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防衛費の急な増額・安倍政権による平和主義の実質的破壊

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安倍首相、防衛予算は国内総生産(GDP)の1%以内とする制限の撤廃を提案

第二次世界大戦の日本の降伏を機に、世界で最も進化した民主主義的プロセスを確立した日本国憲法

 

ジュリアン・ライオール / ドイチェ・ヴェレ 2018年5月31日

複数の安全保障上の課題に直面する日本は防衛費を引き上げるための法整備について検討を始めました。
この動きは新しい軍事戦略を現実のものにするだけでなく、隣国との敵対的な関係を悪化させる恐れもあります。

 

日本の政権与党の自民党は、北朝鮮の脅威が依然として去らず、中国の軍事的台頭も長期に渡って継続しており、対抗上、防衛予算は国内総生産(GDP)の1%以内とする制限を撤廃するという安倍首相による提案を支持しています。

防衛予算を国内総生産の1%以内とする制限は変更不能というわけではなく、1970年代に当時の中曽根総理大臣が提案し、近隣諸国から日本の軍国主義の復活等の批判を浴びたくないという歴代政権によって代々踏襲されてきました。

 

しかし安倍首相は、日本の平和主義に基づく専守防衛姿勢を変えるべきだと長い間主張し続けてきました。
これは2018年末までに完成する予定の新しい国防計画ガイドラインに反映される可能性が高く、これに伴い中期防衛計画の内容も一新される可能性があります。

自民党は新しい国防計画ガイドラインの内容についての議論は既に進んでいるとする一方で、日本は現在「戦後最大の危機に直面している」と警告しています。

▽変化する安全保障環境

 

「保守的立場の政治家であっても1970年代の人なら、国防予算は国内総生産の1%以内という暗黙の了解を受け入れに抵抗がなかったでしょう。しかし国家の安全保障を巡る環境と各国の防衛支出の実情は変化しました。」
こう語るのは福井県立大学で国際関係を専攻する島田洋一教授です。
島田教授はNATO加盟国は概ねGDPの2%を国防費に割り当てているとと付け加えました。
「日本にとって差し迫った脅威は、核兵器に加え日本全国を射程距離内に収める多種類ののミサイルを保有している北朝鮮ですが、さらに大きな危険な存在は中国です。」

ドイチェ・ヴェレの取材に対し、島田教授がこう答えました。

 

また中国政府と北朝鮮は、日本が防衛支出を増額していることに対し、日本が太平洋戦争とは別の形でアジア大陸に対する侵略を開始しようとしている前兆だという宣伝報道や批判を強めていますが、島田教授は日本の軍事支出の増大の背景にあるのは高性能の武器や最新の軍事用ハードウェアの研究開発費の高騰によるものだと語りました。


「日本の軍事費の増大要因は中国や北朝鮮が懸念する戦前同様の侵略姿勢によって作られているわけではないのです。」
島田教授はこう指摘しました。

日本の自衛隊は中国・北朝鮮と比較すると比較的小規模であり、最も適切な価格で最良の安全保障を提供するために予算を「非常に賢明に」使う必要があるとも付け加えました。

 

しかし各国が軍事予算の増額を続けている現状にあっても、航空母艦の購入を予算化することはさすがに難しいと、島田教授も認めています。

 

▽海洋軍事能力の拡大

 

さらに与党自民党は2013年にヘリコプター搭載型駆逐艦として建造された出雲を、固定翼機が離着陸できる本格的航空母艦への改造を求める提案を行いました。

歴代の日本政府はこれまで近隣諸国の無用の敵対心を煽るという理由で、攻撃的能力の装備を象徴する艦型とも言える航空母艦のを保有することに難色を示してきました。

しかし安倍政権下の日本にはもはやそのようなためらいは見られません。
「中国はすでに航空母艦1隻を保有し、現時点でさらに2隻を建設中です。 日本は四方を海に囲まれた海洋国家なので、防衛手段として航空母艦を保有することは当然の成り行きであると言えます。」
島田教授がこう語り、次のように続けました。
「他のすべての国々も攻撃的な武器を保有していますが、攻撃的な武器を持っているからといって背後に侵略的意図を隠し持っているということを必ずしも意味するものではないということを忘れてはなりません。」

 

東京国際基督教大学国際関係学部のスティーヴン・ナジ(Stephen Nagy)准教授は、航空母艦の保有が必ずしも攻撃意図を示すものではないということには同意しました。

しかし日本の自衛隊は過去73年間、平和主義憲法の厳格な規制の下で活動するように訓練されてきており、一朝一夕にそうした性格が変わるものではないと語りました。
「日本に対する地域的な圧力は進化し、さらには複雑になっており、国家安全保障政策の再考が促されるようになりました。」
「朝鮮半島を巡る同盟関係について新しい展開の可能性があり、それは日本にとって安全保障上きわめて大きな意味があります。」
ナジ准教授はこう付け加えました。

 

▽中国の「軍事台頭政策」

 

「中国政府は南シナ海や東シナ海で非常に強引な政策を実践し、さらには尖閣諸島に対する日本の実効支配を弱めるために小刻みに揺さぶり続ける戦術を実行しています。」
ナジ准教授は、現在日本が実効支配する一方、中国も領有権を主張している東シナ海の無人島についてこう語りました。

中国海軍はの尖閣列島周囲の日本の領海に頻繁に侵入を繰り返し、日本の海上保安庁などとの間で緊迫した駆け引きを行っています。
将来的には中国は尖閣列島に対する実行支配を徐々に強めながら、領土の共同管理を要求る可能性があります。

 

「日本の最大の懸念は日本列島周辺の島々に対する管理支配を完全なものにしたいということであり、自衛隊が領土を守るために十分な能力を持っていることを実証したいのです。」
ナジ准教授がこのように付け加えました。

 

防衛力の強化ということでは、自民党内の別の勢力からも宇宙開発とサイバー技術の分野における軍事的プレゼンスの強化や他国の目標を攻撃する能力を備えた巡航ミサイルの配備などの提案が行われています。

 

第二次世界大戦終結時の日本の降伏を機に、日本国憲法は民主主義のプロセスを確立しました。
天皇の役割を限定し、国の平和主義的な性格を確立しました。

しかし日本人以外の人々の手によって日本の政治的未来について詳細なシナリオが作られてから、すでに70年以上が経過しました。

実質的にはすでに存在している日本の軍隊について、それを国軍として正式に定義しようとする新たな波が作り出されつつあるのです。

 

http://www.dw.com/en/is-japan-breaking-with-pacifism-to-increase-defense-spending/a-43996762

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まず問いたいのは、

21世紀に入り武力行使によって完全解決した国際紛争はあるのか?

ということです。

 

イラクにしても、アフガニスタンにしてもアメリカが最新鋭の武器を装備した軍隊を送り込みましたが、アメリカの軍事力とはあまり関係がないカンボジアやラオスほどの平和が達成できたでしょうか?

イラクのメイン通りには今やアメリカ企業の看板が立ち並ぶ一方、アメリカ軍が使用した劣化ウラン弾の残留放射性物質により出産や育児に大変な問題が起きています。

国内の各地にはいつ軍事衝突が起きてもおかしくない危険が無数に存在しています。

そしてアメリカ自身もイラクやアフガニスタンに送り込まれた兵士たちの帰還後のPTSDにより、退役軍人の人格の崩壊やその影響による犯罪の増加などが社会不安につながり、多くの市民が苦しんでいます。

 

戦争というのは突き詰めれば、敵国の人間をできるだけ多く殺す、不具にするという行為です。

平和な社会では決して許されません。

それを『国家』という概念を持ち出して正当化する。

その論理は2000年間変わっていません。

2000年の間の人間社会の進歩と比較すると、戦争の論理はあまりにも雑なものです、

 

ではなぜ彼らは戦争を欲するのか?

 

武器を買わせる

しかし買わせただけでは次から買わなくなるので、できるだけ使わせるようにする

そうした力が存在するという一面は見逃せません。

 

ベトナムから中東にかけ、アメリカの軍事介入によって何万人何十万人という人々が死ぬことになりましたが、振り返ってみてその大義は何だったのでしょうか?

そのことに今、ヨーロッパを中心に多くの人が疑問を持ちはじめています。

 

しかしそうした事実に蓋をして、可能性として存在する脅威をまるで眼前に迫った現実の脅威であるかのように宣伝し、演出をしているのが安倍政権であり政権与党自民党です。

教育予算を削り、福祉予算を削り、年金の支給を遅らせ、医療費保険費の徴収率を引き上げ、軍事予算の増額を続けています。

 

日本列島の海岸線に置き並べた武器は世界有数の性能と規模を誇りながら、その内側では国民が格差に苦しみ、経済的に追い詰められたり高齢化した国民が困窮死しています。

 

この道をこのまま進んだ先に、日本人の本当の幸福があるのでしょうか?

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