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【 民意とは逆の安倍政権の選択、承認された日本の原子力産業の復活 】NYT

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所要時間 約 7分

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強力な政治的影響力を持つ原子力産業界との結びつきが強い安倍政権が、原子力発電の安全性について公平な判断ができるのか
原子力規制委員会が安全性を認めた背景にある、安倍政権の強力な政治的圧力
安倍首相は大企業の擁護者、日本経済の立て直しに原子力発電の再開は不可欠との方針
国民の意向を完全に無視し、自分たちがやりたいことだけを押し通す安倍政権

 

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 9月10日

川内原発NYT
福島第一原子力発電所の事故が発生してから3年6カ月、日本の新たな原子力監督機関である原子力規制委員会は一か所の原子力発電所の安全性が確認されたとして、9月10日再稼働を承認する旨の発表を行いました。
これは福島の事故後長く停止していた日本の原子力産業界を、再び動かすための第一歩となるものであるとの見方が広がっています。

福島第一原発の事故後初めて再稼働が承認されたのは九州電力・川内原発の2基の原子炉で、承認したのは日本の原子力行政に対する信頼を回復するために2年前に原子力安全・保安院に代わって設立された原子力規制委員会です。

福島第一原発の3機の原子炉がメルトダウンを起こした事故は、地震が多発する日本の国土における原子力発電の安全性に対し、国民が深刻な疑問を持つきっかけになり、以後国内の48基の稼働が可能な商業用原子炉すべてが停止することになったのです。

しかし承認を得ても、実際に川内原発の2基の原子炉が稼働を始めるには少なくとも数か月かかると見られています。
川内原発を運営する九州電力社はこの後さらに詳細な安全性に関する検査を受けた後、周辺地方自治体の同意を得なければなりません。
地方紙各紙の報道によれば、最終的には12月の日本政府の首相の判断により再稼働が行われる見込みとなりました。

廃炉11
今回、新たな監査機関である原子力規制委員会が安全性を認めた背景には、安倍政権による強力な政治的な圧力がありました。
安倍首相は日本国内の大企業の擁護者であり、長く停滞が続いている日本経済の立て直しには原子力発電の再開が不可欠であるとの考えの下、再稼働政策を推進しています。

安倍首相は何よりまず、貿易赤字の拡大に終止符を打ちたいと考えています。
安倍政権は拡大を続ける貿易赤字については、国内の原子力発電の停止により電力用の輸入燃料が増加しているためと考えているからです。

しかし世論調査の結果は、安倍政権の与党である自民党が強力な政治的影響力を持つ原子力産業界との結びつきがもともと強く、その政権が原子力発電の安全性について公平な判断ができるかどうか、国民が極めて懐疑的であることを示しました。

こうした国民の意向は、今年7月に原子力規制委員会が九州電力・川内原発の安全性について基本的に承認した後、約一カ月に渡り一般国民からの意見を公募した際に具体的な形となって現れました。
同委員会は予想を上回る17,800件の意見が寄せられたことを明らかにしました。
多くの意見が活火山地帯に建設された川内原発の安全性について、深刻な懸念を表明するものでした。
しかし原子力規制委員会は7月に公表した審査結果にほとんど修正を加えることなく、7月の報告書をそのまま採択したのです。

東京03
原子力規制委員会九州電力自身が行った川内原発に関する詳細な検証結果を受領、18,600ページに上るその報告書を詳細に検討した結果、安全であるとの決定を見たとしています。
原子炉とその他施設の設計、構造、そして非常事態が発生した際の対応プランが、昨年7月に採用された新しい安全基準に適合したものと判断されたのです。

取材に対し、原子力規制委員会の大島賢三委員が次のように答えました。
「一般からの公募意見の件数が膨大な数に昇ったのは、何より国民が原子炉の再稼働と安全性に極めて敏感になっていることを反映したものだと考えています。」
「それに加え、福島第一原発の事故を教訓に原子力発電所の安全性を一層高めてほしいという強い要望をも反映していると考えます。」

原子力行政にたずさわる政府官僚は、新たな安全基準について『世界で最も厳しい』という表現を用いることにより、国民の懸念を払しょくしようと努めてきました。
いわく巨大地震と巨大津波が原子力発電所の重要な設備である原子炉冷却システムを破壊した教訓を、可能な限り生かしたものだと。

再稼働に範たちの立場の人々は、原子力規制委員会が一般国民の間に高まっている懸念を無視していると批判しました。
福島第一原発の事故を受け、政治的思惑などから独立した公平な管理監督を行うようにとの国民の強い要望のもとに生まれた原子力規制委員会のはずでしたが、今や増々めくら判的様相を帯びてきたと嘆いています。

101318
「明らかに原子力規制委員会に対しては、安倍政権の強力な政治的圧力がありました。」
こう語るのは鹿児島大学で国際関係論、平和研究を専門とする木村朗(あきら)教授です。
木村教授も川内原発の再稼働に反対するための運動に取り組んできた一人です。

「現在の政府は国民の意向を完全に無視し、自分たちのはかりごとのみをごり押ししているのです。」


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社会正義に敵する政治的不正義、そういうものがあるとしたら現政権による再稼働はまさにそれにあたるのではないでしょうか?

【 福島における放射線被害調査、分かれる見解、衝突する意見 】《後篇》ALJ

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所要時間 約 10分

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脱原発運動家でなくとも、国連の調査発表報告には多くの問題点があると考えざるを得ない
低線量被ばくが原因のひとり一人の人間に対する、人間社会に対する、そして各種の動植物と生態系に対する悪影響の存在は現実のもの
公平な分析を約束できる独立した立場の研究者たちによる、新たな精密な福島の現地調査が必要である

ジョン・ボイド / アルジャジーラ 2014年8月30日

灯ろう
▽ 損傷が確認された蝶の遺伝子

フクシマの放射線被害に関する調査研究の中、国連科学委員会(UNSCEAR)が意図的に除外したものとしてムソー教授は沖縄の研究者が行った『ヤマトシジミ(蝶)における放射性物質摂取による生物学的影響』( http://w3.u-ryukyu.ac.jp/bcphunit/%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%88%E3%82%B7%E3%82%B8%E3%83%9F%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E7%89%A9%E8%B3%AA%E6%91%82%E5%8F%96%E3%81%AE%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6%E7%9A%84%E5%BD%B1%E9%9F%BF.pdf )の存在を指摘し、本来であれば国連が公表した報告書の中で重要な判断基準のひとつとなるべきものであったはずだと語りました。

この研究は2012年8月9日付の科学雑誌『ネイチャー』のサイエンティフィック・レポートにおいて発表され( http://www.nature.com/srep/2014/140515/srep04946/full/srep04946.html )、事故以降福島県内の蝶々において調査期間中確認された突然変異について検証し、次のように結論づけています。
「福島第一原子力発電所から放出された放射性物質は、この種において生物学的影響と遺伝子の損傷を引き起こした。」

国連科学委員会のラーション委員長は、同委員会に対する批判を否定しました。

「この研究についても議論が行われ、研究結果が報告書の中身に反映されています。しかしこの研究結果は放射線の影響を検証するための現地調査が数回にとどまり、放射線量の測定についてさらに堅牢なデータを必要とします。」

CNN Mutant03
これを言い換えれば、低レベルから高レベルに至る広範囲の放射線被ばくによって、様々な生物に突然変異が発生する、そう結論づけるためにはこの研究結果には不足するものがあるということになります。
少なくともそれが国連科学委員会の見解ということです。

「2、3の限られた研究結果に基づいて、確固たる結論を出すことはできません。」
ラーション委員長はこう語りました。
このようなわけで、国連科学委員会としては放射線被ばくにより動植物が受ける影響を明らかにするためには、より多くの研究結果を必要とする立場を強調しました。

しかしムソー教授は『チェルノブイリ+フクシマ・リサーチ・イニシアチブ(CFRI)』の調査結果を引用しながら、かつてチェルノブイリの被災地で確認されたのと同じような事態が、福島第一原発周辺の生態系の中に確認されていることを注視すべきだと語りました。
「現地調査の結果、チェルノブイリの被災地の中で放射線量が高い場所では、野鳥の数が3分の2前後にまで減少しました。」
ムソー教授がこう語り、次のように続けました。
「そして各種の昆虫類でも、同様の現象が確認されたのです。」

NYT 細野原発相の視察
チェルノブイリ調査班による福島の現地調査に加わった研究者は、福島では多くの動植物に大きな変化は確認できなかったものの、鳥類については2011年7月という早い時点で放射線量の高い場所で数が減少していることが確認されたと語りました。

しかし2012年になると、より多くの動植物に放射線による被害が明らかになってきました。
そして事故以来3年以上の歳月が過ぎた現在では、放射線による影響は時間の経過とともに拡大を続け、一定の割合で野鳥の数が減少し続けていることを研究者たちは確認しています。

▽ 放射線被害に関しては、すでに豊富なデータが蓄積されている

「政府機関の報告に反して」
ムソー教授が語りました。
「チェルノブイリと福島の事故では、低線量被ばくが原因のひとり一人の人間に対する、人間社会に対する、そして各種の動植物と生態系に対する悪影響、言い換えれば彼らを被害者にしてしまっている現実の存在を証明するデータが豊富に蓄積されているのです。」

なぜその事が重要なのでしょうか?

福島第一原発廃墟
「各種の動植物に起きている被害が、そのまま人間にも直接あてはまるとは言えません。」
京都大学の今中助教が認めました。
「しかしこれらの動植物に起きていることは、私たち人類に対する警告として受け止めるべきだと思います。それが現在、私たちが植物や動物に対する研究を行うべき理由なのです。」

もちろん動物たちに対する医学的研究には精密さが要求されます。
私たち人間は他の動物と基本的な生物学特性を数多く共有しているからです。
チンパンジーに至っては、DNA配列の99パーセントが人間と同じなのです。
「こうした事実から他の動物や植物に起きていることが、人間と無関係であるはずがないのです。」

ムソー教授がこう語りました。

ただし大きな相違点があるとムソー教授が注意を促しました。
「私たちが調査対象としている動植物と比較した場合、福島の被災者の人々の被ばく線量はより少ないものであるという事です。」
「動植物と比較した場合、人間は被ばくを回避する行動をとっており、その分被ばく線量は低くなっています。動植物に見られるような影響が人体に現れるとすれば、さらに長い時間がかかるものと考えられます。」

計測
ムソー教授は自身が脱原発運動家でもないし、国連の中の原子力発電に関わる機関が福島で起きている現実を過少報告していると主張するつもりも無い、こう強調しました。
「もし私が活動家だとすれば、行っているのは環境中で起きていることについて、明確な証拠を基に検証することを求める運動です。」

こうした観点から彼は、国際社会が資金を供給し、幅広い分野に渡って大規模な福島の環境中の生物学的調査を行うよう求めています。

この際留意すべき点について、ムソー教授は次のようにつけ加えました。
「事態を一日でも早く鎮静化させようという目的で作られた国連や政府機関の報告に対し、新たな調査は公平な分析を約束できる独立した立場の研究者たちを集めなければなりません。そして長期にわたる生物学的影響を明らかにするという明確な目標を持ち、現在の状況について鋭い観察眼を持つ必要があります。」

〈 完 〉

http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-see-supermoon-other-super-sights-n192001
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福島第一原発においては早くも『凍土壁』対策がほころびを見せ始めていることが報道されました。( http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201409/20140910_63009.html )。
この記事が指摘する事実も含め、最早めちゃくちゃというのが福島第一原発の現実では無いでしょうか?

明日13日(土)は掲載をお休みさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

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【 中秋の名月 】

アメリカNBCニュース 9月10日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

SPM01
2014年の最後のスーパームーンはハーヴェストムーン(収穫月 – 中秋の名月)でもありました。
スーパームーンは月が地球に最も近づいた時に普段よりも大きく見える現象ですが、9月8日月曜日の満月はハーヴェストムーン(収穫月 – 中秋の名月)としても知られています。
9月22日の北半球の秋分の日にもっとも近い満月の日という位置づけになっています。
ハーヴェストムーンという名の由来は、遅くまで収穫作業に励む農民の手元足元を明るく照らしてくれる月という事から来ています。

9月8日スペインのコンスエグラの風車の後ろに昇った満月。
この地域の風車は1605年にミゲル・デ・セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」によって有名になりました。(写真上)

9月8日南ドイツのアプフェルトラングで沈む夕陽が満月の脇の雲を明るく照らし出していました。(写真下・以下同じ)
SPM02
ミズーリ川を見下ろす壁の上に腰掛けるカップル。9月8日の満月は2014年度3度目、最後となるスーパームーンでした。
SPM03
香港のビクトリア公園のランタンの灯りの向こうに輝く月。
SPM05
ハワイ、ホノルル上空のスーパームーン。
SPM06
ケンタッキー州ルイスヴィルの上空でスーパームーンの前を横切る旅客機。
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【 福島における放射線被害調査、分かれる見解、衝突する意見 】《前篇》ALJ

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所要時間 約 9分

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原子力発電推進の政府当局、ゲンパツに不利な結論を出した調査研究を否定
国連の委員会の『調査報告』、実際に現場に出向くこと無く、公開された論文等を『科学的に検証した』だけ

ジョン・ボイド / アルジャジーラ 2014年8月30日

灯ろう
2011年3月11日に3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の事故は、一連の爆発、そしてメルトダウンの発生により3基の原子炉と使用済み核燃料プールが深刻な破壊を受け、原子力発電所は見るも無残な姿に変わり果てました。

この事故は、大気中と海洋中に莫大な量の放射性物質を放出しました。
その結果日本政府は福島第一原子力発電所の周囲に避難指定区域を設定し、155,000人以上の人々が住んでいた場所を追われ、自宅を捨てて避難しなければならなくなりました。

そして3年が経った今、放出された放射性物質が人間の健康や動植物に対しどのような影響を与えるに至ったか、様々な立場から研究が行われましたが、その結論はまちまちであり、議論が絶えることがありません。

▽ 無視された?ゲンパツに不利な調査研究結果

今年初めに国連の委員会が広範囲にわたってまとめ上げた科学調査の結果は、当たり障りのない表現と、それ以前に公表され、ゲンパツに不利な結果が出ていた調査研究の存在をほとんど無視したものでした。
このため、世界中の独立的立場の研究者の批判を招くことになりました。
福島第一原子力発電所の事故による健康被害について原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が今年4月に公表された報告書には80名の科学者が署名をしました。

NBC 3
たとえば動植物に関してこの報告書は次のように結論づけました。
「事故後2カ月の間に放出され、(各動植物に)蓄積された放射性物質の量は、客観的観察によってその違いを判別できるまでのレベルには達しなかった。」
「長期的影響についても、いくつかの種の何例かに健康被害や突然変異などが認められたとしても、種全体に明らかに影響が出るような事実は無かった。報告はこの通りである。」

「そんな結論を裏づける、どんな研究結果も存在しません。」
こう述べるのは、サウスカロライナ大学の生物学科のティモシー・ムソー教授( http://cricket.biol.sc.edu/Mousseau/In_Japanese.html )です。
ムソー教授をはじめ独立した立場の研究者たちは、国連の報告書に不信感を募らせ、批判しています。

こうした批判に対し、国連科学委員会(UNSCEAR)のカール-マグナス・ラーション委員長は、アルジャジーラの取材に対し次のように答えました。
「我々が参照することが出来た資料は公開公刊された論文を基に作成されたのであって、その時点では未だ公開されていない資料もあったのです。」
「公開されていた資料をまとめ上げて、全体的な評価を行ったのです。」
国連科学委員会の役割は、実際に現場に赴いて実際に調査を行うのではなく、その時点で利用可能な論文等について「科学的な検証を行う事です。」
ラーション委員長はこう説明しました。

汚染02
これとは対照的に、ムソー教授もメンバーを務める『チェルノブイリ+フクシマ・リサーチ・イニシアチブ(CFRI)』( http://www.chernobylcongress.org/fileadmin/user_upload/Arnoldshain_Doku/Mousseau_-_IPPNW_Press_Release_-_Chernobyl_Fukushima_Feb_2014.pdf )は多岐に渡る科学分野の専門家たちが参集し、何より現地調査を重んじる形で報告書を作成しています。

CFRIは1986年当時は未だソ連邦の一部であったウクライナで、人類史上最悪の原子力発電所事故を起こしたチェルノブイリ事故の後、放射能汚染がその地の動物にどのような影響を与えたか、実地に広範囲の調査を行いました。
さらに2011年以降は、フクシマの地において10種の同様の調査研究を行いました。

8月22日東京で開催された海外の報道機関を対象とした記者会見で、ムソー教授はCFRIの最新の調査結果について、下記の報告を行いました。
すなわちUNSCEARが報告書を公表する以前に、福島において放射線による健康被害や動植物に対する被害が現実に発生していることを報告する研究結果が6例公開されていました。
そしてさらに多くのチェルノブイリ周辺での放射線の被害報告書がすでに公開されていたのです。

しかしこれらの調査・研究結果はUNSCEARによって「明らかに無視されました」。
そしてそれは「計画的な、作り上げられた無知」というべきものであったと、ムソー教授は指摘しています。

他の科学者たちも、ムソー教授の見解を支持しています。

「原子力発電を推進しようとしている政府機関や国際機関には、原子力発電の悪影響を明らかにする研究結果を否定しようとする傾向が見られます。」

Chernobyl04
京都大学で原子力工学を専攻する今中哲二助教がこう語りました。
「チェルノブイリの事故の後、ウクライナとベラルーシの地元の科学者たちが放射線被害の調査報告を行った後、こうした傾向がある事が明らかになったのです。」

そして事実が否定しようも無い程大きなものになった時だけ、政府機関や国際機関などは報告を受けて入れている、今中氏はこう指摘しました。

「そして現在、こうした傾向の一環として福島における被害報告が否定されているのです。」
今中氏はこれまで何度も、放射線による被害調査を実地に行うため、チェルノブイリとフクシマを訪れました。

〈後篇に続く〉

http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-see-supermoon-other-super-sights-n192001
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国連のIAEAが世界の原子力発電所建設をスムースに進めるため、その『安全性』に権威付けを行う事を目的の一つとしている。
そんなことは福島第一原子力発電所の事故が起きるまで、全く知りませんでした。

事故以前、WHOやユニセフについても、私たちが知らない問題が多々ある事が伝わり始めていたタイミングでもあり、「国際原子力機関」なるものの本当の設立趣旨に胡散臭いものを感じざるを得ません。

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【 今月の宇宙傑作写真 】《3》

アメリカNBCニュース 9月1日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

SPC11
8月22日、フランス領ギアナにある欧州宇宙機関の発射施設から打ち上げられるソユーズ・ロケット。 ロケットはヨーロッパのガリレオGPS衛星2機を宇宙空間に運び上げました。
しかし投入操作に失敗、衛星は間違った軌道に入ってしまいました。(写真上)

8月18日、チリのラシイラ天文台・欧州南天文台の広角映像受像器により捕えられた、南銀河の2つの劇的な星の形成の様子です。
左側を占めるのはNGC 3603星団。距離は地球から約2万光年。
右側はNGC 3576として知られる高温のガス雲で、こちらの方が地球との距離が3603星団の半分ほどになります。(写真下・以下同じ)
SPC12
8月10日、地中海のマルタ島で、スーパームーンが輝く夜空を飛び交う花火。
SPC13
8月6日チリにある欧州南天文台のパラナル天文台が捕えたメシエ33銀河、別名三角座銀河。
渦状を成すこの銀河は、明るい星団とガスとちりの雲が密集しています。
この写真はメシエ33銀河の姿をこれまでで最も明快に表現しています。
SPC14
8月3日欧州宇宙機関のロゼッタ宇宙船が撮影した67Pチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星。
ロゼッタはこの彗星とのランデブーに初めて成功、太陽の周囲を回る彗星を追跡し続ける予定です。
SPC15
8月2日北フランスで24回目となるイベント「星たちの夜」で、天体観測の準備に余念がないリール地方宇宙協会のメンバー。
SPC16
http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-see-supermoon-other-super-sights-n192001

【 福島第一原子力発電所の事故、吉田所長の証言記録を公開 】ECO

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所要時間 約 9分

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一体いつ私は自分の生殺与奪の権利を、東京電力などという一企業に渡してしまったのか?
日々積み重ねてきた努力を無にする権利を、人びとはなぜ東京の電力会社に与えたのか?
3,000万の人間が瞬時にその人生を台無しにされてしまう可能性が、現実に発生したことをどう考えるのか?

エコノミスト 2014年9月5日

吉田所長
フクシマダイイチのヒーローたちの殿堂を作るとすれば、吉田雅夫氏のフィギュアは最重要人物ということになるでしょう。

福島第一原発をタイタニックに例えるならば、吉田所長は制御不能に陥っている福島第一原発を放棄して撤退する事無く、現場に留まり運命を共にするという船長としての責務を全うするつもりでした。
そして後になって吉田所長はチェルノブイリ以降最悪となった福島第一原発事故について、船長室から見ていたその詳細について最も体系的な、そして重要な証言を行うことになったのです。
そして吉田所長自身は故人となってしまいましたが、その証言はおそらく、際限も無く汚染を拡大させてしまった原子力発電の遺産を今後どうすべきかの議論の中心になるべきものです。

福島第一原子力発電所の危機に関する日本政府による精密な調査の一貫として、2011年7月から11月まで13回に渡り行なわれた吉田所長に対する聞き取り調査の記録は、吉田所長の希望もありこれまで公開されませんでした。

しかし2年間に渡りその断片は漏れ続け、今年になってその記録の一部がまず、日本の自由主義を代表する新聞である朝日新聞に掲載され、次にそのライバルの保守派のサンケイ新聞が掲載しました。
2つの新聞は吉田首長の証言について、著しく異なる解釈をしました。

白煙を上げる現場
日本国内に残る50基の原子炉の再稼働に批判的立場を取る朝日新聞は、福島第一原発を運営する東京電力が本来ならあってはならない事故対応の誤りの証拠を証言の中に見出しました。
朝日新聞は証言の抜粋を掲載し、一連の爆発事故により敷地内の放射線量がピークに達した時、福島第一原発の720人の職員・労働者のうち650人が吉田所長の指示に従わずに現場から避難したとする解釈を行いました。
そして東京電力は公式の報告書において、この一連の出来事に関する記述を行なわなかったと報じました。

これに対しサンケイ新聞は同じ抜粋を掲載し、そこにあったのは命令違反では無く、混乱の中での指示の誤認であったとしました。
そして吉田所長の真意は伝わっておらず、後になって所長自身職員が10キロ離れた場所にある福島第二原発に職員が避難した事の妥当性を認めていると伝えました。
そして朝日新聞はその原子力発電に反対する立場から、故意に誤解させるような報道を行ったと批判したのです。

福島第一原発の事故現場でいったい何が起きていたか、その事に関してはこの3年間激しいやり取りがあり、両陣営の主張がかみ合う事はありませんでした。
一方は事故の発生原因を原子力産業界と政治家の間の不適切な関係が生んだものだとし、他方は事故の責任を他に転嫁しようとし、その矛先が向けられたのが2011年当時首相を務めていた菅直人氏でした。

FR24 破壊された福島第一原発
現在は原子力発電に反対する運動の先頭に立つ一人である菅氏は、事故当時東京電力が6基の原子炉と7か所の使用済み核燃料プールを放棄・撤退を検討していた際に、それを諌止したとされています。
菅氏は福島第一原発の事故が制御不能に陥ることにより、東日本全域が人が住めない場所になってしまうことを何より恐れたと、後に語っています。

これに対し東京電力は事故現場を放棄して撤退することを検討したことは一切なかったと否定しています。

サンケイ新聞は、菅前首相がその権限を越えて介入を行ったために福島第一原発の危機が一層悪化したとする主張を裏付けるものとして、録音された吉田所長の発言を引用しました。

吉田所長が菅前首相を快く思っていないことは、その記録からも明らかです。
しかし吉田所長は危機が続いている間、公衆の面前から姿を消してしまった上司をも批判しています。
清水正孝、当時の東京電力の社長です。

圧力が強まる中、日本政府は吉田所長の証言記録のほとんどを公開することに同意しました。

先週取材に応じた菅前首相は、証言記録が明らかになれば、事故に対する菅氏自身の見解の内容が裏付けられることになるだろうと語りました。

101300
いずれの陣営も一点においては見解を同じくしています。
ヘビースモーカーであり、昨年食道がんで亡くなった吉田所長は優れたスタッフに支えられ、団結して危機に立ち向かったという事です。

吉田所長の死後、菅氏はこうツイートしました。
「吉田所長の指導力、そして決断力に敬意を表します。」

http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-see-supermoon-other-super-sights-n192001
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私も新聞に掲載された吉田所長の証言記録の一部を読みましたが、つくづくやりきれないと思ったのは、吉田氏が『いったんは東日本全域の壊滅を覚悟した』というくだりでした。

福島の隣県で生活する人間として、一体いつ私は自分の生殺与奪の権利を東京電力などという一企業に渡してしまったのか?

家族全員が充実した人生を送ることが出来るよう、日々積み重ねてきた努力を無にする権利を、私は東京の電力会社に与えたのだろうか?

何十年も住宅ローンを支払って手に入れた自宅も含め、自分の一切の財産を台無しにしてしまう力を持つものの出現をなぜ許してしまったのか?

吉田所長が英雄かどうかは置いておき、3,000万の人間が瞬時にその人生を台無しにされてしまう可能性が現実に発生しました。
その事実の計り知れない重みについて、日本という国はどこまで理解し、反省しているのでしょうか?

※調書の詳報が新聞紙上に掲載されました。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201409/20140911_73048.html

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【 今月の宇宙傑作写真 】《2》

アメリカNBCニュース 9月1日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

SPC06
オービタル・サイエンス社のキグナス貨物衛星の軌道投入を準備する、国際宇宙ステーションのロボットアーム。キグナス貨物衛星は約一カ月間国際宇宙ステーションに接続され、約1.5トンの貨物を降し、代わりにゴミを積んで帰ることになっています。(写真上)

8月17日、国際宇宙ステーションから切り離された2日後、大気圏でバラバラに分解し、燃え尽きるキグナス貨物宇宙船。
実はキグナス貨物宇宙船は地球に帰還するようには設計されていません。
その代り地球への再突入の際、燃えてすべてが無くなるように設計されているのです。(写真下・以下同じ)
SPC07
8月24日に公開されたこの写真は強力な超新星爆発の破壊パワーをNASAのシュピッツァー宇宙望遠鏡、NASAのチャンドラ天文台X線望遠鏡、そして欧州宇宙機関のXMM-ニュートンからデータのデータを合成して、表現したものです。
雲のように見えるのは爆発の衝撃波です。
この超新星爆発そのものは3,700年前に地球で目撃されたはずです。
このパピスAと名づけられた超新星の残骸は地球からおよそ7,000光年のかなたにあります。
SPC08
8月18日に国際宇宙ステーションの船外作業をしながら、カメラに向かって手を振るロシアの宇宙飛行士。
5時間11分に及ぶ船外活動をこなし、小型化学探査衛星を無事軌道上に載せました。
SPC09
7月26日の夜のイベリア半島。中心部でひときわ明るく輝くのはスペインの首都、マドリッド。
このように明快な地球の夜景写真が撮影できるようになったのは、2012年に欧州宇宙機関が国際宇宙ステーションの設置した『ナイトPod』のおかげです。
SPC10
http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-see-supermoon-other-super-sights-n192001

【 巨額の軍事予算を要求、日本の防衛省 】ECO

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10年間続いた防衛予算の縮小を一気に覆し、軍備拡張路線を走る安部政権
巨額の軍事支出により財政が疲弊した米国に代わり、軍事費の支出拡大を続ける日本
これ以上軍事予算を拡大させ続けても、日本一国では中国に対抗しきれなくなる可能性

エコノミスト 9月1日

安倍02
現在の安倍首相は当時の民主党政権時代、長期的に低下を続けていた日本の軍事予算を再び増額すると公約し、2012年政権の座に返り咲きました。
その誓約は確実に実行されています。 
8月29日、日本の防衛省は、2015会計年度の防衛予算について2014年度比で3.5%の増額、金額にして5兆5000億円(530億ドル)という記録な額の概算要求をしました。

国会がこの予算要求を承認すれば、防衛予算は3年連続の増額となり、安倍政権誕生以前まで10年間続いた防衛予算の縮小が完全に覆されることになります。

今回の予算の中、具体的購入品目として3機の無人機、20機の偵察機、6機のF-35ステルス戦闘機、潜水艦、そして遠隔地の無人島への軍事基地の建設が含まれています。
これらの購入品目について小野寺五典前防衛大臣は、特定の事態に対する軍事行動を想定したものではないと語っています。
この支出は飽くまで日本の防衛体制の「メンテナンス」の一環であると語っています。
この多額の支出に対し、中国はもちろん違う見解を持つことになるでしょう。

秘密保護法07
今回の防衛力増強の主目的は、中国との間で領有権を巡る抗争がこう着状態に陥っている東シナ海の無人島群『尖閣諸島』(中国名ダイユー列島)に、中国が武力攻撃を仕掛け上陸することを阻止することです。

日本の最新の防衛白書は中国の艦船と航空機による同諸島周辺海域での「危険な活動」、すなわち日本を交渉のテーブルに着かせるためのリスクの大きな挑発行為について再び言及しました。

今年始め小野寺防衛大臣は、領有権争いが続く尖閣諸島から約150キロ離れた与那国島に100人のからなるレーダー部隊を派遣していることを明らかにしました。

最新では同じ南西諸島の奄美大島に約550人の部隊を配置する計画がある事が明らかになりました。 防衛省はさらにアメリカ海兵隊を見習い、2019年までに海陸両用の戦闘能力を確立することをめざしており、離島が敵の手に落ちないよう態勢の整備を急いでいます。

こうした軍事予算の急速な増額の背景にあるものは、中国の軍事力の伸長拡大に対する懸念以上に、アメリカの軍事的存在感の急激な減退です。

日米艦船
今年始め、安全保障問題に関する安倍首相の補佐官を務める礒崎陽輔氏は、米国の威信低下を予測し、その影響が日本にどう及ぶかについてこう語っていました。
「有り体に申し上げて、アメリカには最早世界の警察官の役割を果たすだけの余裕は無くなっている。」
読売新聞が後援した保守派のセミナーで、磯崎氏はこのように語っていました。
「国土防衛に関してはすべてアメリカ任せにして、日本自身が何もしなくて良い時代ではなくなったのです。これからはアメリカと協力しながら日本が応分の負担をしていくことが大切なのです。」

石破茂自民党元幹事長は、同様の見解を長く持ち続けてきました。
「中国の軍事予算は二桁の成長を続けており、その分中国の存在感が大きくなり、それと反比例してアメリカの影響力が低下を続けているのです。」

世界中の武器の輸出入を追跡調査しているストックホルム国際平和研究所によると、世界的な軍事支出は昨年は1.9%低下し、約1兆7,500億ドルになりました。

しかしアジア・オセアニア地区の軍事費に限っては、中国が2013年に約1880億ドルを支出して7.4%増加させたため、3.6%上昇しました。
安倍首相とその政権は、この傾向に後れを取ってはならないと固く決意しています。

ASEAN2013
国際政治学者で極東アジアの安全保障の専門家である政策研究大学院大学の道下徳成(なるしげ)准教授は、今や世界で2番目の規模になった中国経済は洗練の度を増し続け、軍備についてもすべて自前で調達できるまでになっていると語りました。
そしてこれ以上軍事予算を拡大させ続けても、日本一国では対抗しきれなくなる可能性があると語りました。
「私たちはNATOのアジア版とも言うべきものを整備する必要があるかもしれません。ただし、NATO程の拘束力や細かな規定は必要無いと思います。肝心なことは中国を除外することです。」

http://www.nbcnews.com/science/space/month-space-see-supermoon-other-super-sights-n192001
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国土が島国であるせいか、日本人は広大無辺とも言うべき国土と13億を超える人口を持つ国家と戦争するという事がどれ程無謀な事か想像できないのではないか、と考えさせられる事例に度々遭遇します。

当時の中国の人口は13億などではありませんでしたが、太平洋戦争(第二次正解大戦太平洋戦線)でも部分部分の戦闘では勝利しても、戦争そのものには勝つことは出来ませんでした。

こんなことを言えば現在想定しているのは尖閣諸島という限定的な地域紛争であり、全面戦争などではないと言うかもしれませんが、『限定的紛争』が全面戦争に発展した例など枚挙にいとまがありません。
始めてしまったらこちらの思う通りになど展開しない、それが戦争です。

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【 今月の宇宙傑作写真 】《1》

アメリカNBCニュース 9月1日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

SPC01
8月24日NASAの太陽活動観測システムが捕えた中規模の太陽面爆発(左側)。
太陽面暴発は地球の通信と送電網を破壊する程の威力がありますが、この爆発による電磁波は地球には向かってきませんでした。(写真上)

NASAの宇宙飛行士スティーヴ・スワンソンは国際宇宙ステーションから、オーロラが渦巻く様子をとらえた劇的な写真の撮影に成功しました。写真の上部の茶色の物体は国際宇宙ステーションのロボットアームです。
この写真は、8月27日にツイッターで公開されました。(写真下・以下同じ)
SPC02
8月12日スペインのシエラノルテ・デ・マドリード山脈の上空のペルセウス座流星群流星を多重露出を使って撮影した写真。
毎年8月、地球がスイフト-タットル彗星が残した破片やチリの中を通過する際、ペルセウス座流星群を見ることが出来ます。
SPC03
8月3日国際宇宙ステーションからドイツの宇宙飛行士アレキサンダー・ガーストがツイッター上に公開した写真。
南アメリカのアンデス山脈の山の上に雲が浮かんでいる様子です。
SPC04
8月10日カナリア諸島のテネリフにあるカナリア天文研究所越しに見るスーパームーン。
この日満月と地球の間の距離が最も近くなり、年間で最も大きく明るいスーパームーンが観測されました。
SPC05

【 命あるものの姿が消え、不気味に静まりかえる、人々の希望が消えた町 】CBS

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『原子力、明るい未来のエネルギー』見渡す限り、そんな現実はどこにも無い
原発が経済的繁栄にいかに貢献するか、そんな話ばかりさんざん聞かされてきた、その挙句の果ての現実…
ゲンパツの効用を力説した人間たちが、中間貯蔵処分場問題という原発が出した核のゴミに追いつめられている

セス・ドーン / アメリカCBSニュース 8月29日

CBS04
福島県双葉町。
自宅に戻る際、斉藤修一さんは放射線から身を守るため、毎回必ず放射線防護服を着用しなければなりません。
「私たちは年間15回を上限に戻ることが出来ます。」
3年前、台風の襲来によって放射能汚染水漏れが起き、危険な状態に陥った場所にある自宅に戻る際のことについて、斎藤さんがアメリカCBSニュースの取材にこう答えました。
「しかし私の自宅は家屋も庭も荒れ果ててしまい、一面に雑草が生い茂っており、憂鬱な気分にさせられます。」

斉藤さんが車で自宅に近づくと、身に着けていた放射線計測装置が警報音を鳴り響かせました。
そして斉藤さんはCBSニュースのスタッフにある看板を見せるため、運転していた車を脇に寄せて止めました。
その看板にはこう書かれていました。

『原子力、明るい未来のエネルギー』
見渡す限り、そんな現実はどこにもありません。

NBC 7
福島第一原発が事故を起こしてから3年以上が経過しましたが、町の中に人の姿は無く、不気味な静寂に満ちています。

「私たちは原発が町の経済的繁栄にどれほど貢献しているか、そんな話ばかりさんざん聞かされてきました…」
「そして挙句の果てが、この現実でした。」
斉藤さんが人っ子一人いない無人の駅舎でこう語りました。

「原発の効用を語っていた人々は、今度はこの場所に放射性核廃棄物の中間貯蔵施設を建設しようと、その話し合いを行っています。」
その中間貯蔵施設は斎藤さんの自宅からちょうど1マイル(約1.6キロ)の場所に建設することが検討されています。

福島第一原発の事故の後、除染作業によって汚染された地面から削り取られた放射能汚染土が何百万トンも発生しましたが、日本国内にはそれを保管しておくだけの充分な広さを持った土地がありません。

今日、この有毒な放射性廃棄物を詰め込んだ無数の袋が、車道に沿って積み重ねられています。

「政府は被害にあったひとりひとりとは、直接関わろうとはしませんでした。」
斉藤さんがこう語りました。

NBC24
斎藤さんの財産のほとんどは、12代続いたその家系の中で築かれたものでした。
斉藤さんは高価な着物を含め、かつての大切な財産が無残な姿をさらしている様子を見せてくれました。

次に斉藤さんは生い茂った雑草をかき分け、かつてホウレンソウを大切に育てていたビニールハウスに私たちを案内しました。
今日、その場所は雑草が生い茂る、捨てられた場所でしかありません。

斉藤さんは自宅を去る前、ちょっとした手入れを試みました。
家の周りに除草剤を手撒きしたのです。
今できる、数少ないことのひとつなのです。

http://www.cbsnews.com/news/three-years-later-fukushima-radiation-leaves-towns-eerily-empty/
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アメリカCBSニュースは福島第一原発の事故の被災者の方々の現状を、『人間の悲劇』として繰り返し伝えています。
【 時の中で凍りついたまま、核廃棄物だらけにされた町 】( http://kobajun.biz/?p=18234 )など。
英国のザ・ガーディアンやザ・インデペンダントなどが、福島第一原発の作業員の悲劇を繰り返し伝えているのと、対照的と言えるかもしれません。

いずれにせよ、福島第一原子力発電所は数限りない『人間の悲劇』を作りだしました。
この視点からも、原子力発電所の再稼働問題を再検証する必要があると思います。

明日7日(日)は掲載をお休みいたします。
よろしくお願いいたします。

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【 福島の記憶、3年という月日 】

アメリカCBSニュース 8月29日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

CBS01
宮城県南三陸町の小学校で、犠牲者の冥福を祈るこどもたち。2014年3月11日。(写真上)

被災地で回収され、修復され元の持ち主を探すため体育館に掲示された写真を、虫眼鏡を使って確認する男性。宮城県仙台市。2014年3月10日。(写真下・以下同じ)
被災地で回収され清掃された後で、元の持ち主を探すため体育館に並べられたランドセル。宮城県仙台市。2014年3月11日。
CBS02
日本の原子力発電の拡大を推進した経済産業省前で、抗議活動を行う人々。2014年3月11日。
CBS03
東京都内に作られた東日本大震災の犠牲者のための祭壇で、手を合わせる子供。2014年3月11日。
CBS05
多数の児童が犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校、犠牲者の名を刻んだ石碑を手でなぞる女性。2014年3月11日。
CBS06
犠牲者の例に祈る福島県浪江町請戸地区の人々。2014年3月11日。
CBS07

【 歴史と真摯に向かい合う事が出来なくなった日本 】WP

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侵略した事実について反省せず、戦犯の名誉を讃える日本の姿を目の当たりにさせられるアジア各国
日本は「軍国主義との決別」することにより、アジアの隣人との関係を再構築する必要がある

ワシントンポスト 8月28日

Abeno07
日本の歴代首相の中で最も保守的な一人である安倍晋三首相が今年初め、戦争犯罪人として有罪が確定した後処刑され死亡した1,000人を超えるA級、BC級戦犯として処刑された旧日本軍人の追悼法要に「自民党総裁」名で追悼文を送っていたことが明らかになった事を受け、中国、韓国の両国は日本が歴史と真摯に向かい合い、第二次世界大戦当時の侵略主義について充分な反省を行うように改めて求めました。

これに先立ち、日本政府の菅義偉官房長官は、安倍首相は日本国首相としてではなく、自民党総裁として今年4月29日、和歌山県高野町の高野山真言宗「奥の院」で行われた法要に追悼文を送ったものだと語りました。

AP通信が主催者側から入手した追悼文には、「自らの魂を賭して祖国の礎となられた昭和殉難者の御霊(みたま)に謹んで哀悼の誠を捧(ささ)げる」と書かれていました。

20世紀前半、日本の軍国主義のために様々な形での犠牲を強いられた多くのアジア諸国は、戦争中の日本の侵略主義を反省しようとせず戦犯たちの名誉を讃える日本政府の姿を目の当たりにさせられる事になりました。
今回の追悼文の中身が明らかにされた事で、歴史を歪曲する政治家として繰り返し安倍首相を批判してきた中国、韓国との関係がさらに悪化する事は避けられないかもしれません。

軍国主義 1
中国外務省は、日本は戦争中の侵略主義について真摯に反省する必要があり、「軍国主義との決別」することによりアジアの隣人との関係を再構築する必要があると述べています。
「侵略政策について真摯に反省を行い、アジアの近隣諸国と国際社会の信用を得るために確実な措置をとるとした、かつての日本政府の態度を支持するよう我々は主張する。」
中国外務省のスポークスマンは声明の中でこう述べています。

韓国外務省は、今回明らかになった安倍首相の追悼文は、太平洋戦争当時の日本の侵略主義について反省し謝罪するとしたかつての日本政府の発言に対し、深刻な疑問を持たざるを得ないとしています。
そして日本政府はアジア地区の平和に貢献し、韓国との関係を改善したいという公式声明を遵守する行動をとるべきだと語っています。

「我々は安倍首相が日本が第二次世界大戦時に犯した戦争犯罪に関し、国際社会が行った裁判とその採決を否定する趣旨の発言を繰り返し行っていることに、深い懸念を抱かざるを得ないのです。」
韓国外務省のスポークスマンは8月28日の記者会見の席上、こう語りました。

安倍靖国
日本と中国、韓国との外交関係は、安倍首相が250万人の日本人戦争犠牲者とともに14人のA級戦犯が合祀されている靖国神社に昨年12月に参拝したことにより一層緊張したものになりました。

首相就任以来1年半以上経過しましたが、安倍首相は中国韓国の指導者との首脳会談を開催できずにいます。

今年4月に高野山で行われた法要の席上、安倍首相が送った追悼文は参列者の面前で朗読されたと、主催者の事務方を務める中辻みどり氏がAP通信の取材に答えました。
中辻氏は安倍首相からは昨年も同趣旨の追悼文を受け取ったと語っています。
この法要は戦時中日本の首相を務め、極東軍事裁判によって死刑を宣告された東条英機を始めとする14人のA級戦犯を含む、1,180名の戦犯の名が刻まれた石碑の前で営まれました。

A級戦犯は極東軍事裁判において平和と人類に対する罪を問われ、有罪判決を受けました。
この裁判結果を日本が受諾することについては、サンフランシスコ平和条約の中で条文化されており、菅官房長官は日本政府がこの条約に調印したことにより国際社会に復帰したという認識を示しました。

極東軍事裁判
しかし安倍首相は極東軍事裁判において戦争犯罪者とされた人々は、日本の国内法における戦争犯罪者には該当しないと明言しています。

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/china-calls-on-japan-to-break-with-militarism/2014/08/28/546ffdbe-2e70-11e4-be9e-60cc44c01e7f_story.html
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今回の記事を訳し終え、改めてはっきりさせたいことがあります。
戦後しばらくたってからA級戦犯の『名誉回復』等については国会をはじめ、様々に取りざたされましたが、その際戦前、そして戦争中に民主主義、自由主義、あるいは社会主義などを唱えた人間を次々に逮捕、拘禁して拷問などによって死に至らしめた特高警察などの実行責任については、ほとんど顧みられることは無かったはずです。
この点については現在の安倍首相だけではなく、民主党の野田前首相も戦犯の名誉回復を強く主張していました。

これらの事実に関する参考文献を読んでいると、日本の政治の暗部にまさに暗然とさせられます。
昨日と今日、アメリカを代表するニューヨークタイムズとワシントンポストの記事をご紹介しましたが、世界の普遍的認識と最近の日本国内の認識のずれの大きさを感じないわけにはいきません。

明日9月5日(金)は掲載をお休みいたします。
よろしくお願いいたします。

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【 大量虐殺に遭遇させられる前のユダヤ人たちの暮らし 】〈2〉

ニューヨーカー 8月27日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

Juda07
ウクライナにあったイェシーバー(ユダヤ教の戒律について学ぶ学校)の外庭で。1937-38頃。(写真上)

宿代を浮かすために公園のベンチで寝るセールスマンの男性。東欧、1935-38頃。(写真下・以下同じ)
Juda08
廃墟となったフランスのマルセイユ。1947年。
JUda09
ツェーマッハ・シャバッド(リトアニアの医師、政治家)が虚弱な子供たちのために設営した施設で。
Juda10
家路につくユダヤ人のセールスマンたち。ウクライナ。1937-38頃。
Juda11
1900年から1920年ごろまで使われたアンハルター・バーンホフ駅舎の内部。ベルリン、ポツダム広場近く。
Juda12
ウクライナ、ウジホロドで料理の材料になるアヒルを抱える女性。1935-38頃。
Juda13
http://www.newyorker.com/culture/photo-booth/roman-vishniac-digital-archive

【 日本の首相、戦争犯罪人に『哀悼の意を捧げる』 】NYT

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数々の発言・行動は「安倍首相が軍国主義者の再来であることを、何より証拠立てるもの」
太平洋戦争における日本軍の行動について、一向に反省の念を表明しようとはしない安倍首相

 

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 8月27日

安倍 1
日本の歴代首相の中で最も保守的な一人である安倍晋三首相が今年初め、戦争犯罪人として有罪が確定した後処刑され死亡した1,000人以上のA級、BC級戦犯として処刑された旧日本軍人の追悼法要に「自民党総裁」名で追悼文を送っていたことを、8月27日日本政府のスポークスマンが確認しました。
この事実は周辺諸国、とくに第二次世界大戦中、日本軍の戦争犯罪の最大の被害者であった中国との外交関係を一層悪化させる可能性があります。

日本を代表する新聞のひとつである朝日新聞がこの事実を最初に報道しましたが、記事によれば安倍首相は処刑された戦犯を「昭和殉難者」として追悼する式典に、「自らの魂を賭して祖国の礎となられた昭和殉難者の御霊(みたま)に謹んで哀悼の誠を捧(ささ)げる」
との追悼文を寄せました。

菅義偉官房長官はこの報道が事実であることを認めましたが、安倍首相は日本国首相としてではなく一民間人の立場でこの追悼文を寄せたものだと語りました。
しかしこの追悼文に架かれた署名は、日本で政権をとる自由民主党総裁というものでした。
法要は今年4月29日、和歌山県高野町の高野山真言宗「奥の院」で行われ、処刑された戦犯を「昭和殉難者」として追悼し、記事によれば安倍首相の追悼文は参列者の前で読み上げられました。
安倍首相は法要そのものには参加していません。

安倍02
この法要は毎年開催されていますが、日本国内ではあまり知られていません。
第二次世界大戦終了後、連合軍によって行われた軍事裁判において処刑あるいは獄死した1,180人を追悼するものです。

この軍事裁判所は戦後アジア各地で開設され、日本軍が戦争中に行なった虐殺、強姦、連合軍捕虜の虐待や殺害などの罪を問い、日本軍将兵や軍関係者に有罪判決を下しました。

この法要を共催した旧陸軍関係者や自衛官OBで作る「近畿偕行会」は、日本の右派の多くがそうであるように、連合軍による軍事裁判は勝者の正義以外の何物でもないとし、判決は不当なものであるとの見解を有しています。
法要は処刑された戦犯を「昭和殉難者」としてその名前を刻んだ記念碑の前で開催されました。
昭和は前代の昭和天皇の在位期間を表しています。

24日水曜日、菅官房長官は日本は1952年のサンフランシスコ平和条約の調印の場で裁判を受諾しており、安倍首相の追悼文寄稿は日本政府とは無関係であるとの立場を強調しました。

第二次世界大戦04
今回の追悼文の言い回しには慎重な配慮がなされていますが、安倍首相はかつて第二次世界大戦における日本が侵略者であるとする見解に、公然と疑問を呈しました。

昨年開催された議会の予算委員会の席上、安倍首相は太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)においては、勝者となった連合国側の見解が押しつけられたため、日本だけが一方的に戦争犯罪の罪を問われることになったと語りました。

こうした発言は日本の戦時帝国建設の最大の犠牲者となった中国の格好の標的となり、安倍首相が軍国主義者の再来であることを何より証拠立てるものだとの批判を招く結果なりました。

これまで中国は安倍首相が太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)における日本軍の行動について一向に反省の念を表明しようとはしないことにいら立ち、怒りに満ちた反応を繰り返してきました。
2週間前には人道に対する罪で有罪判決を受けた14人の戦時指導者が合祀されている靖国神社に玉串料の名目で現金を寄付し、この時も中国側の批判を招いています。

中国外務省は、戦犯追悼式典に追悼文を贈った安倍首相を批判する公式声明を公表しました。

安倍靖国
「我々は日本側に対し、戦時中の侵略行為を反省するという誓約を順守するよう求めます。」
中国外務省の報道官はウェブサイト上でこのように述べています。
中国側を怒らせたことにより、安倍首相が求めている習近平国家主席との首脳会談はまたも実現の機会を奪われることになりました。

今回の出来事は両国関係のさらなる悪化を懸念させることになりました。
日中関係は東シナ海に浮かぶ無人島、尖閣諸島で暗礁に乗り上げたままになっています。


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私個人は太平洋戦争を行っていた日本について、海外での侵略行為もさることながら、国内において長く恐怖政治を行い、国民を苦しめつづけたという点において許せないと考えています。
考えてもみてください、「戦争反対!」と公言しただけで、体制に迎合する連中から『非国民』『売国奴』などと罵られた挙げ句、特高警察という秘密警察に連行され、拷問され、悪くすればそのまま殺される時代を。
一部の人間が企図した『遅れてきた帝国主義=侵略政策』に国民が服従することを強制された時代、それが世界的な『普遍性のある』解釈です。

安倍首相の中では国民を圧殺した罪を問われた者が「昭和殉難者」であるようですが、戦争反対や平和主義を訴えて投獄された人間は何なのでしょう?

太平洋戦争当時、成年男子は『大義なき戦争』に駆り出され、勝利の可能性が消滅した末期には玉砕や特攻などの理不尽な死を強制されました。
残された女性や子どもたちの多くが空襲による焼死、爆死、そして満足に食べるものも無いための餓死に見舞われました。

そんな日本を『取り戻す』事など許したら、私たち国民は再び不幸、理不尽、絶望の縁に追い込まれてしまいます。

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【 大量虐殺に遭遇させられる前のユダヤ人たちの暮らし 】〈1〉

ニューヨーカー 8月27日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

Juda01
国際写真術センターは米国のホロコースト・メモリアル博物館との共同の事業として、ロマン・ビシュニャックの膨大な記録写真の電子データを公開することになりました。

1897年にロシアで生まれたビシュニャックは、アメリカ国内のユダヤ人団体の依頼により1935~1938年に東ヨーロッパのユダヤ人の生活を写真に記録する作業を行いました。
これまで閲覧が可能だったのはこのうちのわずか350点ほどでしたが、新しいデジタル化された記録写真はこれまで未公開だった約1万点を含んでいます。 それは
「ホロコーストによって大量虐殺されてしまったユダヤ人の、東部ヨーロッパにおける生活を記録した最も広範な記録」なのです。

リトアニア、カルパティア地方の村の長老。写真はいずれも1935~38年に撮影されたもの。(写真上)

本を一緒に読む子供たち。(写真下・以下同じ)
Juda02
ワルシャワ市内の祖父と孫娘。
JUda03
1938年10月末、ついにナチス・ドイツによるユダヤ人の強制収容が始まりました。
手始めに彼らはまず、ポーランドのズボンシンにある軍のバラックに強制収容された。
Juda04
牛とたわむれる若い男性。
Juda05
行進するナチスドイツの兵士。
Juda06
http://www.newyorker.com/culture/photo-booth/roman-vishniac-digital-archive

【 つまずき続ける日本の原子力発電、疑問を突きつけられる再稼働 】《後篇》WP

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もはや日本全体の市民感情としては原子力発電の廃止に向かうべき、しかし安倍政権は再稼働を推進
燃料価格高騰を招いている大きな原因は『アジアプレミアム』、そして円安誘導政策
再稼働による経営改善は一時的、旧型原子炉の巨額の廃炉費用のねん出には見通しを立てられず

ダニエル・オルドリッチ、ジェームズ・プラット / ワシントンポスト 8月15日

no more 05
もはや日本全体の市民感情としては原子力発電の廃止に向かうべきであるにもかかわらず、安倍首相率いる政権は原子力発電を支持、この春には国内の既存の原子炉を再稼働させるとするエネルギー政策の実施を公表しました。
この政策は原子力発電への依存を減らし、再生可能エネルギーの技術開発を推進すると謳っていますが、具体的な数値目標には一切触れず、将来のエネルギー計画についても何も明らかにしませんでした。
日本のこうした不明確なエネルギー事情が求める対価を支払っているのが電力会社、そして一般消費者です。

国内の全ての原子炉が2011年から2012年にかけて順次停止し、以降一時的な例外を除いて完全に停止したため、日本は化石燃料、特に液化天然ガスを輸入して火力発電に頼らざるを得ませんでした。
経済産業省によれば、2010年に全電力に占める輸入燃料による火力発電の割合は62パーセントであったのに対し、2013年には88パーセントを占めるに至りました。
2010から2013年にかけ、一般消費者向けの電気料金は19.4パーセント、産業用電力の場合は28.4パーセントの価格上昇に見舞われたのです。

事態をより一層悪化させているのが、いわゆる天然ガスに関わる『アジアン・プレミアム(アジアプレミアム)』の問題です。
BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)社によれば米国での主要取引ハブ、Henry Hub(ヘンリー・ハブ)における天然ガスの価格は2ドル76セント/100万BTU(英国熱量単位)であるのに対し、日本の輸入価格は16ドル75セントという高さです。
そして今年2月には20ドル12セント/100万BTUという高値の最高を記録しました。
そして日本による円安誘導の外貨政策がその事態を一層悪化させたのです。

廃炉09
この結果、原子力発電所を所有する日本の全ての電力会社が財政的に苦しくなり、2011年以降多額の損失を計上し続けています。
東京電力は経営破たんを回避するため国有化されました。
そして4月、国営の日本政策投資銀行は九州電力社と北海道電力社に併せて約15億ドル(1,500億円)の株式投資を行なう事を発表しました。
九州と関西電力社は両社とも昨年、9億ドル(約900億円)以上の損失を計上しました。

最終的な問題、それは何基の原子炉がいつ再稼働されるかという事です。

日本の原子力規制委員会は九州電力・川内原発を含め現在17基の原子炉の安全審査を行っていますが、その作業が完了すれば追加でさらに多くの原子炉について安全審査を行うことになると見られています。

それぞれの原子力発電所の安全審査に数カ月ずつかかると仮定すれば、原子炉の再稼働に関する論争は2~3年間続くものと思われます。

2020年末、日本では13基の原子炉が稼働許可年限の40年を迎えることになります。
そして2025年末にはさらに10基の原子炉の稼働許可が期限切れになります。

原子炉建屋
原子力規制委員会が稼働許可年限の延長を認めない限り、このうちの大部分の原子炉がそのまま廃炉になると仮定するのが当然の見方といえます。
これに対しある人は地方自治体、あるいは原子力規制委員会が比較的新しい原子炉について再稼働を認めないことにならない限り、今後5年前後で25基から30基の原子炉が再稼働することになると見ています。

しかし仮にいくらかの原子炉を再稼働させることにより電力会社の経営が一時的に改善されても、福島第一原子力発電所世代の原子炉、国内の原子炉の約半分を廃炉にするための巨額の費用をどうするのかという、重要な問題が残ります。

自民党と実業界のリーダーたちは原子力発電復活への野心をたくましくしていますが、その前途は長く、そして困難に満ちています。

〈 完 〉

※ダニエル・オルドリッチはパーデュー大学の準教授で、同大学の選抜指導者のひとりで、『Site Fights and Building Resilience』の著者です。
ジェームズE.プラットは、ホノルルにある太平洋フォーラムCSISの給費研究員です。
彼は日米市民による原子力 – 核問題に関する運動と北東アジアの安全保障問題についての研究を行っています。

http://www.washingtonpost.com/blogs/monkey-cage/wp/2014/08/15/after-the-fukushima-meltdown-japans-nuclear-restart-is-stalled/
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いかがでしたでしょうか?
この記事は語り口がきびきびしている分、日本政府や現政権が原子力発電に固執することの不自然さや動機のいかがわしさがかえって際立つことになった、翻訳した人間としてはそんな感想を持ちました。

原子力発電に関し私たち日本人は、すでに深刻な問題を処理しきれない程数多く抱え込んでいます。
これ以上の悪化は将来の日本の危急存亡に関わってきます。
危急存亡という表現は決して大げさではありません。
この国が最も愚かな選択をすることにならないよう、声を挙げていきましょう。

明日9月2日(火)は掲載をお休みいたします。
よろしくお願いいたします。

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【 地球上で最も高齢の人々が集う場所 】
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

ニューヨーカー 2014年8月25日

長野01
平均すると日本の人々は世界のどの国よりも長い人生を送ることになります。
そしてその日本の中で長野県の人々が最も長い人生を送っています。
日本の男性の平均寿命は80.9年ですが、長野県の女性は平均87.2年の人生を生きています。
カメラマンのジェームズ・ホイットロウ・デラノは、長生きしている人々の日常の光景をとらえ、その理由を探ろうと長野へと旅立ちました。

母親の食事の準備で、味噌汁の塩分を測定する女性。(写真下・以下同じ)
長野02
第二次世界大戦の従軍経験を持つ96歳の男性。
長野03
畑の草取りをする90歳の女性。
長野04
長野県須坂市の女性とその飼い犬。
長野05
山田温泉で健康に良いとして売られている自然食品。
長野06
http://www.newyorker.com/tech/elements/slide-show-oldest-place-earth

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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