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「子供を生まないカップルは『身勝手』」自民党幹事長が放言

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自民党の二階幹事長は低出生率が続いている日本で、子供がいない人々を一方的に批判

安倍政権に少子化問題の本質を理解し解決策を考える資質はあるのか?

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年6月27日

枢要な立場にある日本の政治家は、子供を持たないと決めた夫婦を「利己的」と批判し、戦後のベビーブームを引き合いに出し、数多くの子供達を産み育てることの困難さを子供を産まない理由にすべきではないとの持論を展開しました。

 

人口動態に関する調査の結果、日本の人口は今後数十年間に劇的に減少するとの警告が発せられたことを受け、保守派の政治家である自民党の二階俊博幹事長は、国民に子供を増やすよう促しました。

「戦中戦後の人々は飢えに苦しみながらも、何かと苦労が多いから子供を生まないようにしようと言った人はいませんでした。」
二階氏は東京での会見でこう語りました。

「ところが最近では、子供を産まない方が幸せなんじゃないかなどと勝手なことを考える人々が現れています。」

 

安倍首相は出生率の引き上げと職場に進出する女性の数を増加させることを公約しましたが、安倍政権は必要なだけの保育所を整備するという公約を守ることができないままです。

最近の調査では日本の親の70%が子供をもっと欲しいとかいとうしていますが、経済的な心配や仕事と家庭生活のバランスをとることが難しいなどの理由から、これ以上家族の数を増やすことを断念せざるを得ない状況にあります。

野村総合研究所の最近の報告によると、未だに34万8,000人近くの子供たちが保育所への入所を拒否されており、今後5年間で25歳から44歳の働く女性の割合を80%にまで引き上げるという安倍首相が打ち出した目標はそう簡単に達成できるものではなさそうです。

 

二階氏は日本の夫婦にもっと子供を生むよう批判的な態度をとる自民党内の政治家の一人です。
今年5月には、同じ自民党の加藤寛治衆院議員は派閥の会合で日本人女性は複数の子供を産むべきであり、結婚せずに子供を一人も生まない女性の後半生は国家の負担でしかないと攻撃しました。

 

さらに同じ5月後半には安倍内閣の官房副長官を務めた萩生田光一自民党幹事長代行が子育ては女性の仕事であり、父親によって育てられれば子どもの正常な発達が損なわれる可能性があるとの発言を行いました。

「「男女共同参画」「男も育児」だとか格好いいことを言っても、子どもにとっては迷惑な話。」
萩生田氏はこう述べました。

 

昨年約94万1,000人の子供が日本で生まれましたが、粉の数字は1899年に記録が始まって以来最も低いものになりました。
日本では夫婦がより多くの子供を生むよう財政面その他の支援策が導入されていますが、出生率は低迷を続けています。

国連の人口統計年鑑によれば日本の人口全体に占める子供の割合は12.3%と、人口4,000万人以上の世界32カ国のうちで最も低くなっています。

 

https://www.theguardian.com/world/2018/jun/27/childless-couples-are-selfish-says-japanese-political-chief

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二階氏の発言はこの後、

「食べるのに困るような家はないんですよ。実際は。」

と続くようですが、今は

「食うのには困らないだろうから、子供作ろうか!」

と言えるほど単純な世の中か?

と思います。

 

親は生まれてきた子供にできるだけのことをしてあげたい、とえるのが人間、というよりは生物としての本然です。

そうなれば当然教育、住環境、被服や食生活、そして現代社会では『安全』ということを真剣に考えなければなりません。

 

何れにしてもコストがかかります。

私は昭和30年代に地方都市で生まれ育ちましたが、当時は地域社会が子育ての担い手のひとつというメカニズムが自然に存在していたように思います。

 

忘れられない光景があります。

私が小学生低学年の頃、夕暮れ時に店や住宅が密集する地区の生活道路を歩いていたら、見知らぬ男性に声をかけられ道を聞かれました。

私が答えていると、近くで立ち話をしていた白い割烹着をきた主婦が3人バラバラと駆け寄ってきて、厳しい口調で私に道を尋ねた男性の追求を始めたのです。

「あんた、誰?」

「あんたどこの人?」

「この子に何の用なの?」

 

結局道を尋ねていただけだとわかり、無事散会となりましたが、当時は「おとなであれば身近にいる子供を守るのは当然」という意識を当然のように、基本的に誰もが持っていたのだと思います。

道で転んで怪我した子供がいれば、近くの家の人が治療してあげるのは当たり前の対応でした。

経済的に恵まれない家の子供たちに、何気なく援助の手を差し伸べるのも日常的行為の一つでした。

 

こういう世の中であれば、若いカップルも子供を産み育てるということに前向きな気持ちを持つことができるかもしれません。

そのメカニズムを壊したのが自民党の産業効率最優先政策というべきものであり、都市部における労働力確保のため、米作農耕民族伝統の三世代同居型の日本の家族構成を解体し、『核家族』といわれる世帯構成に置き換えて来ました。

 

その結果、母親にかかる子育ての重圧はかつてないほど大きなものなってしまいました。

 

安倍政権が成立に躍起になっている現在の『働き方改革法案』なども、さらにこうした母親たちを追い詰める条件を増やすだけだと思います。

要は安倍政権の『少子化対策』など看板だけのものであるということです。

だから二階発言のように

「悪いのは俺たちじゃねえよ、おまえらだろ。」

という趣旨の発言が繰り返されているのだと思います。

 

二階、安倍、麻生などという人間の蒙昧さを批判しても、現代日本社会の母親の負担は減りません。

彼らは問題の本質を理解し解決策を考える資質は持っていません。

ただし、記事中にある保育所の設置や支援態勢の整備は公約通り早急に実現してもらわなければなりません。

それは北朝鮮のミサイルを迎撃するため高額な兵器を購入・配備するよりも、もっと緊急の課題であるはずです。

 

【 定刻より3分早く昼休みを取り、処分された自治体職員 】

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記者会見を開き、従業員の「誠に遺憾な」行動について謝罪した自治体の幹部職員たち

会社に対する忠誠心を表すためにやみくもに長時間の労働を行うという日本の労働社会

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年6月21日

ひとりの公務員が弁当を買うために『常習的に』数分早く席を立っていたことについて処罰された後、仕事と生活のバランスについて問題が多発している状況を受け、働き方改革を行うとしている日本政府の取り組みについて、疑問が突きつけられています。

 

神戸市水道局の職員(64)は、7ヶ月間に合計26回昼休みの3分前に席を立ったことが判明した後、誡告と減給の処分を受けました。
これについて幹部職員はテレビの記者会見で、処分された職員の行為を「誠に遺憾である」と表明し、謝罪しました。

 

神戸市水道局の広報担当者はAFP通信の取材に対し、「昼休みは正午から午後1時までと決められており、この職員は休憩時間になる前に離席していました。」と答えました。

 

同局はこの労働者は公務員に対し「仕事に専念する」ことを要求する公共サービス法に違反していたとしています。

 

現地メディアは、国会議員が日本の労働者が長時間労働を強いられている問題に対処するためとされている法律を可決した直後、この事件を報道しました。

 

今年5月衆議院は、過労死によって死亡する労働者の数が増加していることを受け、毎月時間外労働を100時間までとする法案を可決しました。

日本最大の広告会社「電通」で働いていた24歳の高橋まつりさんが2015年、土日の休日出勤も含め一ヶ月に100時間以上の時間外労働を強いられた挙句自殺したことを受け、日本政府は国内で噴出した批判や抗議に対処せざるを得なくなりました。
高橋さんの事件は、会社に対する忠誠心を表すためにやみくもに長時間の労働を行うという日本の労働社会のあり方に、一石を投じることになりました。

 

2016年に初めて作成された過労死に関する白書の中で日本政府は、5人に1人の割合で労働者が過剰労働の危険にさらされていると述べています。

ソーシャルメディアのユーザーはいち早く反応し、とりあえず神戸市水道局の職員を弁護する書き込みが多くみられ、1人のツイッターユーザーは自分も平均して週間に1回は定刻前に離席しているとツイートしました。

他には喫煙やトイレに行くために離席した人々にも、こうした罰則が適用されることになるのかという疑問を提示した人々もいました。

1人がこう書き込みました。
「国会中継に映し出されている議会で居眠りしている政治家たちはどうすべきだろう?全員解雇されるべきではないのか?」

 

この職員の弁当を手に入れるための『違法行為』は、責任者が窓から外を眺めた際、昼食用の弁当を販売しているレストランに入ろうとする姿を目にしたことから『発覚』しました。

Sora News 24が報じたところでは、職員の上司の管理職は彼が規定より早く離席した時間が通算でどれだけになったかを計算し、約半日分の給与を言及する処分を行いました。

この職員の氏名は明らかにされていませんが、定刻より早く離席した理由について「気分転換が必要だと感じたから」だと答えています。
神戸市はつい最近、約6ヶ月間に55時間以上無断で持ち場を離れたとして、別の職員を1ヶ月間の停職処分にしていました。

 

https://www.theguardian.com/world/2018/jun/21/japanese-worker-punished-for-starting-lunch-three-minutes-early
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日本社会は働く人たちに何を基準に何を求めているのか、判然としなくなってきました。

この職員の男性を間近で見ていたわけでは無いのでどういう判断も出来ませんが、ガーディアンがわざわざこの問題を取り上げたのは神戸市水道局の真摯な対応を賞賛するためで無いことは、本文を読めばわかります。

 

それよれ何より私たち国民は、国のトップのあれだけの腐敗を国家機関もどの機関も追及も何もしようとしないのに、一般職員に対しては厳格すぎるほど厳格な勤務態度を求めるこのねじれは、決して健康な社会のものでは無いということです。

[オピニオン]かつては不正とされたこと、それは安倍政権下の日本では普通のこと《後編》

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安倍政権支持者は全体の3分の1以下、しかもその半数は「他に選択肢がないから…」
深まる日本人の政治に対する嫌悪感、しかしこれは安倍首相にとってむしろ好都合

 

中野晃一 / ニューヨークタイムズ  2018年6月11日

しかし日本における二大政党制実現へのアプローチは、制度的欠点を露呈しただけに終わりました。

特に2012年12月に安倍氏が政権に返り咲くことになった選挙で…。

 

自民党が政権の座を追われるきっかけを作った2009年の選挙の時よりもさらに低い得票率しか得られなかったにもかかわらず、自民党とその連立与党は国会において大多数の議席を確保することとになったのです。

 

政権を手にすると、安倍首相はそれまで直接的な政治の影響を受けるべきではないとされてきた国の重要な役職、日本銀行総裁やNHKの会長などまで自分の思い通りにするようになったのです。
さらに与党自民党は国会における野党の質問時間を減らすなど、行政府に対する立法府の検証権限を押さえ込む挙に出たのです。

 

こうして首相官邸にこれまでにないほど大きな権限を持たせると、安倍首相は次に国防問題をはじめとする賛否両論が激しくぶつかり合う一連の法律の制定に着手しました。

日本の政界で再び縁故主義と癒着が力を持つことになってしまいました。

今日問題となっているスキャンダルは、1970年代のロッキード贈収賄事件や1980年代後半のリクルートスキャンダルに比べるとやや小規模のようにも感じられます。
しかし最近明らかにされた安倍首相という個人を守るために日本政府という公的機関内に隠蔽体質が蔓延するなどという事態は、かつては見られなかったことであり、かつてないほど日本の統治構造全体の正当性が損割れていることを象徴するものです。

 

こうした事態に、なぜ目立った抵抗がなかったのでしょうか?

 

最初にあげられるべき理由は、この横暴な政権に責任ある行動を求めるには分裂している野党の力が弱すぎるということです。

昨年秋に安倍首相が突然の解散総選挙実施に踏み切った最、新たな政党「希望の党」を立ち上げて安倍政権に対抗しようという愚劣な戦略を行動に移した結果、野党勢力は以前にも増して分断された状態に陥ってしまいました。

6月10日に投票が行われた新潟知事選挙では、野党側の統一候補が県民の75パーセントが反対している柏崎刈羽原子力発電所の再稼動反対をスローガンに選挙戦を戦いましたが、自民党が支持する候補者に敗れる結果となりました。

野党が自民党の一党支配を脅かすほど大きな政治力を持たない限り、自民党内での反安倍勢力の台頭も期待できない状況にあります。安倍晋三首相は今年9月のに自民党総裁として3期目を目指す意向ですが、自民党内にはその政権管理能力に対する不満の声は聞こえてくるものの、有力な対立候補が見当たりません。

 

近年安倍氏の支持率はスキャンダルが付いたこともあり一定しません。毎日新聞社が行った世論調査では、安倍政権を支持するのは全体の3分の1に届かず、48%の回答者は支持しないと回答しています。

しかも支持すると答えた人の半数近くが、他に明確な選択肢がないということを理由を挙げています。

 

これだけでも悪い状況ですが、安倍首相の支持の風化はなお悪いものです。

国民は怒っているよりも嫌悪感を持っています。

その結果、日本人の政治に対する無関心は尚一層進むことになってしまいました。

しかしこれは安倍首相にとってむしろ好都合です。

 

具体例を挙げれば、6月10日の新潟県知事選挙では、自民党が推す候補者は3%の僅差で勝利しましたが、選挙自体の投票率は約58%という低いものでした。

最近まで多くのスキャンダルがありましたが、すべての事実を秋ランにすることが難しくなっています。

 

南スーダンの(そして数年前のイラクでの)日本の平和維持活動部隊の記録は防衛省から消滅し、情報本部にその存在が確認されただけでした。
包括的な労働改革法案の事実上の根拠となるはずの職域調査の結果を厚生労働省が改ざんしていることが明らかにされました。
そして森友学園の土地取引の複雑な経緯は、日本のメディアが大学のアメリカンフットボールの違法なタックルや大金持ちの遊蕩人の不審死といったよりセンセーショナルな話題を一斉に報道することによって脇に追いやられてしまいました。

 

イデオロギー的な理由、すなわち憲法を改定するの共通の目的の下、安倍氏を擁護しようとしていると思われる保守的な報道機関は、その役割を果たしてきました。
例えば読売新聞は深刻な国政運営についてではなく、不祥事で国会が空転していると野党側を批判しました。

 

森友学園の土地売買事件のように、ある政権が大規模な隠蔽工作を行ったことが現行犯で明らかになった場合、かつての時代なら主流メディアは足並みをそろえてこう叫んだことでしょう。
麻生財務大臣の継続はもう支持できない!

透明性と説明責任という民主主義の大原則は、ここアメリカにおいても確立されたものではなくなり、公の議論における共通言語ではなくなってしまったようです。
この点において安倍政権もトランプ政権も大差ありません。

 

日本でもかつては不正義であったはずのことが、今では日常的な出来事になってしまいました。

 

《完》

 

中野晃一氏は上智大学の政治学の教授です。

https://www.nytimes.com

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いまや日本の政権はトランプ政権に『完全隷属』としか言いようのない有様。

しかもそのトランプの安倍首相に対する態度を見ていると、軽んじている、などという表現はまだマシな方で、鼻であしらっている、パシリに使ってるというあたりが本音かもしれません。

 

しかしそのトランプが我々にとって極めて危険なのは、その頭の中に『基本的人権』などという概念が無いだろう、ということです。

いま、不法移民の親子をバラバラにして収容していることが世界的に問題になっていますが、これを見ても、これまでの言動を振り返ってもトランプという人間が富や権力を持たない人間には無関心だということが察せられます。

そういう意味では日本国の安倍総理大臣と同類であり、「アメリカ・ファースト」も「この国を守りきる」のも一体誰のため、何のためなのか、一般市民の健全な生活を守るということが意識の中にあるのかどうか、極めて疑問です。

[オピニオン]かつては不正とされたこと、それは安倍政権下の日本では普通のこと《前編》

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安倍政権下の省庁で蔓延する公的記録の隠滅と改ざん

財務省は安倍政権にとって不利になる記録を、依然として隠している可能性があるという疑惑は去らない

 

中野晃一 / ニューヨークタイムズ  2018年6月11日

現職の首相夫人の関与が疑われる国有地の売買契約の存在が明るみに出た後、今度は政府関係者による広範な隠蔽工作が行われていたことが明らかになりました。
担当大臣は不正行為を認め、閣僚としての1年分の給与、すなわち約15,600ドル(約1,700万円)を返納して謝罪し、職務を継続することによって責任を果たすと述べました。

現在の日本政府は、こうしたやり方で自分たちの職分の責任が果たせると考えているのです。

 

問題になっている政府閣僚とは麻生太郎財務大臣であり、安倍晋三首相の支持のもと辞任を拒否しています。

疑惑をもたれている国有地の売却をめぐり、安倍首相の夫人と関係を持つ学校経営者が関わる取引内容の詳細は不明です。

 

すでに隠蔽工作が実際に行われた犯罪行為よりも悪質であることは明らかですが、肝心の犯人は何の罰も受けずに逃げてしまう可能性があります。

相次いだ不祥事に慌てふためいた安倍政権の支持率は低迷していますが、政権の座にある強みを利用して残り少ない切り札を切りつつ、一般国民の政治に対する無関心に乗じて混乱を乗り越えることができると考えているのかもしれません。
彼らの思い通りになる可能性はあります。

2016年6月財務省の職員が学校運営者の森友学園に対し、国有地を市場価格から85%以上割り引いた金額で売却しました。
安倍首相は自身や夫人の関与を証明する証拠が見つかった場合、辞任すると公約しましたが、その直後から政府関係者は土地取引に関連する文書を破棄したり首相周辺の関与を疑わせるような記録が改ざんされました。

 

財務省自身の調査によると、野党議員の追求に対し財務省職員が返答した内容との不一致を解消するため、数十点の公文書の記述300箇所以上が2017年の早い時期に改ざんされました。

 

国会における議員の疑問に対し、副総理を兼任する麻生財務大臣は11回、国有財産を管理する立場にあった佐川宣寿元財務省理財局長の場合は43回以上、繰り返し虚偽の答弁を行っていたことが明らかになりました。

さらにリークされた政府文書は、会計監査院による独立した調査委員会と閣僚とが共謀の上、安倍首相に影響が及ばないよう共謀している可能性があることを示唆しています。

 

さらに財務省は安倍政権にとって不利になる記録を、依然として隠している可能性があるという疑惑が残されています。
しかし5月31日、大阪検察特捜部は国民の基本的権利を侵害した疑いで捜査の対象としていた(政府当局者37人を含む)38人について刑事告発しない決定を行いました。

そしてもうひとつ大きなスキャンダルとなっている事件では、別の教育機関が獣医学部を開設するため国から例外的な優遇措置を受けるための便宜供与が行われました。

 

2015年の公式文書は「総理大臣の意向」について言及し、地方自治体の職員と総理大臣補佐官、そして安倍総裁とその大学時代からの友人である学校法人加計学園の加計甲太郎理事長との関係に基づく圧力があったことを示唆しています。

 

加計甲太郎理事長と安倍首相はいかなる不正もなかったとすべてを否定しています。
しかし5月26日から27日にかけて毎日新聞が行った世論調査では、回答者のうちわずか14%が首相の説明を信頼していると答えました。
70%の回答者は首相の釈明を信頼できないと答えているのです。

 

日本は長い間、政治に対する信頼性に問題を抱えてきました。

 

第2次世界大戦後、日本では大選挙区制度が導入されました。


これにより小規模な政党にも選挙の機会を与えられ、多数の意見が反映されやすい比例性と代表性が確保されることになるはすでした。
ところが結果的には、時代時代の雰囲気に合わせて候補者を選定するという手法をいち早く学習した保守政党自民党の地位を固めることになったのです。
と同時に野党は細分化されることになりました。

 

安倍首相率いる自民党は約40年間日本の政界を支配してきました。
「鉄の三角形(トライアングル)」と呼ばれる政治家、官僚、企業の癒着関係が強まり、これら少数者の利益の追求が日本の政治を支配し、談合体質と腐敗がはびこることになりました。

 

冷戦後代には英国と同様の2大政党制を作り、権力の交代を促すために様々な改革が導入されました。
また政権与党の総裁に権力を集中させれば、選挙で国民の負託を受けた指導者の権限が強化されることになり、民主主義的な説明責任が果たされる可能性も高まるとも考えられたのです。

 

《後編》に続く

https://www.nytimes.com
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今日の日本の政権の問題というのは、保守とか右翼とか右派、国家主義云々ということではなく、完全に良識、モラル、資質、品性といった類の問題だというとです。

海外メディアの報道で日本を『世界第3位の経済力を持つ最先進国』と表現することがありますが、だとしたら歴代の政権の中で最も日本という国に相応しくないのが安倍政権ではないでしょうか?

 

安倍政権という言葉から私が連想する言葉に『庸劣』という言葉があります。

世界史の本を読んでいると、どんなに繁栄した国家であっても、この庸劣の君主が出てくるとその国は滅亡に向かい始めます。

それは中国でもヨーロッパでも同じこと。

それによって都度悲惨な目にあわされるのは一般市民。

 

私たちは権力を持たない一般市民です。

権力の頂点にいる人物の横暴が極まっても、太公望呂尚のような軍師を従え軍勢を率いて、悪逆の王を討ち滅ぼすことなどできないのです。

『その時』が来てしまったら、一方的に『やられてしまう』だけの弱い立場しか持ち合わせていません。

だからこそ『その時』が来ないように、今誰が自分たちの生活を支配する政治の世界にいて何をしているのか、もっともっと切実に敏感になるべきです。

 

独り勝ちを狙うトランプの北朝鮮外交、恐ろしいツケを払わされるのは日本と韓国《後編》ECO

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アジア太平洋地区におけるアメリカの影響力を劇的に低下させるトランプの対北朝鮮外交

北朝鮮に中短距離ミサイルを残し、その防衛のため日韓両国に米国製の武器を大量に買わせるトランプのひとり勝ちシナリオ

エコノミスト 2018年6月7日

 

▽平和を希求する

 

中国の研究者はキム・ジョンウン委員長は軍の了承なしに核兵器開発計画を放棄することはできない、ただし北朝鮮の軍当局はアメリカが提示している体制保障など信用していないと語りました。

6月4日、キム委員長は3人の軍高官を解任しました。
キム委員長はこの措置により新しい外交政策に対する反対を抑え込もうとしたと見られています。

 

変わらない方針もあります。
キム委員長はアメリカに対し、2つの選択肢を与えました。
一つはアメリカ大陸を射程内に収める大陸間弾道弾の即時廃棄です。

 

そしてもう一つがこれまでも何度か試みられた核兵器開発計画の段階的廃止です。

その手続きがオープンなものであっても、北朝鮮が何も企んでいないと考える方に無理があります。
これまでもそうでした。

 

北朝鮮は時間をかけて譲歩をしながらも核兵器は温存し、先に制裁の緩和を要求しながら着実に自分たちが得点を重ねようとするでしょう。

考え得るいかさま - そして未来に問題を作り出す種は、北朝鮮が核施設をすべて放棄せずに、軍事施設ではなく発電施設として原子力施設を持ち続けるという選択肢です。

 

それでもこれはトランプにとっては見た目に好都合な結論です。
長距離ミサイルがない以上、アメリカ本土の安全を確保するという約束は果たしたと言い張ることができるからです。

しかしこの種の取り引きは相変わらず北朝鮮の中・短距離ミサイルの射程内に置かれたままの、アメリカの『重要な同盟国』である日本と韓国にとっては悪夢でしかありません。

北朝鮮の中・短距離ミサイルに装着できる核弾頭が残される可能性すらあるのです。

これまでの同盟国を売り飛ばそうとする意図をアメリカが持っていることが明らかになれば、長期的に見ればアジアにおける戦略的バランスを変えることになるでしょう。

 

例えば日本あるいは韓国が中国を相手に紛争を発生させた場合、アメリカが同盟国を守るために立ち上がるかどうかについて疑問を抱かざるを得なくなります。
当然の成り行きとして日韓両国は、中国に対する外交関係を再考せざるを得なくなり、結果的にこの地域におけるアメリカの影響力は劇的に低下することになるでしょう。

 

トランプ・キムの首脳会談の後、中国はいくつかの分野で有利になる可能性があります。
もし北朝鮮が核兵器を減らせば、中国はその裏庭の安全保障上の頭痛が緩和することになります。

 

米政府関係者の要求通り北朝鮮は地下核実験場の一部について解体爆破を行いましたが、それが仮に偽りであったとしても、破壊された実県施設は中国との国境に非常に近い場所にあります。
北朝鮮がその場所での核実験を中止すれば、中国にとっても脅威が去ることになります。

 

さらに北朝鮮の譲歩の見返りとして韓国におけるアメリカの軍事プレゼンスが低下することになれば、中国にとってさらに有利な状況が作り出されることになります。
北京にあるシンクタン、カーネギー清華国際政策センターの趙洞(Zhao Tong)氏がこう語りました。

かりにトランプ大統領が再び態度を翻し交渉を打ち切ることになれば、アメリカの国益を優先させることは難しくなります。
米朝首脳会談はどちらに転んでも、北朝鮮に対する国際社会の制裁を緩和することになるからです。

 

特にトランプが周囲が想定していない駆け引きをしようとして失敗に終わった場合は、北朝鮮の立場は楽になります。

 

趙氏は、トランプ氏がキム委員長と直接会談をすると決定したその時点で、これまで苦労して作り上げてきた対北朝鮮の厳しい制裁体制が一気に緩み、それとともにアメリカ側は切り札を失ってしまうことになった、趙洞(Zhao Tong)氏がこう語りました。

 

趙氏によれば中国の当局者は仮に仮に米朝首脳会談が物別れに終わったとしても、北朝鮮の軍事力を無力化するためにアメリカが軍事力の行使に踏み切る可能性はほとんど無くなりました。

韓国は如何なる軍事行動も拒否するだろうし、中国とロシアも強硬に反対するだろう、と趙氏は見ています。

 

東アジア地区の安全保障問題の専門家も同様に、米朝首脳会談が不調に終わったとしても北朝鮮がこれ以上厳しい国際的な制裁を受ける可能性は低いと見ています。
「北朝鮮はアメリカと直接会談を行ったという実績を手に入れることになり、これまで同様の制裁措置が継続したままの状態に置かれることになります。それで構わないのです。会談の失敗によって、制裁措置がこれまで以上に厳しいものになるわけではないのですから。」

特筆すべきは中国は経済制裁だけでアメリカが目標としている北朝鮮の武装解除は決して実現しないと確信していることです。
むしろ逆に武装強化を図る可能性があります。

 

今週、昨年の北朝鮮による核実験とミサイル発射実験により休止していた北京と北朝鮮の間の航空路が再開されました。

アメリカが再び敵対的姿勢に戻っても、韓国は北朝鮮との緊張緩和に向けた取り組みを継続する決意のようです。

 

先週、両国は開城工業団地にある連絡事務所の再開について合意しました。
この事務所も2016年に北朝鮮が核実験を行ったことにより閉鎖されていました。

韓国企業は両国を分断する非武装地帯付近の土地を買い入れてきました。
中には南北協力のために独自の事務所を設置している企業もあります。

 

国際的なシンクタンクであるISSのマーク・フィッツパトリック氏が次のように述べました。
「韓国人は制裁の回避し、あるいは南北の協力的な経済時器用を再開できるような合理的根拠を探っている可能性があります。」

 

結論を言えば、キム・ジョンウン総書記は米朝首脳会談の実現によって失うものはほとんど何もありません。
トランプ大統領も普段は彼を嫌っている報道機関から好評価を引き出せるかもしれません。

 

しかしトランプ個人のことは別として、アメリカという国にとっては決して良い結果を生まない可能性があります。

 

《完》

https://www.economist.com/asia/2018/06/07/talks-between-america-and-north-korea-might-succeed-at-a-terrible-price

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この記事の中身に加えて日本の安倍首相が米朝会談の直前に渡米し、武器を始め数千億円ものアメリカ製品の購入を約束してきたことを考え合わせると、私たち日本人はアメリカ人ともども詐欺やペテンまがいのことを平気で行う首相や大統領をいただいてしまっていることの悲哀を感じます。

おまけに日本では官房長官も記者会見で

「日本はこれから ト ラ ン プ 様 の ご 意 向 に 従 っ て、なんでもハイハイやってくつもりです。」

みたいな発言をし、国民としては

「一体どうなっているんだ、どこまで日本という国を劣化させるつもりなのだ!」

と憤らざるを得ません。

独り勝ちを狙うトランプの北朝鮮外交、恐ろしいツケを払わされるのは日本と韓国《中編》ECO

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北朝鮮はこれ以上は無理だというところまで、自分たちに有利な条件を要求した

米国との和解を経て中国への対抗勢力に加わることにより、急速に成長したベトナムに倣った経済発展の道を模索するキム・ジョンウン

 

エコノミスト 2018年6月7日

▽ 世界が注目する瞬間

 

しかし歴史的なツーショットのシャッターチャンス以外、米朝首脳の直接会談が何をもたらすかははっきりしません。
朝鮮半島情勢に詳しい米国の専門家は、キム・ジョンウン委員長に非核化を迫るための手段はいくつかあるとテレビ番組の中で語りました。
制裁措置の緩和、多額の財政援助と投資、朝鮮戦争を終結させる正式な平和条約の締結、「利害」に基づく外交関係確立(互いに大使館を置く一歩手前の外交関係)などです。

 

トランプはキム・ジョンウンが武装解除に同意すれば、キム一族の体制は米国からの攻撃を一切受けないという「非常に強い」保証を提供されることになると話しています。

 

しかし最も大きな問題は、これまでにすべて試みられたことがあることばかりだということです。

 

韓国と北朝鮮は1992年に互いに核兵器を持たないことについて正式に合意を交わし、その直後アメリカは韓国内の米軍基地から戦術核兵器を撤去しました。
しかし1994年、高齢化した「偉大なる指導者」、金日成(キム・イルソン)は国際機関の査察団を追い出し、原子炉から取り出したプルトニウムを使って6発の原始爆弾に転用すると脅しました。

1994年後半「合意された枠組み」の下で北朝鮮はアメリカが原油と商業用原子炉を援助することを条件に、プルトニウムを使った不法な作業を放棄すると約束しました。

1999年には北朝鮮は制裁措置の緩和を条件にミサイル開発の放棄を約束し、続いて2000年には南北首脳会談が行われ、ビル・クリントン大統領の訪問が表明されました(しかし在任中には実現せず、大統領職を退いたクリントン氏が訪問することになりました)。

 

しかし2002年には極秘裏にウランを使った核兵器を行っていることが明らかになると北朝鮮は国際査察官を追放し、その結果事態は「6カ国協議」と呼ばれる多国間交渉の開催によって解決が図られることになりました。

 

そして北朝鮮は2009年から2017年の間に5回の核兵器実験を強行しました。
さらに北朝鮮は国連安全保障理事会の決議に反し、アメリカ本土に到達可能な弾道ミサイル実験も行いました。

 

アメリカの元外交官クリストファー・ヒルは、2005年に米国、中国、日本、北朝鮮、ロシア、韓国が合意した6カ国協議の「朝鮮半島の恒久平和体制」の合意に向け文言について感慨を込めて思い出しました。
この協定では北朝鮮が核兵器を放棄し、国際査察を受け入れ、先に脱退した核不拡散条約(NPT)に再度加入するという約束をしたはずでした。

当時、米国は核兵器はもちろん通常兵器であっても武力による北朝鮮への攻撃・侵攻意図は全くないことを明言し、韓国国内の米軍基地に核兵器は一切装備されていないことを確約しました。
同時にヒル氏は当時中国が強く主張した、米朝双方の利害関係を調整するという手法も実現に向けた検討が行われたと語りました。
彼は北朝鮮に対し懐疑的だったブッシュ政権にこの考えに同意するよう説得し、2007年に北朝鮮側に条件提示を行いました。
「しかし北朝鮮側は土壇場でそれを拒否したのです。」
元駐韓米国大使であるヒルはこうため息をつきました。

 

「北朝鮮はこれ以上は無理だというところまで、自分たちに有利な条件を要求したのです。」

 

▽期待できるものは単なる偶然

 

しかしこれまでとは異なり、北朝鮮は今度こそは対米交渉を成功させたいと熱望していると考えるのに十分な根拠があります。
核兵器は依然として金氏一族の支配体制の屋台骨であり北朝鮮の一般国民の支持も得ていますが、北朝鮮のエリート層はキム・ジョンウンがもう一つ力を入れているまだ小規模な経済発展への取り組みの方に期待しています、ソウル国民大学のアンドレイ・ランコフ氏がこう指摘しました。

金氏はこれまでの数年間武器製造に心血を注いできましたが、いずれ経済成長と両立させると約束していました。

金総書記は経済政策よりも軍事政策を優先する一方で、国内に大規模にはびこる闇市場を半ば黙認し、国有企業内の運営を実質的に民間企業に委ねることにより、北朝鮮経済のバランスをとってきました。

 

金総書記は自身の方針にさえ逆らわなければ、私的な投資も奨励しています。
「眠ったのままの一般住民の資金の活用と動員」を呼びかけている政府の方針すら明らかにされています。

韓国中央銀行がまとめた統計によると、2011年にキム・ジョンウンが政権を引き継いで以降、北朝鮮の経済成長は毎年1桁台の前半に留まり低迷を続けています。

 

こうした数字は信頼できるものではありませんが、父親の金正日体制時代の経済破綻や広範な飢饉に苦しんでいた時代とは一線を画しています。

 

キム・ジョンウン総書記は、米国との和解を経て、そして中国への対抗勢力の一翼を担うことによって急速に成長したベトナムを先例とする国家の経済発展の道を模索していると、北朝鮮当局者が海外から視察に訪れた人々に語ったことがあります。

少なくともキム・ジョンウン総書記は制裁の緩和には真剣です。

首都平壌の住民たちはいつ停電するかわからない電力供給から解放されるため、中国からの太陽光発電パネルの輸入が昨年まで急激に増え続けていましたが、英国人のチャッド・オーキャロル氏が運営する北朝鮮関連のニュースを専門とする独立系ニュースサイトのNK Newsが分析によれば今年3月8年ぶりにゼロに落ちこみました。

 

4月初めには燃料価格が高騰し、人道支援を行っていたNGOの各団体は農村部での肥料不足が深刻になっていることを把握するようになりました。

こうしたすべての問題が北朝鮮の準資本主義的経済発展の気分に水をさすことになりました。

 

「北朝鮮で一定程度以上の資産を持つ人々は金を稼ぐことに執着しており、それが不可能になったり不自由になったりすれば、その不満は現在の指導体制に向けられることになるでしょう。」
ソウル国民大学のアンドレイ・ランコフ氏がこう語りました。

 

しかしキム・ジョンウン体制は画期的な可能性を認識できるかもしれません。
北朝鮮はトランプ政治を理解するため、かなりの努力を続けてきました。
北朝鮮当局者は、最近アラバマ州の上院議員選挙で共和党が議席を失った影響などについて、接触できる外国人からできるだけ詳しい情報収集を行ってきました。

中国の研究者によれば、キム・ジョンウン政権はトランプ氏にはイデオロギーと呼べるほどの信念を持っておらず、歴代アメリカ大統領とは異なり言わば商売人(ディールメイカー)であると判断しました。
しかしイランとの核開発疑惑に関する交渉から突然撤退を表明したトランプのやり方を見ると、苦労して積み上げてきた交渉を瞬時にダメにしてしまうこわし屋(ディールブレイカー)としての側面も持っています。

 

結局、今回北朝鮮としては、十分に検討に値する機会を手にしたと感じているとこの研究者が語りました。
現在のアメリカと中国の間のライバル関係をうまく利用すれば、北朝鮮はそれぞれから思惑通りのチャンスを手に入れることができます。

一方トランプ大統領側は今回は柔軟な対応を行うと決断したように見えます。

 

5月下旬、北朝鮮の「敵対的姿勢」のために首脳会談を取りやめると一度宣言したにもかかわらず、トランプは金総書記の随員の一人をホワイトハウスに温かく迎え入れました。
この直後トランプは、北朝鮮側が軍縮に関する具体的公約を何も明確にしていないにもかかわらず(トランプ政権はキム・ジョンウン委員長からの親書の中身を結局は公開しませんでした)、米朝首脳会談の開催を復活させました。

 

トランプの国家安全保障担当顧問のジョン・ボルトンは、完全非核化のモデルとしてリビア方式を導入するよう提案して北朝鮮を激怒させたましたが、解任もされずトランプの顧問としてその背後にとどまっています。
ジョン・ボルトンが主張したやり方に同意したリビアの指導者ムアマール・カダフィは、結局なぶり殺しの目に遇いました。

最も重要な点はトランプが現在、これまでの『オール or ナッシング』という主張を取り下げてしまっていることです。
トランプは現在の米朝関係の良好なことを考えれば、もはや『最大限の圧力』といった類の政策を口にするべきではないとも語っています。

 

6月12日に近づくにつれトランプは朝鮮半島の非核化はすぐには実現しないとの見方を示すようになり、約65年の不安定な停戦を解消するために朝鮮戦争を正式に終結させる平和条約の締結を視野に入れた象徴的な勝利の可能性を語るようになりました。

 

こうした態度の変化はより重要な問題について、交渉が長引く結果につながる可能性があります。

トランプはシンガポールでの米朝会談について、「まずは互いについて知る」機会になるべきだろうと語るようになりました。

 

《後編》に続く
https://www.economist.com/asia/2018/06/07/talks-between-america-and-north-korea-might-succeed-at-a-terrible-price

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1960年代〜70年代、まだ高度成長期の延長上にあったセピア調ともいうべき日本社会にビートルズに代表される極彩色の欧米の文化がなだれ込む社会で成人したのが私たち世代です。

その私たち世代は社会はどこまでも民主主義を発展させていく場所である、とごく自然に考えてきました。

 

それが今になって第二次世界大戦で精算されたはずの国家主義が台頭する場面に遭遇しようとは、30年前、20年前には想像もしていませんでした。

どころかディールメイカー、要は近視眼的な利益主義者のトランプと抜け目のない独裁者キム・ジョンウンに挟まれ、無定見な安倍首相は必要性についての厳密な検証のないまま何十億何百億もする米国製武器を次から次へと買い込む姿勢をあからさまにしています。

 

間違っていた、そう反省するしかありません。

日本は戦後の民主主義を、敗戦をきっかけにアメリカからバーゲンセール並みの手軽さで手に入れました。

その点、革命を繰り返し多数の犠牲を払いながら民主主義社会を組み上げてきた英国やフランスと異なっています。

 

その代わり軍国主義の非人間的所業に苦しみ、最後は人類史上わたしたち日本人だけが核兵器攻撃まで受ける羽目になりました。

その言葉では表現できないほどの苦痛の果てに日本の民主主義は実現したのだ、という意識を持って誠実に日本の民主主義について考え続けてこられた人々もいらっしゃいます。

 

自分ももっともっと誠実に真摯に民主主義の質的向上について考え、努力を重ねるべきだった、今はそう反省しています。

 

しかしここで日本の民主主義を諦めてしまうわけにはいきません。

ひとりでも多くの方に立ち上がり続け、声を上げ続けていただくしかないと思っています、日本の民主主義をこれ以上劣化させないために。

独り勝ちを狙うトランプの北朝鮮外交、恐ろしいツケを払わされるのは日本と韓国《前編》ECO

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西側各国が考える以上にしたたかな北朝鮮外交、関係各国に法外な対価を要求する算段

歴史的なツーショットのシャッターチャンス以外、米朝首脳の直接会談が何をもたらすかはっきりしない

 

エコノミスト 2018年6月7日

アメリカが他の国に「ウィンウィン」の関係を持ちかけたとしたら、アメリカは「ウィン」を両方とも取り上げて一方的利益を手にする、と言うことを意味する。
ひとりの外交官がこう語りました。

 

しかしながら6月12日にシンガポールで開催された米国と北朝鮮の首脳会談は、例外的に2つの国の主要な主人公が2人とも勝利宣言することを可能にするかもしれません。

そして同時にその行方を固唾を飲んで見守っているオブザーバー諸国を喜ばせることになるかもしれません。

 

言うまでもなく韓国と中国はこの階段に大きな期待を寄せています。

一方の日本はやや懐疑的です。

 

しかしもし会談が不成功に終わった場合、無数にまたたくフラッシュと膨大な数の報道関係者が作り出す喧騒の中で、最大の敗者の姿はその中に紛れて存在意義不明のものになってしまう可能性があります。
最大の敗者とはアジアに何十年もの安定をもたらした米国主導型の安全保障体制です。

 

米朝首脳会談が行われたのはシンガポールの他の地域と橋、ケーブルカー、モノレールで結ばれたリゾート地区であるセントーサ島の超高級ホテルです。
近くには多くのゴルフコース、ビーチ、ろう人形物館、そして「銀河系の正義と悪との戦い」と「ハムナプトラの復讐」と銘打たれた宇宙船に乗って暗黒の宇宙に突入するイベントを売り物にしたユニバーサルスタジオのテーマパークがあります。

「セントーサ」とは「平和」「静謐」を意味するマレー語です。
こうした事実は預言者や占い師の社会的地位が高い韓国では物事が好転する前兆と見なされています。

しかしこの島の名前はシンガポール観光局の助言もあり1972年に変更されたばかりです。
それ以前はこの島は『プラウ・ブラキング・マティ(Pulau Blakang Mati)』という名で知られていました。

 

『死が背後から忍び寄ってくる島』という意味です。

 

アメリカと北朝鮮の外交はいつも非常に奇妙で理解し難いギリギリの線を走ってきました。
2000年に北朝鮮の首都平壌を訪れたマドレーヌ・オルブライト米国国務長官は、大量動員された人々によるマス・ゲームと兵士による捧げ筒の歓迎を受けました。

 

現在の独裁者の金正恩(キム・ジョンウン)祖父であった金日成(キム・イルソン)が権力の座にあった1992年以降初めて、米朝両国は2000年に北朝鮮の核兵器開発計画について話し合いをすることになりました。

北朝鮮は核兵器開発計画を放棄するという約束を繰り返し反故にしてきました。

 

韓国の北朝鮮問題の専門家たちは、核兵器が北朝鮮にとって金一族体制維持のための切り札なのか、それとも国際社会における国家の位置を押し上げるためのものなのか、長い間議論を戦わせてきました。

いずれが正解であるにせよ、核兵器がなくても北朝鮮はいつでも韓国の首都ソウルに砲弾の雨を降らせることができる軍事力を有しており、数十年の間抑止力として機能してきました。

いずれにしても、アメリカが求める「完全で検証可能で不可逆的な軍縮」はおそらく実現不可能です。

 

しかしドナルド・トランプ大統領と金正恩総書記は互いが平和の実現を熱望しているように演技することにより、直接首脳会談が「成功だった」と宣言することができます。
トランプもキム・ジョンウンも相手をテーブルの向こう側に座らせ、面と向かって直接会談さえすれば、自分たちの勇気ある決断と先見性についておおいに宣伝することが可能になるのです。

 

ホワイトハウスが大声で自画自賛する権利を6月4日早々に手にしました。
この日はトランプが大統領に就任してからちょうど500日目にあたり、過去18ヶ月間かつてない程強力な圧力をかけた結果、北朝鮮は大量破壊兵器の保有を諦める決心をしたのであり、チーム・トランプは「ドナルド・J・トランプ米国大統領の偉大なる500日間」 がそのことを可能にしたのだと持ち上げました。

 

トランプ大統領の下でアメリカは北朝鮮にいつでも北朝鮮全土に『炎と怒り』の雨を降らせると脅しながら、一切の妥協に応じないことを繰り返し強調し、「最大限の圧力」をかける政策を徹底して行ってきました。

一方、年間何度も北朝鮮を訪問している中国政府が資金を提供するシンクタンクの研究者は、キム・ジョンウン委員長はスターリン主義的独裁政治を続けながら、矛盾する状況の中で絶えず揺れ動いていると語りました。

 

「昨年、核兵器やミサイル実験をクリエしていた際、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は北朝鮮のエリートに対し、目的はとにかくアメリカを交渉のテーブルにつかせることだと語っていました。」

 

「ですから今回の会談の実現について、北朝鮮の人々は金正恩が勝利したのだと考えるでしょう。」

《中編》に続く

https://www.economist.com/asia/2018/06/07/talks-between-america-and-north-korea-might-succeed-at-a-terrible-price

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前編の方には日本や韓国にどのような法外なツケが回ってくる可能性があるのかは書かれていません。

肝心な話しは後編になります。

ご容赦ください。

 

会談後、キム・ジョンウンを褒めちぎったトランプはメディアから

「キム・ジョンウンは国民を迫害し、基本的人権を踏みにじる独裁者じゃないのか?」

と追求されました。

これに対する返答は、まるでこう言っているようでした。

「北朝鮮国民がどのような状況に置かれているか、そんなことには興味はない。大切なのはヤツが俺にとって役に立つ人間かどうか、それだけだ。」

 

トランプがいかなる国民の基本的人権にも関心がない、ということは早くから欧米のメディアが指摘してきました。

上の発言(と言っても実際にこう入ってませんが)の北朝鮮国民を日本国民に、ヤツを安倍首相に置き換えると、トランプの日本への見方そのものになると思うのですが。

 

【 Vs.トランプ!『アメリカ・ファースト』が作り出す世界の混乱 】

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ドイツ政府が公表したトランプと対決するメルケル首相の写真、世界中で反響

オバマ大統領の外交政策を非難し、同盟各国を泥棒呼ばわりしたトランプのG7政策

 

マーティン・ペンゲリー / ガーディアン 2018年6月10日

ドナルド・トランプの貿易顧問であるピーター・ナバロは、大統領は「世界のリーダー誰とでも話し合いに応じる」姿勢を持っていると6月10日に強調しました。
しかしトランプが一連の外交的混乱の場を抜け出し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記との首脳会談に臨むべく一人カナダからシンガポールに向かった1日後、トランプの独断的姿勢に対しG7サミットに参加した首脳たちの姿勢が明らかにされました。

 

写真はドイツ政府のカメラマン、ジェスコ・デンゼル(Jesco Denzel)が撮影し、アンゲラ・メルケル首相のスポークスマンであるステファン・シーベルト(Steffen Seibert)が発表しました。

 

腕を組んで座ったままのトランプは爛々たる目つきでメルケル首相を見返し、その周りには各国の首脳とその顧問団のメンバーが立ち並んでいる様子が写っています。

写真中央のメルケル首相はテーブルを押さえつけるようにして両腕を突き、その左には困り果てたような表情を浮かべる日本の安倍首相の姿が写っています。

メルケル首相の右には同じくテーブルに手をついたフランスの大統領エマニュエル・マクロンの姿が見えます。
さらにその右には英国のテレサ・メイ首相が手前の人物の陰になって映っています。

この写真は会議の行方を見守る人々に対し、笑顔や握手する姿ばかりが写し出されたお決まりの外交交渉の写真とは異なる珍しい光景を見せることになりました。

 

そしてトランプの「アメリカ・ファースト」外交政策が各国にどのように受け止められているか、そしてカナダでのG7サミットの2日間がいかに厳しい雰囲気の下で行われたかを端的に伝えるものとなりました。

 

6月8日にワシントンを出発したトランプは、クリミア併合を機にG8サミットを除名されたロシアに対し再度加盟するよう呼びかけました。
ロシア除名から4年が過ぎています。


6月9日にラ・マルビーで行われた午後の記者会見で、トランプはウクライナ侵攻を理由にロシアに制裁をおこなった前任者のオバマ大統領を非難し、ロシアを除名したG8各国は泥棒であり米国は奪った金を貯め込む「豚の貯金箱」だったと揶揄しました。

 

メルケル政権が公表した写真にはトランプの脇に国家安全保障アドバイザーであるジョン・ボルトンが立っている姿が写っています。
タカ派で知られるかつての国連大使ジョン・ボルトンは、トランプがCG7サミットから自分だけ離脱してシンガポールに出発した後、この写真を使ったツイートをしています。
「毎度毎度G7の首脳たちはアメリカがいつも味方をしてくれると期待している。しかし大統領は今日、はっきりとさせたのだ。『もうそんなことはない。』と…」

 

この発言はジャスティン・トルドー・カナダ首相に対するトランプの個人攻撃の下地をなすものであると同度に、トランプの保護主義的政策によって生じている緊張関係を解消しようと合意を図ったG7サミットの共同宣言への署名を拒否するための事前説明のようなものでした。

この写真はトランプの経済政策を主導する経済顧問たちがトルドー首相に激しい攻撃を加えた後に公開されましたが、各国首脳のそれぞれの仕草にどのような意思が隠されているのかを指摘する漫画やアニメを使った解説が世界中の紙面誌面をにぎわせることになりました。

しかし撮影された写真の1枚1枚がそれぞれに事実を伝えています。

 

同じ場での会合で首脳たちが寛いだ雰囲気の中で意見を交わす姿が写った写真では、微笑むメルケル首相とトランプ大統領が微笑みながらトルドー首相に目で合図をする様子を見ることができます。
ホワイトハウスも自身の写真を発表し、椅子に座ったトランプの話にメルケル、安倍、トルドーの各首相が耳を傾ける姿が写っています。

 

興味深いのはドイツのジャーナリストが報道関係者に公開した、同じ瞬間の6枚の対照的な写真を合成したものです。
しかし最終的にメルケルとトランプが和解することは不可能だとの観測には少なからぬ真実があるようです。

2人が対立するのは今回が始めではありません。

メルケル首相は、トランプ大統領が保護主義的貿易政策を推進し、イランとの核兵器交渉を拒否し、地球温暖化を防ぐためのパリ協定から一方的に脱退したことについて、不満を露わにしてきました。。

2017年3月、初めてホワイトハウスを訪問し握手をしようとしたメルケル首相に対し、トランプ大統領は聞こえなかったのか無視したのかは判然としなかったものの、手を差し出そうとはしませんでした。

 

2018年4月にアメリカを訪問し数日滞在したフランスのマクロン大統領には、トランプと昼食をとりながらの打ち合わせの機会が一度だけ提供されました。

 

https://www.theguardian.com/world/2018/jun/10/angela-merkel-photo-donald-trump-diplomacy

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昨日来トランプとキム・ジョンウンの直接会談の報道がどの新聞をめくってもどのチャンネルをまわしてもトップに来ています。

しかしその直前、トランプがまた一つ世界の平和秩序を壊そうとしていることが判ったことはあまり大きくは取り上げられていません。

今回の記事は世界的に話題になった写真の解説記事程度の内容ですが、これから世界はどう動くのか、ご紹介に値する記事を探し、ここでご紹介していきたいと考えています。

【 相次いだセクハラ・スキャンダル – 日本の官僚には再教育が必要 】

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財務省の上級官僚による事件を含め、政府関係者が関わった性的嫌がらせが多発

世界経済フォーラムの最新の男女間格差の報告書、日本はG7諸国の中で最下位

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年6月7日

日本政府の高官は政府が検討している提案の下でセクシャルハラスメントの啓発会に出席する義務を課されたり、経歴や昇進に影響する事態に備えなければならなくなる見通しです。

 

日本のメディアは6月7日、内閣が財務省の上級官僚による事件を含め政府関係者が関わったとされる性的嫌がらせが多発したことを受け、来週早々に日本政府官僚を対象とした啓発プログラムの導入を準備していると伝えました。

財務省の最高官僚である福田潤一氏は、女性のテレビ関係者に性的に不適切な発言をしたとして告発された後、4月に事務次官の職を辞任しました。
週刊誌の報道によれば福田氏は女性記者に対し、胸を触ってもいいかと発言したり、不倫の関係をほのめかしたりしたとされていますが、本人は否定しています。

麻生太郎財務大臣は福田事務次官は罠に嵌められた可能性がある、あるいはセクシャルハラスメントは「犯罪ではない」などの発言を行ない、広く批判を浴びました。

 

女性の地位向上を議題にした安倍首相の下での閣僚会議で、来週早々にも啓発プログラムが承認される可能性があると毎日新聞が伝えました。
この提案の下で内閣府は啓発プログラムの出席状況を監視し、参加することが昇進の前提条件であることを明確に示す方針です。
あわせてセクシュアルハラスメントの被害者は、独立したカウンセラーを介して政府関係者に対して告発することも可能になると毎日新聞が伝えました。

 

安倍首相は女性の社会進出の規模拡大を経済成長戦略の重要な柱としてきましたが、世界経済フォーラムの最新の男女間格差の報告書では日本はG7諸国の中で最下位にランクされました。

 

野田聖子総務大臣は職場でのセクシュアルハラスメントを犯罪とする法整備を提案し、安倍首相にプレッシャーを加えました。
しかし安倍政権はこの提案の採用について未だに決めかねていると共同通信が伝えました。

 

最近明らかになった調査によれば本の新聞やネットワーク・テレビ局で働く数十人の女性が性的嫌がらせを経験しており、そのうち加害者として政府職員、警察官、国会議員が約3分の1を占めていることが明らかにされました。

 

外務省は今週、毛利忠敦ロシア課長を同省の女性職員に対するセクシュアルハラスメント行為があったとして停職9カ月の懲戒処分としたことを発表しました。

さらに6月4日には東京郊外の狛江市の高橋都彦市長がは、複数の女性職員からセクシュアルハラスメント行為をうけたとの申し立てを受けて辞任しました。

 

https://www.theguardian.com/world/2018/jun/07/japan-sends-officials-on-sexual-harassment-courses-after-high-profile-scandals

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品性に欠ける女性への感覚もさることながら、今日の官僚の腐敗・不祥事の最大の原因は安倍政権である、と言う意見をお持ちの方、非常に多いのではないでしょうか?

 

無能な上に私利私欲にあくどく、何かあればすぐに責任回避、責任転嫁。

もし自分の上司がこんな人間だったら、ごく自然な感情として『襟を正す』などということが本当にバカバカしくなってしまうに違いありません。

 

防衛費の急な増額・安倍政権による平和主義の実質的破壊

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安倍首相、防衛予算は国内総生産(GDP)の1%以内とする制限の撤廃を提案

第二次世界大戦の日本の降伏を機に、世界で最も進化した民主主義的プロセスを確立した日本国憲法

 

ジュリアン・ライオール / ドイチェ・ヴェレ 2018年5月31日

複数の安全保障上の課題に直面する日本は防衛費を引き上げるための法整備について検討を始めました。
この動きは新しい軍事戦略を現実のものにするだけでなく、隣国との敵対的な関係を悪化させる恐れもあります。

 

日本の政権与党の自民党は、北朝鮮の脅威が依然として去らず、中国の軍事的台頭も長期に渡って継続しており、対抗上、防衛予算は国内総生産(GDP)の1%以内とする制限を撤廃するという安倍首相による提案を支持しています。

防衛予算を国内総生産の1%以内とする制限は変更不能というわけではなく、1970年代に当時の中曽根総理大臣が提案し、近隣諸国から日本の軍国主義の復活等の批判を浴びたくないという歴代政権によって代々踏襲されてきました。

 

しかし安倍首相は、日本の平和主義に基づく専守防衛姿勢を変えるべきだと長い間主張し続けてきました。
これは2018年末までに完成する予定の新しい国防計画ガイドラインに反映される可能性が高く、これに伴い中期防衛計画の内容も一新される可能性があります。

自民党は新しい国防計画ガイドラインの内容についての議論は既に進んでいるとする一方で、日本は現在「戦後最大の危機に直面している」と警告しています。

▽変化する安全保障環境

 

「保守的立場の政治家であっても1970年代の人なら、国防予算は国内総生産の1%以内という暗黙の了解を受け入れに抵抗がなかったでしょう。しかし国家の安全保障を巡る環境と各国の防衛支出の実情は変化しました。」
こう語るのは福井県立大学で国際関係を専攻する島田洋一教授です。
島田教授はNATO加盟国は概ねGDPの2%を国防費に割り当てているとと付け加えました。
「日本にとって差し迫った脅威は、核兵器に加え日本全国を射程距離内に収める多種類ののミサイルを保有している北朝鮮ですが、さらに大きな危険な存在は中国です。」

ドイチェ・ヴェレの取材に対し、島田教授がこう答えました。

 

また中国政府と北朝鮮は、日本が防衛支出を増額していることに対し、日本が太平洋戦争とは別の形でアジア大陸に対する侵略を開始しようとしている前兆だという宣伝報道や批判を強めていますが、島田教授は日本の軍事支出の増大の背景にあるのは高性能の武器や最新の軍事用ハードウェアの研究開発費の高騰によるものだと語りました。


「日本の軍事費の増大要因は中国や北朝鮮が懸念する戦前同様の侵略姿勢によって作られているわけではないのです。」
島田教授はこう指摘しました。

日本の自衛隊は中国・北朝鮮と比較すると比較的小規模であり、最も適切な価格で最良の安全保障を提供するために予算を「非常に賢明に」使う必要があるとも付け加えました。

 

しかし各国が軍事予算の増額を続けている現状にあっても、航空母艦の購入を予算化することはさすがに難しいと、島田教授も認めています。

 

▽海洋軍事能力の拡大

 

さらに与党自民党は2013年にヘリコプター搭載型駆逐艦として建造された出雲を、固定翼機が離着陸できる本格的航空母艦への改造を求める提案を行いました。

歴代の日本政府はこれまで近隣諸国の無用の敵対心を煽るという理由で、攻撃的能力の装備を象徴する艦型とも言える航空母艦のを保有することに難色を示してきました。

しかし安倍政権下の日本にはもはやそのようなためらいは見られません。
「中国はすでに航空母艦1隻を保有し、現時点でさらに2隻を建設中です。 日本は四方を海に囲まれた海洋国家なので、防衛手段として航空母艦を保有することは当然の成り行きであると言えます。」
島田教授がこう語り、次のように続けました。
「他のすべての国々も攻撃的な武器を保有していますが、攻撃的な武器を持っているからといって背後に侵略的意図を隠し持っているということを必ずしも意味するものではないということを忘れてはなりません。」

 

東京国際基督教大学国際関係学部のスティーヴン・ナジ(Stephen Nagy)准教授は、航空母艦の保有が必ずしも攻撃意図を示すものではないということには同意しました。

しかし日本の自衛隊は過去73年間、平和主義憲法の厳格な規制の下で活動するように訓練されてきており、一朝一夕にそうした性格が変わるものではないと語りました。
「日本に対する地域的な圧力は進化し、さらには複雑になっており、国家安全保障政策の再考が促されるようになりました。」
「朝鮮半島を巡る同盟関係について新しい展開の可能性があり、それは日本にとって安全保障上きわめて大きな意味があります。」
ナジ准教授はこう付け加えました。

 

▽中国の「軍事台頭政策」

 

「中国政府は南シナ海や東シナ海で非常に強引な政策を実践し、さらには尖閣諸島に対する日本の実効支配を弱めるために小刻みに揺さぶり続ける戦術を実行しています。」
ナジ准教授は、現在日本が実効支配する一方、中国も領有権を主張している東シナ海の無人島についてこう語りました。

中国海軍はの尖閣列島周囲の日本の領海に頻繁に侵入を繰り返し、日本の海上保安庁などとの間で緊迫した駆け引きを行っています。
将来的には中国は尖閣列島に対する実行支配を徐々に強めながら、領土の共同管理を要求る可能性があります。

 

「日本の最大の懸念は日本列島周辺の島々に対する管理支配を完全なものにしたいということであり、自衛隊が領土を守るために十分な能力を持っていることを実証したいのです。」
ナジ准教授がこのように付け加えました。

 

防衛力の強化ということでは、自民党内の別の勢力からも宇宙開発とサイバー技術の分野における軍事的プレゼンスの強化や他国の目標を攻撃する能力を備えた巡航ミサイルの配備などの提案が行われています。

 

第二次世界大戦終結時の日本の降伏を機に、日本国憲法は民主主義のプロセスを確立しました。
天皇の役割を限定し、国の平和主義的な性格を確立しました。

しかし日本人以外の人々の手によって日本の政治的未来について詳細なシナリオが作られてから、すでに70年以上が経過しました。

実質的にはすでに存在している日本の軍隊について、それを国軍として正式に定義しようとする新たな波が作り出されつつあるのです。

 

http://www.dw.com/en/is-japan-breaking-with-pacifism-to-increase-defense-spending/a-43996762

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まず問いたいのは、

21世紀に入り武力行使によって完全解決した国際紛争はあるのか?

ということです。

 

イラクにしても、アフガニスタンにしてもアメリカが最新鋭の武器を装備した軍隊を送り込みましたが、アメリカの軍事力とはあまり関係がないカンボジアやラオスほどの平和が達成できたでしょうか?

イラクのメイン通りには今やアメリカ企業の看板が立ち並ぶ一方、アメリカ軍が使用した劣化ウラン弾の残留放射性物質により出産や育児に大変な問題が起きています。

国内の各地にはいつ軍事衝突が起きてもおかしくない危険が無数に存在しています。

そしてアメリカ自身もイラクやアフガニスタンに送り込まれた兵士たちの帰還後のPTSDにより、退役軍人の人格の崩壊やその影響による犯罪の増加などが社会不安につながり、多くの市民が苦しんでいます。

 

戦争というのは突き詰めれば、敵国の人間をできるだけ多く殺す、不具にするという行為です。

平和な社会では決して許されません。

それを『国家』という概念を持ち出して正当化する。

その論理は2000年間変わっていません。

2000年の間の人間社会の進歩と比較すると、戦争の論理はあまりにも雑なものです、

 

ではなぜ彼らは戦争を欲するのか?

 

武器を買わせる

しかし買わせただけでは次から買わなくなるので、できるだけ使わせるようにする

そうした力が存在するという一面は見逃せません。

 

ベトナムから中東にかけ、アメリカの軍事介入によって何万人何十万人という人々が死ぬことになりましたが、振り返ってみてその大義は何だったのでしょうか?

そのことに今、ヨーロッパを中心に多くの人が疑問を持ちはじめています。

 

しかしそうした事実に蓋をして、可能性として存在する脅威をまるで眼前に迫った現実の脅威であるかのように宣伝し、演出をしているのが安倍政権であり政権与党自民党です。

教育予算を削り、福祉予算を削り、年金の支給を遅らせ、医療費保険費の徴収率を引き上げ、軍事予算の増額を続けています。

 

日本列島の海岸線に置き並べた武器は世界有数の性能と規模を誇りながら、その内側では国民が格差に苦しみ、経済的に追い詰められたり高齢化した国民が困窮死しています。

 

この道をこのまま進んだ先に、日本人の本当の幸福があるのでしょうか?

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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