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『一票の格差』自民党議員を大量当選させる日本の選挙区の線引き

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日本国内の自治体の4分の3が今後数年で消滅 - 日本の少子高齢化も自民党選挙の追い風
日本の少子高齢化は地方の比較的高齢で保守的な地域の『一票』の政治的な力が強くなることを意味する

                

                  

エコノミスト 2019年11月14日

                 

今年7月に実施された参議院議員選挙には「著しい不公平があった」、北海道の札幌高裁(冨田一彦裁判長)は10月にこう判決を下しました。
さらに悪いことに、参議院議員選挙は「違憲状態」で実施されたものだとの判断も示しました。

                     

彼は日本の深刻な議員定数の不均衡な配分についても言及し、その原因は人口が著しく異なるのに「都道府県を各選挙区の単位とする仕組みが原則とされていることにある」と指摘しました。

                  

宮城県では参議院議員として当選するためには有権者約976,000人の票が必要でした。
これに対し福井県では326,000人分の票を獲得できれば参議院議員になることができたのです。
この事実が意味するところは、福井県人は宮城県人と比較して約3倍の数の自分たちの利益代表者を国会に送り込むことができるということです。

                    

こうした格差は衆議院においてはそれほど悪くはありません。
もっとも最も人口の東京の選挙区と比べ、人口が最も少ない上その多くが田園地帯の鳥取県との格差は約2倍にとどまっています。

                  

              

国政選挙の選挙区の線引きをどうすべきかという点に関し、日本国憲法の規定は少々漠然としすぎており、「すべての人々は法の下で平等」であり、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と述べるにとどまっています。
選挙区の設定をどうすべきか、日本でその具体的権限を有するのは国会自身です。

                  

選挙区の不公正を正そうと取り組む弁護士たちは裁判所において、これらの法の下での平等を保障する日本国憲法の条項を繰り返し使用し、議員定数の不均衡な配分に異議を唱えています。
札幌高裁で10月に判決が示された訴訟の原告団を率いるのは升永英俊弁護士です。
升永弁護士が見解を示した通り、「一部の地域の有権者は一人が0.5票の権利しか持たない」日本の現状は確かに民主的とは言えません。

                   

日本の裁判所は議員定数の不均衡な配分は憲法に違反するという判断を繰り返し示しましたが、そこで行われた選挙の結果については無効とすることはしませんでした。
その代わり裁判官は、衆議院議院選挙について人口密度の高い低いによって生じる格差は2倍以下に保たれなければならないという原則を確立しました。
しかし参議院議員の場合はその格差は約3倍にまで拡大しています。

                

国会はこの原則に適合させるために、選挙区の境界を繰り返し調整しました。
しかし議員たちは、日本の47都道府県それぞれが衆参両院において最低1人の国会議員がいるべきであるという考えを放棄することには消極的です。

                 

                 

選挙区への議員定数の配分は多くの民主主義国において問題になっています。
アメリカの憲法では、人口に関係なく各州に2人の上院議員を割り当てています。
その結果ワイオミング州には290,000人の住民に1人の上院議員がいますが、カリフォルニア州は2,000万人に一人です。

                 

マレーシアの昨年の国会議員選挙では最大で8倍という格差が生じました。
日本では裁判所の判断が重視されるようになり、それ以来議員定数の配分の格差は著しく縮小しました。
政治学者の菅原 琢博士はかつては参議院の上議員定数の配分格差は6倍だったと語りました。

                

しかし現在、世代別人口構成が極めて特異な状況になってきた日本では、議員定数の不均衡は相変わらず深刻です。
国全体では人口が減少しているにもかかわらず、東京などの大都市圏だけは成長を続けています。
大都市圏から離れた一部の県では、大都市圏の増加と同じ割合で人口が減少しています。

                 

東京大学のマッケルウェイン・ケネス・盛教授は、日本の議員定数の不均衡は次の選挙が始まるまでに裁判所によって設定された制限を再び超えることになるだろうと予想しています。

              

北海道の人口は今後20年間で3分の1減少すると予測されています。
さらに日本国内の自治体の4分の3が今後数年で消滅する可能性があるとの予測をシンクタンクである日本政策会議が明らかにしました。
こうした自治体の領域は広大で日本の国土の20%を占めていますが、人口はわずか4%に過ぎません。

                      

これらの地域から選出される国会議員はこれまで以上に広大な地域を代表することになります。
それにより、日本の人口構成の変化によってすでに取り残されていると感じている有権者と接触する機会がますます少なくなることを意味しています。

              

さらに農村部の人口の急速な減少は、大都市の『一票』を犠牲にしつつ、地方の比較的高齢で保守的な地域の『一票』の政治的な力が強くなることを意味します。
これにより今後選挙区の線引きは日本の人口の急速な少子高齢化によって、急速に偏ってしまうことになるでしょう。

                 

             

このことは都市部よりも農村部での支持が強い与党自民党に有利に働きます。
自民党は現在国会を支配しており、与党国会議員が大規模な選挙制度改革を受け入れたがらないのは当然です。

             

こうした状況を見て、升永英俊弁護士をはじめとする原告団は「国政選挙の一票の格差」についての訴訟に踏み切ったのだと語りました。
札幌訴訟に関わった奥山倫行弁護士は、次のステップはこの訴訟を最高裁判所に持ち込むことだ語りました。
「一人一票こそが民主主義の前提条件なのです。」

                

https://www.economist.com/asia/2019/11/14/japans-electoral-map-favours-the-ruling-party

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[アベ政治]については、SNSを見ればまるで数々の罪業が列挙されている様相を呈しており、今さらここで何を書くべきこともありません。

「1日も早くアベ政治を終わらせよう!」

それだけです。

ただこの記事で紹介されている、一票の格差について戦っておられる弁護士さんたちには敬意を表さなければなりません。

              

さらには北海道の人口が3分の2に減ってまう、あるいは日本国内の自治体の4分の3が今後数年で消滅する可能性があるなどという、わきめて深刻な実情について、なぜ日本の報道は真剣に取り上げないのだろうという?

という疑問も残ります。

この問題だけ見ても、憲法の改定などより『今、取り組まなければならない』問題が山積していることを痛感させられます。

ローマ法王長崎訪問、「核兵器のない世界」の実現を!

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長崎と広島で被爆者の痛切な思いを共有し、核兵器のない平和な世界の実現を強く訴えたローマ法王フランシスコ1世

核兵器の製造・改良・維持に金銭を浪費、兵器の開発販売で財を成すことは、天に向かって神を侮辱する行為

               

写真 : 長崎市の爆心地にある記念館で語りかけるフランシスコ教皇。

             

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン  2019年11月23日

                              

教皇フランシスコ1世は太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)の最終盤にアメリカ軍の核兵器攻撃によって破壊された日本の2都市の1つである長崎市を訪問し、核兵器が持つ「筆舌に尽くしがたい恐怖」を強く非難しました。

              

フランシスコ1世はこの38年間で教皇として初めての日本訪問の2日目、世界の指導者たちに向け核兵器の備蓄を終わらせるよう呼びかけ、核兵器が国家の安全保障について誤った認識を与えていると語りました。
「私は核兵器のない世界は可能であり必要でもあると確信しています。各国政府首脳の皆さんには、核兵器は国家安全保障上も国際安全保障上も、現在の脅威から私たちを守ることはできないということを忘れないようにお願いします。」
24日日曜日、教皇は長崎市内の爆心地にある平和公園で雨が降る中、数百人の人々にこう語りかけました。

               

この説話に先立ち、教皇は長崎原子爆弾の犠牲者の慰霊碑に花輪を置き、祈りを捧げました。
アメリカ軍が1945年8月9日に長崎に投下した原爆は74,000人の人々を即死させ、月を追うごとに死亡者の数は増えていきました。
その3日前に広島に投下された原子爆弾は、その年の終わりまでに140,000人の人々を殺害しました。

                

                

「この場所は私たち人類は互いに対し痛みと恐怖を押しつけ合うことがありうるのだということに関し、深い憂慮を抱かせます。」

フランシスコ1世は、大きく引き伸ばされた長崎に投下された原爆で死んだ幼い弟を背負い火葬を待つ少年の姿を写した写真の隣に立ち、こう語りました。

                     

数年前にこの写真を手に入れたフランシスコ1世は、これまで数万枚に上るコピーを配布してきました。
教皇はこの写真を撮影した戦時カメラマンのジョー・オドンネルの未亡人と息子に会うことになってました。

             

写真 : 米国海兵隊員ジョー・オドンネルが撮影した写真。長崎に核兵器攻撃が行われた後、死んだ兄弟を背負い火葬の順番を待つ少年を写しています。

             

同じ日曜日の午後に広島を訪問する予定の82歳の教皇は、長い間核兵器の廃絶を訴えてきました。
バチカンは2017年の核兵器禁止条約に署名し批准した最初の国の1つでした。
しかし核兵器保有国、および米国の核の傘の下にある日本などの国々は署名を拒否しています。

                 

「数百万人の子供たちとその家族が非人道的な環境のもとで生活している現在の世界にあって、さらに破壊力のある武器を製造し、改良し、保守するためにお金を浪費し、さらにはそうした武器を販売して財産を築くことは、神を侮辱する言葉を天に向かって叫ぶのと同じことです。」
教皇はこう語りました。
教皇は世界の指導者に対し、改めて軍縮のために努力し、最終的に核兵器の廃絶を実現するよう呼びかけました。

                 

                  

「とりわけ人道的・環境的な観点から、核兵器が拡散することの壊滅的な影響について熟考し、核兵器政策によってもたらされる恐怖、不信、敵意の感情が高まっていくことをやめさせる必要があります。」

                        

長崎の被爆者は、教皇の言葉が核兵器保有国が軍縮について真剣に考えるきっかけになることを望んでいると語りました。
74年前の自らの経験を「生き地獄」と表現する82歳のカトリック信者の森内実さんが次のように語りました。
「私の叔母が2人の子供と一緒に住んでいた家に逃げ込んだ後の光景を、私は生涯忘れることができません。全身赤黒く、完全に焼けていました。」
「他に4人の親戚が連れてこられました…しかし、その姿はとても人間のものとは思えませんでした。」
森内さんはAFP通信の取材にこう答えました。

                    

            

教皇は広島市にある平和記念公園で高齢になった被爆者と面会する予定になっていました。

              

長崎への教皇の訪問は、太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)において悲劇的な事件が起きた場所を訪れるという以上の意味を持っていました。

                

フランシスコ1世は当初1600年代初頭に徳川幕府によってキリスト教の信仰が禁止された当時の、日本で最も古い時代に殉教し長崎に葬られている聖人たちに祈りを捧げる予定でした。
その時代、キリスト教徒と疑われると信仰を捨てさせられるか、拷問されて殺されるか、どちらかを選ばなければなりませんでした。
日本国内のキリスト教徒は 1800年代後半になって禁教令が廃止されるまで、多くの人が「隠れキリシタン」として極秘裏に礼拝を続けました。

                 

フランシスコ1世は1981年にヨハネ・パウロ2世が長崎と広島を訪れ、冷戦の緊張の最中にアメリカ合衆国とソビエト連邦の間で中距離核兵器の廃絶条約締結のきっかけを作って以来、初めて日本を訪れるローマ法王となりました。

               

フランシスは25日月曜日には2011年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の被災者を見舞った後、日本の新しい徳仁天皇、そして安倍首相と面会することになっています。

                

https://www.theguardian.com/world/2019/nov/24/pope-francis-calls-for-a-world-without-nuclear-weapons-during-nagasaki-visit

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これだけ人間愛にあふれたローマ法王を現在の世界が共有していることは、誠に幸せなことだと思います。

その教皇の広島・長崎の被爆者・犠牲者に心から寄り添い、世界に向け核兵器の廃絶を全身で訴えているにもかかわらず、それを迎える日本の政府は、教皇の訴えをまさにカエルの面にションベンとばかりに受け流す安倍首相に安倍自民党という、日本の政治史上稀に見るサイコパス集団であることを、日本人として深く恥じなければならないと思っています。

               

その安倍政治をささえているのが日本の国内メディアのご都合主義報道ですが、それでも我が家で購読している地方紙は今回のローマ法王訪日を大きく扱い、一面トップの見出しは『核なき世界は可能』というものでした。

スキャンダルだらけの史上最長政権

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改憲という極めて重要な課題を扱えるだけの能力と資質が安倍首相にはあるのか?

安倍政権の実績、女性の社会的地位向上も含めほとんど成果なし
いくつもの重要な外交課題について評価に値する進展なし 

                

                  

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2019年11月19日

               

安倍晋三は日本で最も長い就任期間を持つ首相になりましたが、その達成は政治的スキャンダルの真っ最中のことであり、戦後の日本を支えてきた「平和主義」の理念を掲げる憲法を改定するという安倍氏の宿願を実現する能力が疑われています。

          

安倍氏は2度にわたる首相在職期間が合計2,887日に達し、1世紀以上前の桂太郎の過去の記録を更新しました。

               

安倍は2006年52歳の時、史上最年少の首相に就任しましたが、1年も経たないうちにスキャンダルと自身の健康問題が深刻になったために辞任しました。

                 

安倍氏は停滞期間が20年に及ぶ日本経済を復活させ、日本の軍事力を強化し、米国の占領下で成文化された日本国憲法の改定を公約に掲げて、2012年末に2度目の首相に就任しました。

             

                

安倍首相やその周辺の保守派は、日本が国際紛争を解決する目的で武力を行使したり威嚇することを禁じている日本国憲法について、核武装した北朝鮮や武力の強化を進める中国から日本の国土を防衛するための能力強化に対する時代遅れの制約とみなしています。

                     

しかし安倍政権の実情はと言えば、社会における女性の地位を向上させ、公的機関においても一般企業においても役員や管理職の女性の数を増やすことも含め、最重要課題の構造改革を実現できていません。
さらにはこれまで何度もスキャンダルを暴かれながらもそこから逃げ切ってきました。

                       

これについて専門家は、分裂したままへの野党への不安と安定を望む多くの有権者の共通意識に恩恵を受けていると分析しています。

               

              

ワシントンに拠点を置くコンサルタント会社テネオ・インテリジェンスの副社長であり日本の専門家でもあるトビアス・ハリス氏は、次のように述べています。
「他の先進各国がこの10年ほど、弱体化した政権、不人気な政権、あるいは短命な政権が続くという状況の中で、安倍政権は日本を政治的に安定した島国に保ってきました。」

                  

最近の世論調査は、安倍首相が率いる自由民主党の立場が極めて安定しており、少なくとも2021年9月までは安倍氏が首相の座に留まり続ける可能性が高いことを示唆しています。
NHKが11月に行った世論調査では、自民党の支持率は36.8%と、野党第一党である立憲民主党の6.3%を大きく上回っています。

                      

安倍首相は、アメリカ大統領ドナルド・トランプと親密な個人的関係を築いたと主張していますが、重要な外交課題についてはいくつもの分野で評価に値する進展はありませんでした。

                

            

北朝鮮の実質的支配者キム・ジョンウンは、冷戦中に北朝鮮に拉致誘拐された日本人の問題について話し合うため前提条件なしで会うという安倍首相の提案を拒絶しました。

                 

ロシアとの北方領土返還交渉は、安倍氏が首相に就任して以来、解決どころか何の進展もみられません。

                 

さらにはここ数ヶ月、日本と韓国の外交関係は、国交が正常化されて以降最悪のレベルに沈んだままになっています。
日韓両国は太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)中の負の遺産を巡り対立し続けていることが理由です。

                 

2019年11月韓国ソウル市内で開催された『反アベ集会』

                

再び不況局面へと沈み始めた日本経済、そして自分自身と自民党に新たな政治スキャンダルへの懸念が拡大する中、史上最長政権を達成した19日当日も『桜を見る会』をめぐるスキャンダルの追求を受けた安倍首相は、長期政権達成への祝福にほとんど反応を見せませんでした。

                   

『桜を見る会』をめぐるスキャンダルでは、安倍首相は日本政府の公金を使って自分の支持者をパーティーに招待したという非難に直面しており、安倍氏の事務所は前日に開催された宴会で公職選挙法を犯して出席者の飲食代の一部を支払った疑いが持たれています。

                        

安倍首相は不正行為を否定していますが、朝日新聞の世論調査では回答者の68%が首相の説明に納得していないことが明らかにされました。

                

安倍首相が今回のスキャンダルもまたやり過ごすことになれば、日本の自衛隊の存在に法的根拠を与えるため、憲法の改定に力を注ぐことになるとみられています。

               

             

しかし衆参の両院議会で3分の2の「圧倒的」過半数、投票での単純過半数を必要とする要件により有権者の判断が二分されるうえ、失敗すれば自身の政治生命も揺らぎかねない憲法改定という重い課題について、安倍首相にはそれだけの改革を実現できる能力が欠けているのではないかと疑問を抱く人々もいます。

                

「どのような形であれ安倍首相の名は間違いなく歴史に残るでしょう。」
明治大学で政治学を専攻する西川慎一教授がこう語りました。
「しかしその野心的な目標が達成される可能性は非常にわずかでしかありません。」

                

https://www.theguardian.com/world/2019/nov/20/shinzo-abe-weathers-scandals-to-become-japans-longest-serving-prime-minist

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ちょっと振り返ってみましょう。

                

2014年11月17日
生活必需品の価格は上昇、賃金は実質的に目減り、結果的に国民生活はより貧しいものになってしまった【 不況転落、日本経済予想外の悪化 - アベノミクスを検証する 】ニューヨークタイムズ - https://kobajun.biz/?p=20856
2014年11月22日
アベノミクスの最大の特徴は、考え得る限りの美辞麗句と実情を糊塗する宣伝能力【 個人的打算による解散総選挙を強行、日本人は尚もこの首相に国の命運を賭ける鍵を預けるのか 】エコノミスト - https://kobajun.biz/?p=20969
2015年9月26日
日本にとって正しい的(まと)を設定し、そこに向かって正確に矢を射る能力が安倍首相にはあるのか、その疑いは大きくなるばかり【『新たな』3本の矢?それこそさらなる的(まと)外れ 】エコノミスト - http://kobajun.chips.jp/?p=25274
2015年11月16日
大企業とそこに連なっている投資家と、中小企業や一般庶民との間にはっきりと溝を作ったアベノミクス【 中国経済の減速と日本経済の不況転落 】《後編》ニューヨークタイムズ - https://kobajun.biz/?p=25809
2016年11月12日
国民を救済するために必要な政策は手つかずのまま、緊急性の低い安全保障・外交政策にばかり国力を浪費するアベ政治【 アベ支配 】《後篇》エコノミスト - https://kobajun.biz/?p=29762
2016年11月17日
アベノミクスの巨額の財政出動は長期的な効果が一切無いまま、日本の財政状況をなお一層悪化させただけに終わった【 アベノミクスは失敗だったのか? 】《後篇》ドイチェ・ヴェレ - https://kobajun.biz/?p=29825
2017年3月6日
成果に乏しいアベノミクスへの不満が国民の間で大きく、森友学園・加計学園スキャンダルへの疑念が拡大を続けるにも関わらず【 安倍首相の最長任期実現に向け道を開いた自民党 】アルジャジーラ - https://kobajun.biz/?p=30721
2017年7月14日
深まる一方!安倍首相の個人的な利益誘導・便宜供与にまつわる疑惑【 疑惑とスキャンダルにまみれる安部首相の政権運営 】ロイター - https://kobajun.biz/?p=31545

                     

ご覧いただいて分かるのは、安倍政権復活後2年足らずの間にニューヨークタイムズ、エコノミストという米英の2大紙がアベ政治とアベノミクスのマヤカシを指摘していたという事実です。

                 

しかしその後5年間、私たち日本人はその安倍政権の存続を許し続け、そして『桜を見る会』のスキャンダルが暴露された現在もさほどの危機感を抱いていないように見えます。

               

『疑惑とスキャンダルにまみれる安部政権』の存続をこれ以上容認し続けたら、自分たちの暮らしがどこまで破壊されるのか、私たち日本人は右派も左派も関係なく、危機感を共有すべきです。

                  

なおこの記事のオリジナルのビジュアルはここに掲載されたものとは異なりますが、もうこの人の写真をストックするのは No Thank You! なので、過去のものを再利用しました。

放射能汚染水の海洋投棄、追いつめられる東京電力と日本

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最高濃度の『処理済み』放射能汚染水には1リットルあたり250万ベクレルのトリチウムが含まれている

緊急を要する放射能汚染水の処理方法の決定、しかし決定にはすべての利害関係者が関与すべきである

議論もしない・説明責任も果たさない安倍政権の下で、海洋投棄はやるべきではない

               

写真 : 2019年10月8日の福島第一原子力発電所地基地内の汚染水貯蔵タンク。

                        

アーロン・クラーク、スティーブン・スタプチンスキー / ブルームバーグ・ニュース 2019年10月17日

                   

日本の東京電力は巨大事故を引き起こした福島第一原発から、オリンピックの大規模なプール400杯分に相当する量約100万立方メートル、オリンピックの大規模なプール400杯分に相当する量の処理済み放射能汚染水を太平洋に投棄する計画を検討しています。
この措置もまたチェルノブイリ以来最悪となった原発事故をの収束と放射能除去のため、約2,000億ドルの費用をかけて行われている作業に連なるものです。

                   

福島第一原発内で作り続けられている貯蔵タンクは2022年半ばまでに容量が限界に達し、もうそれ以上タンクを設置する場所もほとんどなくなります。
ひどすぎると感じる海洋投棄ですが、原子力産業界では慣例的なやり方であり、今回の東京電力の投棄も世界基準のガイドラインに沿ったものになるでしょう。
しかしそれでも地元住民や漁業関係者、そして韓国など隣国の怒りをなだめることはできそうにありません。

                  

1. 汚染水はなぜ発生するのか?

2011年に発生した史上最強の地震とその後に続いた巨大津波により、東京の北約220キロメートルの場所にある福島第一原発の原子炉建屋に構造的に破壊されました。
そこに毎日約100立方メートルの地下水が流れ込み、その場所にある溶け落ちた核燃料と混じり合い放射能に汚染されます。

                  

放射能汚染水は汲み上げられ、アドバンスト・リキッドプロセッシング・システム(ALPS)と呼ばれる装置の中を通り、福島第一原発の敷地内にある約1,000基のタンクに保管されます。
ALPSはトリチウムを除くほとんどの放射性元素を除去します。
日本の経済産業省によれば、放射能汚染水、いわゆるトリチウム水は海洋投棄される前にすべての放射性物質の残留量が安全基準を満たすよう、再処理されます。

              

                    

2. トリチウムとは何か?

                  

水素は2つの余分な中性子を持つことにより弱い放射性を帯びることになります。
これが三重水素、トリチウムと呼ばれるものです。
大気圏の上層部で自然生成されますが、原子力発電の一般的な副産物でもあります。
人工的な用途は多岐にわたり、核兵器製造、生体実験用トレーサー、出口標識や時計の文字盤に使われる放射性夜光塗料の材料など、さまざまな用途があります。

                   

3. 危険の程度は?

                   

高いレベルの発がん性があります。
トリチウムのベータ粒子(放射性崩壊によって放出される粒子)は低エネルギーで人間の皮膚を通過しませんが、吸入または摂取すると(通常は汚染水を介して)体内に蓄積します。
しかしカナダ原子力安全委員会は数十億ベクレル単位のトリチウムによる内部被ばくがあって初めて人間の健康に影響が現れるとしています。
東京電力が3月31日に公開したデータによると、福島第一原発内のタンクの中の最高濃度の汚染水には1リットルあたり250万ベクレルのトリチウムが含まれています。
比較するとバナナには15ベクレル、1キログラムのウランには2,500万ベクレルのトリチウムが含まれています。

              

写真:福島第一原子力発電所のクレーンと排気筒の間に見える1号機原子炉建屋。

                  

4. 処理方法は?

                

業界団体である世界原子力協会の政策アナリストであるデビッド・ヘス氏によると、ほとんどの原子力発電所は少量のトリチウムおよび他の放射性物質を河川や海洋に放出しています。
米国原子力規制委員会によると米国の場合、いわゆるトリチウム水の「認可済みの放出」は「定期的かつ安全に」行われ、その情報は完全に公開されています。
世界的な規制の標準を設定している国際放射線防護委員会の勧告は、液状の放射性廃棄物の制限について、影響を受ける公共の場所での空間線量が年間1ミリシーベルト(mSv)未満になるよう求めています。

                 

世界原子力協会が提供したデータをもとに比較すると、自然界に存在する放射線により人々は平均すると年間2.4 mSvの被曝をし、骨盤のCTスキャンをすると被験者は10 mSvの日履きをすることになります。

                   

5. 汚染水タンクのさらなる増設はできないのか?

                  

東京電力福島第一原発の敷地内にはもはやタンクを設置するスペースがありません。
東京電力はすでに鳥保護区に隣接する500平方メートルの土地の樹木を伐採し、約1,000基の汚染水タンク用の場所を確保しています。

                   

                    

6. 海洋投棄に反対する人々の立場とは?

                 

福島県の漁業関係者は県産の水産物の評判をさらに悪化させ、福島の漁業の生死にかかわる問題だとして強く反対しています。
(現在20か国以上の国々が日本産の食料品について輸入制限を課しています。)
韓国政府当局も海洋投棄の可能性について懸念を表明していますが、海流の関係で投棄された汚染水が韓国の海岸近くに流れていくことはないと考えられます。

                   

東京電力ホールディングスの川村隆取締役会長と原子力規制委員会の田中俊一元委員長会長は、どちらも海洋投棄を支持しています。
安倍政権はこの問題に対する見解を明らかにしていません。

                  

7. 決定はどのように行われるか?

                

経済産業省のタスクフォースは、海洋投棄、空中への気化、地中への汚染水注入またはコンクリートと混ぜ合わせて埋め立てるなどさまざまな計画を検討した後、勧告を行うことになっています。
一方で日本政府は地元の利害関係者および影響を受けることになる他の関係者からの意見聴取を行っています。

               

一連の検討が済めば具体的な計画が東京電力に示され、それを基にエンジニアが技術的な詳細を決定することになります。
具体化された計画は最後に国の原子力規制委員会によって承認されなければなりません。

                   

国際原子力機関は9月に作成した報告書の中で、決定は緊急を要するとし、さらに決定にはすべての利害関係者を関与させるべきだと述べています。

                  

写真:10月2日に福島第一原子力発電所の水処理施設ALPSを見学する各国の報道関係者。

                

8. 福島第一原発のそれ以外の事故収束作業の状況は?

                

2011年3月11日、日本の東日本太平洋沿岸で発生した地震とその後に発生した津波により、約16,000人の死亡が確認され、福島第一原子力発電所の3基の原子炉がメルトダウンする事故を含む広範な被害が発生しました。
8年後の現在、福島第一原発における事故収束作業は着実に進むんでいますが、東京電力はこれからさらに30~40年かかると推定しています。

                  

2019年始め、東京電力はロボットを送りこみ、1基の原子炉の下部にある溶け落ちた核燃料の存在を初めて確認しました。
これは溶け落ちた核燃料を取り出して処分する装置の開発に必要なステップです。
地下の凍土壁と排水システムが設置されたことにより、破壊された原子炉内に流入する地下水の量を約半分に減らしました。

                 

現場作業員の作業環境と生活環境も改善されました。
ハードプラスチック製のマスクで顔を覆い全身を白いスーツで覆わなければならないのとは対照的に、福島第一原発の敷地を歩き回る際は、ほとんどの場所で手術用の薄いマスクで対応可能です。
敷地内の放射線レベルが低下し、敷地内外の作業可能なエリアが拡大しました。
2016年には敷地内にオコンビニエンスストアもオープンし、新設されたカフェテリアでは温かい食事を提供しています

https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-10-16/why-japan-s-radioactive-water-may-end-up-in-the-ocean-quicktake

  + - + - + - + - + - + - + - + 

                      

福島第一原発の汚染水問題について保守系メディアと言われるブルームバーグのこの報道はニューヨークタイムズやワシントンポストとはだいぶ肌合いが違って、「東京電力に寛容過ぎるのではないか?」という気もします。

それでも

汚染水問題の解決は緊急を要するものであること

処理方法の決定には、被災地住民や漁業関係者を含めたすべての関係者が関与すべきである

とはっきり指摘しています。

                    

そして海洋投棄イコール希釈とそればかりが強調されていますが、放射性物質はヒラメやカレイ、エビなどの甲殻類にはむしろ「集積」される傾向があると、早くから指摘されていました。

これは漁業関係者にとって極めて深刻な懸念です。

                    

このように放射能汚染水の海洋投棄などという、その影響がどのようにどこまで及ぶかわからない重大問題については、極めて丁寧な検証とその結果の詳細な報告と説明が必要です。

ところが現在の安倍政権にまさに全く欠けているのがそうした姿勢です。

安倍政権が続く限り、汚染水の海洋投棄などは絶対にやるべきではありません。

安倍首相の『桜を見る会』、政治的情実主義・饗応の舞台と化した挙句、開催取りやめ

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国の金庫にあった約5,500万円の公的資金を流用し、850人の自分の支持者を接待
汚されてしまった社会に尽くした人々の誇り、そして日本の伝統美の象徴

                

                

アルジャジーラ 2019年11月13日

               

国家予算から費用が提供されている『桜を見る会』は、本来国の発展などに功績のあった人々をねぎらう目的で1952年から毎年東京都内の公園で開催されてきました。

                

しかしその『桜を見る会』に、安倍首相が目に余るほど多勢の自分自身の支持者を招待していたという事実が明らかにされ批判が集中、日本政府は毎年恒例のこの行事を来年は開催しないという方針を明らかにしました。

               

国の予算から費用が『桜を見る会』は1952年から毎年東京の公園で開催され、政治的に功績のあった人々に加え社会の発展などに尽くした人々が、世界的に有名になった満開の桜の樹の下で賑やかに交歓する場として使われてきました。

              

しかし野党側の主張によれば安倍首相は自分の地元の選挙区から850人の支持者を『桜を見る会』に招待し、国の金庫にあった約5,500万円の公的資金を流用したとして、安倍首相に批判の矛先を向けました。

               

                 

11月13日菅義秀内閣官房長官は突如記者会限の場で記者団に対し、日本政府として「さまざまな意見を聞いて」検討を重ねた結果、次年度の『桜を見る会』の開催を見合わせることにしたと発表しました。
さらに菅官房長官は「政府として、招待基準の明確化や、招待プロセスの透明化を検討したい。」と付け加えました。

                   

安倍政権になってから『桜を見る会』の参加者数は増え続け、それに合わせて費やされた公的資金の金額はほぼ倍にまで増えました。
共同通信によると安倍首相の就任以前は、年間7,000人から10,000人だった『桜を見る会』の参加者の数は、昨年は約18,000人にまで増加しました。
昨年開催に費やした5,500万円という金額は、2014年の予算の2倍近くに達しました。

               

日本の桜の季節、花見のシーズンは日本人はもちろん、訪れる観光客も心待ちにしています。
日本では昔から季節になると桜の名所は樹の下で花見や宴会を楽しむ人々でごった返します。

                

桜の開花は早ければ3月にまず九州で始まり、最北端の北海道では遅くとも5月に花を楽しむことができます。

                

https://www.aljazeera.com/news/2019/11/japan-scraps-cherry-blossom-party-pm-abe-cronyism-criticism-191113100832609.html

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まさに何が「日本を取り戻す!」なのか?!

何が「美しき日本」なのか?!

私たちは今、厚顔無恥、卑劣卑怯の典型例を自分たちの首相の中に見ているという極めて不幸で危険な時代に生きています。

しかし大手メディアの世論調査を見るが切り、何と国民の半数はその事実に気づいていません。

その原因は一にも二にも大手メディアを中心にする情報操作があるわけですが、彼らもまた『恥を知れ!」という言葉を突きつけられなければなりません。

安倍晋三『桜を見る会』の公権力濫用に非難の嵐、次年度の開催は中止

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公金を使った『桜を見る会』に1,000km離れた自分の選挙区から850人の支持者を東京まで連れてきて接待
社会保障費や教育予算を削り続ける一方で、『桜を見る会』開催費用は増額に次ぐ増額
安倍首相は国の経費と自分の地位を濫用し、自分の支持者多数を2019年に開催された『桜を見る会』に招待

                    

写真 : 公的資金を使って東京都内の公園で開催される『桜を見る会』は、1952年から毎年開催されています。

英国BBC 2019年11月13日

                        

公的立場を濫用した身内への便宜供与であるという厳しい批判が巻き起こったことを受け、日本政府は毎年開催されていた『桜を見る会』の行事を来年は中止することを決定しました。

                 

日本政府の予算を費やして1952年以降毎年4月に開催されている『桜を見る会』は、本来は国や社会の発展や安寧のため功績や善行のあった人をねぎらうためのものでした。

                  

しかし安倍首相は国の経費と自分の地位を濫用し、自分の支持者多数を2019年に開催された『桜を見る会』に招待した、野党側はこう追求しています。
安倍首相は1,000km離れた自分の選挙区から、850人の支持者を招待しバスなどに乗せて東京まで運びました。
『桜を見る会』開催のための公的資金の支出総額は、5年前の約3,000万円から首相就任7年目の2019年には5,500万円にまで膨らみました。

                   

                

▽『桜を見る会』とは何か?

             

日本における桜は、単なる花という存在を超えた日本文化の重要な要素です。

              

世界的にも知られるようになった薄紅色の桜の花は、通常は春、約2週間に渡り咲き続けます。         

日本中の人々が公園を訪れたり、花見の宴と称する特別な会食飲食の機会を設け、この季節を堪能します。

桜の名所としても知られる東京都内の公園で開催されたこの日本政府主催の花見の宴は、本来は日本の社会の発展や改善に功績のあった国民を顕彰することを目的としています。

               

福島第一原子力発電所周囲の立ち入り禁止区域に咲く桜

               

▽ 中止に追い込まれた理由とは?

                  

安倍首相は政治的地位を利用し、山口県の自分の選挙区から多数の支持者を連れてきたと非難する野党各党の集中砲火を浴びることになりました。

                    

安倍政権になってから『桜を見る会』の参加者数は増え続け、それに合わせて費やされた公的資金の金額はほぼ倍にまで増えました。
共同通信によると安倍首相の就任以前は、年間7,000人から10,000人だった『桜を見る会』の参加者の数は、昨年は約18,000人にまで増加しました。

                 

突然行われた発表の中で安倍内閣の菅官房長官は、政府は「さまざまな意見を聞いた」上で来年の『桜を見る会』の開催を取りやめることにしたと語り、次のようにつけ加えました。
「政府として、招待基準の明確化や、招待プロセスの透明化を検討したい。」

             

https://www.bbc.com/news/world-asia-50403492

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前回ご紹介したガーディアンと同じタイミングで公開された英国BBCの記事です。

なお、オリジナルのサイトには日本の花見について紹介する動画も掲載されていますが、ここでは割愛させていただきました。

                  

                

代わりに私も大ファンの、そして応援してやまないこちらの動画をご覧ください。なまじのメディアより問題の本質が良くお分かり頂けるかもしれません。

                 

お笑い芸人が政治について発言することをどうのこうの言う輩がいるようですが、それこそ日本の歴史、世界の歴史をちゃんと理解できていない浅はかで軽薄な人間の発言です。

コメディアンの歴史を遡れば社会風刺にその源があるのは日本史も西洋史も同じであり、驕り高ぶる者ほど標的にされる、それがお笑いの王道です。

オタクや社会的少数者を「いじる」昨今の漫才などの方を、いじましい半端芸と呼ぶべきでしょう。

安倍首相の『桜を見る会』、多額に上るずさんな支出に対する抗議が噴出し中止が決定

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安倍政権の下で政治目的で悪用される『桜を見る会』

国民が納めた税金を自分の後援者をもてなすイベント費用として流用した疑い

スキャンダルの度、責任を他の人間にかぶせて逃げ切り、『史上最長任期の首相』になる安倍首相

                   

写真 : 毎年恒例の首相主催の『桜を見る会』でゲストと一緒に写真に収まる安倍首相と昭恵夫人

                  

ダニエル・ハースト / ガーディアン 2019年11月13日

                

市民が納めた税金を使って開催されている『桜を見る会』のイベントは本来、社会的に功績のあった人々を称えることを意図しているはずでしたが、安倍政権の下で政治目的で利用されているという批判が噴出しています。

               

多額の税金をつぎ込んで開催される『桜を見る会』をめぐる疑惑が大きなスキャンダルに発展するのを阻止するため、安倍首相はこの税金を使ったイベントを来年は中止すると発表しました。

          

2020年の『桜を見る会』は中止するという安倍首相の決定は、その開催費用が際限もなく増え続けている上、政治的目的のために悪用されているという批判が相次いだ後に行われました。

                

毎年恒例のこの春の社交行事は1952年以降ほぼ毎年首相が主催し、元々はスポーツ選手、有名人、その他の分野で優れた功績があった市民をねぎらうことを目的としていました。

                

                 

しかし安倍政権の下でその中身は変質してしまい、今や政権与党の政治的支持者への褒賞として利用されるケースがますます増えているという批判が相次いでいます。
朝日新聞によると、山口県の安倍首相地元の選挙区の有権者は『桜を見る会』に参加するため上京した後、週末に開催された河川でのクルージングを楽しむための旅行もあわせて提供されていました。

                

「公私混同は政治権力を持つ首相が最もしてはならないことの一つのはずだ。 」
毎日新聞はこう社説を掲げ、さらに次のようにつけ加えました。
「政権与党全体が、こうした問題(公私混同を厳に戒めるということ)に鈍感になっているのも否定はできまい。」

                     

日本国内の報道にによれば5年前と比較し、この春の参加者は約4500人増えて約1万8000人以上になりました。
費用も2020度予算の概算要求額は約5,700万円と、こちらも5年前と比較して2倍の金額になっています。

                

野党が公職選挙法違反、そして公的資金の私的目的での流用の疑いについて調査するタスクフォースの結成を発表した後、安倍首相は2020年の『桜を見る会』の中止を決定しました。

                

安部政権側は次回以降の『桜を見る会』の規模と招待基準を改めて検討すると述べましたが、開催費用が高額になっているのはテロ対策によるものだと主張しています。

                 

                 

『桜を見る会』の問題は、安部政権の閣僚が有権者にメロンやジャガイモなどの贈り物をしたことについて公職選挙法に違反していると批判され、任命されたばかりの2人が閣僚を辞任した数週間後、一気に浮上しました。

                 

安部首相は過去にもその身辺で繰り返しスキャンダルが発生し、その都度ダメージを受けながらなんとか逃げ切ってきました。
その安倍氏は来週、歴代中最長の任期を務めた首相として記録を更新する予定です。

              

https://www.theguardian.com/world/2019/nov/14/japans-pm-cancels-cherry-blossom-parties-after-outcry-over-florid-spending

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共産党議員の追求によりこの問題が表面化して以来、いつも翻訳・ご紹介している海外メディア各紙が取り上げるのはいつか?いつか?と待ち構えていましたが、日本時間14日正午過ぎ、各紙報道が始まりました。

今後、続けてご紹介し、私なりに日本がまともで公正な政治をとりもどすための政権交代へのマイルストーンを築いていきたいと思います。

投げ売りされるアベノミクス – 海外の投資家・投資機関

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TOPIX株の30%を保有し、東京証券取引所の1日の取引額の実に約70%を占める海外の投資家
2018年、5兆円に上る日本株を投げ売りした外国人投資家

                 

                  

エコノミスト 2019年10月26日

                  

「私のアベノミクスを買ってください。」
2013年、日本の安倍首相はニューヨーク証券取引所でこう懇願しました。
安倍首相が外国人投資家に向けハードルを下げたために、彼の投球は的を射止めたように見えました。

                 

今日では海外の投資機関や投資家が日本のTOPIX株の30%を保有しており、東京証券取引所(TSE)の1日の売買の実に約70%を占めています。
しかし安倍政権が新たに導入をはかっているルールには、こうした傾向を逆転させるリスクがあります。

                    

10月8日に発表された外為法の改正案は、外国人が日本政府の事前承認なしに日本企業で購入できる最低出資額を10%から1%に引き下げます。
さらなる変更点には、外国企業の取締役が日本企業の取締として選任される前に日本政府の許可を必要とすることを含みます。

                

財務省は原子力発電や武器製造などの技術的に重要な産業を保護したいという意向を明らかにしました。

                 

                

しかし、アナリストは、新しい規則が投資を思いとどまらせる危険性があると警告しました。

                   

東京証券取引所の清田瞭(きよたあきら)社長は、英フィナンシャルタイムズの取材に対し「根本的に間違っている」と語りました。

                

批判が相次いだことを受け、財務省は10月18日に「経営に影響を与える」意図がないことを証明できる限り、外国の「ポートフォリオ投資家」(銀行、保険会社、資産運用会社など)が事前の承認を求める必要がないことを明らかにしました。
若干の手直しを経てこの法律は内閣によって承認され、12月上旬までに日本の国会で可決される見通しです。

                 

しかし懸念は払拭されません。
理由のひとつは法律が幅広い範囲に渡って適用されるからです。
原子力と航空事業に加え、対象には農業、輸送、海運、ソフトウェア開発、インターネットサービスが含まれます。
また何を持って違反とするのか明確ではありません。
たとえば海外投資家から日本企業の取締役会へ手紙を出したら、経営に介入しようとしたと判断されるのでしょうか?

              

             

結論として日本企業への投資は、より面倒により時間がかかるようになります。
新しい規則が適用されれば、日本政府への申請事項が8倍に増加すると結論づける分析結果もあります。

               

様々な懸念に対し日本政府の関係者は、世界的な流れに乗ろうとしているだけだと語りました。
欧州連合は4月に国内投資の審査を強化しました。
アメリカも外国為替管理の体制を強化するだけでなく、中国が最先端技術に関する情報にアクセスできないよう日本政府に強く促しました。

              

しかし東京在住の海外の銀行関係者は、日本政府の本当のターゲットはアクティヴィスト投資家であると見ています。
「日本語表記を見れば、取締役会に対し発言や提言することを求めようとする投資家がターゲットであることは一目瞭然です。」

          

アクティヴィスト投資家はこれまで長い間、日本企業が会社の中核部分以外の資産を売却するよう求め、さらには過剰な内部留保を続けることをやめさせようと闘ってきました。

                     

つい最近もアクティヴィスト投資家たちは日本の巨大企業日産に対し、現在の役員たちを解任するよう求め、カルロス・ゴーン前会長時代の経営の方が優れていたと指摘しました。
近年、彼らは米国の企業の巨人と衝突しました。ゴーンの時代に線を引いた。
また今年の初めにはニューヨークの投資ファンドが、九州旅客鉄道(JR九州)に対し、株主への配当を低く抑えるのをやめ、充分な配当を行うよう圧力をかけようとしました。

                

                     

皮肉なことですが、本来なら安倍首相はこうしたアクティヴィスト投資家の活発な行義の功績を称賛する立場にあるはずです。
安倍首相は企業経営者たちに対し役員会の秘密主義を改めて透明性を高めるよう求め、株式市場の拡大を働きかけてきたからです。
一例として2015年、コーポレート・ガバナンス・コードが導入されて以来、2人以上の社外取締役を抱える上場企業の数は3倍に増えました。

                   

しかしすでに多くの外国人投資家が、安倍政権が本気で改革に取り組もうとしているのか疑問を持っているようです。
昨年、彼らは5兆円に上る日本株を投げ売りしました。

              

かつて海外の投資家はアベノミクスを買いました。
しかし現在、彼らはアベノミクスを投げ売りしようと思っています。

https://www.economist.com/finance-and-economics/2019/10/26/japans-new-investment-rules-risk-scaring-off-foreign-investors

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消費税引き上げによって日本国民の経済生活に大きな打撃を与えた安倍政権ですが、この記事によれば今度は外国人投資家を日本の証券市場から「追い出してしまおう」としているかのようです。

当然今度は株価が下落する『懸念』が生じるわけですが、安倍政権は本欄毀損してはならないはずの国民年金の原資について「安倍首相は5年前、普通株式に投資するよう年金積立金管理運用独立行政法人に圧力をかけていた」(【 日本の年金制度崩壊!なぜ? 】エコノミスト - https://kobajun.biz/?p=36384 )はずなのに、なぜそんなことをするのでしょうか?

『経済のアベ』などというキャッチフレーズがいかに実体のないタワゴトであるかを痛感します。

意見記事:旭日旗に染みついた人々の恐怖の歴史 – 東京オリンピックでの使用を禁止せよ

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極右の愛玩道具、大日本帝国の戦闘旗は、第二次世界大戦の死者の記憶を汚す
五輪会場で旭日旗を打ち振れば、太平洋戦争中の連合軍捕虜の人々が賠償を求めて立ち上がる可能性もある
日本の歴史を改ざんしてしまおうとする日本の政治家や権力者の企みに、日本の研究者や一般市民は抵抗を続けてきた

太平洋戦争の意義を「解放の聖戦」と表現してはばからない、安倍首相もメンバーに加わる『日本会議』

              

                 

アレクシス・ダッデン(米国コネチカット大学教授) / ガーディアン 2019年11月1日

               

写真 : 2019年9月、「旭日旗は太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)の犠牲者を意図的に害するものである。」
韓国の首都ソウルでの抗議集会で日本の旭日旗を引き裂く参加者

                

2028年に開催予定のロサンゼルス・オリンピックの開会式で、人種差別を象徴する南北戦争当時のアメリカ南軍の旗を振るファンでいっぱいになったスタジアムを想像してみてください。
同様に多くの人を傷つけるであろう光景が、来年夏に開催される東京オリンピックで現実になる可能性があります。

               

日本の選手やファンが日常的に使用する日本の国旗は白地に赤い大きな丸を配した日章旗です。
しかし旭日旗はそれとは異なるものです。

                 

16本の赤い光線を放つ旭日旗は、広告などで企業によって使用されることもありますが、厳密には軍旗です。
1870年から第二次世界大戦が終了するまで、大日本帝国の軍旗として使われていました。
そして1954年以降、デザインが一新された旭日旗が自衛隊の隊旗として使用されています。

                   

              

1910年から1945年まで日本の統治下にあった韓国は、来年開催される東京オリンピックの観客席で旭日旗の使用を禁止するよう日本政府に要請しました。
しかし現時点まで日本政府はこの要請を拒否し、その理由について旭日旗は「日本国内で広く使用されている」ものであり「政治的プロパガンダを象徴しているとは見なされない」と説明しています。

                

しかし日本の国旗ではないため、国際オリンピック委員会(IOC)には東京オリンピックでの使用を禁じる権限があります。
国際オリンピック委員会(IOC)の指導部も世界中のアスリートも応援する観客も、旭日旗の歴史、そして今日の日本において特定の政治的主張を行うために実際にはどのように使われているかについて注目する必要があります。

                

日本の右翼にとって旭日旗を掲げることは、第二次世界大戦中に大日本帝国が行った侵略行為の歴史的事実を美化するための共通した取り組みの一環です。
歴史的事実の改ざんを進めようとする出版活動、会員が「韓国人は虐殺されるべきだ!」などと書かれたサインボードを掲げて集会を行なっている『在特会』、アジア地区における太平洋戦争の意義を「解放の聖戦」と表現してはばからない安倍首相もメンバーに加わる『日本会議』などのグループのウェブサイトには、共通して旭日旗が掲載されています。

                 

旭日旗を日本のシンボルとして受け入れることは上記のような人間たちにとって、日本人はその軍事史に誇りを持つべきだという信念を表明することになるのです。
彼らは南軍の旗にしがみついているアメリカ人のように、本来なら反省すべき国家の戦争行為の名誉回復を謀ろうとしています。

               

ナチスのハーケンクロイツ(かぎ十字)がヨーロッパでは使用が厳格に禁じられているのとは異なり、昇る太陽をシンボライズしたデザインは日本の言論の自由を保障する法の下で自由に使われていますが、大日本帝国による支配に苦しんだ人々とその子や孫にとっては、意図的に苦しみがもたらされることを意味します。

               

韓国政府が旭日旗の使用について真っ先に異議を唱えるのは当然のことであり、その結果日本政府と韓国政府は互いに国益を損なう数カ月に及ぶ外交的対決状態へと入ったのです。

                 

2019年7月には両国の争いは貿易制限と安全保障の取り決めに波及し、互いに相手への不満は生活道路の上にまであふれ出しました。
韓国での日本のビール販売は97%以上減少し、日本では韓国をテーマにしたアートの展示がキャンセルされました。
その結果日本による韓国占領が1945年に終了して以降、両国の関係は最悪の状態に陥っているという声が至る所から挙がることになりました。

                  

                

もちろん他にも問題があるにしても、日韓関係を主に悪化させてきたのは朝鮮半島が日本の支配下にあった時代、約80万人の韓国(朝鮮)人が強制的に日本本土に連れて行かれ強制労働や奴隷労働を強いられたことについて、日本と韓国が全く対立する歴史認識を持っているためです。

               

しかし旭日旗を許せないと感じるのは韓国だけではありません。
旭日旗に象徴される大日本帝国による支配の下で何百万人もの人々が虐待を被った中国、シンガポール、フィリピン、ミャンマーなどの国々が東京2020オリンピックをボイコットする動きに対し、IOCは懸念を表明する前に自らを教育し直す必要があります。

                  

アメリカ政府もこの状況に責任を負わなければなりません。
日本と韓国は戦時中の歴史認識を巡る争いについて、米国政府は常に「当事者同士で解決する問題だ」という主張をしてきました。
しかしそれでは1945年以降の東アジア全体に悪影響を及ぼしてきた問題に正しく対処しているとは言えず、日韓の対立を続けさせることになります。

               

ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮を監視するためのGSOMIA(ジーソミア)無効化を目前に控えた今、アメリカ政府の傍観的態度は自国の不利益にもつながりかねません
日本政府はアメリカ政府が自国の方に肩入れしてくれるということに確信を持っているようですが、大切なことを見落としています。
韓国人が強いられた苦しみを見捨てているのと同様、第二次世界大戦中に連合軍捕虜に対しどのような扱いをしたのかについても故意に無視しているのです。

                

                

アメリカ兵の捕虜だけを見ても、彼らは日本国内50か所以上の場所で強制労働に従事させられ、その死亡率は40%に達しました。
戦後、少数の個人的な謝罪はありましたが、奴隷労働を強いられたり投獄されたりした韓国人、アメリカ人、中国人、フィリピン人、オーストラリア人、イギリス人、その他の連合軍捕虜に対する補償や賠償は一切ありませんでした。

               

この問題をうやむやにするためのアメリカ政府の行動は際立っていました。

              

1951年の平和条約(サンフランシスコ講和条約)と日米相互安全保障条約の締結により、アメリカ人兵士をはじめ連合国兵士の補償を受ける権利が事実上すべて犠牲にされたのです。

                 

全体を通して見れば、日本政府は奴隷労働はもちろんカニバリズムすら含まれる太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)中の侵略行為に関する公の議論を避けることにより、法的責任の問題を免れてきたのです。

                  

しかしこの間、無数の日本の歴史家、活動家、そして一般市民が遺骨を採集し政府文書の検証を続け、大日本帝国が引き起こした戦争と占領の下で苦しんだ人々の口述を記録するなどしながら、日本の歴史を改ざんしてしまおうとする日本の政治家や権力者の企みに抵抗してきました。
彼らの努力により旭日旗の下で何が起きていたのかを白日の下にさらすことになりました。

                       

                

大日本帝国による太平洋戦争中の残虐行為については被害者のうち生存する人が少なすぎて、東京オリンピックのスタジアムの一角を占領し、旭日旗が何を意味するものなのかを説明することができません。

                 

もはや証言することすらかなわない無数の犠牲者に成り代わり、国際オリンピック委員会は歴史から学ぶ必要があります。

                

※アレクシス・ダッデン氏は米国コネチカット大学で歴史学を専攻する教授です

                  

https://www.theguardian.com/commentisfree/2019/nov/01/japan-rising-sun-flag-history-olympic-ban-south-korea

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この記事を訳した後、【 日本の『旭日』旗とナチスドイツの鉤十字(ハーケンクロイツ)旗と東京オリンピック 】( https://kobajun.biz/?p=37159 )を翻訳した時点での自分の認識は、少し甘かったかもしれないと反省しました。

第二次世界大戦ヨーロッパ戦線を舞台にしたドキュメンタリーや映画で、ナチスのハーケンクロイツやSS(親衛隊)のエンブレムを見たユダヤ人が血も凍るほど怯えるシーンを見ることがあります。

太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)で虐待されたアジアの人々が旭日旗を見て同様の反応を示しても、彼らの側に責められるべき理由はありません。

やはり『加害者』であった私たち日本人が反省あるいは自省すべき問題です。

                 

なぜ今、国際社会からこの記事のような指摘がなされるのか、私たち日本人は真剣に考える必要があります。

                       

人間が本当の自分の姿を認識しなければ、客観的に見た成長などありえないのと同じように、国家や民族は歴史的事実に真摯に向き合ってこそ真の成長が可能なのだと思います。それを『自虐史観』などとは言わないはずです。

史実を歪曲・改ざんしようとする人間こそ、民族や国家を腐らせる存在であり、真のなどではありえないということを忘れるべきではありません。

上映中止に追い込まれた『従軍慰安婦』ドキュメンタリー映画『戦場』、中止に対する批判が相次ぎ上映が決定

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所要時間 約 8分

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表現の自由が奪われそうになった危機を、声を挙げて回避した人々

見えない圧力に屈し、本来守るべきものを見失いがちな日本の一部の行政機関

                     

写真 : ソウル市内の日本大使館前の路上に設置された「慰安婦」の像

                          

英国BBC 2019年11月3日

                

                    

日本国内で開催される映画祭で、太平洋戦争中に組織的に売春行為を強いられた女性たちを取り上げたミキ・デザキ監督作品のドキュメンタリー映画『主戦場』が一旦は上映中止に追い込まれましたが、批判や反発する声が相次ぎ、上映することが決定しました。
川崎市で開催中された「第25回KAWASAKIしんゆり映画祭」の主催関係者は、安全上の懸念が解決されたためだと説明しました。

             

太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)中にアジア各国から数万から集められたいわゆる「従軍慰安婦」は、日本軍が組織的に運営していた施設で兵士を相手に売春することを強制されていました。

             

これに対し日本の国家主義者は、「従軍慰安婦」の女性たちが売春行為を強制されていたことを否定しています。

            

今年の初めには、「慰安婦」問題を取り上げたあいちトリエンナーレ2019企画展『表現の不自由展』は、放火の脅迫を受けてから約2か月間、開催できない状況に追い込まれました。

                

▽ 上映中止の決定が覆った背後にあるものとは?

         

上映中止の決定は「安全上の懸念に対処するための協力を惜しまないという多くの声が寄せされた」結果、取り消されるに至った、AFP通信社の取材に対し組織委員会のメンバーの一人がこう語りました。

                   

この映画祭に関係する複数の監督が、映画を上映しないという方針を批判していました。
抗議の意思を明らかにするため、自分の作品を川崎の映画祭では上映しないことを決定した監督もいます。

                  

ドキュメンタリー映画『主戦場』は映画祭の最終日に上映されることになりました。

            

               

しかしドキュメンタリーの登場する人の中には、補償を要求し、映画の上映中止を求めて東京地方裁判所に訴訟を起こした人もいます。
これらの人々はドキュメンタリーの制作に参加することには同意したものの、それは映画の一部ではなく研究の一部だと考えていたと主張していると朝日新聞は伝えています。

                

▽ 『従軍慰安婦』とはどんな人々か?

                

歴史研究者は推定で約200,000人の女性が日本兵の売春宿で働くことを強制されたとの見解を示しています。
その多くは韓国人であり、他に中国、フィリピン、インドネシア、台湾から女性たちが集められました。

                    

日本の一部の国家主義者はこうした事実があったことを否定し、日本軍が組織的に本人の意志に反して女性を集めるように命じたことを証拠づける文書は存在しないと主張しています。

              

                   

『従軍慰安婦』をめぐる争いは日本と関係する近隣諸国との外交関係を感情的にも悪化させてきました。

                 

BBCの特派員であるルーパート・ウィングフィールド=ヘイズが制作した報告は、戦後生存していた慰安婦のほとんどが1980年代後半から90年代にかけ死亡したと伝えています。

                        

日本政府は1965年に外交関係を回復し、韓国に対する日本の財政援助で8億ドル以上を提供した『韓国との請求権・経済協力協定』により問題は解決済みである主張しています。

              

2015年、日本は慰安婦問題を解決するための異なるアプローチとして『慰安婦問題日韓合意』に署名しました。
日本は『謝罪と反省を行い』元慰安婦を支援するため設立する財団に日本政府が10億円を拠出することを約束しました。
しかし韓国内には、被害者との協議が行われないまま政府間の合意に至ったとの批判があります。

               

https://www.bbc.com/news/world-asia-50281627

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従軍慰安婦の問題に関しては、『世界の見方』と日本国内の見方との間には相当大きなズレがあるのではないか、ということを最初に感じたのは2015年5月のガーディアンの【 侵略戦争、従軍慰安婦問題、日本は歴史の事実にもっと真摯に向き合うべき 】という記事を翻訳した時でした( https://kobajun.biz/?p=26872 )。
この時は日本の歴史研究者たちが公表した
「近年の歴史研究は、動員過程の強制性のみならず、動員された女性たちが、人権を蹂躙された性奴隷の状態に置かれていたことを明らかにしている。
日本軍「慰安婦」問題に関し、事実から目をそらす無責任な態度を一部の政治家やメディアがとり続けるならば、それは日本が人権を尊重しないことを国際的に発信するに等しい。」
という見解が印象に残りました。

                     

そして同じ年の12月、ガーディアンは社説で再びこの問題を【『従軍慰安婦』への視点 : 癒しがたい傷を癒やすことへの第1歩 】として取り上げました。( http://kobajun.chips.jp/?p=26417 )
そして女性たちが慰安婦にされた経緯については様々なものがあったと想像できるとした上で、
「しかし疑いようのない事実は、その先にあった人間として耐え難い苦しみの方です。」
「『慰安婦』などという言葉は、許しがたい婉曲表現です。
彼女たちが経験させられたのは、一生消すことのできない傷跡を残すことになった残忍な虐待でした。」
と結びました。

                      

私自身は慰安婦にさせられてしまった女性たちは飽くまで人間であり、その人間としての苦しみをまず考えるべきであるという論調に共感しました。

              

一生消すことのできない傷跡をどう補償するかというのは極めて難しい問題であり、万人が納得する答えなど出しようがないのではないでしょうか?

                

だからこそ戦争はやってはならない、なぜなら一人でも多くの敵を殺すこと、一つでも多くの敵の都市や戦争設備を破壊することが全てに最優先される結果、人権や人類の普遍的幸福などというものはほとんど一顧もされなくなるからです。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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