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【 福島第一原発の現場が崩壊する! – 不足する緊急作業員 】

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福島第一原発で働く作業員たちを守るための、強固な基盤を築く必要がある
世界中から批難が続く中、なぜ彼らの待遇は改善されないのか?

IPSニュース(ローマを拠点とする国際通信社) 2013年3月11日

街頭抗議
日本政府はこの25年間で世界最悪となる原発事故を引き起こした、福島第一原発のすべての原子炉を廃炉にすることを表明しました。
福島第一原発の南方30㎞にあるいわき市の渡辺博之議員は、事故からちょうど2年が経過したこの日、多少の疑念を抱きつつもこの決定に歓迎の意を表しました。

「しかし福島第一原発のおいての問題は減ってはいません。むしろ現在も増え続けているのです。」
「中でも最大の問題は、これから困難かつ膨大な作業をこなさなければならない事故収束・廃炉作業の現場で、肝心の技術を備えた働者が不足していることなのです。」

福島県にあるいわき市は、2011年3月11日に発生した三重災害 -地震、津波、そして福島第一原発の事故 – により、大きな被害を受けました。

いわき市はJ-ヴィレッジがある場所でもあります。
かつてのサッカーの総合競技施設で、現在は福島第一原発の周囲に設けられた立ち入り禁止区域に入るための準備を行う場所でもあります。
毎日約3,000人の緊急作業員が、新たに建設された作業員宿舎から、この場所を通って福島第一原発の現場に向かっています。
彼らはこの場所で放射線防護服や各種の防護装置を身に着け、約1時間専用バスに乗って現場に向かいます。
毎日危険にさらされがら毎日8時間働いている緊急作業員の、労働者としての当然の権利を守るために戦う事もまた、渡辺議員が自らに課す責務なのです。

111326
「労働者たちは、汚染される危険と常に向き合わなければなりません。そして賃金と労働条件について公正に対応しようとしない下請け企業によって雇われています。私がしなければならないことは、彼らを守り、政府と雇用している会社が彼らを正当に扱うよう、その保障を獲得する事なのです。」

いわき市議会の共産党の議員である渡辺氏は一人で戦っているわけではありません。
今後予想される福島第一原発の事故収束・廃炉作業の極めて困難な作業に、これと取り組まなければならない労働者たちは、それぞれ異なる労働組合の下、別々の組織を立ち上げました。

全国一般労働組合全国協議会の書記長務める渡辺啓二氏は、福島第一原発で働く作業員たちを守るための、強固な基盤を築く必要があると語りました。
福島第一原発の事故収束・廃炉作業には、優に40年以上の歳月を必要とするとみられています。

「福島第一原発の深刻な状況はもちろん、これから日本各地の原子力発電所で起こり得る事故に対処するため、これから数十年間、日本では数万人に上る男性、そして女性の作業員を必要とすることになるでしょう。
この前例のない状況に対し、私たちは緊急に解決すべき問題として、これら作業員の労働条件を可及的迅速に整備しなければならない、そのことに気づかされたのです。」
IPSニュースの取材に対し、渡辺氏がこう語りました。

廃炉01
福島第一原発の緊急作業員たちが意識する最大の問題、それは明確な規則が存在しない事です。
現在福島第一原発で働く緊急作業員たちは、その職能、年齢などによって数百社に上る東京電力の下請け企業によって雇用されています。

こうした下請け会社に雇われている数人の労働者が、労働者の賃金や手当から「手数料」を取りあげる人材派遣会社が作り出したシステムに対し、問題提起を行いました。

現場では福島第一原発の汚染されたがれきを取り除いたり、修理を行う際の危険手当として1日当たり約9,000円の危険手当が日給に上乗せされていますが、下請け企業はその50%に上る金額を「手数料」として、労働者から取り上げている、かつて福島第一原発で働いた経験がある後藤ひろし氏がそう証言しました。

「この問題を見過ごすわけにはいきません。」
後藤氏は日本国内でも著名な月刊誌である『世界』で、この問題を報告しました。
労働者たちは東京電力に直接訴えても、どのような解決も得られなかったと語りました。

16日抗議集会01
日本では市民運動からの圧力により、放射能汚染についてより厳しい安全基準が採用されました。
しかし作業員の中で、活動を行っている人々が以下のように指摘しました。
新たな基準の採用により、健康を守るためにこの仕事を離れなければならない労働者が現れ、結果として現場では作業員が不足することになると。

雇用環境が悪化する中、福島第一原発で働こうとする労働者は明らかに、そして急速に減少し続けています。
いわき市議会議員の渡辺氏は、現在福島第一原発で働く3,000人の緊急作業員の多くが、事故のために農地を汚染され、働く場所を失ってしまった近隣の農家の人々だと語りました。
「作業員の多くが、生きていくために仕事を必要とする年齢の高い人々です。
こうした状況から日本では福島第一原発の現場で働く作業員を確保するため、遠くない将来外国人労働者の導入を検討せざるを得なくなるかもしれません。

こうした混乱と厳しい状況が続いているにも関わらず、日本の安倍信三首相は日本の安定したエネルギー需給のため、可能な限り多くの国内の原子力発電所を再稼働させると明言しました。
かつて日本は総電力の3割近くを、原子力発電に依存していました。

一方、60,000人を超える福島県の住民たちは、汚染されたしまった故郷の回復が進まないため自宅に戻ることが出来ず、この先の人生を見通すことが出来ずにいます。

NBC01
「福島第一原発の原子炉がメルトダウンを起こしてからすでに2年が経過しましたが、私たちはどうやって前に進めばよいのか、未だにその答えを見つけ出せずにいます。私たちのこの悪夢のような現状こそ、日本に対する教訓であり続けています。」
最後に渡辺氏が、こう語りました。

http://www.ipsnews.net/2013/03/fukushima-running-out-of-workers/
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この問題については、早くから海外のメディアが問題として繰り返し取り上げてきました。

この【星の金貨】でも、最初に取り上げたのが【福島J-ヴィレッジ潜入記 : 使い捨てられる人々】〈第1回〉( http://kobajun.biz/?p=1332 )でした。
以来、最近掲載した【人間を!使い捨てる!東京電力・福島第一原子力発電所】〈第1回〉( http://kobajun.biz/?p=11259 )まで、福島第一原発の現場で苦しい作業を続けている人々の待遇は一向に改善される様子がありません。
なぜなのでしょう?

例によって日本のメディアはこの問題をほとんど取り上げません。
なぜなのでしょう?

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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