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朝鮮半島の南北会談・平和への前進とまだ残る不安[社説]

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70年にわたり厳しい分断状態に置かれてきた韓国北朝鮮国民は、南北首脳会談の実現を心待ちにしていた

今回の南北対話は本質的で実りある交渉の始まりを告げるものであり、アメリカと北朝鮮との新たな関係の始まりでもある

 

ニューヨークタイムズ 2018年4月27日

4月27日金曜日、南北朝鮮の国境をまたいで展開された衝撃的な政治劇の後となっては、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の本心について様々に邪推したり、数週間後に予定されているトランプ大統領との会談がうまくいくはずが無いと誹謗することは、むしろ言っている人間の了見の狭さを露呈することになるでしょう。

 

結論から言えば、核兵器を使った報復合戦という最悪の事態に備えなければならなかったわずか数ヶ月前の緊迫した状況と比べ、今回の南北首脳会談の様子は全く対照的であり、直接の対話を実現させたことは刃物をチラつかせながら対決姿勢をとるよりもはるかに良いということを衆目の下で明らかにしました。

 

金委員長と平和主義者である韓国のムン・ジェイン大統領との会談は、70年にわたり厳しい分断状態に置かれた国民にとって心待ちにしていた出来事であり、その希望と長い間心に秘めた思いを思い起こさせる役割を果たしました。
すべての場面に象徴的意味があふれていました。

二人が行き来した国境を示すコンクリートブロックの間に挟まれた通路には、これまで北朝鮮の金氏一族が足を踏み入れたことはありませんでした。
停戦によって朝鮮戦争が1953年に休戦状態に入った際に植樹が行われた土地には、二人を守るように旗と幟をささげ持った19世紀の高麗王朝の儀仗隊が控えていました。

 

両首脳が署名した「板門店宣言」は朝鮮半島の核兵器を廃絶し、最終的に平和条約を締結することを約束し、会談の雰囲気同様に明るさに満ちたものでした。

 

トランプ大統領もこうした高揚感に同調するコメントを行いました。
「朝鮮戦争は終わった!」
彼は大喜びでこうツイートしました。
「米国とその偉大な国民は、現在韓国で起きていることを大いに誇りに思うべきだ!」

一方でほとんどの専門家は次のように疑いを持っています。
金正恩氏は依然として絶対的支配権を保持するためにはどんな手段でも使う、残虐な国家の残忍な支配者であり、金氏一族が何年もの歳月と多額の費用を費やして開発した核兵器を簡単に諦めるとは考えられず、結局のところ何も変わらないだろう、と。

 

金正恩氏が思い描く朝鮮半島の非核化とは「漸進的かつ見返りを得ながら進む」ものであり、経済的利益と北朝鮮の現在の体制の維持についての保障、そして韓国に対する核の傘を米国が引き上げる事と引き換えに部分的かつ段階的に前進すると思われます。
これらの点は交渉が難航することが予想され、トランプ政権が意図する合意事項とも大きく食い違っています。

 

そして同時に金正恩氏は貧困にあえぐ北朝鮮の生活水準を引き上げる事に根っ真である事は明らかで、保有する核兵器を取引材料として利用して厄介な経済制裁の解除と現在の体制の継続についてアメリカの了解を取り付けるべく交渉の準備を進めています。

 

米国の国家安全保障問題の顧問に新たに就任したジョン・ボルトン氏は就任する以前あるインタビューで、トランプ・金正恩首脳会議は必ず失敗すると語り、かえって次の段階への障害を取り除く事になるだろうと語っています。
次の段階とは先制攻撃だと考えられています。

しかし長い間対立を続けてきた北朝鮮と韓国は板門店宣言によって新たな時代が始まった事を劇的に宣言したことは、否定的な観測をしてきた人間たちを狼狽させる事になりました。
そして今回の南北対話は本質的で実りある交渉の始まりを告げるものであり、両国民が期待を持って良いものです。
さらにそれは韓国北朝鮮の2国間にとどまらず、アメリカと北朝鮮との新たな関係の始まりでもあります。

 

韓国北朝鮮の2国間協議の成功は、平和の実現に向けて動き出した現実を尊重するように、トランプに圧力をかける事になるでしょう。
北朝鮮との真摯な交渉に我慢強く取り組み、一方的な要求や脅迫や恫喝を行う事なく平和の実現に努力するよう求める事になるでしょう。

これからの交渉は長い時間をかけて行われる事になるでしょうが、衝動的でその行動を予測し難いトランプ大統領と金正恩委員長の手を核兵器の発射ボタンから遠ざける事ができるだけでも、世界にとっては喜ぶべきことであるはずです。

 

https://www.nytimes.com/2018/04/27

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朝鮮戦争いうものを、手前勝手な日本史的立場ではなく客観的資料を揃えた世界史的立場から見た時、それがいかに惨烈で残酷なものであったかを理解することができます。

まして日本の高度成長のきっかけを作ったのがその朝鮮戦争であったことを思えば、今回の会談を機に韓国朝鮮の人々が平和の実現を心から願ったことを貶める理由が私たち日本人にあるでしょうか?

 

今回の会談を茶番だとか言って貶める人間たちは、己れの志操の低さ、この記事にあるように了見の狭さ、そして普遍的人間性の欠如という点について、真剣に考えてもらわなければなりません。

私物化した権力の上にあぐらをかいたがゆえの没落【 党内派閥の逆襲・アベ一強の終わりと主導権争い 】

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独裁政治を好み、国家統制主義を賛美し、どんな手を使ってでも相手を陥れようとする派閥の巣窟・自民党
安倍首相は内閣官房に権限を集中させ、自分に忠誠を誓う政治家だけを厚遇して自分を守っている

安倍首相のやり方のすべてが、何事も話し合って結論を出すという戦後の政治からの逸脱を加速している

 

エコノミスト 2018年4月19日

4月中旬、数々のスキャンダルの渦中にある安倍首相は今最も恐れなければならない事態に遭遇しました。
同じく首相を務めた先達である小泉純一郎元首相に、ダメ出しをされてしまったのです。
小泉純一郎元首相は2000年代初めの頃、安倍氏が今日の政界における地位を得るまでの道筋を作りました。
その小泉氏がかつての子分(原文は protégé フランス語で被保護者、子分)に対し、もう辞めるべき時だと発言したのです。
小泉元首相は、支持率が下がり続けているにもかかわらず、安倍氏が首相の座にあくまでしがみつけば、自民党は来年予定されている参議院議員選挙で敗北することになるだろうと警告しました。

 

▽自由主義者でも民主主義者でもない自由民主党が指向するのは独裁制と統制国家

 

安倍氏は今年9月には自民党の総裁として3期目の任期を確保するために選挙に臨む予定になっています。
昨年行われた衆議院の解散総選挙を含め、安倍政権になってから国政選挙の度に勝利を重ねてきた実績から、自民党はこの秋の総裁戦でも安倍氏は総裁候補として本命視(原文はshoo-in 八百長で勝つ馬という意味もある)してきました。

実際自民党は安倍氏が3期目の総裁になれるよう、党則の変更も行いました。

しかしその後、自分自身のスキャンダルに加えて高級官僚の不祥事が相次ぎ、安倍首相の支持率は2012年に再び首相として返り咲いて以来最低水準に落ち込んでいます。
もし秋の自民党総裁選挙に立候補すれば、投票で手強い挑戦者に直面する可能性が高くなっており、安倍首相の運命は派閥争いを繰り広げる領袖たちの手に委ねられることになりそうです。

4月なかば安倍首相が訪米中に自民党の一部の重鎮たちが夕食会を開き、報道機関はこれを総裁戦に向けた駆け引きの始まりだと伝えました。

 

自民党についての耳慣れた冗談は、彼らは自由主義者でも民主主義者でもないということです。
その実態は独裁政治を好み、国家統制主義を賛美し、しかも政党とは名ばかりのどんな手を使ってでも相手を陥れようとする派閥の巣窟でありながら、1955年以降ほぼ途切れることなく政権の座に座り続けてきました。

自民党の派閥はそれぞれが独自の指導者、事務所、銀行口座を持っており、西側先進国の政治社会にあっては異質な、しかし公の機関です。
自民党国会議員の大半はそのいずれかの派閥のメンバーです。

 

▽自民党は左派やリベラルが政権の座につかないようにするという、その一点だけで結びついた烏合の衆

 

自民党は左派やリベラル派が日本の政権の座につかないようにするという、その一点だけが同じ目的の、思想的にも立場的にも異なる右派右翼の団体が同盟して結成された政党ですが、派閥の起源もそこにあると政治学者の猪口孝志氏が語りました。
これは各選挙区から4〜6人の当選者が選ばれた一昔前の日本の中選挙区制度の下では特に重要なことでした。
この制度の下では自民党所属の候補者が互いに競争することになり、他者より有利になるためには派閥ごとの資金と選挙組織が必要だった、自民党の政治家である中山泰秀氏がこのように説明しました。

しかし中選挙区制は1994年に廃止になり、同時に強力な派閥の主な存在理由も失われました。
その結果自民党の党首には強く自己主張できる機会が与えられることになったのです。
第二次世界大戦以降日本の自民党内には英国政界と比べ2倍以上の数の派閥が存在してきましたが、中選挙区制の下では派閥争いが熾烈になるとたちまち首相の座が揺らぐことになりました。
しかし中選挙区制の廃止の結果、小泉純一郎首相や安倍首相が1960代以降最長期間首相の座に座り続けることを可能にしたのです。

 

安倍氏は首相に再任して以来、内閣官房に権限を集中させスタッフを大幅に拡充しました。
日本の研究機関である政策研究大学院大学の研究員の竹中春香氏は、これにより安倍首相の側近政治は特に軍事政策・経済経済政策の分野で担当省庁や自民党の政策研究機関の頭越しに政策を実施するようになったと語りました。


この自民党の執行機関が各選挙区の候補者を選び、官僚組織内の責任者の選出を行います。
内閣官房は自民党の選挙候補者を選出し、官僚組織内の任命権を握っています。
この結果、他者より優位に立つために、議員たちは派閥より何より内閣官房に忠誠を誓わなければなりません。

安倍氏は、政府内の下位の方のポストについては派閥のバランスを考慮していますが、強力な権限を有する省庁の大臣ポストは自分が気に入った人間にだけ与えています。

こうした安倍首相のやり方のすべてが、何事も話し合って結論を出すという戦後の政治からの逸脱を加速していると、東京大学のケネス・モリ・マックエルウェイン氏が指摘しました。

細田派(安倍氏が率いる自民党の最大派閥)はどの派閥にも増してプロパガンダ的性格が強い、政治学者であるアーサー・ストックウィン氏がこう記しています。
「細田派は1950年代にさかのぼる一連の政策理念を推進することに強い関心があります。」
だからこそ安倍首相は国民に不評の平和主義憲法の書き換えに執着するのです。

 

しかしプロパガンダとはあまり縁のない、リーダーの野望へと行き着くための乗り物としての派閥の機能はなくなったわけではない、こう主張するのはコンサルティング会社テネオ・インテリジェンスの日本問題を専門家であるトビアス・ハリス氏です。

 

つい最近、自民党内で3番目に大きな派閥に関わるちょっとしたトラブルがありましたが、さらに大きな問題に発展するかもしれません。

その派閥の会長であった額賀福志郎氏が3月に会長辞任を余儀なくされました。
理由の主なものは額賀氏が会長を務める額賀派(平成研究会)が満足できる閣僚ポストを手に入れることができなかったことです。
額賀氏に代わって会長の座に着いた竹下亘氏は、総裁選挙で安倍首相への支持を撤回することをほのめかし、対立する姿勢を鮮明にしています。

竹下氏の派閥の多くは、首相周辺で相次いでいる不祥事にも不満を募らせています。
安倍政権の麻生太郎副首相兼財務大臣は自民党の2番目に大きな派閥の領袖ですが、キングメーカー気取りなのかもしれません。

安倍首相の没落について、小泉元首相はまだどの派閥にも所属していない長男進次郎氏が首相候補者として一躍躍り出るチャンスを感じているかもしれません。

 

自民党の派閥体制は安倍首相によってその影響力をだいぶ殺がれましたが、そう簡単に無くなりはしないのだという事を安倍首相に突きつけるかもしれません。

 

https://www.economist.com/news/asia/21740760-shinzo-abe-trouble-different-tribes-within-ruling-party-cabals-japans-prime

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今回の原文には見慣れない英単語(主にこきおろす類の)が頻出し、だいぶ勉強させてもらいました。

この[星の金貨]は、福島第一原子力発電所の事故後、電力業界、原子力行政・産業界、そしてアベ政治があまりも手前勝手な主張を国内で展開し、それに拍手喝采を贈るメディアや評論家などが群がり出てくる有様に我慢できず、「国際社会の正論はそんなものじゃないぞ!」という反論をいちいちぶつけていくために始めたものです。

 

21世紀の妖怪図鑑を作るわけじゃなし、これまで自民党の派閥の詳しい中身になど興味はありませんでしたが、今回はだいぶ勉強させていただきました。

ただでさえ冒頭の写真の方に関連する記事の掲載回数が多くなっており、その都度日本が劣化している事実を突きつけられ不本意この上ないのですが、民主主義を守るためには[星の金貨]も微力ながら火の玉にならざるを得ません。

 

イチかバチかの訪米とトランプとの会談、見事にしくじった安倍首相

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支持率は30%以下・安倍首相の最後の望みの綱は、拉致問題解決をトランプに任せてその功績を横取りすること
すでに韓国やEU諸国が手にした鉄鋼・アルミへの関税免除、安倍訪米はそれすら解決できなかった

 

マーティン・フリッツ / ドイツ国際放送 2018年4月17日

 

日本の安倍晋三首相は自国で急落している支持率を回復させるために、ドナルド・トランプ大統領との良好な個人的関係を利用することはもう不可能だということを、わざわざフロリダまで出かけて行った挙句、思い知らされることになりました。
それどころか日米関係に複数の新たな問題を生じさせる可能性すら見えてきました。

 

国内では自らの身辺で不祥事が相次いだために支持率の急落に直面し、対外的には日本の外交政策がほとんどうまくいかないという窮地に陥った状況のまま、フロリダ州にあるマーララゴ・リゾートでのトランプとの会談に臨みました。

 

日本国内では首相自身の個人的に交友関係のある人間に対する不適切な政治的便宜を図った問題で、そして主要官庁では公文書の改ざんや隠蔽などの問題が次々に暴かれ、いくつかの世論調査では安倍政権の支持率は30%を下回っています。
打ち続いたスキャンダルにより、今年初めには確信できていたはずの安倍氏が自民党総裁として第3期の任期を確保するという見通しには黄色信号が灯り、どころか総裁選挙以前に追い込まれる可能性も出てきました。

一方で日本は2つの重要な問題について、トランプ政権が採った立場に不快感を持っています。

 

ひとつ目は米国大統領が突如方針を転換し、安倍首相が主張し続けてきた北朝鮮に対する強硬姿勢を放棄したようにも受け取れる事態です。
トランプは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記と直接会談することを発表し、安倍首相や世界中を驚かせました。
この会談は今年5月または6月初めに予定されています。

日本はそれによってアメリカを初めとする国際社会から冷たくあしらわれるようになることを恐れており、トランプに対しあらためて北朝鮮に対する強力な制裁措置を続けさせ、決して米朝協定の締結などさせないようにしたいと考えています。
でなければ日本はアメリカ本土には届かない北朝鮮の短距離ミサイルの脅威に直接晒される危険性があると考えています。

 

日本が苦しんでいるもう一つの問題は、米国が鉄鋼とアルミニウムの輸入に課した関税です。
なぜならEUや韓国、その他の米国の主要同盟国はすでに関税の免除措置を受けているにもかかわらず、安倍氏が首相を務めている日本は関税を免除されていないのです。

 

「台本なしの」会談

 

この二重の打撃は、安倍首相にとっては驚きでした。
トランプの大統領直後、安倍首相はどの国の政治家よりも早く会談を行い、トランプ・アベのコンビは政治的にも近く、個人的にも親密な関係にあると見られていました。

2人はこれまで5回直接会談し、電話も含めると20回のやりとりがあります。
安倍首相はトランプについて批判的な発言は一度も行ったことはなく、ゴルフ場では2人は最高の仲間のはずでした。

日経新聞の報道ではトランプの方針転換により2人の間の信頼関係について確信が持てなくなった安倍首相は今回のフロリダ訪問では台本のない「一か八かの」賭けに出ました。
先週安倍首相は国内の担当官僚と数時間にわたる「予行演習」を行い、トランプとの会談に臨むにあたりいくつかのシナリオを用意していました。

一見すると北朝鮮問題が議題のトップです。

 

目下のところは北朝鮮に課せられた国際的な制裁が緩和されることはないでしょうが、北朝鮮と米国の間で相互理解が進めば、日本政府は自国の利害が無視される可能性があることを懸念しています。

近隣諸国の中で日本は唯一、北朝鮮との対話のための外交努力をしていない国である。」
日本のリベラル系報道機関を代表する朝日新聞はこう伝えました。

 

結局のところ安倍首相は米国側に北朝鮮との会談の際、数十年前北朝鮮により拉致された日本人の開放について取り上げるよう要請したいと述べました。
トランプはおそらくこの要望を実現させることができるでしょう。

貿易問題では厳しい姿勢のトランプ

 

安倍トランプ会談のもう一つの難しい課題は貿易です。
会談に先立ちトランプはツイッターで、貿易問題に関する議論の入り口で日本側がまず譲歩する必要性があると再度断言しました。
その翌日米国財務省は日本を「不公平な通貨政策」を行っている国の監視リストに入れ、日本との間で継続的に大規模な貿易赤字が発生し続けている状況を批判しました。

 

こうした背景に加え、特に米国の農業ロビーが日本市場への参入規模の拡大を主張していることから、貿易・通貨政策は安倍・トランプ会議でしばしば主要議題になっています。

アメリカは農業大国でもあり多数の有権者がいることを考えれば慎重でなければならないはずですが、トランプ大統領は『アメリカにとって実質的な改善』が成されることを条件に、バラク・オバマ大統領政権が交渉を続けていた野心的な自由貿易協定である環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉への復帰を再度確認しました。

 

しかしこれまでのところ日本は、最終的には日本の輸入割当と関税についてさらなる譲歩を求められる可能性があるため、トランプの声明に対しては慎重に対応しています。

 

難しい局面

安倍首相は代わりに米国への日本の直接投資を約束し、新しい形式の貿易交渉を提案すると同時に、鉄鋼製品とアルミニウムの輸入に対する懲罰的関税率の引き下げについてトランプを説得したいと考えています。
しかしトランプは、関税率と貿易協定の関連性に着目しています。
わずか数週間前韓国政府は米国の圧力に屈し、より多くの米国製自動車を韓国市場への受け入れと、米国への鉄鋼輸出を減らすことを提案し、トランプにとっては成功例となりました。
この結果韓国は、鉄鋼・アルミニウムの関税率引き上げの免除を受けました。

 

日本の麻生財務相は最近米副大統領マイク・ペンスと複数回の会談を行い、米国との二国間貿易交渉を拒否しました。
日本側はアメリカが再度参加した形でのTPP交渉のやり直しや二国間交渉を受け入れたくないため、安倍首相はフロリダで難しい立場にある。
「日本としては二国間の自由貿易協議を開始するよりも、懲罰的な関税を受け入れる可能性が高いでしょう。」
テネオ・インテリジェンスの日本担当アナリストのトビアス・ハリス氏はこうツイートしました。

 

http://www.dw.com/en/japanese-pm-abes-all-or-nothing-meeting-with-trump/a-43417696

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安倍政権の誕生以降、日本の国際的品位の劣化自民党の劣化官僚の劣化を筆頭に、あらゆる分野であらゆることが『劣化』を続けているとお感じの方が大勢いらっしゃるのではないでしょうか?

私も政権発足直後から、安倍氏は政治家という器ではなく政治『屋』だと思ってきましたが、国家予算を国や国民のためでなく個人的利害や自分のために何のためらいもなく湯水のように使う無節操ぶりに、政治屋を通り越して『政治ゴロ』という言葉すら脳裏に浮かぶようになりました。

 

そして今度は拉致問題という被害者の家族の方々が日夜泣き暮らさなければならないような極めて深刻な人権問題について、他国の大統領に解決を任せるというあまりの無責任さに加え、うまくいったらその功績を横取りするまでの筋書きを仕組むとは、あまりといえばあまり、人間性に悖る(もとる)と言わなければなりません。

 

水陸両用部隊を創設した日本、第二次世界大戦以降初めて

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日本国憲法による各種の制約があるにもかかわらず、日本の軍事力は世界で最も強力なもののひとつ

『北朝鮮情勢』を口実に、国民の意向とは無関係に日本の軍事力の強化と憲法改定を急ぐ安倍首相

 

ヨウコ・ワカツキ、ベン・ウェスコット、ブラッド・レンドン アメリカCNNニュース 2018年4月9日

日本の新しい水陸両用部隊の緊急出動訓練(写真)

 

離島に対する侵略を撃退するためとして日本の自衛隊が水陸両用特別部隊(水陸機動団)を創設したことに、中国政府が警戒感を示しました。
日本と中国は東シナ海の島々、特に中国側の呼称・釣魚島、日本側の呼称では尖閣諸島の名で知られる無人諸島をめぐり歴史的に長い間領土紛争が続いてきました。
自衛隊は九州の佐世保市近郊で行われた記念行事で、4月7日に新たに編成された水陸機動団(ARDB)を正式に公開しました。

侵略してきた敵の軍隊から島を取り戻すことを想定して、カーキ色の迷彩で偽装された新しい部隊の約1,500人の隊員が公式の演習を行いました。
この部隊の創設により、日本は第二次世界大戦以降初めて米国の海兵隊同様の部隊を保有することになりました。

 

中国国営メディアの英字紙グローバルタイムズは、その翌日日曜日の紙面でアジア各国は日本の『軍国主義の復活』について注視し続ける必要があると書きました。
「領土の保全を口実にして、日本政府が軍事主義を復活させる動きを強めているのではないかという疑問を拭い去ることができない。近隣諸国はこうした動きについて、強い危機感を持続させるべきである。」

2017年に中国の沿岸警備艦3隻が尖閣諸島付近を航海するなど、東シナ海では日中間の緊張関係が目に見えて高まっており、両国間の紛争の原因になっています。
中国外務省の報道官は日本の軍事活動については「歴史的な理由から」、近隣のアジア各国として様々な意味で注視せざるを得ないと語りました。
第二次世界大戦の終結以来中国と日本の外交関係は、日中戦争のさなか日本軍が占領中の中国各地で行った様々な行為が原因となり、ずっとぎくしゃくしてきました。

▽ 日本の水陸両用部隊

 

3月31日に国防総省の小野寺防衛大臣が、2,100人の隊員で構成される自衛隊の新しい水陸両用部隊の設立を発表しました。
「離島を侵略された場合に、速やかに島に上陸し、奪回し、確保することが水陸両用部隊の任務です。」
小野寺防衛大臣は記者会見でこう語りました。
自衛隊の公式発表によると「海上機動が可能な水陸両用車を装備する2つの水陸機動連隊によって形成され、米軍との連携を強化することになります。
小野寺防衛相は、この部隊はヘリコプターのように垂直の離着陸が可能な上、航続距離の長い米国製軍用機V-22オスプレイを使った訓練を続けるとつけ加えました。

 

日本の海上自衛隊はヘリコプターを搭載した駆逐艦を含め水陸両方での作戦が可能な軍用艦を保有しており、このうち4隻の艦艇は過去10年間に就航したものです。

小さな航空母艦のように見えるこの船は垂直に着陸できるステルスF-35B戦闘機を運ぶように構成することができ、V-22オスプレイ搭載に対応した構造も持っています。

 

装備の充実を図り編成も新たにした日本の水陸両用部隊ですが、日本戦略研究フォーラムの上級研究員であるグラント・ニューシャム氏は実践における戦闘能力は充分とは言えないと語ります。


ニューシャム氏はそのブログの中で、日本の陸上自衛隊の水陸両用部隊を航空自衛隊並びに海上自衛隊と協働させる必要があると述べています。
ニューシャム氏は日本戦略研究フォーラムのウェブサイトで次のように述べています。
「水陸両用部隊の任務内容は複雑であり、海上、陸上、そして空中での作業が伴い、3次元的な作戦展開が必要です。上陸する部隊には海上自衛隊と航空自衛隊の援護が必要であり、それなしで任務の達成は不可能です。

 

中国政府は東シナ海において止むを得ず軍事力の行使することになれば、ためらいなく自国の領土を守る用意があると繰り返し主張しています。

3月31日新華社通信は、中国外務省のスポークスマンが尖閣諸島を日本の領土とする教科書の採用を日本政府が承認したことについて、「歴史的見解について正しい見解を持つよう」日本側に呼びかけたと伝えました。
「中国は領土主権を断固として擁護しり、釣魚島に対する中国の主権を侵害しようとする試みは無駄に終わるでしょう。」

 

▽ 安倍政権による日本の軍国主義の復活

 

安倍晋三首相は第二次世界大戦後に採択された日本の平和主義憲法の改変をライフワークとしてきました。
安倍氏は2017年5月、2020年までに憲法を改変し新しい憲法が施行されることをを望んでいると語りました。
「2020年に生まれ変わった日本が、新たなスタートを切ることを強く望んでいます。」

近年、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が発射したミサイルが日本の領海内を通過するなど軍事的活動を活発化させている状況が、安倍首相による現行憲法批判を後押ししています。

現在日本は自衛隊の名称で世界的に知られている実質的な軍隊を保有していますが、現行憲法は「国際紛争を解決する手段としての戦力の保持」を禁止しています。
しかし軍事アナリストによれば日本国憲法による各種の制約があるにもかかわらず、日本の軍事力は世界で最も強力なもののひとつです。

しかし日本が軍事能力を復活させることには、第二次世界大戦において日本が過去に行った行為について生々しい記憶があり、アジア各国、特に中国と韓国が抱く警戒感には根強いものがあります。
安倍首相とライバル関係にある自民党内の有力者は、地方メディアの取材に対し、安倍首相は憲法の改定を急ぎすぎており、与党はその「政治的エネルギーをどのように配分するか」を検討する必要があると警告しました。

 

https://edition.cnn.com/2018/04/09/asia/china-japan-island-drill-intl/index.html

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考えてみれば安倍氏が首相を務めていた6年間、誠意がにじむ発言など一度も聞いたことがありません。

軽躁、浅慮、軽薄、虚言、詐欺漢…

この人を考えていると、思い浮かぶ言葉はこんなものばかり。

そのような人間が軍事という巨額の国家予算を要求し、場合によっては多数の国民が血を流さなければならない課題について、思いつくまま好き勝手に弄り回しているのが今の日本です。

これ程危険なことはありません。

だからこそ自衛隊員が国会議員を『非国民』呼ばわりして罵倒するという、軽挙妄動をするのだと思います。

 

私と似た感想を持っている半数以上の国民がいて『安倍政権の下での改憲には反対』しているのだと思い、そのことに少しほっとしてもいるのですが、やはり半数以上の国民は聞かれたから答えるのではなく、聞かれなくともそれぞれが自分ができる形で発信すべきだと思います。

 

私は安倍政権の下での改憲には絶対に反対です。

【 国民をまるめこむ芝居のため、互いを利用し合う安倍トランプ・コンビ 】

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弱り目にたたり目、そして落ち目の安倍首相を精いっぱい歓迎する母国でピンチのトランプ

トランプの来日ゴルフでバンカーに転がり落ちた安倍首相、現実はもっと悲惨な状況

個人的な関係のある2人の教育関係者への特別扱いの便宜を図った疑いを持たれ、窮地に落ち込んだ安倍首相

 

イスハーン・サルドゥール / ワシントンポスト 2018年4月17日

※写真 : 「Grin and bear it : 歯を食いしばって耐え抜こうぜ!」

アメリカ時間17日火曜日(日本時間18日水曜日)、日本の安倍首相は2日間の予定でフロリダ州にあるマーラ・ラゴの別荘でトランプと打ち合わせを行い食事を共にする予定です。
この会談は2人組にとって、互いの窮状を救うための歓迎すべき行事となるかもしれません。

 

安倍首相もトランプ大統領もそれぞれの母国では両者が関わった個人的関係に基づく不当便宜供与の度重なるスキャンダルについて調査機関や報道機関から続々と証拠が提出され、土砂降り状態に置かれています。

トランプがアメリカ大統領に就任して以来、トランプの別荘で2人はこれまで2度会っていますが、今度はアメリカ大統領と日本の首相の会談というものの性質を変えてしまうものになるかもしれません。

それはまた新しく、そしてまとまりのない日米関係というものの幕開けになるかもしれません。

 

これまでのワシントンポストの報道にもある通り、ここ数ヶ月のトランプ政権の動きは日本政府にとって決して愉快なものではありませんでした。
まず北朝鮮との対話を受け入れ、外交関係の構築に向けたプロセスに着手するというトランプ政権の決定は、長年北朝鮮と緊張関係にあった日本の安倍政権の警報を鳴らしました。

そしてトランプ政権が鉄鋼とアルミニウムに対する新たな高率の関税を設けると発表した後、既存の二国間自由貿易協定の条件を改正した後で韓国に対しては免除することを認可したにも関わらず、日本に対しては免除の対象外としました。

そのため日本は主要な同盟国の中で唯一免除の対象外となり、そのことにもトラブルの予感を抱え込むことになりました。

リベラルな立場を採りどちらかというとトランプとは距離を置いている韓国大統領とは異なり、安倍首相は積極的にトランプと良好な関係を築くよう努力してきました。
安倍首相は選挙後に初めてトランプを訪問した国家元首であり、これまで2人は20回会ったり電話で打ち合わせたりしてきました。他の国の首相や大統領と比べ、その頻度は著しく高くなっています。安倍首相のマーラ・ラゴの別荘でのトランプと打ち合わせやゴルフのための訪問は、昨年以来2度目になります。」
ワシントンポストのデイビッド・ナカムラとアンナ・フィフィールドはこう報じました。

「昨年のトランプの日本訪問中、安倍首相は一緒にゴルフをしていた最中、バンカーに転がり落ちました。
しかし現在安倍首相は、自分が原因を作り出したもっと大きなトラップの中に落ち込んでいます。」

 

「安倍首相がある意味トランプの扱い方が上手だと日本人が考えている。それが安倍氏の大きな間違いでした。」
レーガン政権の貿易交渉担当の責任者を務めていたクライド・プレストヴィッツ氏がロサンゼルス・タイムズにこう語りました。

北朝鮮への対応については、トランプと安倍首相の昨年の会談以降、日米両国の立場は明らかに違ったものになっています。

米国が北朝鮮を非核化するように求める交渉過程において、安倍政権はアジア太平洋地区における米国の安全保障の傘をたたんでしまう危険性があると懸念しています。
マーラ・ラゴで安倍首相とそのスタッフは、そうしたことが事実にならないようトランプから保証を取りつけようとしています。

「日本の当局者は、北朝鮮の核兵器や大陸間弾道ミサイルの開発に加え、短距離・中距離ミサイルによる脅威も軽減されるようトランプ政権の政策推進を働きかけるものとみられています。」
ワシントンポストの別の記事はこう伝えています。

さらに安倍首相は1970年代と80年代に起きた北朝鮮による少なくとも13人以上の日本人の未解決の拉致問題など、人権問題についても改めて強調するつもりです。

 

しかしトランプが歴史的な成果を上げて自分の立場を一挙に好転させるというシナリオに熱中すれば、米国と日本の利害の一致は難しくなるでしょう。
「もしトランプと金正恩総書記との会談で事態が急速に進展すれば、安倍政権は非常に不利な立場に追い込まれる可能性があります。安倍首相が恐れているのはそうした事態です。」
東京のベテランの政治ジャーナリストである歳川隆雄氏がワシントンポストの取材にこう答えました。
「安倍首相は北朝鮮問題について日本と米国が一心同体で対応するす必要があるとトランプに伝え、北朝鮮問題や経済問題に関する日本の立場を理解するようトランプに要請するべきです。」

貿易問題については日本が強く支持してきた地域間自由貿易協定である「環太平洋パートナーシップ(TPP)」への復帰についてトランプ政権が検討していることが先週明らかになり、安倍首相は一度は消えてしまつた希望がかすかではあるものの蘇る可能性を感じています。
大統領としてのトランプの最初の仕事のひとつはTPPから米国を脱退させたことであり、その後TPPの加盟各国はアメリカという中心的存在を欠いたまま交渉をまとめるべく取り組んできました。

「もし成功すれば、これまで失態続きだった安倍政権の最悪の失策のうちのひとつを、間違いなく取り戻すことになるでしょう。」
日経アジアレビューのエドワード・アルデン氏がこう書きました。
「トランプ政権からの度重なる打撃にもかかわらず、アジア太平洋地区における戦略的価値がアメリカにとって非常に重要であることを証明することににもなり、日本や他のアジアの他の米国の貿易相手国を安心させることになるでしょう。」と語りました。

 

しかしトランプは日本はまず米国との新たな二国間貿易交渉に着手しなければならないとツイートし、東京で成り行きを見守っている人々をすぐに失望させました。
これまで日本側は二国間交渉には前向きではありませんでした。

しかしそれは長年に渡りアメリカと同盟関係にあるパートナーの状況さえトランプは理解していないことのひとつの証にすぎません。

「『アメリカ・ファースト』という外交政策のリスクは、共通の利害がアメリカの戦略と行動に反映されるのかどうかという疑問を同盟国に抱かせたことです。」
ブルッキングス研究所のマレヤ・ソリス氏はこう語り、次のように続けました。
「同盟とは基本的な利害が一致しているということです。安倍総理はこの点の保証を求めるでしょうが、トランプの側はそれを提供するでしょうか?」

 

たとえトランプが公の形で何か保証を与えたとしても、日本の首相はこの後長くは首相の座にとどまることはできないかもしれません。
昨年2017年突然衆議院を解散し総選挙を行って一方的な勝利を得たにもかかわらず、個人的につながりのある2人の教育関係者が日本政府から特別扱いを受けられるよう便宜を図った疑いを持たれ、安倍首相は厳しいに直面しています。
週末には数万人の市民が抗議を行うために国会の前に集まり、安倍首相の辞任を求めました。
安倍首相並びに政権の支持率はトランプ同様低いレベルにあります。

 

日本で長期政権を実現させた小泉純一郎元首相は安倍首相が置かれている状況について「危険」と語り、早ければ今年の夏にも辞任するかもしれないと語りました。

安倍首相のフロリダでのすべての行動は同行しているの日本の記者団によって監視されており、トランプが何か同情的な手を打つ可能性もあります。

外交関係評議会のシーラ・スミス氏は次のように書いている
「どちらもますます緊迫する国際情勢と悪戦苦闘している強い政治家のような不利をしながら、できるだけカメラから見えない場所に行って互いの立場の違いを解決しようとしています。
しかしそうした演出に失敗したり合意できなかったすれば、なお一層厳しい批判にさらされることになるでしょう。

 

https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2018/04/17/a-grumpy-trump-welcomes-japans-weakened-leader/?noredirect=on&utm_term=.409ad1831a4f

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「安倍首相の辞任は6月…」小泉元首相が発言

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個人的関係者への便宜供与、疑惑の隠蔽、そして支持率の急激な低下など、身から出たサビにより窮地に陥った安倍晋三首相

安倍氏が首相の座にしがみつこうとすれば、自民党関係者にも深刻な打撃が及ぶことになるだろう

 

リンダ・ジーグ / ロイター 2018年4月16日

個人的関係者への便宜供与、疑惑の隠蔽、そして支持率の急激な低下など、身から出たサビにより窮地に陥った安倍晋三首相は6月に辞任する可能性が高くなった、小泉純一郎元首相が週刊誌の取材を受けその見通しを語りました。

日本放送の最新の世論調査では安倍首相の支持率は26.7%と、2012年12月にこの保守タカ派の首相が就任以来最低の数字を記録しました。
朝日新聞の調査では4月16日時点での安倍首相の支持率は31パーセントです。

 

安倍首相の支持率の落ち込みにより、首相の座に座り続けるために必要な今年9月に予定されている自民党総裁選挙での勝利を果たして得られるのかどうか、あるいは総裁選を前に辞任に追い込まれることになるか、さまざまな観測が飛び交っています。
安倍首相は昨年10月今回同様の状況に陥った際に突然議会を解散して総選挙を行い、自らの延命に成功しましたが、今回も同様の挙に打って出るとの憶測も出ています。

 

首相はこれまで何度も不正に関わったことを一切否定してきました。

安倍首相は今週アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の核兵器・ミサイル開発問題、厄介な貿易上の難題について話し合う予定でしたが、直前になって新たなトラブルが持ち上がってきました。
「状況は危機に瀕している。6月20日の国会の会期終了を待って辞任するのではないか?」
週刊誌「Aera」のオンラインサイトで小泉元首相はインタビューにこう答えました。

2011年3月に福島第一原子力発電所の事故が初制して以降も原子力発電の推進姿勢を変えようとしない安倍首相に対し、小泉元首相は批判的立場を取ってきました。
小泉氏は安倍氏が首相の座にしがみつこうとすれば、2019年夏に予定されている参議院議員選挙で自民党候補者に対し深刻な打撃を与えることになるだろうと語りました。

 

4月14日土曜日、数万人の人々が国会前にあつまり、それぞれ「安倍ヤメロ!」「アベ・イズ・オーバー」などと書かれたサインボードを掲げながら口々に安倍首相に対する抗議の声をあげました。
主催者側は終了までに約5万人の参加者があったと発表しました。

その前の週、安倍首相は友人である加計幸太郎氏が経営する加計学園が獣医学部を創設する際、国が特別に厚遇するよう政治的介入を行ったとされる疑惑について改めて否定しました。

安倍首相はまた、本人あるいは妻の昭恵氏が個人的に関わりを持つ学校法人の森友学園に対し、国有地を大幅に割引して販売した件に政治的な影響力を行使したことについても繰り返し拒否した。

 

しかし朝日新聞社が行った世論調査では、これまでの他社の調査と同様、3分の2の有権者が安倍氏の説明を信用していないことが明らかになりました。
さらに頭の痛い問題が安倍首相に追い打ちをかけています。
財務省の事務次官が複数の女性ジャーナリストにたいしセクシャル・ハラスメントを行っていたことを別の週刊誌が暴露し、安倍政権に対する批判は一層激しいものになっています。

財務省は16日月曜日の声明で、福田淳一事務次官が週刊新潮の記事の内容を否定し、出版社を名誉毀損(きそん)で提訴を準備し.ていると述べました。
福田氏は一方で財務大臣や省庁関係者に「国民の不信を招き寄せ」迷惑をかけてしまったことを謝罪しました。

共同通信社が4月14日に公表した世論調査で、『次期首相にふさわしい人物』として26.6%の一位の支持率を得た石破茂氏は、9月の自民党総裁選挙に立候補する意思をすでに明確にしています。
共同通信の調査では以下、小泉進次郎氏(小泉純一郎元首相の息子)が25.2%で2位、安倍首相は18.3%で3位。野田聖子総務大臣(3.6%)、河野太郎外相(2.9%)と続いています。

 

しかし同じ共同通信が自民党支持者に絞って行った調査では安倍須仕様の支持率は36.7%で、石破氏の24.7%を上回りました。

 

https://uk.reuters.com/article/uk-japan-politics/former-japan-pm-koizumi-says-embattled-abe-may-quit-in-june-magazine-idUKKBN1HN05S
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翻訳文1行目の「身から出たサビにより窮地に陥った安倍晋三首相』と言う部分は、原文には [Japanese Prime Minister Shinzo Abe, plagued by …]とあります。plagueを辞書で引くと最初に「〔天罰というべき〕大厄災」と出てきます。

ただ「窮地に陥った」とだけ訳したのでは記者がplagueという単語を選んだニュアンスが表現できないと思い、「身から出たサビにより」という語を付け加えました。

字義の解釈はともかく、

『 No more Abe, enough is enough! 』(安倍首相?! これ以上もうたくさん!)

と多くの日本国民が思っている、そうではありませんか?

 

しかし6月では遅すぎる!ひと月でも1日でも早く辞めてもらいたい!

多くの人が足掻くようにそう思っていることでしょう。

私もその一人です。

なぜなら1日長く首相の座に留まれば、その分日本という国の国際的評価が下がり続けるに違いないと思うからです。

 

安倍氏を保守政治家だという話を、もし英国のディスレーリ、チャーチル、サッチャーなどの代表的保守政治家が聞いたら、全員が否定することでしょう。

ディスレーリならこう言うかもしれません。

「安倍首相が保守派の政治家?違うよ、きみ。ああいうのは世間師と言うんだよ。見てごらんよ、日本の高級官僚が次々と不祥事を引き起こしているだろう。あれは上を見てるからだよ。」

 

 

【 福島の被災地に忍び寄る残酷な運命 】

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福島第一の被災地は、放射性核廃棄物の処分場になることを運命づけられてしまったのか?

日本の原発官僚たちは、官僚の典型的手口である『先送り』を繰り返し、問題の存在をあいまいにしてきた

地上で最も危険な放射性廃棄物を、最も悲劇的状況に追い込まれた福島第一原発の被災地に押しつけようとしている日本の官僚たち

 

ピーター・ウィン・カービー / ガーディアン 2018年3月16日
福島県飯舘村の核廃棄物保管場所(写真:クリスチャン・アスランド / グリーンピース)

周辺の数百平方キロメートルの範囲を一面放射能で汚染された廃棄物で覆うことになった、福島第一原発の3基の原子炉のメルトダウンと爆発事故から7年が経過した2018年3月、日本の政治家と役人たちは福島の豊かな未来を希望させる言葉を口にしました。

しかしながら福島の未来に関わる最も重要な問題には触れずじまいでした。

それは人が入ることが許されない指定避難区域内が、まるで日本国内の放射性廃棄物を引き受ける処分場の様相を呈しているという事実です。

 

この事実を日本政府関係者は少なくとも公然とは認めていません。

原子力発電所が出す核のゴミ、放射性核廃棄物を安全にほかし続けることが出来る施設を確保することは、日本列島にとって長い間実現不可能な目標でした。

しかし本が原子力発電所から排出された使用済み核燃料を約17,000トンも抱え込んでいることを考えると、こうした施設を確保することは必要不可欠です。

現在日本国内にある使用済核燃料棒の大半は、地震が多発する国土の頭上にある核燃料プールの中に、危険と隣り合わせの状態で保管されているのです。

 

日本の官僚や自治体の役人は福島の短期的および中期的な見通しについて希望を抱かせるようなメッセージを強調し、被災地の安全性に疑問を抱く人々に『修復された』地域への段階的帰還を促しています。

その際強調されているのが経済発展の優先的位置づけです。

しかし福島第一原発の事故で最も被害の大きかった市町村への帰還率はわずか15%です。

避難指定区域内と周辺の地域における安全は再び確保されたとする日本政府の宣言は住民が仕事をする上での障害がなくなったという事を暗に言っているのかもしれませんが、その実態は人間らしい生活とはあまり関係の無い不吉な未来に向かっているように見えます。

福島県当局は現在、イノベーション・コーストという名称の計画を推進しています。

これは福島第一原子力発電所の事故によって誰にとっても問題だらけの場所になってしまった地域を、最先端技術の開発拠点のひとつに変えようとする取り組みです。
その目的の主なものは「ロボット関連産業集積地」の成立であり、ロボットの実験場などの開発拠点を設けることです。
実験場は、まさに現在福島第一原子力発電所の事故処理現場で現実になっている様々な困難な課題や障害のような、災害時に必要とされるロボット技術の開発です。
実験施設のうちのひとつである巨大な水槽は、ガレキと化した福島第一原子力発電所の地下いたるところにある汚染水に関しこれまで明らかにされた問題を再現しています。

 

これまでの数年間にメルトダウンの事故現場に投入されたロボットは、すべて高い放射線量のため機能不全に陥りました。
実験場の他の場所は、破壊され廃墟と化した建物やその他の障害物が散乱する場所を移動しなければならないロボットの性能を視線するために用意されたものです。
災害用ロボットはねじれた鉄筋、コンクリートの破片やその他のガレキを避けながら事故現場を移動しなければなりません。
まあたらしい滑走路とその周囲の放射能に汚染されたエリアは、人口密度の高い日本の国土で、あらゆる気象条件の下様々困難な任務をこなさなければならない無人飛行機の実験のため特別に用意されました。

 

この場所に隣接して、海岸沿いに幅13kmに渡り人間が全く入れないあるいは入るのが難しい汚染区域を上空から調査するためのテストエリアが設けられています。

当然ながら、これらのロボットは福島第一原子力発電所の周囲の放射線量が高く人間が活動しづらい場所で威力を発揮することになります。

そして福島県当局者はこうしたことに加え、福島第一原子力発電所の周辺の被災地が放射性廃棄物の長期保管施設など、人間の手をあまり必要としない設備の設置場所となる可能性のあることを示唆しました。
このような状況について、福島県を誇りにしてきた住民たちの側から見ると、故郷が東京によって『植民地化されてしまう』と感じています。
それは福島第一原子力発電所という悪運に取り憑かれた発電所が、そもそも地元ではなく東京に住む人間に利便性を与えるために東京の人間たちの手で建設されたものであったのと同様に、最先端技術の開発も何も福島以外の場所で役立てるためのものであるというこれまでのパターンがまた再現されるということを意味しています。

 

これまで何年も続けられてきた除染作業は、被災地の森林、公園、農場、道端、学校など、あらゆる場所から放射線によって汚染された物質を掻き取ってきました。
この1,600万立方メートルにもおよぶ放射性廃棄物は指定避難区域内の各所に仮置きされたまま、未だに確保の見通しがほとんど立っていない中間貯蔵施設に移動されるのを待っています。
指定避難区域となった市町村の土地は、まだ半分以上が人間が入れないままになっています。

 

日本政府は30年以内に福島県内の汚染土をすべて取り除くと約束し、こと土壌の問題に関する限りこの点は間違いがないと慎重な言い方で主張してきました。
しかし約17,000トンの高放射性廃棄物、すなわち使用済核燃料を抱え込んでしまっている日本ですが、その中間貯蔵施設については建設予定の候補となる場所すら見つけられずにいます。
このような事情を考えると、日本の政治家が福島県民への約束を反故にし、福島第一原発周辺の汚染された場所を中間貯蔵施設の設置場所にすると考えを変えるのは時間の問題だと見られています。

原子力発電所が排出する核のゴミ・放射性廃棄物の問題については、担当する部署も含めて日本政府は日本人官僚の典型的手口である『先送り』を繰り返し、問題の存在をあいまいにしてきました。
そうした日本の官僚たちのやり口は実に巧妙なものですが、官僚たちは目立たないようにしかし着実に状況を、原子力発電所の立地イコール多大な便宜を供与するという、かつて使い古された図式に戻そうとしています。
議論の本質を徐々に変えてしまうというやり口により、積みあがったまま処理できない放射性廃棄物の問題、誰もが目を向けようとしない問題について、地上で最も危険な物質である放射性廃棄物を最も悲劇的状況に追い込まれた場所に押しつけようとしているのです。
そして仕方なくではあっても、日本の国民がそうした解決法について受け入れるよう状況を都合よく利用しているのです。

 

2011年に発生した福島第一原子力発電所の事故によって一度汚染されてしまった場所一帯に暮らす住民は極めて少なく、核廃棄物処分場建設への反対も微弱なものになることが予想されます。
原子力発電に関わる利益団体、いわゆる原子力ムラに対しこうした状況は、強硬な反対運動などに遭遇する可能性が低い機会を提供することになります。

こと原子力発電に関する限り、福島は何十年もの間脇に追いやられ、重要な情報も与えられず、そして裏切られ続けてきました。 最終的に福島県はリスクを負わされましたが、福島第一原発で作られた電気はすべて首都に直行していました。

福島は2011年以降、日本政府がそれまで繰り返してきた都合の良い宣伝とはまるで逆に3基の原子炉のメルトダウンがもたらした大災害により何もかも奪われるという悲劇に見舞われ、最低でもこれから数十年間、市民たちは背負いきれないほどの重荷を背負い、苦しみ続けなければならなくなったのです。

 

ピーター・ウィン・カービーはオックスフォード大学で核問題・環境問題を専攻しています

https://www.theguardian.com/environment/2018/mar/16/is-fukushima-doomed-to-become-a-dumping-ground-for-toxic-waste

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この官僚達のやり口、どこかで聞いたり見たりした記憶はありませんか?
「どうせ汚れちまった体だ⋯カネをやるから、黙って言うことを聞きな⋯」
そう、これってヤクザの論理じゃないでしょうか。
福島第一原発周辺一帯の汚染が深刻であることを口実に、
「どうせもう誰も戻れないほど汚染されてしまったのだから、金をもらって放射性核廃棄物を受け入れてしまいなさいよ。」
それが本音ですか⋯
加計学園といい森友学園といい、日本の官僚の腐敗が問題になっていますが、原発行政にはついにヤクザ官僚、官僚ヤクザまで現れたと言うことでしょうか?
劣化したとしか言いようのない自民党の下で腐敗し続ける日本の官僚組織。
彼らの管理の下で原発が次々と再稼働し、処理不可能な放射性核廃棄物が尚も増え続ける日本には、どのような未来が待ち受けているのでしょうか?

 

 

【 追悼 : スタジオジブリ・高畑勲氏の永眠 】

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それまでアニメーションでは不可能と考えられていた表現を実現させ、人々の期待を大きく上回る成果をあげたスタジオジブリ

あなたがもし『火垂るの墓』の兄妹の親であったなら、自分の子供たちにこのような死を強制する国家をどう思いますか?

 

ジャスパー・シャープ/ガーディアン 2018年4月8日

※写真は高畑勲監督1988年の作品、哀切なエピソードに満ちた感動的な反戦映画『火垂るの墓』

2018年4月に82歳で亡くなった高畑勲氏は、日本のアニメが国際的な名声を得ていく過程で50年以上にわたり重要な役割を果たしてきました。
彼は日本のアニメ界を文字通り代表するスタジオ・ジブリを1985年に宮崎駿氏と共に設立しました。
代表作には一人の少女の悲劇的な死を題材にし、世界的にも大変高い評価を受けた反戦映画『火垂るの墓』(1988)、10世紀の日本のおとぎ話を基に伝統的な日本の画法である筆と墨を使ったタッチで描きアカデミー賞にもノミネートされた「かぐや姫」(2013年)などがあります。

 

周囲がデザイン画を基本として様々な技法を用いて作品を量産する中にあって、それとは対照的に高畑氏は自らがペンを持って紙に描くという手法にこだわり続けました。
にもかかわらず高畑氏の洗練された個性豊かな登場人物たちはその都度異なるテーマや美的世界の可能性を大きく広げ、それまでアニメーションでは不可能と考えられていた表現を実現させ、人々の期待を大きく上回る成果をあげたのです。

 

映画『火垂るの墓』は太平洋戦争末期に連合軍の爆撃で母親が殺害され孤児になった兄と妹が、二人きりで自活していかなければならなくなった状況を感動的に、その悲痛さを描いた作品です。

野坂昭之氏の短編小説を原作に置いたこの作品で高畑氏は、自身が9歳の時に体験側した岡山市の夜間爆撃で妹と一緒にパジャマのまま裸足で逃げるため必死に走った体験など、自らの記憶を作品の随所に重ね合わせていました。

1991年の作品『想ひでぽろぽろ』は東京で働くひとりの女性が少女時代を過ごした山形に戻ったとき、周囲を山々に囲まれた風景を見て1960年代後半の高度成長期のこども時代の懐かしい思い出が次々に蘇って来る様子を描きました。

高畑氏は空想的な作品も数多く手がけました。

 

東映動画に入社した高畑氏は長編アニメーション作品『太陽の王子 ホルスの大冒険』で監督に抜擢されました。
この物語は悪魔の魔術師の手から村を守ろうとする少年の冒険物語で、後にスタジオジブリが設立された際に実現した作風と志向を予測させる作品となりました。
1994年作品の『平成狸合戦ぽんぽこ』は、人間の手によるニュータウン開発の犠牲になる里山のいたずら好きなタヌキたちの物語です。
ここでは環境破壊によって形を変えざるを得なくなった環境を守ろうとする姿が、タヌキという生き物に仮託されて物語性豊かに表現されています。

 

高畑氏は1943年三重県宇治山田に生まれ、7人兄弟の末っ子として生まれ、1943年に家族とともに岡山に移り住みました。
父親が校長を務めていた岡山県立高校を卒業し、1954年に東京大学文学部フランス文学科に進みました。
ここで高畑氏はフランスの詩人・脚本家であるジャック・プレヴェールの作品と出会い、さらにその後の人生を変えることになるフランスのアニメーターであるポール・グリモーと出会います。ジャック・プレヴェールが脚本を手がけたアニメーション『王と鳥』(フランスでは1952年公開、日本公開は1955年)

スタジオジブリは2006年にこの作品のグリモー監督自身によるオリジナル版を公開しました。
同じ年高畑氏はプレヴェールの作品を日本語に翻訳した詩集を出版しました。

大学を卒業した1959年、高畠氏はディズニー映画並みのクオリティのアニメーション制作を目標に掲げる東映動画に入社しました。
1963年『わんぱく王子の大蛇退治』で助監督をと詰めるとともに、テレビシリーズ「狼少年ケン」(1963~65)のうちの数編で監督としてデビューを果たしました。

この年歳下の宮崎駿氏が入社しましたが、このときはまだ主要なシーンの間の作画を担当する低い地位にいました。
しかし高畑氏と宮崎氏はすぐにその50年以上続くことになる緊密な友情と仕事上の協力関係を築くことになりました。

 

高畑氏も宮崎駿氏も、入社した東映が子供向けの映画やテレビ番組により一層力を注ぐようになったのとは対照的に、もっと劇的で壮大なスケールのアニメーション映画を制作したいという野心を共有していました。
高畑氏がアニメ映画の監督としてデビューした当時、宮崎氏はシーンデザインと主要なアニメーション制作という重要な仕事を任されるようになっていました。
しかし制作された作品はどれも予算オーバーの上にスケジュールも遅れに遅れ、その挙句観客の動員にも失敗しました。
その結果東映は数週間後には映画の制作と配給の事業から撤退し、高畑氏はテレビ番組制作部門に降格されてしまったのです。

 

高畑氏と宮崎駿氏は憤慨していましたが、そこに同じ東映のアニメーターである大塚康生氏が加わった3人はAプロダクションに移籍、『ルパン三世 』のテレビシリーズを手がけることになりました。
ルパン三世はモーリス・ルブランの架空の泥棒アルセーン・ルパンの孫という設定の主人公が活躍するモンキーパンチの人気漫画をアニメ化したものです。

さらに高畑氏と宮崎氏はテレビのアニメ史上に残る名作『アルプスの少女ハイジ』(1974年)と『赤毛のアン』(1979年)など古典的名作に題材をとったテレビアニメの分野で互いに協力し、高畑氏は演出を宮崎氏はアートワークを担当しました。

1981年には『じゃりン子チエ』、1982年には宮沢賢治原作の『セロ弾きのゴーシュ』を演出し、そしていよいよ宮崎駿氏の代表的作品のひとつ「風の谷のナウシカ」(1984)のプロデューサーとして活躍しました 。

この映画の大成功はスタジオジブリの設立につながりました。
ジブリとは飛行機愛好家である宮崎駿氏がイタリアの第二次世界大戦中の飛行機の名前からとったものです。

そして高畑氏はスタジオジブリとしての初の大作『天空の城ラピュタ』(1986年)のプロデュースを行いました。

 

高畑氏は『火垂るの墓』を皮切りにスタジオジブリの5つの大作の制作を指揮しました。
しかし1999年公開の『ホーホケキョ となりの山田くん』は評判が悪く商業的にも失敗しました。
この作品は新聞に掲載されていた四コマ漫画そのままに、日本の家族の日常的エピソードをラフスケッチ風に寸劇的なスタイルで表現したものです。

スタジオジブリそのものは宮崎駿氏の作品が国際的な舞台でますます評価が高まって行きましたが、高畑氏はその表舞台から姿を隠すようになりました。

高畑氏は2013年に決定的に高い評価を得た『かぐや姫の物語』で監督としての仕事に復帰しました。
そして2016年、オランダのアニメーター、ミハエル・ドゥドク・ドゥ・ヴィット(MicaëlDudok de Wit)監督によるジブリの初の外国人監督作品「レッドタートル ある島の物語」の制作を行い、ジブリに新たな創作分野を拓くという重要な貢献を行いました。
この映画は会話がなくとも力強い表現が可能だという高畑氏のアイディアが、完全に正しかったことが証明されたのです。

 

https://www.theguardian.com/film/2018/apr/08/isao-takahata-obituary

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恥ずかしい話ですが、私は当時小学生だった長女長男と一緒に映画『火垂るの墓』を初めて見ていて、ラストシーンで少女が高熱を発して亡くなるシーンで涙が止まらなくなり、続きは見たいし子供達の手前どうしようと思ったことを憶えています。

この映画もまた、私の反戦への決意を強くしてくれた主要な動機のひとつを作ってくれました。

でも全編あまりに切ないシーンの連続で、もう一度見るという勇気がありません。

 

ポーランドの作曲家のグレツキーという人の『悲歌のシンフォニー』という作品があります。

ナチスドイツの強制収容所に入れられたユダヤ人少女の日記を題材に作られた交響曲ですが、初めて聴いて『絶望』というものを音楽にしたらこうなるのだなと痛感しました。

聴いているうちに絶滅収容所に入れられた少女の姿が眼前にありありと浮かび上がり、悲しいというより呼吸ができないほど苦しくなりました。

この曲も二度と聴かなくていい、そう思いました。

その代わり自分の中に、民族差別は決して許さないという決心が形成されました。

 

国家というものは古代、共通項を持った部族同士が協力して外敵から自らを守るために形成されていきました。

それを個人に還元すれば、家族と自分の命を守るために国家の形成に参加したということになります。

別の項で描きましたが、人間というのはたった一個の命を授かり、たった一度だけの人生を過ごすことを許された存在です。

ところが太平洋戦争をやった昭和期の軍国主義国家日本は、国民に極端な耐乏生活と隷属的思想教育を強いた上、国民の命をめちゃくちゃに浪費しました。

 

あなたがもし『火垂るの墓』の兄妹の親であったなら、自分の子供にこのような死を強制する国家に何を感じるでしょうか。

わずか小学生かそれ以下の子供たちを飢えたまま放浪せざるを得ない状況に追いやり、命に関わる病気に罹患しても救命措置もしてくれない。

もし私がこの子らの親だったらと考えると、「そんな国は潰れろ!」と叫びたい衝動に駆られます。

実際に軍国主義国家日本は潰れたわけですが、今再び日本をその方向に動かそうという人間が現れ、それが国政の枢要な地位に座っています。

この異常さだけはなんとかする必要があります。

[写真集]津波の後で:巨大防潮堤と人間の暮らし

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視界を遮る程高い防潮堤「何も悪いことをしていないのに、まるで牢獄に閉じ込められたように感じます。」

防潮堤を超える高い津波が来ても、津波による浸水を遅らせ人々が避難するための時間を稼いでくれるはず…

 

キム・キョン・フーン / ロイター / ガーディアン 2018年3月9日

 

巨大地震と津波が襲ってから7年の歳月が過ぎ、いま東北地方沿岸の被災地の人々は、新たな津波の被害から人々を護るとされる巨大な防潮堤で生活の再建を続けています。

①2011年3月11日、巨大地震が襲った時牡蠣養殖業者の藤田敦さんはいつも通り海辺での仕事をしていました。そして間もなく、真っ黒な津波が自宅のある陸前高田市に押し寄せ、2,000人の市民が命を奪われたのです。(写真上:以下同)

②それから7年、その間巨大な防潮堤の建設が進みました。

「何も悪いことをしていないのに、まるで牢獄に閉じ込められたように感じます。」

藤田さんがこう語りました。

③岩手県宮古市宮古港に建設された防潮堤近くの住宅や工場

④2011年3月11日、宮古市内になだれ込む真っ黒な津波。

⑤陸前高田市の広田湾の防潮堤の前に並ぶ自動販売機。高さ12.5メートルのこの防潮堤は3.11に役に立たなかった高さ4メートルの防波堤に代わり建設されたものです。

⑦3.11直後の陸前高田市内。

⑧巨大地震の発生によって生み出された津波は場所によっては30メートルという高さに達し、東日本太平洋側で18,000人以上が犠牲になり、福島第一原子力発電所では3基の原子炉がメルトダウンする事故を引き起こしました。

⑨防潮堤に開けられた窓を覗き込む男性。

当初被災地の住民たちは以前よりはるかに大きな防潮堤を築くというアイディアを歓迎しましたが、時間の経過とともに批判が増すことになりました。

工事の進め方について事前に充分な打ち合わせも無く、防潮堤建設が優先された結果被災者の住居建設などが遅れる結果となったためです。

⑩2011年3月、気仙沼の市街地に打ちあげられた船。

⑪2011年3月の津波によって破壊された建物の脇に立つ『奇跡の一本松』。背景にあるのは新たに建設された防潮堤。

この松は人々の希望と復興のシンボルとされてきました。

⑫東日本大震災の発生以降、海岸近くの平地での新たな住宅建設は禁止され、住民は高地へ移住させられることになりました。

⑬田野畑村明戸海岸に新たに建設された防潮堤から眺める2011年3月11日に破壊されたかつての防潮堤。

⑭田野畑村に建設中の新しい防潮堤の前に立てられた津波襲来の際の避難場所を指し示す看板。

⑮住民の中には巨大な防潮堤を建設することによる観光資源の喪失を心配する声があります。

「50年ほど前子どもたちを連れてここに来たことがあります。美しい海を眺めながら海岸沿いをドライヴした楽しい思い出がありますが、今はもうその面影はまったくなくなりました。」

防潮堤を越したところにある牡蠣料理店で、関東地方からやってきた旅行者の飯島理恵子さんがこう述懐しました。

⑯津波にのみこまれた防波堤に代わり建設された防潮堤は、これまで総延長が395km、 投じられた費用は1兆3,500億円に上りました。

⑰防潮堤が築かれた宮城県気仙沼湾の夜明け。

⑱「防潮堤は津波を食い止め、土地が浸水するのを防ぐでしょう。

首都圏にある横須賀港湾空港研究所の研究員である河合博康氏がこう語りました。

「仮に防潮堤を超える程高い津波が押し寄せても、防潮堤は津波による浸水を遅らせ、人々が避難するための時間を稼いでくれるはずです。」

⑲藤田氏によると、津波は結果的に海底をかきまわし蓄積した汚泥を取り除いたため、この地域の養殖漁業の環境を改善することになりました。しかし防潮堤は海の自然の水の流れをブロックし、将来の生産に影響を及ぼす可能性があります。

⑳岩手県普代村の普代浜の上空を飛ぶカモメ。

多くの人が巨大な防潮堤のある暮らしを受け入れることは難しいと感じています。

「この地では誰もが何世代にもわたって海とともに暮らしてきました。」

とマグロ漁業会社を経営する臼田宗太郎氏がこう語りました。

「巨大防潮堤はその私たちと海とを隔てています。それは耐え難いことです。」

21.大船渡市の沿岸部に作られた防潮堤のそばを歩く女性。

 

https://www.theguardian.com/world/gallery/2018/mar/09/after-the-tsunami-japan-sea-walls-in-pictures

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

3.11発生当時、何百何千という人が亡くなられた宮城県沿岸から10キロと離れていない場所にいて、私たち家族はそんな悲劇が現実に起きているとは夢にも思っていませんでした。

丘陵地帯にある自宅のバルコニーからは晴れた日は仙台港を出入りするフェリーやタンカーを遠望することができますが、東日本大震災当日にそこで起きた無数の悲劇を目の当たりにすることはありませんでした。

そうした現実を実見したのはちょうど1週間後に宮城県牡鹿半島の町に住む知人宅を見舞った時でした。

その知人も自宅を津波で全部無くし、庭先1メートルのところまで津波が押し寄せたもののかろうじて被害を免れたご両親の家に避難していました。

町全体が破壊されるという光景を初めてこの目で見ました。

あの日起きたいちいちの悲劇については7年以上が過ぎた今も言うべき言葉が見あたりません。

同行した妻はあの日以来、宮城県内の海を見ようとはしなくなりました。

この記事は1ヶ月前に掲載準備をしたのですが、森友スキャンダルの記事が世界の各紙に相次いで掲載され、それを紹介していたために掲載するのが遅れました。

【 男女とも日本がダントツで1位、えっ?AI失業の可能性?! 】

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AIロボットの進化、男女それぞれ失業する可能性が最も高い国はどこ?

女性が多く進出している職種は管理業務のサポートなど、AIロボットによる自動化のリスクが50%を超える分野に集中

 

ミミ・ラウンダー / インディペンダント(英国) 2018年3月28日

最終的にAIロボットが世界を支配するようになれば、女性は少なくとも一度は良い目を見るかもしれません。
多分女性たちは職場で一度は男性たちの上に立つことになるからです。
進化した人工知能を持つロボットが組織の頂点に立つ時、そのすぐ下に位置するのは女性たちになるはずです。
なぜなら女性たちの方が男性よりもそうした環境を受け入れる能力が高いからです。

この予測は社会のロボット化が進むことによって男女間の格差にどのような影響が及ぶかについて研究を続けているウェブサイト・ビルダー・エキスパート(Website Builder Expert - WBE)が行った新しい調査に基づくものです。

 

WBEは研究対象としたOECD加盟33カ国の80%で、男性は女性よりもロボットに仕事を奪われるリスクが高いことを明らかにしました。
そして専門家は800億人分(原文通り: 800,000 million jobs experts - 2015年現在の世界人口は国連の推計によれば約73億人)の専門家の雇用をロボットが引き継ぐことになると予測していることを考えれば、極めて多くの人間の生計手段がたちまちにして奪われてしまうことを予測させるものです。

この調査では自動化の結果、男女それぞれが失業する可能性が最も高い国が明らかになりました。

▽ 女性が人工知能・ロボットの進化により仕事を失う可能性の高い国上位10ヵ国(パーセンテージ)
1位  日本     63.056
2位  チリ     55.726
3位  トルコ    55.584
4位  メキシコ   55.277
5位  スロヴァキア 52.699
6位  韓国     52.692
7位  チェコ    51.851
8位  ハンガリー  51.762
9位  イタリア   51.757
10位  ドイツ    51.217

 

▽ 男性が人工知能・ロボットの進化により仕事を失う可能性の高い国上位10ヵ国(パーセンテージ)
1位  日本     65.257
2位  メキシコ   58.611
3位  チリ     57.602
4位  トルコ    57.004
5位  韓国     56.6
6位  スロヴァキア 56.395
7位  ハンガリー  54.402
8位  ラトヴィア  53.172
9位  ポーランド  52.528
10位  イタリア   52.495

 

性別による給与格差を一掃するために必要なのはロボットだけでしょうか?
問題はそれほど単純ではありません。
男性の農業従事者はAIロボットに取って代わられる重大なリスクにさらされている可能性がありますが、CEOや会社役員の男性のリスクははるかに小さい可能性があります。

一方、女性が多く進出している職種は、管理業務のサポート、サービス業務、技術者など、AIロボットによる自動化のリスクが50%を超える分野に集中しています。
実際に働く女性が占めるすべての職種においてAIロボットによる自動化は次々と実現される段階に入っています。

この状況は男性の場合は少し異なっています。

 

男性がAIロボットによる自動化のリスクにさらされている国では、男女の差はほとんどありません。

技術大国日本は、男女ともにAIロボットが人間の職業を取り上げてしまう可能性が、人間の雇用が維持されるであろう割合を上回る結果になりました。
女性対男性の自動化の可能性は63%対65%です。
日本人女性の大部分(約57%)は、サービス業務または管理業務の補助スタッフとして働いています。
ふたつとも将来のAIロボットによるオートメーション化の可能性が最も高い分野です。

興味深いことに、英国女性の仕事の方が米国女性よりもAIロボットに取って代わられるリスクが高くなっています。
アメリカ女性はランキングで6番目に安全ですが、英国女性は8位です。
これはおそらく、管理職以上の地位にいるアメリカ女性の割合が15%を占めているのに対し、英国女性は8%に留まっているためです。

 

ラトヴィアは男女格差の最大の本拠地となり、研究の結果ラトヴィアの男性は女性よりもロボットに取って代わられる可能性が非常に高苦なっています。
ラトヴィアの男性労働者の職業はAIロボットによるオートメーション化のリスクが高く8位という順位ですが、ラトヴィア女性の職業は23位に留まっています。

 

この研究を率いたのはWBEのアレックス・イングリッシュです。

 

https://www.indy100.com/article/countries-where-women-are-most-at-risk-of-losing-their-jobs-to-robots-8275871

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

私が現代の人間について確信していることがあります。

それは文明の進歩と共に人間そのものは退化しているということです。

アフリカ大陸には、今でも10キロ先まで裸眼で物を見分けられる人々が暮らしているという例をわざわざ持ち出すまでもなく、江戸時代、私たち日本人の先祖は日本全国どこへでも歩いて行きました。

今当時の標準とされる日にちをかけて東京・京都間を歩いたら、体調を崩す人が続出するのではないでしょうか?

私たちの生活はたかが50年前と比べても飛躍的に便利になっていますが、それは物やインフラの進化が著しいためであり、人間そのものが進化していることにはなりません。

300年前の日本人は現代人と比べ、体も小さく栄養状態も良くはなく平均寿命も30年も短かったはずですが、変な言い方ですが人間としての機能性はどうだったのでしょう?

AIロボットに労働を任せてしまう社会は、人間にさらなる退化をもたらすのではないでしょうか?

 

ただ一つ、すべてをロボットに任せ、人間が関わらないようにすれば良いと思うものがあります。

戦争です。

これまでの戦争はどうやって敵を効率的に大量に殺すか、ということがテーマでした。

しかし武器がなければ戦うことはできず、その武器はいまやほとんど自動化できるはずです。

国際法で戦争において人間を攻撃の対照に含めることを禁止し、どうしても戦争したいというときはすべてロボット同士にさせれば、人間を殺さなくても済みます。

そうなれば技術力と財力だけの勝負であり、負けた方は戦争を命令した政治家に責任を取らせ、国民は損失と賠償を弁済するために多額の税金を納めることにすれば良いはず。

政治家に戦争することを許した国民は、多額の借金を背負わされ己の愚かさを呪うことになるでしょう。

戦争という手段に訴えなければならなくなるということは外交で解決できなかったということであり、それは失政ということであり、それは政治家の責任であると同時にその政治を選んだ国民の過失です。

だからと言って命まで差し出さなければならないというのは、今の時代、理不尽以外の何ものでもありません。

 

どうしても無人島を守りたいというのなら人工知能による防御システムを完成させれば良いだけの話で、70年間平和を守り続けた憲法を変えてしまったり、国民を徴兵したりする必要など全くない話のはずです。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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