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気候変動による主要作物の栄養成分の変化、数億の人類が栄養欠乏の危険にさらされる!

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二酸化炭素濃度の上昇は地球規模で重要な作物の栄養価に重大な脅威をもたらす

気候変動による作物の栄養素の減少は『現在すでに緊急事態』である栄養不良・栄養失調の問題をさらに深刻なものにする

 

チャーリー・シールド / ドイチェ・ヴェレ 2018年8月27日

二酸化炭素濃度の上昇は地球規模で重要な作物の栄養価に重大な脅威をもたらす…

 

新たな研究結果が公表され、こうした作物によってやっと生きている世界で最も貧しい数千万から数億人の人々にとって、それは壊滅的なものになる可能性があるという結果が示されました。

新たな研究では大気中の二酸化炭素のレベルの上昇により数億人の人々が栄養欠乏の危険にさらされる可能性があり、開発途上国の健康の未来について深刻な疑問が生じています。

 

ハーヴァード大学公衆衛生学部のT.H.チャン氏の研究グループは8月27日に発行された気候変動ジャーナルに掲載した論文の中で、気候変動の広がりが人間が日常的に摂取している栄養成分にどのような影響を及ぼすか、その脅威の程度について詳細な報告を行いました。
今後数十年間に炭素排出量が劇的に減少しなければ、これから地球上の1億7,500万人が亜鉛欠乏症を起こし、2050年までには1億2,200万人が生きるために必要なタンパク質の摂取ができなくなる可能性があると推定しています。

 

これに加え出産適齢期の14億人の女性と5歳未満の児童が鉄分摂取量の4%を失い、貧血状態に陥る危険性があります。

注意すべき作物の栄養成分の変化

 

さらにこの調査は、水不足、気温上昇、二酸化炭素レベルの上昇などの気候変動が野菜、豆類、米などの栄養成分を変化させ、品質と収穫量に影響を与えていることを表す調査結果を報告する文献が増え続けていることを指摘しています。

現在世界の二酸化炭素(CO2)レベルは400ppmを少し上回っている状態です。

 

もし将来CO2レベルが550ppmに達した場合、その環境下で作物を栽培すると現在の作物に比べ、タンパク質、鉄、亜鉛の濃度は3~17%低下してしまうことになります。

気候学者は今すぐCO2排出量の削減に取り組まなければ、その濃度は2100年までに1200ppm以上に上昇する可能性があると予測しています。

 

世界最貧地域で生きるリスク

 

様々な分野でテーマごとの研究が行われているにもかかわらず、それらを総合し地球規模で人類全体の健康にどのような影響が及ぶのかというテーマについての研究はほとんど行われていません。

このハーヴァード大学の研究グループは世界の151カ国における低栄養摂取による健康への影響を評価するGENuS(Global Expanded Nutrient Supply - 世界全体の規模の栄養供給)のデータベースを使用して、米、小麦、ジャガイモなどの主食となる作物の栄養素が減少することにより、最もダメージを受ける可能性のある地域についても検証しました。

 

その結果についてハーヴァード大学プラネタリー医療保険組合の責任者であり、今回の研究の共同責任者であるサミュエル・メイヤー氏はドイチェ・ヴェレの取材に対し、次のように答えました。
「気候変動による他の様々な問題の最大の被害者と同様、『最貧国』の人々が最も大きな影響を受けるでしょう。」
「栄養素欠乏症の限界に近づいている人々、そして必要なミネラルや特定の栄養素についてかなりの部分をこれらの主食作物に依存している人々にとって、今回の発見は極めて重要です。」

 

米と小麦のような主要作物は世界中の30億人以上の人々にとって大切な食糧源です。
多様な食事を用意できない貧しい国々の多くの人々が、カロリー摂取のほとんどをこうしたこれらの主食穀物をに依存しています。
これらの『食物の多様性が低い』鉄や亜鉛やタンパク質の豊富な『動物性タンパク摂取の機会がほとんどない』人々こそ、作物の栄養不足によってもつとも深刻な被害を受けることになります。

そして最大の被害を受けると予想される国は、21世紀半ばまでに亜鉛が不足している人口が5,000万人、タンパク質欠乏症が3,800万人、鉄欠乏症に陥っている女性や子供が502万人になると推定されているインドです。

 

▽ 世界的に栄養失調が「極度に悪化する」

 

現在すでに地球上の20億人が栄養不足に陥っています。
これとは別に必要十分な栄養価のある食事ができていない人々が約8億1,500万人、新鮮な野菜の摂取量が十分でないことにより死亡する人が毎年150万人に上っています。

ドイチェ・ヴェレの取材に応じたワシントン大学で世界規模の健康問題について研究しているクリスティー・エビ教授がこう語りましまた。
「このまま何もしなければ、気候変動による作物の栄養素の減少は『現在すでに緊急事態』である栄養不良・栄養失調の問題をさらに深刻なものにする恐れがあります。

 

エビ教授はさらに鉄分の不足が鉄欠乏性貧血を引き起こし、「心不全や発達障害などの重篤な合併症を子供たちに引き起こす可能性があります。」と述べています。
そして亜鉛の欠乏は「食欲減退と嗅覚の喪失につながり、ケガや傷が治りにくくなり、さらには免疫機能の障害」につながる可能性が高くなります。
「亜鉛は人間の成長と発達を支える重要な微量栄養素であり、妊娠中の女性の健康維持と子どもの成長には食事による十分な摂取が重要になります。」

▽ 世界全体の問題

 

しかし主要な作物の栄養不足の影響を受けるのは発展途上国だけではありません。
この調査の結果は、世界中の保険衛生と食料の必要な量と質の確保にはっきりと悪影響を与えるものです。
エビ教授は、地球温暖化による作物の品質の低下は『人間すべてに悪影響を与える可能性』を持っています。

肉、穀物、果物、野菜を含む多様な食事は、十分なビタミン、微量栄養素、およびタンパク質を摂取するために最低限必要な条件です。

しかしエビ教授は「それだけの質と量が確保された食生活は、すべての国の貧困人口に行き渡らない可能性があります。」と指摘しています。

 

地球温暖化による作物の品質の低下が先進国と発展途上国の両方の人々に悪影響を与える可能性があるにもかかわらず、ハーヴァード大学のマイアーズ氏は富裕国の国民と研究チームの今回の調査結果の間には「互いに関連する道徳的要素」があると語ります。
マイヤーズは、「私たちが家の中を暖かくする方法、何を食べるかという選択、移動手段、何を購入して消費するかという選択」が結果的に「食品の栄養量を減らし、他の場所で暮らす人々と将来の世代の健康に影響を与える」可能性があることを肝に銘じるべきだと語りました。

 

「アメリカや中国など大規模経済国家の行動が、世界で最も弱い立場の人々を危機的状況に追い込んでいることを理解する必要があります。」

 

https://www.dw.com/en/climate-change-threatens-crop-nutrition-puts-millions-at-risk/a-45245760

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