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1号機 - 爆発の前に、さらには津波到達前に、放射性物質の放出は始まっていた
2号機 - 格納容器自体の爆発により、建屋内部は外観と異なる惨状
3号機 - デトネーションの衝撃波により、最大級の破壊が起きた
フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 10月3日
では福島第一原子力発電所の原子炉を、個別に検証していくことにしましょう。
まず1号機です。
現在、実際の状況はこの映像とは異なっています。
現在は原子炉建屋を覆う建造物が作られています。
この外側の建造物は
それは、それのトップの上に、繭を得ました。 そして、繭は、ケブラー(原文 : 冬の間、ボートなどに掛けられているカバーなどに使われる・ウィキペディア : ケブラーはパラフェニレンジアミンとテレフタル酸クロリドの重合によって得られ、分子構造が剛直で直鎖状の骨格を持つために、高強度・高耐熱性であり、同じ重さの鋼鉄と比べて5倍の強度を持つ。)で出来ています。
これはもちろん、爆発によって原子炉建屋が破壊されてしまったためです。
1号機は最も小さな原子炉であり、その出力は500メガワット未満でした。
最初に爆発したのが、この1号機です。
1号機についての謎、それは爆発を起こす前、どれ程損傷していたか?ということです。
爆発の前に、さらには津波到達前に、放射性物質の放出は始まっていた。
その事実を伝える数多くの傍証が存在します。
そこから得られるのは、1号機だけは巨大地震によってすでに損傷していたという事が考えられる、という推論です。
前方のこの部分、ここに排煙等があります。
東京電力は排煙等の地上66メートルほどの場所に亀裂を発見しました。
この亀裂には強い振動によって出来る特徴が残っており、地震によってできた可能性があります。
福島第一原発1号機は地震によって損傷を受けたという事を指し示す事実が数多く存在します。
しかしその直後に襲った津波により、その前後関係の特定が困難なものになってしまいました。
2号機に移りましょう。
原子炉建屋には一見何の損傷も無く、被害は軽微に見えます。
しかし原子炉格納容器の爆発は、この2号機が最もひどかったのではないでしょうか。
1号機も、3号機4号機も、それぞれ爆発しました。
しかし爆発はおそらく格納容器の外側で発生したものと考えられます。
2号機の場合、格納容器の内部で爆発が起き、その結果格納の下部、底の方が損傷し、亀裂が生じました。
この結果
その時幸運にも2号機の原子炉建屋の側壁は吹き飛ばされたため、水素ガスは建屋内に充満する事無く、外に逃がされる結果となりました。
しかしこの原子炉建屋という建造物は密閉されている訳では無く、シアーズ・ローバッグで購入できる金属製の物置と比較し、それ程強度に優れているわけではありません。
原子炉建屋は放射性物質の外部への流出を防ぐためのもので、ここに見える左右の排煙塔からファンを回してガスを外に放出する構造になっています。
事故の後、これら原子炉に対する送電がストップし、当然ながらこれら排煙設備は使用不能に陥りました。
1号機と3号機の原子炉建屋内には水素が充満し、その爆発によって原子炉建屋は吹き飛ばされました。
幸運にも2号機の原子炉建屋の側壁が外れてしまっていたため、水素が内部に充満する事無く、外気と交じり合っていったのです。
このため2号機の原子炉建屋は外見上は何ともなく見えますが、対照的に内部はひどく損傷しています。
次は3号機です。
1~4号機の中で、最も大きな爆発が発生した原子炉です。
ここでは通常の爆燃(ばくねん : 燃焼の伝搬速度が亜音速のもの)では無く、爆轟(ばくごう、またはデトネーション : 爆発物の燃焼速度が音速を超えること。衝撃波が作られ、大きな破壊力を持つ)という爆発が起きました。
現場の状況を見ながら、その違いについてご説明しましょう。
1号機で起きたのは爆燃です。
原子炉建屋は破壊されましたが、周辺の設備等に被害はありませんでした。
3号機の場合は周辺設備まで、構造が破壊されめちゃくちゃになっています。
3号機も残っている核燃料を取り除かなければなりませんが、これまでの経験則に基づく従来の方法ではおそらく不可能でしょう。
そして3号基の原子炉建屋は内部にクレーンなどを設置した場合の、余分な荷重を支えることは不可能です。
3号機原子炉建屋では、未だにがれきの撤去が行われています。
ところでこの画像をご覧いただいてわかる事ですが、3号機で作業しているクレーンはすべて離れた場所に設置されています。
3号機周辺は突出して放射線量が高く、オペレーターなどが近づける状況では無いため、これらのクレーンはすべて遠隔操作で動いています。
そして建屋内は人が入れる状態では無いことは、間違いのない事実です。
放射線濃度がとても高く、人間は近づくことすらできません。
〈 第3回につづく 〉
http://fairewinds.org/media/fairewinds-videos/tour-fukushima-daiichi
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世界中のメディアから「愚劣」とまで評された、東京電力による福島第一原発の事故収束・廃炉作業。
それでもなお、「原子力ムラ」のメンバー以外が福島第一原発の現場で作業を行う事を拒み続けた背景には、1号機が事故を起こしたタイミングの問題があったのではないでしょうか?
これまで翻訳してご紹介した記事の中にも、1号機の事故発生は津波到達以前だとする記事がありました。
事ここに到れば、全ての事実を明らかにする必要があります。
建設段階において、『最大の欠陥』を作り出してしまった福島第一原発
事故処理に追われ、次の問題の原因を自ら作り出している東京電力
フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 10月3日
フェアウィンズには、三基の原子炉がメルトダウンしたことにより、深刻な危機が続いている福島第一原発の状況について、本当はどうなっているのかという質問が、毎週大量に寄せられています。
そこでフェアウィンズのチーフ・エンジニアであるアーニー・ガンダーセンが、衛星から撮影された福島第一原発の映像を基に、ひとつひとつの問題を詳細に分析しながら、全体の状況を明らかにして行きます。
ガンダーセン : みなさんこんにちは、フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。
ここの所、福島第一原発では事故が多発し、繰り返し報道される事態となっています。
汚染水貯蔵タンクからの漏出事故、汚染され続ける地下水、そして海洋汚染。
そしていよいよ4号機使用済み核燃料プールからの核燃料の取り出しが開始されます。
これらひとつひとつが、実は深刻な、大きな問題なのです。
そこで私はこのビデオを使い、みなさんに福島第一原発の正しい状況について、解説を行おうと思い立ちました。
高濃度汚染水貯蔵しているタンク群について検証を行い、原子炉については一基ずつ検証して行こうと考えています。
なぜならこの原子炉一基一基の存在こそが、日本にとっての困難な課題であるからです。
それでは解説動画をご覧ください。
この画像の中心に見えるのが、福島第一原発の原子炉1号機と2号機です。
次に3号基、そしてこれが4号機です。
そしてこの画像では右方向、少し離れた場所にある二つの立方体、これが5号機、6号機です。
この二つの原子炉については、後半でお話します。
さて数字が表す通り、福島第一原発で最初に建造されたのが1号機でした。
そして福島第一原子力発電所が建造された時点で、今回の深刻な事故の原因も、津波がきっかけで発生した数々の問題の原因も、同時に作りだされたのです。
その問題を作り出したのは東京電力ではありませんでした。
アメリカの企業です。
一社はゼネラル・エレクトリック、もう一社はEBASCO※という名前の会社です。
※1905年にゼネラル・エレクトリックの電気事業の証券を売却した持株会社を起源としたアメリカ合衆国の企業。
業容としては工学的なコンサルティングと建設工事を事業とした。他には原子力発電所の設計業務がある(ウィキペディア)。
この2社こそは、福島第一原発をどの程度海に近づけて建設するかを決定した企業なのです。
ここで別のもう1枚の画像に目を転じましょう。
これが建造された当時の原子炉1号機の画像です。
原子炉1号基が抱える問題のすべては、コンクリートの中に閉じ込められました。
同様に、特にそのグレードに関して、原子炉2~4号機にも問題があります。
道路の方に目を転じてみましよう。
当時の建設技術者が、100フィート(約30メートル)程地面を掘り下げて道路を建設し、それが海へとそのままつながっている様子が解ります。
掘り下げられた場所の土壌は砂礫によって構成されていました。
そこにあったのは、ぬかるみやすい砂礫だったのです。
しかし福島第一原発が建設されたのは、この砂礫で構成された表層部分の上ではありませんでした。
工事では約30メートル、この砂礫の部分が削り取られ、その上に福島第一原発が建設されたのです。
海岸近くに福島第一原発を配置するという決定を行ったのは、ゼネラル・エレクトリックとEBASCOです。
今日であれは津波の脅威を考え、そんな場所に原子力発電所を建設したりはしませんが、当時は別でした。
そしてこの場所に福島第一原発を建設したことが、今日の地下水の汚染問題の根本的な原因を作りだしました。
福島第一原発は丘陵地帯の土を削り取って建設されましたが、削り残した丘陵地帯の地下には地下水が貯まっています。
現在福島第一原発の敷地の地下に流れ込んでくるのは、この地下水なのです。
従って地下水が大量に福島第一原発の施設内に流れ込んでくるという今日の問題の基礎を作り出したのは、丘陵地を削り取り、そこに施設を建設する決定を1965値に行った、ゼネラル・エレクトリックとEBASCOであるということが言えると思います。
福島第一原発を建設する以前の1960年代その場所には、急峻な断崖があったのです。
しかし当時の技術者たちが、その場所を今日のように平らにしてしまったのです。
さて敷地の西側、すなわち山側に無数に並んでいる貯蔵タンクに目を転じてみましょう。
これらは2011年の事故が発生するまではありませんでしたが、事故後2011年から2012年へ、そして2012年から2013年にかけ、劇的な割合で増え続けています。
一目ご覧いただいただけで、ものすごい数のタンクが並んでいるのがお分かりいただけると思います。
このタンクの大群がある場所は、民間の農地に隣接してます。
私見ですが、このままのペースで汚染水が増え続ければ、いずれこれらの民間の農地を買い上げて、新たにタンクを建設しなければならない事態が目前に迫っています。
ところで劇的な勢いで増え続けている膨大なタンク群は、福島第一原発の敷地内の丘側に建設されています。
当然ながらなぜ大量のタンクを、水が流れ落ちる丘の上に建設したのかという疑問がわいてきます。
これらの貯蔵タンクの配管の接続部分にはゴムが使われており、学校のプールとさほど変わらない構造になっています。
もし再び大地震に見舞われた場合、何が起きるでしょうか?
もし地震によってこの脆弱な配管が外れたり、破損したりするようなことになれば、汚染水は傾斜にあるあらゆる経路を流れ伝い、海に直接流れ込むことになるでしょう。
そして施設内の状態に疑問が持たれているタンクからは、直接地下水の中に汚染物質を流し込んでいる可能性があります。
しかしその可能性のあるのは1,000基のタンクの内の一基だけで、そのタンク自体については深刻な問題ですが、全体から見れば数多くある問題の内のひとつにすぎないと言えるかもしれません。
問題を整理しましょう。
問題1、汚染水が複数の貯蔵タンクから漏出しています。
状態が最悪のものは、9月中旬に特定されました。
問題の2は、これらのすべての貯蔵タンクは耐震構造になっていないという点です。
海側に戻って、並んでいる原子炉に目を転じてみましょう。
実は原子炉3号機、4号機、5号機には問題が潜んでいます。
これらの原子炉は、海面の高さ以下に地下構造部分があります。
そして丘陵地帯から流れ落ちてくる地下水は50年、60年、いや1,000年もの間続いてきたのです。
原子力発電所の建設が行われていた当時、地盤を乾燥させるため排水ポンプが設備されていました。
そして今、地盤は放射性物質によって汚染されています。
あたり前ですが、これをポンプで取り除く訳には行きません。
結果、この場所を通って汚染されてしまった水は、海に向かう以外行き場所は無いのです。
そして問題の第3はこれら汚染水タンクでは無く、汚染が続いている原子炉1〜4号機の原子炉建屋の基礎部分です。
〈 第2回につづく 〉
http://fairewinds.org/media/fairewinds-videos/tour-fukushima-daiichi
間違った場所に、間違った材料を使って、間違った方法で作られた、間違いだらけの貯蔵タンク
『動作不良』『しくじりの連続』『手がかりなし』これこそが福島第一原発の現在のテーマ
東京電力の対応のあまりのまずさに、唖然とする海外の専門家
マルコ・エヴァーズ / デア・シュピーゲル(ドイツ) 9月10日
これら急造されたタンクの内のひとつから汚染水の漏出が始まってから、監視要員がたった2名という体制の下では、事実を把握するまで数週間という時間が空費されてしまったものと見られています。
漏出の事実が確認された時点で、すでに300トンの高濃度汚染水が漏れ出してしまっていました。
事態を重く見た日本の原子力規制委員会は、国際原子力事象評価尺度(INES)の暫定評価をレベル3『重大な異常事象』に引き上げました。
この尺度における最高位はレベル7ですが、チェルノブイリ事故と福島第一原発事故の2つがこのレベル7に分類されています。
これらの貯蔵タンクについてはその構造上、耐用期限が目前に迫っているタンクがかなりの数に上ること、そして漏出を早期に発見できるセンサーが装備されているタンクの数が非常に限られていることから考えて、今後も漏出トラブルが続出するであろうことは、疑問の余地がありません。
こうした状況について、『世界の原子力産業の現況(World Nuclear Industry Status Report)』の主要執筆者の一人である原子力専門家のマイケル・シュナイダー博士がこう断言しました。
「これらは、間違った場所に、間違った材料を使って、間違った方法で作られた、間違いだらけの貯蔵タンクなのです。」
動作不良
しくじりの連続
手がかりなし
これこそは、福島第一原発の現在のテーマのように見受けられます。
破壊された原子炉からは時折、未だに高濃度の放射性物質を含んだ水蒸気が立ち上っています。
福島第一原発においてはこうした漏出口を塞いでいるのがテープの類である以上、再びこの種のトラブルの再発は避けられそうにありません。
放射能汚染水の問題に至っては、地下水に紛れ込んで漏出してしまったため、いったいどれ程の海洋中に入り込んでしまったのか、数値的な把握など不可能です。
この問題については、外部の専門家などから繰り返し指摘があったにもかかわらず、東京電力は問題の存在を頑なに否定し続けてきました。
しかし事態がここに至ってしまった以上、東京電力の広瀬社長は福島県沖の漁業資源に悪影響を及ぼしてしまったことを、謝罪しないわけにはいかなくなりました。
それから、放射能汚染水があります-ちょうどいくらを測定することは難しいです-それはすでに地下
「まるで日替わりメニューのように次から次へと発生する福島第一原発のトラブルはいずれも深刻なもので、これらの問題に対応するため、東京電力は本来取り組むべき事故収束・廃炉作業には手も付けられずにいます。」
ケルンにあるドイツ原子力発電所・原子炉保安協会(GRS)のマイケル・マクア氏がこう語りました。
彼は東京電力のあまりの対応のまずさに、驚きを隠せずにいます。
「もしこれが学校での課題で私が採点する立場なら、東京電力の関係者全員、落第の瀬戸際に立たされているでしょう。」
マクア氏はこうため息をつきました。
福島の状況を好転させるべく、現在日本政府はこれまで試みられたことの無い取り組みに国の予算をつぎ込もうとしています。
その計画のひとつが、汚染水の海洋流出を止めるため、原子炉建屋・タービン建屋と海の間に金属製の防護壁を建設しようというものです。
▽ どう考えても、うまくいくとは思えない
さらに東京電力は2015年までに、原子炉建屋・タービン建屋の周囲など原子炉施設周囲1.4キロの土地を地下まで凍結させる『永久凍土』対策を実施し、地下水の流れ込みを阻止することによって、作りだされる汚染水の量を大幅に減らそうとしています。
この技術はこれまで鉱山業などで使われてきたものですが、これほど大規模に、しかも数年間という長期間にわたって実施された例はありません。
「我々からすると、どう考えてもうまくいくとは思えません。」
マクア氏がこう語りました。
ドイツの原子力産業界に籍を置き、実際に原子力発電所で働く別の技術者も、この計画を批判しました。
彼によると、凍土層を原子炉建屋・タービン建屋の周囲に作る場合、底の部分も凍結させて『蓋』をした状態にしない限り、水の浸入を防ぐことはできないと指摘しました。
1,000基に上る貯蔵タンク内の汚染水については、たった一つ、根本的な解決方法があります。
特殊なフィルターを使用して、主要な放射性物質を取り除き、浄化した水を海に放出することです。
そのためには特殊なフィルターのついたろ過装置を使い、セシウムやストロンチウムなど、ほとんどのの放射性物質を取り除くことが可能です。
ただし、たったひとつ、半減期が約12年、物理的に10分の1になるまで41年と、他の放射性物質と比べれば崩壊の速度が早く、その分懸念が少ないと言えば少ないトリチウムだけは除去することはできません。
放射性トリチウムはフィルターでは除去することは出来ないのです。
漁業関係者にとってはまさに頭痛の種のこの『浄化済み』汚染水の海への放出については、少しずつではありますが、日本の人々も覚悟し始めました。
ところが、東京電力はこの問題についても、まともな対応ができない会社であることを白日の下にさらすことになったのです。
東京電力は最近になって大規模な汚染水の浄化装置を完成させましたが、それすら会社の危機管理能力に対する信頼を取り戻すために、どんな貢献もしませんでした。
稼働し始めて間もなく異常が見つかり、仕事らしい仕事をしないうちに再び停止してしまったのです。
この装置は春先にもいったん稼働したものの、水漏れを起こして停止してしまい、本体にはサビが浮き始めていました。
東京電力の内部改革委員会に籍を置くデール・クライン氏は、歯に衣着せぬ発言を行いましたが、再び日本に向け旅立つことになっています。
しかし東京電力は今回もまた、クライン氏の発言によって幸せな気分になることは無いでしょう。
クライン氏は、福島第一原発の現場において正しい知見に基づく、的確な事故収束作業を行うために、海外の専門家を加えた新たな会社を設立する必要があるとしています。
クライン氏は確信を深めています。
目の前の困難な課題である汚染水問題に限っても、東京電力には解決する能力は無い、と。
福島第一原発の事故作業、それは『次の10年』のために今どう対処すべきか、その事にかかっているとクライン氏が語りました。
〈 完 〉
http://www.spiegel.de/fotostrecke/photo-gallery-fukushima-s-growing-stockpile-of-contaminated-water-fotostrecke-101236-13.html
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またぞろ一部財界人などが、被害者目線、市民目線に立った国内の原発報道を「偏向報道だ」などと攻撃しているようです。
そもそも絶対公正中立など、あるはずが無く、福島第一原発の事故についても、加害者(東京電力、電力業界、日本政府)目線に立つか、市民目線に立つかで、報道のニュアンスは大きく異なります。
攻撃されたNHKの番組程度の内容が「偏向している」としたら、アメリカだけでも、その一流メディアであるニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、CNNニュース、NBCニュース、CBSニュースなどは「大偏向」している事になります。
大企業の役員の椅子を手に入れると同時に、国内の諸問題に対しても「特別な発言権」を手に入れたつもりなのでしょうか?
原発の被害者目線に立った報道を「偏向報道だ」などと攻撃するという事は、自分たちには発言権があるが、被害者には発言権など無い、間接的にそう言っている事にならないでしょうか?
明日15日(火)は掲載をお休みさせていただき、16日(水)より新規掲載を行います。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い致します。
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【 戦場のこどもたち 】
弾丸が頭上を飛び交う中、家の手伝いに励むシリアのこどもたち
アメリカNBCニュース 10月8日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
顔も洗ってない子供たちが、屋内でも遊べるように設置されたブランコの周囲に集まってきました。
シリア北部の町、クファル・ラタでは、最低限建物の壁が小銃の弾丸避けになるよう、できるだけ屋内で遊ぶようにしています。
壁に武器が立てかけられた家の中から、父親だけが毎日外に出て行きます。
本来なら肥沃な土地の上にオリーブがたわわに実をつけるはずの土地は、建物などの残骸、破片で埋め尽くされ、人々は足元に注意しながらその上を歩かなければなりません。
父親たちは破壊された建物の陰に潜み、大通りをってくる兵士たちを狙撃するのです。
繰り返し破壊されたこの街にはもう、一握りの家族しか残っていません。
たった2週前、クファル・ラタには、約10,000人の住民が居ました。
多くは肥沃な土地で農業を営み、倹約と貯蓄に励み、多くはコンクリート製の大きな家屋を建築して、豊かな暮らしをしていました。
その場所は今や、シリア各地で見かけるゴーストタウンのひとつと化してしまいました。
「危機が発生したその都度」、つまずき続けてきた東京電力
これまでの考え方を、根底から変えなければならない
膨大な量の高濃度汚染水、今はただ貯め込む以外何もできない東京電力
マルコ・エヴァーズ / デア・シュピーゲル(ドイツ) 9月10日
日本は今、原子力発電所事故が進行している福島第一原発で次から次へとトラブルが発生する状況の中、次の段階に進むための活路が見いだせずにいます。
東京電力がアドバイザーとして迎え入れたアメリカ原子力規制委員会の元委員であるデール・クライン氏は、外国の専門家を現場に投入することによる解決を提案していますが、それも早急に実現しそうにはありません。
今週福島第一原発の事故現場に、それぞれ責任的立場の約100名のアメリカの原子力発電関係の政府職員が見学に訪れています。彼らは空路来日し、バスで福島第一原発の現場に入りました。
彼らは防護服に身を固め、2011年3月、数百年に一度の規模の地震に見舞われ、数百年に一度の津波に襲われて破壊され、3基の原子炉がメルトダウンを起こした福島第一原発の事故現場に、実際に入ることになっています。
「私は断言できます。この視察旅行から戻ったら、彼ら全員が自分たちが管理監督している原子力発電所の安全対策を、これまでの倍以上のものにしようとするに違いありません。」
デール・クライン氏がこう語りました。
彼自身、福島第一原発の現場の視察の後、こう語りました。
「これまでの考え方を、根底から変えなければならない。」
2009年までアメリカ原子力規制委員会の委員長を務めたデール・クライン氏は、現在東京電力の要請により同社の内部改革委員会に籍を置き、東京電力に対し助言を行う立場にあります。
かつて福島第一原発の経営と運営を行ってきた東京電力は今、その事故収束・廃炉作業を進めなければならない立場に置かれています。
東京電力はこれまで日本国内の工業技術の専門家の目の前で、否、国民全員の目の前で、福島第一原発の事故後の現場の状況をしっかりと掌握し、解決に向け秩序立てて事故収束作業を行う、それにはるかに及ばない能力しか持っていない企業であることをはっきりと証明して見せました。
クライン氏は本来なら非常に礼儀正しい人間ですが、彼を雇った東京電力という会社についてどう考えているか、公の場で尋ねられたことがありました。
「自分たちが何をしているのか、まるで理解していない。」
彼は東京電力の広瀬尚美社長に面と向かって、こう言い放ちました。
「そして、これからどうするかというプランすら無い。」
公の場で非難を受けた広瀬社長は、日本的習慣に従い深々と頭を下げ、こう語りました。
「ご期待に沿えなかったことを、心からお詫び申し上げます。」
クライン氏によれば、東京電力は「危機が発生したその都度」、つまずき続けてきました。
福島第一原発の事故現場ではこれまで、収束に向けたどんな進展もありませんでした。
そして対応にあたって来た日本の担当者たちは、国外からの援助を求めなければならないところまで追い込まれていることを、認めざるを得なくなったのです。
クライン氏は日本政府がヨーロッパ、あるいはアメリカから専門家を招き、福島第一原発の解決を進めようと計画していた形跡があると語りました。
そして合衆国エネルギー省民間核廃棄物部門の元高官であったレイク・バレット氏を、事故収束・廃炉作業と汚染水問題処理のためのアドバイザーとして招へいしたとの声明を発しました。
バレット氏は1979年に部分的メルトダウンを起こしたスリーマイル島事故の収束作業にたずさわった経験を持っています。
▽薄氷を踏む思い・首の皮一枚でつながっている、福島第一原発の『冷温停止状態』
日本はこれまで福島第一原発の事故収束・廃炉作業にはいかなる助力も必要としていない、特に海外からの助力は、という立場をとってきました。
するべきことは東京電力がちゃんとやる、という考えです。
実際には東京電力という会社は電力を作って売る会社であり、解決が困難な今回のような事故が起きた場合の処理能力については、たとえばドイツの電力会社と比較しても、特段経験に富んでいるわけでもなく、卓越した対応ができる訳でも無いというのが事実だったのです。
当然の帰結として、事故後2年半が過ぎた福島第一原発の現場は首の皮一枚でつながっている、つまりはこれ以上の巨大事故にならないところに、何とか踏みとどまっている状況にあります。
今回のような事態が起きた場合どう対応しなければならないか、そのために考え抜かれた計画を着々と実行している、東京電力の対応はとてもそんなものではなく、次々と発生する不測の事態に追いまくられ、その場しのぎの対応を延々と繰り返している状況なのです。
この数カ月間を振り返った際、最も『あり得ない』トラブルは、ネズミが配電設備の中に入り込んだ際に発生した、大規模な停電事故でしょう。
その影響はたちまち重大な事態につながりかねない問題を引き起こしました。
4つの使用済み核燃料プールに設備されていた、間に合わせの冷却装置に電気が送れない状態に陥ってしまったのです。
予期せぬ核反応などの事態に陥らないよう絶対の安全を確保しなければならない、8,800本の使用済み核燃料を保管しているプール内の水温が上昇を続ける結果につながりました。
原因の究明が行われましたが、現場に残された焼け焦げたネズミの死体がすべてを物語っていました。
東京電力は福島第一原発の破壊された原子炉周辺から、毎日400トンに上る高濃度の汚染水の汲み上げを行っています。この汚染水は溶け落ちた核燃料の冷却水、そして現場周辺に流れ込む地下水がメルトダウンした核燃料等に接触することにより作りだされます。
こうしてできた汚染水には高濃度の放射性セシウム、トリチウム、ストロンチウムなどが含まれ、とても海洋に排出できるような状態にはありません。
代わりに東京電力は幅12メートル、高さ11メートルの鋼鉄製のタンクを次々と急造、この中に汚染水を貯めこむ作業を続けています。
これらのタンクは鋳造などでは無く、リベットで鉄板をつなぎ合わせた構造になっています。
これらのタンクが急造する勢いは、衛星写真を見ると簡単に確認できるほどのものです。
2011年半ばには数十基だったタンクが、2012年半ばにはすでに数百基の規模に膨らんでいました。
現在ではさらに増えて1,000基を超え、2015年には2,000基を超えるタンクが作られる予定となっています。
まさに東京電力は多量の汚染水の中に、溺れこもうとしているのです。
〈 後篇に続く 〉
http://www.spiegel.de/fotostrecke/photo-gallery-fukushima-s-growing-stockpile-of-contaminated-water-fotostrecke-101236-13.html
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ほぼ毎日、ポッドキャストで視聴しているアメリカの報道番組『デモクラシーNOW』では、キャスターのエイミー・グッドマンさんがよく、ドイツの雑誌であるデア・シュピーゲルの記事を引用しています。
信頼性が高いのはもちろん、それだけ市民目線の報道をしているという事なのだと思います。
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【 人生を取り返しがつかぬまで、壊された人々 】《2》
アメリカNBCニュース 10月2日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
仮設住宅で亡くなり、故郷の墓の中に入った女性のため、供え物をする親戚の人々。(写真上)
破壊された福島第一原発の南にあるいわき市の沖合で、漁船に乗って海に網を入れる漁師たち。
採れた最中の中から放射性物質の検査に使う魚を選び出し、残りはすべて海に帰されます。
福島第一原発の周辺で行われる漁はすべて放射性物質の検査のためのもので、販売目的の漁は政府によって禁止されています。(写真下・以下同じ)
福島第一原発の周辺で、雑草や和製化して伸び放題になった畑の作物などの刈り払いをする、東京電力が雇用した作業員の男性。
楢葉町のテニスコートに放置された黒いビニール袋の中身は、除染によって集められた放射能に汚染された土、木の葉、ごみの類です。
日本政府が進めてきた除染作業は非常に手間がかかり、しかもきわめて高額な費用と時間がかかることが解りました。
しかも除染で集められた汚染物質は、持ち込もうとする先々で、住民などの強い反対に直面しています。
こうした経緯から最終的な処分方法が決まるまで、除染によってできた汚染物質の袋は被災地の道路や空き地などに『仮置き』されることになったのです。
浪江町の被災地を訪れ、津波の犠牲になった消防隊員に手を合わせる消防士。
富岡町付近で、道路封鎖を行っている警備員。
短時間の帰宅を許され、自宅に戻る双葉町の女性。
頭上には『原子力発電で明るい未来』の看板。
何十年も前、完成した福島第一原発の威容はこの町の誇りでした。
今この町の人々は、福島第一原発がおこした事故のために、散り散りになってしまいました。
いわき市の海岸で、一般の人々には禁止されている釣りをする男性。
福島県内の多くの海岸が、事故発生から2年半が過ぎた今も、釣りなどは禁止されたままになっています。
ワシントンポストの下記のサイトにも若干異なる内容の写真集が掲載されています。
http://www.washingtonpost.com/world/broken-lives-of-fukushima/2013/10/03/c679c044-2c31-11e3-b139-029811dbb57f_gallery.html#photo=14
1週間の内に2度も事故を起こした東京電力、1時間のうちに10トンの汚染水が漏出
ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 10月9日
福島原子力発電所の6人の労働者は、1週間の内に2度目となる事故により、汚染水を浴び、被ばくしてしまいました。
東京電力によると、作業員の一人が誤って汚染水処理設備の配管を取り外し、約10トンの汚染水が漏れ出し、6人の作業員がこれを浴び、被ばくしました。
6人は防護服と防護マスクを着用していましたが、外部被ばく・内部被ばくの程度について、それぞれ検査を受けたと、東京電力のスポークスマンが語りました。
今回の事故は9日水曜日の朝、11人の作業員が別の設備で放射性セシウムをほとんど取り除いた数百トンの汚染水から、塩分を取り除く作業に着手する段階で発生しました。
東京電力によるとこの汚染水にはセシウム以外のほぼすべての放射性物質が含まれており、8月時点での検査では、1リットルにつき37,000,000ベクレルの放射線量が計測されていました。
ただし、放射線の種類は人体などにより深刻な影響を及ぼすガンマ線に比べれば浸透力が低い、ベータ線が主なものであるとしています。
汚染水には半減期が約29年のストロンチウム-90が含まれています。
記者会見で東京電力は、「もれ出した汚染水はすべて堰内に留まっている」と語り、約1時間の間に約10トンが漏出したとみられるが、海への流れ込みは確認されていないとしています。
東京電力は福島第一原発の事故収束・廃炉作業において、繰り返される人為的ミス、そしてずさんでお粗末な管理・運営を行っていることに対する批判が高まっています。
福島第一原発では7日月曜日に、破壊された原子炉内に冷却水を送り込む装置の電圧が突然低下するトラブルがあったばかりでした。
この時は直ちに予備の電源装置が稼働し、事なきを得ています。
前の週には430リットルの汚染水が貯蔵タンクから漏れ、太平洋に流れ込んだものと見られています。
福島第一原発においては現在、莫大な量の放射能汚染水を安全に保管し続けるために、6,000人の作業員が困難な作業を強いられています。
東京電力はこの夏、発電所の西側の丘陵地帯から施設内に流れ込む地下水が、原子炉建屋・タービン建屋の地下の部分で汚染され、1日あたり約300トンが太平洋にそのまま流れ込んでいることを認めました。
この可能性については事故直後から複数の専門家が繰り返し指摘を行ってきましたが、東京電力がこの事実を認めたのは、今年に入ってからでした。
汚染水を保管するために急造された約1,000基の貯蔵タンクからは、繰り返し汚染水の漏出事故が起きています。
高濃度の放射能汚染水がタンクから漏れた事故について、日本の原子力規制委員会が8月、国際原子力事象評価尺度(INES)の暫定評価を、これまでのレベル1『逸脱』からレベル3『重大な異常事象』に引き上げたばかりでした。
http://www.theguardian.com/environment/2013/oct/09/fukushima-workers-radioactive-leak-water
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【 6人の作業員が高濃度汚染水を浴びる – 福島第一原発の最新事故 】
増え続ける不祥事のリストに、また新たな1行を加えた東京電力
AP通信 / ワシントンポスト 10月9日
破壊された福島第一原発を運営する東京電力は、9日朝6人の作業員が事故により高濃度汚染水を浴びてしまったことを明らかにしました。
危機が続く福島第一原発における管理能力・対処能力に対し、深刻な疑問を突きつけられている東京電力は、増え続ける不祥事のリストに、また新たな1行を書き加えることになりました。
東京電力のスポークスマンの一杉氏によれば、作業員が作業を誤って別の配管を取り外したために、汚染水が噴出し、作業員にかかりました。
この設備は処理の初期において、3段階にわたって汚染水から放射性物質の一部を取り除く装置が置かれた施設で発生し、施設の床全体に汚染水が広がりました。
現場にいたのは防護服、防護マスク、そして防水服を着用した11人の作業員でしたが、このうち6人が汚染水を浴び、5人は被害を免れました。
その後約1時間で配管を元通りにすることが出来ましたが、被ばくした6人の詳しい被ばく状況については、現在調査中であるとしています。
福島第一原子力発電所では2011年3月に3基の原子炉がメルトダウンして以来、深刻な状況が続いているにもかかわらず、東京電力が人為的ミスを繰り返し、国内外からの批難が高まり続けています。
今回の事故は、繰り返されている人為的ミスの最新のものということになります。
メルトダウンが発生した原子炉では、溶け落ちた核燃料を低温に保つためには絶えず水をかけ続ける必要があり、このために大量の汚染水が作りだされ、福島第一原発ではその保管が重要な課題となっています。
先週、福島第一原発の作業員が水位を確認せずに注水を行って汚染水を溢れさせる事故があり、汚染水が海に流れ込んだ可能性があります。
8月には、東京電力が300トンの汚染水が、貯蔵タンクから海に流れ込んだ事故を報告しました。
この事故は、福島第一原発の敷地内に流れ込んで汚染された地下水が、1日あたり300トン、海に流れ込んでいる事実を認めた直後、発生したものです。
日本の原子力規制委員会の田中委員長は、度重なる人為的ミスによる事故が、厳しい労働環境を物語っている可能性があるとの指摘を行いました。
「不注意によるミスは、往々にして士気の低下と関係がある場合があります。」
定例の記者会見の席上、田中委員長がこう語りました。
「ポジティブな環境で前向きな気持ちで働いている時、人間というものは不注意によるミス、明らかな間違いは行わないものです。福島第一原発で最近人為的ミスが多発する背景には、こうした環境の欠如があるものと、私は考えています。」
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/6-workers-splashed-with-toxic-water-at-japan-nuke-plant-as-they-remove-wrong-pipe/2013/10/09/704f5256-30aa-11e3-9ddd-bdd3022f66ee_story.html
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絶対にやってはいけないミス、それがこの事故ではないでしょうか?
いくら防護服を着ているとはいえ、生身の人間に高濃度汚染水を浴びせる…
これは日本人の問題では無く、飽くまで東京電力の問題である。
世界の目は、そのように認識してくれるでしょうか?
今や日本人には、穏やかに見えるその外面の下に、脱原発に対する強い信念が潜んでいる
マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 10月3日
一時に比べ、その勢いが減衰している日本の反原発陣営に、予期せぬ新人が参加することになりました。
かつてこの国で最高の支持率を得ていた首相の一人、小泉純一郎元首相がこれまでの原子力発電容認の立場から方針転換することを、公の場で明らかにしたのです。
10月1日火曜日、名古屋で開催された企業経営者などを集めて開催された講演会で、小泉元首相は日本は原子力発電所を可能な限り早く終了させ、太陽光発電などの再生可能エネルギー開発に切り替える必要があると語り、原子力発電の継続を強く支持する人が数多くいるこの日の聴衆を驚かせました。
この時の小泉首相の発言は、翌日東京新聞によって報じられました。
2001年から2006年まで民営化、規制緩和の推進を唱えて首相を務めた小泉元首相は当時、「安価でクリーンな原子力発電を基盤に据えた日本の発展」を叫ぶ実業界に肩入れし、太陽光発電パネルに対する公的補助金制度の打ち切りという、東京電力に有利な決定を行いました。
しかし小泉元首相は2年半前に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により、少なくとも83,000人の人々が家を失ってしまったこと、そして東京電力による福島第一原発の事故収束作業において、絶えることなく事故、トラブル、作業ミスなどが繰り返し発生したことを目の当たりにし、その考え方を改めたと語りました。
「原子力発電ほど高くつくものは、他にありません。」
小泉元首相(71歳)がこう語ったことが伝えられました。
「国内の原子力発電所をゼロにする必要があり、その上で日本はさらに持続可能な社会を目指すべきです。」
小泉元首相は同日、彼の政治的後継者である小泉進次郎氏(32歳)が、3月11日に襲った巨大地震、巨大津波、そしてそれがきっかけとなり福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを起こした、東日本の三重災害に苦しむ東北の復興を担当する、閣内の最高責任者に任命されたことに言及しました。
今回小泉元首相が公の場でこうした意見表明を行ったことは、きわめて珍しいでき事だと言わなければなりません。
在任当時小泉氏は、その時代の人びとが有する政治に対する要望・気分をいち早く読み取る、鋭い感覚の持ち主であり、そして有権者に急進的な改革の必要性を訴えて共感を得ることにより、権力の頂点に上り詰めました。
しかし4年前首相を退任後はほとんど表舞台に出ることは無く、テレビのインタビューなどもそのほとんどを断り続けてきました。
9月後半、地方のメディアは小泉氏が非公式に、原子力発電反対の立場に転向したと報じ始めました。
火曜日、2,500名を前にした講演は、小泉元首相が原子力発電に反対する立場に立つことを公式に認めた、最初の声明となりました。
日本の反原子力発電運動は、昨年毎週数万人の人々が首相官邸前に集まり、口々に抗議の声を挙げていた時期に最高潮に達しましたが、今回の小泉元首相の発言がどれほどの影響力を持つことになるか、今の時点では不明です。
世論調査では日本人の半数以上が現在稼働を停止している国内の原子力発電所の再稼働に反対していますが、首相官邸前で抗議を行う人々の数は目に見えて減少しました。
昨年12月に行われた国政選挙でも、原子力発電問題は争点にならず、原子力発電を推進する立場の自由民主党が地滑り的勝利を手にしました。
しかし火曜日、小泉元首相は日本国民の様子は一見穏やかそうには見えるが、その中には原子力発電に反対する強い信念が潜んでいると語りました。
小泉元首相は自民党と、かつて小泉氏の下で党幹事長などを歴任した安倍晋三現首相に対し、原子力発電の廃止を決定することで、今回の福島第一原発の事故を克服する力を生み出すことかできると呼びかけました。
「今、原発ゼロという方針を自民党が打ち出せば、一挙に(脱原発への)国民の機運が盛り上がります。」小泉元首相がこのように語ったと報じられました。
「日本人にはピンチをチャンスに変える特性があります。今こそ、原発をゼロにして(太陽光など)、再生可能エネルギーによる循環型社会をつくるという夢に向かって結束できるのです。」
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昨年12月の選挙で、脱原発勢力が衆議院内で『一大勢力』を築くことはできませんでした。
ひとえに『小異を捨てて大同につく』ことが出来なかったからではないでしょうか?
まずは止める、原子力発電を止める、そこから日本の再生を始めるべきだと私は考えています。
国家の大計を決めるのに、そんな大雑把なことが出来るか、という反論に対しては、ドイツが原子力発電の全廃をいち早く決め。メルケル政権が総選挙で大勝したことを、反証として挙げることが出来ます。
フランスですら24基の原子炉の廃炉を決めました。
アメリカもサンオノフレ、ヴァーモント・ヤンキーの廃炉決定がきっかけとなり、エネルギー革命が加速しています。
ところが日本は、廃炉が決定しているのは、事故を起こした福島第一原発の1~4号機だけなのです。
同じ敷地の5、6号機すら、東京電力が「考えさせてくれ」と言っている状況。
そして福島第二原発の存在については、なぜか口にしようとしません。
事故、トラブルという事では『札付き』のもんじゅも継続が決まり、活断層の上の原発すら運営会社が怒声を張り挙げて、再稼働を要求する始末。
福島の教訓などどこ吹く風のあり様です。
これで世界の『最先進国』だと、胸を張れるのでしょうか?
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【 4分おきに新しいシステムが誕生!アメリカの太陽光発電 】
グリーンテック・メディア / ブレイキング・エナジー(旧アメリカAOLエナジー) 8月20日
そしてアメリカのエネルギー産業はもうすぐ、1分半ごとに新しい太陽光発電システムを稼働させることになる予定です。
次にあげるのは、アメリカ国内で4分ごとに起きている出来事です。
この短い時間の間、30人の赤ちゃんが生まれます。
マクドナルドでは4,080個のビッグマックが売れていきます。
そして、48,000トンのCO2が放出されています。
これと対を成すようにして、アメリカでは今太陽光発電システムが4分おきに新たに設備されています。
アメリカ国内での太陽光発電の成長がこのまま進めば、2016年には1分20秒ごとに1基、新たな太陽光発電システムが誕生することになります。
これを2006年と比較すると、その劇的変化に驚かざるを得ません。当時は80分おきに1基のペースでした。
それを証明するのが、下記のグラフです。
縦軸は何分おきに新たな太陽光発電システムが設備されているか、横軸は年度の経過です。
このグラフを制作したGTMリサーチ社のシェール・カン副社長によれば、太陽光発電システムの設置ペースは加速度的に拡大し続けています。
そしてもう一つのグラフ、設備ペースの増加により、太陽光による発電量がどのように増えていくかを現しています。
まだまだビッグマック売り上げには追いつくことはできないかもしれませんが、太陽光発電の成長には著しいものがあります。
GTMリサーチ社の調査によれば、現在アメリカ国内で稼働している太陽光発電装置の3分の2は、この約2年半の間に新たに設備されたものです。
そして2016年には、太陽光発電システムの総設備量は現在の2倍になるものと予想されています。
そこのタイミングで、アメリカでは100万世帯が太陽光発電装置つきの住宅で暮らすことになる見込みです。
そして市場は2010年の10倍に拡大する見通しです。
「『被ばく者』と『被災者』の違いとは…
『原子力の平和利用』をことさら際立たせるため、広島が利用されてきた
広島も福島も直視できない、内部被ばくの現実
景山ゆり / AP通信 / アメリカNBCニュース 9月26日
殺戮と破壊、このことに限って言えば広島に投下された原爆が放ったエネルギーは、福島第一原発の事故によるものとは比較にならない程巨大なものでした。
それでも福島のエリアでこれから現れる可能性のある健康被害について、懸念を深める医療の専門家がいます。
福島の状況について報道を続けていた元朝日新聞社の烏賀陽弘道氏は、世界で唯一の被爆国でありながら、世界で史上2番目に最悪の原子力発電所事故を防げなかった事実について、『歴史の皮肉』であると語りました。
烏賀陽氏は「日本は原子力技術について、最も注意深くあるべき国であったはずです。」と語りました。
同氏は今年『ヒロシマからフクシマヘ 原発をめぐる不思議な旅』と題する著作を刊行しました。
烏賀陽氏は原子爆弾と原子力発電は、その歴史的背景を共有していると考えています。
「それぞれの歴史を詳細に検証すると、原子力発電と原子爆弾は双子の兄弟に思えてきます。」
彼はこう語りました。
しかし何人かの広島の人々は、広島と福島の関連性を頑なに否定します。
理由のひとつは今、最終目標とする核兵器の廃絶に世界が限りなく違づいている、少なくとも国際的な機運がこれまでになく高まっているという実感です。
アメリカのバラク・オバマ大統領が、在任中に広島を訪問する望みが高くなっているのです。
実現されれば、現職のアメリカ大統領が初めて広島を訪問することになります。
それを強く望む人々は、福島との連携により訪問の可能性が遠のくことを恐れています。
もう一つ理由があります。
広島には原子力発電の普及拡大のため、『戦略的』に利用されてきたという経緯があります。
『原子力の平和利用』をことさら際立たせるため、広島が利用されてきたという歴史的事実があるのです。
広島平和記念資料館の中で敵とされてきたのは原子爆弾であり、原子炉ではありませんでした。
記念館の中あるデジタル時計のひとつは、原爆投下からどれだけの時間が経過したかを表示しています。
人々は記念碑の前に一列に並んで祈りを捧げます。
ほとんど骨組みだけになった原爆ドームは、核兵器の無い平和な世界を願うための国際的なシンボルになりました。
「これらの写真をご覧ください。」
資料館館長の志賀賢治氏が、目を凝らさなければ人間とは識別できない、真っ黒に焼け焦げた死体の写真を指さしました。
「この写真は未だ、それ程ひどくは無い方です。」
「この場所ではすべてが、一瞬の爆発とともに始まったのです。」
志賀氏が広島と福島の違いを強調しました。
「この場所で起きたことは、放射線の漏出だけでは無かったのです。」
広島市の88歳の坪井直さんも原子爆弾の犠牲者ですが、奇跡的に生き残りました。
坪井さんの耳の一部分は失われ、顔にはやけどの跡がはっきりと残っています。
40日間生死の境をさまよい、その後やっと意識を取り戻すと、戦争はもうとっくに終わっていました。
体の各所にひどい損傷を受けた坪井さんは、まず床を這って進むことから始めなければなりませんでした。
坪井さんは福島について心を痛めてはいますが、一方では他の人々と同じように広島との違いを強調しました。
広島の人々は『被ばく者』であり、それは放射線の犠牲になった事を意味します。
一方で福島の人々は『被災者』であって、災害によって被害を受けたことを意味している、坪井さんがそう語りました。
「原爆投下は私たちを殺すことが目的だった、その事に疑いをさしはさむ余地はありません。」
「福島では多分、これから放射線によるさまざまな問題が発生するでしょう。しかしそれによって死亡する人が現れるかどうか、その事は未だ解りません。
しかしここ、広島で起きたことは、ほとんど絶滅行為に限りなく近いものだったのです。」
96歳の肥田舜太郎さんは、原爆投下から数日のうちに広島の人々の治療にあたった医師のひとりです。 肥田さんは内部被ばくの危険性について、これまで歯に衣を着せずに物を言ってきました。
内部被ばくは呼吸によって大気中の放射性物質を吸入してしまったり、水や食べ物についた放射性物質を体内に取り込んでしまうことを指します。
肥田さんは原爆投下後に広島市内に入ってきた人々が被ばくをしてしまい、数百人がガン、脳卒中、多臓器不全や白血病などを発症し、死んでいった様子を目撃してきました。
「これほどの長い間、原爆が人間を殺し続けるという事を、世界長の人々に理解してほしいと願った人はこれまで一人もいませんでした。」
肥田氏によれば、広島は核爆弾による社会の大変動が幾重にも絡み合い、いくつもの悲劇を生んだ、その典型なのです。
肥田氏は、内部被ばくがもたらす被害のすべての現実を、広島が直視している訳ではないと語りました。
そして、その同じ間違いが今、福島で繰り返されているのです。
〈 完 〉
http://edition.cnn.com/2013/09/04/world/asia/japan-fukushima-nuclear-crisis-explainer/index.html?iid=article_sideba
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文中、「『被ばく者』と『被災者』の違いという事が出てきます。
『被災者』である福島で原発難民となってしまわれた方の人生について、もう一度考えてみました。
私は父親であり、夫であり、自分の家族と一緒に一軒の家の中で暮らしています。
私には30年以上勤めた会社があり、妻は25年以上経営してきた薬局があり、そして娘は市内の会社に勤め、息子は大学で研究生活を送っています。
ある日、突然こう言い渡される。
あなたの家は、もう人間が住むことはできなくなりました。
あなたと娘さんの会社は、今日から営業できなくなりました。
当然ながらあなたと娘さんの仕事はもうありません。
奥さんの薬局ももう営業できません。
というより、この町にはもう人は住めません。
家にあるものを持ち出してはいけません、とにかくの場からすぐに立ち去ってください。
あなた方家族一人一人のこの家に関わる大切なもの?大切なこと?
冗談言わないでください!
いいから早く、この場所から出て行ってください。
それと今日から、家族全員一緒には暮らせませんよ、いいですね…
ある意味、これは殺されるより残酷なことかもしれないと思いました。
ドキュメンタリー映画で見た、あのシーン。
ある日突然ナチスの一団がユダヤ人一家の玄関先にやって来て、今すぐここから出ていけ、といわれるシーンです。
行き先がゲットーあるいは強制収容所か、避難所あるいは仮設住宅かの違いこそあれ、それまでの人生や生活が突如予告も無く台無しにされる点ではきわめてよく似ています。
これが今の日本で起きていることだと、私はしっかり受け止めているでしょうか?
毎日日本のどこかが爆撃されている訳でも無い。
突如目と鼻の先で自爆テロが起き、目の前の景色が地獄と化す、そんな生活をしている訳でも無い。
どころか、テレビの中の日本はオリンピックだ、国体だ、凱旋門賞だと盛り上がっている。
そんな国にいながら、人生を取り返しがつかないまで破壊されてしまった自分がいる。
そんな境遇に、一度思いをはせてみていただけませんか?
※明日10月9日(水)は掲載をお休みさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
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【 古代、異民族の侵略に苦しんだ日々と同じように… 】
アメリカNBCニュース 10月2日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
明らかに栄養失調に陥っているその女の子の赤ちゃんは目に見えて弱っていて、ほとんど目を開くことも出来ませでした。
この女の子、ファティマは、バッシャール・アサド大統領の軍隊によって徹底的に破壊された北シリアの村、ケーファールーマ近くの古代の遺跡の中で、ちょうど1ヵ月前に生まれました。
ファティマの母が比較的安全な場所で出産できるように、家族は巨大な岩石と何世紀もの時を経た石壁に守られたこの場所に住まいを移しました。
「我々は政府軍による絶え間ない空爆と砲撃から逃れるため、ここにやってきたのです。」
政府軍による報復を恐れ、ファティマの父は匿名を条件に取材に応じました。
彼とその家族はシリア北西部にある、コケに覆われた一群の遺跡の中に避難場所を見つけました。
これらの遺跡は紀元1~7世紀ごろに建造された住宅、教会、浴場などの建物です。その後通商ルートが変わったため、これらの建造物は放棄されました。
ファティマの父親は娘に緑色の液体の入った哺乳ビンを差し出しました。ミルクを手に入れることが出来ないため、ハーブのようなものを与えているようです。
水道や電気が無いのは当たり前ですが、最低限の食事と医薬品にも事欠く毎日が続いています。
9月27日、弱々しい鳴き声を上げる孫のファティマをあやす女性(写真上)。
福島では『ゆっくりと進む(スローモーション)核戦争』が起きている
放射性物質の漏出が止まらない福島第一原発、今後何十年も続くことが予想され、累積すれば莫大な量の放射性物質が環境中に放出されると考えなければならない
景山ゆり / AP通信 / アメリカNBCニュース 9月26日
「ノーモア・ヒロシマ!」
「ノーモア・フクシマ!」
このふたつのスローガンは日本国内で、この島国で原子力発電を終わらせることを願い、そしてこの世界で核兵器の廃絶を終わらせることを願い、同じ場で叫ばれています。
しかし20万近くの犠牲者を出し、未だに原子爆弾の後遺症に苦しみ続ける広島の人々は、津波によって福島第一原発の原子炉がメルトダウンを起こし、原発事故被災者となった福島の人々との連携をどう進めるべきか、模索を続けています。
1945年8月6日にアメリカが投下した原子爆弾が、その後広島の多くの人々に原爆症という深刻な健康問題を引き起こしたように、2011年3月に福島第一原発の事故が発生した福島でも大量の放射性物質が環境中に放出されたため、今後数十年間にわたる健康問題の発生が懸念されています。
福島第一原発のメルトダウンは、東北地方の太平洋岸で発生したものですが、様々な放射線障害の発症が現実に起きたことで世界的にも有名になった広島の医学専門家たちは、今後福島第一原発の周囲で生活していた人々にどのような健康問題が発生する可能性があるか、助言を求められています。
歴史の中のひとつの流れを作り出した核拡散防止のための抗議活動に参加してきた人々の中には、福島第一原発の事故以降顕在化した、原子力発電を終わらせるための抗議活動にも参加しました。
広島の惨禍の中から生まれた核兵器を廃絶せよという反核運動は、日本国内においては道徳的にも非常な重さを持っています。
原子力発電の廃止を求める立場に立つ市内の人々は、広島市自体この運動に参加するように求めています。
しかしこの考え方に反対の立場をとる人は、広島と福島では類似点は少ないと考えています。
一方は戦争という行為の中でも、世界がかつて見たことも無い規模の殺戮、火災、そして恐怖をこの世に現出させました。
「私たちの立場は、これは絶対に妥協できないものですが、核兵器は絶対悪であるという事です。」
松井一美広島市長は市役所で行われたインタビューで、声を震わせながらこう答えました。
「両方が放射線の問題を含んでいるというだけで、私は2つを一緒にすることには反対します。」
この中国地方の代表的な都市のひとつで広く共有されている感情、それは原爆の被害にあった人々は、原子力発電所事故の後遺症に苦しむ以上に恐ろしい、様々な体験をしているという事であり、原爆と原子力発電所事故を同一に論ずることには抵抗感を持っています。
松井市長自身も原爆で親戚を亡くし、両親の家も破壊されてしまいました。
広島に投下された原爆は、即死者、そして数か月以内に亡くなった人を合わせると約140,000人になります。
その3日後、アメリカは2発目の原爆を長崎に投下し、第二次世界大戦終了間際のこの時、約70,000の人命を奪いました。
日本政府によって広島原爆の後遺症、原爆症と認定された人の数は200,000を超えました。
一方、福島第一原発の事故では、放射線障害による直接の死亡者が一人もいないことが知られています。
しかし3基の原子炉がメルトダウンした事故を完全に収束させるには何十年という歳月が必要であり、莫大な量の放射性物質の放出が、最終的に人間の健康にどのような影響を及ぼすことになるのか、この点についても未だ明らかではありません。
最近になってやっと、日本政府は当初考えられていたよりはるかに大量の高濃度の放射能汚染水が、海洋中に放出されてしまった事実を認めました。
日本政府は217,000人の18歳以下の青少年を検査し、多発するだろうと見られていた甲状腺がんを発症している若年者が44人に上ったことを明らかにしました。
本来甲状腺がんは若年の間はきわめて稀にしか発症せず、その発症割合は100万人に1人程度といわれています。
甲状腺がんと放射線との関係はすべてが明らかにされているわけではありませんが、福島では広範囲の調査を行った結果、高い発症率が確認されました。
世界保健機構(WHO)によれば、福島第一原発よりさらにひどい災害となった1986年の旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所事故後では、さらに高率の甲状腺がんの発症が確認され、数万人が発症したものとみられています。
広島平和研究所のロバート・ジェイコブス教授は広島と福島との間には類似点があると考え、福島について『ゆっくりと進む(スローモーション)核戦争』と表現しました。
ジェイコブス教授は福島第一原発からの放射性物質の漏出が、今後何十年も続くと予想されることから、累積すれば莫大な量の放射性物質が環境中に放出されると考えなければならないと指摘しました。
〈 後篇に続く 〉
http://www.nbcnews.com/id/53112658/ns/world_news-asia_pacific/t/attempts-link-fukushima-hiroshima-upset-some/#.UkkLYFM09Vt
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ヒロシマとフクシマ、あまり大きく重く、そして難しい課題であり、私などが軽々に論じて良いものではありません。
しかしこの記事にある、広島では大量の放射線が一瞬に人々に襲いかかり、大量の殺人が行われたのに対し、福島では未だに福島第一原発からの放射性物質の流出が続き、私たちはその総量がどうなるのかをしっかり見極める必要がある、という指摘は重要だと思います。
福島第一原発から放出された放射性物質のうち、半減期が短いのは放射性ヨウ素だけで、それ以外これまで報道等で名前が挙がった
トリチウムは約12年
セシウム137とストロンチウム90が約30年
プルトニウム238が約88年
という内訳であり、
これが物理的に10分の1になるには
トリチウムは約41年
セシウム137とストロンチウム90が約100年
プルトニウム238が約290年であり( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%8A%E6%B8%9B%E6%9C%9F より引用)、
これら放射性物質の環境中への累積が懸念されます。
この事実から、これからの放射性物質がじわじわと環境中に漏出し続ける状態を『ゆっくりと進む(スローモーション)核戦争』と表現しています。
被災者の方々の窮状が続いていることに加え、東京電力が福島第一原発で繰り返している『トラブル』により、結果的に環境中の放射性物質の累積量がどう変化しているのか、決して目を離してはいけない、そういう事なのだと思います。
福島第一原子力発電所事故の被災者、決して終わる事の無い苦しみ
昨日も、今日も、そして明日も、希望の見えない暮らし
ダミール・サルゴジュ / ロイター通信 / アメリカNBCニュース 2013年10月3日
2013年9月、カメラマンのダミール・サルゴジュは福島第一原子力発電所の周囲の避難区域に入り、打ち捨てられた町や村を見て回りました。
そして2011年3月11日の災害によって、徹底的に、最早取り返しのつかないまでに人生を壊されてしまった人々に出会いました。
福島第一原発の周囲の避難区域、そこで彼は無音のホラー映画のように不気味な場面に遭遇しました。
ところが破壊と死、そして不気味な静寂ばかりのその場所で、ダミールはひとりの男性に出会ったのです。
その男性はそこで、避難命令を無視して暮らしていました。
58歳の坂本圭吾さんはかつて農民であり、そして障害者の介護をしていました。
彼は一部の人からは狂人扱いされ、別の人々からは英雄扱いされています。
彼はこの場所から退去することを拒否し、動物たちの世話をすることを自らの使命としています。
彼は人っ子一人いない避難区域の中を危険を冒しながら探し回り、自らのノアの方舟の中に次々と動物たちを保護して行きました。
犬、猫、ウサギ、鶏、中にはマーモットさえ — 彼らは皆、所有者の避難によって捨てられてしまった生き物たちでした。
坂本さんは楢葉町近くの山地にある牧場で500匹ほどの動物たちと一緒に暮らしていますが、その様子についてサルゴジュは、現代の日本というよりは、実験的劇場の中にいるようだと語りました。
坂本さんが保護する以前に、犬たちは長期間放置されていたために野生に帰ってしまったものが数多くいました。
そのため、坂本さんがいる場所は非常に騒がしい劇場でもあります。
その事実を証明して見せるかのように、一匹の犬が通りかかったサルゴジュに思い切り噛みつきました。
「周囲には全く人がいません。」
坂本さんがこう語りました。
「私はこの場所のたった一人の住人です。まあ、でも何とか暮らしています。」
彼が保護している21匹の犬たちのうち、2匹だけが彼になついています。
一匹は白毛のなんともかわいらしい、アトムという名の犬です。
福島第一原発の事故の直前に生まれたため、この名がつけられました。
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※ 英文からの翻訳のため、人名表記に誤りがある可能性があります。ご容赦ください。
義理の父親が自殺した部屋で、遺影を抱えて立つ大久保美枝子さん。
義理の父大久保文夫さんの上着が、壁にかかったままになっています。
農家を営んでいた102歳の文夫さんは、住んでいた飯舘村の自宅から避難するよう命令を受けた後、人生のすべての時間を過ごしてきたこの部屋で首を吊り、自らの手でその人生を終わらせたのです。
美枝子さんは文夫さんが飼っていた犬に食事を与え、家を片付けるために一日おきにここにやってきます。
文夫さんはここ以外の場所で人生を終えることを拒否し、自ら命を絶った、美枝子さんがそう話してくれました。
(写真下・以下同じ)
住民が誰もいない浪江町のこの場所は、夜になると自動的に街頭に明かりが灯ります。
すっかり変形してしまった時計、クモの巣、そして残骸。福島第一原発から6キロほどの場所にある浪江町の小学校。
原田のぼるさんとなが子さん夫婦は、浪江町で自分たちが飼っていた30頭の牛たちの世話をするため、毎日この場所にやってきます。牛たちの放射線量は高く、商品価値はありません。
「この牛たちは私たちにとっては、家族同然です。殺してしまうことなどできません。どうしたらよいのか、見当もつきません。」
配達されず、そのまま放置されている2011年3月12日付けの福島民報。
津波の被害によって命を落とした人々のための、浪江町の小さな慰霊碑。
福島第一原発の南にあるいわき市のホテルで、接客をするフロントの女性たち。カウンターの上にはその日の放射線量が大きく表示されています。
通過する列車も無く、雑草で覆われてしまった浪江町の線路
捨てられた民家のリビングルームからの眺め
かつて経営していた菓子店の奥から、ネズミの死がいを運び出す永岡善十郎さんと妻のさと子さん。
永岡さん夫婦は、年に数回だけ許可される自宅訪問の際、できるだけ店と自宅を清潔にするため、懸命の作業をしていました。
浪江町南津島地区で、放射能を計測する線量計を身に着けた僧侶がこじんまりと葬儀を営んでいました。
亡くなった菅野やつのさんは避難先の仮設住宅で、満100歳を迎える直前の2013年5月、ひっそりと息を引き取りました。
彼女は亡くなってやっと、故郷の町に戻ることが出来たのです。
いわき市で甲状腺の検査を受ける4歳の坂本まりあさん。
この検査は福島第一原発周辺の市町村で、NPO法人が無料で行っているものです。
甲状腺がんは本来きわめて稀な病気で、その発症率は100万人に1人といわれていますが、国際保健機構(WHO)は、原子力発電所事故が発生した地域での、甲状腺がん多発の可能性について警告しています。
http://www.nbcnews.com/id/53174408/displaymode/1247?beginSlide=1
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私はこの子供たちが甲状腺がんの検査を受けさせられている写真を見る度、胃がきりきりとなり、涙がにじみます。
もちろん、そのあまりの理不尽さに対してです。
それがこの【星の金貨】を続けている原動力なのかもしれません。
子どもたちの中には、幼いと言えど恐怖があるはずです。
そしてそうした恐怖からは、子供たちは本来自由であるべきだと私は信じています。
福島第一原発の事故について、解決できるはずの問題が放置されている
福島のすべての問題の根本的解決に取り組む、日本政府はその覚悟を決められるか?
フェアウィンズ 7月10日
カルトフエン : 過去に放射性物質の問題同様、深刻な環境問題を解決した具体例があります。
私たちは環境中の鉛の問題を解決することが出来ました。
環境中の鉛の存在は、子供たちにとって脅威でした。
環境中に存在する鉛、それは人類史上最も大きな環境問題のひとつであったはずですが、各国の国家的、そして国際的な取り組みにより、その環境被害を劇的に減少させることに成功しました。
綿密な調査が行われ、最後はトップダウンの手法により、この問題は元気的に改善したのです。
福島第一原発の放射性物質による汚染問題についても、この手法を用いてはいけないという理由はありません。
ガンダーセン : 福島第一原発の事故について、解決できるはずの問題が放置されている状況をお伝えするのは、実は2度目なのです。
子のフェアウィンズのサイト『原子力発電を解明する』のコーナーでは、プロのジャーナリストであるアート・ケラー氏が執筆した、日本政府が行っている除染の実態を伝えた、『アメリカの除染の専門家が明らかにする、本当の汚染状況【 人の手によって作られ、人の手により悪化していく福島の危機 】( http://kobajun.biz/?p=11924 )』というルポルタージュをご紹介済みなのです。
福島第一原発の被害現場の管理・運営のまずさがもたらす、悲惨な状況を克明に描いたものです。
興味を持たれた方はぜひお読みください。
技術と実績があっても、アメリカの会社が福島第一原発の事故収束・廃炉作業に参加することが、どれ程困難であるか、お分かりいただけると思います。
司会 : この黒い物質は、他に類のないものなのでしょうか?そしてこの物質が存在するホットスポットは他にもありそうでしょうか?
カルトフエン : これは、他に類例のない独特の物質です。
なぜそう言い切ることが出来るか、そのために私たちが今回のようなサンプルをどの程度検証した経験があるか、お話ししなければなりませんね。
今回ボランティアの方によって私たちの手元にもたらされたこの物質は、私たちがこれまで取り扱ってきた放射性廃棄物の中で、トップの1パーセントに含まれる、きわめて特殊なものです。
この物質は放射性物質が高い濃度で凝縮されて形成され、当然ながら放射線量が高い。ただし幸いなことにそこら中にある訳では無い。
限られた面積のホットスポットにこの物質がどの程度存在しているのか正確な把握のため、広範な調査が必要であることは明白です。
それを行うためのひとつの方法として、この物質に関して関係者が持っているデータをそれぞれ公開し、それを集計し比較することで分析の精度を高めていくというやり方があります。
ガンダーセン : この物質は珍しい存在ではありますが、報告されるのは初めてではありません。少なくとも約1年前、福島第一原発から20キロほどはなれた以内の場所で、非常に高い放射線量が確認された黒い粉についての報告がありました。
しかし、実際に手元に実物を置いて詳細な分析を行うことが出来たのは、今回が初めてです。
そして特筆すべきことは、研究室においてこの小さなサンプルの分析を行った結果、そこには放射性物質が集中して存在し、放射線量の高さに驚かされた、という点です。
カルトフェン : 私たちは幸運にもサンプルを手に入れることが出来ました。
長い間こうした物質が存在することを耳にしてはいましたが、こうして実物を手に入れ、詳細な分析を行うことが出来、心から喜んでいます。
そしてこの物質がどこで採取されたのかという点についても、今や疑いをさしはさむ余地はありません。
ただ一つ残念なことがあるとすれば、その存在が確認されたのは今回が初めてではないという事です。
しかし一方では、この物質の存在がこれまで取り上げられずにいたという事は、福島第一原発の事故が言われている以上に深刻だという事を意味します。
ガンダーセン : こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。
もう一度確認させてください。
日本の方からひとつの物質のサンプルが、フェアウィンズ宛てに送られてきました。
そこでフェアウィンズは早速、マルコ・カルトフェン氏に接触を行いました。
その際重要だったことがあります。
サンプルが送付される前に電子メールでのやり取りがあり、輸送途中に不測の事態が起きないよう、ごく少量のサンプルだけが送られてきた、という事実です。
おかげで輸送途中に誰かが予期せぬ被ばくをしたり、紛失したりという事態を避けることが可能になり、サンプルは無事研究施設にたどり着くことが出来ました。
そこで改めて日本の皆さん、特に福島県にお住まいの方にはお願いがあります。
いきなりサンプルを送るようなことはなさらないでください。
まずは電子メールでご一報ください、その上で違法ではない適切な輸送方法を検討しましょう。
今日もフェアウィンズの番組をお聞きいただき、ありがとうございました。
〈 完 〉
http://fairewinds.org/podcast/japans-black-dust-with-marco-kaltofen
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終末日曜日、宮城県と岩手県の県境の『栗園』に栗ひろいに行こうと楽しみにしていました。
昨日電話をかけて確認したところ、「放射線量が高く、営業できずにいる」との返答でした。
事故が過ぎて2年半、福島第一原発から150キロ以上離れた場所の、これが現実です。
日本の原子力行政はまさに『臭い物にはフタ』のやり方で、福島第一原発について問題点を徹底的に洗い出せば、自分たちのこれまでの過失についての長いリストを作るようなことになってしまいます。
そんなことは日本の官僚界、公務員世界では『絶対にやってはならない事』で、国民不在など二の次のようです。
これは、その世界に身を置いていた人から直接聞いた話です。
『身を切る改革』、そんな言葉が作りだされる度、何かが改善されているような錯覚を持たされてしまう。
しかし実は現実を糊塗するためだけの、『逃げ口上』である場合が少なくありません。
福島第一原発の現実、日本の原子力発電の現実、目をそらさず、しっかりと見つめ続けていきたいものです。