教授から伝授された戦略が基になっています。
浜田名誉教授は現在、政府の顧問を務めています。

浜田名誉教授は日本の中央銀行、日銀こそが長期の経済停滞の第一の責任者だと考えています。
長期に渡り日銀は、慢性のデフレに対し無力でした。
物価は下がり続け、会社は利益を減らし続けるか、場合によっては破綻への道へと追いやられて行きました。
そのあおりを受け、給与生活者の所得もまた、低下を続けました。

日本人は財やサービスを購入するための金を手元に残すため、四苦八苦の状況に追い込まれていたのです。

こうした状況を受け、企業の利益はさらに減少を続けました。

このデフレの連鎖から脱出するため、安倍首相は日銀に対し、政府から独立した権能の返上を迫ったのです。

Abenomics 2
彼は、新しい日本銀行の頭取に黒田東彦を任命しました。
黒田氏は旧大蔵省(現在の財務省)出身で、余暇にはアリストテレスのような西洋哲学書を読んでくつろぐのが好きな68才です。
寡黙な人間が多い日銀において黒田氏は饒舌さによって際立ち、堅実な政策を好む行風の中、ことのほか実験的政策の実施に熱意を持っています。

▽ リスク?それとも…

実際に日銀の新しい頭取は、2パーセントのインフレターゲットを設定しました。
政策の基となった理論によれば、価格上昇の進行により、企業は設備投資を進め、個人消費者の支出が増えることになっています。
黒田新総裁は2年以内の目標達成を目指し、そのためには『可能な限りの手を打つ』事を公約しました。

それは具体的にはどういう事なのでしょうか?
日本銀行が誰からも規制される事無く紙幣を大量に印刷し、市中の流通通貨量をほぼ倍にまで増やそうというものです。

その上、毎月7兆円以上という巨額の、これまでの約2倍自国の国債を購入しようというのです。

将来的には日本銀行は新たに発行される国債の70%を購入しようとしています、国債の利率を引き下げるために。

これは危険な戦略です。

Abenomics 4
日本にはすでに富士山ほどの公的負債があり、その総額は日本の一年間の国内総生産(GDP)の2倍以上の額に達しています。
例えばギリシャと対照的なのは、日本国債のほとんどを日本国民自身が保有しているという点で、国債の9割を国民が保有しています。

しかし本来なら国家の金融を監視するべき日銀は、ギャンブラーへと変身してしまいました。
例えば、日銀の新総裁は不動産ファンドのような数多くの危険な証券を購入することすら、検討を始めています。

日本のこの過剰な流動性はヨーロッパにまでその影響が波及し、各国の経済を脅かしています。
豊富な資金を手にした日本の投資家は、日本国内の金利の低下を見越し、外国債などの購入に向け動き出しています。
こうした動きの影響は、スペイン国内の金利の低下となって現れました。

〈後篇に続く〉

http://www.spiegel.de/international/business/risky-economic-plan-for-japan-inspires-hope-and-fear-a-894625.html

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今日と明日の2回に分け、ドイツのデア・シュピーゲルの『アベノミクス』に関する評論を掲載します。
実は今回の原稿のヤマ場は、公判に集中してしまっているので、前編はそれほど迫力を感じないかもしれません。
しかし後編で怒濤のごとく繰り返される、アベノミクスへの一撃、二撃、三撃、その内容についてご納得いただくために、この前編もぜひお読みくださいますよう、お願い致します。

ところで、東京都議会議員選挙が終わり、自民党が『圧勝』し、安倍政権のアベノミクスに対する高い評価がこの結果につながった、と日本のマスコミは報道しています。

そして民主党の惨敗。
民主党はなぜこれ程の低落を続けるのか?

民主党鳩山政権は『力不足』でした。
菅政権も福島第一原発での齟齬はあったにせよ、力不足だったと思います。
しかし、野田政権は違います。
野田政権は国民を『裏切り』ました。

原発廃止、そして一層の民主化を国民が願っていたにもかかわらず、その道を閉ざすような政治を行い、国民の怒りを買いました。
さらには、自民党を『意識的に利する』ような施策を次々行い、小沢氏を始めとする一部議員を民主党から追い出すなどし、民主党の弱体化を進めることにより、安倍政権誕生への道を開いたのです。

この一連の行為に対し、国民が抱いたのは失望では無く、『怒り』であったはずです。

野田政権が行った一連の行為について、民主党は一度国民に謝罪・総括しなければ、今後も低落傾向は止まらないと思います。

そしてアベノミクス、その正体は《後篇 - http://kobajun.biz/?p=12120 》で明らかになります。

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「最深部は地下9階!」
神秘的にも見えるマンハッタンの地下鉄建設現場、カメラマンが記録した3年9カ月

アメリカNBCニュース 6月17日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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ニューヨークの地下鉄建設工事が90年続いているという事実は、誰にとっても印象深い物でしょう。
そして45億ドルを費やしてのニューヨーク交通局の、セカンド・アヴェニュー地下鉄建設工事もうまく行きそうです。

この工事は1932年以来、75年ぶりの地下鉄建設であり、2007年に開始され、マンハッタンの高層建築の下、最深部では地下9階の深さに達します。
完成すれば最初の電車は96番街から63番街まで走り抜ける予定です。
最終的にはローワーマンハッタンの全街区をこの地下鉄が結ぶ予定です。

地下鉄建設が始まり、カメラを構えるのに充分な大きさの穴が掘られると、写真家のパトリック・キャシンは建設の様子の撮影を開始しました。

「この場所に立つと、ここがとても危険な場所だという事が10秒間で理解できます。」
キャシンがこう語りました。
危険を承知で、彼は建設の様子を記録するため、2、3カ月に一遍、穴の中に入ります。

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アメリカの除染の専門家が明らかにする、本当の汚染状況【 人の手によって作られ、人の手により悪化していく福島の危機 】〈第4回〉[フェアウィンズ]

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真実が隠され、事故収束・除染・廃炉作業は順調に進んでいると、多くの日本人が誤解している
福島の除染作業、専門的知識・技術を持つ企業に限って締め出されてしまった
日本政府は自らのプライドを守るかわりに、国民の命を危険にさらす途を選んだ

アート・ケラー / フェアウィンズ 6月13日

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ロサンゼルスの日本領事との対面の際、ワン氏が当惑したのと同様、エンゲルハート氏は彼が接触した日本政府の関係者の態度の変化に戸惑いました。
「私たちが初めて日本を訪れたとき、これらの関係者は非常に落胆した様子でした。ところが2度目の訪問の際には、彼らは明らかに高揚した様子だったのです。最初の落胆と次の高揚、この対照はあまりにも不自然でした。」

「最初の訪問の際、福島第一原発の3基の原子炉で発生したメルトダウンは、『国の恥』とも言うべき、日本そのものに対する打撃でした。ところが2度目の訪問の際、実際には事故現場の深刻な状況が隠されるか報道されなかったというだけであったにもかかわらず、福島第一原発の状況は落ち着いているという誤った認識が、日本全体に広がっていました。」

「恥ずべき状況、それこそは人間が何としても避けたい、あるいはできるだけ小さなものに見せたいと思うものです。」

「しかしこと福島第一原発の事故に関する限り、それこそは最も危険な考え方なのです。」

「福島第一原発の事故程のものになれば、その被害を最小限のものにするためには、考え得る限りあらゆる手段を検討しなければなりません。差し伸べられた援助の手は、すべて受け入れるという態度が必要です。そうしなければ長期間の人間に対する悪影響を、最少のものに留めることは出来ないのです。」
エンゲルハート氏がこの点を特に強調しました。

ワン氏は福島第一原発の事故による汚染の広がりは、平均的な日本人が考えるよりずっと広い範囲に及んでいると考えています。

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「私が日本を訪問した際、一つ覚えのように繰り返し聞かされた言葉がありました。『これは日本の危機であり、日本人自身の手で解決されなければならないのだ。』というものです。しかし私が実際に見聞きした日本政府の対応は、本当の意味で事故を収束させる取り組みには程遠いものでした。」

「代わりに私が目撃したものは、政府関係者が傷ついた自らの立場を修復するための努力、そして現在の事態が如何に緊急性の高いものであるかという事に対する理解の欠如、それらが本当に必要な対策を実施する妨げになっているという事実だったのです。」

* *          * *          * *

4回の訪日のすべてにおいて、ワン氏とそのチームは、日本の民間企業や民間団体の人々から熱烈な歓迎を受けました。
ワン氏の会社の技術と機材を日本に輸入したいと申し出る日本企業が何社も現れ、彼はこれらの企業が日本政府の頑なな態度を改めさせることになるだろう事を疑いませんでした。

しかし福島第一原発の事故から2年が過ぎ、ワン氏のパワープラス社の機器はただの1台も導入されることは無く、同社が除染の契約を獲得できた場所は1か所もありませんでした。

しかしこの日本政府の冷たい反応は、ワン氏のパワープラス社に限ってのことでは無かったのです。

日本の企業も、アメリカの企業も、除染についての専門的技術・知識を提供できる企業に限って、何十という会社が福島の現場に入ることが出来ませんでした。

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しかし保健物理学者のウェイン・ショフィールド氏はこの結果について、さほど驚きはしませんでした。
ワン氏の会社を上回る規模を持ち、原子力事業や核実験の後始末について数多くの実績を持ち、ショフィールド氏が顧問を務める、アメリカを代表する会社が、より大規模なデモンストレーションを行い、より多額の経費をかけたにもかかわらず、ほとんど結果らしいものを手に入れることが出来なかったからです。

ショフィールド氏によると、アメリカで除染や放射能測定に関わる企業が得た情報によれば、日本政府による他国では考えられないような。馬鹿げた理由による締め出しが、ほとんどすべての会社に対して行われたのです。

「日本とアメリカでは、土壌そのものが異なります。」
海外企業の専門知識を福島で活用しようとしないことについて、環境省福島除染推進チーム次長(経済産業事務官と併任)の西山英彦氏が語った理由もその一つです。」
「もし県内を多数の外国人が行き来するようになれば、福島の高齢のおじいちゃん、おばあちゃんが皆怯えてしまうでしょう。」

しかし日本国内の専門知識を有する企業も、海外企業と似たような成果しか得ることはできなかったのです。

では除染の契約はどこへ行ったのでしょうか?
契約したのは除染に関する専門知識を持たない代わり、政治的な力を持つ日本の大手建設会社でした。

大手建設会社による福島県内のずさんな除染作業にあきれ果て、福島県のリフォーム会社の社長である志賀正文氏がニューヨークタイムズの取材に対し、こう語りました。
「今、福島で起きていることこそがまさに、日本人にとって不名誉な出来事なのです。」

自然災害も、人間がおこす事故も、打ち寄せる波のように防ぎきることは不可能です。

いつの日か歴史が審判を下す日が来るでしょう。

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福島第一原発の事故は、単に災害として片づけられるものでは無かった。
恥ずべき日本の官僚主義によって、あってはならない対応が繰り返され、事態はさらに悪い方向へと進んで行った。

そして後手に回る対応が繰り返されて現場は機能せず、でたらめの放射線測定値が公表され、国内外の専門知識と専門技術を持つ企業が、除染や事故収束作業から締め出された。

「我々には、いかなる援助の手も必要ありません。」

日本政府はありもしない国のプライドを優先し、市民の命を危険にさらす道を選択したのです。

〈 完 〉

http://fairewinds.org/demystifying/cleanup-from-fukushima-daiichi-technological-disaster-or-crisis-in-governance
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この記事に書かれた現実を、私たちは胸にきざみつけ、考え抜かなければならないと思います。
これまで私たち日本人は、こうした官僚の腐敗、政治の腐敗あるいは『裏切り』について
「何だかねー…」「やっぱりねー…」
で終わらせてきました。

だから福島第一原発の事故では、福島を始めとする被災者の方々が塗炭の苦しみの中から、未だに抜け出せずにいるのだと思います。
自民党の政調会長の口から出た、信じられないような発言。
この記事の結びの通りではないでしょうか?

現実を変えて行く、それは政治家の責任では無く、まずは私たちの責任です。

アメリカの除染の専門家が明らかにする、本当の汚染状況 【 人の手によって作られ、人の手により悪化していく福島の危機 】〈第3回〉[フェアウィンズ]

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除染の対象をセシウムにばかり限定する日本政府
ストロンチウム-90による汚染については、日本政府は調査をしていない
除染しそこなった放射性物質は、そこに『固着』してしまう

アート・ケラー / フェアウィンズ 6月13日

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エンゲルハート氏は日本が行っている放射線量の測定と除染について、もう一つの問題点を指摘しました。
日本が行っている除染は、セシウム134と137にばかり集中しているというのです。

「確かにセシウムは汚染物質中、最も量が多いものです。そして放射線の中でも透過力の高いガンマ線を放出することで知られており、標準的な線量計で測定が可能です。」
「しかし環境中に放出された放射性物質の中で、セシウムだけが毒性を持っているわけではありません。検出が容易だからと言って、セシウムだけが問題だというのはおかしな話なのです。」
エンゲルハート氏はこの点を強調しました。

この問題に対する懸念を表明するのは、エンゲルハート氏だけではありません。

チームのメンバーであり、経験豊かな放射線保健物理学者であるウェイン・ショフィールドがこう語りました。
「私の考えでは、汚染が深刻な場所では高線量のセシウムの存在が確認できます。しかしこうした場所では、ストロンチウム-90、プルトニウム、コバルト、その他の汚染物質もまた、非常に危険な存在である可能性が高いのです。
ストロンチウム-90の半減期は約30年です。そして、ストロンチウム-90は『ベータ線崩壊物質』です。
放射線の中でベータ線は携行タイプの線量計での検出は非常に難しく、わずかな量の汚泥や落ち葉などによって簡単にさえぎられてしまうものなのです。」

検査
一般論として言えば、放射線の中でアルファ線やベータ線は、人間の体外に存在する場合はほとんど問題がありませんが、いったん体内に取り込まれてしまうと、非常に危険な存在になる可能性があります。
「ストロンチウムが体内に入ると、人間の体はそれをカルシウムとして認識します。そして人体で免疫を司る骨髄と隣り合わせるようにして、背骨の中に取り込んでしまうのです。そうなってしまうと、その後どのような悪影響が現れるか、予測がつかないことになってしまうのです。」

保健物理学者であるウェイン・ショフィールドは、他の汚染物質を考慮せず、検出と除染の対象をセシウムにのみ絞り込むことが誤りであるという指摘に同意しました。
「汚染がひどい地点の特定と除染を行う際、対象をセシウムに限定してしまうと、他の放射性物質による汚染を見逃してしまう可能性があります。」

2012年3月に日本の厚生労働省が公表した、食品に含まれる放射性物質に関するガイドライン( http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/20130417-1.pdf )の中では、ストロンチウム-90については「半減期1年以上のすべての核種を考慮」するとして言及しています。
しかし脚注部分にある曖昧な表現を読むと、果たして日本政府は真剣にストロンチウム-90、プルトニウムと他の汚染物質の検出に取り組んでいるのか、それとも単に一般的に推定されるレベルを参照しているに過ぎないのか、疑問に思えてくることは確かです。

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「実際にその場所に存在するセシウム以外の放射性物質全てが、人体に影響を及ぼすわけですが、このガイドラインの数値はセシウムの値を基に『推定』されたものに過ぎません。」

こうした対応について、エンゲルハート氏は以下のように考えています。
「セシウム以外の放射性物質の存在については、彼らは適当に数値合わせをすることにした、私にはそう見えます。」
「現在の原子力産業では、ガンマ線の照射量によってベータ線の放射量を推定するという手法が用いられています。これによって正常に機能している原子炉内部で何が起きているかを把握できる、これは産業界の人間なら誰でも知っている事実です。」

「しかし事故となれば話は全く別なのです。環境中に放出されてしまったそれぞれの放射性物質が、互いにどのような作用を及ぼし合うか、それは未知の分野なのです。
環境中のアルファ線やベータ線の放射量を特定するためには、実地に測定する以外の方法は無いのです。」
「しかしその測定のためには、さらに多くの機材と人員を投入しなければなりません。」

ARSインターナショナルの放射線学研究サービスの副社長であるヴァージーン・マリガン氏は、ストロンチウム-90を検出することの難しさ、費用が高額になる点について説明してくれました。
「ストロンチウム-90の存在を特定するためには、14日~20日間、化学反応の結果を待たなければならないのです。そしてその費用は高額になります。」

汚染03
しかしその事と、日本の当局がセシウム以外の放射性物質の検出検査を行わないという事とは、また別の問題であるはずです。

検査をさらに難しくしているのが、水の存在です。
水はアルファ線、ベータ線、そしてガンマ線に対してもそれを遮る作用があります。
液体、あるいは水分を多く含む食品の放射線量を測定する場合、専用の非常に感度の高い機械、普段研究室に設置されているような精巧な機器で測定しないと、正しい検査結果が得られない可能性があります。

保健物理学者のウェイン・ショフィールド氏は、福島の汚染状況の推移を見ながら、ちょっと聞くとこう推論しました。
『事故発生直後はひどかった福島の汚染は、時間の経過とともにずいぶんと下がったものと考えられます。数値が下がった原因は雨、そして風の存在です。時間の経過とともに、80%の放射性物質が洗い流され、あるいは吹き飛ばされて行ったものと考えられます。』

事故の発生からちょうど一年後、ワン氏とそのチームが発見した『ホットスポット』のひとつ、それは道路にたまった雨水を集める側溝の上に置かれた、格子状の金属製のフタでした。
その放射線量は、アメリカ国内の原子力発電所で職員がその場所に行かないように制限を加えるかどうか、検討を始めなければならない値の5倍という値でした。検出されたのは、ガンマ線、そしてベータ線の双方です。

除染01
この極度に汚染された側溝のふたが意味するものは何でしょうか。
それは雨などによってその場所から洗い流された放射性物質は、その後消滅するのではなく、人間や動植物の生存権に残り続けるという事実です。

2010年、ドイツで捕獲された1,000匹以上のイノシシから、政府が定めた基準量を超える放射性物質が検出されました。原因となったのは1986年のチェルノブイリ原発事故です。

最も近いところでも、ドイツの国土からチェルノブイリまでは1,000キロ以上あるにもかかわらず…

エンゲルハート氏は、さらにこう説明しました。
「子細に観察すれば、これらの場所にあった放射性物質のうち、こびりついたり隙間に這い込んでいなかったものが雨で洗い流されたり、風で吹き飛ばされたり、あるいは除染で取り除かれ、現在までに80%程が取り除かれたというこことが解るでしょう。」
しかし残った20%の放射性物質については、状況は同じではありません。

「放射性物質、すなわち汚染物質は、彼らが時間の経過とともに付着していた物質に固着してしまっています。
かつて簡単に拭き取ることができた数種類の汚染物質、現在は化学的結合、または分子的結合によって、そこに固着してしまっているのです。こうなってしまうと、除染によってこれらの放射性物質を取り除くことはきわめて困難になります。」

〈 第4回につづく 〉

http://fairewinds.org/demystifying/cleanup-from-fukushima-daiichi-technological-disaster-or-crisis-in-governance

アメリカの除染の専門家が明らかにする、本当の汚染状況【 人の手によって作られ、人の手により悪化していく福島の危機 】〈第2回〉[フェアウィンズ]

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日本政府が派遣した『専門家』たちは、放射線の被害について、ほとんど何の知識も持っていなかった
なぜかアメリカの測定結果より、常に低い数値しか表示しなかった日本の線量計

アート・ケラー / フェアウィンズ 6月13日

PowerPlus
ワン氏とそのチームが最初に除染のデモンストレーションを行ったのは、福島県内で通常の授業が行われていた学校でした。
汚染は広範囲に及び、中でも構内の植物にまで汚染が及んでしまっていることが悩みの種でした。
アスファルトの舗道も汚染されていましたが、その脇に生えている雑草の放射線量は舗道の4倍に達していました。

最も汚染されていたのは、野球場の屋外観覧席のコンクリート製の椅子に生えていたカビでした。
カビはアスファルトの舗装面の70倍の放射線を含んでいたのです。

椅子の表面に生えたカビが、放射性物質を吸い上げるスポンジと化してしまった恐ろしい事態について、エンゲルハート氏がこう表現しました。
「生物が放射性物質による被害を拡大した、注目すべき事例」と。

これに対し、ワン氏はもっと直接的な表現をしました。
「この場所に座って野球観戦をしていた少年は、その体の男性生殖腺に深刻なダメージを受けてしまったに違いありません。」

そして2011年6月、アメリカの除染の専門家が遭遇した、驚きあきれた日本の現実がありました。

彼らが現地で出会った政府が災害を受けて派遣した「専門家」たちは、放射線が人体にもたらす被害についてほとんどどんな知識も持っていなかったのです。

福島放射線量 5
ワン氏とそのチームは日本の「専門家」たちが、持参した線量計を操作する様子をじっと観察した後、こう結論せざるを得ませんでした。
「彼らはその線量計が何を測定しているのか、そして正しい操作方法すら理解していない、そうとしか思えませんでした。」
アメリカ産業界の保健衛生技師でもあるエンゲルハート氏が、こう証言しました。

日本政府の各部署から派遣されてきた3人の職員に対し、ワン氏とそのチームは野球場の屋外観覧席のコンクリート製の椅子が汚染されていることを指摘しましたが、驚いたことにその3人はまさにそのベンチに腰を下ろしたのです。

「信じられませんでした。」
ワン氏がこう語りました。
「警告を受けたにもかかわらず、彼ら政府が派遣した『専門家』たちは、不見識にも高濃度に汚染されたベンチに座るという事をして、しなくても良い被ばくをしてしまったのです。私は後々のため、写真を撮らなければなりませんでした。」

しかしその後訪日を繰り返す中で、エンゲルハート氏は彼が出会った日本の放射線技術者の専門知識は非常に高いものであることを知ることになりました。

「私たちは最初の訪日で各地を巡っていく間に、『第一線』の専門家たちが、福島第一原発周辺の最も放射線量の高い場所に集中していたことを知りました。私たちの対応をしていたのは『三流』の専門家たちだったのです。」

福島放射線量01
「しかし最初に出会った『専門家』たちの知識の無さには、面食らわざるを得なかったというのが正直な感想でした。」
エンゲルハート氏がこう語りました。

エンゲルハート氏は、福島第一原発の約60キロ北西にある福島市内で、別の深刻な問題が起きていることを表す、ある事実に遭遇することになりました。
福島市内では住民たちのために毎日測定された放射線量が、メディアなどを通じ公開していました。

しかしエンゲルハート氏は念のため持参した測定器具を取り出し、福島市内の放射線量を測定しましたが、その数値は公表されている放射線量よりも50パーセントも高いものだったのです。

「日本の当局が使っていた測定機器に問題があったのか、それとも本当の放射線量を故意に隠蔽しようとしたのか、私には解りません。しかし福島市の人々に対して提供されていた放射線量の数値、それが間違っていたことだけは確かなことです。」

ワワン氏が初めて福島県を訪れた際のことでした。
彼は福島県庁からやって来た当局者に、放射線の線量計による測定結果について、通常用いられる報告様式の中のどれを採用すべきか尋ねたところ、帰ってきたのは叱責でした。
「馬鹿言っちゃいけない。公表するのは平均値などではなく、測定した中で、最も低い数値だけだ!」

ワン氏はその不正確・不誠実なやり方に従うよう求められ、結果彼自身不本意ながらも、放射線量の過小報告に加担する結果となりました。

福島市の放射線量について正しい情報が提供されなかったこと、そして放射線量の過小報告については、エンゲルハート氏とワン氏が直接目撃・遭遇したものに留まらないことは明らかです。

最初の訪日の際、エンゲルハート氏とワン氏は自分たちが持ち込んだアメリカ製の測定機器、そして日本の測定機器、その両方の測定結果を比較・検証しました。
その結果、なぜか日本の調査班が持参した機器の測定結果はアメリカ製に比べ、常に30%から50%低いことが解りました。

放射線
ワン氏と彼のチームは、予め放射線量が特定の値に固定されたテスト用の機器を取り出し、測定機器を調整し直しました。
その結果、アメリカ側の調査結果は間違っていないことが解ったのです。

翌日になって、日本の調査班は使っていた測定器を調整し直して現場に現れました。
そして日本側の測定結果に問題があった原因は、『ケーブルの不具合』にあったと弁解しました。

しかし、エンゲルハート氏はその答えを疑いました。
「私の経験から言うと、ケーブルに不具合があれば、測定結果はゼロになるか、測定不能を示すか、あるいはでたらめな測定値が表示されるか、そのいずれかなのです。」
「ケーブルに問題がある場合のあり得ない『故障』、それは常に一定の割合で低い数値を表示することです。」

〈 第3回につづく 〉

http://fairewinds.org/demystifying/cleanup-from-fukushima-daiichi-technological-disaster-or-crisis-in-governance
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さすがに各種の報道や論文の中からフェアウィンズが厳選しただあって、私自身これまでどうしてもわからないと思っていたいくつもの疑問が、明快に解き明かされています。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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