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【 特定秘密保護法 – 見えてきたその真の姿 】《後編》ALJ

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所要時間 約 7分

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特定秘密保護法に賛成した日本の議員たちは、この世に市民の知る権利など存在しないかのようにふるまった
特定秘密保護法が存在しない時点ですら、日本では政府の活動実態が国民の目から隠されている

 

アルジャジーラ 7月22日

ヒットラー安倍
それでもやっと一人のジャーナリストが特定秘密保護法について、森大臣に質問をぶつける事が出来ましたが、同大臣は一般国民の権利や利益が侵害される様な特別の条項はこの法律には含まれていないと弁護を繰り返すだけでした。

森大臣は、ジャーナリストと一般市民の知る権利が侵害される事の無いよう、条文はきちんと制定されていると強く主張しました。
さらに内部告発者も日本の国内法によって完全に保護されているとも語りました。

森大臣が認めた唯一の問題は、特定秘密保護法の適切妥当な内容について、一般国民に周知させる努力が欠けていたかもしれないというものでした。
「日本の特定秘密保護法は各国の同様の法律を参考に。条文が作られました。」
森大臣がこう語りました。

▽ 民主主義国家に当然の、第三者による運用監視など制度的に存在しない

しかしこのような主張は日本政府だけのものです。
独立した立場の監視団体などは日本政府の主張と真っ向から対立しています。

集団的自衛権01
国家安全保障と市民の知る権利に関する原理原則に関する国際会議(Tshwane Principles - http://www.opensocietyfoundations.org/publications/global-principles-national-security-and-freedom-information-tshwane-principles )は、世界70カ国以上の国々から500人以上の専門家が参加し、世界各国で14の部会を形成して様々な活動を行っていますが、2013年夏、各国政府に対し情報の自由な流通と保護を要請しました。

レペタ教授が例を挙げて説明してくれました。
「私が日本の特定秘密保護法について最も不満を持っている点は、その議員運営手続きであり、この法案に賛成した議員たちは、世界にそのような世論がある事を全く無視していました。市民の知る権利に関する原理原則など、この世に存在しないかのようにふるまったのです。」

政府関係の機密事項とその解除手順の世界最高の専門家のそとりであり、米国国務省の政策立案責任者であったモートン・ハルパリン氏も、日本の特定秘密保護法が世界の先進国では当然の国民の知る権利を無視し、その成立過程が民主主義国家では普段見られないようなやり方で会ったというレペタ教授の見解を支持しました。


ハルパリン氏も日本の特定秘密保護法について数々の問題点を指摘しましたが、中でも以下の3点について本当の意味での第三者による監視システムが存在しない事は、深刻な欠陥であるとしています。

◇ 何を特定秘密保護法秘密に指定し、どうやってそれを解除するかという運用手順
◇ 政府の権益を守るため不当に市民の権利が侵されていないか、検証する事
◇ その文書等がなぜ特定秘密として扱う必要があるのか、政府側が国民に説明する義務

安倍政権は新しい秘密保護法についての懸念が大袈裟過ぎると、繰り返し主張してきました。
そして特定秘密保護法が適用されるのは極めて限られた事例であり、適用される際には政府に一定の制約が課されると主張しています。

しかし問題は安倍政権が主張する手続きについて、特定秘密保護法にはそのような条文は全く含まれていないという点なのです。
百歩譲って安倍政権がその主張に沿った方の運用を行うとしても、法律の中にその制限が明記されていない以上、将来的に政府が国民に対し民主主義国家として考えられないような強権をふるう可能性は充分にあるのです。

 特定秘密 1
特定秘密保護法が存在しない現在ですら、政府の実際の活動内容が国民の目から隠される傾向が強く見られるのが日本という国です。
日本のメディアに関する世界各国のほとんどあらゆる主要な研究論文が、次のように結論づけています。

日本の大手メディアの多くが、政治問題についてはあえて調査報道をおこなわず、日本政府や各省庁の広報部門から渡された情報をそのまま右から左に一般市民に伝えているだけだと。

こうした日本の現実をふまえ、アメリカ国務省の元高官のモートン・ハルパリン氏が次のように指摘しました。
「日本ほど秘密保護のための法律が不要な国を、世界で他に探すのは極めて難しいと言わなければなりません。」
レペタ教授が例を挙げて説明してくれました。
「私が日本の特定秘密保護法について最も不満を持っている点は、その議員運営手続きであり、この法案に賛成した議員たちは、世界にそのような世論がある事を全く無視していました。市民の知る権利に関する原理原則など、この世に存在しないかのようにふるまったのです。」

〈 完 〉

http://www.aljazeera.com/indepth/features/2014/07/japan-secrecy-law-seen-as-draconian-201472210149734178.html
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【星の金貨】は海外の報道記事を私的に翻訳してご紹介しているだけのものですが、期せずして記事の配列がうまく行ったなと思う時があります。
今回もエコノミストの朝日新聞バッシングの記事の後、このアルジャジーラの記事をご紹介した事で、今日本の政治の水面下で何が進行しているか、それを世界の報道機関がどう見ているか、よくお解りいただけたのではないでしょうか?

明日30日(火)は掲載をお休み致します。

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【 突然の火山噴火と人々の避難 】

アメリカNBCニュース 9月27日
(掲載されている写真をクリックして大きな画像をご覧ください)

御岳山01
2014年9月27日日本の中部地方で雷のような爆音を轟かせて、御岳山が噴火しました。
真っ白な巨大な煙を空高く吹き上げ、辺り一面を灰で埋め尽くしてしまいました。
登山などのため入山していた約250人が何時間もの間その場であご家亡くなり、そのうち多くの人々が山内に点在する山小屋に避難しました。

御岳山02
御岳山03

【 特定秘密保護法 – 見えてきたその真の姿 】《前編》ALJ

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所要時間 約 7分

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治安維持法並みの過酷な取り締まりを可能にする?政府にのみ圧倒的権限を与える危険性
政府側のあらゆる権限を正当化、どんな制約も課すことなく、ジャーナリストには厳罰を
特定秘密保護法はフリーの調査ジャーナリストを、ことのほか危険な立場に追い込む

 

アルジャジーラ 7月22日

ヒットラー安倍
日本国内のメディアは 『安倍カラー』という言葉を使います。
この言葉は安倍首相の私的見解を反映する、今の日本政府の数々の政策を指す言葉です。
さらにはそのタカ派的な防衛政策にも通じています。
国内の評論家などは2013年12月に国会で可決成立した特定秘密保護法などはまさにその『安倍カラー』を象徴するものだと語っています

法の施行にあたっては適切な予防手段と第三者による監視機関が設置されることになっていますが、それであっても特定秘密保護法は民主主義社会に適合するものではないとの根強い批判があります。

特定秘密保護法に対し最も批判的立場を取る団体のひとつが日本弁護士連合会であり、政府に対し根本的に考え直すよう申し入れを行いました。
東京第一弁護士会会長の江藤洋一氏がアルジャジーラの取材に次のように答えました。
「この法律は、新たな権力を官僚へ付与するだけのものです。この法律は政府官僚が行うあらゆる行為を正当化してしまいます。しかも政府が行う行為に対しては、どんな制約も課してはいないのです。」
「この法律には適用限度というものがありません。その点が最大の問題なのです。」

特定秘密 1
特定秘密保護法への批判を代表するものの一つに、その表現の曖昧さがあります。
許されるべき行為と許されない行為との線引きがあいまいで、明快な判断ができないのです。
「何が違法な行為なのか規定する内容が明快では無い法律が現実のものなってしまえば、政府の権力がどれ程拡大・拡張されるか、見当もつかないことになってしまいます。」
明治大学法学部のローレンス・レペタ教授がこう指摘しました。
「このままでは政府がこの法律をどのように運用しようとしているのか、国民は理解することができません。どの範囲でどの程度まで、どういった種類の情報が特定秘密にあたるのか、国民は判断することができません。」

レペタ教授はさらに、この法律が特定秘密に指定される際、本当に国家安全保障上秘密にする必要があるのかどうか、あるいは公表されることが国民全体の利益に反することになるのか、適切で妥当な判断が行われているかどうか、確認しようがない点、問題だと指摘しました。
新たな法律はいったん特定秘密に指定された内容を何人であれ、そしていかなる理由があっても公表すれば、最高で懲役10年の刑を科される犯罪を犯したということになるのです。

特定秘密03
新しい日本の特定秘密保護法は主なターゲットをジャーナリストとしています。
法の条文の中には「通常の」取材であれば許されると保証する一方で、「不当な手段」により『特定秘密』を入手した場合には、最高5年の懲役を科される可能性があります。

では「不当な手段」による取材とは、正確にはどのような行為を指すのでしょうか?

法の条文はこの点を明らかにしていません。
個々のケースにおいて、政府と警察が特定秘密保護法の適用対象となるかどうかを判断することになることを示唆しています。

▽ 危険にさらされるジャーナリスト

この法律が施行されれば、フリーの調査ジャーナリストはことのほか危険な立場に追い込まれることになります。
機密漏えいが発覚した場合などには、政府はフリーのジャーナリストに対し、ニュースメディアの一員であるという事すら認めない可能性があります。

秘密保護法03
『国境なき記者団』が2014年5月の世界報道自由デーに向けて発表した「世界の情報ヒーロー100人」に、日本人としてただ一人選ばれた寺沢有(てらさわゆう)氏がこの法律の主な目的は政府にとって都合の悪い情報を、市民の目から隠すことにあると考えられると語りました。
「現在の政権は異常な程数多く、隠さなければならない情報を持っていると思われます。」
「そこには福島第一原子力発電所の事故に関わる数々の問題、そして中国、ロシアあるいは北朝鮮との間の外交紛争などが含まれることになるでしょう。」

寺沢氏は43人のフリージャーナリストと著述家とともに、この特定秘密保護法に対する訴訟を起こしました。
この訴訟に原告の一人として加わった畠山理仁(はたけやまみちよし)氏が次のように語りました。
「特定秘密とは何でしょうか?特定秘密とそれに該当しない情報との境界線は、一切明らかになっていません。もし誰かが逮捕された場合、逮捕理由を尋ねてもそれは特定秘密に当たるとして返答を拒否される可能性すらあるのです。」

こうした側面があるために、昨年12月に特定秘密保護法案が国会を通過して以降、安倍政権はこの問題に触れることを極端といってよい程避けてきました。
この法案の通過を担当したのは、2014年9月の内閣改造で退任しましたが、安倍内閣で最も議員歴の短い森昌子少子化担当大臣でした。
その正式名称は内閣府特命担当大臣(少子化対策・消費者及び食品安全・男女共同参画)・特定秘密保護法案担当でした。

秘密保護法01
特定秘密保護法に関する政府の見解を明らかにするためのアルジャジーラの度重なる取材要請を、森大臣は繰り返し拒否しました。
そして7月、森大臣は外国特派員記者クラブでの会見において、男女平等の問題にのみ専念したいのだと語ったのです。

〈 後篇に続く 〉

http://www.aljazeera.com/indepth/features/2014/07/japan-secrecy-law-seen-as-draconian-201472210149734178.html
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特定秘密保護法の『隠された恐ろしさ』についてはねそれこそ朝日バッシングに懸命になっている大手メディアなどはそれを伝える事はありません。
私も海外メディアの記事を翻訳する都度、特定秘密保護法の恐ろしさがじわじわ身に沁みてくる思いをしています。

一般国民にとって本当に大切な問題のすり替えに気をつける必要があると思います。
日本の民主主義を壊すものは何なのか、そこを注視する必要があると思います。

【 朝日新聞問題をどう考えるべきか – あなたは『朝日』を叩き続けることを支持しますか? 】ECO

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所要時間 約 10分

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朝日への集中バッシングの裏側で進行する、日本の報道機関の国家宣伝機関への変貌
日本で続く朝日バッシング、『世界の良識』を代表するメディアはそこに何を読み取ったか?

エコノミスト 9月20日

従軍慰安婦01
場所によってはジャーナリズムの定義は、3度の誤りを徹底的に攻撃することによりその声望を貶めることが可能だということになります。
日本を代表する発行部数730万部の左派系の朝日新聞は今、3度の誤報道によってすっかり評判を落としてしまった後の対応に追われています。

9月14日には、ホームページからの引用を任天堂の社長とのインタビューが実現していたかのように報道していたことが明るみに出ました。
しかし8月と9月には、さらにあさこ朝日のイメージを損ねる2つの誤報道が問題になりました。

ひとつは第二次世界大戦中に日本軍が女性に売春を強要したとされる、いわゆる『従軍慰安婦』の問題でした。
もうひとつは福島第一原子力発電所の大事故に関する報道です。

一連の問題が日本国内で大きく取り上げられたことにより、これまで良識を示す新聞として日本の代表紙のひとつとされてきた朝日新聞が、今後の取材・報道に制約が生じるのではないかという事が今、懸念されています。

日本の右派のメディアは今、朝日のつまずきを満足げに眺めやっています。
保守的な立場を取る一群の雑誌は、従軍慰安婦問題に関して何ヶ月もの間朝日を徹底的に攻撃し続けました。
事の発端は1980年代にさかのぼります。
朝日新聞は元大日本帝国陸軍兵士の吉田清治氏の証言に基づく記事を12回以上に渡り掲載しました。
その証言は1943-44年、韓国の農村部で従軍慰安婦とするための女性をどのようにして集めたかというものでした。

吉田所長
早くから吉田氏の証言内容は問題視されていましたが、1997年に朝日新聞社は吉田氏の証言内容の裏付けを取ることが出来なかったと発表しました。
この時のことについて当時朝日新聞社の特派員だった水野孝昭氏が次のように語りました。
「これでは朝日新聞の読者に対し、充分な説明を尽くしたことにはならない」
その事を誰もが痛感していました。

この報道に関わった人々が去ってしまった後、朝日新聞社の上層部が報道の誤りを認めるまで実に長い時間がかかってしまいました。
9月11日、朝日新聞社の経営陣がテレビで謝罪会見を行いました。
編集責任者もその職を解かれました。

安倍晋三首相までもがこの問題に割って入りました
朝日新聞は従軍慰安婦問題に関し、誤った報道を行ったことを世界に向け説明する義務があると語ったのです。
安倍首相の自由民主党内の支持者たちも、従軍慰安婦問題の存在と日本の責任について認め、1993年に公表された政府声明『河野談話』を訂正するよう改めて求めています。
これまで各国が加わった調査により、問題の存在と帝国陸軍が強制的にこれを行ったとされる史実が確認されているにもかかわらず…

福島第一原子力発電所の事故に関する朝日新聞の誤報道には、微妙な差があるように感じられます。

110629
朝日新聞は5月、パニック状態に陥った福島第一原発の職員たちが命令を無視して持ち場を放棄し、勝手に避難を始めたと報道しました。
しかし今月明らかになった福島第一原発の吉田所長の証言に基づけば、職員たちの避難は混乱の中で生じた手違いのひとつということになります。
また朝日が実際にインタビューを行ったとした任天堂の問題では、同社の社長がウェブ上で公開したものを無断で引用したものでした。

かつての編集責任者は、朝日新聞がこの苦境から脱するために苦労することになるだろうと語りました。
さらなる望まない事態が到来する可能性があり、多くの読者が離れていく可能性もあります。
事実、ライバル紙の右派の読売新聞は今回の事態を絶好の機会ととらえています。
920万という世界最大の発行部数を誇る読売は朝日新聞の従軍慰安婦問題の誤報道の詳細を伝えるパンフレットを製作して朝日の読者に配布し、朝日から読売に購読を切り替えるための専用電話を開設しました。

今回の朝日の問題は、新聞に対する信頼が揺るがない世界でも残り少ない国のひとつで起きました。
日本人は地方自治体や、裁判所、あるいは警察などの発表よりも、新聞報道の方に信頼を置いています。

英国紙
インターネット時代の今日でさえ、主要新聞は毎朝読者の郵便受けに届けられています。
東京大学の林かおり氏は、一般市民は新聞が社会と国の忠実なしもべであると考えていると語りました。
しかしそうした事実は、メディアが権力の宣伝機関と化していくことを促進する作用を持っています。

そうした中、朝日新聞は権力からの独立を貫こうとしてきました。

長年に渡り朝日新聞は、他の新聞社よりも度々大きな政治疑惑の存在を伝えてきました。
権力機構に『協力的な』日本記者クラブのシステムに盲従することもありませんでした。
日本記者クラブは会員以外が各省庁やその職員に接触することを制限しています。
つい最近も昭和天皇実論が公開される際、その内容に国際的関心が高かったにも関わらず、宮内庁はウ同庁記者クラブに所属していない報道機関には写しを配布しませんでした。

朝日新聞の従軍慰安婦物語も福島第一原発の吉田所長の証言に関する記事も、この記者クラブの組織とは無関係でした。

朝日新聞の報道姿勢は今後、過度に慎重になる可能性があります。
実のところ日本では、スキャンダルは事件性そのものよりも、企業や企業関係者、あるいは政府関係者などの没落を企図している場合があります。

朝日新聞社が従軍慰安婦問題の報道について誤りを認めるまでこれ程長い時間がかかった主な理由は、それまで自力の取材による記事が朝日の評価と地位を築いてきたからでした。
つまるところ、報道機関のトップが役人と同じであって良いはずはないのです。

http://www.economist.com/news/asia/21618895-string-errors-damage-leading-paper-gotcha?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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翻訳の際、下調べをしていて最近気になるのは、日本語版ウィキペディアの記述内容の『右傾化』です。
右翼サイドは左翼サイドに比べ、なぜか潤沢な資金を持っているようです。戦前からそうでした。
ウィキペディアは自由に書き込みができますが、出典を明らかにするように求めています。
逆に言えば意に沿う資料だけを使って、意図的に情報を操作することも可能だということになります。
ライターを動員して、彼らにとってカギになる項目をどんどん書き換えていくことなど朝飯前の事なのだろうと思います。

最近の朝日のバッシングには、この際目障りなメディアを沈黙させてしまおうという『意図』を感じていました。
しかし日本国内は例によって強い者になびきたがる状態、そこで世界の良識を代表するメディアはこの問題をどう伝えているか調べてみることにしました。
お伝えするのがこの記事です。

エコノミストの論文は『世界標準の見解はこの辺りではないか?』という意味で、アメリカのネットワークによって度々引用されます。
エコノミスト特有の含みのあるこの文章を、あなたはどう読み解くでしょうか?

明日27日(土)は掲載をお休みいたします。

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【 地球温暖化に有効な対策を – 世界150カ国の都市でデモ行進 】

アメリカNBCニュース 9月22日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

climate01
国連の地球温暖化対策会議の開催を前に、21日世界150カ国の都市で有効な議論の実現を求めて市民によるデモ行進が行われました。
このデモは進行する地球温暖化に対処するため、政治と経済のあり方について根本的な対策を施すように求めています。
デモは各組合、活動家、政治家、そして科学者の共同作業により計画され、実現しました。。
ブラジル、リオデジャネイロのイパネマ海岸通りを歌いながら行進する人々。(写真上)
ブラジルのアマゾン川流域の熱帯雨林は、地球の酸素の20%を供給していますが、違法な森林伐採によりその存在が脅かされています。

9月21日、ロンドン。(写真下・以下同じ)
climate02
9月21日、ニューヨーク。
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9月21日、ベルリン。
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9月21日、ニューヨーク。
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9月21日、オーストラリア、シドニー。
climate06
9月21日、ロンドン。
climate07

【 日本の品位と評価を下げ続ける安倍政権 】《後篇》CNN

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所要時間 約 7分

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平和主義国家日本の業績には関心が無い安倍首相、悲願は大日本帝国の再建
1945年に終わったはずの戦争が、日本では21世紀に長い長い影を伸ばし続けていく
従軍慰安婦問題や戦争犯罪、戦争責任について客観的議論を行なえないように、攻撃を繰り返す

 

ジェフ・キングストン / アメリカCNNニュース 8月30日

憲法解釈変更 6戦前の軍国日本に対し、1945年以降アジア太平洋地区において平和と繁栄を築くために日本が達成した数々の成果を、日本人が誇りに思うことは認められて当然のことです。
しかし安倍首相はこうした成果には関心が無く、アジア全体に版図を拡大しようとした大日本帝国の20世紀の事績にのみ執着し、いやがうえにも世界の視線をそこに向かわせることになりました。

安倍首相は機会ある度、中国と韓国に対する対話の窓口は『常に開かれている』という言い方をします。

 

しかし歴史の不都合な部分を書き換えてしまおうとするその言動にアジア各国は不信感を募らせており、結局日本は北東アジア地区において孤立を余儀なくさせられています。

▽安倍首相の日本版文化大革命

ではなぜ安倍首相は、近隣諸国との緊張を高め結果的に日本を孤立させると解っていながら、こうした言動を繰り返すのでしょうか?

それは安倍氏には先見の明が無いという事だけにはとどまりません。
安倍首相は自らが『自虐史観』と呼ぶ戦後日本の常識を覆し、日本の国家としてのアイデンティティを再定義するための日本版文化大革命を戦っているのです。
彼は日本人の中に誇りと愛国心を育てたいと考えており、世界の視点から見れば歴史を歪曲することが彼にとっては歴史を正すことなのです。

Abeno01安倍首相は熱狂的な信者です。
彼の数々の言動は戦後日本社会の平和主義的秩序を破壊するという政治信条に立脚しており、その中に極東軍事裁判(東京裁判)も含めアメリカを含む連合国側の不当な押しつけによって設立した戦後の日本の価値観への戦いは決してあきらめないというメッセージなのです。

安倍首相は今年初め、過去にも言及した1993年の従軍慰安婦問題に関する河野談話、すなわち謝罪を日本政府として取り消そうと図りましたが、アメリカ側の圧力により断念せざるを得ませんでした。

アメリカ政府は極東アジアにおける最重要同盟国である日本と韓国を対話により和解させようと切望していますが、安倍首相が歴史を歪曲しようとする言動を繰り返したことにより韓国民の日本に対する不信感は強烈なものになっており、現実はきわめて厳しいものです。
オランダで開催された核軍縮サミットにおいては、安倍首相が河野談話の継続を約束することが、バラク・オバマ米国大統領、パク・クネ韓国大統領との3者会談の実現のための最低条件とされました。

▽ 冷たいままの日本に対する世論

日中戦争 1しかし安倍首相のわずかばかりの譲歩に対する韓国の評価は、極めて冷淡なものでした。
安倍首相は、日本が軍の性的奴隷とするため強制的に若い女性を挑発した従軍慰安婦問題について客観的検証を許さず、常に旧日本軍に有利な状況を作りだそうとする意見しか言わない人物として有名な存在です。

そして今回、河野談話を否定しないとの見解を明らかにした一ヵ月後に、戦争犯罪人に哀悼の意を表明する追悼文を起草したことが明らかにされたのです。

そして日本の国会内における安倍首相の支持者は、河野談話の再検証の作業を続行すると宣言することにより、同談話の正当性に一般国民が疑問を持つよう仕向けようとしています。

と同時に従軍慰安婦問題や戦争犯罪、戦争責任について客観的議論を行なえないよう、攻撃する姿勢を見せ始めました。
このような攻撃は安倍首相の反動的政治基盤の本質でもあります。

歴史の真実に対する攻撃的で一切の反省を見せない安倍首相の言動は、隣国をして日本に対し安心して交渉のテーブルに着くことを難しくさせています。
日本に向けられる視線は、このまま冷たいままなのでしょうか?

反安倍 29月に米国日本韓国による戦略的対話を前進させる事が出来るよう、パク・クネ大統領に対してはアメリカ側から歴史問題に触れないよう圧力がかけられています。

しかし11月に北京で開催予定のAPECサミットで、安倍首相が習近平中国国家主席との間で首脳会談を実現させることは、今回の追悼文の問題でより一層困難になったと考えるべきでしょう。
それはつまり1945年に終わったはずの戦争が、日本では21世紀に長い長い影を伸ばし続けていくことが確実になってしまったことを意味するのです。

※筆者について : ジェフ・キングストンは日本のテンプル大学のアジア研究部門の責任者です。
専門は同地域における国家間の対立・紛争です。
この記事において表される見解は、キングストン氏個人のものです。

 

〈 完 〉

http://edition.cnn.com/2014/08/29/opinion/japan-abe-war-criminals-kingston/index.html?hpt=ias_mid
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従軍慰安婦の問題について韓国の当事者の主張を否定するなら、日本側の当事者が証言に立つ必要があるでしょう。
韓国側の当事者がいわば『恥を忍んで』証言台に立っているのに、日本側の当事者、施設の運営者や慰安婦の募集や現地への送り込みを行った人間が証言台に立たないのはなぜでしょうか。

もう亡くなられましたが、戦時中中国で憲兵をされていた警察OBの近所の男性がある折、私にこう語られたことがありました。
「私たちが中国でやったことは、口が裂けても言えない…」

【 日本の品位と評価を下げ続ける安倍政権 】《前篇》CNN

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所要時間 約 8分

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世界の最先進国の首脳に、『公人』と『私人』の使い分けなど許されるはずがない
安倍首相の『戦犯への哀悼の意』を問題視していないのは日本だけ、世界では批判が沸騰している
安倍首相が世界の融和と安定に向け無分別な攻撃を行うたび、日本との間の距離を広げつつあるアメリカ政府内の知日派

 

ジェフ・キングストン / アメリカCNNニュース 8月30日

安倍02
▽世界中の日本研究専門家から巻き起こった批判

2014年8月スロベニアのリュブリャナで、日本を専門とする研究者たちの国際的学会が開催されました。
この会場で日本の安倍首相のある行為に対し、参加者が口々に厳しい批判を行いました。
この行為に驚いたと語る研究者は一人もいませんでしたが、この行為が日本に何らかのプラスになったと考えている人間に私はまだ会った事がありません。

それとは反対にある出席者が私にこうほのめかしました。
安倍首相は戦争犯罪人を追悼する式典に『個人としての』メッセージを送った事により、日本が戦争責任について未だに真剣に受け止めていない事を全世界に印象づけ、結果として中国・韓国に戦略的優位性を提供してしまった、と。
別の出席者は、もしドイツのアンゲラ・メルケル首相が『個人として』であっても、ナチス・ドイツの戦争犯罪人を追求したニュルンベルグ軍事裁判を否定する発言をすれば、彼女の政治生命は絶たれ、ドイツは厳しい批判にさらされ、ヨーロッパ社会で孤立してしまう事になると語りました。

世界の日本研究者たちの見解を総合すれば、安倍首相は今年4月和歌山県にある高野山で執り行われた慰霊祭に追悼文を送った事により、世界史に戦争犯罪について反省などしていない日本の悪名をくっきりと書き込んだ事になりました。

▽『祖国の礎(いしずえ)』

反韓国
高野山は仏教の真言宗の総本山で、ユネスコ世界遺産に指定されています。

式典は奥の院で毎年開催されています。この場所には靖国神社に祀られている14人のA級戦犯を含め、1,180人の戦争犯罪人の名前を刻んだ石碑があります。
この石碑は戦争犯罪人の名誉を回復し、「祖国の礎を築くために命を捧げた」事に敬意を飛揚するという明確な意図を持って20年前に作られました。
この石碑には連合軍による軍事裁判は勝者の正義以外の何物でもないとし、判決は不当なものであり、歴史上かつてなかった酷烈な処置であると批判する意味の文言が彫り込まれています。

安倍首相の追悼文は今年4月29日に開催された式典で読み上げられましたが、一般国民の前に明らかになったのは8月末の事でした。

菅義偉官房長官はこの追悼文は安倍首相が個人としての立場で送ったものであり、首相という立場で贈ったものではないと記者会見で語り、である以上政府としての見解を示すことはないとしました。

朝日新聞の報道によれば、安倍首相の追悼文は以下の通りです。
「自らの魂を賭して祖国の礎となられた昭和殉難者の御霊(みたま)に謹んで哀悼の誠を捧(ささ)げる」

第二次世界大戦03
日本の戦時中の行為を擁護する人間たちは、戦争犯罪人について『昭和殉難者』という表現を用いることを好みます。
昭和は西暦1926-89年の昭和天皇の在位期間の事です。

こうした論理の存在は1931年から1945年まで行われた大日本帝国の侵略戦争を美化する目的を持つ『聖地』靖国神社の敷地内にある、遊就館において実際に目にすることが出来ます。

この高野山で毎年行われている祭典に安倍首相が追悼文を送ったのは今回が初めてではありません。

昨年送った追悼文では、戦争によって死んだ人々の精神を恥じることなく公に出来る新たな日本を築きたいという旨の決意を表明していました。

しかしおそらくは、大多数の日本人は戦前戦中の日本を美化しようという安倍首相のこうした行為について、戸惑っているものと思われます。

 

▽日本に距離を置き始めた米政府内の知日派

安倍首相のスポークスマンは今回明らかになった追悼文も、今年2度にわたって行った靖国神社への供物の奉納も、いずれも個人の立場で行ったものであると語っています。

明らかに安倍首相は自分の都合によって、公人と私人の立場を使い分けることは可能であるとの幻想を抱いています。
このやり方は日本の政治指導者が度々演じてみせる、戦争の犠牲者を踏みつけにする、疑いの目を向けられても仕方のない巧妙なごまかし以外の何ものでもありません。

世界的な先進国の指導者が公人と私人の立場を使い分けることなどはあり得ない話なのです。

大部分の日本人は安倍首相の軍国日本に対する執着に同調はしていませんが、安倍氏が24時間週7日間日本の首相である限り、世界は日本が国を挙げて歴史を歪曲しようとしているのではないかとの厳しい視線を向けることになります。

軍国主義の日本に占領され様々な形で被害を被ったアジア各国を前に、安倍首相が日本の過失には全く目を向けようとせず、中国・韓国との対立構図を煽り続けてきた結果、日本は世界の中で孤立せざるを得ない状況に陥りつつあります。
アメリカ政府内にいる親日派は、安倍首相が世界の融和と安定に向け無分別な一斉砲撃を行うたび、日本との間の距離を広げつつあるのです。


多くの日本人同様彼らアメリカ政府内の親日派も、なぜ安倍首相が日本の経済回復に専心し、歴史を記録する事を歴史家による知的分析に任せることが出来ないのか、不思議でならないのです。

※筆者について : ジェフ・キングストンは日本のテンプル大学のアジア研究部門の責任者です。
専門は同地域における国家間の対立・紛争です。
この記事において表される見解は、キングストン氏個人のものです。

 

〈後篇に続く〉

http://edition.cnn.com/2014/08/29/opinion/japan-abe-war-criminals-kingston/index.html?hpt=ias_mid
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この稿を翻訳するにあたりいろいろ調べている中で、いくら島国とはいえ一部の日本人の国際感覚の無さに少しばかり驚きました。
日本の一部報道、そして政治家が口にする『自虐史観』などと言う言葉が、世界の『知的』史観から見た場合、歴史の正義を踏みにじる傍若無人の発言だととらえられているという事をまず理解していただかなければなりません。
世界各国間のスムースなやり取りが日本経済の生命線である以上、本当は日本がどう見られているかもっと感覚を磨いていいのではないでしょうか?

折しもNHKの朝の連続テレビ小説では、主人公が「たとえ一端であっても、自分は日本の戦争遂行に協力してしまった。これからその償いをしていかなければならない…。」というシーンが今週放送されました。
当時戦争に関わった多くの日本人がそう感じた事でしょう。
兵士・民間人会わせて200万人以上の日本人が殺されたのです。
その原因を作ったのは日本人自身でした。

しかし日本の首相とその取り巻きだけは、全く異質の考え方をしているようです。
その本当の危険性を海外のメディアは度々取り上げますが、NHKも報道部門となると全く取り上げようとはしていません。

【 地震多発帯の原子炉の完全停止を訴える! 】《後篇》AP

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地震想定の誤りを飽くまで認めず、従来のままの原子力発電所の操業継続に固執する原子力規制委員会
本当に必要とされる耐震性能向上の改良工事を行なえば、原子力発電所は最早不採算設備と化してしまう

 

AP通信 / ガーディアン 2014年8月25日

ディァブロ01
環太平洋地震多発帯の上の原子力発電所の危険性を警告したペックの分析に対する反発は、まず原子力規制委員会の内部から噴出し、同委員会としては珍しい内部論争に発展しました。
論争の的となっているのは、大地震によって原子力発電所の内部設備が破壊されるかどうか、そして起こりうる地震のマグニチュードの数値、すなわち原子力発電所が耐えなければならない地震の強度をいくつに設定するかという問題です。

ペック氏と原子力規制委員会の上層部とのさらに大きな論争のテーマは、2008年に発見されたショアライン活断層の存在です。

 

この活断層はディアブロ・キャニオン原子力発電所の原子炉からわずか600メートル離れた海側の場所を、曲がりくねりながら走っています。
そして原子力発電所から8キロほど離れた場所に1970年代にすでにさらに大きなホスグリ断層が発見されていました。
しかしこの断層が発見されたのは原子力発電所の建設申請に許可が下り、すでに工事が進んでいた時でした。
その後も活断層の調査は続けられ、原子炉の南北に互いに連動する可能性のある活断層の地図が出来上がりました。

ディァブロ活断層
ペック氏がまとめたところでは、ディアブロ・キャニオン原子力発電所を所有運営するパシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)社が2011年に行った内部調査では、付近にある活断層、ショアライン、ロスオソスとサンルイス・ベイの3つとも、大地震が発生した際には原子力発電所内の主要設備が想定している耐震強度以上の地震動を生み出す可能性が明らかになりました。
サンルイス・ベイ活断層の場合、その大きさは最大1.75倍に達することが判明しました。

この見解の中にはピーク時の地動加速度と呼ばれる、それぞれの場所で地震が発生した場合、その強度に応じてどれだけの振動が発生するかという計算結果が含まれています。
分析の結果、PG&E社は原子力発電所の設計時の想定を上回る地震が発生した場合でも、発電所内の主要な設備が正常に動作することを証明できなかったと報告書は述べています。
これは操業許可申請事項違反に当たります。

 

最後にペック氏の報告は、ディアブロ・キャニオン原子力発電所は配管類、原子炉冷却装置、その他の主要設備が設計時の想定を上回る地震が発生した場合においても、正常に作動することが確認されない限り、あるいはいくつかの設備が動作しなくなっても全体としての機能を失わないという事が証明できない限り、完全停止させるべきであると述べています。

don't need it
ペック氏は、米国原子力規制委員会がこれらの問題の検証をすることなくディアブロ・キャニオン原子力発電所の操業を続けさせることに反対しています。
発電所はペック氏が指摘した問題点をいずれもクリアすることが出来なかったため、2012年同氏はディアブロ・キャニオン原子力発電所が操業継続に必要な安全基準を満たしていないとして、正式の異議を申し立てる手続きを行いました。

 

しかし数週間のうちに、原子力規制委員会は同発電所の管理運営に問題は無いとの見解を下したのです。

2013年ペック氏はさらなる異議申し立てを行い、新たな検証が行われることになりました。

しかし原子力規制委員会はホスグリ活断層が想定される最大の地震動を生んでも、ディアブロ・キャニオン原子力発電所の耐震性能はそれを上回っていると主張しています。

これに対しペック氏は、原子力規制委員会が行ったホスグリ断層が引き起こす可能性のある地震動の検証結果を彼なりに再検証した結果、発電所内のありとあらゆる設備が設計時に想定したよりもさらに大きな地震にも耐えられると同委員会が結論づけていることについて、構造強度の計算方法などに誤りがあると指摘しました。

102415
2012年原子力規制委員会は、ショアライン活断層が生み出す地震動がディアブロ・キャニオンの原子炉の新たな脅威にはならないとする、予備調査結果を支持しました。
この予備調査は発電所周辺にあるホスグリ活断層について、「原子力発電所の設計段階において、想定された範囲内の地震動しか生み出さない。」と結論付けました。

 

ガーディアンの取材に対しペック氏は、これら一連の見解に対しコメントしませんでした。

地震の活断層と原子力発電所がともに存在する状況は州にとって長年問題になってきました。

これら3つの活断層から約3キロの場所にあったカリフォルニア州北部のフンボルト湾原子力発電所は、耐震性の問題から1976年に閉鎖されました。

 

http://www.theguardian.com/world/2014/aug/25/nuclear-plant-diablo-canyon-california-shut-down
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【 地震多発帯の原子炉の完全停止を訴える! 】《前篇》AP

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自然との闘いに高額な費用をつぎ込み続けた歴史を持つ、環太平洋地震多発帯の上の原子力発電所
地震活断層に関する安全基準が存在しなかった当時に建設された、原子力発電所の安全性は?

 

AP通信 / ガーディアン 2014年8月25日

ディァブロ01
機密扱いの報告書において、首席調査官が原子力規制委員会はカリフォルニア州にあるディアブロ・キャニオンの2基の原子炉について、充分な耐震性を有しているかどうか必要な判断を下さなければならないと指摘しました。

この調査官はベテランの原子力発電の専門家であり、ディアブロ・キャニオン原子力発電所の周囲にある複数の地震活断層が引き起こす可能性のある大地震に耐えられると証明されない限り、2基の原子炉を完全停止させるべきであると原子力規制委員会に報告しました。

5年間ディアブロ・キャニオン原子力発電所の首席内部調査官を務めた経験を持つマイケル・ペック氏は、42ページの機密報告書の中で、原子力規制委員会がこの発電所の稼働に必要とされる安全基準を正しく適用していないと述べています。

 

AP通信が入手しその信憑性について検証済みの報告書は、ディアブロ・キャニオン原子力発電所そのものが危険だとは言っていません。
その代わりペック氏の分析によれば、施設内の重要設備が付近にある活断層が引き起こす可能性のある大地震に耐えきれるかどうか、誰も保証できないと述べています。
この危険性は原子力発電所が建設されてから数十年が経って初めて認識されたものです。

このまま2基の原子炉を稼働させることについて、ペック氏は報告書の中で次のように述べています。
「原子力発電所の安全性について、深刻な疑問を持たざるを得ない。」

2013年7月にペック氏がまとめたこの報告書は原子力規制委員会が行う通常60日から120日を要する(場合によってはさらに長期にわたる可能性がある)総合審査の一部であり、原子力発電所側は審査機関、あるいは監督機関に対し不服を申し立てることが出来ます。

 

しかし現在に至っても原子力規制委員会は結論を出していません。

原子力発電所のスポークスマン、ララ・ユセルディング氏はこの報告書に関してはノーコメントであると電子メールで回答しました。
アメリカ国内の商業用原子炉を管理監督する立場にある原子力規制委員会と、ディアブロ・キャニオン原子力発電所を所有運営するパシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)社は、同原発が年間300万世帯の需要を賄いながら30年間安全に稼働してきた実績を持っており、耐震性能も含め原子力発電所の安全基準に則った操業を続けていると語りました。

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PG&E社のスポークスマン、ブレア・ジョーンズ氏は、原子力規制委員会はディアブロ・キャニオン原子力発電所の耐震性能について徹底した検証作業を行った結果、「地震に対する安全性」については証明済みであると語っています。
ジョーンズ氏は地震などの原子力発電所の地盤が動く事態が発生した場合については、1970年代にすでに対策を実施済みであると電子メールで回答してきました。

自然災害に対する原子力発電所の備えに関する問題は、2011年に日本の沿岸部に建設された福島第一原子力発電所が地震と津波により全電源停止に陥り、冷却装置が機能しなくなり、3基の原子炉がメルトダウンする事故を起こして以来、世界的に厳しい視線を集めることになりました。

 

マグニチュード9.0という数値は、原子力に関わる企業や行政機関が現実に起こりうる可能性があると考えていた地震の規模をはるかに上回るものでした。

しかしマグニチュード9.0の地震は現実になりました。
このため米国原子力規制委員会は米国内のすべての原子炉の耐震性能について再検証を行うよう、業界を指導監督しなければならなくなりました。
具体的には2015年までにこの作業を終えなければなりません。

2014年8月24日日曜日、ワインの産地として有名なカリフォルニア州北部をマグニチュード6.0の地震が襲い、多数の住民が負傷、数千世帯が停電、ブドウ農園では貯蔵庫のワインボトルが軒並み倒される事態が発生し、改めて原子力発電所の耐震性能の検証が重要な課題として浮上してきたのです。

サンオノフル
環境保護の立場に立つ人々は、2013年に同じ米国太平洋岸南カリフォルニアのサン・オノフレ原子力発電所の閉鎖が決定して以来、ディアブロ・キャニオンについて原子力大災害を起こす最後に残された可能性と表現してきました。

太平洋岸のロサンゼルスとサンフランシスコのちょうど中間地点にあり、周囲80キロ圏内に50万の人々が暮らすディアブロ・キャニオンは、様々な点で自然との闘いに高額な費用をつぎ込み続けた歴史を持っています。
そして問題が表面化する度、設計変更と修理を繰り返してきたのです。

 

〈後篇に続く〉

http://www.theguardian.com/world/2014/aug/25/nuclear-plant-diablo-canyon-california-shut-down
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所詮監督行政などというものは、身近にいる声の大きい者、力を持っている者の言いなりになってしまうのか…この記事を読んでいてそんな感想を持たずにはいられませんでした。
その同じ行政が『道徳教育の強化』を強く叫んでいます。
彼らの言う『道徳』とは何なのか、改めて説明してほしいと思うのですが。

【 日本の原子力発電所、反対する民意を無視して再稼働を推進 】AP

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重要な安全設備の完成はまだ、自治体の避難計画も未完成、作業が完了するまでにはさらに2年が必要
安倍政権は国民の多くが強く反対しているにも関わらず、原子力発電所の再稼働政策を推進
事故が発生してしまったら、周辺住民の生活再建のめどは建てられるのか?

AP通信 / ワシントンポスト 9月10日

川内原発再稼働02
日本の南部にある原子力発電所一か所が、2011年の福島第一原子力発電所の事故以降厳しくされた原子力のための新しい安全基準をクリアしたとして、9月10日原子力規制委員会による再稼働の承認を得ました。
原子力規制委員会は九州電力・川内原発の2基の原子炉に関する安全審査の報告書を満場一致で承認しました。
この報告書は福島第一原子力発電所の3基の原子炉をメルトダウンさせたような巨大地震や巨大津波が発生しても大きな損害を回避できるという、新たな安全基準に適合していると結論しています。
川内原発の安全基準のクリアと今後予想される再稼働は、日本の原子力産業界にとっては強い追い風になります。
一時的に再稼働した大飯原発の2基を除き、日本国内の48基の稼働可能な商業用原子炉は、2011年の福島第一原発の事故以降定期点検や修理などのため次々に停止し、現在稼働している原子炉はありません。
原子力規制委員会による再稼働の承認は、九州電力による点検報告が承認された後、30日間に渡る意見公募に対する一般市民と専門家らの17,000件に上るコメントを受け付けた後に行われました。
これ程のコメントが寄せられた背景にあるのは、原発の安全性と再稼働の可能性に対する一般市民の関心の高さです。

川内原発再稼働
しかしながら原子力規制委員会に九州電力・川内原発の再稼働に関する最終決定権はありません。
実際に再稼働するまでには数か月を要すると見られています。
川内原発が再稼働できるようになるためには、施設内における操作に関する実地の点検の完了、そして地元自治体の同意の取り付けが必要です。

九州電力は原子力発電所の地震に対する対策を強化、津波についても防潮堤をこれまでの3倍の高さの15メートルにしました。そして新たに、テロ攻撃、航空機の墜落、火山の噴火に対する危険についても対策を施したとしています。

しかし原子力発電の継続に反対の立場を取る人々は、放射能漏れが発生した際に放射性物質の放出を減らすためのフィルター付きベント装置など九州電力が重要な安全設備を完成させてはおらず、その作業が完了するまでにはこれから2年間かかる点に注意を促しました。
そして近隣の自治体の避難計画も完成していないことからも、再稼働の承認は時期尚早であると指摘しました。
さらには九州電力・川内原発は少なくとも5つの活火山に囲まれており、この点についても懸念があります。

人類の敵
これに対し原子力規制委員会の田中委員長は九州電力・川内原発の30年間の規定稼働期限内に、これら活火山が噴火・爆発を起こす可能性は低いと語りました。

安倍晋三首相は安全と判断が下された原子炉すべての再稼働を推進すると公言しています。
そしい前民主党政権が採択した原子力発電の段階的廃止の政策を完全に覆しました。
安倍政権は原子力発電所の停止によって日本経済は損失を被ることになると主張、国民の多くが強く反対しているにも関わらず原子力発電所の再稼働政策を推進してきたのです。

(冒頭の写真)
9月10日原子力規制委員会が入っている建物の前で行われた、九州電力・川内原発の再稼働に反対する集会で抗議の声をあげる男性。

http://www.washingtonpost.com/business/nuke-plant-in-southern-japan-clears-safety-hurdle/2014/09/10/02a95012-38b0-11e4-a023-1d61f7f31a05_story.html
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私が再稼働の議論の中で常に抜けていると思う問題があります。
周辺自治体に対し事故が発生した場合の住民の避難計画までは求められてはいます。
しかし避難した後、その人々の生活再建はどうなるのでしょうか?

この【星の金貨】では前回も含め、福島のゲンパツ難民の方々がどれ程辛く苦しい生活を強いられるか、それ伝える海外メディアの記事を何度もご紹介してきました。
原発事故が再び発生した場合に失われるものは何なのか、それを明らかにするためにも福島第一原発の事故に関する徹底した再検証が必要ではないでしょうか?

【 未だに120,000人もの人々が、生活を根こそぎ破壊されたままにされているフクシマ 】《後編》

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隣人同士が支え合い、家族同士が慈しみ合う、その生活のすべてをゲンパツ事故がだいなしにした
荒れ果てた自宅を訪れた人々は、口々にそこが悲しみが支配する場所になってしまったと嘆いている
互いに支え合いながら生活していた人々が、今やくつろげる場所すら持たないゲンパツ難民に

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2014年9月10日

9月10日GRD
菅野さんの世代の人々にとって、孫と遊んだり、慈しみ育てる事が出来なくなるなどという事は、想像もできない事でした。
「飯舘村に留まる事さえ出来ていれば、今頃はみんな一緒に暮らしていたと思います。」
「私はほとんど祖父母によって育てられました。そして、私の両親は私の子供たちを育てるのを手伝ってくれました。しかしそうしたことを一切、放射線が不可能にしてしまったのです。」

菅野さんは事故後何ヶ月間も鬱状態が続き、今は睡眠薬が無いと眠る事が出来ません。
「睡眠薬を飲まないと、私はねむれずに孫の写真をずっと見つめて起きていなければなりません。孫が大人になるまで、一体何回会う事が出来るのだろうと考えながら…」

菅野村長は2016年までには除染作業が完了し、飯舘村が再び人が住める場所になるだろうと語りました。

しかし、かつての住民たちは飯舘村は山地が多いため、平らな場所の除染が完了しても雨によって山間部の放射性物質が再び人が住む場所に流れ込んで来るため、人が住めるようにはならないのではないかと懸念しています。
これまで、避難指定区域の東側の2つの地区の住民数百人だけが、再び居住し生活する許可を与えられました。

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「私たちが戻れるようになるまでには尚数年がかかる可能性があり、家族は厳しい選択をしなければなりませんでした。」
一事避難場所となった施設の世話人を務めた、かつての飯舘村の住民だった長谷川はな子さんがこう語りました。

かつての村民たちの自宅はカビや害獣のはびこるままになっていますが、長谷川さんの夫はかつて子供たちや孫たちと一緒に暮らしていた自宅の清掃や手入れを続けるため、短時間自宅に戻っる生活を続けています。
「荒れ果てた自宅を訪れた人々は、口々にそこが悲しい場所になってしまったと嘆いています。」
「それでもみんなは、二度と暮らせないかもしれないのに、あきらめきれずに雑草を取り家の中を片付けるために自宅に戻るのです。」

かつては互いに支え合いながら生活していた飯舘村の住民たちは、今やくつろげる場所すら無いゲンパツ難民になってしまいました。
そのほとんどは、居住困難区域以外の福島県内に留まっています。
村役場の調査によれば、飯舘村のその他の住民は日本の48都道府県のうち、46の都道府県にバラバラになってしまいました。
海外に移住した人も4人います。

アルジャジーラ抗議集会
長谷川さんはかつて家族全員で酪農を営んでいましたが、今や4つの場所でバラバラに暮らしています。
一般的に祖父母が見ず知らずの土地で生涯を終える事を嫌い福島県内に留まる傾向があるのに対し、父親たちは仕事を求めて故郷を離れ、子供たちは母親と一緒に福島県を出て行く傾向が見られます。

今回取材した仮設住宅の居住者の平均年齢は66歳であり、70代と80代の住民のうち、約20人が一人暮らしを強いられています。

「息子がここに連れてこない限り、私は決して孫娘に会う事は出来ないのです。」
長谷川さんがこう語りました。
「この仮設住宅では、たくさんの高齢者が同じ状況に置かれています。若い人たちはお祭りやスポーツイベントなど、何か特別の事が無い限りここにはやってきません。そして催しが終わると、逃げるようにこの場所を後にするのです。」

菅野さんとその隣人たちは朝のラジオ体操で体調を整えようと務めています。
そしてこの場所から車で2時間程の場所にある福島第一原発によって破壊されてしまったコミュニティの人々と、お茶を飲みながら一緒に午後を過ごしたり、時には一緒にバス旅行などをして絆が切れてしまわないように努めています。

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「ゲンパツ事故が何もかも台無しにしてしまいました。」
菅野さんがこう語りました。
「たとえ避難命令が解除されたとしても、若い人たちも子供たちももう戻っては来ないでしょう。」
私たち飯舘村の人間は村役場、除染作業員、環境省の官僚、その全部にこう尋ねました。一体いつになったら安全になった故郷に帰る事が出来るのか、と。でも誰からもどんな答えも返って来なかったのです。」

〈完〉

http://www.theguardian.com/world/2014/sep/10/fukushima-nuclear-disaster-japan-three-years-families-uprooted
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この福島の120,000人というゲンパツ難民になってしまわれた方々の苦難と絶望を、私たちが本当に思いやる事が出来るか、その事がこれからの日本の本当の価値を決めるのではないかと考えています。
株価の上り下がりよりも、アメリカと一緒になって海外で軍事作戦を展開するよりも、東シナ海の無人島の防衛体制を鉄壁のものにするよりも、「日本の政治」に私たちが求めなければならない事は何でしょうか?

現在、朝日新聞が『吉田調書』の報道内容などを巡って批判の矢面に立たされていますが、少なくともその存在を世に知らしめたことにより『報道の良心』を持っていることは証明されていると私は思っています。
あとは『報道姿勢』を正すべき。
しかし今先頭に立って朝日の『報道姿勢』を攻撃している週刊誌や新聞は、かつて脱原発運動家の個人攻撃をするなど『報道の良心』すら持たない事実をあからさまにしていたはずです。

元の生活を壊されてしまった後の暮らしがどれ程つらいものになるか、そのご理解の一助となる記事『都市生活かさむ出費/家計のひずみ(1)/かすむ復興』のURLです。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201409/20140917_13010.html
ご参考になさってください。

【 未だに120,000人もの人々が、生活を根こそぎ破壊されたままにされているフクシマ 】《前編》

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仲良く暮らしていた家族がバラバラに引き裂かれ、高齢の人々が孤独な暮らしを強いられる
希望や喜びがほとんどない、そして故郷に戻れる見通しもほとんどないたった一人の生活
精神の不調、肉体の深刻な症状、無気力と無関心。ゲンパツ被災者を襲う数々の苦難

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2014年9月10日

9月10日GRD
福島第一原発の事故が発生して3年6ヶ月、未だに120,000人以上の人々が大切な家族から引きはがされ、原発被災地となった故郷に戻る事無く、その周辺で仮住まいを続けています。

日本における原子力監査機関は、9月10日水曜日に九州電力川内原発の再稼働についてゴーサインを出しましたが、安全性に対する周辺市町村の懸念が解消された訳ではありません。

日本の原子力発電所は福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを起こして以降、すべて停止したままでした。

福島県にある仮設住宅の住人の1人、菅野いい子さんは現在の日々について、読書をしたり野菜を育てたり、そして孫に会える日までの日数を数えたり、それくらいしかする事が無いと語りました。
かつての隣人たちと同様、菅野さんの家族もまた福島第一原発のメルトダウンによって家族をされてしまったのです。
それは2011年3月の出来ごとでした。

「福島第一原発の事故が起きてひと月もしないうちに、私たち村民に避難命令が出されました。」
菅野さんは絵のように美しい故郷の飯舘村にあった自宅、そして今は捨てられてしまった自宅について語りました。
彼女の自宅は福島第一原発の北西約40キロの場所にありました。
「野菜農場に私たち家族が注いできた努力も何もかも、すべてが水の泡になってしまいました。そして飯舘村はもはや安全な場所ではなくなってしまったと宣告されたのです。」

岡原10
それまで飯舘村の6,000人の住民のうちの大部分は村に留まったままでした。
飯舘村は日本政府が設定した福島第一原発の周囲20キロの指定避難区域の遥か外側にあり、自分たちの村は安全だと思い込んでいました。

放射線の専門家が人間が生活するのに安全だとされる数値以上の高い放射線量が確認されるホットスポットの存在をいくつも確認するまでの数週間、自治体は数週間避難を命じることはありませんでした。

約150人の村民は福島市の郊外にある仮設住宅に収容されるまで、サクランボ、桃とリンゴの木に囲まれた窮屈な木製ロッジに仮住まいしていました。
事故から3年6ヶ月、汚染されてしまった飯舘村には除染作業員を除けば人の姿はありません。
しかし大切な農場をあきらめきれない人々の姿もかいま見られます。

希望や喜びがほとんどない、そして故郷に戻れる見通しもほとんどないたった一人の生活を強いられている菅野さんですが、原子力発電所事故が作り出だしたこうした状況に置かれているのは、彼女だけではありません。
福島の約120,000に昇る人々が同じような状況に置かれているのです。

今年福島県が行った調査では、家庭を持つ人の半数が家族が離散してしまっている事が明らかになりました。
そしてそのうち70%の人々が精神的、あるいは肉体的障害に苦しんでいる事も解ったのです。

NBC22
かつてはひとつ屋根の下で暮らしていた家族が2カ所以上の場所にわかれて暮らさざるをえなくなっている人の割合は調査対象となった家庭の48.9%に上りました。
さらに全体の58.6%は、かつて同じ村落で暮らしていた親類同志が3カ所以上の仮設住宅などに散らばって暮らしていると語りました。

そして全体の約半数がかつては楽しんでいた趣味や活動などに対する関心を失い、睡眠障害を抱えている事も明らかになったのです。

菅野さんのようにつらい境遇に置かれている例は、かつて福島県の農漁村部で大家族で暮らしていた人々に特に顕著に見られます。
マグニチュード9.0の地震により発生した巨大津波によって19,000名が命を落とし、チェルノブイリ以来最悪の原子力発電所事故が発生した東日本大震災。菅野さんの夫と母親はその1年前に亡くなっていました。

菅野さんの息子で43歳になるふとしさんは奥さんと子供さんを連れ、東京近郊の埼玉に移住しました。
「飯舘村にいた当時は、3世代の家族がひとつ屋根の下で暮らす事が当たり前でした。」

「はじめ息子は福島市で仕事を見つけました。でも息子も嫁も、子供たちを放射線量の高い場所で育てたくはなかったのです。」
「息子夫婦は福島に連れてきたがらないので、私が孫に会えるのは正月、あるいは何か特別の事があるときだけです。」
菅野さんは他に娘夫婦に3人の孫がいますが、かつては飯舘村近くのまで暮らしていた彼らは現在、新潟県で暮らしています。
娘の夫は単身福島県内で教師を続けており、毎週末ごとに新潟県の自宅に戻る生活を続けています。

〈後編に続く〉
 
http://www.theguardian.com/world/2014/sep/10/fukushima-nuclear-disaster-japan-three-years-families-uprooted
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国というものが国民一人一人の人生の集合体だとすれば、1回の『産業事故』により12万人もの方々の人生が3年6カ月が過ぎても尚破壊されたままだという事を、私たちはどう考えれば良いのでしょうか?
このことに国として判断をしないまま、事故の張本人である原子力発電の方の復活のみを許すというのは、どういう事なのでしょうか?

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【 13年が過ぎても癒えない傷跡 - 9.11同時多発テロ 】

アメリカNBCニュース 9月11日
(掲載されている写真は、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

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ニューヨーク、世界貿易センタービル、南タワー・メモリアル。(写真上)

ニューヨーク、世界貿易センタービル、北タワー・メモリアル。(写真下・以下同じ)
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世界貿易センタービル、犠牲者墓碑銘。
911-2
世界貿易センタービル、犠牲者墓碑銘。
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93便の墜落地点に置かれた、礎石代わりの岩石
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ワシントン、ペンタゴン・メモリアル。
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ニューヨーク市消防局第10号消防車の10名の消防士のレリーフの前に立つ消防士。9.11の消防士の犠牲者は343名に上った。
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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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