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【 英国のEU離脱 – 日本、中国、アジア各国市場が受ける影響は? 】

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中国は国民投票実施前に詳細に分析済み、上海市場も影響は軽微、当面は事態を静観の構え
今年から来年にかけ、欧州には不安材料が山積
週明け、日本・中国・オーストラリアの株価は反発、韓国、香港、東南アジアは続落

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 6月27日

株式市場
中国政府が同国の企業の対英投資についてしばらく様子を見ることになるだろうとの見解を示した一方、日本は英国に対し1,000社を超える取引企業が影響を被る実態について『精査』するよう迫りました。

国民投票で英国のEU離脱が決定したことを受けポンドが続落し、日本と中国の当局者は同国と世界経済の先行きにまた新たな不安材料が加わったことを警告し、アジアの金融市場は27日月曜日になっても前週末に記録した大きな損失を取り戻せずにいます。

日本の株式市場は月曜日午前に安倍首相が緊急会合を開いて日本銀行に対し金融市場を安定させるため採れる手段をすべてとるよう指示したことを受け、昼過ぎまでに日経平均株価は約2%ほど値を戻し、このまま株価が一方的に下がり続けることは無いと強調しているかのようでした。
「金融市場には不確実性と危機に対する懸念が残っています。市場を安定させるための働きかけを続けることが重要です。」
株式市場の取引開始前に開催された会合で、安倍首相がこう語ったと共同通信が伝えました。

英国の国民投票が実施される以前に離脱が決定した場合の影響について詳しく分析済みだった中国は、翌週の株式市場の幕開けをどうやら無難に乗り切りました。
中国政府の当局は多くの中国企業が事態を「静観する」対応を望んでいるようだとの見解を示しました。
中国の李克強首相は世界の主要市場が安定化のため、協同して取り組みを行うよう望むというメッセージを発しました。
「私はヨーロッパが中国のための重要なパートナーであることを改めて強調したいと思います。そして、中国は中国とEUとの関係、中国と英国との関係、そのどちらをも発展・維持させ続けることを約束します。」
李克強首相は天津で開催された世界経済フォーラムにおける講演でこう語り、次のように続けたと共同通信が伝えました。
「中国はしっかりと連帯し安定した欧州連合の実現を望むと同時に、安定し反映する英国社会の実現も望んでいます。」

天津経済フォーラム
中国の最高位の経済プランナーである除紹史国家発展・改革委員会主任は、26日に開催された天津世界経済フォーラムの会場で、今回の英国の国民投票の結果が中国経済に与える影響は限定的なものだと語りました。
24日金曜日の国民投票の結果発表後に対ドルレートの記録的な下げ幅を記録した英国ポンドは、27日月曜日にさらに下落しました、
1ポンドは1.3388米ドルまで2.4%下げましたが、金曜日に一時31年ぶりの安値である1.3228米ドルつけた時に比べると、若干ではありますが値を戻しています。

前週の24日金曜日に2008年の世界的金融危機以来最大となる7.9%の下げ幅を記録した東京の日経平均株価は、27日月曜日午後2%以上 – 300ポイント以上値上がりしました。

上海総合指数は午前の取引開始直後0.6%上昇し2,870.92に、シドニーのS&P/ASX200指数は0.5%上昇し5,136.80豪ドルまで戻しました。

しかしその他の市場では軒並み値を下げる展開となり、前週の金曜日世界の金融市場から2兆1千万ドルの資産を消滅させた危機が続くことになりました。
香港のハンセン株価指数は20,112.35まで0.7%下落、ソウルの韓国総合株価指数(KOSPI指数)は0.1%、1,923.13まで値を下げました。
シンガポール、フィリピンとインドネシアのベンチマークも同様に下落しました。

英国離脱日本外相
日本の岸田文男外務大臣は英国に対し、同国内で投資を行っている日本企業から事情を聞いて適切な対処をとる義務が英国にはあると警告しました。
岸田外務大臣は27日月曜日午前、英国のティム・ヒッチェンズ駐日大使と会談し、次のように要請しました。
「英国内で事業を行っている約1,000社の日本企業にその見解を確認するようお願いします。」

日産やトヨタのような日本企業は英国で140,000人を直接的および間接的に雇用していますが、いくつかの会社は24日に行われた国民投票以前から、英国がEUに留まるべき必要性について、秘密でも何でもないという見解を示していました。

アジアのアナリストは今後の展開について予断を許さない状況にあると厳しい口調で語りました。
英国の政治状況の激変と、他のEU加盟国の中で英国に続き脱退に向けた動きが加速することは、市場の不安定性を増すだけだと語りました。
「現在の状況は投資家がいったいどれだけのリスク資産を売却する必要があるか、はっきりした見当が全くつかない程不透明です。」
みずほ証券の外国債券部門の上級戦略家である岩城弘子氏がこう語りました。
「現状について言えば、投資家が売却すべき資産がすべて処理されたとは言えない状況にあると思います。さらに10%値を下げても私は驚くにはあたらないと考えています。」

英国ポンド通貨
みずほ銀行は報告書の中で次のように述べています。
「EUと英国が離脱のための手続きと交渉のタイミングに関して若干の食い違いが表面化するかどうか、市場は神経質の見守っている状況にあります。」
「英国におけるEUの合法性そのものについて、離脱を支持する政党から疑問を突きつけられる可能性があります。」
今年スペインで、そして来年にはフランスで総選挙が予定されており、
「こうした政治的な要因が、英国の離脱交渉に複雑な性格を加えることになるでしょう。
事態がどの方向に進展することになるのか、その不確実性は世界の金融市場が大荒れになる潜在的要因をはらんでいることを示唆しています。」

国際通貨基金のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、数日中にヨーロッパの政策担当者によってされる決定によって今後の趨勢が見えてくるだろうと語りました。
ラガルド専務理事は25日コロラド州で開催されたアスペン・アイデア・フェスティバルの席上、今後経済危機に陥るかどうかは、先行きの不確実性の程度に左右されることになるだろうと語りました。
「今回の危機がどの方向に向かうのは、今後数日間に行われるヨーロッパの政策担当者の決定に大きく左右されることになるはずです。」

英国株式市場
今回の英国のEU離脱について、一部のアナリストはアジア市場が他の市場よりも影響を受けにくいだろうと語りました。
「アジアは、ほんの少しのかすり傷だけで今回の危機を切り抜けるに違いありません。大部分のアジアの経済市場は英国との直接取引は大きくなく、英国金融機関からの融資についても、代替の選択肢が数多く存在し対処が可能であり、悪影響は最小限に留まるものと考えられます。」
香港のHSBC銀行のアジアの経済調査部門の共同責任者であるフレデリック・ノイマン氏は、報告書の中でこう述べています。

https://www.theguardian.com/business/2016/jun/27/brexit-pound-decline-japan-china-markets-investment-fears
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【 6月27日の報道写真から 】

アメリカNBCニュース 6月27日

銀座
6月27日、東京銀座商店街の建設現場の装飾看板の前を歩く着物姿の女性。この日、東京証券取引所では24日に英国のEU離脱のニュースを引き金に暴落した株式市況が幾分値を戻しました。

http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-june-27-n600051

【 東京都知事のスキャンダル、参議院選前の火消しに大わらわ 】

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安倍政権の政治宣伝手法は太平洋戦争中の大本営発表にそっくりだと発言し、都知事の座を追われた舛添氏
一向にはかどらないオリンピックの開催準備、このままでは都政の健全化など遠い先の話?

エコノミスト 6月18日

舛添都知事
一回の食事代が80,000円もするイタリアン料理。
ミステリー小説、漫画雑誌、中国製のシルクのシャツ、そして、彼の家族のための休日。骨董品の芸術。さらには五つ星のコンラッド・ロンドン・セント・ジェームズ・ホテルの最も高価なスイートルーム。これらは舛添要一氏が東京都知事であった時代、公金を使って贖ったものの一部です。

東京都議会の傍聴席が怒りを覚えた都民でいっぱいになる程大きくなり、数週間の間国民の視線を釘付けにしたスキャンダルを、舛添氏は当初謝罪によって何とか逃れようとしていました。
冒頭掲げた出費はいずれも違法なものではありませんでしたが、都議会における不信任決議が目前に迫り、実施を控えた参議院議員選挙への悪影響を恐れた自民党の圧力の前に、舛添氏は6月15日、都知事を辞任する旨表明しました。

東京オリンピック01
自民党にとっては危ういところで難を免れたということになるかもしれませんが、2020年にオリンピックを開催しなければならない東京都にとっては、舛添氏の辞任はさらなる困難をもたらす結果となりました。

自民党の推薦を受け、当選した東京都知事が金銭がらみのスキャンダルで2人の都知事が続けて辞任することになりました。
前任の猪瀬直樹知事は医療機関から受け取った5,000万円の貸付金の正当性について疑問を突きつけられ辞任に追い込まれました。
皮肉なことに元テレビコメンテーターで閣僚経験もある舛添氏は、オリンピック開催に向けクリーンな都政の実現を約束し、悪化した評判を払しょくすべく都知事に就任したはずでした。

東京の上智大学の政治学者である中野孝一教授は、舛添氏に都知事留任を許せば、
「自民党の代名詞とも言うべき時代遅れの金権政治の象徴としてなお一層の注目を集めてしまい、参議院選挙の投票の際、自民党の党勢に響きかねない」結果につながっただろうと語りました。

甘利辞任
舛添氏のデタラメな金遣いによってこの夏再び都知事選挙をしなければならなくなった東京都は、そのために50億円の出費を強いられることになり、多くの東京都民の怒りはさらに大きなものになりました。
そして現時点での都知事の辞任はオリンピックの開催準備をなお一層難しくしてしまいました。

3年前、効率的運営開催を実現するという日本の首都の売り込みと大会開催に向けた日本国民の熱意は、競合するマドリードとイスタンブールに対し、開催地の決定投票を行う上で東京に有利に働きました。

しかし東京オリンピックの開催計画はその後、当初の試算をはるかに上回る費用の見積もり、そしてメインスタジアムの設計やロゴの選定などでの不祥事が相次ぎ、予想もしていなかった困難に直面することになりました。

そして追い打ちをかけるように、今度は日本のオリンピック開催委員会が国際的な贈収賄の捜査対象になってしまったのです。

東京五輪5
さらに舛添氏はオリンピックの開催費用の東京都の負担割合を巡り、安倍政権との間で激しい応酬を繰り広げました。
舛添氏はこの時、安倍政権がいつもの調子で2020年オリンピックの開催準備が順調に進んでいるとの見解を示したことに対し、それの態度はまるで太平洋戦争当時、大日本帝国が戦争において順調に勝利を重ねているとの宣伝を繰り返して国民を安心させようとしたやり方にそっくりだという、特筆すべき比較を行ったのです。

舛添氏の後継者として現在、防衛大臣、環境大臣の閣僚経験がある自民党の国会議員小池百合子氏の名が挙がっています。
さらに日本弁護士会の会長経験者である宇都宮健児氏も近く立候補を表明することになっており、他にも複数が立候補するものと見られています。

東京五輪07
しかしこれ以上オリンピック開催に黄色信号が灯るような事態になれば、オランダ1国を超える経済規模を持っている東京の経済運営を健全なものにするという公約は雲散霧消する可能性があります。

http://www.economist.com/news/asia/21700675-row-over-public-funds-topples-tokyos-governor-another-one-bites-dust?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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【 ソーラー・インパルス2号機、歴史的大西洋横断飛行に成功 】

アメリカNBCニュース 6月23日

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ニューヨークを出発した太陽光発電飛行機は、3日間の大西洋横断飛行を順調にこなし、23日木曜日、無事スペインに到着しました。
6月20日にニューヨーク上空を飛行するソーラー・インパルス2号機。パイロットはスイス人のベルトラン・ピカール。(写真上)

ソーラー・インパルス2号機の主翼の長さはボーイング747型機を上回り、17,000個の太陽電池を積んでいます。
夜間は日中に蓄電したエネルギーを使って飛行を続けることが出来ます。

Solar02
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スペイン、セビリャのサン・パブロ空港への到着を前に、スペイン空軍のアクロバット飛行チームの出迎えを受けるソーラー・インパルス2号機。
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http://www.nbcnews.com/slideshow/solar-impulse-soars-across-atlantic-historic-flight-n597771

【 時代遅れの国家主義を煽り、世界最悪の隣国関係に陥る中国/北朝鮮/韓国/日本】《後篇》

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韓国の疑問「ソウルを防衛するために、アメリカがサンフランシスコを危険に曝すことはあるのか?」
世界規模では『終わった』はずの核兵器開発競争が、東アジアで再燃する恐れ

 

アンドレイ・ランコフ / アルジャジーラ 6月3日

 

ECO NUKES01

韓国・日本の核武装を容認するというトランプの気まぐれな思いつきの発言は、極東アジアの安全保障にアメリカが今後どうかかわっていくのかという問題の一部に言及したに過ぎません。

この問題について一部の韓国人が最も重要だと考えるのは、次のような側面です。
北朝鮮は核兵器開発を急いでおり、もし核兵器をフル装備してしまった場合、果たしてアメリカは同盟国を守るため、進んで北朝鮮との全面戦争に参加するのか?
『ソウルを防衛するために、サンフランシスコを危険に曝す』つもりはあるのか?

韓国が自国の潜水艦に潜水艦発射弾道ミサイルを装備させるとすれば、同時に核弾頭を装備して初めて対北朝鮮防衛態勢が完備されるという決定が行なわれれば、重大な変化と言うべきです。
それは論理的飛躍にはとどまらず、現実に莫大な経費が掛かる問題であるからです。

fallout
そうなれば次に起きることは何でしょうか?
核兵器とミサイルの軍備拡大競争が東アジア地区で現実に開始されてしまったら、それはいつどんな形で終わらせることが可能なのでしょう?
現在の東アジアの不気味な緊張関係は、100年以上前のヨーロッパ、第一次世界大戦の勃発直前の状況を思い出させるものです。

時代遅れの国家主義がそれぞれの国を支配し、隣国に対して深い猜疑心を抱きあっている、それが現在の東アジアの姿です。
これまで隣国同志が抱きあって来た長年の憎悪は、アメリカが強力な同盟関係の要となることでおさえられてきました-韓国人と日本人は憎しみ合いが繰り返し歴史に刻まれてきたにもかかわらず、それぞそれが米国と密接な関係を築くことにより直接的な対立を防いできました。
そしてそれぞれが同盟関係の下でかつて経験したことが無い経済成長を記録したことも、対立の解消に役立ちました。

憲法解釈変更 6
しかしこうした状況は永遠に続くのでしょうか?
現実を見る限り、その可能性はますます遠のいているように感じられます。

▽世界規模では『終わった』はずの核兵器開発競争が、東アジアで再燃する

そして間違いなく『中国問題』があります。
軍事的圧力を強め続ける中国は、控えめに表現してもベトナムから日本に到る隣国の評判はきわめて悪いものです。

東アジア地区における戦略的状況は変化しています。
中国は人類がかつて見たことも無い巨大な人口規模と経済規模を有し、その重圧をはねのけるためには通常兵器では不可能であるとの理由から、核兵器を自国も装備すべきであるという選択肢が生まれています。

北朝鮮の核ミサイルの装備が現実のものとなり、アメリカの優柔不断な態度が続けば、韓国は意外に早く自身が『核抑止力』を手にする決断をする可能性があります。
韓国のような先進国が核兵器を装備することには技術的にも困難が少ない上、費用も時間もそれ程多くはかかりません。

 

自衛隊03

しかし韓国の核兵器装備が現実になれば、続いて日本も核武装する確率は一層高いものになります。
そしてさらに急速に近代化が進む東南アジア各国に加え、台湾はなぜ自国だけが核兵器を持たないのか、疑問に思い始める可能性があります。

通常このような状況に陥った場合にはもっとましなアイディアが出て来るものですが、現在はそのような楽観的な展開はほとんど期待できません。

北朝鮮は独自の核兵器の装備による防衛態勢の開発整備を続ける決心を明らかにしていますが、中国、それと対立するアメリカの同盟国である韓国との間に位置するという戦略的位置をうまく利用しながら、自分たちの方針を貫こうとしています。
しかしその行動は世界の中で重要性を増しているこの地域の、そしてひいては全世界の安全を危険にさらすことになるでしょう。

広島04
※アンドレイ・ランコフはソウル市内にある国民大学校の教授で、専攻は韓国の時事問題です。
著作として『北朝鮮 : 失敗したスターリニストのユートピアでの政治と暮らし』などがあります。
本稿に掲載されている見解は、著者自身のものであり、アルジャジーラの編集方針を必ずしも反映するものではありません。

 

http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2016/06/nuclear-arms-race-east-asia-160602091442504.html
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【 『イチゴ色の満月』が輝く夏至の夜 】

アメリカNBCニュース 6月21日

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1967年6月以来初めて、『イチゴ色の満月』が夏至の夜空に輝きました。
イングランド南部のソールズベリー平原のストーンヘンジ。(写真上)
6月のイチゴの収穫期に真っ赤な満月が観測されることから、アメリカ先住民族のアルゴンキン族は6月の満月を『イチゴの月』と呼びならわしていました。

ハンガリー、ナジカニジャの満月(写真下・以下同じ)
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ニューヨーク、マンハッタンの夜景と『イチゴ色の満月』
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http://www.nbcnews.com/slideshow/strawberry-moon-shines-during-summer-solstice-n596276

【 時代遅れの国家主義を煽り、世界最悪の隣国関係に陥る中国/北朝鮮/韓国/日本】《前篇》

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繰り返された北朝鮮中距離ミサイル・ムスダンの誇大広告とは別の『あり得るシナリオ』
北朝鮮への対応を誤れば、東アジア一帯で核軍拡競争が始まる恐れが現実になる

 

アンドレイ・ランコフ / アルジャジーラ 6月3日

 

ECO NUKES01

近年朝鮮半島から伝えられるのは、専らミサイルに関するニュースばかりです。
衛星画像で確認された通り、北朝鮮は中距離弾道ミサイル「BM-25ムスダン」の発射準備にかかりきりでした。
発射は今年に入って4度目の失敗に終わりました
それにもかかわらず朝鮮のエンジニアと科学者は、射程の長い潜水艦ベースの弾道ミサイルの開発に懸命に取り組み、いずれアメリカ合衆国まで射程に入るミサイルの開発を成功させる可能性があります。

ムスダンの発射については数多くの誇大広告が繰り返されましたが、この間韓国から発信されたある一連の報道の重要性に気がついたのは、ごく一握りの人びとでした。
匿名を条件に取材に応じた韓国の高級官僚は、韓国海軍が独自に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を開発中であると語りました。

核ミサイル
そして新しく開発された韓国の潜水艦が弾道ミサイルの発射装置を装備していることについては、公表しても問題ないという見解を得ていると語りました。

この発言は北朝鮮の核弾頭と長距離ミサイル開発とは別の、『あり得るシナリオ』が存在することを思い起こさせることになりました。
つまりは北朝鮮の『脅威』が周辺諸国において、『同様の兵器開発の必要性』という結論を引き出せることになり、最悪の場合にはミサイル、そして核兵器開発競争すら誘発しかねない危険性を持っているという事なのです。

▽ 戦略バランス

今から10年前の2006年10月、北朝鮮が初めて核実験を行った後、深刻な懸念が持たれることになりました。
その後の議論の中では、韓国と日本の核武装についても可能性が取りざたされました。
しかしその後の展開では2カ国の核武装については一応その可能性は消えましたが、ここにきて再びその議論が現実味を帯び始めました。

キムジョンウン
これは数十年間韓国と日本に『核の傘』を提供してきたアメリカが、孤立主義に向かう動きを見せ始めたことに対する、考えられる反応のひとつという事が言えるかもしれません。

共和党大統領候補のドナルド・トランプは、東アジアからの米国の軍事的撤退という選択肢を除外しないという方針を明らかにし、韓国人と日本がアメリカの軍事的援助がなくとも自国の防衛が可能になるよう核兵器の保有も視野に入れて良いという考えを明らかにしています。

北朝鮮は独自の核兵器の装備による防衛態勢の開発整備を続ける決心を明らかにしていますが、中国、それと対立するアメリカの同盟国である韓国との間に位置するという戦略的位置をうまく利用しながら、自分たちの方針を貫こうとしています。

明らかにトランプの意見は(控えめに言って)少々毛色の違う大統領候補の極端な発言のひとつに過ぎませんが、『世界の警察官』を自認してきたアメリカ人の考え方が徐々に変わりつつあることを代弁している部分もあります。

長崎原爆02
一方、韓国内では独自に核兵器を保有すべきであるとする考え方への支持が広がっています。
この点は世界で初めて核兵器の攻撃による被害を体験した日本とは異なり、韓国には核兵器へのアレルギーはありません。

2016年1月に実施された世論調査では韓国人の54パーセントが独自に核兵器を保有することは理論的に正しいと回答しています。
少なくとも20年間、韓国ではこうした考え方が国民の半数を上回り続けてきました。

▽ 想定外について考える

近年では、国政に関わる政治家の口から韓国の核武装という言葉が頻繁に語られるようになってきました。

これまでそうした発言は、国政選挙前に自分たちの得票率を上げるために強い対外姿勢を示して見せるデモンストレーションであるか、あるいはアメリカの強力な軍事的援助を引き出すための圧力を目的としたものでした。

防空識別02
しかし現在、様相は異なったものになっているかもしれません。
アメリカが今後どのように極東アジアの安全保障問題に関わって来るのか不透明な状況の中で、韓国の国家戦略を立てるべき担当者の一部は、これまでは想定していなかった事態について考えるようになりました。

〈 後篇に続く 〉
http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2016/06/nuclear-arms-race-east-asia-160602091442504.html
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【 『イチゴ色の満月』が輝く夏至の夜 】

アメリカNBCニュース 6月21日

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1967年6月以来初めて、『イチゴ色の満月』が夏至の夜空に輝きました。
2016年6月20日、イングランドのサマセット、グラストンベリー・トアの満月。(写真上)
6月のイチゴの収穫期に真っ赤な満月が観測されることから、アメリカ先住民族のアルゴンキン族は6月の満月を『イチゴの月』と呼びならわしていました。

南イングランド南部のソールズベリー平原のストーンヘンジで。(写真下・以下同じ)
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ドイツ、シェーネフェルト空港の管制塔と満月。
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フランクフルト近くのヤーコプスドルフのオーデル川河畔に立つ枯れ木にとまる野鳥と満月。
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http://www.nbcnews.com/slideshow/strawberry-moon-shines-during-summer-solstice-n596276

【 2016年ヒロシマの誓い 】《後篇》

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様々な演技とは裏腹に、密かに日本の核武装を目指す安倍政権
安倍首相は日本の「平和憲法」の要である第9条を書き換えるため、ありとあらゆる手段を講じてきた
安部首相に核兵器反対運動をしている人々への理解などはなく、逆に防衛政策遂行の障害だと考えている

 

トム・リー / ワシントンポスト 5月27日

広島14
▽ 核兵器の保有を視野に入れたままの安倍政権

首相としての在任期間、安倍首相は日本の軍事能力を増大させることに本腰を入れ、海外での軍事紛争に積極的に関わっていくと宣言しました。
一方で本気ではない『核兵器に反対する姿勢』を見せることも忘れませんでした。
安倍首相は日本の「平和憲法」の要である第9条を書き換えるため、ありとあらゆる手段を講じてきました。
日本は憲法第9条の下で、国際紛争を解決する手段として戦争を行うことを非合法化しています。
「積極的平和主義」を唱える安倍首相の形式的方針自体は、それほど問題ではありません。

安倍02
一方で国際平和維持活動に積極的に参加し、テロリズム防止のために大きな役割を演ずるためには、日本は軍事能力を一層強化し、安全保障方針を改める必要があります。
しかし日本の軍事能力を一方的に強めることは、かえって東アジア地区の不安定要因となり、さらには日本の核武装を正当化することになります。
実際に中国と北朝鮮は、安倍政権が進める日本の防衛政策の転換について警告を発しました。
そして安倍首相による『積極的平和主義』を実現させるという宣言は、ISISなどのテロリスト・グループの注意をひきつける結果につながりました。

つい最近、安倍政権は日本が核兵器を保有することは憲法に違反しないと主張し、市民や野党の強い反発を招きました。

そして日本国憲法の条文を正しく解釈すれば、安倍政権の主張とは全く異なる理念がみえてきます。

集団的自衛権04
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
そして、その理念を現実のものとするため、
「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

こうした安倍政権の考え方は、日本が1960年代後期に採用した非核三原則にも違反しているという点も重要です。
この非核三原則は日本の国土において核兵器を開発すること、所有すること、そして持ち込ませることを禁止しています。

しかし日本における核兵器の禁止は法律が規定している訳ではなく、方針とも言うべきものです。
でした。

憲法解釈変更 6
しかし安倍政権が誕生すると、非核原則よりも国家の安全保障という課題が重視されるようになったのです。
そして国民の間でも核兵器保有を否定する考え方は、かつてほど強いものではなくなったように感じられます。

安部首相は原子力発電の恩恵の強い信奉者です。
しかし2011年3月に発生した福島第一原発の事故処理に苦しみ続けている日本にあっては、そうした政治姿勢には反感を持たれています。
安部首相には核兵器への反対運動をしている人々に対する理解などはありません。
逆に自分の安全保障政策を進める上で障害だと考えています。

現時点で日本は、世界最大規模のプルトニウム保有国のひとつであり、その気になれば数千基の核弾頭を製造する能力を有しています。

▽ 世界をもっと安全な場所にすることができるのか?

広島12
1970年に発効した拡散防止条約にはほぼ全世界の191カ国が署名しています。
この条約に署名した国のひとつとして、米国は軍備縮小を続行すると誓いました。
同じく署名国として、日本は核兵器の開発あるいは購入に及ぶことは無いことを表明しています。
条約調印により、地球上の大部分の国が核兵器の無い世界の実現を目指しているという意思表示をしたことになります。

オバマ大統領と安倍首相が広島で会談すれば世界的な話題となり、改めて核兵器使用がどれ程の惨禍をもたらすものであるかを世界に再認識させることになるでしょう。
しかし上辺だけを見て、日米両国が自国が核兵器を開発保有することについて、決して後ろ向きではないという事実を見逃してはならないと考えるべきです。

※トム・リーはポモナ・カレッジの政治学部准教授であり、専攻は日本の安全保障政策、軍国主義路線と東アジア地区における第二次世界大戦(太平洋戦争)の戦時記録と和解のためのプロセスの研究です。

https://www.washingtonpost.com/news/monkey-cage/wp/2016/05/27/heres-the-real-benchmark-of-obamas-visit-to-hiroshima-nuclear-nonproliferation/
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【6月18日までの報道写真から】

アメリカNBCニュース 6月18日

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6月18日イギリス、ブリストルで銃撃の上刺殺された労働党のジョー・コックス議員の死を悼んで捧げられた花束。
殺されたのはコックス議員が図書館前で毎週行っていた、市民との対話面談を行なおうとしていた時でした。(写真上)

6月18日トルコの首都イスタンブールで、イスラム教徒のテロに対する抗議集会のため集まったデモ隊に向け、機動隊が催涙ガスを発射しました。(写真下・以下同じ)
day02
カリフォルニア州サンタバーバラ近くの山林火災で発生した炎の竜巻。
day03
6月18日フィンランドのラッペーンランナンで開催されたオリエンテーリング・リレー競技会の参加者のヘッドライト。
day04
6月18日モルドヴァ共和国のキシナウで開催されている「ラベンダー祭」で、ラベンダー畑を歩く母親と娘。
day05
http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-june-18-n594996

【 2016年ヒロシマの誓い 】《前篇》

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オバマ大統領が承認を予定している核兵器開発予算は、ヒロシマの演説よりも人類を長い間支配することになる
憲法第9条の存在が核武装を頑として許さない日本、その第9条廃止を目論む安倍首相の真意は

 

トム・リー / ワシントンポスト 5月27日

広島14
5月27日に、アメリカのオバマ大統領は日本の安倍晋三首相とともに広島への歴史的な訪問を実現させました。
現地で行われた演説は、原爆がもたらした悲劇的状況について詳述し、誰もが願う核兵器のない世界の実現を求めた感動的なものでした。

1945年に米国が投下した原子爆弾によって完全に破壊された2都市のうちの1つを訪問することにはどんな意味があるのでしょうか?
アメリカ、そして日本の軍事政策に注目すべき機会が訪れたようです。

一部の関係者はオバマ大統領の今回の広島訪問を、2009年にプラハで行ったスピーチによって始まった核兵器廃絶を訴えるキャンペーンの集大成であると見ています。
あの時、オバマ大統領はプラハで次のように訴えました。
「原子力エネルギーを核兵器として実際に使用した国家として、アメリカ合衆国は核兵器廃絶に向け行動を起こす道義的責任を負っています。しかし我々はアメリカ単独でこの取り組みを成功させることはできません、しかし、我々はそれを主導することはできます、そしてそれを始めることができます。」

オバマ広島訪問02
別の学者たちのグループは、第二次世界大戦の歴史的意義を再検証する機会として、この訪問を歓迎しています。
たとえば何人かは、日米の同盟関係を新たな路線に乗せるため安倍首相は真珠湾を訪問すべきだと主張しました。
しかし肯定的な評価ばかりではありません。日本の一部にある第二次世界大戦の歴史を歪曲しようという動きにアメリカが支持を与える結果になりかねないと主張し、広島訪問にはもっと慎重を期すべきだったとの批判が他のアジア諸国で起きました。

しかし理屈抜きに、オバマ大統領の広島訪問は、世界の再先進国の2人のリーダーが核兵器時代に平和と安全を実現させるためのきっかけの一つを提供したことは間違いありません。

米国が核兵器の保有量を全体的に減らすことに取り組み、日本は憲法第9条の存在が核兵器所有を頑として妨げています。
しかしオバマ大統領も、安倍首相も、実際には核不拡散の精神とは逆の動きを見せていました。

▽ 軍備に新たな核兵器を加えるアメリカ

冷戦ミサイル
米国は保有する核兵器を『一新』するため、これからの10年間に3,500億ドルという巨額の予算を計上しています。
いくつかの試算によれば、アメリカが今後30年間で核兵器開発と製造に費やすコストは1兆ドルにまで急増する可能性が有ります。
最良のシナリオが実現すれば、核兵器は埃をかぶったまま死蔵されることになります。
最悪のケースが現実になれば、先進国社会の人間は絶滅させられることになります。

これらの予算項目をオバマ大統領が承認することによって作り出される核兵器は、2009年のスピーチより、2016年の広島訪問の際のスヒーチより、はるかに永い間人類を支配することになります。

世界中で、核兵器は増殖し続けています。
核保有国は核兵器保有規模を拡大させ、性能の改良も続けています。

冷戦ミサイル2
アメリカとロシアは相互協定の締結により、互いの核兵器保有量をかなりの規模で減少させました。
しかし現在、2国間の関係は非常に緊張しています。
国際社会との協力関係を弱め続けているロシアは、2016年4月に開催された核安全保障サミットをボイコットしました。
いくつかの核兵器監視団体は米国主導のサミットを、加盟国が核兵器の保管について適切な安全対策を取り入れるための真剣な取り組みを行っていないと批判しました。

アメリカはさらに広範囲な拡散防止運動であり、100カ国以上の国と多数のNGOが参加するジュネーブに拠点を持つ国連の『多国間の核軍縮交渉を前進させるための制限のない専門調査委員会( http://www.unog.ch/oewg-ndn )』への参加を拒否しました。
この委員会は核拡散防止条約と相容れない内容を持つというのがその主張でした。

〈 後篇に続く 〉
https://www.washingtonpost.com/news/monkey-cage/wp/2016/05/27/heres-the-real-benchmark-of-obamas-visit-to-hiroshima-nuclear-nonproliferation/
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【 一瞬の自然現象をとらえる!世界空と夜の写真コンテスト 】《3》

アメリカNBCニュース 6月14日

Star08
中国、アルヴィン・ウーの『イルカのような銀河』
2015年4月、ハワイのマウナキア天文台で撮影。画面の左隅にあるのは同天文台のジェミニ・ノース望遠鏡。(写真上)

タイのサナクリット・サンティクナポーンの『スヴァールバルからの皆既日食』。
2015年3月20日のノルウェーで、3分おきにシャッターを押し撮影した写真を合成したもの。(写真下・以下同じ)
sky09
中国、スン・グオ・ツァイの『六盤山の星の軌跡』。
2015年10月に寧夏ウィグル自治区でさつえいされたもの。
sky10
http://www.nbcnews.com/slideshow/world-night-winners-show-sky-s-fragile-wonders-n592046

【 「アベノミクスはもうダメ…」– 日本の株式市場から『脱出』する海外の投資機関 】

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米国の代表的株価指標は昨年と同水準、欧州市場はマイナス6%代、日経平均株価のみ13%下落
いくら言葉を飾っても、旧態依然とした経済刺激策に堕してしまったアベノミクスで不況克服は不可能
アベノミクスの失敗により日本の株価は下がる - 日本の株式への投資を減らす海外の機関投資家

アヤイ・トミサワ / ロイター 2016年6月13日

日本経済ロイター
グラついた日本経済の様子を見て、アベノミクスを見限った海外の投資家が相次ぎ日本の株式市場から脱出する動きが続いています。
そこに日本銀行が決定した政策が追い打ちをかけ、市場では不安定な動きが続発する状況になっています。
さらに日本を追いつめているのが、20年間続いている経済不況から日本を脱出させる能力が現在の日本政府には無いのではないかという疑いが大きくなり、長期間の投資を視野に置く海外の資金の投資意欲が減退を続けている事実です。

「これだけは必要だとされている構造改革が何ひとつ着手されていない現実を見て、日本の株式市場を見限った長期資金の投資家が数多く存在します。」
つい最近アジア地区の投資家たちへの訪問を行ったJPモルガンの株式・国債部門の上級役員である内藤道朗氏がこう語りました。

月曜日株価下落
今年1月から5月までの取引データを昨年と比較すると、昨年は外国人投資家によって2兆8,300億円あった日本の普通株の買い越しが、今年は一転して4兆5,000億円の売り越しになってしまいました。
当然と結果として、日経平均株価は今年に入り13%下落しました。
これは世界の主要株式市場の中で最大の下げ幅です。
欧州市場のFTSEurofirst(ユーロファースト)300、FTEU3は6.8%の下落、アメリカのS&P 500指数、SPX銘柄の平均株価は昨年とほぼ同水準です。

こうしたすべての状況を作りだしたものは、日本の株式市場の背景にある現実です。
失速を続ける経済、一向に現実にならないインフレ、伸び悩む輸出、改善しない国内消費という現実に対する懸念が、日本経済に対する信頼を低下させてきました。

日本人口問題
さらには円高が輸出産業の先行きに懸念を生じさせ、二度目の消費税引き上げを再び延期したことにより日本国の格付けがさらに引き下げられるなど、海外の投資家・投資機関は日本経済のリスクについて再考せざるを得ない状況にあります。

2012年に政権に返り咲いた安倍首相が金融緩和、財政出動と構造改革からなる『アベノミクス』と名付けた経済政策を打ちだし、2015年6月には日経平均株価が18年半ぶりの高値を付け楽観的気分が支配していた時と比べ、現在はまるで異なる様相を呈しています。
昨年6月に一時125円85銭まで値下がりした円も、現在は106円81銭まで値上がりしました。

▽乱高下に見舞われる
日本の株式市場は定期的に乱高下を繰り返しています。
海外の投資家が売りに転じた時も多少の影響を受けていますが、もっとはっきりと影響を与えたのは日銀による金融政策決定です。
最初は1月29日、日銀政策決定会合でデフレーション対策としてマイナス金利の採用という予想外の発表が行われた時でした。

経済低迷
しかし4月には市場は日銀がさらなる刺激策を実行するものと予測していましたが、今度は具体的な政策の発表はありませんでした。

恐怖指数の別名を持つ日経平均VIは指数が25以下の場合、総体的に落ち着いた状態にあることを表します。
その数値が2月には50近くまで上昇、次いで5月には一気に32まで跳ね上がり、日銀のゼロ金利政策の実施にもかかわらず、日本経済が不安体な状態にあることを浮き彫りにしました。

「もしたまたま株価の上昇を見たとして、それは日本経済の基盤が改善されていると考えて良いのでしょうか?それは違います。日本経済の悪化は続いていており、一時的に株価が上昇したとすれば、それは日銀が市場にさらに資金をつぎ込むのではないかという期待感が広がった場合です。」
危機管理を専門とするアクシオマ(Axioma)社の役員を勤めるオリビエ・ダジール氏がこう語りました。
「日銀の市場介入があるのか、ないのか、投資家は今、どちらに転んでも良いように身構えている状態です。」

反安倍01
6月中旬、日銀の毎月の業況調査が行なわれ短観が公表されましたが、ロイターは日銀が動くとすれば7月の業況調査の後であろうと予測したいましたが、市場関係者は6月の結果を見て日銀が動くことは無いと予測していました。

現在行われている連邦準備制度理事会ではBrexit(英国のEUからの脱退)に関するリスクの検証が行なわれていますが、脱退が決定すれば証券市場は必ず悪影響を受けることになります。
決定はまだですが、市場の取引はすでに弱含みです。

最新のファンド・マネージャー調査の結果を受け、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの4月の日本の普通株への資金割り当てはアベノミクスの開始以来最低を記録しました。

さらにモルガン・スタンレー証券は今期の会計年度の末時点でのTopix目標値を、1,400から1,230まで12.1パーセント削減しました。
新しい目標値は現在のTopixの値を8パーセント下回っています。
「多くの投資家は長期の投資を行う場合、日本株が良い投資対象だとはもはや考えていないのです。」
JPモルガン・アセットマネージメントの世界市場戦略家であるヨシノリ・シゲミがこう語りました。

http://uk.reuters.com/article/us-japan-stocks-idUKKCN0YY0MQ
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この記事を読み、なぜ国民の大切な年金を預かる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、本来なら株式市場でなど運用すべきでない国民の大切な資産を日本の株式市場に大量につぎ込んでいるか、(http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/23/pension-huge-loss_n_8366208.html 等の記事を参考になさってください)自分の中ではっきりしました。

多額の資金量を持つ外国の投資機関が日本の株式市場から資金を引き上げている。

このままではアベノミクス「経済の好循環」である看板、日本株の相場が崩壊する

タブーを破っても、国民の老後を危険にさらしても、年金まで株につぎ込んで相場を支えなければならなくなった

日本のメディアはそんなことも伝えず、株が下がったことをBREXIT(英国のEU脱退)など、ほとんど『海外事情』のせいばかりにして、アベノミクスなについては公平な評価をしようという姿勢すら持とうとはしていません。
『アベノミクスの失敗』もまた、日本の報道機関が『触れてはならない問題』なのでしょうか?

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【 一瞬の自然現象をとらえる!世界空と夜の写真コンテスト 】《2》

アメリカNBCニュース 6月14日

sky05
「古代遺跡と現代の空」
アミレーザ・ハマル、イラン。(写真上)

「融合する自然の象徴的シーン」
ボリス・ドミトリエフ、ロシア。(写真下・以下同じ)
sky06
カナダ、ニューファンドランド島で撮影された「ヴァイキング・ライト」。同じ場所にカメラを据えて、様々な露出時間で撮影した複数の写真を重ね合わせた作品。アダム・ウッドワース、米国。
sky07
http://www.nbcnews.com/science/science-news/it-wasn-t-fluke-scientists-see-black-holes-collide-again-n593156

【 問われるべきは安倍首相の経済の実績「そんなものはあったのか?」 】《後篇》

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日本経済を根底から支えるべき民間需要は、弱いまま日本は再びデフレ状態に転落した
安倍政権が打ち出した『第4次産業革命』などは曖昧過ぎる目標、徹底的に批判されてしかるべき
日本経済の復活に必要なのは本格的構造改革、なのに電力自由化も農協改革もすべてが中途半端

 

タイムキーパー / エコノミスト 6月4日

安倍首相04
5月31日、自民党に比べると弱小な勢力しか持たない民主党と共産党は、公約していた消費税延期の原因を作ったものが経済政策としての『アベノミクス』の失敗だとして政府不信任動議案を国会に提出しました。
しかし衆参両院の過半数を制している自民党公明党は、直ちにこれを否決しました。

2013年に日本銀行が始めた大規模量的緩和策は、円安を実現し、企業収益を改善し、株価を押し上げました。
しかし日本銀行が今年1月マイナス金利を導入したにもかかわらず、円高の進行とともに株式市場は再び大きく値を下げることになったのです。
そして直近の日本銀行による景況調査の結果は、これまでの3年間と比較すると、各企業の景気見通しが悪化していることを示しています。
緩やかではありますが、日本は再びデフレ局面に落ちこんでしまいました。

日本経済四半期
日本経済は再び不況局面に転落したのではないかと言う懸念は、2016年第一四半期のGDPが年率1.7%拡大したというニュースによって幾分和らげられました。
しかしその背景には閏年により1日分の生産量が上乗せされたという理由もあります。
日本経済を根底から支えるべき民間需要は、弱いままです。

こうした日本経済の思わしくない傾向を覆すためには、日本は経済成長の妨げとなっている規制の網を取り払う、本格的な構造改革を実現させる必要があります。
安倍政権が4月に提唱した『新たな成長戦略』では明らかに役不足です。

消費マインドを元に戻し、ロボットやIT技術を駆使してあらゆる産業で生産性を高め『第4次産業革命』を達成するなどというのは実に曖昧な目標であり、徹底的に批判されてしかるべきものでした。

経済低迷03
日本経済の復活のために本当に必要とされる改革、たとえば上辺ばかりきれいごとを並べながら、農業用品を高値で売りつけるなどし、本来農民が受け取るべき利益をごっそりとさらっていく日本の巨大組織 – 農協の解体などはほとんど手つかずのままです。
4月1日に始まったばかりの電気市場の自由化の分野においても、構造改革に対する抵抗は日に日に強まり続けています。

シンクタンクの日本再建イニシアティブ理事長を務める船橋洋一氏は、自民党を支配する既得権勢力の強力な抵抗を前に、必要とされる構造改革はまるで神経痛で痛む足を引きずるようにゆっくりとしか進まないと語りました。

その一方、消費税増税を棚上げすることによって日本の財務省は、現在も膨張をつづけ、今やGDPの240%を超えて他のどの豊かな先進諸国よりも巨大になっている公的負債について、これ以上の増大を抑えることが出来るという事を世界市場に認めさせることは不可能になりました。

日本人口問題
安倍首相は、2020会計年度までに主要な財政赤字を削減する長期計画を実現させると誓いました。
しかし経済学者は、本当に実現できるのかどうかを疑っています。

しかし事実はそうであっても、投票まで2カ月を切った参議院議員選挙では今のところ自民党が勝利するだろうと見られています。

そして安倍首相の最終政治目標、衆参両院の3分の2の議席を確保し、日本国憲法の改定を実現すること、それはどうなるかはわかりません。
しかし自民党が単独で議席の過半数を制することは十分にあり得ます。
そうすればいくつかの政策では自民党よりも穏健な立場をとる連立与党の公明党の了承を取り付けなくとも、自民党単独で物事を決めることが出来るようになります。

強行採決
1989年以降、自民党は単独で衆参両院の過半数を制することはありませんでした。
日本の有権者は安部首相のすべての経済政策に対して疑いを抱いてはいるものの、反対する野党が安倍首相以上の手腕を発揮できるとも考えていないように見えます。

〈 完 〉
http://www.economist.com/news/asia/21699938-doubts-about-prime-ministers-economic-record-are-growing-postpone-and-be-damned?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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【 一瞬の自然現象をとらえる!世界空と夜の写真コンテスト 】《1》

アメリカNBCニュース 6月14日

sky01
第7回国際地球と空写真コンテストでは、夜空と下界の普段見ることが出来ない世界を体験できます。
このコンテストは世界中の誰でも、どんな年齢の人でも参加することが出来ます。
作品は天文学者、プロのカメラマン、そして報道カメラマンのからなる9人の審査員によって順位が蹴ってしました。

ノルウェー、ローフォテン諸島の山頂から撮影した『ローフォテンのオーロラ』。
今回のコンテストの最優秀賞、アレックス・コヌ撮影。(写真上)

「夜空の美しさ」部門第一位の『オーロラの軌跡』
中国のステファニー・イエ、ノルウェー北部で撮影。(写真下・以下同じ)
sky02
イタリア、カルロ・ザナンドレア撮影『金だけが輝いている訳ではない』
イタリア北東部のトケビーゾ上空に輝くオリオン座。
sky03
オーストリアのニコラス・レーンメルト撮影『カメラマン』。
アイスランド、ストッキネスで撮影。
「私のカメラマン仲間はこの夜、風速25メートルの強風が吹く砂丘の上でたちまち凍えきってしまいました。その夜海岸線に沿って吹きつけたブリザードの威力は相当なものでしたが、彼を吹き飛ばすことはできませんでした。数分間だけ風が止んだ時、私たちはアイスランドのクリファツィンドールの背景に広がる素晴らしいオーロラを目撃することになったのです。」
sky04
http://www.nbcnews.com/slideshow/world-night-winners-show-sky-s-fragile-wonders-n592046

【 問われるべきは安倍首相の経済の実績「そんなものはあったのか?」 】《前篇》

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広島を訪問したオバマ大統領にぴったりと貼りつき、政権支持率の『支え』として利用した安部首相
最初の消費税引き上げ延期での解散総選挙も、今回の延期での同日選の回避も、すべては安倍首相の『自己都合』
『安倍首相の経済政策は、道を誤っている』という国民の印象を強くした、消費税引き上げの再延期

タイムキーパー / エコノミスト 6月4日

安倍首相04
あらゆる側面を考慮に入れた場合、5月は日本の安倍首相にとっては良い月になりました。
安倍首相は5月中旬、世界の中の富裕国のクラブ - G7サミットを三重県伊勢市で開催し仲間のリーダー達を手厚く接待しました。
これはうまくいきました。
安倍首相は1,300年前に建立された神社で彼らを出迎えました。

そのサミットの直後、バラク・オバマは広島を訪問した初のアメリカの現職の大統領になりました。
広島は1945年8月6日、アメリカが投下した原子爆弾により灰塵に帰しました。

あらゆる年代と階層の日本人がその場でオバマ大統領が行なったスピーチと、そして被爆者を抱擁するシーンに感銘を受けました。
安部首相はその場にぴったりと貼りつき、オバマ大統領が放つ政治的オーラの余禄を自分のものにしていました。

オバマin広島
おかげで安倍首相は6月1日、消費税率の8%から10%への引き上げを2017年4月から2019年10月まで延期するという発表に伴うはずの様々な責任を曖昧にしてしまうことに成功したのです。

安部首相がこうして自分は傷つかないように責任の回避をするのは2度目のことです。
最初は2014年11月でした。
安部首相の顧問たちは出来れば消費税の引き上げは回避できれば良いと考えていますが、2018年9月に自民党総裁としての任期が終了することを見越し、その後に消費税を引き上げるということで今回決着したものと思われます。

経済学的に言えば、消費税の引き上げの延期は慎重な判断であるようにも見えます。
日本の経済は不調に喘いでいます。

関係者の多くが2度目の消費税引き上げによって、日本経済が『腰折れ』してしまう事を懸念していました。
安部首相が2014年4月、消費税率を5%から8%まで率を上げたとき、日本経済は不況局面へと落ち込みました。

SEALDs 6
しかし今回の延期は、政治的には危険をともなうものです。
安部首相は消費税の引き上げを『必ず』実行すると約束していました。
未曽有の自然災害、あるいはリーマンショック規模の世界的規模の金融恐慌が発生しない限り、消費税の引き上げが延期されることは無いと語っていたのは、つい最近のことでした。

しかし未曽有の自然災害も世界的規模の金融恐慌も起きてはいません。
安部首相は伊勢志摩サミットで、居並ぶ先進国首脳に現在の経済状況がリーマンショック規模に等しい程危機的状況にあるという合意形成を図り、消費税の引き上げ延期を正当化しようと図りました。
しかし誰一人賛同した首脳はいなかったのです。

安全保障法案04
第一回目の消費税引き上げの延期を決定した時、安倍首相は『国民に信を問う』として衆議院を解散し、総選挙に打って出ましたが、形を変えた世論調査を要求したかにも見えました。
今年7月10日には日本の上院にあたる議席の半数の改選が行なわれる参議院選挙が予定されていますが、2度目の消費税引き上げの延期の決定に合わせ、再び衆議院が解散総選挙が行なわれる可能性がありました。
その『衆参同日選挙』の可能性は、日本国内では数週週間に渡り熱っぽく語られてきました、

しかし結局、伊勢志摩サミットの開催とオバマ大統領の広島訪問の実現により内閣支持率が50%を超えたにもかかわらず、安倍首相は衆議院の解散を見送ることにしました。
衆議院の全475議席中、与党自民党と連立する公明党は併せて326議席を占め、すでに3分の2以上を確保しています。
自民党の選挙担当部門は、もしすべてがうまくいかなかった場合は衆議院における有利な状況を失う危険性があると判断したのです。

経済低迷
もちろん消費税の引き上げは国民に人気のある政策ではありません、しかしそれを実行しない政治指導者は公約を反古にしたことになります。

消費税引き上げの延期は、『安倍首相の経済政策は、道を誤っている』という国民の印象を強いものにしました。

〈 後篇に続く 〉
http://www.economist.com/news/asia/21699938-doubts-about-prime-ministers-economic-record-are-growing-postpone-and-be-damned?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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【 アイウィットネス 】

ガーディアン 6月11日

Eye 1
エリザベス女王の90回目の誕生日を祝う近衛騎兵軍旗分列行進式の式典の最中、気絶してしまった一人の兵士。(写真上)

インドネシア、パレンバンの全寮制学校の壁。コーランが刻まれた木製パネルでできています。(写真下・以下同じ)
Eye 2
インド、ムンバイの市場で売るため、分解される大量の自動車の部品、ファン、フィルタや燃料ポンプなど。
Eye 3
インド、アッサム地方最大の都市ゴウハティのごみ捨て場、再利用できるものを探す人々と大アフリカ・ハゲコウ(コウノトリ科)
Eye 4
https://www.theguardian.com/world/series/eyewitness

【 原子力発電のさらなる削減へ – エネルギー計画の見直しを迫る日本国民の反対運動 】

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幅広い分野の日本国民の反対運動の前に、実現が難しくなった安倍政権のエネルギー基本政策
厳格になった法的規制、原子炉の老朽化という問題と向き合わなければならない原子力産業界

ロイター 5月27日

4号機原子炉建屋内
来年早々にも日本は原発への依存を大幅に減らす内容の新たなエネルギー計画を発表することになるだろう、日本政府の政策に通暁する関係者3者がロイターの取材にこう答えました。
ひとつには原子力発電に対する国民の反発が大きいままであること、そしてもうひとつは安倍政権が採択した現在のエネルギー計画が実現不可能であることによるものです。

2011年の福島第一原発の事故発生以降、日本国内ではほとんどの原子炉が稼働を停止しており、これを受け日本は再生可能エネルギーへの依存を高めると見られていますが、同時に価格の安い火力発電への依存も高めることにもなるでしょう。

日本国民は原子力発電の継続に強く反対していますが、原子力産業界と結びつきの強い経済産業省などは2015年に最終的にまとめ上げたエネルギー計画において、国内の全発電量の5分の1を原子力発電によって賄うとし、様々な分野から批判を浴びる結果となりました。

no more 05
日本国内では42基の原子炉が稼働可能ですが、すべて安全点検のため停止した後、現在わずか2基だけが稼働しています。
原子力産業界は現在福島第一原発の事故を受け、より厳格になった法的規制をクリアすることに加え、原子炉の老朽化という問題とも向き合わなければなりません。

関連する政府部門では現在、先に安倍政権が打ちだした2030年時点での原子力発電の割合は20%~22%とする目標を下回る10%~-15%という数値が議題になっていると、情報源の内の1者が語りました。

原子力発電への依存を下げれば、その分再生可能エネルギーへの依存を上げることになると語るのは、日本の再生可能エネルギー研究所の所長を務めるスウェーデンのチャルマース工科大学のエネルギー・環境問題を専攻するトマス・カベルガー教授がこう語りました。
カベルガー教授は度々日本を訪れています。
カベルガー教授は5月前半日本滞在中、ロイターの取材に次のように答えました。
「日本国内では原子力発電への制約が今後一層厳しくなるというのが考えられる現実的なシナリオであり、次のエネルギー計画においては再生可能エネルギーへの依存がかなり大きなものになるという事は、私にとっては、特に驚くべき事ではありません。

福井地裁判決
原子力発電を見直す厳しい視点は、原子力発電所1か所の停止を命じる裁判所の判断を引き出しました。

一方でスウェーデンの国営企業であるファッテンフォール社の役員も勤めるカベルガー教授は、技術開発が進み着々と他の発電手段に対する競争力をつけている再生可能エネルギー、そして長期間停止を続けてきた老朽化した原子炉を再稼働させることの難しさという事も、検討の対象になっていると語りました。

2011年に襲った巨大地震と巨大津波が福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンする事故の引き金を引く以前、日本は国内の電気需要の30%を原子力発電によって賄い、計画ではその割合を50%にまで引き上げることになっていました。

日本のエネルギー政策の策定に関わっている経済産業省の当局者のひとりは、次のエネルギー基本計画のスケジュールの作成のタイミングも、その中身がどういった傾向のものになるのか、まだ何も決まってはいないと語りました。
さらに経済産業省として原子力発電への依存率を下げることを検討しているのかという質問に対しては、現在のエネルギー基本計画の下で政策を進めるというスタンスに変更は無いと返答しました。

川内原発再稼働
▽ 増え続ける石炭使用量

原子力発電への依存割合を減らせば、当面は何かと問題視されている石炭火力発電への依存割合を高めることになりそうです。これからの数年間、二酸化炭素の排出量が最も多い火力発電所が、新たに40カ所で操業を開始することになっており、日本の二酸化炭素の排出量削減目標は危機的状況にあります。

こうした状況は液化天然ガス(LNG)に対する依存を一層大きなものにする可能性もあります。
日本はもともと世界最大の液化天然ガス(LNG)輸入国です。
LNGの使用量は福島第一原発の事故の影響を受け急増しました。
LNGは石炭に比べ効果ですが、ここしばらくは生活必需品の中では価格が低迷しています。

日本国内では原子力発電の継続に反対する国民が、いまやどの世論調査においても常に半数を超えているにもかかわらず、福島第一原発の事故発生から2年後の8月中旬、まず2基の原子炉を再稼働させ、以後少しずつ原子力発電の復活への道が広げられてきました。

アルジャジーラ抗議集会
原子力発電の目標値を下げることについては、それがどんなに小さなものであっても、政治的経済的に大きな力を持っている電力業界の抵抗に遭うでしょう。
しかし昨年までにすでに6基の老朽化した原子炉を含め、数か所の原子力発電所を廃炉にする計画が具体化しています。

昨年ロイターは、現在停止している日本国内の原子炉のうち、7基だけが今後数年のうちに再稼働することになるだろうと、独自の分析結果を公表しました。

http://uk.reuters.com/article/us-japan-nuclear-idUKKCN0YI06Z
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【6月7・8日の報道写真から】

アメリカNBCニュース 6月8日

week01
初めて外に出る準備をする5月11日に生まれたばかりのオランウータンの赤ちゃん。オランダ、レーネン、アウエハンツ動物園。(写真上)

シリア北部のアレッポ郊外で、政府軍機と見られる空爆により、がれきと化した建物の中で座り込む男性。(写真下・以下同じ)
week02
スペイン北部パンプローナの熱い一日、噴水の中でボールで遊ぶ少年。
week03
生後3週間のユーラシア鷲フクロウの赤ちゃん、ロシア、クラシノヤルスク市のロエフ・ルチェイ動物園。
week04
ラマダン月の初日、祈りを捧げる少年。インド、カシミール地方のスリナガルにある大モスク。
week05
http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-june-7-n587566

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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