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福島第一原発事故・東京電力の役員に無罪判決・シリーズ1:世界のメディアはどう伝えたか?!《ガーディアン》

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所要時間 約 10分

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日本の司法には、福島第一原発事故によって生活を破壊されてしまった人々の人権を守ろうという姿勢が無い
国民一人一人の人権を軽んじ、権力におもねるという日本の司法の腐敗は、もはや珍しいことではない

                   

東京電力の勝又恒久前会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長

                   

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2019年9月19日

                  

巨大事故を引き起こした福島第一原子力発電所を運営していた東京電力の元幹部3人は、2011年3月に発生した原子炉のメルトダウンを防止できなかった責任をめぐる唯一の刑事裁判で無罪判決を受けました。

                 

法廷で東京電力の勝又恒久前会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長の3人は福島第一原発事故において3基の原子炉がメルトダウンしたことについては謝罪していましたが、事故の引き金となった巨大津波は予見不可能だったと述べました。
検察側は元幹部3人が大津波が福島第一原発にもたらい危険性を示す情報あったにもかかわらず、情報に基づいて必要な措置を取っていなかった点を追及していました。

                

原子炉のメルトダウンが直接の死亡原因となったと公式に記録されている人はいませんが、この裁判は地元の病院から強制的に避難させられた最中または後に44人の高齢者が死亡したことの関連性について告発していました。

               

被告は全員、被害者を災害関連死に至らせたとする職業上の過失については無罪を主張し、さらに災害前に入手可能だったデータの信頼性は低いものだったと主張していました。
「不確実で曖昧な問題に対処することは困難です」
と竹黒被告は東京地方裁判所における刑事裁判でこう述べました。

                

検察官は3人に対しそれぞれ禁錮5年を求刑していました。

               

             

裁判所の外で抗議者は評決に口々に怒りをあらわにしました。
「私はこんな判決は受け入れることはできません。」
一人の女性がこう語りました。

                    

グリーンピースは、日本の司法には福島第一原発のメルトダウン事故によって生活を破壊されてしまった人々の人権を守ろうという姿勢が無い、と非難しました。

            

グリーンピース・ドイツのシニア・スペシャリスト、ショーン・バーニー氏はもし有罪判決が下っていたら東京電力、原子力発電を支持する安倍首相とその政権、そして日本の原子力産業界に「決定的な打撃」を与えたはずだったと語りました。
「こうした事情から、日本の裁判所が証拠に基づいて判決を下すという原則の適用を怠ったことは別に驚くには当たらないのかもしれない。」
現地での取材のため東京を訪れていたバーニー氏は声明でこう述ましべた。
「福島の大惨事の発生から8年以上が過ぎた今も尚、東京電力と日本政府は自分たちが何十年もの間原子力リスクに科学的に対処することを怠ってきた事実を認めようとしていません。」

                

福島第一原子力発電所は2011年3月11日に津波に襲われた後、6基あった原子炉のうち3基でメルトダウン事故が発生しました。
高さが14メートルに達した津波は発電所の予備電源を含むすべての電力の供給をストップさせ、冷却機能を失った原子炉内の燃料が溶け落ちる事態につながったのです。

                

              

検察は勝又恒久前会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長の3人は巨大津波がもたらすリスクを認識すべきであったにもかかわらず、必要な安全対策を講じることを怠ったと主張していました。

               

3人は専門家が福島沖で発生する大津波による脅威について警告が行われた会議に出席し、その資料も閲覧し、もし10mを超える津波に襲われた場合は福島第一原発が全電源喪失の状態に陥り、大事故を起こす危険性があることを警告されていました。

              

さらに専門家を集めた政府委員会の2002年の報告書に基づいて東電内部の検討結果は、マグニチュード8.3の地震の後に最大15.7mの津波に襲われる可能性があると結論づけていました。
2011年3月の巨大津波を引き起こした地震の震度はマグニチュード9.0に達したのです。

               

巨大津波は福島を含む東北地方の太平洋沿岸地区で18,000人以上の命を奪いました。
そして福島第一原発の原子炉のメルトダウンは放射性物質を大気中に放出し、発電所周辺を中心に16万人の住民が避難を強いられましたが、4万人以上の人々が未だに自宅に戻れずにいます。

              

              

東京電力はメルトダウンした原子炉の炉心から溶け落ちた燃料を見つけて取り除くのに40年かかるとの見解を秋からにしていますが、一部の専門家はすべての原子炉の廃炉が完了するまでにはさらに多くの時間がかかると見ています。

             

日本政府は福島第一原発の廃炉解体費用、周辺地域の除染費用、被害者への補償の総費用は20兆円以上と見積もっています。

               

何重もの苦境に立たされている東京電力は、福島第一原発の敷地内に貯蔵されている100万トン以上の放射能汚染水の処理方法を間もなく決定するとみられています。

               

最も可能性の高い『太平洋に汚染水を投棄する』という選択肢は、これまで8年間かけて事業再建に取り組んできた地元の漁業関係者に強く反対されています。

              

当初、東京電力の役員が直接刑事責任を問われる可能性は低いとみられていました。
東京地方検察庁は証拠不十分と犯罪性が低いとの理由で、過去2回3役員を起訴することを拒否しました。

                  

しかし2015年、一般市民で構成される検察審査会が3人の男性を裁判にかけるべきだと裁定した後、刑事訴訟が行われることになりました。

                  

                 

東京電力の元幹部に対する刑事告発を行った福島県民5,700人以上の告発を代行する河合弘之弁護士はすでに判決の前、敗訴した側が控訴するために法廷闘争は約10年続くと予想していたと語りました。
「この判決は大きな戦いの始まりを告げたにすぎません。」
河合弁護士は集会でこう語りました。
「私たちの究極の目標は、多くの住民を絶望の淵に追い込んだ危険な原子力発電所を根絶することです。」

              

https://www.theguardian.com/environment/2019/sep/19/fukushima-disaster-japanese-power-company-chiefs-cleared-of-negligence

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福島第一原発事故の原因を作り出した東京電力の3人の役員に対する刑事裁判における『日本の裁判所』の無罪判決は、世界のメディアが一斉に取り上げました。

まだ作業途中ですが私が確認した限り、取り上げていない著名なメディアはありません。それらをじっくりたっぷり、シリーズ化してご紹介したいと思っています。

                  

それぞれ行間に怒りがにじむような記事になっていますが、私の翻訳ではその行間の怒りも文字になってしまっているかもしれません。

「違う!」と思われる方は、どうぞご自分で翻訳の上、ご紹介なさってみてはいかがでしょうか?

                      

『保守の論客』なる人物、実は見返りを期待して体制や金主におもねる人間の稚拙で意味不明、しかも呆れるほどに無内容な文章を読んだことがありますが、完成度の高い日本語の文章という点でも、「星の金貨』の文章が彼らの『論説』に劣るものだとは思っていません。

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