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『ビクビクものの木曜日』、それは新たなる経済恐慌発生への警告?〈前篇〉

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市場の健全性を歪める強引な政策、アベノミクス

ヒース・スチュワート(前篇)フィリップ・インマン(後篇)
オブザーバー / ザ・ガーディアン(英国) 5月26日

5月23日、中国の景況指標の予想外の低落を受け、日本の株価が急落しました。

5月23日、中国の景況指標の予想外の低落を受け、日本の株価が急落しました。


5月23日の株価急落は経済回復の道のりにはありがちな一時的な現象だったのか、それとも徹底した量的緩和策の先にあるものは国家経済の破綻なのか、オブザーバー誌の記者2人が解析を行いました。

▽ 破綻への懸念

日本銀行をはじめ、世界の中央銀行は今、大量の資金を世界市場につぎ込み続けていますが、人工的に株価や債券価格を釣り上げる操作は、将来、金融大恐慌を引き起こす要因をせっせと積み上げる行為を自ら行っている可能性があります。

世界の金融市場の中心地のひとつ、ロンドンのシティで悲観的見方をする関係者は以下のような観測を明らかにしました。
すなわち、先週起きた東京からウォール街、そしてロンドンのシティへと伝播して行った株価の急激な下落について、現在行われている金融緩和策がいったん緩められれば、ただちに株価・債券価格の下落につながることを警告するものであったと解説しているのです。
「現在の株価は、人為的に仕掛けられたような値動きをしています。現在の株価の動きが、世型経済の実態を反映したものでは無い、その点だけがはっきりしています。」
バンクオブニューヨークメロン証券株式会社のニール・メラーがこのように語りました。

シティの悲観的見方をする人々は、アメリカ経済の展望に明るい材料が無いにもかかわらず、株価だけが上昇している点を警戒しています。

最も重要な判断材料は、中国です。
購買担当者景況指数(中国の製造業の状況の重要な判断材料)の予想外の低い数値が、23日木曜日の株価急落の主要原因のひとつになりました。

2008年から2009年に起きた世界的な景気後退以前、いまや世界第2位の規模を持つ中国の経済は順調に2ケタの成長を続けていましたが、いずれその伸びが鈍化することは予測済みのはずでした。
しかしここに来て中国の各銀行の経営の健全性について、重大な懸念が顕在化してきたのです。
多くの銀行が大量の不良債権を抱え込んでいると見られているのです。
「多くの銀行がこの問題により、多数のトラブルを抱え込んでいる、そのことが容易に想像できる状態なのです。」

中国の経済状況は、いくつかの大きな経済圏にとって大切な要件です。日本は中国にとって巨大な輸出市場であり、オーストラリアは重要な資源の調達先です。
中国経済の減速が著しく進む、あるいはもっと悪い、なすわち金融市場の崩壊の兆候が少しでも現れれば、世界中の金融市場はたちまち大きな打撃を受けることになるでしょう。

次に懸念されるのがユーロ圏です。

キプロス緊急援助3月に同意され、欧州中央銀行が金利の引き下げを行ったことが信頼回復につながり、以降、ヨーロッパでは小康状態が続いているように見受けられますが、その実態は危機が去ったとはとても言えない状況にあります。

スペインデモ
ユーロ圏は未だに深刻な経済停滞の中にあります。
そしてスロベニアからスペインに到る、根本的な問題が未解決の国々の長いリストはそのままです。
いつまた危機的状況に陥るか、一寸先は闇といった有り様なのです。

そして3番目が日本です。
日本の株式・債券市場ではこの数週間、安倍首相の名前から採られた『アベノミクス』と称される、公共支出の削減を止めて公共事業に大量の資金をつぎ込み、『衝撃的かつ圧伏させる勢いの』量的金融緩和政策が先月公表されたことにより、株価の上昇が続いています。

しかし、たとえその政策が功を奏したとしても、昨年末に比べて25%の価格上昇が実現されるほどの圧倒的成功を手にすることは難しいと思われます。

そして最後はより一般的な問題です。
日本銀行をはじめ、世界の中央銀行はこれまで過度の通過安政策を長期間続けれることは市場を歪めてしまうと警告してきたはずでした。
投資家はその国の市場から資金を回収し、「より高い利回りを求め」別の市場に資金を持ち去ってしまう傾向があります。

たとえば債券市場では、海外から融資を受けることができない国々であっても、債券市場であれば、投高額の利回りを目当てに投資家の方からやって来る、という事実を目の当たりにしています。
トルコ、メキシコ、ブラジルのような中規模の経済規模を持つ国々の資金調達コストが低下傾向にある一方で、アフリカのルワンダが4月に行った国債の募集では、7回以上申込み件数が募集口数を大幅に上回りました。
こうした現象は問題を抱える国にとっては喜ばしい現象ですが、連邦準備制度理事会 (FRB) のベン・バーナンキ議長にいわせれば、「あまりにリスクの大きい冒険的な投資」という事になります。

今後の展望がどうであれ、シティの投資顧問会社のファスロムのアナリストが名づけた『ビクビクものの木曜日』は世界中の投資家に対し、市場には不安定要因が積み上がっているという事実を注視するよう、呼びかけたものと見る必要があるようです。

「限られた期間とはいえ市場がこれほど敏感に反応したのは、本来中立的立場をとるべき中央銀行がゼロ金利政策と前例のない金融緩和措置という不健全な政策を2つとも採用し、市場がゆがんでしまっているという事を、関係者が明らかに意識しているからなのです。
だからこそ、ちょっとした変化で一斉に株価が下がったりするのです。」
ロンドンの金融街の専門家たちが、口をそろえてこう語りました。

http://www.guardian.co.uk/business/2013/may/26/jittery-thursday-global-economic-crash?INTCMP=SRCH

【 福島第一原発の現場が崩壊する! – 不足する緊急作業員 】

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福島第一原発で働く作業員たちを守るための、強固な基盤を築く必要がある
世界中から批難が続く中、なぜ彼らの待遇は改善されないのか?

IPSニュース(ローマを拠点とする国際通信社) 2013年3月11日

街頭抗議
日本政府はこの25年間で世界最悪となる原発事故を引き起こした、福島第一原発のすべての原子炉を廃炉にすることを表明しました。
福島第一原発の南方30㎞にあるいわき市の渡辺博之議員は、事故からちょうど2年が経過したこの日、多少の疑念を抱きつつもこの決定に歓迎の意を表しました。

「しかし福島第一原発のおいての問題は減ってはいません。むしろ現在も増え続けているのです。」
「中でも最大の問題は、これから困難かつ膨大な作業をこなさなければならない事故収束・廃炉作業の現場で、肝心の技術を備えた働者が不足していることなのです。」

福島県にあるいわき市は、2011年3月11日に発生した三重災害 -地震、津波、そして福島第一原発の事故 – により、大きな被害を受けました。

いわき市はJ-ヴィレッジがある場所でもあります。
かつてのサッカーの総合競技施設で、現在は福島第一原発の周囲に設けられた立ち入り禁止区域に入るための準備を行う場所でもあります。
毎日約3,000人の緊急作業員が、新たに建設された作業員宿舎から、この場所を通って福島第一原発の現場に向かっています。
彼らはこの場所で放射線防護服や各種の防護装置を身に着け、約1時間専用バスに乗って現場に向かいます。
毎日危険にさらされがら毎日8時間働いている緊急作業員の、労働者としての当然の権利を守るために戦う事もまた、渡辺議員が自らに課す責務なのです。

111326
「労働者たちは、汚染される危険と常に向き合わなければなりません。そして賃金と労働条件について公正に対応しようとしない下請け企業によって雇われています。私がしなければならないことは、彼らを守り、政府と雇用している会社が彼らを正当に扱うよう、その保障を獲得する事なのです。」

いわき市議会の共産党の議員である渡辺氏は一人で戦っているわけではありません。
今後予想される福島第一原発の事故収束・廃炉作業の極めて困難な作業に、これと取り組まなければならない労働者たちは、それぞれ異なる労働組合の下、別々の組織を立ち上げました。

全国一般労働組合全国協議会の書記長務める渡辺啓二氏は、福島第一原発で働く作業員たちを守るための、強固な基盤を築く必要があると語りました。
福島第一原発の事故収束・廃炉作業には、優に40年以上の歳月を必要とするとみられています。

「福島第一原発の深刻な状況はもちろん、これから日本各地の原子力発電所で起こり得る事故に対処するため、これから数十年間、日本では数万人に上る男性、そして女性の作業員を必要とすることになるでしょう。
この前例のない状況に対し、私たちは緊急に解決すべき問題として、これら作業員の労働条件を可及的迅速に整備しなければならない、そのことに気づかされたのです。」
IPSニュースの取材に対し、渡辺氏がこう語りました。

廃炉01
福島第一原発の緊急作業員たちが意識する最大の問題、それは明確な規則が存在しない事です。
現在福島第一原発で働く緊急作業員たちは、その職能、年齢などによって数百社に上る東京電力の下請け企業によって雇用されています。

こうした下請け会社に雇われている数人の労働者が、労働者の賃金や手当から「手数料」を取りあげる人材派遣会社が作り出したシステムに対し、問題提起を行いました。

現場では福島第一原発の汚染されたがれきを取り除いたり、修理を行う際の危険手当として1日当たり約9,000円の危険手当が日給に上乗せされていますが、下請け企業はその50%に上る金額を「手数料」として、労働者から取り上げている、かつて福島第一原発で働いた経験がある後藤ひろし氏がそう証言しました。

「この問題を見過ごすわけにはいきません。」
後藤氏は日本国内でも著名な月刊誌である『世界』で、この問題を報告しました。
労働者たちは東京電力に直接訴えても、どのような解決も得られなかったと語りました。

16日抗議集会01
日本では市民運動からの圧力により、放射能汚染についてより厳しい安全基準が採用されました。
しかし作業員の中で、活動を行っている人々が以下のように指摘しました。
新たな基準の採用により、健康を守るためにこの仕事を離れなければならない労働者が現れ、結果として現場では作業員が不足することになると。

雇用環境が悪化する中、福島第一原発で働こうとする労働者は明らかに、そして急速に減少し続けています。
いわき市議会議員の渡辺氏は、現在福島第一原発で働く3,000人の緊急作業員の多くが、事故のために農地を汚染され、働く場所を失ってしまった近隣の農家の人々だと語りました。
「作業員の多くが、生きていくために仕事を必要とする年齢の高い人々です。
こうした状況から日本では福島第一原発の現場で働く作業員を確保するため、遠くない将来外国人労働者の導入を検討せざるを得なくなるかもしれません。

こうした混乱と厳しい状況が続いているにも関わらず、日本の安倍信三首相は日本の安定したエネルギー需給のため、可能な限り多くの国内の原子力発電所を再稼働させると明言しました。
かつて日本は総電力の3割近くを、原子力発電に依存していました。

一方、60,000人を超える福島県の住民たちは、汚染されたしまった故郷の回復が進まないため自宅に戻ることが出来ず、この先の人生を見通すことが出来ずにいます。

NBC01
「福島第一原発の原子炉がメルトダウンを起こしてからすでに2年が経過しましたが、私たちはどうやって前に進めばよいのか、未だにその答えを見つけ出せずにいます。私たちのこの悪夢のような現状こそ、日本に対する教訓であり続けています。」
最後に渡辺氏が、こう語りました。

http://www.ipsnews.net/2013/03/fukushima-running-out-of-workers/
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この問題については、早くから海外のメディアが問題として繰り返し取り上げてきました。

この【星の金貨】でも、最初に取り上げたのが【福島J-ヴィレッジ潜入記 : 使い捨てられる人々】〈第1回〉( http://kobajun.biz/?p=1332 )でした。
以来、最近掲載した【人間を!使い捨てる!東京電力・福島第一原子力発電所】〈第1回〉( http://kobajun.biz/?p=11259 )まで、福島第一原発の現場で苦しい作業を続けている人々の待遇は一向に改善される様子がありません。
なぜなのでしょう?

例によって日本のメディアはこの問題をほとんど取り上げません。
なぜなのでしょう?

【 国際的にも悪名高い高速増殖炉、もんじゅに停止命令 】〈後篇〉

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常に綱渡りのスケジュール、安全を後回しする運転再開はきわめて危険

ワシントンポスト 5月15日

もんじゅ
高速増殖炉もんじゅを視察した原子力規制委員のメンバーは、組織の最高幹部クラスは何よりも安全を重視するという姿勢に欠けていると批判しました。
一方、原子力安全機構の職員はもんじゅ再開の見通しが立たないことについて落胆を隠せません。

もんじゅの施設内の作業員に対する聞き取り調査により、施設内の安全点検についてはコンピュータにデータベースを構築するやり方ではなく、いまだに膨大な量の紙の書類を処理するやり方であることが明らかになりました。
そして試運転のスケジュールを実現できるよう、常に綱渡りのスケジュールをこなさなければならない状況に置かれていることもわかったのです。

「現在もんじゅの運転を再開することはきわめて危険です。」
原子力規制委員会の原子力安全審査会の森下靖部長がこう語りました。
「同施設の安全管理はきわめて妥当性を欠くものです。」

一部の専門家からは、もんじゅの施設が活断層の上に位置しているとの指摘がなされています。
この問題については今年後半、原子力規制委員会から委嘱を受けた独立の調査班が、活断層存在の可能性について調査を行う予定になっています。

活断層調査
日本のいくつかの原子力発電所周辺では、活断層の存在の有無に関する調査が進められており、数か所の原子力発電所についてその判断が保留になっています。
これらの原子力発電所を運営する各企業では、この7月に施行される新たな安全基準に合わせ、安全設備の後進や安全確保のための手順の見直し作業が進められています。

5月15日水曜日、原子力規制委員会が委嘱した地質学者による調査チームが、福井県敦賀原発2号機の直下に比較的最近 - 12万年から13年前に動いたと思われる活断層がある可能性が高いとの最終報告を行いました。

日本の法律は活断層の上に、原子炉そのものを含む原子力発電所の重要な設備を建設することを禁じています。
敦賀原発を運営する日本原燃が今回の調査結果に対する反証を行わない限り、2号機は廃炉にせざるを得ないことになります。

「これまで同原発で事故が発生しなかったのは、本当に幸運でした。今日やっと原子力発電所の安全確保のための第一歩を踏み出したことになります。」
原子力規制委員会の島崎邦彦委員がこう語りました。
以前の監視機関である原子力安全・保安院とは異なり、原子力規制委員会が業界の利益に反しても安全を優先する決定を行ったことについて、島崎委員は高く評価しました。

安倍内閣の菅義偉官房長官は、政府が今回の決定を尊重すると表明しました。
「原子力発電所については、何よりもまず安全を優先しなければなりません。」

活断層
しかし敦賀原発を運営する日本原子力発電(株)は、原子力規制委員会が同社の調査報告を考慮していないとして、この決定に不服を唱えています。
「今回の決定は本当に残念であり、受け入れがたいものです」
濱田康男社長は声明の中でこのように語り、原子力規制委員会に対し再調査を求めています。

〈 完 〉
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japans-nuke-watchdog-to-stop-troubled-plutonium-burning-test-reactor-over-safety-violations/2013/05/15/9c8b3238-bd2b-11e2-b537-ab47f0325f7c_story.html
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「再調査!」再調査!」と、よくも簡単に言うものだ、と思います。
原子力規制委員会が行った調査である以上、少なくない経費と時間をかけ、慎重に結論を出したものと考えるべきでしょう。
その経費は私たち国民が負担しているものです。
再亜調査になれば、私たち国民は望みもしない敦賀原発の存続のための調査に、またまた負担を強いられることになるのです。

基本的条件を無視して危険な原子力発電所を建設した、そのツケを国民に付け回す行為は、もうここでやめさせるべきです。

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【 マイルス、誕生日おめでとう!】

ニューヨーカー 5月26日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

Miles01
マイルス・デイヴィス[1926年5月26日~1991年9月28日]
バードランド・カフェにて、1949年。(写真上)

1951年ニューヨーク、メトロノーム・ジャズ・オールスターズのセッションにて。(写真下・以下同じ)
「私の演奏は、これまでの音楽体験が基になった授かりものなのです。それがどこから来たものなのかいちいち気にはしていません。」
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マイルスの演奏に聴き入るヴィレッジ・ヴァンガードの客たち、1958年ニューヨーク。
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留置場から釈放され、妻の出迎えを受けるマイルス。1959年。
Miles04
年代不詳
Miles05
「何もかも解るようになったら、私の音楽もわかるようになるさ。」
Miles06
「私は音楽、そして人生について、スタイルというものをたいせつにしている。」
Miles07
「君という人間の創造力に限界は無い、人間にも限界は無いし、空にも限りは無い。」
Miles08
「ミスを恐れるな、何でもない事だ。」
Miles09
「一緒にプレーする奴がどんなイカれた奴でも気にならないよ。奴が息が続く限りスイングするならね。」
Miles10

【 国際的にも悪名高い高速増殖炉、もんじゅに停止命令 】〈前編〉

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度重なるトラブル、度重なる停止、まったく生かされていない福島第一原発の教訓

ワシントンポスト 5月15日

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日本の原子力規制委員会は5月15日、事故が相次いでいるプルトニウムを核燃料とする高速増殖炉もんじゅの安全運行義務違反があったとして、再稼働を強化しない方針であることを明らかにし、原子力発電の継続を企図する現政権の方針に一石を投じました。

今回の原子力規制委員会の決定は、日本の高速増殖炉計画と核燃料リサイクル計画に対する一撃となりました。
日本の安倍信三首相率いる日本政府は、貯まりづける核廃棄物の処分と、貯蔵量が増え続けるプルトニウムの備蓄の減少のため、もんじゅが中心的役割を担う事を期待しています。

さらに同日これとは別に、原子力規制委員会は地質学者の調査に基づき、もんじゅの近くにある敦賀第二原子力発電所の直下に活断層がある事を認定、日本では稀な例ですが原子炉が廃炉になる可能性が出てきました。

もんじゅは燃料として従来のウラン燃料に代わりプルトニウム燃料を使用しますが、稼働すれば再度燃料として使用が可能な核廃棄物を産出します。
西日本の敦賀市にあるこの原子炉は建設からすでに50年が経ち、これまでずっと稼働への取り組みが続いてきましたが、未だに稼働できずにいます。

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原子力規制委員会の5人の委員たちは、もんじゅの管理運営を行う『日本原子力研究開発機構』が、安全を確保するための充分な対策を行っていないと、全員一致で結論付けました。
原子力規制委員会は日本原子力研究開発機構が多数の設備の劣化に関する調査を繰り返し怠り、設備の更新が行われる事無く今日に至っている点について、指摘を行いました。

各国の専門家は、もんじゅについてもはや八方ふさがりの状態であり、日本はその核燃料サイクル計画を早々に断念すべきであると指摘しています。

民主党の前政権は長期的に原子力発電を廃止する方針を示し、もんじゅについてもその計画を廃棄する方向を示しましたが、昨年12月に政権交代を果たした自民党の安倍政権は、いち早くこの原子力発電の廃止路線を覆し、2011年3月地震と津波が原因となって発生した福島第一原発の事故以降、停止したままの日本国内の原子力発電所再稼の方針を推進する姿勢を明らかにしています。

現在日本国内では、稼働可能な50基の原子力発電所と炉の内、2基だけが稼働しています。

もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構はこの判断に対し、異議を申し立てることができますが、原子力規制委員会の関係者は正式な停止命令が5月末にも出される可能性があると語りました。
日本原子力研究開発機構は遅くとも来年1月までに、遅れている安全点検を完了させなければなりません。
しかし、いつ停止命令が解除されることになるのかについては明らかではありません。

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原子力規制委員会の田中俊一委員長は報道関係者に、もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構には安全確保を何より大切にするという『安全に対する認識』に欠けるところがあり、そうした企業姿勢は厳しい処置を受けるに値すると語りました。

「日本原子力研究開発機構は原因は究明済みであると語りながら、同じ内容の事故やトラブルを繰り返し発生させてきました。」
「安全遵守についての基本的理解にかけていると、言わざるを得ません。」
田中委員長はさらに続けました。
「福島第一原発の事故より厳しい教訓を突き付けられたにもかかわらず、日本においては尚、安全確保に対する意識が不足しているように私は感じています。」

日本はかつてそのエネルギー需要を自国内ですべて賄うための核燃料サイクル計画の目玉として、『夢の原子炉・もんじゅ』の計画を立ち上げました。

日本はこの使用済み核燃料燃料サイクル計画を完全なものに仕上げるため、北日本に六ヶ所村再処理施設を建設しました。
この場所で、使用済み核燃料からプルトニウムとウランを抽出し、この2つの核物質から再度複合型の核燃料を加工製造する計画でした。

しかし、もんじゅ、六ヶ所村いずれもが技術的問題を解決することが出来ず、計画は頓挫、国内外で大量のプルトニウムの在庫を抱え込むことになってしまいました。
その上、諸外国からはプルトニウムの備蓄を増やしたことについて、核兵器製造の意図について疑いの目を向けられることになってしまったのです。

もんじゅトラブル
ところでもんじゅによる原子力発電は成功したことがあるのでしようか?混合酸化物燃料、すなわちウラニウムとプルトニウムを使った燃料で?
1995年実験が成功したと報じられたわずか数か月後、もんじゅは冷却剤として使われるナトリウムの大量の漏出事故により火災を起こし、停止に追い込まれました。
さらに2010年には燃料交換機が格納容器内に脱落する事故を起こし、再び停止を余儀なくされたのです。

〈後編に続く〉
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japans-nuke-watchdog-to-stop-troubled-plutonium-burning-test-reactor-over-safety-violations/2013/05/15/9c8b3238-bd2b-11e2-b537-ab47f0325f7c_story.html
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ワシントンポストは「【 恐ろしい勢いで、国民の税金をどぶに捨て続ける『夢の原子炉』 】70年も遅れている実用化「1兆円をかけて生み出されたものは、度重なる事故、そしてたった1時間の発電」ワシントンポスト - 全文翻訳は → http://kobajun.biz/?p=1932」など、これまでも『もんじゅ』の問題を繰り返し取り上げてきました。

もんじゅはまさに日本の原子力の『ズブズブ』の象徴なのかもしれません。
その『ズブズブ』への支持を表明してはばからない政治家は、自らも『ズブズブ』の住人であることを宣言していることになるでしょう。

好調?日本の経済政策、しかし条件次第では最後の大ばくちに?〈後篇〉

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日本経済の行く手をふさぐ、人口の減少、急速な高齢化の問題
必要な構造改革とは公的負債・人口減少・急速な高齢化、その根本的な解決

ジェフ・ソマー / ニューヨークタイムズ 5月18日

Abeno01
今年四月、参議院議員選挙を控えている日本の安倍首相は、自ら『3本の矢(金融緩和、財政政策、構造改革)』と名づけたその経済政策の全容を明らかにはしていません。
この中で金融緩和政策が他に先行する形で実施されていますが、円安の実現に大きく貢献し、国内経済にメリット、デメリット、著しい影響が表れ始めています。

長年海外企業との厳しい競争にさらされてきた日本企業ですが、昨年の政府の調査では1ドル84円以上円安になれば、利益確保は充分可能であると回答しました。これは1986年には1ドル175円以上円安にならなければ利益確保はできないと答えたことを考えれば、著しい変化です。

1ドル100円以上という現在のレートが続けば、輸出に特化している日本企業の利益は大幅に膨らむことになる、フィデリティ投資顧問会社の子会社ピラミス・グローバル・アドバイザー社の有価証券担当部長で日本担当のアイリーン・ディブがこう語りました。
彼女の部門が株式を所有するトヨタと富士重工業は、円安によって大きな恩恵を被るはずだと語りました。
円安が続けば貿易摩擦が再燃する可能性がありますが、安倍首相はオバマ政権の支持を得た上で、環太平洋パートナーシップ(TPP)に先んじて加盟することにより、この問題を回避できると考えています。

Abeno03
ディブ氏は日本の株式市場の先行きについても、楽観的です。最近の一連の株価上昇の後ですら、なおその価格は手ごろな水準にあると考えています。
例えば1988年、日本の日経平均株価の株価純資産倍率は6.5でしたが、現在は1.4に過ぎません。
これに対し、企業の収益率は改善を続け、今後もその勢いは続くと見られています。
ここ数年間で、最も先行き明るい状態であり、
「日本経済に再び火が灯ったような状況です。」
とディブ氏が語りました。

安倍首相は経済刺激策を採用しています。
その政策は短期的には効果があるかもしれませんが、IMFのクリスティン・ラガルド総裁は今年4月の演説の中で、日本の公的負債がGDPの245%近くという、異常な値に膨らんでいる点に言及し、
「日本の金融政策は、ますますその場しのぎのものになってきているように感じられる。」
と警告しました。

しかし日本経済について好意的な見方をしている、T.ロウ・プライス・ジャパン・ファンドの有価証券部長のМ.ガン・キャンベル氏は、日本にはギリシャと同じ状況に陥るような要因は無いと語りました。
日本国債を保有しているのは、そのほとんどが日本国民であり、そのほとんどが自国通貨のままです。
そして日本の経常黒字基調も安定したものであり、これらすべてが債券市場からの圧力を緩和している状況にあります。

さらに幸いなことに、日本には潤沢な国有資産があり、国有の港湾施設や郵便事業など、巨大規模の貯蓄銀行の役割を果たしている事業を民間に売却すれば、何億ドルもの現金を回収し、債務を減らすことが出来るはすだと語りました。

「日本は、現在、マーガレット・サッチャー就任以前の英国のような状況です。その気になれば、打てる手はまだまだあるはずです。」

しかし、ここに経済の回復のための大きな障害になる構造的な問題があります。
人口の減少、そして高齢化です。

Abeno02
「日本では人口の減少が続いており、しかも急速に高齢化が進んでいます。」
ヴァンガード社の上級エコノミスト、ロジャー・アリアガ・ディアス氏がこう語りました。
「日本は必要な移民緩和策を取らない限り、国内総生産が年率1.3%の割合で減少を続ける可能性があります。」
「この問題こそは、日本経済の再生にとっての大きな障害なのです。」

日本では定年の年齢を引き上げ、女性の社会参加の機会を増やすための対策がとられていますが、その効果はゆっくりとしか現れません。
ディアス氏がこう指摘しました。

しかしながら日本市場は徐々に活性化しつつあり、その経済は回復基調にあり、円による投資資金が世界中の市場に流れ込み始めています。
最後にモハメド・エル・エリアン氏が以下のように語りました。
「これはきわめて野心的な政策です。」

「しかしこれ以上公的負債を積み増し、人口の減少や高齢化といった構造的な問題について根本的な解決を図らなければ、現在の政策は当たれば効果は大きいものの、外れればその危険もまた非常に大きいという、一か八かの賭けでしかありません。」

〈 完 〉

好調?日本の経済政策、しかし条件次第では最後の大ばくちに?〈前篇〉

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ジェフ・ソマー / ニューヨークタイムズ 5月18日

Abe Farming
その輸出主導による日本の経済発展は、世界中から羨望の目で見られていました。
国内の不動産価格と株価は重力に逆らうように上がり続け、日本の資金は世界中に溢れ、ニューヨークの摩天楼、世界中の名門ゴルフコース、そして企業グループをまるごと買ってしまうほどの勢いで世界を席捲していました。

そしてバブルがはじけたのです。
1990年、日本ではその後20年以上続く経済の停滞とデフレが始まりました。
当然のことながら、海外の投資家も日本への投資は手控える方が賢明でした。
そして1989年の終わりには2,881であったTOPIX、東証株価指数が、現在はその半分以下にまでなってしまいました。

そして今、その失われた20年間が少なくとも『終わる』可能性があります。
日本の株式市場は、今再び特別の勢いを取り戻しつつあり、世界の投資家も少しずつ動き始めています。
今年だけで東証株価指数はドル換算で22%上昇し、ダウジョーンズ工業平均株価指数を始め、世界のほとんどの代表的な市場の伸びを上回っています。
円安も急速に進み、4年ぶりに1ドル100円台を突破しました。
この為替レートは多くの日本企業にとり、収益力と競争力の強化につながることになります。

Abeno04
このままいけば、日本経済をインフレ局面に導くことになるかもしれません。
そうなれば、個人消費の拡大に弾みがつき、企業も積極的に設備投資を行なうことになります。

「今日本で起きていることは、革命なことなのです。」
世界最大の投資会社のひとつ、Pimco社の最高責任者であるモハメド・エル・エリアン氏がこう語りました。
「経済実験という事に関しては、第二次世界大戦終了以降、日本は何もしてきませんでした。」
現在、安倍首相と日銀の黒田新総裁が協力して展開している経済方針、『アベノミクス』に対する評価はいつはっきりするのでしょうか?
それは今、成功したように見えます。
しかしその政策は、日本国内においても、そして世界の舞台においても、予想を覆しつつあります。

最も重要なことは、新たな経済政策が日本経済を弱らせる一方だったデフレ・スパイラルを断ち切る可能性が出てきた、という点です。
2013年4月には、日銀の黒田総裁が、2パーセントのインフレを2年以内に達成可能だと宣言しました。
黒田総裁はマネタリーベース[民間(政府の支配に属さない家計・企業・銀行など)が保有している現金と、日銀当座預金(金融機関が日銀に預けている当座預金=支払い準備金)の合計。貨幣供給量を決定する基(base)になる貨幣量]を倍にすることにより、この野心的な目標を達成できる、としています。

日本銀行は長らく短期金利についてほぼゼロに近いレートを維持し続けて来ましたが、現在長期の国債とその他の証券を直接買い入れる政策を実施しています。
前述のエル・エリアン氏は現在日本が行っている量的緩和政策の規模はきわめて大きなものだと語りました。

「日米の経済規模を考えると、日本が行っている政策の規模はアメリカ合衆国連邦準備制度理事会のそれをはるかに上回っています。」

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ところでこの新しい通貨政策はうまく機能しているのでしょうか?
日本の通貨政策は時代にあったインフレ政策がとられないまま、長らく機能せずに来ました。
日本政府が発表した最新の経済指数によれば、今年3月、日本の消費物価指数は年率にして0.5%下落し、未だにデフレ傾向が続いていることを示しました。
一方で日本の債権価格がすでに1.6%上昇していることは、これからの2年間インフレ傾向が続くことを示唆しています。
「まだ数値には表れていませんが、日本の消費者心理は実際に変わりつつあるかもしれません。」
アメリカ国内に顧客を持つ投資信託会社マシューズ・ジャパン・ファンドの日本法人の責任者である石田泰三氏がこう語りました。
「個々のエピソードからそのことを感じ取ることが出来ます。日本の消費者は国内の投資信託商品に手持ちの資金をつぎ込み始め、ぜいたく品を購入するようになりました。」

「しかしこの状態がいつまで続くのか、慎重に見きわめる必要があります。」

〈後編に続く〉


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前篇だけ読むと、翻訳した当の本人の私ですら「何だか微妙な記事だなあ」と思います。
後篇に重要な結論が出てくるため、全編を一気に掲載することも考えましたが、いくらなんでも長すぎるため、前篇・後篇に分け、後篇は明日日曜日を休載日にせずに掲載いたします。
代わりに、27日月曜日を休載日とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

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【 ビフォア&アフター : アメリカ、オクラホマ州トルネード被害の現場 】

アメリカNBCニュース 5月23日
(掲載されている写真は、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

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5月20日、トルネードの直撃を受けたオクラホマ州オクラホマシティ南郊のモーア市周辺の衛星写真。

モーア市のショッピングセンター

モーア市のショッピングセンター


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モーア市の医療センター

モーア市の医療センター

【 決別、そして廃絶へ!原子力発電、『エネルギー改革』・ドイツの再生可能エネルギー革命 】〈 後篇 〉

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原子力発電の廃棄に向け、変わるドイツの消費生活行動
17基ある原子炉すべての停止まで、残された時間は7年

ティム・スメドレー / ザ・ガーディアン(英国)5月15日

GRD ドイツ
▽ 発想の転換

ドイツの『エネルギー改革』は大規模なインフラの再整備と資金調達という課題を克服しなければなりませんが、個人の生活様式を変えるというような抽象的な課題に比べれば、それほど困難という訳ではありません。
個人の生活様式を変えるなどと言う問題に、政府が口出しするなどという事は、これまでは考えられもしなかった事だ、フィシェディック博士がそう指摘しました。
「エネルギー消費量を半分に減らすためには、消費者の日常行動の変化は避けて通れない課題です。」
「そのためにはすべての消費者が、自分のエネルギー消費の在り方について再検討することが必要です。現在は未だに消費者は、自分のエネルギー消費の在り方についてはほとんど無関心です。」

「この状態を改善するためには、私たちは社会に対し、電気設備の改良だけでは不十分であり、さらに合理的で適切な電気の利用が必要なことを訴えていく必要があります。」
こうした取り組みは、教育の分野でも必要になってきます。
さらには環境税のような、税制度の見直しなども必要になってきます。

上記のような取り組みについてはこれまで検討される機会がありませんでしたが、今後2年間で活発な議論が展開されることになるでしょう。

CBS 風力発電
しかしすでにヨーロッパで電気料金が2番目に高いドイツにおいて、いくつかその兆候が見られる発電コストの上昇が、エネルギー改革が超えることのできない障害にならないよう、対策を講じて行く必要があるとフィシェディック博士が続けました。
「キロワットアワーあたりの発電コスト、あるいはキュービックメーターあたりの天然ガスの価格などでは無く、最終的に電気料金がいくらになるかということが、非常に重要な問題です。

エネルギー効率の高い分野に多額の投資を行なったからといって、必ず電気料金が上がるという訳ではありません。
私たちが消費者に本当に伝えなければならないことは、その背景にある問題についてです。
現在のところ、国民に対するメッセージは説得力に乏しいものであり、うまく伝わってはいないようです。

もし『エネルギー改革』に大きな障害が生じるとすれば、この改革を最初に提唱した政治家たちがへそを曲げてしまう事です。
「EUがエネルギー効率についての改善提案を行った時、EUの手に『エネルギー改革』の主導権が渡らないよう工作を行ったのは実はドイツ政府なのです。
私たちの取り組みについては、ヨーロッパ全体でそれを達成すべきであるという、これまでには無いレベルでの目標とコンセプトがありますが、目下のところドイツ政府の真意はずいぶんと違うようです。」

政治家というものは、様々な思惑を抱えているようです。
ドイツのエネルギー改革について語るなら、併せて困難な道のりを克服しようとする英雄的行動にハイライトを当て、敬意を表しなさいということなのでしょうか?

世界の他の国々は、温室効果ガスの削減については、緊急の課題であると口で言うだけで、具体的取り組みとなるとほとんど何もしていないというのが実情です。
もしヨーロッパ経済を引っ張る大国ドイツの取り組みを見習うことが出来れば、この問題について、他の国々も具体的解決策を手にすることが可能になるはずでした。

01ドイツ・反原発
17基ある原子炉すべての停止まで、残された時間は7年です。
そしてこの間に温室効果ガスを40%削減し、電力の消費量も2割削減しなければなりません。
課題は目の前にあります。
スケジュールを、迅速にこなしていく必要があるのです。

(冒頭の写真)ドイツ、エーベンドルフ近く、ニーダーザクセンの再生可能エネルギー発電施設。バイオマス発電と風力発電の双方が行われています。
ここでは周辺の農場から出た廃棄物を電気、熱エネルギー源とする他、環境に負荷を与えない肥料に加工しています。

〈 完 〉

http://www.guardian.co.uk/sustainable-business/nuclear-power-germany-renewable-energy?INTCMP=SRCH
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後編になって、少し論旨が解りにくくなりました。
こういう時、翻訳者としては、どこかで自分が間違ったのではないかと少し不安にかられます。
今回は見直しを重ね、誤りの無いよう気を使ったつもりですが…

ところで。全国紙のS新聞が敦賀原発2号機の下に活断層があると結論を出したことについて、「原子力規制委員会の暴走を許すな」との社説を掲げたそうですが、「暴走」という言葉を使う相手を間違ってはいるのではありませんか?

まさにそうした報道姿勢こそ、イギリスのメディア(エコノミストほか)からも、アメリカのメディア(ワシントンポストなど)からも、
「正しい事実認識の役には立ちません!」
と見下される、大本営発表報道の後継者たる所以でしよう。

加えて福井県知事の「非科学的」という誹謗も、聞いていて非常に違和感を感じます。
いやしくも県知事という立場の人間がそのような極端な表現を使うのであれば、非科学的である事を『科学的』に証明できる論文なり、調査結果を提示しなければなりません。

このような知事もまた、英国の政治評論家が「どうにもならないレベルで、まともな人間と入れ替わるのに2世代〈50年〉かかるだろう」と慨嘆する対象であるのでしょう。

【 決別、そして廃絶へ!原子力発電、『エネルギー改革』・ドイツの再生可能エネルギー革命 】〈 前篇 〉

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原子力発電の廃棄と再生可能エネルギー拡大に向け、走り出したドイツの巨大電力会社
今や「家庭で電気を作るお手伝い」、変身するドイツの電力ビジネス・モデル

ティム・スメドレー / ザ・ガーディアン(英国)5月15日

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ドイツは原子力発電のプラグを引き抜き、再生可能エネルギーへと方向転換することを誓いました。
世界はこの決断に注目すべきです。

ドイツは国内の電力需要の20%を原子力発電所によって賄っていましたが、福島第一原発の事故のわずか3カ月後の2011年7月、10年以内に全原子力発電を廃止することを決定しました。
世界中の関係者の目にドイツのこの対応は、控えめに表現しても極めて迅速、まるで反射的な行動のように映りました。

ドイツは原子力発電の廃止だけでなく、再生可能エネルギーへの切り替えを大々的に進めることにより、温室効果ガスの削減について2020年までに40%、2050年までに80%を削減する目標を明確にしました。
さらには省エネ政策も大胆に実施し、エネルギー消費量を2020年までに20%、2050年までに50%削減するとしているのです。

この取り組みはドイツ語で『エネルギーヴェンデ』、つまり『エネルギー改革』と表現しています。
そして物事について控えめな表現をすることで知られるアンゲラ・メルケル首相も、この取り組みを『ヘラクレスの課題』、つまりは達成までに非常に骨の折れる仕事になるだろうと語っています。

マルティン・ルターの『宗教改革』

マルティン・ルターの『宗教改革』


▽『エネルギー改革』国民の理解を得ること

しかし、ヴッペルタール研究所副所長で、ドイツ政府とエネルギー産業界双方の顧問を務めるマンフレッド・フィシェディック博士は、『エネルギー改革』の概念は2011年、福島第一原発の事故の後、突然天から降ってきたわけではないと語りました。

「『エネルギー改革』に関わる議論は、ドイツではすでに1980年代に始まっていました。」
「ドイツ国内には、長い間再生可能エネルギーや代替えエネルギーによる改革に関する議論が続けられてきた伝統があるのです。そして政府の迅速な決断を可能にさせるだけの科学技術力も、優れた研究の蓄積などの有用な資産もありました。そうした背景が無ければ、福島第一原発の事故発生後わずか3カ月でこれだけの決断を行うことは不可能だったでしょう。」

長期に渡る議論の蓄積もまたそうした資産のひとつです。
しかし議論だけで物事は進みません。

「私たちは新たな送電網を整備しなければなりません。バイオマス発電設備を住宅地のそばに整備していく必要があります。新たな風力発電装置を建設して行かなければなりません。そして最も大切なことはこうした大々的な公共投資について、国民の合意形成を行う必要があるという事なのです。」

ドイツの田園
ドイツの田園地帯を横切って、数千キロの長大な送電網を整備していくことは、早くも議論の的になっています。
そして平均的な家庭において、この2年間で再可能エネルギー事業に関連する税の負担額は47%増加しました。
そして風力発電については、送電方法と断続的にならざるを得ない電気をどう貯めていくかという点も問題になっています。

しかしさまざま問題はあるとしても、
「すでに90%の新しい技術がすでに利用可能になりました。我が国取り組みはもっと長期的な視点で評価されるべきものです。2030年以降も、現在の取り組みの成果は表れ続けるわけですから。」
「現段階で評価すべきものがあるとすれば、それは送電網をどう整備するかという問題です。」
「それはどのようにして新たな送電網を整備するのか、その建設について一般国民の合意をどう取り付けていくのかという問題です。」

▽ 生産者=消費者というモデル

再生可能エネルギーというと一般的メディアなどの関心はどうしても大規模な風力発電設備に向きがちです。実際、フィシェディック博士も2050年段階では再生可能エネルギーの内、風力発電が80%を占めることになると予測しています。
ドイツの『エネルギー改革』の特徴的な点は、最少規模規模発電、最少規模オーナー制度をどのようにして実現していくのか、という点にあります。

発電設備の所有と運営が個人レベルで広がれば、再生可能エネルギーの普及拡大への国民の合意の取り付けはより容易なものになる、フィシェディック博士がこう語りました。
『プロシューマー・モデル』として世界的に有名になりましたが、実際ドイツでは現在再生可能エネルギーの50%以上が、利用者自身である農民たちによって所有されているのです。

これに対し、ドイツ国内に4社ある巨大電力企業の持ち分は6.5%に過ぎません(2010年度実績)。

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「ドイツの農民たちの風力発電設備は太陽光発電装置も組み合わされた、きわめて小規模なものですが、きわめて有効です。生産者=消費者というモデルは非常に重要な概念だと思います。」

「この変革を外から観察するだけでは、様々な問題点、あるいは欠点が目につくだけかもしれません。しかし、当事者にとってはきわめて意義深い変革なのです。」

こうした状況に、ドイツ国内のいずれの電力会社も自らの役割について、再検討せざるを得ない状況に追い込まれています。

フィシェディック博士によれば、ドイツの大手電力会社は従来のビジネス・モデルに漫然と寄りかかることをやめ、今やバイオマス発電、風力発電、そして大規模太陽光発電システムへの投資を拡大させています。

「さらにはプロシューマーに対し、一種のサービスプロバイダー事業を展開すべく、検討を行っている電力企業もあります。」

例えば電力大手のRWE社は、一般家庭向けに屋根に太陽光発電装置を取り付け、これを家庭用の小型蓄電装置と組み合わせて効率的な電気の利用を可能にするシステムを提供するビジネスを始めました。
彼らはこの2年、事業構想とビジネスモデルの大幅な見直しと変更に取り組んできたのです。
〈後編に続く〉

http://www.guardian.co.uk/sustainable-business/nuclear-power-germany-renewable-energy?INTCMP=SRCH
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ドイツでは困難ではあっても、真っ当な努力をして必要な技術開発を行い、安全で地球環境に対する負荷も少ない『エネルギー改革』の実現に取り組んでいます。

その改革のきっかけを作った、否、作ってしまった福島第一原発の事故を起こした当事国日本は?
自分たちの『カバン』を膨らませてくる原子力ムラ、そして自分たちが依って立つ電力ムラの崩壊を食い止めようと暗躍する政治屋たち。
そして大事故を起こし、世界唯一の被爆国でもある日本の首相は、そっちの方に加担するという現実。

ドイツはいずれ困難な課題を克服し、あらゆる意味でクリーンなエネルギーによる改革を実現させることでしょう。
そうなれば世界中の心ある人々から、賞賛されることになります。

その時日本はどうなっていますか?

人間を!使い捨てる!東京電力・福島第一原子力発電所〈第3回〉

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所要時間 約 6分

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福島第一原発は緊急作業員に未来をあきらめさせ、危険な状況に追い込み、何の補償も受けられない仕組みを作り出してしまった

 

ロジャー・ウィザースプーン / エナジー・マターズ 2012年3月13日

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北島氏が福島第一原発の内部の様子について、以下のように説明してくれました。

作業員たちは区切られた、金属製のかまぼこ型の作業員用待機施設の中に入っていきます。
まず最初の部屋で彼らは一番外側の防護服を脱ぎ、廃棄します。
「私たちはその部屋では彼らに接触しないようにします。」
「彼らは自分自身で、一番外側の装備を捨てる作業を繰り返すのです。」

次に入った部屋では靴を脱ぎ、防護服の2層目を脱ぎ、フェイスマスクを外し、廃棄処分にします。
それぞれの部屋で放射線量が測定されますが、いずれも空気中の放射性物質が表面に付着しただけの事です。
鉛が入ってはいない防護服を透過し、作業員の体内に入り込んだガンマ線の測定は行われません。

「それから彼らは3番目の部屋に入り、私たちが彼ら自身の体の放射線量を測定するのです。もし測定された値が高い場合は、彼らは別の部屋に行って新しいフェイスマスクとフィルターを渡されます。シャワーを使って体についた放射性物質を洗い流すことは認められていません。この地区の水が放射能に汚染されているためです。彼らはアルコールのついたタオルを使って自分の体をこすり、放射性物質をふき取るのです。」

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「そして一人ずつ東京電力の職員の聞き取り調査を受けるのです。彼らが汚染されているかどうか、どこの現場で、どのような作業をどのぐらい行ってきたか、質問されるのです。」
「東京電力の職員が現場に出て、放射能に汚染されることはありません。東京電力の職員が行うのは、現場に出て汚染されてしまった作業員に質問をし、記録を取ることだけなのです。」

そしてフルタイムで働く原子力産業労働者のため、法律が定める年間被ばく線量の限度まで被ばくした作業員はその場で解雇されます。
彼らは少なくともこの後4年間、原子力産業で働くことはできなくなります。

日本には健康保険制度がありますが、特別な治療などを要する場合には貧しい人には負担できない高額の免責条項があり、高い保険料を支払わなければ、受けられる治療も最低限のものにならざるを得ません。
田中氏がこう語りました。

「低線量被ばくエリアで働く作業員たちは、ほぼ1年間で被ばく線量の限度に達してしまいます。」
北島氏が語りました。
「放射線量の高い現場で働く作業員に至っては、2カ月で限度量に達してしまいます。いったん限界に達したら、4年間は原子力関連施設の現場に戻ることはできません。その間、彼らは報酬を受け取ることが出来ないだけでなく、どのような補償も受けられないのです。」

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「東京電力は、緊急作業員は東京電力の職員では無く、したがって補償責任も無いと語っています。
そして日本政府はこの問題に関わろうとはしません。」

労働者自身に、直接抗議をする選択肢はありません。

「私は彼らがもっと制度化された補償が受けられるよう、直接彼らと話をしました。」
「しかし彼ら自身がそれを望まないのです。彼らは仕事を失ってしまう事を、何よりも恐れているのです。もし作業員たちが、待遇改善のための労働争議を起こせば、下請け企業ごとクビになってしまいます。そして別の下請け会社が別の部落民たちを連れてくるだけなのです。」

「彼らは日雇い労働者であり、常に金銭的に追い詰められた状態にあります。彼らに選択の余地は無いのです。これら緊急作業員たちは5年以内に何らかの放射線による疾病を発症するか、放射線障害を起こすことが予想されています。しかし彼らはすでに国の援護により治療を受けたり、補償を受けることをあきらめてしまっているのです。」

「彼らを危険な状況に追い込み、何の補償も受けられない仕組みを作り出してしまったことに、私は心の底からの怒りを禁じ得ません。」

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「時に私は、日に6回、放射線防護服を着替えなければならないことがありました。一度捨てられた防護服がリサイクルされることは無く、ただ捨てられるだけです。福島第一原発では人間がそのようにして、使い捨てられているのです。」

〈 完 〉

Japan’s “Throwaway People” And the Fallout from Fukushima
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今回の記事が伝える「人間が人間を使い捨てる」という事実について、「そんなことも起きているのか…嘆かわしい」、そう思うだけでいいのでしょうか?
どうも文部科学省が組上げたプログラムで教育を受けたせいか、あるいは日本の「一市民にできることなど、たかが知れている」という報道にならされてしまったせいか、私たち日本人はこれほどの冷酷無比の仕打ちに対しても、アメリカやヨーロッパの人々と比べ、憤ることが足りないように思います。

アメリカではウォール街を占拠せよ!運動の時、無抵抗の学生に唐辛子スプレーをかけた警官に対し、全米のメディアが激高しました。
そして今回、福島第一原発の作業員の実態について、ここまで赤裸々に伝えたのもアメリカのルポライターでした。

日本の大手メディアは何のために、毎日あれだけの本数のニュースを作り、全国津々浦々に配信しているのでしょうか?

人間を!使い捨てる!東京電力・福島第一原子力発電所〈第2回〉

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所要時間 約 8分

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福島第一原発では放射線防護服にすら、『差別』がある

 

ロジャー・ウィザースプーン / エナジー・マターズ 2012年3月13日

02廃炉作業
日本では大学に進学するにしても、国が行う入試センター試験を始め大学入学試験の難易度は高く、レベルの高い大学に進学するのはそれなりの教育機会を与えられた子供たちに限られます。
そのため、教育によって身分格差を克服することは容易なことではありません。

「スラム街で暮らす人々は、こうした競争を勝ち抜くだけの教育を受ける機会を与えられてはいません。」
田中氏がこう語りました。
「地元の学校は、彼らに高等教育を受ける機会を与えるようなしくみにはなっていないのです。その代りに就職の援護に力を入れています。そのため、大学の入試試験に合格するのは難しいのです。」

「そこには最良の教師、あるいは彼らの人生設計を確かなものにするための教師はいません。そのために彼らは彼らは日雇い労働者として働かざるを得ないのです。」

そのような事情から部落民として身分を固定されてしまった人々にとって、原子力産業での仕事は魅力的に映りました。

この仕事は福島第一原発の6基を含め、日本に54基あった原子炉に関連するものでした。
全ての原子炉は定期点検と燃料補給のため、年一回定期的に停止しなければなりません。
通常この作業は、一か所の原子力発電所内で連続して行われ、最長で2カ月間続くことになります。
たとえ複雑な構造を持つ原子力発電所の専門知識を持った職員になれなくとも、部落民の人々は臨時作業員としてこうした作業を渡り歩くことにより、一年間途切れることなく働くことが可能になります。

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しかし原子力発電所そのものではなく、下請け企業によって雇用され、原子力発電所を渡り歩く彼らには、正規職員に与えられる補償も、各種の福利厚生もありません。
その雇用状態はアメリカ合衆国の南部で何十年も続いた、黒人の小作人労働に非常に似ています。

しかも彼らは危険な重労働を子なことによって受け取った報酬の中から、下請け会社によって『諸費用』を差し引かれてしまう、北島氏がこう指摘しました。

「彼らは最も危険な作業を引き受けるために、原子力発電所を渡り歩くのです。」
原発の臨時作業員について調査・研究を続けてきた田中教授がこう語りました。
「彼らの健康を守るためには何をしなければならないか、それを判断するのは非常に難しいことです。彼らは正規の職員ではないため、継続して健康状態を記録・管理されてはいないからです。」

そして2011年、福島第一原発の事故が発生し、4基の原子炉が破壊されました。
3基の原子炉では100トンに上る核燃料がメルトダウンする事態が発生し、4号機では原子炉から取り出された核燃料が、原子炉の上にある使用済み核燃料プール内にそっくり置かれたままになっています。
3号機と4号機では換気システムを共用していたため、3号機のメルトダウンで大量の水素が生成されると、その影響はすぐに4号機にも及びました。
福島第一原発の事故では3号機の爆発により、3号機、4号機両方の原子炉建屋が吹き飛ばされてしまいました。
ある意味で、これは予測できない事態でした。

4号機プール視察
屋根も天井も壁も吹き飛ばされたため、日本政府は4号機使用済み核燃料プールについては放水によって水を満たすことにしました。
もし原子炉建屋が無傷まま残っていたら、この処置は不可能であり、水が無くなった使用済み核燃料プール内では、高温に達した核燃料が大火災を起こし、莫大な量の放射性物質を放出してしまっていたでしょう。

北島氏は2012年に行われた大規模な反原発集会を組織した一人ですが、アメリカ国内で4つの環境保護団体がニューヨークのブキャナンのインディアン・ポイント原子力発電所前で3月に開催した集会に、来賓として招かれました。
彼は、ラジオ番組の司会者で映画制作者でもあるゲイリー・ヌル、反原発について講義を行っている大学講師のハービヴェイ・ワッサーマン、ニューヨークにあるグラフト平和記念館の仏教徒であるジュン・サン・ヤスダさん(彼女はニュージャージー州のオイスター・クリーク原子力発電所からヴァーモント・ヤンキー原子力発電所までの200マイルの反原発デモを組織しました)とともに、来賓として招かれたのです。

北島氏は、日給制の臨時作業員と言えど、8,000円の日当のために放射能被ばくの危険がある福島第一原発に行く必要は無いと語りました。
「私は当初、反原発デモの参加者の一人に過ぎませんでした。」
「しかし今ではもっと深く、この問題に関わるようになりました。福島第一原発事故が起き、実際に現場で危険を冒して働いている人々の実態を知ることなく、安全な場所にいて福島第一原発の危険性について語ることは、道義的に問題があるのではないかと考えるようになったのです。」

彼がやったことは福島第一原発の現場の下請け会社と契約し、自ら作業員の被ばく線量を計測する仕事に就くことでした。
彼によれば福島第一原発の現場で働く作業員たちは、3層構造の重い放射線防護服を身に着け、ゴーグル、マスク、手袋を着用してその周囲をテープを使っていく層にも目張りし、放射能に汚染された空気が入り込まないようにします。


「福島第一原発の事故収束・廃炉作業の現場には、何種類かの異なる防護服があります。」
北島氏が説明してくれました。

「このうちの数種の防護服は、鉛を使った防御性の高いもので、IAEAの技術者や東京電力の職員が使います。緊急作業員はこのスーツは使いません。彼らが着用する防護服は、これ程防御性の高いものでは無いのです。」

〈つづく〉

Japan’s “Throwaway People” And the Fallout from Fukushima
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これまで2年半、福島第一原発の事故、日本の原子力発電に関する世界中の報道を翻訳し続けて来ました。
自分で数えたことは無いのですが、その数は相当数に上りました。

その中に、訳すほどに涙がこぼれる記事も数多くありました。
数限りない『人間の悲劇』が作り出されている、その事についてです。

この記事もただその場所に生まれたというだけで差別されるという理不尽な目に遭い、教育の機会も制限された結果、危険な場所で臨時雇いの労働者として働かざるを得ない状況に追い込まれ、その挙句給料をピンハネされる人々の姿が伝えられています。

この問題は、世界の報道では事故発生当初から問題にされていました。
しかし日本の報道大手も日本の政治も、まず取り上げることはありませんでした。

美しい日本を取り戻す、そう言うなら、まずこの問題を何も隠さず、何もごまかさずに日本国民、全世界の人々の前に明らかにし、人間の問題としてきちんと解決してください。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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