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星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

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【 安倍首相の周辺で相次ぐ国家主義的発言、アメリカ側は同盟関係の悪化を警告 】《後篇》

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安倍政権を一定以上寄せつけようとしない、オバマ政権の真意とは
戦後最悪の関係に陥りつつある日米関係、アメリカの態度を変えたのは首相の靖国参拝
史実を歪めようとする人物たちの、相次ぐ発言を誘発

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2月19日

安倍晋三01
日米間の関係がうまくいかなくなった事については、話は昨年早々にさかのぼります。
新たに首相に就任した安倍氏がまずは渡米してオバマ政権との関係強化に乗り出そうとしたところ、一カ月ほど待つように言われました。

つい最近では、今年4月に予定されているオバマ大統領のアジア太平洋地区訪問の際、日本での滞在がわずか一日という点について、日本側は気分を害しているように見受けられます。

一部のアナリストは、このようにアメリカ側が日本を一定以上寄せつけないようにしているのは、アメリカ国内の日本に対する批判にある程度配慮したものである可能性があると見ています。
「これは私がこれまで見てきた日米関係の中でも、最悪の状態です。」
拓殖大学の国際関係の専門家である川上高司教授がこう語りました。

「日本は孤立感を深めています。そのため一部の日本人は日本が、アメリカ合衆国も含め、いかなる国に対しても独力で立ち向かえるようにすべきだと考え始めています。」

しかしアナリストは、国際関係を悪化させた発言について、発言者の数が限られていること、そして安倍内閣の閣僚は含まれていない点に留意すべきだとしています。
そして日本の世論の大勢はアメリカに対し、きわめて好意的であると見ています。
アメリカは戦後、日本に50,000人の兵力を常駐させ、日本の安全保障の一翼を担ってきました。

しかし双方の政府当局者が互いに抱いている不満も、また現実のものです。

千鳥ヶ淵
アメリカ側は、安倍首相が最初に首相を務めたときと同様、彼が国の平和主義的な憲法を改正し、失墜した国の威信を回復するという美名の下、日本が第二次世界大戦中に犯した犯罪的行為を過少評価しようとしている点を憂慮し、どのようにも対応できるよう態勢を整えています。

「安倍首相に対するアメリカ政府の評価が決定的に変わったのは、昨年末の靖国神社参拝だったと思います。」
こう語るのはスタンフォード大学のショーレンスタインアジア太平洋研究所のアソシエイト・ディレクターであるダニエルC.スナイダー氏です。
「安倍首相が戦後日本の平和国家体制を、愛国主義的国家に転換する路線を推進しようとする人物であることを、再確認させることになったのです。」

そして安倍首相の靖国神社参拝と、アメリカ政府による批判は、今日の史実を歪めようとする人物たちの発言をも誘発することになったようです。

アメリカの世論、そして当局者は、日本で相次ぐ不用意な国家主義的発言から、国政と首相自身を必要充分なだけ遠ざけようとしない安倍首相に対し、厳しい目を向けています。
結局安倍政権内部では官房長官が、アメリカに対して『失望している』と述べた衛藤氏に対しYouTubeに掲載した動画を削除するよう求めたものの、彼らの発言はすべて『個人的見解である』とのべただけで、一切批判する事無く問題を終わらせようとしています。

Abeno10
日本を訪問中のアメリカ議会の代表団は、安倍首相による靖国参拝も、その側近たちによる国家主義的発言も、いずれも中国を利するだけであると警告しています。
一方で亀裂が目立ち始めた日米関係について、まだまだ修復は可能であるとも述べています。
「親友の間であっても誤解や行き違いに基づく発言というものは、往々にしてあるものです。大切なのは互いに誤解を解いて、協力してそれを克服することなのです。」
訪問中の議員団の代表を務めるウィスコンシン州選出の共和党のジム・センスンブレナー下院議員が19日水曜日に安倍首相を訪問後にこう語りました。

「中国に対して西側社会がバランスよく対峙していくためには、経済的な強さを持ち、国力の充実した日本が重要な役割を担う必要があるのです。」


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『個人的見解である』はずのものが今、国際社会における日本と日本人の評価をどれ程下げているか、翻訳のため各国のニュースをチェックする度痛感しています。
しかしNHKのニュースだけを視聴していたのでは、その事は理解できないでしょう。
その点を非常に歯がゆく感じています。

【 安倍首相の周辺で相次ぐ国家主義的発言、アメリカ側は同盟関係の悪化を警告 】《前篇》

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西側先進諸国の対中国戦略を理解できない安倍政権、その周囲のアメリカ批判は『理不尽な言いがかり』
中国の対日宣伝戦術に、格好の材料を与え続ける安倍首相とその側近

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2月19日

安倍03
これまで日本をアメリカの対アジア政策の要として重要視してきたオバマ政権ですが、最近になって相次いだ安倍首相率いる右派政権の、首相側近による挑発的な国家主義的発言により、急速な関係悪化が懸念される事態となっています。

オバマ政権はこれまで、アジア太平洋地区において中国の急速な台頭に対抗するため、日本の経済力、そして軍事的存在感を強めようとする安倍政権の方針を歓迎してきましたが、ここに来てアメリカ大使館が行った反論が、関係がぎくしゃくし始めた日米関係に、今後一層の懸念をもたらすことになりました。

これらの発言は第二次世界大戦時の日本の史実についての認識を改めさせようとするものですが、改めて中国、韓国からの批判を招くことになりました。
安倍首相は日本を、国民ではなく国家の権利を優先する国に変えようとしており、愛国心の育成に熱心であり、第二次世界大戦時の日本についての見方を変えさせようとしています。

アメリカ政府による直接の批判のひとつは自民党の国会議員であり、安倍首相の側近でもある衛藤晟一氏がYuTubeに動画を投稿し他ことから始まりました。
動画の中で衛藤氏は、安倍首相が靖国神社を参拝したことについて『失望の意』を表明したオバマ政権を批判したのです。

安倍首相02
靖国神社は戦没者を慰霊するための施設ですが、第二次世界大戦終了時にA級戦犯とされた戦時指導者も合祀されており、日本の首相による参拝は毎回物議を醸しており、戦争中日本の支配を受けた韓国と中国は反発を強めています。
「失望したのは日本の方だ。」
YouTubeの動画の中で衛藤氏はこのように語りました。
アメリカとの関係の外交的なダメージを与えないよう内閣が指示し、19日にはこの動画は削除されました。

「なぜアメリカは日本をもっと大切にしないのだ?」
衛藤氏がYuTubeに掲載した動画の中で、こう付け加えました。

安倍首相が第一次世界大戦直前のイギリス・ドイツの関係になぞらえた、アジア太平洋地区における緊張状態の中で、アメリカ政府と日本の現政権との間のボタンのかけ違いが発生しています。
アメリカの戦略としては、中国と直接的な対決姿勢を取ることは避けつつ、日本と韓国が緊密な連携を取り合うことによって、アジア太平洋地区における中国の横暴は許さないという体制を築くはずでした。
ところが日本は歴史認識に関する問題、領有権に関する問題を次々と悪化させ、アメリカの戦略は大きくほころぶことになりました。

日本が20世紀初頭に行った大日本帝国による韓国の直接支配についての謝罪すら撤回するのではないかと危惧する韓国政府に対し、安倍政権は誠意ある対応を行っていない、アメリカの政府関係者はこのような不満を漏らしています。

日中紛争01
アメリカ政府はさらに、安倍首相がアジアにおける日本の地位を確立しようとしているにもかかわらず、日本は過去の所業についての反省などしていない、軍国主義国家だという中国の宣伝戦略を有利にしかねない日本側の対応について憂慮を深めています。

安倍首相の靖国参拝について、アメリカ大使館が異例の批判を行ったことについては、こうした事情が背景にあると、アナリストたちは分析しています。

これに対し日本側は、東シナ海の尖閣諸島の領有権を巡る問題について、アメリカが日本を支持する明確に姿勢を示さない点に苛立ちを明らかにしています。
同時に日本政府の当局者は、安倍首相が沖縄の米軍基地の移転問題について、自ら難しい局面の打開に動いた努力について、オバマ政権が充分に評価していないと不満を述べています。

「安倍首相の中では不満が高じています。」
慶応義塾大学の日米関係の専門家である細谷雄一氏がこう語りました。
「安倍首相は、日米同盟を強化するために政治的努力を続けてきたことに対し、アメリカ側から充分な敬意を受け取っていないと感じています。」

東京裁判02
今年2月、アメリカにとって許すことのできない発言がありました。
日本の公共放送であるNHKの経営委員に安倍首相自身が任命した右翼思想の小説家、百田直樹氏が、演説会場で次のように語ったのです。
第二次世界大戦後の東京裁判は、アメリカが行った東京大空襲、広島、長崎への原爆投下という 『大量虐殺』の事実を隠ぺいすることが目的であった。

この発言に対し、アメリカ大使館は『理不尽な言いがかりである』と反発しました。

安倍首相が任命した数名を含む経営委員会によって新たに選出されたNHKの会長が
「戦争中の従軍慰安婦の問題について、日本だけがことさらに批判を受けるべきではない。アメリカ軍も同じようなことをやっていたのだから。」
と発言し、アメリカ政府が眉を吊り上げたことがありましたが、百田氏の発言はこれに続くものでした。
世界においては、日本の場合占領地域の数万人の女性に対し組織的かつ強制的に、兵士に対する売春を行わせたのに対し、他の国の軍隊の場合は占領地区の民間の売春施設を利用したという点において異なる、という歴史家による見方が大勢を占めています。

〈 後篇につづく 〉


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「日本を取り戻す」というスローガンは、第二次世界大戦終了時、連合軍の占領政策によって民主主義国家に『されてしまった』日本を、再び一部の日本人の手によってかつての国権主義国家(国民の権利より、国家の権力機構の都合を優先する国家)に戻そうとする動きだと理解していますが、この記事を読み、その事を再確認する思いです。

私は日本国憲法について、当時世界大戦によって肉親や大切な人を殺された数限りない人々の、二度と戦争はごめんだという願いが成文化されたものだと考えています。

それを占領軍が勝手に押しつけたと主張する人間に対しては、いったい歴史の何を見ているのだ?と質問したくなります。

安倍首相の『仲間たち』から次々と飛び出す無神経な失言、『お仲間』のこの発言こそが政権の本音?

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「失望しなければならないのはアメリカでは無く、日本だ。」
「日本は独力で中国と対決できるだけの軍事力を構築することが必要」
しかし国政選挙のカレンダーは安倍首相の手に…2016年まで一切有権者と向き合う必要はない

ジャスティン・マッカリー/ガーディアン 2月21日

安倍首相01
2007年当時の安倍内閣の閣僚による一連の軽率な発言は、安倍首相の任期をちょうど一年で終わらせることになりました。
7年後、軽率な発言を繰り返した首相周辺のスタッフたちは、首相の座を国内外からの批判にさらすことになりました。

ここ数週間ほどの間、2020年開催の東京オリンピックの準備を進める組織委員会の委員長が、国民的人気の高いスポーツの選手に関する発言で国内の批判を浴びる一方、安倍首相の政治顧問の発言が日本の最大の同盟国であるアメリカを怒らせました。

先月、日本の公共放送NHKの長である籾井会長が、日本が第二次世界大戦の戦前戦中に軍の性的奴隷として使役した200,000人と言われる従軍慰安婦の問題について、日本の立場を悪化させるために恣意的に取り上げられているという趣旨の発言を行い、アメリカ政府をいらだたせたことから安倍首相にまつわる問題が始まりました。

籾井会長は、安倍首相が指名した委員が送り組まれたNHKの経営委員会により選出されました。
同会長は政治上、(現在、中国との間で紛争の原因となっている尖閣諸島の問題等の)外交上の重要課題については、NHKに国家の方針に沿った報道を行わせるという発言も行い、物議をかもしました。
最初の発言について籾井会長は後に謝罪しましたが、本心は別のところにあったようです。

籾井
彼はNHKの経営委員会の経営員会で、次のように語ったと伝えられています。
「私の発言のどこが間違っているのだ?」

安倍内閣によりそのNHKの経営委員の一人に指名された保守派の小説家である百田直樹氏が、第二次世界大戦中の日本の戦時指導者に対し有罪の判決を下した東京裁判について、
「アメリカが行った東京大空襲、広島と長崎に対する原爆投下、その『大量虐殺』から世界の目を逸らす目的で行われた」
という発言をするに至り、NHKはより一層の泥沼に入り込むことになりました。

こうした事情が背景にあり、NHKは在日アメリカ大使館にキャロライン・ケネディ大使とのインタビューを申し込みましたが、拒絶されてしまったのです。

昨年12月に安倍首相が行った靖国神社参拝は、結果として彼の軽率な仲間たちを勢いづかせることになりました。
靖国神社には250万人の戦争犠牲者に加え、東京裁判で有罪となったA級戦犯が合祀されています。
安倍首相の参拝について、アメリカ政府は中国・韓国との外交関係を無用に悪化させるものだとして、失望の意を公式に表明しました。

安倍首相02
今週、菅義偉官房長官は衛藤誠一首相補佐官に対し、ユーチューブに掲載した動画を削除するよう命じました。
衛藤氏は『日本を取り戻す』というスローガンの書かれた安倍首相のポスターを前に登場し、アメリカ側の反応を批判し、「失望しなければならないのはアメリカでは無く、日本だ。」と発言したのです。
いっぽう、本田悦朗内閣官房参与はウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、首相の靖国参拝を擁護する発言を行い、菅官房長官がまたも対応に追われる事態となりました。。
そして、アメリカに頼ることなく、日本が独力で中国と対決できるだけの軍事力を構築することが必要だとも述べたと伝えられています。

さらに本田氏は「いつまでもアメリカの影響下にいるのではなく、さらには近隣諸国にいちいち配慮する事のない」日本を夢見ていると語ったと、同紙が伝えています。
本田氏は発言の意図が歪められたと語っていますが、ウォールストリート・ジャーナル側は発言内容に間違いはないとしています。

安倍首相03
この冬ソチで活躍したオリンピック選手たちも、こうした一連の配慮を欠いた発言と無関係でいることはできませんでした。

日本代表の浅田真央選手がフィギュアスケートのショートプログラムで難しいトリプル・アクセルを失敗した後、安倍首相によって2020年東京オリンピック準備委員会の海外部門の責任者に選ばれた森元首相が、選手団の士気を低下させる批評を行ったのです。
「あの子、大事なときには必ず転ぶんですね」
しかし浅田選手はその後のフリーでは、ショート・プログラムでの失敗を見事に取り戻す演技を行い、満場の喝さいを浴びました。

森氏はまた日本代表として、アイスダンス部門に出場したアメリカで生まれ育ったキャシー・リード、クリス・リードの兄弟からも、将来慕われることにはならないでしょう。
 「彼らはアメリカに住んでいるんですよ。アメリカの代表としてとしてオリンピックに出る実力がなかったにもかかわらず、帰化させて日本の選手団として出しているのです。」

森元首相がスポーツに専念するようになったのは、スキャンダルによって首相辞任に追い込まれて以降の事です。
2001年、ハワイ沖で学生と教師を乗せた訓練用の漁船が、アメリカの潜水艦に接触されて沈没する事故が発生し、4人の高校生を含む9人が死亡しました。
当時ゴルフコースにいた森首相はこの知らせを受け取ったものの、かまわずラウンドを続けたのです。

森元首相
安倍首相にとって、彼の取り巻きの人々が次々と失言を繰り返す状況は、最初に首相に就任した2007年当時の状況をほうふつとさせるものです。
当時、子供の出産を奨励しようとしていた第一次安倍内閣の厚生労働大臣が、女性を『出産する機械』と表現するなどし、内閣を追い込んで行きました。

しかし今回は国政選挙のカレンダーは安倍首相の手に握られています。

彼は2016年まで、一切有権者と向き合う必要はないのです。

http://www.theguardian.com/world/2014/feb/21/shinzo-abe-tactless-colleagues-japan-prime-minister
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こうした発言が問題というより、当然ながらこうした考えを持つ人間たちが国の中枢にいるという事の方が問題です。
私たち国民は、国の中枢にいる人間なのだから、当然のこととしてそれなりの見識と判断力を持っているはずだという考え方は止めるべきです。
その考えを明らかにした閣僚やそれなりの立場の人間に対して、私たちは日本国民としての見識を突きつけるべきだと思います。

【 予想を遥かに超える成長、発展、そして拡大を続ける米国の太陽光発電事業 】[ブレイキングエナジー]

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原発と互角の価格競争力、太陽光発電、カリフォルニア、ミネソタなど多くの州で
産業規模の拡大、国内平均の10倍の雇用創出効果により、『経済成長の主役のひとつ』にまで成長

アメリカ合衆国エネルギー省(経過報告書) / ブレイキング・エナジー 2月13日

米国太陽光
アメリカ国内では、太陽光発電産業は記録破りのペースで成長を続けています。
そしてその一方で、以前にも増して再生可能エネルギーによる電気は低価格化し、送電システムも充実し、一層利用しやすくなっています。
太陽光発電産業の著しい発展の要因の一つは、アメリカ・エネルギー省のサンショット・イニシアチブによるサポートです。

アメリカ国内すべての太陽光発電産業をけん引・先導する体制を再構築するため、政府は産業界、大学、各地方自治体、そして関係する国立研究所すべてを挙げてサンショット・イニシアチブを設立しました。
サンショット・イニシアチブは太陽光発電によって作られた電気料金を2020年までに、1kwhあたり6セント(約6円)まで引き下げることを最終目標としています。
この価格が実現すれば、太陽光発電による電気は原子力発電やシェールガスなどによる発電手段に対し、完全な価格競争力を手に入れることになります。

オバマと太陽光
誕生からちょうど3年、サンショット・イニシアチブは著しい前進を達成しました。
アメリカ・エネルギー省は、米国内の太陽光パネルを使った太陽光発電が、電力会社レベルで目標とする価格競争力の60%を手に入れたことを発表しました。

カリフォルニア州、ハワイ州、ミネソタ州を含む日射量が豊富な各州では、太陽光発電はすでに従来型の発電手段に対し、充分な価格競争力を手に入れました。
サンショット・イニシアチブが成し遂げた、エネルギー産業の革新は他にもあります。

▽ 新たな産業の創出

この数年間で、発電所規模の太陽光発電は市場における新参者から、最も成長著しい主要な発電手段のひとつにまで成長を遂げました。
これらのプロジェクトは、送電網に直接電気を送り込む事が出来る、メガソーラータイプの太陽光発電システムである点が特徴です。

発電所規模の太陽光発電の歴史はまだ新しいものですが、2016年までには太陽光発電の主流をなすものと見られています。
その間、雇用の拡大にも貢献し、経済成長率を直接押し上げる程の国内製造業の牽引役として機能する事が期待されています。

SunShot Initiative
爆発的とも言える産業の成長に加え、発電所レベルの太陽光による電力料金は劇的に低下しています。
サンショット・イニシアチブが開始された当初、1Kwhあたりの太陽光発電による平均電力料金は21セント(約22円)でしたが、現在は11セント(約11円)にまで下がりました。(冒頭に掲載したグラフ)

▽「ザ・ソーラー・ワークフォース」労働人口 - 雇用拡大も二桁の伸び

太陽光発電産業の発展がアメリカ社会にもたらしたもう一つの大きな利益は、雇用の拡大です。

アメリカの太陽光発電財団が調査した2013年度の太陽光発電業界の雇用実態調査によれば、2012年秋と比べ雇用総数は20%増加しました。
これは国内のすべての産業平均の10倍という高さです。
2012年には119,000人だったアメリカ国内の太陽光発電労働者が、現在は140,000人を超えました。

業界の成長自体、予想を上回るペースで進んでいますが、雇用の拡大はそれを上回っており、今年は昨年を50%上回るペースで新規採用の拡大が進んでいます。

▽ アメリカの競争力の維持:太陽光発電製造部門

SunShot
これまで太陽光発電システムの世界市場で、主導的役割を果たしてきたアメリカの地位を守るため、米国エネルギー省は太陽光パネルの製造部門と集熱型太陽エネルギー技術の競争力強化のため、2,500万ドル(約25億円)の投資を行ないました。

今回の資金投入は、時間と費用を圧縮する目的で製造過程の見直しを行っている革新的なプロジェクトを支えることが目的です。
今後のサンショット・イニシアチブの展開について、関連する公式発表を見逃さないようご案内いたします。

注: 太陽光発電コストの低価格化については、現在のアメリカ国内のそれぞれの分野のコストをすべて平均化したもの( LCOE )を基準に算出しています。
LCOEは、発電能力はもちろん、資金を調達する際の平均的な貸出金利等も計算要素に加えています。

Progress Report: Advancing Solar Energy Across America


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東日本大震災と福島第一原発の事故発生以降、繰り返し会社に進言してきたことが容れられ、私が勤務する会社でも全面的に太陽光発電システムを導入することになりました。
社屋屋根の設置可能な部分に太陽光パネルを並べ、最大88.5Kwhの発電を行います。
投資額は数千万円規模ですが、民主党政権時代にスタートした固定電気買取制度のおかげで、20年たてばほぼ全額が回収できる見通しです。

さらにこの点が最も重要なのですが、災害発生時にはすでに設置済みのサーバー、通信機器専用蓄電池との組み合わせにより、朝になって太陽が顔を出す限り、社内のメインシステムを支えるサーバーと各通信機器は24時間稼働し続けることが可能になります。
これに加え日中は350A以上の電源が確保できるため、数十%の範囲で日常的な業務処理も可能になります。

着工は3月、5月には稼働を開始できる見通しです。

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【 恥知らずの破壊者による卑劣な行為 】

アメリカNBCニュース 2月24日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

アンネ
アンネ・フランクの「少女の日記」のひき裂かれた本が、2月21日に東京の図書館で公開されました。
市当局は、図書館の司書による調査の結果、1月末から31の市立図書館で少なくとも265冊のアンネ・フランク関連の書籍が破られているのを確認しました。
日本では時折ホロコーストを否定する人間が表れますが、本を破壊するこことの動機は不明です。

【 この6ヵ月間で最悪の流出量、福島第一原発で再び高濃度汚染水が流出 】[ニューヨークタイムズ]

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ベータ線を出す放射性物質は2億4,000万ベクレル、過去最高の濃度
汚染水の保管、進まない事故収束、未解明の毎日数百トンに上る汚染水の流れ込み実態

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2月20日

最悪の汚染水漏れ
東京電力は20日木曜日、福島第一原発内の数百基の地上タンクの内のひとつから、過去最高濃度の放射性物質を含む汚染水約100トンが流出したと発表しました。
その流出量はこの半年間で最悪のものです。

東京電力は汚染水漏れは19日水曜日に発見され、翌日に止めることが出来たと発表しました。
そして発生個所は海からは遠く、これまでの汚染水漏れ事故同様、太平洋に流れ込む可能性は無いと語りました。

しかし今回の事故は、福島第一原発の現状が、汚染水の保管と事故収束・廃炉作業に非常に難渋しており、その前途も容易ではないこと、そして未だに毎日数百トンに上る汚染水が海洋中に流れ込んでいるにもかかわらず、その詳細な実態を把握できていない事を改めて思い知らせる、苦い出来事となりました。

東京電力は今回の事故の原因は、本来閉じていなければならないはずの弁が、人為的ミスにより2か所で開けっ放しになっていたことによるものだと語りました。

今回漏出した汚染水は、2011年3月に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こした事故において、最も汚染のひどかったものの一つです。

汚染水タンク
東京電力によれば、今回漏出した汚染水には平均で1リットル当たり、ベータ放射線を放出する放射性物質が2億3,000万ベクレルと、これまでで最高値の放射性物質が含まれていました。
放射性物質のうちおよそ半分はストロンチウム-90で、人間の体内に入るとカルシウムとして認識され、骨に吸収され骨肉種や白血病を引き起こす場合があります。
汚染を示すこの数値は、日本政府が飲料水の限度としている安全基準の380万倍に達します。

この数値は今月の始めに東京電力が発表した、福島第一原発の施設内で回収された地下水よりも汚染がひどいことを表しています。
この時計測されたのは1リットル当たり500万ベクレルで、それ以前の発見場所よりももっと海に近い部分で採取されました。
東京電力は5カ月の間この汚染水漏れについて公表せず、批判を浴びていました。

事故発生以来、東京電力は問題の認識と状況把握が常に後手に回り、福島第一原発の真実の状況について隠せるものなら隠そうとする態度に終始し、その都度批判を浴びてきました。
それにもかかわらず、日本政府は福島第一原発の事故収束・廃炉作業を東京電力一社に任せきりにしてきました。

spiegel07
東京電力は破壊された原子炉建屋の地下部分に、毎日大量に流れ込んでくる地下水の処理に苦しんできました。
その量は一日あたり数百トンに上り、破壊された原子炉の炉心やメルトダウンした核燃料によって著しく汚染されてしまいます。
この高濃度の汚染水が太平洋に流れ込まないようにするため、東京電力は建屋の地下からポンプによってくみ出し、それを福島第一原発の敷地内に林立させた巨大な汚染水タンクに流しいれる作業を絶え間なく続けなければなりません。

東京電力によればこれまでこうして貯まってしまった高濃度汚染水の量は約340,000トンに上ります。
この量はオリンピック・サイズのプール135杯分以上になります。


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「その場しのぎの対策が後の問題を作り出す、変わらない愚劣な繰り返し」という、福島第一原発の汚染水問題に対する東京電力の対応についてのニューヨークタイムズの記事があった事を思い出しました( http://kobajun.biz/?p=14646 )

【 無尽蔵!日本の地下に眠る、巨大なエネルギーを取りだせ 】[ドイチェ・ベレ]

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日本国内で本格化する再生可能エネルギー開発、地熱発電への企業投資
『火山列島』であるが故の巨大な可能性、高額な開発費用をどうするか

ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 2月7日

01地熱発電
2011年3月に巨大地震と巨大津波が東日本に壊滅的被害を与えた東日本大震災が発生して3年が経とうとする日本では、国内の原子炉すべてが稼働を停止したままになっています。
日本政府やや多くの企業が輸入している石油・天然ガスなどの輸入代金の高騰に苦しむ中、エネルギー供給のため地熱発電を本格化する企業が現れています。

アナリストは日本が景気停滞から抜け出す際の最大のリスクになるのが、この化石燃料を輸入する必要性が生じていることだとしてきしています。
実際日本が2013年に記録的な貿易赤字を被ったという1月の発表は、日本政府や経済界をあわてさせることになりました。
産業界各家庭の需要が主要な部分を占める原油と液化天然ガスの輸入実績は、2013年は前年を65.3パーセント上回り、11兆4700億円という莫大な金額に膨れ上がりました。

安倍首相が率いる現在の日本政府は、こうした状況から2011年の東日本大震災発生以来、停止している原子炉を再稼働させる方針を打ち出しています。
しかし再稼働のためには地元の承認を必要としますが、原子力発電所が立地する各自治体の住民たちが福島第一原発の事故から受けた衝撃は未だに生々しい記憶として残っており、50基の停止中の原子炉を再稼働させるのは生易しいことではありません。

▽ 逆境をチャンスとして生かす

地熱発電02
日本がこうした状況に直面していることを受け、逆境をビジネスチャンスとして生かそうとする企業が現れ始めました。

そして少なくとも今のところ、原子力発電所の再稼働を許す気がない一般市民に加え、いくつかの企業が文字通り自分たちの足元にある、実質的に無限でありながら未開発のままの、環境にやさしいエネルギー源の活用を視野に前進し始めました。

中央電力社は熊本県の新しい地熱発電所が4月に稼働を始めると発表しました。
この発電所は、15年ぶりの新しい地熱発電所です。

もう一つの事業はオリックスと東芝による合弁事業であり、2015年度前半の事業開始を予定しています。
日本の中部地方にある岐阜県での事業を予定していますが、さらに大規模な実験施設の建設を北海道、東日本大震災の被災地である東北地方、そして日本最南端の九州にも予定しています。

出光興産と国際石油開発帝石が率いる10社の企業グループは福島県の磐梯朝日国立公園で、日本最大の地熱発電所を開発する計画を発表しました。
270,000キロワットの発電能力を予定し、今後10年以内の操業開始を目指しています。

▽ 油田・ガス田開発企業の参画

地熱発電04
「油田・ガス田開発のエキスパートである国際石油開発帝石は、掘削技術に関するノウハウと経験があり、こうした事業を率いるのに、まさにうってつけの企業だと言えるでしょう。」
東京に本社を置くMathyos Japanの設立者で、独立したエネルギー・コンサルタントのトム・オサリヴァン氏がドイツ国際放送の取材にこう答えました。

日本の地熱発電開発は、太陽光発電の分野よりはるかに遅れています。
「しかし日本は環太平洋火山帯(リング・オブ・ファイヤ)の上に位置する国であり、可能性は巨大です。」
日本は地球のプレートがぶつかり合う地点に位置し、地震が多発することで世界的に知られており、火山活動が活発なことにより温泉資源も豊富です。

「日本全土は東京大学にある地震学の地図上で、真っ赤に塗られているのです。」
オサリヴァン氏がこう語りました。
「その分、地熱発電の可能性は注目に値します。」

70ギガワット相当の地熱エネルギーが日本の真下に眠っています
仮にそのエネルギーをすべて取り出すことに成功すれば、日本が現在必要としている総電力の3分の1以上を賄うことが出来ます。
しかし、開発を進めるには障害もあります。
今アメリカでシェールガス開発のために、地盤を次々と破壊していることが物議を醸しているように、地熱エネルギーを取り出すため、地中深くボーリングを行うことに抵抗する人々もいます。

有名な温泉地の旅館やホテルの経営者たちは、地熱発電により温泉資源が枯渇してしまう事を恐れています。

▽ 高額に昇る開発費用

地熱発電03
開発費用も高額です。
20メガワット規模の地熱発電所を建設する場合、初期投資にまず7億円程度を必要とし、その後掘削事業を完遂するまで20億円から40億円の追加資金を必要とします。

そして地熱発電資源の発見から商業ベースでの事業開始まで、平均で7年程度の期間を要することも、この事業に投資しようとする者にとっては懸念材料です。
これに比べると太陽光発電は、最短で12カ月程度で採算ベースに乗せることが可能な点をオサリヴァン氏が指摘しました。

日本で最初の地熱発電所は1999年に八丈島で操業を開始しました。(冒頭の写真)
現在まで開発された地熱発電所は、地元の支持を確実なものにするため比較的小規模なものばかりが作られてきました。

しかし福島第一原子力発電所の事故以降、事情は一変しました。
日本政府は再生可能エネルギーによる電気について、実質的な補助金制度である固定価格買取制度をスタートさせ、地熱発電についても開発を促進させる方針を取っています。
日本国内では現在、新たに20か所の地熱発電所の設置申請が提出されています。

▽ライバルの発電資源の状況

AOL NYC01
しかし日本エネルギー経済研究所の、伊藤よう子上級研究員が、国内の関心は他の再生可能エネルギー資源にばかり集中していると語りました。
「政府は補助金制度の導入により地熱発電の開発が進むだろうと考えていました。しかし実用化された地熱発電量を見る限り、その結果は期待外れに終わっていると言わざるを得ません。」

現在運転中の17か所の地熱発電所は、控えめに見積もって520メガワットの電力を供給していますが、地熱発電協会によるとこの数値は世界で8番目の実績になります。

「これまでの日本のプロジェクトの多くは、ことごとく小規模なものばかりで、限られた地域に電力を供給するにとどまっており、営利事業と呼べる規模のものはありません。」
伊藤研究員がこう語りました。

地球の汚染を進める化石燃料に頼らず、原子力発電に代わる安全な発電手段への切り替えに取り組む人々は今、これまでの小規模始業とは異なる、地下に眠る巨大な可能性を最大限引き出すことのできる、大規模地熱発電に取り組む投資家が現れるのを心待ちにしています。

http://www.dw.de/japan-digs-deep-for-alternative-energy/a-17416124
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今日の朝刊にも、福島第一原子力発電所から『過去最高濃度の放射性物質を含む汚染水約100トンがせき外へ流出』という記事が出ていました。
( http://www.kahoku.co.jp/news/2014/02/20140221t63003.htm )
福島第一原発の状態を『とりあえず人類に対する直接の脅威が無い状態』にするまで、いったいいくらつぎ込むことになるのでしょうか?
日本政府は1兆円以内には収まらないことをやっと認めましたが、アーニー・ガンダーセン氏などは最終的に40兆円はかかると見ているようです。

原発の再稼働についても『防潮壁の改修に3,000億円』なとというニュースが当たり前のように流されています。
このように巨額の資金をあっという間に飲みこんでしまう原子力発電と比較した場合、地熱発電のコストはどう評価されるべきなのでしょうか?

こうした問題にも、私たち日本人は幅広い議論をしていくべきだと思います。

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【 国際報道写真コンテスト 】《第3回》

アメリカNBCニュース 2月14日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

報道18
ジブチの海岸に集まったアフリカ人の移民たちが、近隣のソマリアから発信される電波を受信しようとしています。
受信しようとしているのは、すでに海外に移住した親戚などからの情報です。(海外の親類との薄いつながり)から安価な信号をとる試みにおいて、彼らの電話を夜に上げます。
ジブチはソマリア、エチオピア、エリトリアなどの各国を出て、ヨーロッパや経済的に豊かな中東諸国移民しようとする人々の中継地点となっています。
アメリカのカメラマ、ジョン・スタンメイヤーによって撮られるこの写真は、2013年の国際報道写真コンテスト、総合部門のグランプリ作品に選ばれました。(写真上)

2013年9月21日、ケニア、ナイロビの高級ショッピング・モールで発砲事件が起きた際、身を隠す女性と子供たち。
ニューヨークタイムズ専属のアメリカ人カメラマン、タイラー・ヒックスのこの写真は緊急速報部門で第2位を獲得しました。(写真下・以下同じ)
報道15
2013年4月27日にオーストラリア水泳選手権で、同国のダニエル・アーナムナートが、男子100メートル背泳ぎ部門でスタートを切った瞬間。
オーストラリアのカメラマン・クイン・ルーニーによるこの写真は、スポーツ・アクション部門で第3位を獲得しました。
報道16
2013年12月1日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたポロ・オープンで落馬した選手アルゼンチンのカメラマン、エミリアーノ・ラサルビアによるこの写真は、スポーツ・アクション部門で第1位を獲得しました。
報道17

http://www.nbcnews.com/news/photo/world-press-photo-awards-n31021

【 福島第一原発の放射線への、監視の目をゆるめてはならない 】《第3回》

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海洋生物の異常な病変と異常な死、アメリカ西海岸(太平洋岸)で多発、体内から放射性物質
国内の多数の場所での定期的な放射線量調査、その実施を妨害する原子力ムラ

ハリマ・カゼム / アルジャジーラ 1月19日

ウッズホール03
科学者たちは、カリフォルニアの太平洋岸に沿って魚貝類の不自然な大量死が発生していることを確認しています。
死んだ魚介類からは低レベルの放射能が検出されています。

7月以来、カリフォルニア大学サンタクルスの研究者たちは、触手がちぎれ落ち、最終的に死に至る病気がカリフォルニア北部に棲息するヒトデの間で大量に発生しているのを確認しています。
この病変について研究者は『Wasting(ウェイスティング・衰滅)』病変と呼んでいます。
智引佐個体の場合、文字通りゆっくりと死滅し、死体も残らないからです。

「この原因が福島第一原発が放出した放射性物質である可能性は高くはありません。しかし私たちはその可能性を否定している帆家では無いのです。」
カリフォルニア大学サンタクルス校の生態学・生物進化学部の、ピート・ライモンディ教授がこう語りました。

ライモンディ教授は東日本大震災によって発生し、アメリカ太平洋岸に大量に漂着したがれきが、福島第一原発が放出した放射性物質を運んできて、ヒトデにこうしたびょうへんを発生させた可能性があると語りました。

2011年、ストーニーブルック大学とスタンフォード大学の海洋科学者たちは、南カリフォルニアの沖合の太平洋で捕獲した15匹のクロマグロを検査し、福島原子力発電所から放出された少量の放射性物質を検出しました。
検査したのは放射能汚染が進んでいると見られる、日本とアメリカ西海岸沖合の太平洋を回遊している1~2歳のクロマグロです。

ウッズホール02
さらに、アメリカ政府機関である海洋大気局(NOAA)によると、2013年1月から5月まで、海中でエサとなる魚が減少してしまったことにより、1,400匹のアシカが飢餓状態に陥り、南カリフォルニアの海岸で動けなくなりました。
これは毎年の平均数と比べ、75%の増加です。

海洋大気局でもその原因をつかんではおらず、『不自然な大量死の事実』として認識するにとどまっています。

さらにはクジラ、イルカ、イワシなどの他の海洋動物も、異常に陸地に接近する状況が確認されていますが、これも前例がありません。

▽なぜ日米両政府は公式に調査を行わないのか

多くの海洋科学者がこうした事実を確認しているにもかかわらず、アメリカ政府のいかなる機関も太平洋の放射性物質について調査を行なおうとはしていないと、海洋科学者のケン・ビュッセラー博士が指摘しました。

「私は太平洋の放射線濃度がそれ程高いと思っていませんが、公式に調査が行われていない以上、一般市民の懸念を払しょくすることはできません。」
ビュッセラー博士がこう語りました。
同博士は現在ウッズホール海洋科学財団の下で調査を行っています。
同財団はマサチューセッツに本拠を構える、非営利の海洋調査の専門機関です。

福島第一専用港
ビュッセラー博士はこれまでに3回、ウッズホールの調査チームとともに福島沖の海洋調査を行っていますが、その最初は2011年6月でした。
この時調査チームは、原子炉付近に流れ込んでいる地下水が、その場所の放射性物質を海洋中に運びこんでいるものと推論しました。
またビュッセラー博士は2011年3月、福島第一原発が大量の放射性物質を環境中に放出した際、その一部は太平洋を越えてカリフォルニア州まで到達したと見ています。

ビュッセラー博士によれば、福島第一原発が放出した放射性物質の第2波が、現在カリフォルニアに向け進んでいます。
この放射性物質は海洋中にあり、太平洋を横断するのにほぼ3年の月日がかかりました。
「福島第一原発を発した海洋中の汚染物質の第一波がまもなくカリフォルニアの沿岸に到達するものと思われます。そしてカリフォルニア沿岸部の汚染は、今後数年に渡って増加し続けることになるでしょう。」

ビュッセラー博士は首都ワシントンに赴き、空気、食物と水などの放射能汚染について管轄するアメリカ政府の各機関の幹部に面談して彼の懸念を伝えました。
同博士が訪れたのはエネルギー省、海洋大気局、食品医薬品局、そして環境保護局です。
「いずれの政府機関も異口同音に、太平洋の放射能汚染について調査するのは自分たちの担当ではないと答えました。この問題は現在、各政府機関のはざまに落ちて転がったままになっています。国民の健康と安全に深刻に関わる問題に、誰も手をつけようとはしていないのです。」

バートゥッチ氏とサイズ氏は、アメリカ政府も州政府にも、放射性物質について大規模な調査を必要とすると考えている機関は全くないと語りました。

汚染水07
「カリフォルニアの人々緊急対応を採らなければならないような放射線濃度の数値は、沿岸部のどの場所においても検出されていません。環境に対するダメージ、人体に対する悪影響も確認されてはいないのです。」
カリフォルニア州北部を地盤とするアメリカ連邦議会、下院議員のジャード・ハフマンがこう語りました。

しかしフクシマ・レスポンスのメンバーは、データが不足している事実は問題が存在しないことの理由にはならないと語りました。
「アメリカにおいても原子力ムラの力は強大であり、彼からが阻止しようと圧力をかけていることがあります。それこそが定期的に一定以上の場所で(福島第一原発が放出した)放射線のモニター調査を続けることなのです。」
バートゥッチ氏がこう語りました。

ハフマン下院議員はアメリカの原子力産業界や米国政府が、実際の放射線量を隠ぺいしているという兆候は確認できないと語る一方、次のように続けました。
「米国政府は海と魚が安全であると市民に理解してもらうためには、現在よりももっと多くの調査をしていかなければなりません。」

海洋中の放射線濃度に対するビュッセラー博士の懸念にもかかわらず、どの政府機関も制度的にこれを行なおうとしない状況に遭遇し、博士は結局自分自身で監視と検査をすることにしました。
ビュッセラー博士は現在、港や浜辺で採取した水のサンプルをウッズホール科学財団に送れば、それを分析した結果を掲載するウェブサイトを準備中です。

ウッズホール01
このサイトには誰もがアクセス可能です。
尚サンプルを送る際に、応分の寄付を検討していただきたいとのことです。

「私は、福島第一原発の現在の状態と事故収束・廃炉作業の進行状況について日本が植物の活動について、日本政府と東京電力が果たすべき役割を果たしているとは思えないのです。」

「だからこそ現在、空気、食物、そして海洋中の継続的な放射線量の検査を行うよう、声を挙げ続ける一方、自分たちでも取り組むことが重要なのです。」

〈 完 〉

http://www.aljazeera.com/humanrights/2014/01/us-residents-monitor-fukushima-radiation-201411911450378232.html
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政治には様々な立場からの利害が絡み、必ずしも「するべき事」が行われるとは限らない、だから市民一人一人が考え、行動することが大切である。
一言で表現するとこうなるのかもしれません。

ところで皆さんは平成26年度の税制改『正』で、企業の交際費の半分を損金にすることが可能になる、つまり必要な費用として認められるように改『正』されるのをご存知でしょうか。
これまでは資本金が1億円を超える会社については、交際費はまったく損金に算入されませんでしたが。これからは使ったうちの半分は費用として認められる、つまり交際費をもっと使いなさい、という事です。

東京銀座の高級クラブや料亭で、現政権の閣僚の誰かがお願いされたのでしょうか…
経済格差・雇用格差に苦しむ人々には、政治の場に声を届かせることなどできないというのに…

【 福島第一原発の放射線への、監視の目をゆるめてはならない 】《第2回》

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所要時間 約 6分

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次々に不備が明らかになった、放射性物質観測装置の設備とメンテナンス
空間線量が上昇を続けている状況下、迅速で信頼性の高い観測方法を確立すべき

ハリマ・カゼム / アルジャジーラ 1月19日

▽ 信頼性に疑問、環境保護局の放射線監視システム

インディアン・ポイント原発
アメリカ国内のほとんどの州には1〜2基の放射線測定装置が設置されています。
このうちカリフォルニアとテキサスは、各州の中で最大の11基の測定装置を設備しています。
「アメリカ環境保護局の放射線の監視システムであるラドネット(RadNet)は時々ダウンする事があり、また別のときにはデータを表示しなくなる事があります。」
『フクシマ・レスポンス』のバートゥッチ氏がこう語りました。

2012年4月、環境保護局の総括監察官は、全米の124の放射線測定装置のうち、20パーセントにあたる25基が福島第一原発の事故直後、稼働していなかった事が明らかになり、懸念が広まりました。
追加で設置された観測装置はメンテナンスが不充電で、浄化フィルターが8週間以上交換されないままの機器もありました。

報告書は次のように述べています。
「ラドネットの適切な管理運営を最優先課題と位置づけなければ、福島第一原子力発電所の事故のような重大事故が発生した場合、環境保護局には事故以前の資料も、事故の最中の、そして事故後のデータも存在しないことになってしまうでしょう。
こうしたデータが無ければ、万が一大気中に放射性物質が放出された場合、人体と環境にはっきりと悪影響を与える値はいくつなのか、その判断も出来なくなります。」

Gorleben04
監査が実施されて以来、環境保護局はさらに8基のモニターを増設した上で、ほとんどの観測機が機能していると語りました。
しかしこれらのモニターはボランティアによって運営が続けられており、環境保護局の職員は直接関わってはいません。
ラドネットがデータを収集し報告を続けたとしても、ボランティアの人々が自分たちの日常生活を続けながら、データの内容を解析し、重要な判断を下すことなど不可能だと、サイズ氏が語りました。
「このシステムは納税者が収めた税金によって運営されている以上、収集されたデータは一般市民がタイミングを逸することの無いよう提供されなければなりません。」
福島第一原発の事故発生以来、現地も含め日本を9回訪れているサイズ氏がこのように指摘しました。
サイズ氏と福島レスポンスのメンバーは、空間線量が上昇を続けている状況下で適切な対応を取れるよう、迅速で信頼性の高い観測方法を確立する必要があると語っています。

「人々は環境保護局に対応に不信を抱いており、勢い個人が持つガイガーカウンターに頼らざるを得なくなっているのです。」
サイズ氏がこう語りました。

線量計の多くは30,000円前後から購入が可能で、放射線の内ガンマ線、アルファ、ベータとX線を検出することができます。
こうした個人のネットワークによる放射線監視システムは、日本が発祥の地であり、その代表的なものがセイフキャストです。

福島線量01
ジョンS.&ジェームズL.ナイト財団や慶応義塾大学のようなパートナーに支えられ、セイフキャストは福島第一原発の周囲及び影響を受けたと思われる日本各地で、固定式と移動式の線量計を組み合わせ、放射線監視ネットワーク・システムを構築・運営しています。
セイフキャストのウェブサイトを見ると、彼らが2013年12月までに1,400万の放射線ポイントデータを収集し、その結果を無料で公開していることがお分かりいただけます。

セイフキャストもアドバイザーを務めたこともあるサイズ氏が次のように語りました。
「ここカリフォルニアには日本のセイフキャストのような高度な監視ネットワークなどは全くない上、放射性物質の拡散状況について、いち早く市民に知らせるための政府機関のシステムも無いのです。」

「『これは間違いなく福島第一原発から放出された放射性物質だ』というものはここカリフォルニアの陸上で、具体的に検出されたわけではありません。地元の漁獲物も今のところ安全です。しかし近い将来、太平洋が福島第一原発の放射性物質によって汚染されている事実が確認されても、私は驚かないでしょう。」
カリフォルニア大学バークレー校の原子力工学が専門のエリック・ノーマン教授がこう語りました。

▽絶えざる監視が必要

福島第一原発の事故の数日後の2011年3月、ノーマン教授は地元バークレーの雨水と地場で催乳された牛乳を検査し、福島第一原発から放出されたとか考えられない少量の放射性物質が含まれていることを確認しました。

それ以来、ノーマン教授は雨水と地元産のヨーグルトの検査を繰り返してきましたが、しかし最初の時以外は放射性物質は検出されていないと語りました。
「アメリカには大気、食物、そして水について、組織的な検査と解析を継続するシステムがありません。これから継続的に検査することが必要です。」

廃炉10
ノーマン教授は日本政府が昨年の7月になってやっと高濃度の放射能汚染水の太平洋への流出を認めたこと、そしてそれが現在も止むことなく続いていることを懸念しています。
それにもかかわらず、11月後半には4号機から1,500体に上る核燃料アセンブリの取り出し作業を始めたことを知って、教授の懸念は一層深まりました。
別の専門家はこの作業中に再び巨大地震が襲ったり、重大な作業ミスが発生すれば、再び大量の放射性物質が環境中に放出されることになると警告しています。

〈 第3回につづく 〉

【 福島第一原発の放射線への、監視の目をゆるめてはならない 】《第1回》

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福島第一原発への日本政府の対応を監視する、アメリカの市民たち
あれほどの事故が、地球規模の汚染と無関係であるはずが無い

ハリマ・カゼム / アルジャジーラ 1月19日

福島空撮・縦
▽ 人権

ジョン・バートゥッチ氏はどこに行く時も、放射線を測定するためのガイガーカウンター(線量計)を持ち歩いています。
彼の掌より一回り大きい線量計は、彼の周囲の大気中の放射線濃度を測定するためのものです。

「この装置の使い方について、まだ完全にマスターした訳ではありませんが、自分の身を守るために自分で手段を講じ、その情報を自分で管理しているという事実によって、少しは安心することが出来ます。」
彼はカリフォルニアの北部海岸の近くの小さな町、ペタルーマで暮らしています。
バートゥッチ氏は科学者ではありません。
1950年代からペタルーマで暮らし、現在は映画を制作する仕事に就いています。

2011年3月に発生した福島第一原発の事故は大量の放射性物質を大気中に放出しましたが、米国政府も州政府も米国に飛来しているはずの放射性物質がこのカリフォルニアの沿岸地区で、大気中、食物連鎖、そして海洋中にどのように存在しているのか体系的な解明を行っていないと、バートゥッチ氏は考えています。
そのため彼は今、放射線量の監視について知識を深めようとしているのだと語りました。

マグニチュード9.0の巨大地震によって発生した津波によって大きな被害を受けた後、日本の福島第一原子力発電所では3基の原子炉がメルトダウンをおこす事故が発生しました。
事故後間もなく、福島第一原発は大気中、そして海洋中に大量の放射性物質を放出し始めたのです。

「日本はカリフォルニア海岸から数千キロの彼方にあります。しかし、福島の放射性物質がカリフォルニアにまで到着していることは、調査によって明らかにされているのです。」
バートゥッチ氏がこう語りました。

福島カリフォルニア
▽ フクシマ・レスポンス

バートゥッチ氏は『フクシマ・レスポンス』の創設者です。
『フクシマ・レスポンス』はアメリカ、カリフォルニア州北部の住民たちが、放射能汚染も含め福島第一原子力発電所関連の情報を収集し、広く情報提供を行うための組織です。

始めは2012年5月、ペタルーマの喫茶店に集まった6名によって始まりましたが、現在は全米から35人の活動家が参加するネットワークに成長しました。

定期的に月例会議を開き、福島第一原発の事故に対する日本政府の対応、科学者の現状分析について情報交換を行い、今後自分たちの身を守るため自身で放射線濃度の測定を行う方法などについて検討します。

2013年10月に、グループは、サンフランシスコの海岸に「福島の事故はこの場所にも及んでいる」という人文字をつくり、福島第一原発の状況についてのアピールを行いました。
「私たちは日本の人々が最悪の状況に直面させられている事に懸念を持っていますが、同時に自分たちの子供たちの事も心配なのです。
カリフォルニアの放射線量は高くなっていないのでしょうか?来年の夏、子供たちは海岸で泳いでも大丈夫なのでしょうか?」
2013年11月の月例会議に参加した3人の子供の母親であるマギー・ホールさんがこう語りました。

バートゥッチ氏もホールさんもその他の『フクシマ・レスポンス』のメンバーも、アメリカ市民の健康と環境を守る役割を担う政府機関である環境保護局などが、福島第一原発の事故に関連して果たすべき役割、すなわち福島第一原発が放出した放射線濃度の測定を詳細に行っているのかどうか確信が持てないのだと語りました。
そしてどの米国政府機関も、海洋中の放射線量の測定を行っていない事実を指摘しました。

仏・フラマンヴィル
環境保護局は大気中、飲料水、降雨、殺菌済みの原乳について放射線濃度を測定し、その結果を市民に報告しています。
環境保護局の放射線の監視システムはラドネット(RadNet)と呼ばれ、全米132カ所に設置された湖底の線量計によって構成されています。
このシステムは途切れる事無く環境中の放射線量の監視を続け、計測値が異常な値になった場合、環境保護局の本部に警報を送る仕組みになっています。

しかし放射線計測の専門家と市民活動家は、全米に104基ある原子炉で深刻な事態が発生した場合、あるいは福島第一原発でさらなる爆発などが起きた場合、このシステムでは住民を守りきる事は出来ないと語っています。

「1979年にペンシルヴェニア州のスリーマイル島で原子炉メルトダウンの事故が発生した際、放射線計測の専門家や研究機関は250基の測定ステーションを設置するよう訴えました。
政府は原子力発電所ごとに250基の測定ステーションを設置する必要がある事を認めているのです。」
放射線計測の専門家であり、ロシアのセバストポーリでバートゥッチ氏が持ち歩いているような携帯型の線量計を製造販売する会社、インターナショナル・メドコム社を経営するダン・サイズ氏がこう語りました。

〈 第2回につづく 〉

http://www.aljazeera.com/humanrights/2014/01/us-residents-monitor-fukushima-radiation-201411911450378232.html
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今日から3回に分け、今太平洋の放射能汚染がどうなっているのか、アメリカ側から見た分析をご紹介します。
第3回でショッキングな『事実』が詳しく語られることになります。
ちょっと長い記事ですが、おつき合いください。

【 日本は原子力発電をどうするか、国民ときちんと向かい合って議論をするべきである 】[ニューヨークタイムズ]

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所要時間 約 15分

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日本は原子力発電の根本的な問題に関する、公の、そして適切な議論をしていない
原子力発電『復活』の規模とタイミング、『裏工作』が目立つ安倍政権
日本は最終的に全原子炉を廃炉にすべき、その『最良の』結論に代わるものは無い
「これ以上、この国の汚染と危険を悪化させるな!」各界で声を挙げ始めた若い世代

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2月11日

第一大破壊
いくつかの先進工業国が福島第一原子力発電所の事故とその後の惨状を見て、原子力発電に背を向けました。
中には現在稼働中の原子力発電所も止めて、原子力発電の完全廃止に向け処理を進めている国もあります。
しかしその国は日本ではありません。

「ドイツは福島第一原発の事故を受け原子力発電の全廃を決めました。アメリカでは原子力発電の継続に変更はありません。
では日本はどうでしょうか?
福島第一原発の事故が起きた日本では…」
原子力発電に関する複数の著作のある館野淳氏がこう語りました。
「私たちは根本的な問題に関する公の、そして適切な議論をしていません。
経済成長のために原子力発電による安価な電力供給が必要なのか?それとも原子力発電を無くし、安全な社会を築きたいのか?」

20年続いた経済停滞から抜け出そうと模索を続ける日本、その中心にあるのが東京です。
多くのアナリストが2月9日に投票日を迎えた東京都知事選挙が、この問題に関する公開討論の場になることを望みました。
では選挙の結果はどうだったでしょうか?
結果としては原子力発電の廃止を熱心に訴えた、元首相を含む2人の候補が当選でき無かった事も含め、日本の原子力発電所を今後どうすべきか、その指針となるようなものは得られなかったのです。

アルジャジーラ抗議集会
しかし首相である安倍晋三氏はこの結果に満足し、選挙の翌日、数日のうちに「現実的でバランスのよい」エネルギー戦略を発表する用意があると語りました。
複数のアナリストは、この政策にこそ現在停止している複数の原子炉を再稼働させる方針が盛り込まれるはずだと見ています。
しかし同時にもし安倍首相が、原子力発電所は安全になったという事を納得させられないまま、日本の原子力発電を福島第一原発の事故以前の状態に戻そうと急いだりすれば、国民から強い反発を受けるだろうと警告しています。
「今回原子力発電の廃止を訴える候補者が落選しましたが、それが直ちに原子力発電の継続についてのコンセンサスが成立したということにはなりません。」
現在は退官した慶応義塾大学の政治学教授であった浅野史郎(元宮城県知事)氏がこう語りました。
福島第一原発の事故で3基の原子炉がメルトダウンして以降、原子力発電に関して3年間四分五裂したままの国内世論が、今回の都知事選挙で一応集約されたようにも見えます。

これまでは資源の少ない日本が国際競争に打ち勝つためには、原子力発電が作り出す低価格の電気を必要なのだという政策がまかり通っていましたが、今やそうした政策の上に国民の新たな合意を築くことは不可能です。

アナリストは次のようにも見ています。
基本的に、福島第一原発事故の惨禍がもたらした原子力発電の安全性に対する疑問は根強いものがあり、国民の間には心からの恐怖が存在します。
同時に多くの国民の間には、原子力発電を全廃した場合に、日本経済は数十年間の間成長できない状態が続くのではないかという、未知の将来に対する恐れもあるように見受けられます。

原発止めろ
この問題に対しては、近年非常な勢いで国力を増大させた中国が東アジア地区における日本の影響力に挑戦する動きを見せ、緊急性のある課題が入れ替わったようにも見えます。

こうした状況に有権者の意向にはためらいが目立ちます。
選挙では日本の経済成長政策、有名になったアベノミクスには、原子力発電の継続が必要不可欠であると主張する安倍首相が率いる自民党に投票する一方、世論調査では原子力発電所の再稼働に反対する意見が過半数を占めています。

こうしたこの国をどう前進させるのかという大切なコンセンサスを作れない状況は、原子力発電の停止によって不足する電力を火力発電で補う状況にもつながっています。
このための輸入燃料費が、かつては多額の貿易黒字を誇っていた日本を貿易赤字国にしてしまいました。

目下において多くの日本人は、高額になりつつある電気料金については、省エネルギー対策を徹底して行うなどして対応しています。

そして、景気が低迷していた最中においてさえそうであったように、多くの日本人のための生活は比較的快適な状態を保っています。
地下鉄は一分の狂いも無く発着を繰り返しています。
国内は世界のほとんどの場所よりも安全な上、経済規模はまだ世界第3位の規模を誇ります。

16日抗議集会01
日本国内の高額の電気料金がきっかけで企業の海外移転が促進される懸念がありましたが、この点については、アベノミクス政策によって発生した円安と成長促進方針の下での企業収支の改善により、これまでは部分的に相殺される結果になったと経済学者は分析しています。

「人々はアベノミクスによる経済の全体的な底上げにより、目下のところはそれ程経済的に損失を受けているという感覚は無いはずです。」
慶応義塾大学経済学部の野村興児教授がこう語りました。
「しかしいずれ負担しなければならなくなります。」

安倍首相と経済界の彼の同調者もまた、次のように主張しています。
福島第一原発の事故発生以来、国内に存在する稼働可能な原子炉48基をすべて止めてしまっているために、日本は毎年3兆6,000億円に昇る天然ガスを初めてとする火力発電用の燃料を輸入しなければならなくなっており、これはアベノミクスの経済効果に対する著しい脅威だと。

しかし、その安倍首相といえど、これまでは原子力発電所の再稼働を強行するわけにはいきませんでした。
原子力安全・保安院に代わって設置された原子力規制委員会は、国内の原子炉について早計に安全宣言を行い、国民の猛反発を受けることを恐れています。
原子力規制委員会は昨年7月に施行された新しい安全基準に、申請のあった原子力発電所が適合しているかどうか2014年1月に最初の決定を行うことになっていましたが、結局早くとも春までに具体的な決定が下されることはない、そうした見方が一般的です。

福島第一原発の事故現場で次々と発生した事故やトラブルは、人びとの原子力発電に対する懸念を一層深いものにしました。
そして今後は福島第一原発の状況について包み隠さず公にすると誓ったはずの東京電力が、相変わらず事実の隠ぺいを続けたいたことが明らかとなった事も、その傾向に拍車を掛けました。

東京電力・役員
「正直なところ、どうすれば良いのかわかりません。」
東京都知事選挙で、原子力発電の廃止を訴える候補の演説会場を訪れた、非正規雇用の会社員である35歳の男性、森川さんがこう語りました。
「私は今回の選挙が原子力発電の無い日本への第一歩になれば良いと考えています。
しかしそのために具体的にどのような方法を取れば良いのか、その点が解らないのです。」

このような考え方こそが、東京都知事選挙の結果に現れた日本人の複雑な心境を表現しています。

勝利した枡添氏は、原子力発電推進の立場をとる自民党の推薦を受けましたが、自身は漠然とした言い方ではあっても、原子力発電の段階的廃止を支持する発言をし、政権与党と一定の距離を置いたことが勝因の一つであるとアナリストは見ています。

明確に原子力発電の即時廃止を訴えた宇都宮氏、細川氏の合計得票数は190万票で、当選した枡添氏の得票数に迫るものでした。
しかしその数字以上に、人々の脱原発への思いは強いという事を明らかにした選挙でした。
放射性物質歩車の中でただ一人原子力発電の継続を公然と訴えた元自衛隊幹部の得票数は、上記の3人からは大きく離され、4位という結果に終わりました。

反原発デモ
しかしアナリストによれば、同時に今回の選挙において、かつて首相を務めた政治的に高い経歴を有する細川護煕候補と、細川氏を応援した史上まれにみる高い人気を誇った小泉純一郎元首相が掲げた、全原発の即時停止という高い目標には必ずしも納得していないことも明らかになりました。

選挙演説において、それまで原子力産業を後援する立場だった二人は、福島第一原発の事故を受けその方針を180度転換し、日本が原子力発電所を全廃しなければならない状況は緊急を要するものだと語り、もっと安全な再生可能エネルギーの開発の先駆者をめざせば、併せて経済成長への起爆剤の一つとなり得ると主張しました。
しかし多くのアナリストは、与党側の候補者が当選をしたという事実は、有権者の多くは細川氏と小泉氏の主張は現実性に乏しいと感じたことを表していると語っています。

組織内部における意見の亀裂は、原子力発電の継続について一枚岩の結束を誇っているように見えた実業界でも表面化しました。
原子力発電所の再稼働を公然と要求する数少ない団体であり、日本を代表する議会工作のための実業家団体である経団連ですが、内部では若い経営者による離反が始まりました。

放射線測定
こうした亀裂は安倍首相率いる与党内でも表面化しました。
約50人の若手国会議員が、安倍首相の原子力発電の支持姿勢に、臆することなく反対の立場を明らかにしました。

一方では一般市民のこの問題に対する関心の低下ともみられる現象も起きています。
首相官邸前の路上で毎週続けられてきた脱原発のための抗議行動は、2年前の数万人の規模から、現在数百人規模にまで減少しています。

結局日本人の多くが原子力発電について、福島第一原発の事故以前の状態に戻したいとする推進派の考えも、直ちに全原発を廃炉にするという理想主義的考えも、そのどちらも否定していると一部のアナリストは見ています。
アナリストは安倍首相が政権に復帰して早々に廃棄した民主党政権による方針、全廃に向け日本国内の原子炉を段階的に廃止していくというプランを再び採用する他は無いと分析しています。

すなわち、現実的な選択肢とは、将来の原子力発電の廃止を確約した上で、最新の設備を持つ原子炉の再稼働を容認することです。

「安倍首相も細川氏も、世論の中心にはいません。」

と、一橋大学のエネルギー産業の専門家である橘川武郎(きっかわたけお)教授がこう語りました。
「経済成長を促しつつ、段階的に原子炉の廃炉を進めていくことが原子力発電の問題を解決するための最良の方法である。
その結論は変わらないのです。」


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【 首相官邸前の抗議行動・彼らは日本を変えることができるのか?】米国ABC( http://kobajun.biz/?p=4405 )
という記事をご紹介した事があります。
私は「変わった」と考えています。
今回のニューヨークタイムズの記事では、官邸前の抗議行動の規模は縮小したものの、抗議の場が広がり続けている事が紹介されています。

人々は今、自分がいる場所から声を挙げ始めている。
日本の民主主義にとって、大切な事が始まったと考えています。

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【 追悼 : ピート・シーガー / 1919年5月 - 2014年1月27日 】

ニューヨーカー 2月5日
(掲載されている写真は、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

PS01
1965年、ニューヨークで。ブルース・デビッドソン撮影。(写真上)

ピート・シーガーの5弦のバンジョーには大文字でこう書かれていました。
「これは憎しみを包囲し、降参させるための道具です。」
それは音楽が主張を持ち、人々を目覚めさせ、連帯させる力を持っていると信じる人にとって、ぴったり来る表現でした。

ブルース・スプリングスティーンが2006年版のフォークシンガー人名事典の編集の際、アレック・ウィルキンソンに次のように語りました。
「ピート・シーガーは真実の音楽の中に歴史の存在を感じさせるセンスを持った、希有なミュージシャンでした。
ピート・シーガーの曲は人々に歌いつがれ、時には彼が選び出したトラディショナル・ソングがその時代のプロテスト・ソングになる事もありました(We Shall Overcome : 訳者注)。
そして自分がいる場所から見える歴史の一コマを、もったいぶらずに表現しました。
それがその時代の意識とつながったとき、彼の歌は正義を実現するための道具となったのです。」

PS02
PS03
シーガーの死が伝えられたとき、私たちはかつてニューヨーカーに掲載された事がある写真の中から、今回掲載すべき写真の選定作業を始めました。
私たちはまずブルース・デビッドソンが1965年に撮影した写真を選び、さらにデビッドソンの数点を選んだ後、デイビッド・ガーとダニー・ライアンの写真をえらびだしました。
写真からは市民権活動家、芸能人、夫、そして、父として、アメリカ社会と音楽に対する彼のシーガーの貢献の幅が広かった事が伝わってきます。

1968年、ウディ・ガスリー・メモリアルコンサートで、ジュディ・コリンズらとリハーサルをするシーガー。(写真下・以下同じ)
SG05
1963年、綿花畑で。
PS04
1963年、ボブ・ディランと一緒に。
PS06

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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