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福島第一原発事故・東京電力の役員に無罪判決・シリーズ4:世界のメディアはどう伝えたか?!《ドイツ国際放送》

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所要時間 約 10分

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併載:原子力発電に将来はあるのか?

                  

福島県内の放射性物質に汚染された地域では、深刻な病気の発症事例が著しく増加

福島県内の甲状腺がんの子供の数は、他の地域と比較すると20倍に上っている

ドイツのエネルギー政策転換のきっかけを作った市民による反原発運動

                           

写真:福島県大熊町にある東京電力(TEPCO)福島第一原子力発電所の原子炉3、4号機付近、防護服を身に着けた作業員

ドイチェ・ヴェレ 2019年9月19日

検察側は東京電力の元役員3人が津波による危険を認識していながら、必要な対策を怠っていたと告発していました。
しかし元役員は認識はあったが、いちいちの日常業務の実行状況にまで責任を負ってはいなかった主張していました。

                  

9月19日木曜日東京地方裁判所は東京電力(TEPCO)の元役員3人に対し、2011年に発生した福島第一原子力発電所事故の発生責任について無罪を言い渡し、世界最悪の原子力発電危機のひとつに起因する唯一の刑事事件を結審させました。

                 

検察側は、10メートルを超える津波が電源喪失を引き起こし、原子力発電所で巨大事故を引き起こす可能性があることを認識していた元役員は事故に対する責任を負わなければならないと主張していました。

                 

しかし東京地方検察庁は証拠が不十分な上、訴訟に勝てる見込みはないとして東電役員を2度にわたり不起訴処分にしました。
この事態を受け、東京地裁が選任した指定弁護士が検察官の役割を担う強制起訴を余儀なくされました。

                  

         

東京電力の勝又恒久前会長(79)、武藤栄元副社長(69)、武黒一郎元副社長(73)の3人の役員は津波による被害に関する研究については知ってはいたが、日常業務ノン髪までは把握しておらず、信頼できる原子力発電所の安全担当者に任せていたと主張していました。

                  

「不確実で曖昧な問題に対処するのは困難です。」
裁判の中で武黒元副社長はこう語っていました。

                   

▽ 不当判決!

原告は東京地裁の判決に対し控訴することになると考えています。
東京地裁の外には、原告を支援する人々が『不当判決』と書かれたプラカードを掲げ抗議の意思を表していました。

              

東京電力の元幹部に対する刑事告発を行った福島県民5,700人以上の告発を代行する河合弘之弁護士は判決の前にすでに、敗訴した側が控訴するために法廷闘争は約10年続くと予想していたと語りました。「この判決は大きな戦いの始まりを告げたにすぎません。」河合弁護士は集会でこう語りました。 「私たちの究極の目標は、多くの住民を絶望の淵に追い込んだ危険な原子力発電所を根絶することです。」
かつての福島第一原発周辺の住民たちの多くが、日本政府に対し原子力発電を廃絶するよう求めています。

               

             

▽ これは始まりにすぎない…

          

2011年、マグニチュード9.0の地震により発生した巨大津波が福島第一原子力発電所を破壊して6基の原子炉のうち3基がメルトダウンし、福島県全域に放射性物資を放出する巨大事故に発展しました。

             

東日本大震災では地震と津波により約20,000人が死亡しました。
しかし福島第一原発の放射性物質の漏出は大量避難を引き起こし、16万人以上の人々が自宅を捨てて避難しなければなりませんでした。

               

この原子力危機を生き延びた人々の一部は、裁判所の決定に失望したと語りました。
「こんな判決は理解できません。」
かつて福島で暮らしていた人がこう語りました。
「私たちは家も故郷も奪われてしまったのですよ。」

              

【 写真集:原子力発電に将来はあるのか? 】

                 

1. 致命的な事故
史上最悪の原子力災害発電所事故、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故は、大気中に大量の放射性物質を放出しました。
ウクライナ、ベラルーシ、ロシアのチエルノブイリに近い地域一帯に深刻な汚染が広がりました。
ヨーロッパのほとんどの地域で、放射線量の上昇が確認されました。
チェルノブイリ周辺の「指定避難区域」は、今日も人間の居住が許されず、立ち入り禁止のままになっています。

                   

2. 再び起きた巨大事故
2011年3月マグニチュード9.0の巨大地震により巨大津波が発生、日本の福島第一原子力発電所の3基の原子炉がメルトダウンしました。
4回に及ぶ水素爆発も起きました。
福島第一原発の事故は、1945年に広島に投下された原子爆弾の500倍の量の放射性セシウム137を放出しました。
事故収束と周辺地区の除染には数十年かかると予想されています。

                 

3. 
チェルノブイリ原子力発電所事故の後、何千人もの人々が癌を発症しました。
日本でも20万人が避難を強いられた福島県内の汚染が深刻な地域では、深刻な病気の発症事例が著しく増加しました。
福島県内の甲状腺がんの子供の数は、他の地域と比較すると20倍に上っています。

4.
原子力反対運動
チェルノブイリ原発事故は、特にヨーロッパ全域で原子力に反対する人々を爆発的に増加させました。
同じことが福島第一原発事故の後に起きました。
事故以前日本はその電力の発電手段の30パーセントを原子力に依存していました。
それは現在1%にまで落ちました。
安倍政権は原子力発電の継続を望んでおり、いくつかの原子炉の再稼働を計画しています。
しかし福島第一原発事故の影響を直接受けた地域は再稼働計画を押さえ込むことに成功しました。

                   

5
原子力産業の危機
今日、原子力産業界は経営危機に陥っています。
日本、米国、フランスでは、原子力発電所の運営が行き詰まり、新しい原子炉の建設プロジェクトが次々延期されています。

               

6
新世代原子炉の後退
フランスは加圧水型原子炉(PWR)と呼ばれる最新の原子炉に大きな期待を持っていました。
この技術は安全であると考えられており、フラマンビル発電所は2012年に稼働を開始する予定でした。
しかし安全確保の点で問題が見つかり、稼働は早くても2018年にまで延期されました。
建設プロジェクトの費用は100億ユーロを超え、当初予算の3倍以上に膨らんでいます。

                      

7
2つの巨大事故がドイツの原発を止めた
30年前、チェルノブイリ原子力発電所事故はドイツ国内の反原発運動に火をつけました。
この運動はドイツのエネルギー政策転換のきっかけを作りました。
2002年にドイツは2022年に最後の原子炉が停止することになる法律を可決しました。
この計画は後にアンゲラ・メルケル政権によっていったん廃止されました。
しかし福島第一原発の事故を見たメルケル首相はすぐに決定を覆し、ドイツの原子力発電所の段階的廃止は軌道に乗ることになったのです。

                  

8
原子炉を停止せよ
これまでドイツの原子炉のうちすでに9基が停止しました。
この後さらに8基が2022年までに停止します。
放射性核廃棄物の処理費用を賄うために、プラントオペレーターは236億ユーロを連邦政府の廃炉基金に支払う必要があります。
発電所オペレータはさらに高額な費用を必要とする原子力発電所の解体プロセスを責任を持って完了させなければなりません。
この作業には数十年という時間がかかります。

                

https://www.dw.com/en/japan-clears-executives-in-fukushima-disaster-case/a-50490354

         

https://www.dw.com/en/japan-clears-executives-in-fukushima-disaster-case/a-50490354

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これだけ多くの人々を不幸のどん底に突き落とす原因を作った人間たちが、単に『無罪』ということに、一体正義はどこにあると憤った方も多いと思います。

3人ともそこそこ高齢ではあるようですが、せめて年間100日以上の無償社会奉仕活動や被災地ボランティアを人生が終わるまで続けなさい、とか、そういうことでもないと…

原発マネー還流?! 福島第一原発事故の危機の最中に

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所要時間 約 7分

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高浜原発が立地する自治体の関係者、関西電力幹部20人に3億2,000万円を支払い
福島第一原発の事故被災者が塗炭の苦しみにあえぐ中、巨額の金品を受領し続けた関西電力幹部

               

                 

山口まり / AP 2019年9月27日

             

日本の電力会社の社長を含む20人の幹部が、原子力発電所が立地する福井県の町の元助役から7年間で約3億2,000万円の現金と贈答品を受け取っていたことを認めました。

               

この事実は日本国内の行政関係者と原子力産業界との間の腐敗した関係が未だにつ付いていることを裏が゛機することになりました。

                

関西電力の岩根茂樹社長は2011年から2018年にかけて、高浜町の前助役から現金を含む贈答品を受け取ったことを認めました。
2011年から2016年に日本電気事業連合会の会長を務めた関西電機の八木誠元会長も同様に受け取っていました。

               

この事実は税務調査中に表面化したものです。

                

岩根社長は謝罪し、受け取った現金はほとんど返還されていると述べました。
岩根社長は2016年に関西電力の社長になった直後に初めてこの助役と面談し、社長就任祝いの贈り物を受け取ったと語りました。

                  

関西電力高浜原子力発電所

                

岩根社長は受け取ることを断ろうとしたものの、地元で強い政治的影響力のある人の感情を傷つけてしまったら、以後の関西電力のビジネス展開に悪影響が出ると考え、受け取ったと語りました。

                 

日本では2011年3月の福島第一原発事故が、原子力発電の安全性に対する国民の信頼を打ち砕いていました。
「贈答品を強いて返そうとすれば関西電力と地元とのの関係が損われ、この地域の原子力事業に悪影響を与える可能性があるために受け取った。」
岩根社長は贈答品の具体的な内容を明らかにすることを拒否しましたが、贈答品を安全に保管し後でそれを男性に返却するつもりだったと語りました。

                

菅原一秀経済産業相経済産業大臣は今回のスキャンダルについて「言語道断」と表現しました。
菅内閣官房長官は記者団の質問に次のように答えました。
「公益事業者を担う事業者は、地元や国民からの信頼が不可欠。不透明な形で金品を受領していたのはは深刻な問題である。」

                

現段階で刑事告発は行われていませんが、法の専門家は金銭の流れが計画的に行われた場合、金品を受け取った関西電気の幹部は贈収賄の罪に問われる可能性があると語っています。

              

日本国内の報道によれば、巨額の現金は高浜町の元助役が原子力発電建設を請け負った業者から「手数料」として受け取ったものです。

             

                 

岩根氏は関西電力と高浜原発の建設請負業者との間の契約は適切なものであり、岩根氏と他の関西電力幹部は原発建設の見返りとして受け取ったものだとは認識していなかったと語りました。

               

              

しかしと元検事の高井康行弁護士はこのような支払いは違法であり、関西電力の幹部が資金がどこから出ていたか認識していれば背任の罪に問われる可能性があると語りました。
「犯罪性があるかないかに関わらず、日本のエネルギー産業の基盤となる電力会社の最高幹部としてやってはならない行為です。」
NHKのインタビューに高井弁護士はこう答えました。

              

地元自治体の職員は元助役が高浜町に2基の原子炉を持ち込んだ、強力な政治力を持つフィクサー(政治・行政や企業の営利活動における意思決定の際に、正規の手続きを経ずに決定に対して影響を与える手段・人脈を持つ人物:ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%BC )だったと語りました。

                    

「日本では伝統的に、原子力発電所と原発立地自治体が金銭によって密接な結びつきを持つ傾向があります。」
京都の龍谷大学で環境経済学を専攻し、原子力エネルギーの費用と金融の専門家である大島堅一教授がNHKの取材にこう語りました。

             

https://apnews.com/c6049cadc3dc483791df924109f2eaa8
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今回は【 シリーズ4:世界のメディアはどう伝えたか?!《ドイツ国際放送》福島第一原発事故・東京電力の役員に無罪判決/併載:原子力発電に将来はあるのか? 】を掲載する予定にしていたのですが、現に関する大きなスキャンダルがまた明らかになったので、そちらを先にご紹介することにしました。

                                  

関西電力の幹部が金品を受領していた期間にご注目ください。
2011年から2018年…
まさに福島第一原発の事故被災者が絶望の淵に追い込まれ、塗炭の苦しみにあえぎ続けていた期間(現在も多くの被災者の方が救われたとは言いがたい状況にありますが)とぴったり一致します。

                      

             

これを良識に欠ける、あるいは良心に悖る(もとる)などというありきたりな言葉で表現してよいものでしょうか?
福島第一原発周辺の原発難民にされてしまった方々のあの時の絶望を、苦難を、悲劇を、今、一人でも多くの日本人が思いかえすべきではないでしょうか?!

福島第一原発事故・東京電力の役員に無罪判決・シリーズ3:世界のメディアはどう伝えたか?!《AP通信》

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所要時間 約 11分

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東電の担当職員が津波に対し十分な対策を取るよう求めたのに、対策を怠った役員に無罪判決
まるで原子力発電の支持者が書いたような東京地裁の判決文

東京電力は規制当局と共謀し、津波対策を実施すべき現実を無視していた

              

               

山口まり / AP通信 2019年9月19日

            

2011年に発生した福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンした事故について東京電力の3人の元役員の責任を問う刑事裁判で、原告である被災者を支援するグループの人々が2019年9月19日東京地方裁判所前で『不当判決』のバナーを掲げ抗議の意思を明らかにしました。
長引く深刻な放射能汚染によりいまだに数万人の住民が戻れずにいる原子力発電所事故に関わる唯一の刑事裁判でした。

              

東京地方裁判所は9月19日木曜日、2011年の福島第一原子力発電所の巨大事故において、当時の日本政府は原子力発電所に対して極めて高度な安全性は求めていなかったとし、東京電力の元役員3人に職責上の過失はないと判断しました。

               

東京地方裁判所の判決は、長く続く深刻な放射能汚染のために何万人もの住民が自宅や故郷を捨てなければならなくなった原発事故に関する唯一の刑事裁判を結審させるものです。

             

刑事告訴を行った5,700人の福島県住民を代表する弁護士は、検察官に判決を控訴するよう求めました。
被災者を支援するグループの人々は東京地裁の外に立ち、『不当判決』と書かれたプラカードを掲げていました。

               

東京地裁の永渕健一裁判長は、地元の病院や施設から強制的に避難させられた最中または後に容体が悪化して44人の高齢者が死亡したことについても、東京電力の勝又恒久前会長(79)および他の2人の元役員に責任は無いと断じました。

                

            

東京電力の元役員3人は、2011年3月11日にマグニチュード9.0の地震に続いて福島第一原子力発電所を襲った大津波を想定しなかったこと、そして大災害の際に大事故の発生を防ぐための対策を怠ったことについて告発されていました。

                

東京電力の勝又恒久前会長、武藤栄元副社長(69)、武黒一郎元副社長(73)は、2017年6月の裁判の最終論告で自分たちの無罪を主張しました。
3人は口々に津波の発生を予測することは不可能だと主張しました。

                

福島第一原発事故では6基のうち3基の原子炉でメルトダウンが発生し、周辺のコミュニティと海に向け放射性物質が放出されました。

                       

昨年12月の公判で検察側は各役員に5年の禁固刑を要求し、危険の存在を認識していながら巨大津波がもたらす脅威に対し原子力発電所を守るための十分な対策を怠ったとして非難していました。
これに対し東京地裁は今回の判決で被告は東京電力で責任ある地位にあったが、それは必ずしも当時の法的規制の枠組みを超えて対策を講じる責任があったことを意味するものではないとしました。
そして2011年3月のように津波によって福島第一原発が浸水する可能性があると被告が予見できた証拠はないと述べたのです。

              

東京電力の担当職員たちは津波対策の内容を改善する必要性を認識しており、2008年か2009年までには措置を講じることを検討していました。
しかもこうした措置は当時の政府の安全基準に沿ったものだったのです。

                  

検察側は東京電力が実際に津波に襲われる前に一旦福島第一原子力発電所を停止させ必要な安全対策を講じていれば、巨大事故の発生を防ぐことができたと主張していました。
これに対し東京地裁の判決は福島第一原発の稼働を停止すれば電力を公共の用に供するという東京電力の責任が果たせなくなり、その『社会的影響』は大きく、当時可能だとされた対策も東日本大震災の発生には間に合わなかった可能性が高いと述べたのです。

             

                 

裁判を傍聴していた数十人の福島県民とその支援者は、無罪判決に深く失望しました。

              

「だれが当時の責任を取るつもりなのでしょうか?事故を引き起こしたのは東京電力であり、その事実だけは間違いはありません。」
事故発生により病院から避難させられた後、父親が死亡した福島県在住の菅野正勝氏がこう語りました。

                

原告団の弁護士を務める河合弘之氏はこの判決に対しては控訴手続きが取られなければならないと述べています。
「この判決は裁判官が原子力発電所の危険性を何も理解していないことを証明するものであり、会社の経営陣とその経営方針に迎合するものです。」
「この判決はまるで原子力発電の支持者が書いたかのように聞こえました。」

           

検察側は3人の被告が、電源の損失と巨大事故を引き起こす可能性のある10メートルを超える津波襲来の可能性を予測するデータと科学的研究結果に接していたと裁判所の公判で明らかにしていました。

             

弁護側は裁判で津波の予測方法はまだ十分に確立されていなかったと主張し、東京電力が当時の予測を基に津波対策をしていたとしても実際の被害はそれよりも大きなく、事故は防げなかったと主張していました。

                 

東京電力は、判決について直接コメントすることはしませんでしたが、「揺るぎない決意をもって」原子力発電所の安全性を高めながら、被災者の補償と福島第一原発およびその周辺地域の事故収束・除染作業に専念することを誓いました。
勝又前会長は弁護士を通じて発表した声明の中で「多大なトラブルを引き起こしたことについて人々に」謝罪しました。

                  

              

福島第一原発が事故を起こしてから8年以上が経過しましたが、今の所安定した状態を保ち、事故収束・廃炉作業が進んでいます。
しかし完了までには数十年に渡るプロセスが必要であり、作業はまだ始まったばかりです。
東京電力は急造した雑多な種類の1,000のタンクに貯蔵されている大量の処理済み放射能放射性水の保管に苦慮し、事故収束作業の妨げになっています。

               

検察側は裁判で、2007年の新潟地震による柏崎刈羽原子力発電所での損傷事故の後、東京電力は津波安全性レビューを実施しており、3人の元役員はそのプロセスに定期的に参加していたことを指摘しました。
2008年3月、東京電力の子会社は15.7メートルの高さの津波が福島第一原発を襲う可能性があり、護岸工事を検討するよう会社に促しましたが、当時の経営陣は多額の支出を避けるためにこの案の採用を見送ったと言われています。

               

検察側はさらに数百に上る新証拠を提出しましたが、その中には安全性担当者と2人の副社長との間の電子メールが含まれ、津波への懸念が強まる中、福島第一原発における防御対策強化の必要性が高まっていたことを示唆していました。
法廷では20人以上の東京電力の職員と科学者が証言しました。

               

日本政府と議会の事故調査委員会はそれぞれ、東京電力の安全意識が欠如した企業体質と津波の危険性を過小評価する貧弱なリスク管理体制が大事故につながったと結論付けていました。
さらに東京電力が規制当局と共謀して津波対策を実施すべき現実を無視していたことも指摘しました。

               

これに対し東京電力はもっと多くの安全対策を取るべきだったかもしれないが、福島第一原発を完全に破壊してしまうほど巨大な津波が襲来することを予測することは不可能だったと主張しました。

              

                 

すでに東京電力は事故に関連した補償に9兆円を費やしました。福島第一原発の廃炉措置に推定で8兆円、さらに除染に6兆円を支出しなければなりません。

                

https://www.apnews.com/35ad7c0e1dad48359335a928b57bdda7

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シリーズも3回目です。

最初にガーディアンのジャスティン・マッカリー氏の記事を翻訳し、「日本の司法には、福島第一原発事故によって生活を破壊されてしまった人々の人権を守ろうという姿勢が無い」という視点を得たことが、その後の記事の流れを分かりやすくしてくれました。

               

この記事の執筆者である山口まりさんは福島第一原発事故発生直後から、ニューヨークタイムズの田淵ひろ子さんと並んで、精力的に取材・報道されてきた方です。

福島第一原発事故・東京電力の役員に無罪判決・シリーズ2:世界のメディアはどう伝えたか?!《米国CNN》

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所要時間 約 12分

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結審した刑事裁判、しかし福島における何かが終わったわけではない
国会事故調査委員会の精密な調査報告書を無視し、権力の側に都合の良い判決を下した東京地裁・永渕健一裁判長
日本の行政も司法も東京電力の役員に対し、説明責任を果たすよう求めることすらしていない

               

写真 : 福島第一原子力発電所の原子炉3号機の外観

              

ジェームズ・グリフィス / CNN 2019年9月19日

                

2011年の福島第一原発事故をめぐっての唯一の刑事裁判において被告である東京電力の役員に無罪が言い渡され、避難生活を余儀なくされた何千何万という家族の希望を吹き飛ばしました。
彼らは3基の原子炉がメルトダウンした事故によって東日本の広域に降り注いだ放射性物質により、今後何十年もの間故郷で暮らすことができなくなった人々です。

               

東京地方裁判所は福島第一原子力発電所を運営していた東京電力の元会長と元副社長2人に無罪判決を言い渡したとNHKが伝えました。
彼ら3人は必要な安全対策を施すことを怠った過失を問われていましたが、全員が無罪とされました。

                  

勝又恒久前会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長は、災害を合理的に予見することはできず、従って緊急避難を強いられたことにより44人の入院患者が死亡したことを含め、福島第一原発の事故がもたらした様々な結果についても責任を負う必要はないと結論づけたのです。
過去東京地方検察庁は東京電力の役員の起訴を拒否し、死亡した人々の家族と福島第一原発の周辺地区から避難を強いられた人々が協力して行った法的努力の後になって、やっと刑事事件として立件しました。

                  

             

東日本大震災の地震により発生した巨大津波が福島第一原発を襲ったことにより発生した巨大災害の事故収束・廃炉作業には数十年の歳月と数十兆円の費用がかかると予想されています。
その原因を作った原子炉のメルトダウンからすでに8年が経過しましたが、いまだに何万人もの人々が避難生活を続けています。

              

9月、日本政府当局は破壊された原子炉炉心の冷却を続けるために注ぎ込まれた結果生じた100万トン近い放射能汚染水の貯蔵容量が限界に達する恐れがあるため、海洋投棄しなければならない可能性があると語りました。
福島第一原発では毎日約300~400トンの高放射性汚染水が生成されます
現在この放射能汚染水は敷地内に急造された数百基のタンクに保管されていますが、事故収束作業が開始されてから数年間で何度も漏出事故を起こしました。

                 

「(放射能汚染水を)思い切って放出して希釈するしか方法がないと思っている。」
9月10日の記者会見で原田義昭前環境相はこう語りましたが、他の当局者は口々に最終決定はまだ行われていないと主張しました。
放射能汚染水を海洋投棄して希釈する可能性に日本政府が言及したことを受け、隣国の韓国では緊急事態の態勢に入りました。

                

                

さらに太平洋での希釈が果たして目論見通り行くかどうかは別にして、海洋汚染への懸念により日本の漁業に悪影響が及ぶ可能性があります。
福島第一原発事故の発生は当初、中国と米国西海岸でパニックを引き起こしましたが、カリフォルニアのワインの原料となるブドウから放射性物質が検出されました。
東京電力は以前、福島第一原発の事故収束作業には約40年の歳月と約5兆円の費用がかかると試算していました。

               

▽ 洪水のように押し寄せた悲劇

            

日本の歴史上最悪の原子力発電所事故の発端は海の上で始まりました。
東京の北東約370キロメートルの場所を震源とするマグニチュード9.1の地震が発生、日本の本州を東に約2メートル動かしてしまったほどの強烈なパワーが海上の波にそのまま伝わり、たちまちビルディングほどの高さの津波に変えてしまったのです。

               

日本の東北地方沿岸に到達するまでに、津波の高さは最大40メートルに達し、地上の車をあっという間に押し流し、建物を崩壊させ、道路も高速道路も寸断しました。
最初の地震発生から50分経たないうちに、まさにこうした事態から福島第一原発を守るはずだった高さ10メートルの防波堤を津波が乗り越えて始めたのです。

              

            

福島第一原発の施設内に大量の海水が流れ込み、建物の基礎部分を完全に水没させました。
そこにあったのが緊急時用の発電機でした。
このため福島第一原発は主電源が喪失してしまった後いかなるバックアップもないまま、重要な原子炉冷却システムも電力の供給を完全に絶たれてしまったのです。

              

原子炉の暴走が始まりました。
炉心の燃料棒が溶け始め、周辺地域に人間の致死量を遥かに超える放射能が漏れ始めました。

            

事故発生から16時間後、1基の原子炉の燃料棒はほぼ完全に溶け落ち、残りの2基の原子炉が同様の事態に陥るのは時間の問題でした。
1986年のチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故以降の最悪となる原子炉メルトダウン事故が起きましたが、日本政府がメルトダウンの事実を認めるまでにはさらに88日を要しました。

               

数十万人の周辺住民が緊急避難を行いましたが、中には自分の家に永久に戻れなくなった人々もいました。

               

福島第一原子力発電所周辺地域の一部はゴーストタウン化し、東京電力の職員、政府の調査関係者、そして人間として最悪の悲劇を自分の目で確かめようとする外部の人々の姿しか見られなくなりました。

             

▽ 誰に本当の責任があるのか?

                 

東京電力の責任は、原子炉のメルトダウン以降の論争の最大の焦点でした。

             

                   

東京電力は終始一貫して東日本大震災は想定が可能な範囲を完全に超えた、カタストロフィであると主張し続けました。
東北地方太平洋沖地震は世界史上4番目に大きなものであり、日本史上最大規模の地震であり、これほどの規模の災害は全く想定できるものではなかったというのが東京電力が主張する立場です。

                 

しかし永久に故郷に戻れなくなった人を含め避難を強いられた人々は、東電側の主張は福島第一原発に関係する職員が責任を逃れることを目的にしたものだと怒りを募らせています。

              

事故発生後の東京電力の対応は、
メルトダウンの発表が遅れたこと
安全上様々な問題があったのにそれらを軽視したこと
浄化プロセス中に放射能汚染水の漏出事故を何度も起こしたこと
など、事件を注視していた人々に多くの攻撃材料を提供した事は間違いありません。

             

2012年に国会事故調査委員会が作成した報告書は、東京電力と日本の原子力規制当局が災害に備えるために講じた措置は「不十分」であり、危機への対応は「不適切」であったと結論づけました。

               

綿密な調査と検証を行った国会事故調査委員会は、福島第一原発事故についてきっかけとなったものは自然災害であっても、予見し対策を取ることができたはずなのにそれをしなかったための『人為的な』大災害であると指摘したのです。
事実、福島第一原発の事故について検証した数種の報告書の中で、東日本大震災の災害規模を予測することもそれに備えることも、誰にもできなかったと結論を出したのは東京電力の内部調査報告書筆だけでした。

              

「事故の直接的な原因はすべて、2011年3月11日以前に予測することは可能であった」
これが国会事故調査委員会の結論です。

                  

                

しかしこれだけ不正の証拠が数多く揃っているにもかかわらず、日本の行政と司法当局は東京電力の役員に説明責任を果たすよう求めようとはしていません。
検察庁は3人の役員の起訴を2度にわたって拒否しました。
今週判決が出た刑事裁判は、住民が抗議し検察審査会の手続きを経て初めて実現したものだったのです。

                

19日木曜日の判決により、福島に関する刑事訴訟は一旦結審しました。
しかし、100万トンもの放射能汚染水が福島第一原発の敷地内に溜まり続け、事故現場には溶け落ちた燃料棒がそのまま残っています。
巨大事故の亡霊はこれから何十年もの間日本に取り憑いたまま、人々を苦しめることになるでしょう。

             

https://edition.cnn.com/2019/09/19/asia/japan-fukushima-trial-intl-hnk/index.html

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唐突ですが、もしこの裁判長が太平洋戦争後の東京裁判を担当していたら、A級戦犯とされた人間たちもすべて無罪にしてしまっただろうな…ふとそんな考えが頭をよぎりました。

「予見不可能」「当時の基準では違法とは言えない」等々

張作霖の爆殺を始めとする関東軍の暴走や南京大虐殺、盧溝橋事件の偶発的衝突やバターン死の行進など、すべて「予見不可能」「当時の基準では違法とは言えない」と判断されれば、戦争犯罪などというものも成立しなくなります。

しかし東京裁判では『人類の普遍の原理』の考え方が取られた結果、捕虜や市民の大量死を犯罪と断じたのだと思います。

                     

私個人は今回の東京地裁の判決は『人類の普遍の原理』という立場から俯瞰すれば、許しがたい判断だと思っています。

現在の日本はその異常さが日常的に見られるようになった、という危機感を一人でも多くの日本人が共有すべきではないでしょうか。

福島第一原発事故・東京電力の役員に無罪判決・シリーズ1:世界のメディアはどう伝えたか?!《ガーディアン》

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日本の司法には、福島第一原発事故によって生活を破壊されてしまった人々の人権を守ろうという姿勢が無い
国民一人一人の人権を軽んじ、権力におもねるという日本の司法の腐敗は、もはや珍しいことではない

                   

東京電力の勝又恒久前会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長

                   

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2019年9月19日

                  

巨大事故を引き起こした福島第一原子力発電所を運営していた東京電力の元幹部3人は、2011年3月に発生した原子炉のメルトダウンを防止できなかった責任をめぐる唯一の刑事裁判で無罪判決を受けました。

                 

法廷で東京電力の勝又恒久前会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長の3人は福島第一原発事故において3基の原子炉がメルトダウンしたことについては謝罪していましたが、事故の引き金となった巨大津波は予見不可能だったと述べました。
検察側は元幹部3人が大津波が福島第一原発にもたらい危険性を示す情報あったにもかかわらず、情報に基づいて必要な措置を取っていなかった点を追及していました。

                

原子炉のメルトダウンが直接の死亡原因となったと公式に記録されている人はいませんが、この裁判は地元の病院から強制的に避難させられた最中または後に44人の高齢者が死亡したことの関連性について告発していました。

               

被告は全員、被害者を災害関連死に至らせたとする職業上の過失については無罪を主張し、さらに災害前に入手可能だったデータの信頼性は低いものだったと主張していました。
「不確実で曖昧な問題に対処することは困難です」
と竹黒被告は東京地方裁判所における刑事裁判でこう述べました。

                

検察官は3人に対しそれぞれ禁錮5年を求刑していました。

               

             

裁判所の外で抗議者は評決に口々に怒りをあらわにしました。
「私はこんな判決は受け入れることはできません。」
一人の女性がこう語りました。

                    

グリーンピースは、日本の司法には福島第一原発のメルトダウン事故によって生活を破壊されてしまった人々の人権を守ろうという姿勢が無い、と非難しました。

            

グリーンピース・ドイツのシニア・スペシャリスト、ショーン・バーニー氏はもし有罪判決が下っていたら東京電力、原子力発電を支持する安倍首相とその政権、そして日本の原子力産業界に「決定的な打撃」を与えたはずだったと語りました。
「こうした事情から、日本の裁判所が証拠に基づいて判決を下すという原則の適用を怠ったことは別に驚くには当たらないのかもしれない。」
現地での取材のため東京を訪れていたバーニー氏は声明でこう述ましべた。
「福島の大惨事の発生から8年以上が過ぎた今も尚、東京電力と日本政府は自分たちが何十年もの間原子力リスクに科学的に対処することを怠ってきた事実を認めようとしていません。」

                

福島第一原子力発電所は2011年3月11日に津波に襲われた後、6基あった原子炉のうち3基でメルトダウン事故が発生しました。
高さが14メートルに達した津波は発電所の予備電源を含むすべての電力の供給をストップさせ、冷却機能を失った原子炉内の燃料が溶け落ちる事態につながったのです。

                

              

検察は勝又恒久前会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長の3人は巨大津波がもたらすリスクを認識すべきであったにもかかわらず、必要な安全対策を講じることを怠ったと主張していました。

               

3人は専門家が福島沖で発生する大津波による脅威について警告が行われた会議に出席し、その資料も閲覧し、もし10mを超える津波に襲われた場合は福島第一原発が全電源喪失の状態に陥り、大事故を起こす危険性があることを警告されていました。

              

さらに専門家を集めた政府委員会の2002年の報告書に基づいて東電内部の検討結果は、マグニチュード8.3の地震の後に最大15.7mの津波に襲われる可能性があると結論づけていました。
2011年3月の巨大津波を引き起こした地震の震度はマグニチュード9.0に達したのです。

               

巨大津波は福島を含む東北地方の太平洋沿岸地区で18,000人以上の命を奪いました。
そして福島第一原発の原子炉のメルトダウンは放射性物質を大気中に放出し、発電所周辺を中心に16万人の住民が避難を強いられましたが、4万人以上の人々が未だに自宅に戻れずにいます。

              

              

東京電力はメルトダウンした原子炉の炉心から溶け落ちた燃料を見つけて取り除くのに40年かかるとの見解を秋からにしていますが、一部の専門家はすべての原子炉の廃炉が完了するまでにはさらに多くの時間がかかると見ています。

             

日本政府は福島第一原発の廃炉解体費用、周辺地域の除染費用、被害者への補償の総費用は20兆円以上と見積もっています。

               

何重もの苦境に立たされている東京電力は、福島第一原発の敷地内に貯蔵されている100万トン以上の放射能汚染水の処理方法を間もなく決定するとみられています。

               

最も可能性の高い『太平洋に汚染水を投棄する』という選択肢は、これまで8年間かけて事業再建に取り組んできた地元の漁業関係者に強く反対されています。

              

当初、東京電力の役員が直接刑事責任を問われる可能性は低いとみられていました。
東京地方検察庁は証拠不十分と犯罪性が低いとの理由で、過去2回3役員を起訴することを拒否しました。

                  

しかし2015年、一般市民で構成される検察審査会が3人の男性を裁判にかけるべきだと裁定した後、刑事訴訟が行われることになりました。

                  

                 

東京電力の元幹部に対する刑事告発を行った福島県民5,700人以上の告発を代行する河合弘之弁護士はすでに判決の前、敗訴した側が控訴するために法廷闘争は約10年続くと予想していたと語りました。
「この判決は大きな戦いの始まりを告げたにすぎません。」
河合弁護士は集会でこう語りました。
「私たちの究極の目標は、多くの住民を絶望の淵に追い込んだ危険な原子力発電所を根絶することです。」

              

https://www.theguardian.com/environment/2019/sep/19/fukushima-disaster-japanese-power-company-chiefs-cleared-of-negligence

  + - + - + - + - + - + - + 

               

福島第一原発事故の原因を作り出した東京電力の3人の役員に対する刑事裁判における『日本の裁判所』の無罪判決は、世界のメディアが一斉に取り上げました。

まだ作業途中ですが私が確認した限り、取り上げていない著名なメディアはありません。それらをじっくりたっぷり、シリーズ化してご紹介したいと思っています。

                  

それぞれ行間に怒りがにじむような記事になっていますが、私の翻訳ではその行間の怒りも文字になってしまっているかもしれません。

「違う!」と思われる方は、どうぞご自分で翻訳の上、ご紹介なさってみてはいかがでしょうか?

                      

『保守の論客』なる人物、実は見返りを期待して体制や金主におもねる人間の稚拙で意味不明、しかも呆れるほどに無内容な文章を読んだことがありますが、完成度の高い日本語の文章という点でも、「星の金貨』の文章が彼らの『論説』に劣るものだとは思っていません。

原子炉・大廃炉時代

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「再処理計画は実現不可能!」フランスは『核燃料サイクル計画の放棄』を発表、共同開発を希望していた日本を痛撃
福島第一原発の事故収束・廃炉には8兆円を超える費用、第二原発の廃炉の同時進行は可能なのか?

                        

                

山口まり / AP 2019年9月2日

                    

2018年11月28日静岡県御前崎市の中部電力浜岡原子力発電所の原子炉2号機を解体する作業員。
日本の原子力政策決定機関は、日本が大規模な原子力発電所の廃止措置の時代に入っており、安全対策の徹底と数十年の作業期間に加え数千億円という巨額の費用を必要とする作業について、予め計画を完備するよう各電力会社に促す内容の報告書を採択しました。

                   

日本では現在24基のすべての商業用原子炉の40%にあたる24基の原子炉の廃炉が計画されています。
その中には2011年に東北地方を襲った巨大地震と巨大津波により深刻な被害を受けた福島第一原発の4基の原子炉が含まれています。

                  

日本原子力委員会で今年採択された年次原子力白書は、電力事業者に米国と欧州の事例、特にドイツ、フランス、英国の事例から学ぶよう強く促しています。
日本はまだ原子炉の廃炉措置を完させた経験が無く、放射性核廃棄物の最終処分についての具体的な計画もありません。

                       

「廃止される原子力施設が今後さらに増加することを考慮し、一連の作業を効率的かつ円滑に実行するために新しい技術とシステムを開発する必要がある。」
報告書にはこう記述されています。

「これは我々が前進させ取り組まなければならない、すべてがまったく新しい段階である。」

                

                  

日本の電力会社は、福島第一原発の事故後に導入された安全基準をクリアするための改良作業に投資する代わり、老朽化した原子炉を廃棄する選択を行いました。
もっとも一般的な原子炉の場合、その廃炉措置には約600億円の費用と数十年の作業期間が必要です。

                 

日本政府が運営する日本原子力研究開発機構が明らかにした79の原子力研究施設の約半分を廃棄する計画に言及し、報告書は原子力に関する基礎研究が弱体化することについての懸念を提起しました。

                 

福島第一原発の事故以前、日本には60基の商業用原子炉があり、国内の電力需要の約25%を供給していました。

                  

安倍政権は新しい原子力発電所の建設すら視野に入れた原子力発電の推進政策をとっていますが、原子力規制当局が時間をかけて検査を行っているため、原子炉の再起動はゆっくりとしか進んでいません。
一方、原子力発電の継続に反対する感情は日本国民の中に根強く、電力会社が原子力発電の継続のために施設の改良工事等を行う際に現地の同意を取り付けることが一層困難になっています。
中でも放射性核廃棄物の貯蔵に関連する計画はいかなるものであっても、強い抵抗を受ける傾向があります。

               

                 

福島第一原発の事故以降、日本国内で再稼働した原子炉は9基にとどまり、安倍政権が目指す野心的20~22%の強引な目標と比較すると、その割合は全電力供給の約3%に過ぎません。

             

東京電力ホールディングスは2月、2011年の東日本大震災の際メルトダウン事故をかろうじて免れた福島第二原発の原子炉4基すべてを廃炉にする計画を発表しました。
地元の住民と自治体は福島第一原発の事故以降ずっと福島第二原発の廃止を求めてきましたが、8年が経ってやっと結論が出ました。

                  

東京電力は福島第二原発の廃炉だけで4,100億円の費用と40年という時間がかかると語っています。
しかし専門家は、現在、廃墟と化した福島第一原発の現場で事故収束・廃炉のために絶えず数多くの難問を抱え込んでいる東京電力にとって、この数字が現実的なのかどうか懸念を表明しました。
福島第一原発の事故収束・廃炉には8兆円を超える費用がかかると見積もられています。

                 

2001年から東海原子力発電所の廃炉作業を続けている日本原子力発電は、作業完了予定を5年間、2030年まで完了時期を延期すると発表しました。
これは同社が原子炉炉心から高放射性廃棄物を取り出すことができずにいる上、保管方法も見つかっていないためです。
この日本政府が運営していた東海核燃料再処理施設の廃止措置には70年かかり、費用は7,700億円に上ることが予想されています。

               

                  

さらに日本については備蓄量が47トンに達しているプルトニウムについて国際社会の懸念が高まっているにもかかわらず、原子力白書は核燃料サイクル計画と高速増殖炉の開発計画を推進すると述べています。
これに対し原子力委員会はプルトニウムの備蓄量を減らし、事実をありのままに公にするべきであると述べています。

                      

フランスは最近になって、理論的に燃料として使った以上のプルトニウムを生成する次世代高速増殖炉・ASTRID計画の放棄を公表しました。
再処理技術を共同開発することを望んでいた日本にとって、大きな痛手となる可能性があります。

                   

https://www.apnews.com/694bda3a08a44012b01c1a16a5cb1803

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日本という国が原子力発電を止められないのは、科学的になにか根拠があるからではなく、そこに群がって汚れた利権を漁り続ける人間たちがいるからだということが、8年間福島第一原発事故に関する海外メディアの記事を翻訳し続けてきた結果、私の中に出来上がった答えです。

自民党候補を落選させた自治体に、オリンピック開催のための政府資金の援助は無い?!

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アベ政治の本質を知っている自治体と住民は切り捨てられる
安倍政権は住宅問題・環境対策予算を削減してオリンピック予算にまわしている

                

                  

AP / 2019年9月15日

                 

同町の熊谷大(ゆたか)町長は、2019年9月14日土曜日、2020年東京オリンピック開催が2011年東日本大震災の被災地の復興に役立っていないと日本政府を批判しました。
「利府町に対する日本政府からの援助はなく、予算は全くありません。」
2020年開催の東京オリンピックで男子と女子のサッカーを開催する宮城スタジアムのメディア・ツアーで、熊谷町長はこうコメントしました。

               

オリンピックサッカーの試合を開催する予定になっている東北地方の自治体の町長が、2020年に開催される東京オリンピックを被災地の復興に活用することを約束した日本政府からの資金提供を受けられないでいると語りました。

                 

日本政府と東京2020の主催者はオリンピック開催を通し、2011年に発生した東日本大震災からの日本の復興を世界にアピールすることを望んでいます。
サッカーや野球など、いくつかのオリンピック・イベントが東北地方で開催される予定になっています。

              

しかし開会式まであと1年を切ったこの時点で、宮城県利府町の熊谷町長は、利府町が日本政府からの資金援助を受けていないと語りました。
「政府からの資金援助はありません。いかなる予算提供もありません。全くありません。」
熊谷町長は9月14日土曜日、こう語りました。
「東京2020は復興の象徴と位置づけられていますが、こと予算に関しては、この利府町にはオリンピックの予算はやってきません。」
熊谷町長は2020年のオリンピックで男子と女子のサッカーを主催する予定の49,000席の規模を持つ宮城スタジアムのメディアツアーで、こうコメントしました。

               

写真 : 2002年6月9日、宮城県利府町で行われたサッカー・ワールドカップ、メキシコ対エクアドルの試合中の宮城スタジアム。

                

                       

復興庁によれば、2019年8月現在、東北地方では約50,000人がいまだに避難生活を強いられています。

               

宮城県女川町長の須田善明町長も熊谷町長の発言に同調しました。
女川町は利府町同様、東日本大震災の津波により壊滅的な被害を受けた沿岸の自治体です。
「私たちは日本政府から1円も補助金を受けていません。」
須田町長がこう語りました。
「会場設営からオリンピックの試合を観戦するために訪れる人々の接待まで何から何まで、私たちは自力でやらなければなりません。」

                   

首都圏でのオリンピック建設事業を急ぐために地域から建設労働者が連れ去され、その結果地方での復興の取り組みがを妨げられていると一部のメディアが伝えています。

                   

東日本大震災被災直後の女川町

                  

日本は世界で最も地震と津波が発生しやすい場所の1つです。
2011年3月11日、東北地方太平洋の沖合でマグニチュード9.0の地震が津波を引き起こし、福島第一原子力発電所で3基の原子炉がメルトダウンする事故を引き起こしました。
この地震と津波は東北地方の太平洋沿岸地域に甚大な被害を与え、18,000人以上の命を奪いました。

                 

2013年のオリンピックの指名争いでは約8,000億円の総開催費用を予測した日本政府は現在、約2兆1千億円を超える予算をつぎ込んで首都圏を中心にオリンピックを開催できるように準備していると伝えられています。

               

海外からも多くの人々が参加した日本の反オリンピック活動家のグループは、今年の夏、「反五輪の会」の名の下で小規模な抗議やその他のイベントを開催しました。
彼らは東京オリンピックに巨額の国家予算を支出することに反対しています。
「反五輪の会」の主張によれば、日本政府は住宅問題と環境問題のための国の予算を削減してオリンピック予算にまわしています。

                  

「反五輪の会」の人々は福島県の再建のためにもっと国の予算を回すよう求めています。
これに対しオリンピック組織委員会は福島の復興はオリンピックの主要なテーマであり、野球、ソフトボール、サッカーの試合を開催し、福島はもう安全であるということを世界に証明する機会にすると主張しています。

                  

しかし日本のオリンピック組織委員会は東京での開催準備を進める際、一連のハードルに直面しました。

                 

               

今年8月には東京の夏の暑さにより、女子トライアスロン予選競技が短縮されました。
東京の夏の暑さは来年のオリンピックの試合にも悪影響を与える可能性があります。

                 

日本のオリンピック委員会の竹田恒和前委員長は、東京にオリンピックを誘致するための不正な買収行為に関与したため、今年初めに辞任させざるを得ませんでした。
竹田氏は不正行為を否定しましたが、フランスの検察当局が買収資金だったと認定している約200万ドルの出費に署名したことは認めました。

              

https://www.apnews.com/9028e89e3e1f4dec89566c448a031866

  + - + - + - + - + - + - + - + - + 

一度書いたことがありますが、地方の業界団体の理事をしている友人がいます。
彼は大きなプロジェクトに政府の資金援助が必要になると、自民党本部に陳情に行かなければなりません。
そしてプロジェクトの中身について説明しようとすると、発言の蒙昧さと権力者への徹底した阿諛追従ぶりで今や大層評判の悪い自民党のN幹事長にピシャリとこう釘を刺されるそうです。
「中身なんか関係無いんだよ。あんたのところの選挙区が、我々にどれだけ投票してくれたかで決まるんだよ。」
そう言って企画書類など見ようともせず、前回の選挙戦での自民党の得票一覧票を引っ張り出し、そちらの方を詳細に確認しはじめる…

               

そのため彼は国政選挙になると目の色を変えて担当地方を走り回り、自民党候補者への投票を頼んで回らなければなりません。

                  

この話を知っていた私は、今年7月の参議院選挙で秋田、岩手、山形、宮城の4県で自民党候補者が落選したのを見て、この4つの県はいずれ何らかの形で『報復』されるのだろうと思っていました。
その結果の一つを伝えたのがこの記事なのだと考えています。

現在の日本の『国政』が何を基準にして動いているのかを象徴するものでしょう。

このような政治は従来の自民党支持者にとっても受け入れがたい状況のはずです。

                  

ちなみに先の友人は自民党本部に陳情に言った後、決まって体調を崩します。

「でもあなた自身が、そうした体制の存続に力を貸しているんだよ。」

とは、さすがに可哀想で言えずにいます。

                   

なおこの記事の原題は『Mayor of town in north Japan bemoans lack of Olympic fund』であり、そのまま翻訳すれば『オリンピック試合開催の資金提供が無いことに不満を表明する東北地方の町長』ということになり、私がつけた題名を連想させるものでもありません。

「福島の事故を起こしてしまった以上、日本国内の原子炉は廃炉にしなければならない」新任の小泉環境大臣

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「もう一度原発事故を起こしてしまったら、日本は破滅する」
難しくなった2030年までに30基の原子炉を再稼働させるという安倍政権の目標

                

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2019年9月12日

                  

新たに環境大臣に就任した小泉進次郎氏は、福島第一原発事故を繰り返さないためにすべきことは原子力発電所の再稼働ではなく、原子炉の廃炉であるべきだと語りました。

                

戦後日本で3番目に若い閣僚に任命された数時間後、小泉進次郎氏が明らかにしたコメントは、彼を原子力発電推進派の安倍首相との対決路線に
置く可能性があります。
「日本国内の原子炉をどのようにして保持するかではなく、それらをどうすれば廃炉にできるのか学んでいきたい。」
38歳の小泉氏はこう語りました。
「別の原子力発電所事故を起こしてしまったら、私たちは破滅することになるでしょう。この国ではいつ大地震が起きるかわからないのです。」

                   

こう発言した小泉氏ですが、すぐに日本が原子力発電を全廃することは『非現実的』だと主張する新任の経済産業大臣から反論されることになりました。
「原子力にはリスクもあり懸念もあります。」
菅原一秀経済産業大臣は記者団にこう語りました。
「しかし『原発ゼロ』は、現時点においても将来においても現実的ではありません。」

                

           

日本政府は、原子力発電が2030年までに日本全体の気発電割合の20%から22%を構成することことを望んでいます。
しかし原子力発電に反対する人々は大地震や津波に見舞われる可能性の高い国土の特性を考えると、原子力発電所の存在は日本を常に危険にさらすことになると批判しています。

                  

しかし安倍首相は原子力発電所の再稼働を要求し、原子力は日本が二酸化炭素排出目標を達成し、輸入に頼らざるをえない天然ガスや石油への依存割合を減らすのに貢献すると主張しています。

                  

2011年3月巨大津波に襲われた福島第一原子力発電所で3基の原子炉がメルトダウンする事故を引き起こした後、日本国内にあつた54基の原子炉はすべて停止しました。

                   

当時原子力発電は日本の総電力生産量の約30%を占めていました。
しかし現在は福島のメルトダウン事故後に導入された厳格化された安全性基準に適合した原子炉9基だけが再稼働しています。

                   

しかも安倍政権が目指す2030年までに30基の原子炉を再稼働させるという目標は、地元の強い反対と法的課題を前に達成できる可能性は低くなっています。

                   

小泉進次郎氏は自らの主張について閣内からの反対意見に直面するでしょうが、少なくとも父親であり反原発運動家として知れる元首相の小泉純一郎氏の支援を受けることになるでしょう。

                 

               

日本の原子力の将来についての議論は続いていますが、将来の首相候補とも取りざたされる小泉進次郎氏は現在、福島第一原発内に貯蔵された100万トンを超える放射能汚染水をどうすべきかという論争の中心に立たなければなりません。

                  

小泉氏の前任者である原田義昭環境相は9月10日の記者会見で、福島第一原発を管理運営する東京電力が放射能汚染水を無期限に貯蔵することは不可能であり、太平洋に放出して希釈する以外の選択肢はないと語りました。

                

放射能汚染水を海洋投棄するという見解に地元の漁業関係者は怒りの声をあげ、隣国である韓国も抗議を行いました。

             

https://www.theguardian.com/world/2019/sep/12/japan-should-scrap-nuclear-reactors-after-fukushima-says-new-environment-minister

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小泉進次郎氏個人について私自身は何か関心があるわけではありませんが、私の一般論(ちょっと変な言い方ですが)は【 政治の良心が死んでいく国・日本 】エコノミスト( https://kobajun.biz/?p=36138 )でご紹介した通りです。

それよりも今回驚いたのは、小泉氏を批判する菅原一秀経済産業大臣についてウィキペディアを参照していたときのことです。

『詐欺漢』や『食言』『欺瞞』『劣悪』『陰湿』という単語は、私にとっては安倍内閣という単語の連想句になっています。

またか!

というのがその感想です。

こうした政治屋一人一人も問題ですが、安倍政権を見ているとその周辺にはそうした人間が際限もなく登場してくる印象があります。

自分に身近な利害しか眼中にない政治屋を生む土壌というものがあるはずです。

平等で自由で、そして平和な日本を守るために戦わなければならない最大の敵とは何か?

私はそれを見失わないことが一番大切だと思っています。

安倍首相が国際社会に確約した『アンダーコントロールの福島第一原発』が「放射能汚染水を海洋投棄する」

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福島第一原発敷地内の貯蔵にある100万トン以上の放射能汚染水、東京電力は2022年までに収容能力を超過すると公表
一旦開始されれば、処理済み汚染水の海洋投棄は17年続く可能性がある

                 

                

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2019年9月10日

                 

日本政府の環境大臣は、複数の原子炉が破壊された福島第一原子力発電所を管理運営する東電が、近い将来大量の放射能汚染水を直接太平洋に投棄せざるをえなくなると語り、周辺地域の漁業関係者を激怒させました。

                   

2011年3月東日本大震災による巨大津波に襲われ3基の原子炉がメルトダウンするという巨大事故を起こし、周辺市町村の数十万人の住民が避難を余儀なくされましたが、この事故以降、福島第一原発の敷地内には100万トン以上の汚染水が溜まり続けています。

                       

東京電力は、汚染された地下水が増え続ける事態への対処に苦しみ続けてきました。
汚染水が増え続けている背景には、破損した3基の原子炉の炉心の融解を防ぐために間断なく注ぎ込まれる水に加え、汚染された現場に地下水が流入している現実があります。

                    

東京電力は、増え続ける汚染水からほとんどの放射性物質を除去する作業を続けてきましたが、水素の放射性同位体であるトリチウムを除去できる装置は現場にはありません。
沿岸の原子力発電所は通常、トリチウムを含む水を海洋投棄しています。
トリチウムは自然界ではごくわずかに発生するのみです。

                   

                 

東京電力は昨年、一度濾過処理をしたタンク内の汚染水にトリチウム以外の別の放射性物質が含まれていることを認めました。

             

現在、福島第一原発のほぼ1,000基のタンクに100万トン以上の汚染水が貯蔵されていますが、東京電力は2022年の夏までには貯蔵能力が限界に達することを明かしました。

                  

「思い切って放出して希釈するしか方法がないと思っている。」
原田義昭環境相は10日の日東京で行われた記者会見の席上、こう語りました。
「これから政府全体で慎重に議論すると思うので、単なる意見として聞いてほしい。」

                   

政府が専門家委員会から報告書を受け取るまで、汚染水の処分方法に関する決定は行われません。
他の選択肢には、汚染水を気化させる、あるいは長期間陸上で保管する方法などがあります。

                 

原田環境大臣はどれくらいの量の汚染水を海洋放出する必要があるかは話しませんでした。

                 

しかし日本原子力学会において福島第一原子力発電所の廃炉方法を検討する委員会の委員長を務める宮野廣法政大学教授による最新の研究では、処理済みの汚染水を希釈して放射性物質を基準を満たすレベルにまで減らした後、処理水を排出するのに17年かかる可能性があるとしています。

                

                 

汚染水を海洋投棄するという決定は、過去8年間にわたって懸命に事業の再建に取り組んできた地元の漁業関係者を怒らせることになります。
隣国の韓国も、自国の海産物の評価に影響が出かねないとして懸念を表明しています。

              

8月韓国政府は福島第一原発の放射能汚染水がどのように処理されるか説明を求めるため、在韓日本大使館の高官を召喚しました。

                  

極東アジアを代表する2国間関係は第二次世界大戦中に日本の鉱工業の現場で強制労働を課された韓国人に対する補償問題に端を発した争いにより、すでにかなりの程度悪化しています。

                  

日本政府は破壊された3基の原子炉建屋に大量の地下水が流れ込むのを防ぐため、345億円をかけて福島第一原発の敷地を取り囲む地下に凍土壁を作りました。
建造された凍土壁は、地下水の流入量を1日あたり約500トンから約100トンに減らすことに成功しました。

                

                   

日本は来年2020年の夏に東京でオリンピックとパラリンピックが開催される前に、放射能汚染水の処理方針を具体化しなければならないという新たな圧力にさらされることになりました。

                 

6年前に東京がオリンピック開催地として立候補した際、日本の安倍首相は国際社会に対し事故を起こしている福島第一原発が「アンダー・コントロール」下にあることを保証しました。

               

https://www.theguardian.com/environment/2019/sep/10/fukushima-japan-will-have-to-dump-radioactive-water-into-pacific-minister-says

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安倍首相の『アンダーコントロール』発言には、世界中の識者、そして日本中の心ある人々が唖然としたことでしょう。

私も「日本の首相がここまでの嘘をつくようになったんだ…」

と口をあんぐりと開けてしまったことを覚えています。

                   

そして今感じることは、あの時『Not under control!』『Never under control!』ということを、もっともっと強く発信すべきだったという後悔の念です。

あの嘘に国民が一斉に怒らなかったために、今や福島の人々も日本国民も、あの時よりもっとひどい状況に追い込まれてしまっているのではないでしょうか?

                  

そして一旦汚染水の太平洋への投棄が始まったら、17年続けられる可能性がある、そんなことはほとんどの国民が知らないでしょう。

日本のマスコミは原田環境大臣の発言のみ伝え、放射能汚染水の海洋投棄が現実になったら何が起きるのか科学的に検証を行ってそれを読者視聴者に伝えようという姿勢など無いからです。

                      

政治にも報道にも良心も良識も通じない今の日本はすごく危険です。

こうした現実と戦っている人たちを可能な限り応援していきたいものです。

エコノミスト流解説 : 憎しみだけが増幅する日本と韓国、不毛の争い

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韓国を植民地支配していた時代、国家として犯した残虐行為について、日本はすべてを認めたこともなく相応の賠償をしたこともない
トランプと金正恩の3度の会談の成果は、北朝鮮の核兵器・ミサイル開発計画が持つ本当の危険性を世界に過小評価させただけ

                      

                   

エコノミスト 2019年9月3日

                 

静かな環境で買い物をしたい人にとって、この夏韓国の首都ソウルにある無印良品またはユニクロの店舗は最良の選択だったといえます。
普段なら買い物客で賑わっている両社の各店舗は、7月に韓国に対し一方的に輸出制限を行った日本革の態度に怒った韓国の一般市民の間に日本製品のボイコットが広がった結果、別の場所で衣料品や家庭用品を購入する人が増え、何週間もほとんど無人の状態が続いています。

                   

一方日本では、「信頼できない」韓国人に関する相変もわらぬ偏見が復活しています。
過去の出来事について見過ごしにしたままにはできないという隣国韓国の態度に対する怒りは、外交官から市井で暮らす普通の日本人にまで広がっています。
しかしこの極東アジアの2つの国はともに民主主義を奉する自由主義の国家のはずであり、アメリカにとって欠くことのできないアジア地区最大の同盟国でもあるはずです。

               

彼らの間にはなぜいさかいが絶えないのでしょうか?

                    

第二次世界大戦中に韓国人を強制労働者として使用した日本企業に対し、韓国の最高裁判所が原告である強制労働の被害者にそれぞれ補償金を支払う義務があると判決を下した2018年10月以来、両国の間にくすぶっていた燠火(おきび)が一気に燃え上がりました。
1965年に締結された日韓条約によってこうした請求問題はすべて解決済みであると長い間主張してきた日本は、韓国政府に対し裁判所を押さえ込むよう要求しました。
これに対し韓国政府は、行政が司法に干渉することはできないとはねつけました。

                 

韓国の法務当局が判決を受けた日本企業の資産を差し押さえる動きに出ると、7月に入ると日本は韓国の最も重要な産業であるエレクトロニクス分野の企業がメモリチップを生産する際に必要とする化学物質について、輸出制限を課しました。

                        

               

8月、今度は韓国が日本との軍事情報包括保護協定破棄の決定を公表し、争いをさらにエスカレートさせました。

                   

日韓両国の争いは今回の韓国の裁判所の判決にとどまるものではありません。
韓国と日本は過去数十年にわたって議論してきました。

                

日本は1910年から1945年まで韓国を占領・植民地化しましたが、その間に犯した残虐行為について、すべてを認めたわけでもなく相応の賠償をしたことも一度もありませんでした。
これに対しその時々の韓国政府は、国民の中にくすぶる反日感情を都合よく利用し、民族主義的感情を煽ってきました。

               

実際、大日本帝国の鉱工業の現場に強制的に送り込まれた韓国人男性、あるいは急日本軍の売春宿で売春行為を強要された韓国人女性に対する補償をめぐって行われた実態解明のための検証は、事実が想像以上に酷いものであったことを証明したのです。

              

それでも同盟国である日韓両国は、これまでこうした問題の見解の不一致について、商取引と国家安全保障の問題とは切り離して取り扱ってきました。
その理由の一部は、主に北朝鮮によって生じている極東アジアにおける不安定な事態が自分たちの手には負えない事態に陥った際、日韓両国と同盟関係にあるアメリカが介入できるようにするためです。
日米韓3か国の同盟関係こそが極東の危機管理を可能にしてきました。

              

                

しかしドナルド・トランプ大統領の下で、アメリカは国際社会の危機管理とはどんどん距離を置くようになってきました。

              

トランプと北朝鮮の独裁者であるキム・ジョンウンとは昨年6月以来3回に渡り会談を行ってきましたが、その成果といえば北朝鮮の核兵器・ミサイル開発計画が持つ本当の危険性を世界が過小評価するよう演出しただけでした。

              

トランプは常々極東アジアにおけるアメリカ軍の駐留費用について不満を口にし、日韓両国の同盟国間の言い争いに巻き込まれることを嫌っていました。
しかも現時点ではナショナリスト的姿勢を誇示する方が日本でも韓国でも支持される傾向があり、どちらも態度を改めるつもりはありません。

                   

目下、両国は過去に振り回され続けているだけです。

                 

https://www.economist.com/the-economist-explains/2019/09/03/why-japan-and-south-korea-bicker
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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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