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【 日本政府は、放射線の影響を過小評価〈前編〉】放射線は多くの人々から生きる意欲を奪った

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ドイチェ・ベレ(ドイツ国際放送) 2011年7月

福島原子力発電所の事故担当大臣は、冷却システムの稼働により一部の住民が家に帰ることができるようになる、と発表しました。
しかし、専門家は日本政府が放射線被ばくの影響を、過小評価していることを懸念しています。
専門家らは、放射線の影響は、政府が発表しているよりも悪化していると警告します。

日本は今後数十年にわたって、福島原子力災害の影響と戦うことになります。
1945年の広島と長崎の原爆投下による放射線被ばく後、何十年もの間この問題はほとんど表に現れる事はありませんでしたが、いまや多くの日本人が、放射線によって引き起こされる病気の発症を恐れています。


広島・原爆症患者

細野原子力問題担当大臣は朝から晩まで、制御不能に陥った福島第一原発への対応に忙殺されています。
彼はできる限りの対応を行っている事を強調、7月17日には次のような発表を行いました。
「原子炉の冷却システムの安定稼働が始り、東京電力が計画した安定化への手順が動き出した。」
「これにより、もし専門家が水素爆発の可能性はもう無い、という判断を下した段階で、政府は非難している人々の帰宅を許可する事になるだろう。」

20キロ圏の避難区域のうち、南部の放射能測定値は法定限度を下回っています。しかし、北側はかなり高い値が計測されています。
現在、日本政府は住民の帰宅は安全になったとして、避難区域の縮小を検討しています。

▽ 『嘘』と『過小報告』

医師であり放射線の専門家である肥田舜太郎氏は、政府の『嘘』と『過小報告』について警告、人間の健康への放射線の影響に関する十分な説明を行っていない、として政府を批判しています。
彼は避難区域と放射線の安全レベルに関するこうした政府の見解は、一般市民の認識を誤らせる事になる、と確信しています。
肥田氏はこう話します。
「放射線レベルよりも、人体に蓄積される放射性物質の問題の方が重要なのです。線量の人体に対する悪影響はそれ程ではありません。」
肥田舜太郎氏は日本における数少ない放射線の専門家であり、放射能汚染によって引き起こされる健康被害はきわめて深刻である、と強く警告し続けています。

一人の専門家として、さらに特筆すべきは広島に投下された原爆被爆者の生き残りの一人として、彼は放射線の影響を知っています。
第二次世界大戦の終わり頃、放射線被爆の問題に正面から取り組まかったために犯された過ちと同じことが、福島第一原発の事故の後、現在の政府によって繰り返されるのではないか、と肥田氏は懸念しているのです。
「第二次大戦後、アメリカ占領軍は、日本人が公然と原爆の被害について語る事を禁じました。」
しかし、20年後も、30年後も、そして40年後も、たくさんの人々のガンの発症・進行が続きました。
そして多くの人が知らない事ですが、放射線はがんを発症させるだけでなく、人々の生命力を奪ってしまう事で死に至らしめるのです。
「現代の医学ではまだ解明されていませんが、私たちは、放射線は多くの人々から生きる意欲を奪ってしまった、そう確信しています。」
〈つづく〉
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ついに、というか、果然、というか、福島県内の一部の避難準備区域の制限が解除されました。
と、同時に福島県内の6ヵ所から、あってはならないはずのプルトニウムが検出されました。

色々な記事を訳すうち、福島第一原発が世界で最も老朽化した原発のひとつだ、という事が解ってきました。
これまで翻訳した中でこんな記事もありました。
「老朽化していく過程で原子力発電所は、重大事故は起きていなくとも、すでに汚染を引き起こしているかもしれないのです。トリチウム(放射性三重水素)が、アメリカ国内の原子炉の四分の三から漏れていたことが判明しました。」- アメリカABCニュース 2011年6月30日
トリチウムがどういうものかは、ウィキペディアなどで解説されています。

放射能汚染に関する解明は、1945年に始まったばかりです。
すべてが解っている訳ではありません、否、解らない事の方が多い、といわれています。
8月に起きたアメリカのマグニチュード5.8の東海岸『大地震』では、ノースアンナ原子力発電所の2基の原子炉が緊急停止しました。
損傷等は何も無かったはずですが、『放射能漏れは無かった』とアメリカ政府が発表したのは、一ヶ月間にわたる調査を終えてからでした。

今日から2日間、ドイチェ・ベレ(ドイツ国際放送)の放射線の健康被害に関する記事を、前編後編に分けてご紹介します。
動画の方、ちょっとギャップを感じますがご勘弁ください。

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動画【12頭のジャイアント・パンダの子どもたちのデビュー】

アメリカNBCニュース 9月29日

この何とも愛らしいシーンをご覧になった方は、いつまでも見ていたいものだとお感じになる事でしょう。
この12頭の子どものパンダはすべて、今年になっての中国南西部のジャイアントパンダ繁殖センターで生まれ、一般に公開されました。
さてかわいらしさは置いておいて、この施設は、パンダの繁殖に重要な役割を果たしています。今すでに絶滅寸前の危機を迎えている動物は108種を数えます。
この施設は1987年に6頭の野生のパンダを救出した時から始まりました。

Visit msnbc.com for breaking news, world news, and news about the economy

【 3.11から半年、先の見えない生活を強いられている被災者の間で、不安と不満が渦巻く 】

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今日はご覧いただいている[星の金貨]の、各記事の見出しの訂正を行いました。
その時々のニュースを翻訳してきましたが、中には自分の感情のほとばしるままに、タイトルをつけてしまった場合もありました。
そのため後になって、自分でもその内容が解らなくなってしまい、参照するのにあちこち自分で探しまわらなければなら無いはめに。
反省の上、一部の見出しを内容に即したものに訂正しました。

ところで、今日ご紹介するニュースは少し前のアメリカCBSニュースのものですが、同社のホームページから削除されてしまいました。
アップする前に翻訳の正確性を期すため、原文をもう一度確認しようと思ってサイト内を探したところ「すでに削除されました」のコメント。
普通なら短くても半年は、そのまま掲載されているはずなのですが......
日本のどこかからクレームがあったのかもしれませんが、さて、どの部分が問題だったのでしょう?
しかし、鉢呂経済産業大臣の辞任はいったい何だったのでしょう?
私はあのとき、「死の町」を作った責任の追求もまともにやらず、国民の望まない踊りを踊る日本のマスコミの性根を見た思いがしました。

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【 日本は地震、津波から6ヶ月を迎える 】
[ 第二次世界大戦以来、見たこともない破壊の後で ]

アメリカCBSニュース/AP東京 2011年9月11日

災害によって荒廃した東北太平洋側の海岸沿い、その北から南まで、被災地の人々は9月11日・日曜日、生き残った人々は一斉に祈りを捧げました。
彼らの生活と日本のすべてを変えてしまった3月11日の巨大地震と巨大津波が彼らに襲いかかってから、半年の月日が流れました。

世界が3.11同時多発テロの10周年記念行事を行う中、日本の子供を亡くした親たちは色とりどりの短冊をつるし、僧侶は破壊された建物の前で読経しました。
そして福島第一原子力発電所の事故の惨禍を見て、立ち上がった数千人の人々が、原子力発電の廃止を求めて通りをデモ行進しました。

午後2時46分ちょうどに、彼らは手を止めて、一分間の黙とうをささげました。

マグニチュード9.0の地震は、第二次世界大戦以来、見たこともない破壊を日本にもたらしました。
続いて発生した津波は東北地方をのみこみ、市や町を完全に破壊しつくしました。
津波は福島第一原子力発電所にも襲いかかり、チェルノブイリ以来最悪の原発事故を引き起こしたのです

約2万人が死亡または行方不明になっています。 80万世帯以上の家屋が全壊、または半壊。災害は企業活動、道路やインフラを完全に麻痺させました。
日本赤十字社は40万の人々が住む場所を失ったと推定しています。

半年後、物理的には回復の兆候が見えてきました。

がれきの多くは片付けられ、または一か所に集められ巨大な山を成しています。
港湾都市である気仙沼市では、津波によって内陸にうち上げられた多数の船舶が撤去されました。
ほとんどの避難者は、高校の体育館などの避難所から出て、仮設住宅やアパートに引っ越しました

日本の自動車や電子機器メーカーの製造工程で重要な部品の不足につながった、サプライチェーンの問題はほぼ解決されました。工業生産も、ほぼ地震前のレベルまで回復しています。

しかし表面的にはそうでも、先の見えない生活を強いられている被災者の間で不安と、不満が渦巻いています。
彼らの苦痛はいやが上にも増し、政府の対応の遅さと指導力の欠如に不満は増大する一方です。

気仙沼の漁師小松さんは、アワビの養殖事業を再開したいと考えています。
しかし、彼は福島第一原子力発電所からの海への放射能漏出について心配し、せっかく育ててもアワビが販売でき るほど十分な安全性が確保できるのかどうか不安を感じています。
彼は政府や自治体が地元の漁師のために、適切な放射線の情報を提供していないと話します。
「一体全体政府は、我々が置かれている非常に厳しい状況と、漁業に対する人々の放射線への恐怖について、しっかり考えているのでしょうか?」と語る小松ですが、彼もまた家を津波で失っているのです。

別の住民である80歳の菅原さんは、津波で妹を失い、現在は仮設住宅に住んでいます。
彼は彼の家を建て直そうとしていますが、ずっと不安定な状態のままに置かれています。
「私の家族は裕福な訳ではないのです。私は行政がこの地区についてどうするつもりなのか、できるだけ早く決めてもらいたい、と思っています。」

彼はもうしばらく、待たなければならないでしょう。
日本経済新聞によれば、被害の大きかった宮城、岩手、福島県内の各自治体が、再建計画についてはまだ原案ができている程度です。
深刻な災害が発生した31の市町村のうち、再建計画が確定したのは4つの自治体にとどまっていると日経新聞は伝えます。
災害の規模が大きすぎる上、日本政府の対応の遅さと、各自治体内部での意見の相違が復興を遅らせる結果となっています。

福島原子力発電所の緊急労働者は、来年早々に原子炉を冷温停止に持ち込む目標を達成するために、苦労を重ねています。
「我々は、原子炉を制御下に置くまでには至っておらず、状況は依然として困難である。」
原子力安全保安院の森山報道官は東京で発表しました。

福島市では日曜日、市民数十人が、福島第一原子力発電所からの放射の危険がチェルノブイリには遥かに及ばない、とした政府支援の国際会議の合意に反発しました。
抗議をした人々は、子供にとってのリスクを過小評価しようとしている、と会議の主催者を非難しました。

また、東京や大阪など主要都市でデモを行った市民、数千人に上る反原発を訴える人々は、国に原子力発電の廃棄を訴えました。
抗議を行った人々は経済産業省の前で、『原子力発電?さようなら』と書いた横断幕を掲げました。

災害や原子力危機の政府の対応への批判は、菅元首相の辞任につながりました。
元財務大臣野田佳彦はこの5年間で6番目の新しい日本の首相になり、その地位を引き継ぎました。
首相は復旧作業をスピードアップするため、多額の資金を用意することを約束し、彼の政権に対する信頼を獲得しようと、宮城、岩手両県の訪問に、土曜日の多くの時間を費やしました。
しかし夜半に及んだこの旅の間、早くも政府を窮地に陥れる事件が起き、政権の影を薄くしてしまいました。
野田政権の新しい閣僚の一人、鉢呂経済産業大臣が福島第一原発周辺の市町村について『死の町』と表現したことが、『避難している人々の心情に対し配慮に欠ける』との非難を受け、自ら墓穴を掘る形で辞任に追い込まれたのです。
新しい政府に対して、土曜日の先週リリースされた共同通信の世論調査では62.8パーセントの支持率を獲得し、力強いスタートに見えました。
しかし鉢呂経済産業大臣の辞任は、野田の指導能力についての信頼の低下と新たな疑問を生む事となってしまいました。
このような政治的配慮の無さが明らかにしたことは、復興への道のりが長いものになるだろう、ということです。

「破壊規模の大きさと影響を受けた面積の広大さを考えると、日本の復興は長く、複雑な道のりをたどらざるを得ません。」
日本赤十字社の近衛総裁は、声明の中で述べています。
「復興のためには、最低でも5年はかかるでしょうが、心の傷を癒すためには、さらに遥かに長い時間を必要とするでしょう。」

【 私は子供たち全員からきっとよくなる、必ず治る、というメッセージを受け取りたいと願っています 】

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[エジプト・カイロの小児ガン病院 - ヒシャム・ショアイーブの願い]

シーメンス / オリバー・ウィルキンズ 2011年9月13日

「私の家族にはガンの経験があります。
私には姉がいましたが、10年前に亡くなりました。
13歳でした。
名前はメイ。
彼女がまだ3つの時に脳腫瘍が発見されました。
そして11歳になった時、治療のため腫瘍を取り除くために手術するべき時が来た、と判断されたのです。

しかし、手術後脳腫瘍が再発しました。
手術の際、小さなガン細胞を切除せずに見逃すというミスが犯されていたのです。
彼女はその後3カ月間入院し、それが彼女の人生の最後となりました。

彼女が精いっぱいできたことは、病院の廊下を歩くことでした。
病院のスタッフは誰も彼女に話しかけませんでした。
専門家、心理士も、ソーシャルワーカーも、彼女の相談にのってあげられる人間は誰もいなかったのです。

この気持ちをどう表現していいのかわかりませんが、ただ、やりきれない思いだけが残りました。

私は意気消沈していました。彼女を励ましたかったのですが、私自身落ち込んでしまっていて、どうすることもできませんでした。

私は彼女に希望を持たせることはできませんでした、私自身そんなものは感じていなかったからです。

私が初めてこの病院を訪れ、正面玄関を入った時、この病院が他の病院と違っていることに気がつきました。
太陽の光が患者に希望を与え、病院内には自然な光があふれていました。
私が病院に入って感じたのは、人々が完治して退院する希望を持っているということでした。

私は「時間を寄付する」という考え方が気に入りました、それなら自分にもできるからです。
病院が私に与えた役割は病院を訪れた人々に、ツアーガイドのように案内する仕事でした。
私は病院の設備とともに、この病院がどのように子供たちを世話しているかについて説明します。

一度中に入ると、目に入るのは床のカラフルな色使いです。
これらの色は実は子供たちの心が落ち着くよう、慎重に選ばれているのです。

ここでの子供たちへの世話はあらゆる面に及びます。
私が言いたいのは、この病院では物理的治療、先進医療技術に加え、外部のボランティアが子供たちの心をいたわっているということです。

私は子供たち全員からきっとよくなる、必ず治る、というメッセージを受け取りたいと願っています。
亡くなった姉をここに連れてくることができたらどんなにいいだろう、と考えるんです。
それができたら......」

※ カイロにあるこの小児がん病院は、ガンになった子供たちが最新の治療を、無料で受けられる施設です。
ヒシャム・ショアイーブのようなボランティアは、精神的援助を行うことによりその運営を支えています。


+++++++++++++++++++

今日この映像をご紹介しようと思ったのは、昨日アップしたアルジャジーラの報道で、「放射線障害の発症が疑われる」10歳の女の子の映像を、実際に見てしまったからです。

このビデオには病気になった子供たちにとって、心のケア、そして自分の将来に希望を持つことがどれほど大切か、というメッセージが込められていま す。
アルジャジーラのビデオに登場したのは一人だけでしたが、現在も、これからも、この日本に「悲劇の子供たち」が現れる可能性は、残念ながらゼロではなくなってしまいました。
考えたくはありませんが、その時こそ、今日ご紹介したビデオのような取り組みが必要になるでしょう。
子供たちが、自分たちの未来・将来に希望を失わないよう、手厚くケアする取り組みが。

この国の政財界に巣食う一部の醜い老人たちが、東京電力が行うべき賠償を「国民の税金を使ってやるべきだ」と主張しています。

とんでもない話だ、と思います。

「原子力発電所建設は国の政策だったのだから、」というのがその論拠ですが、 東京電力の福島第一原子力発電所の管理が、とんでもないずさんなものだったことは、ドイツ国際放送の記事( http://kobajun.biz/?p=920 )が伝えました。
次週ご紹介する予定のアメリカの記事では、米国原子力安全委員会ですら「東京電力の福島第一原発の管理には、多くの問題があった。」と語っていることが明 らかにされています。
利益は自分たちが独占する、不利益は国家国民に押しつける、これは理論でしょうか?!

私たちの税金は、汚染されてしまった子供たちの体と心を治療するために、多額の費用が必要になった時にまず使われるべきだと考えます。
ツイッターにはなぜか先の醜い老人たちのお先棒をかつぐように、子供たちを守りたいという人々を中傷したり、揶揄する書き込みが散見されます。
でも、気にすることはありません。単なる陰口の類です、こういうことをする人は現実社会にもいくらでもいます。
言っていることは理論でもなければ、議論でもなく、事実認識も歴史認識もきちんとできていない場合がほとんどです。
経済、経済という割には、きちんとした経済の勉強をしているのでしょうか?
自由主義経済を強く主張した経済学者のミルトン・フリードマンですら、子どもたちの将来に対する投資だけは別だと言っています。
この部分への社会投資だけは削ってはならない、と主張しているのです。
見たい事実だけを見て、話したい事実だけを話す。
そのような「陰口」にひるんではいられません。

なおビデオの主人公のヒシャム・ショアイーブ Hisham Shoaib の読み方には誤りがあるかもしれません、ご容赦ください。

【福島の事故後、変わるドイツと再生可能エネルギー〈後編〉】原子力発電はそれだけのリスクに明らかに見合わない

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動画【 複数の専門家が、福島の事故はチェルノブイリを上回ると指摘 】

ロイター John C.K. Daly / アラブ・ニュース(英語版)2011年9月9日

しかしもっと驚くべきは、国内で悲惨な原子力災害が発生したにもかかわらず、何ら決断らしい決断をせず、ひたすら模様眺めをしている日本という国についてです。

日本は世界をリードする技術を持つ一方、いまだに福島第一原子力発電所の事故に直面しています。
一方のベルリンは、この国の技術開発が自然災害の偶然によって左右されてよいものではない、と結論しました。
日本と同様にドイツは人口密度の高い状態にありますが、原子力事故とそれに付随する深刻なトラブルを見て、原子力発電はそれだけのリスクに明らかに見合わない、という結論を出しました。

大瓦解の方ではなく、機会を得た方の変化を見てみると、メルケル首相は以前は2036年の後半までに、ドイツにある原子力発電所の閉鎖を予定していました。
結果としてドイツは再生可能エネルギー開発競争において、優位な地位を得ることとなりました。
「真の工業化が最も早く達成される国家の一つとして、私たちは豊かな再生可能エネルギーに向け、大きな変革を成し遂げることが可能です。それにより私たちは大きな輸出ビジネスを作り上げ、新しい技術と雇用機会を手にすることになるでしょう。」と述べました。

一方、福島第一原子力発電所の事故の結果として、数兆ドル(100兆円以上)ではきかない損失を抱え、日本の原子力産業界は未だに事故処理に追われています。

しかし、いくつかの広範な問題の輪郭が明らかになってきました。
再生可能エネルギーへの転換によって、ドイツの成功だけがヨーロッパでは際立つことになります。
他のEU諸国の原子力発電計画の見直しについては、間違いなくより慎重になることでしょう。

しかしドイツの決定により、原子力産業界はエネルギー不足の問題を抱えるトルコ、リトアニア、ブルガリア、中国、インドなどの発展途上の国々での活動を活発化させる可能性があります。
温室効果ガスの排出を減らす手段として、原子炉の設計を見直すなどして、あらゆる手をつくし、活路を求めていくことでしょう。

エネルギー不足の国は、2~3年の間に原子力発電所を建設し、電力不足を解消するか、ドイツの変化がもたらす 再生可能エネルギーの開発を進めるのか、これから厳しい選択を迫られることになります。

多くは、ベルリンの努力によることになります。
どのような未来が目の前に広がることになるのか、それは誰にもわかりません。
そして世界的な原子力ロビーは、静かな夜の静寂を壊さないよう、行い正しくふるまうことなど、まずありえないのです。    

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記事の方は、いち早く再生可能エネルギーの開発に進路を切り替え、『機会を得た』ドイツが今後大きなビジネスチャンスを迎える一方、『大瓦解の方』原発にしがみつく日本の未来の危うさを指摘します。
動画の方は中東のテレビ局、アルジャジーラの「福島第一原発の結果放出された放射線量の合計は、チェルノブイリ事故の際に放出された放射線量をすでに超えてしまっている、という内容です。
アルジャジーラは一連の中東紛争の際、アメリカの利害に束縛されない報道内容で国際的に注目されましたが、
当然、福島第一原発事故の報道については、日本の利害に束縛されることはありません。
「中東だから」という理由で、報道の信憑性が低い、などという評価は当たらないでしょう。こちらは通信社ではなく自社の特派員の報告です。

リード部分を訳しましたが、本編の中に出てくるのが、またもや[Downplay]です。
「日本政府の調査チームは、放射線の危険性について事実よりも過小に国民に伝えています。」
となっており、また、福島県に『適用された』20mSv/年の値に対しては、世界中の専門家からそれ以下の値でも充分にガン発症などの危険がある、と指摘されていると伝えます。

しかし、日本の10歳の女の子に明らかな放射線障害が現れている、という報道内容は本当に痛ましい限りです。
「関節炎や下痢、倦怠感などの症状」とありますが、この子の将来を考えると言葉がありません。
いち早く住んでいた場所を引き払った、という事ですが、できるだけ早く症状が消失するよう祈るばかりです。

いつも書いている事ですが、もう一度いわせてください。
この国の子どもたちこそ、この国の未来です。
政財界人の中にいる一部の醜い老人たちが口にする「我が国の繁栄」から子どもたちを守るために、私たちは目を光らせ、声を上げていか無ければならない。
このビデオを見て改めてそう思いました。

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動画【 複数の専門家が、福島の事故はチェルノブイリを上回ると指摘 】
[福島第一原発の事故ではすでに、チェルノブイリ事故の際放出された放射線を上回る量の放射線が漏れだしている、と専門家が試算]

アルジャジーラ(英語版)2011年8月

3月の地震と津波により制御不能に陥っている福島第一原発からは、災害から5ヵ月たった今も、1日あたり少なくとも10億ベクレルの放射線が漏れ出しています。
複数の専門家は、漏れ出した放射線量の合計が、結果的には1986年にウクライナで発生したチェルノブイリ事故から放出された量を超えてしまっている、と指摘します。

これが事実であれば、世界の原子力事故災害史上、福島の事故は最悪である、ということになります。

アルジャジーラ特派員スティーブ・チャオが、東京からお伝えします。

【福島の事故後、変わるドイツと再生可能エネルギー〈前編〉】驚くべきは、国内で悲惨な原子力災害が発生したにもかかわらず、何ら決断らしい決断をせず、ひたすら模様眺めをしている日本という国

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[ 福島の事故後、変わるドイツと再生可能エネルギー〈前編〉]

ロイター John C.K. Daly / アラブ・ニュース(英語版)2011年9月9日

3月11日の巨大地震とそれに続く巨大津波によって、日本の福島第一原子力発電所が破壊された様子が大きく取り上げられ、世界中の原子力ムラの実態が少しずつ明らかになってきました。

原子力発電にかかわってきた国々は、現在の契約が一時停止されるか、もっと悪ければ、取りやめになった場合、何十億という金額を失う立場の原子力関連企業の、方針の継続を要求する容赦無い集中攻撃にさらされています。

ヨーロッパでは『ここ(福島第一原子力発電所)までの事故は起きるはずがない』という原子力産業側の強い主張にも関わらず、イタリアは原子炉の建設計画を中止、ドイツの連邦議会ではつい最近、国内の17の原子力発電所のすべてを閉鎖することを決議しました。
7か所の原子力発電所は直ちに閉鎖、残りは2022年までに廃棄されます。

▼ 他の選択肢とは?

年度初めからの変化の動きは、福島第一原子力発電所の崩壊によって加速、ドイツ・ライフライン協会(BDEW)が発表した声明では、1月以降、国の送電網に送り込まれた再生可能エネルギーによる発電電力は、初めて20パーセントを突破しました。
昨年、ドイツの再生可能エネルギーは総需要の18.3% を供給しています。
福島の事故の後、ドイツのメルケル首相は、彼女の政府の目標は、2022年までに再生可能エネルギー源からの電力供給を、総発電量の35パーセントまで高めることである、と述べています。
ドイツの総エネルギー消費量は、2010年レベルで毎時2,755億キロワットで安定していますが、2011年の上半期には風力発電、バイオマス、水力発電、太陽光発電、そして廃棄物焼却からのエネルギー供給量は、毎時573億キロワットまで上昇しました。

現在のドイツで最も重要な再生可能エネルギーである風力発電は、毎時207億キロワットに増加しました。
その他のエネルギー源ではバイオマスが5.6%、太陽光発電3.5%、水力発電はやや控えめの3.3%の貢献をしています。

ドイツの新エネルギー政策は、『遅くとも2020年 末までには再生可能エネルギーの割合を、国内総発電量の現在の倍の35パーセント以上にする』ことを明記した再生可能エネルギー法の改正によって、主に洋上ウィンド・ファーム( http://kobajun.biz/?p=817 をご参照絵ください)の整備を進めていくことを決めています。
これらの数字はまだまだ規模の小さいものであり、莫大な量の電力供給を約束はしませんが、簡潔な真実を表しています。

世界で最も先進的な国の一つは、1969年に初めて稼働し、国家の電力消費の23%を供給してきた原子力エネルギーの存在を見直し、無意味ではない選択 – 原子力発電の放棄を決定しました。

しかしもっと驚くべきは、国内で悲惨な原子力災害が発生したにもかかわらず、何ら決断らしい決断をせず、ひたすら模様眺めをしている日本という国についてです。(つづく)

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今日は組み合わせた結果とはいえ、ものすごく長くなってしまいました。
すみません。

記事の方はニュースソースがアラブニュースという事で、驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、発信元はサウジアラビアです。
といっても、記事はロイター発なので、実際にはイギリスの通信社の特派員が書いています。記者の署名を見ても英語圏の名前です。
これまで、アメリカ、イギリス、ドイツといった先進国の記事をお送りしてきましたが、『世界がどう見ているか?』という意味では第三世界の『目』も無視できないでしょう。
産油国であるサウジアラビアが『脱輸入石油』のドイツについて、肯定的に伝えているのも面白いところです。

後半のビデオの解説が長くなってしまったため、記事は今日も前編・後編に分けさせていただきました。
出し惜しみをしている訳ではありませんよ。

でもビデオの農民の方の例にある、スマートグリッドを農業に組み合わせて経営の健全化を図っている点、日本の農業経営の参考にはならないでしょうか?
とにかく発電を人々の手元で行う事で、様々な可能性が生まれてくるようです。

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【 スマートグリッド・アイランドで穏やかに暮らす人々 】
シーメンス企業ビデオ

ザムセー・エネルギーアカデミー総裁ゼーレン・ヘルマンセン
「島、という事情から、他と切り離した開発が必要でした。そのことは、島で暮らす人々の考えに近い物でした。」

カイ・アレクサンダーソン(年金生活者)
「我が家の屋根に上がっているソーラーパネルは、このサムゼーでも初期のものです。すべては私がグリーンハウス(エコハウス)を建設した時から始まりました。
温水パイプが内蔵されています。屋根の上には温水タンクが設置されています。夏の間はシャワーのためのお湯を沸かす必要はありません。なぜって、太陽光は極めてパワフルだからです。
だからこんな独り言が出てきます - 私が家を建てたとき、知恵をつかさどる天使がソーラーシステムを与えてくれたのだ、とね。」
「私はもう若くありません、もうすぐ81歳になります。私はこの通りの先で生まれたんですよ。」

ザムセー・エネルギーアカデミー総裁ゼーレン・ヘルマンセン
「この島は長い間耕作されてきました。
人々は種をまき、そして作物を育て、木の枝を切り、何もかもここで行い、そして丘の上に葬られてきました。
そのため、この島の風景は文明が始まって以来の、人々の暮らしの蓄積でもあります。
風力発電開発について語るとき、誰もがそのことにかかわることが大切だと思っています。
開発に直接かかわるごく少数の人とだけ、物事を進めてはいけません。
なぜなら、近隣の人々にこう尋ねられるかもしれません、
「どうして私たちはタービンを眺めるだけで、自分のものにはならないのだ?」と。
だから私たちはこのように、農民たちと話し合いをしたのです。
『もしあなた方自身も風力発電設備が欲しいなら、風力タービン周辺の土地をいくらか借りる必要があります。そして近隣の人々を共同所有者に勧誘する必要があります。』
地方の人々の利便性を増すためには、それなりの時間がかかります。
私たちはどんな変化を望むのか、話し合わなければなりませんでした。
将来にどんなビジョンを持っているのか、何を担っていくことができるのか。」

ヨルゲン・トランベルク(農業)
「私の名前はヨルゲン・トランベルク、サムゼーの牧場で150頭の牛を飼っています。
私は農場の裏に風力タービンを持っています。そして洋上風力タービンを共同所有しています。
ドイツの本土には太陽電池設備を所有しています。
再生可能エネルギー・アイランド・プロジェクトに参加していますが、いまや農民としての常識のひとつになりました。
あまった藁は地域の暖房計画に売っています。そして、風力発電施設を設備できる土地も余っています。
風力タービンは、トラクターや自動車と同じように継続していくべき技術であり、電気を売るにしても買うにしても、全く問題なく農業と両立しています。
『前向きに考えよう』サムゼーでは、それはスローガンに終わることなく、成し遂げられています。
「技術はすでにそこにあります。
あとは行動するだけなのです。」

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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