ホーム » エッセイ » 「医療は限界!」「オリンピックは中止を!中止!」6割〜7割の日本人が中止を望む
「大会開催は『人々を非常な不安に陥れる!』開催そのものについて話し合うべき時が来ている!」
感染者が急増の大阪、病院のベッドは満床、新型コロナウイルスと診断された13,000人以上が自宅待機を求められている
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2021年5月10日
東京オリンピックへの準備作業は開催まであと3ヶ月という段階で、日本の60%近くの国民が中止を望んでいることが世論調査で明らかにされ、さらなる障害が立ちふさがることになりました。
国内では東京を始め複数の府県で非常事態宣言が5月末まで延長されることになりました。
背景には、新型のより伝染性の強い変異ウィルスによって引き起こされた新型コロナウイルス感染者の急増を抑えきることができず、医療関係者が日本の医療が一部の地域において崩壊寸前の危機にあることを警告していることがあります。
新型コロナウイルスの世界的感染拡大により1年延期された東京2020オリンピックは7月23日に開幕する予定で、国際オリンピック委員会(IOC)と日本の大会組織委員会は、アスリートやその他の来会者、そしてナーヴァス担っている日本国民の安全を確保するため万全の措置を講じると主張しています。
政府寄りの論調を展開する読売新聞が5月7日から9日にかけて行った調査では、大会の中止を望む人は59%で、開催すべきだと答えたのは39%でした。
IOCによって除外された「延期」は選択肢には含まれていませんでした。
大会準備にを進めるべきだとかいうした人のうち、23%が観客なしで開催すべきだと答えました。
外国人の観客は禁止されていますが、日本人の観客に関する最終決定は6月に行われます。
TBSが5月初旬に実施した別の世論調査では、65%が大会の中止または延期を望んでいました。
37%が大会の完全な中止に投票し、28%が再度の延期を求めています。
共同通信が4月に行った同様の世論調査では、70%がオリンピックの中止または延期を望んでいることが明らかにされました。
開催に反対する人々は開催するかどうかの最終決定は開会式の約70日前にははっきりさせる必要があるとしており、IOCと日本政府は最終的を行なうべき責任者について、互いにさまざまなメッセージを送っているように見えます。
IOCのジョン・コーツ副会長は5月8日、大会に関する日本の感情は「懸念されるものがある」が、最大規模のスポーツイベントを中止するというシナリオは考慮に入っていないと語りました。
「日本の首相は2、3週間前、米国大統領に同じ趣旨の発言を行いました。IOCにも同じ内容を伝え続けています。」
コーツ氏はこう語りました。
しかし10日、日本の菅義偉首相は自らの政権は国民の生命と健康より大会開催を優先してはいないと主張し、最終決定権を持つのはIOCになるだろうと述べました。
国会の委員会で新型コロナウイルス感染者が急増してもオリンピックの開催準備を進めるのかどうかを尋ねられた菅首相は、「オリンピックを最優先したことは一度もない」と答えました。
菅首相は次のように付け加えました。
「私の優先課題は日本国民の生命と健康を守ることです。まず第一に、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ必要があります。」
しかし菅首相はCovid-19の症例が急拡大していたにもかかわらず、飽くまでオリンピックの開催準備を進めることを繰り返し主張していました。
TBSの調査では、菅内閣の支持率は40%であり、今年初めに記録された最低値に近いことがわかりました。
フジ・ニュースネットワークは9日月曜日、5月に来日を予定していたIOCのトーマス・バッハ会長が6月に来日する予定であると報じました
日本のメディアはバッハ会長が5月17日に広島で開催される聖火リレーイベントに参加すると報じていましたが、東京2020組織委員会はそうした訪問予定は確認したことがないと述べました。
フジテレビはバッハ会長の訪問の前提条件は、日本の非常事態宣言が解除されることだと伝えました。
今夏に開催される大会に公然と反対する有名アスリートはいませんが、日本のテニススターである大坂なおみ選手は、パンデミックの真っ只中にイベントを開催することのメリットについて話し合うべき時が来たと語りました。
世界ランキング第2位の彼女は、大会を開催することが「人々を非常に不安に陥れる」ことである以上、開催そのものについて話し合うべきだと述べました。
「もちろん、オリンピックが開催され自分も参加したいのは山々ですが、現在非常に深刻な問題が進行中であり、特に昨年は非常に重要な問題が起きたと考えています。」
大坂なおみ選手はイタリアオープンに先立って記者会見でこのように語りました。
「多くの予期せぬことが起こりました。私としては、この問題が人々を危険にさらしているのではないかと考えています…だとしたら間違いなく議論すべきです。それは今すべきことだと思います。結局のところ私はただのアスリートであり、パンデミックは世界規模で起きている問題であり、なおさらそう考えています。」
感染拡大は聖火リレーと予選競技会にも混乱をもたらしました。
先週カナダの体操協会は、新型コロナウイルスへのの懸念を理由に、6月にリオデジャネイロで開催されるラストチャンスのオリンピック予選にチームを派遣しないことを決定しました。
これにより男子体操競技、女子体操競技、新体操の選手が東京2020には事実上参加しないことを決定したと発表しました。
日本は60万件以上の新型コロナウイルス感染症例と10,500人以上の死亡を記録しており、東アジア地区で最も多い数字を記録しています。
8日には、1日で7,000件を超える感染が報告され、これは1月以来の最悪となりました。
さらに、新たに新型コロナウイルスに感染していると診断された人々のための病床を確保するのが困難になってきましたが、2月に開始されて以来、日本の1億2,600万人の人口のうち、少なくとも1回のワクチン接種を受けたのは2パーセント以下にとどまっています。
東京都立川市の病院は、医療能力が限界に達したことを警告する横断幕を掲げています。
「私たちも休憩が必要です!オリンピックは不可能です!」
厚生労働省のデータでは感染者が急増している大阪府では病院のベッドが満床になっているため、新型コロナウイルスと診断された13,000人以上が自宅待機を求められています。
+ - + - + - + - + - + - + - +
ここ、そして前回の記事に掲載されている新型コロナウイルス患者の治療にあたっておられる医療従事者の写真の数々。
これらはGoogleの画像検索『exhausted medical worker』の表示結果から得られたものです。
こうした人々に対し
『東京オリンピック開催期間中、500人の看護師をホランティアとして差出せ』
と本当に要求したのだとすれば、私たちは
『お前、正気か?!』
と問いたださなければなりません。
なぜなら私たちは、人々の命を救うために疲弊の極に達している医療関係者の方々に、大規模イベントで「ボランティアとして働け」と言うほど狂ってはいないからです。