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星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

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「原子炉の構造・管理方法など、福島第一原発が抱える問題がこれだけの事故を引き起こす主な原因を作った」

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【 世界の原子力発電の経済性、危険性の議論と福島の現状〈後編〉 】

アメリカCNNニュース 2011年9月11日

グリーンピースの核政策アナリストのジム・リッチオは、原子力エネルギーに反対する大衆意見の盛上りに言及し、併せて風力発電、太陽光その他の再生可能エネルギーの実用化の可能性が高くなっていることを指摘します。
米国原子力規制委員会(NRC)の副局長ジャック・グローブはCNNにこう語りました。
「アメリカ国内では以前と変わりなく、すべての原子炉が稼働しています。4か所の原子力発電所が新たに計画され、承認の様々な段階にあることに触れ、定期点検が全国の104原子炉で継続されています。」

さらに彼は福島第一原発の事故から教訓を得ようとする、特筆すべき努力があった、と話します。
アメリカ国内の原子力発電所の安全に役立てるため、そこで何があったのかを詳細に検討しています。
そにはNRCの職員がかつて明言したように、設計と危機の発生を知らせるパラメー タを確認するだけでなく、発電所の技術者が開始する必要のあるいくつかの手順を提供するために、すべての手順について『遅滞なく』確認することを含んでいます。

「原子炉の構造・管理方法など、福島第一原発が抱える問題がこれだけの事故を引き起こす主な原因を作ったのです。」
と、グローブは語ります。

彼は福島で発生した、高さ5.7メートルの海の壁が押し寄せ、その直後さらに巨大な津波が襲ってくる、などという災害が米国内で起きる事はあり得ないだろう、と話しました。

災害や人為的ミスに加えて、米国内の原子炉は時間の試練に耐えることができるかどうか、ということも課題になります。最も新しい原子炉でも建設されたのは1978年であり、中には1960年代に建設されたものもあります。
NRCは、いくつかの既存の米国原子力発電所について、20年間の事業継続をすでに承認しました。

こうした対応について、ウォルシュ教授などの一部の専門家は、時代遅れの構造そのままに改良も加えられず、そのまま老朽化した原子炉の危険性は明らかである、と危惧します。
これに対しグローブはこう反論します。
「公式に原子炉容器の寿命が40年と決められているにしても、これらの原子炉は何も手を加えられずに来たわけではありません。継続的に改良が加えられて来ました。」
原子炉がどれくらい問題なく、効果的に稼働できるかについて決定するためには、圧力容器内の圧力、炉心の腐食と原子力工場のコンクリートの強度などの問題が、特に重要であるとウォス教授は強調します。
「80年、100年もの間、原子炉を稼働させるのは可能でしょうか?」
「沸騰水型原子炉の蒸気タービンや原子力容器のヘッドは交換可能ですが、容器本体を交換することはできるのでしょうか?」
ウォス教授はこう問いかけます。

一方、他の国々は既に建設された原子炉を改良するよりも、新しい原子炉の建設計画を推進しています。それらの国々の中でも、チェコ共和国、スロベニア、ロシア、インドなどの国々には、福島の事故が発生した後も、こうした計画を見直す動きはない、とヴュージク教授は ベオグラードの地からCNNに語りました。
「これらの国々は完全に、原子力発電に依存しようとしています。特に中国とインドはそうです。原子力産業界がこの40年間に蓄積してきた、知識と知恵に基づき、彼らが安全な原子炉建設を行うことを願うばかりです。」

新しく建設された原子力発電所は、建設から数十年を経た原子力発電所よりも概ね安全である、と広く信じられています。
しかしながら技術がどんなに進歩しても、自然災害、人為的ミス、そして核分裂が持つ本来の不安定性などの、原子力発電固有の危険性は決して無くならないということを、原子力産業でさえ認識しています。

ヴュージク教授がこう語りました。
「どれだけの対策をとろうと、原子力発電には常に危険がつきまとうのだということを、私たちは理解しなければなりません。」
〈完〉

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スティーヴ・ジョブズ氏の追悼記事を訳しているうちに、ものすごく長いものだと気がつきました。
アメリカABCニュースの長い記事は通常ウェブサイトで2ページですが、この記事は3ベージありました。
今日は第2回とさせていただきましたが、可能であれば明日、残り全部をアップしたいと思っています。

ジョブズ氏の追悼については、ABCを始め、NBC、CBSなどでも新しいビデオが続々アップされています。
しかし56歳は......

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動画 - 訃報[スティーヴ・ジョブス死去]第2回 
アップル創設者は『私たちの時代のトーマス・エジソン』として知られていた

ジョブズ氏はここ数年健康上の深刻な問題を抱えており、アップルでの仕事を休むよう促されていましたが、相変わらず開発に携わっていました。

2004年に、膵臓癌にもかかわらず仕事に戻りましたが、2009年に彼は肝臓移植を余儀なくされました。
健康上の問題を抱えたまま数年後、2011年8月24日、彼はAppleの 最高経営責任者(CEO)を辞任したことを発表しました。

「これまで何度も言ってきたように、もし私がAppleのCEOとしての義務と期待に応えることができなくなる日が来た場合、わたしは自分からそのことを知らせるつもりです。」
とジョブズCEOは辞任の彼の手紙に書いています。
「残念ながら、その日が来てしまったようです。」
それにもかかわらず、ジョブズ氏は彼のために新しく用意された会長の地位につきました。
彼の死後、今日、彼の家族は声明を発し、卓抜な技術革新者の晩年の健康を気遣ってくれたすべての人々に感謝を表明し、このように伝えました。
「彼を偲び、追悼してくれる人々のために新たにウェブサイトを開設します。」

公的な生活において、彼は未来を作り出す人間として知られていましたが、一方私生活では家族に思いを寄せる人間でした。前述の声明では
「彼を支え、共感をもって彼を気遣ってくれた人々に心から感謝します。皆さんが私たちとともに嘆き悲しんで らっしゃることを存じ上げていますが、しばらくは私たちをそっとしておいていただけるよう、お願いいたします。」

世界で最も有名なCEOの一人は、ジョブズは個人の生活のプライバシーの保護には厳然と臨み、個人的なインタビューは拒否、家族をメディアなどから遮断していました。
ジョブズがCEOを辞任した後、
「彼がメディア好きであったことはありません。」
業界アナリストのティムバジャリン、クリエイティブ・ストラテジーの社長は、こう語りました。
「それが新製品発表のようにAppleに恩恵をもたらすものであれば、彼は進んでインタビューなどにも応じましたが、彼自身に関するインタビューに応じたことは無いはずです。」
アップルは公式の追悼行事等は予定していない、としていますが、従業員に対するクック現CEOのメモには
「会社はスティーヴの類まれな生き方をたたえる行事を、近く開催する予定である。」と伝えています。
カリフォルニア州クパチーノのApple本社前では、人々が肩を抱き合いながら涙を流していました。
ジョブズの顔写真を映し出したiPadの周りにはろうそくが灯され、参列した人々は極めて静かにたたずみ、ジョブズのメモリアルに見入っていました。
アップルのファンはニューヨークのアップルストアにも参集しましたが、警備担当者は花や宗教的な捧げ物の類は取り除くよう命じられている、と語りました。

「すべての彼の軌跡 - 彼の発明、テクノロジーとコミュニケーションの改革に対し、私はこの一言を言わずにはいられない、『ありがとう』と。」
マイアミから来たデビッド・デルトロ、37歳の献辞です。
〈つづく〉

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「技術がどんなに進歩しても、原子力発電固有の危険性は決して無くならない」

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【 世界の原子力発電の経済性、危険性の議論と福島の現状〈前編〉 】

アメリカCNNニュース 2011年9月11日

福島県双葉町はかつて、主に農民と漁師が暮らす町としてだけでなく、東京に電力を供給する大規模な原子力複合施設のある場所として知られてきました。
しかし強力なマグニチュード9.0の巨大地震とそれに続く津波は狂乱の数週間 – 長期にわたり制御不能となった福島第一原子力発電所から、大量の放射性物質の拡散を引き起こす危機的状況に陥るに及んで、世界が懸念しなければならない数々の問題の中でも、大きな部分を占めることとなりました。

「原子力発電所の事故は、それがどこで起きようと、世界中に影響を与えるのです。」
カリフォルニア大学バークレー校のジャス・ヴュージク教授は述べました。
「福島の影響は、間違いなく原子力エネルギー社会全体に及びました。」

答えは大きく異なりました - ドイツはその原子力エネルギー供給計画を放棄することを選択し、隣国のフランスは国内の需要電力の80%を供給する、原子力発電体制を維持しています。それでも、いくつかの例外はあるとしても、議論の枠組みはほぼ同じとなっています。
『原子力エネルギーは危険を冒してまで、利用する価値があるのだろうか?』
『それは、原子力発電設備を持たない国にとって、新たに導入するだけの価値があるのだろうか?』

マサチューセッツ工科大学の安全保障研究部門の安全保障の専門家であるジム・ウォルシュ教授は
「アメリカ国内の個人投資家による、多額の費用を要する原子力発電所への投資が無駄になるまでは、少なくとも数十年はかかるでしょう。」
と語ります。
ミシガン大学の工学教授であるゲイリー・ウォスは、こう語ります。
「福島の前だろうが後だろうが、簡単明瞭なことこそがこの国にとっては一番なのです。先進的取り組みを始めた国々に遅れを取る事になっても、あるいは先進性を失う事になったとしても、民間だろうが公的だろうが、原子力発電所が作られるのは需要があるから作られるのだし、それが米国経済なのです。」

アメリカを含めたいくつかの地域では、経済の低迷がエネルギー需要を縮小させ、新たなプロジェクトを立ち上げるための資本を減少させています。
しかしインドや中国のような国では事情が異なります。
エネルギー需要が急拡大する一方で、石炭など大気汚染を招くエネルギー源からの、切り替えを迫られている国々です。
コストと安全性のバランスや、エネルギー需給のバランスをとる事について、日本程ハードルが高い訳ではないのです。

福島第一原発の事故以前、アジアの総需要の30パーセントの電力が、原子力発電によって賄われてきました。
日本の経済産業省の報告によれば、54基の日本の原子炉のうち43基が、現在定期点検や福島第一原発の事故の影響により停止しています。
東京電力の西澤社長は先月、事故を起こした3基の原子炉を1月中に冷温停止状態にできる、との見通しを発表しました。その後3基とも廃炉になる予定です。

政府によると、こうした状況は夏の間の思い切った節電に寄与しました。
福島県内の原子力発電所によって供給される分を除いて、東京電力のエリアでの18パーセントを含め、日本全国で8%近い節電に貢献しました。
しかし、それはすでに国が行ってきた経済対策だけでなく、市民の努力の結果でもあります。

「それは容易な状況ではありませんでした。」
こう語るのは日産自動車の志賀COO(最高執行責任者)です。
同社は労働者に土日のかわりに木曜日と金曜日に休暇を取らせるなど、電力使用に工夫を凝らしました。
「これを持続するのは不可能です。この操業状況を続けていくのは不可能です。」

このようなエネルギー需要があっても、日本政府の菅前首相と後任の野田首相は、原子力発電を段階的に廃止する、と公約しました。

しかし、東京工業大学の核科学者である小澤正基氏は、いくつかの選択肢の中でも、これは誤った選択であると考えています。
人々が原子力発電をやめたいというのなら、我々は石炭を燃やすために19世紀に戻る準備をしなければなりません。」小澤氏は日本からの電子メールにこう書きました。
「日本の人々はイタリアやドイツのようではなく、フランスのように、より論理的かつ戦略的な選択をしなければならないのです。」
小澤はこのように、2022年までにすべての原子力発電所の閉鎖を決定した、今年のドイツの動きに言及しました。
数週間後の6月中旬、イタリアの有権者は国の核開発計画を前進させようとしたシルヴィオ・ベルルスコーニ首相の取り組みを拒否しました。

「ドイツやイタリアの選択を軽視すべきではありません。」
グリーンピースの核政策アナリストのジム・リッチオは、意見を述べました
「私の考えでは、アメリカでもいくつかの動きがありますし、今後ますます原子力に対する反対が表面化してくることになるでしょう。」
リッチオは原子力エネルギーに反対する大衆意見の盛上りに言及し、併せて風力発電、太陽光その他の再生可能エネルギーの実用化の可能性が高くなっていることを指摘します。
〈つづく〉

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今日はものすごく長くなってしまいました。
LC630以来のMacユーザーとしては、やはりスティーヴ・ジョブスの追悼のニュースは外せません。
と言って、今週はドイチェ・ベレ(ドイツ国際放送)→フランス/ル・モンド→アメリカCNNと、いわば〈反原発〉三部作的展開を予定していましたので、今さら変えると一週間の展開が曖昧になってしまいます。
そこで両方を前編後編に分けて掲載させていただきましたが、どちらも元々長い記事なので、ものすごく長くなってしまいました。

CNNニュースの方、サブタイトルは実は全編の結論部分なので、最初に種明かしをしてしまったようなものです。
それにしても「原発をやめたら、19世紀の暮らしに戻らなければならない」などとは、科学者らしくない乱暴な話です。
3年後あるいは5年後、ドイツやイタリアの人々の暮らしが19世紀に戻ってしまっているかどうか、ぜひご報告いただきたいものです。

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動画 - 訃報[スティーヴ・ジョブス死去] 
アップル創設者は『私たちの時代のトーマス・エジソン』として知られていた

2011年10月5日 アメリカABCニュース

iPad、iPhone、iPod、iMac、そしてiTunesの創作立案者、スティーヴ・ジョブスが56歳で死去したと、アップルが発表しました。

ジョブスは家族に看取られ、安らかに逝きました、と家族が声明の中で述べました。

ジョブスの家族もアップルも、彼が亡くなった場所と原因については明らかにしませんでしたが、ここ数年彼は膵臓癌と戦い、また肝臓移植を受けて いました。

アップル経営陣が発表した声明には、このように記されています。
「本日、スティーヴ・ジョブスが逝ってしまったことを、私たちは深く悲しんでいます。ジョブスの輝くばかりの才能、熱意、底力は、私たちの生活のすべてを豊かにし、向上させる無数の技術革新の源でした。世界はスティーヴ・ジョブスに、計り知れない恩恵を受けています。
彼の偉大な愛は彼の妻、ローリーン、そして彼の家族に向けられていました。
私たちの心は彼の家族と、彼からの贈り物に感動した人々とともにあります。」

アップル社のウェブサイトは、全面『スティーブ・ジョブズ1955年から2011年』という画像に切り替わっています。
画像をクリックすると、アップルの従業員と現在のアップルのCEO、Tim Cookが捧げたメッセージが現れます。

「アップルは一個の先見の明とクリエイティブな才能を失いました。と同時に世界は一人の素晴らしい人間を失いました。」と文章に書かれています。

「幸運にもスティーヴ・ジョブスと知り合い、一緒に働くことのできた私たちは、親友と感動的な助言者を失うこととなりました。ジョブスは彼だけが作り得たことを会社に残しましたが、彼の精神は永遠にアップルの基礎となることでしょう。」

ジョブズの死への反応はあらゆる場所から寄せられています、ホワイトハウスからも。

「ミシェルと私はジョブズが逝ってしまったことを知り、心から悲しんでいます。」とオバマ大統領は声明で述べています
「スティーヴはアメリカを革新した人々の中でも最も偉大な人間の一人です。勇気をもって他と違う考え方をし、世界を変えられると信じるほど大胆であり、しかもそれを成し遂げるだけの才能を持っていました。」

ジョブズは幼馴染のスティーヴ・ウォズニアックと1976年にApple Computerを共同設立し、世界初となるパーソナルコンピュータ、アップルIIを発売しました。
いち早くジョブズの死を知った後、ウォズニアック氏はABCニュースにこう語りました。
「衝撃的だし、残念だ。」

業界を見てきた人々はスティーヴ・ ジョブスを『発明の大家』と呼んでいます - おそらくはトーマス・エジソンと肩を並べる - コンピュータの世界を変革し、音楽とコミュニケーションの世界に足跡を残しました。

パーソナル・コンピュータ開発におけるジョブズのライバル、マイクロソフトの共同創業者のビル・ゲイツとポール・アレンは、彼の訃報に接するとすぐに、コンピュータ業界における彼の重要性を強調しました。

アレンはジョブスを「ユニークな技術の先駆者であり、驚くほど素晴らしい製品を作る方法を 知っていた発明家」だと讃えました。
ゲイツは、満腔の弔意を示した後、声明の中で特に以下の部分を強調しました。
「私たちは人生の半分以上、同僚だったし、ライバルだったし、そして友人だった。」

「この世界が、スティーヴほど深い影響を与える人間に出会うことはめったにない。彼が与える影響は、これから後の数世代に及ぶことだろう。」とゲイツは付け加えま した。
さらに彼はこう語りました。
「彼と一緒に働くことができた人間は十分以上に幸せだったと思うし、それは偉大な名誉となりうる。私は心から彼の死を悼む。」

最近のライバル、Facebookの 設立者、マーク・ザッカーバーグもまた、声明の中で述べています。

「スティーブが偉大な先輩であり、と同時に友人であったことに感謝しています。そしてあなたが作り上げたことが、世界を変えうる、ということを見せてくれたことを感謝しています。いなくなってしまったことを、心から残念に思います。」
〈つづく〉

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〈 日本の原子力発電に、幻滅はつきもの 〉【 日本人の静かな怒り〈後編〉 】

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『 一層不透明さを増す政府と東京電力の事態への対応 』

 

フランス / ル・モンド・ディプロマティーク 2011年8月

 

国際原子力機関(IAEA)は2008年、福島第一原発の構造は時代遅れの安全基準に沿ったもので、一回の大地震で『重大な問題』が起こりうる、と日本に警告していました。

さらに事故後の今年5月から6月にかけてのIAEAの調査では、点検の不備や改良された防御システムを別にしても、事故が起きた時点の災害対策プランでは、複数のプラントの事故には対処できなかったことがわかりました。
水素爆発の危険性も過小評価され、発電所内には緊急チームを保護するための耐震構造の建物はありませんでした。
そして、原子炉の状況を絶えず確認するための設備は、事故の影響を受けないように保護されてはいなかったのです。
津波の数日後には少なくとも3つの炉心がメルトダウンしましたが、ただの偶然と現場の作業員の献身的な作業により、死の灰が大規模汚染を引き起こす結果とはなりませんでした。
放射線被ばくによる直接死亡例がなかったということは驚きですが、長期的な影響への懸念は依然として続いています。

 

こうした心配は日本の人々の心の大きな部分を占め、その脳裏から離れる事はありませんが、政府と東京電力の事態への対処は一層不透明さを増し、『和』の心は地に墜ちています。
東北に住む人々のほとんどが不安に怯え、心の中で怒りの炎を燃え上がらせています。

これまでデモなどの動きは小規模で、目立たないものでした。
彼らが一斉に路上に出て抗議をしない理由について、ほとんどの人は(非公式な場で本音を話させても)『仕事があって時間が取れない』と答えます。
ほとんどの人が仕事中心に物事を考える日本では、これは驚くには当たりません。

 

しかし真実はもっと深いところにあります。
具体的行動だけからでは判断できないのです。
うわべだけは冷静に装ってはいても、恐怖と怒りの兆候を感じ取る事ができます。

先週行われたあるコンサートでは、ある歌手が彼のオリジナルのプロテストソングを歌いましたが、サビの部分の歌詞はこんなものでした。
『俺が一番やりたい事は地元で穫れたほうれん草を食べること、その放射線量が絶対零 - ゼロ - ゼロ・マイクロシーベルトになること! 』
新婚の山下夫妻は、将来子供を持つことの意欲について語ってくれました。
『100キロ先の原子炉で事故が続いているこの状況では『それはできない相談です。考えることすらできません......』

妊娠中の女性、長沼さんはこの数ヶ月、絶え間ない恐怖と戦ってきた、と語ります。
彼女は、あらゆる予防措置を取ってきました - 粉ミルク、根菜類。
しかし、大気中への放射性物質のテラ・ベクレルの放出後、彼女は恐怖を克服することができずにいます。
「おなかの中の赤ちゃんを守るためには、これだけでは十分ではありません。」
彼女は7月中旬、出産予定です。

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動画【 今度はドイツの人工衛星の出番です 】

アメリカNBCニュース 9月28日

どうかヘルメットはしまわずにおいてください。
9月24日、スクールバスサイズの人工衛星は地球に再突入後、太平洋に落下したため、私たちは生き延びる事ができました。
しかし別の衛星の出番が回ってきます。
ドイツの人工衛星がこの11月に地球に再突入を行う予定です。
そしてその後も宇宙軍団 - つまり地球の周囲をびっしり取り巻く大量の人工衛星の大群の存在を、あなたには受け入れていただかなければならなりません - からは、再突入が繰り返されることになります。
20,000個にものぼる衛星が周回を繰り返していますが、それらが永久にそこにとどまる事はできないのです。

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〈 日本の原子力発電に、幻滅はつきもの 〉【 日本人の静かな怒り〈前編〉 】

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「このままでは福島第一原発は事故を起こす - IAEAは2008年、一度の大地震で『深刻な問題』が起こりうる、と日本に警告していた」

フランス / ル・モンド・ディプロマティーク 2011年8月

日本人が福島第一原発で起きた事故について、街頭に繰り出してデモ行進をしないからと言って、怯えていない、あるいは憤慨していない、という事ではありません。
面と向かって抵抗するだけが、日本人の流儀ではないのです。

福島第一原子力発電所での状況は解決にはほど遠いものですが、北日本での生活にかつての静けさが戻ってきました。
北日本の海岸沿いの街に行って見るか、あるいは何度も余震に襲われる体験をしない限り、何が起きたのか本当に理解するのは難しいでしょう。

3月11日の災害の余波は毎日の暮らしに関わってきます、しかし『和』、社会の調和の重要性が失われる事はありません。
米欧社会は日本が合意を重んじ大勢に従う社会であることを知っていますが、一方、すべての決定とその実行方法が多くの人々の合意に基づいたものである、というのは誤解です。
こうした場合の『和』は意見の相違を意味します。この場合の『和』は全体の秩序を乱さないための道具でしかありません。
意見の相違は社会の中の目立つ出来事の一部分として、事前の了解事項の中に組み入れられます。こうして暗黙の了解が成立するのです。

村上春樹はしばしば東京における1960年代の学生デモについての著述の中で、彼らが行った『和』をかき乱す行為も、ちっぽけで、象徴的で、しかも無力だったと述べています。

私たちは今回の大災害に対する、日本の人々の冷静さを理解しています。
政府の地震に対する初動対応は広く批判を受けました、1990年代の阪神大震災の直後もそうだったように。
このことは、北日本で現政権に対する反感を醸成し、最近の都道府県の選挙での敗北につながりました。
菅直人首相は不信任決議は切り抜けたものの、さらに日本の彼自身が所属する与党民主党の中でも、支持を失っています。
彼はすでに『より若い世代』への政権委譲に同意し、辞意を表明していますが、もうしばらくの間 - 今すぐ彼をやめさせるのはやりすぎだ、という与党国会議員の考えの下 - 政権に留まります。
福島第一原発の危機だけが、彼の留任の理由となっています。

日本人が怒っていることはたくさんあり​​ます。
東京電力と担当政府機関の、安全性と透明性に対する姿勢に関する記録について考えてみましょう。
2002年8月29日に政府は、東京電力が故意に原子力発電所の定期検査について虚偽の報告書を提出した事、そして原子炉の修理記録の書き換えなどの体系的な隠蔽を明らかにしました。
結果として東京電力の17基の原子炉すべてが、再検査のために閉鎖されました。
東京電力の荒木浩会長、南直哉社長、榎本聡明副社長をはじめ、那須翔、平岩外四の2名の相談役が辞任に追い込まれました。
彼らは『1977年から2002年の約20年の間、当局への虚偽の技術データの提出を含む200の事例』について認めました。

今年、2011年2月28日には、東京電力は福島第一原子力発電所での、定期点検の手抜きと修理報告書について具申する報告書を、日本原子力安全保安院に提出しました。
東京電力は、6基の原子炉の温度制御弁を含む30箇所以上の特殊な部品、注水ポンプや非常用ディーゼル発電機などの冷却システムについて、きちんとした点検を行っていなかったのです。
これらの発電機が津波が襲った際に動作しなくなったことにより、冷却システムが稼働せず、危機は引き起こされました。

さらに国際原子力機関(IAEA)は2008年、福島第一原発の構造は時代遅れの安全基準に沿ったもので、一度の大地震で『重大な問題』が起こりうる、と日本に警告していました。
〈続く〉

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今日から2回に分け、フランスの日刊紙ル・モンドの記事をご紹介します。
8月の記事なので、菅前首相の部分など旧聞になりますが、ご理解の上お読みください。
また『和』についての解説などもちょっと?なので、読みにくい時は飛ばしてください。

それにしても〈 日本の原子力発電に幻滅はつきもの 〉という、サブタイトル、フランス人らしい辛辣さに満ちています。
「彼らがちゃんとやるとでも思っていたの?!」そんな声が聞こえてきそうです。

動画の方は、日本でも報じられているニューヨーク・ウォール街のデモの映像です。
彼らの気持ち、解ります。
[米国CEOはもらい過ぎ?! ( http://kobajun.biz/?p=697 )]でも一度ご紹介しましたが、アメリカの『1%』の人々の収入には、驚くばかりです。

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動画【 全米に広がる反ウォール街デモ 】

アメリカNBCニュース 10月3日

ニューヨーク、そして他の都市でも展開されている話についてお伝えします。

運動は一か月前にここニューヨークで、少人数のグループが国の経済問題に関 し、ウォール街を批判したことによって始まりました。
それが今や数万人の規模となり、全米に広がっています。
NBCのミシェル・フランゼンがウォール街の路上、数百人が逮捕されたにもかか わらず、集まり続けるデモ参加者とともにお伝えします。

レポーター : この中継映像に映っているプラカードを掲げ、行進する人々は、 企業の貪欲さと社会の不公平を目の当たりにし、同じ思いを持つ同士が連帯しました。
彼らは変化を望んでいますが、明確な要求や目標を持っているわけではありませ ん。しかし、それでも参加者は増え続けています。

「これはトリックルダウン経済だ!」
✳トリックルダウン方式 : 政府からのの資金は福祉事業や公共事業よりも、企業に直接配分した方が経済成長を促す、とする理論。

レポーター : このデモの参加者は仮装し、顔にペイントし、そして政府の腐敗と社会の不平等へ抗議しながら、ウォール街の金融機関めがけて集まり続けています。

「私たちが手にできるものなど何も無い!」

レポーター : そもそもの始まりは、マンハッタンの繁華街での小規模な座り込みでした。

「私は週に40時間、しっかり働きたいんだ!」

レポーター : 今世の中で起きているたくさんの物事に不満を持つ何千人もの人々が声を上げ始め、それが数日のうちに何百回も繰り返される大合唱へと膨れ上がっているのです。
これはまさに不満のるつぼです。

レポーター : この不満のるつぼは全国的な運動へと広がっています。シカゴ、 ロスアンジェルス、ボストンの抗議の声を上げる人々が路上にあふれだしています。人々は部分的にデイヴィッド・デグローのような反ウォール街の作家の影響も受けています。
「ここにいる人々は経済的な抑圧に対して、反撃しているんです。」

レポーター : 抗議の声を上げる人々は、最大の支持者を得たかもしれません。 鉄鋼、健康産業、運輸などの大手組合が支持し始めています。
「私たちは、一般労働者世帯の生活がどんどん先細りになっている、そのことに気づいてほしいのです。」

レポーター : ご覧のとおりです、彼らは非常に熱心に運動しています。今日、 マスクを着け、外見からは何もわからないようにした数名が逮捕されました。
けれども先週末に検挙された700名の人々は、そんなことはしていなかったはずです。

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【 日本政府は、放射線の影響を過小評価〈後編〉】懸念される新たな被爆差別の始まり

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ドイチェ・ベレ(ドイツ国際放送) 2011年7月

▽ 足跡を追う

専門家のチームが福島第一原発のメルトダウンの始まり以来、放射線レベルを記録し続けています。
このため、福島と周辺地域の全住民に対するアンケートの準備を行っています。
福島医科大学で行われた講演では、根本達也教授は、住民や専門家にこのように話しました。
「福島の住民の皆さんが3月11日以降、どこにいたのか思い出す事がたいへん重要です。調査が始まったらその事を書き留める必要があります。」
放射線の影響を受けた人々は、東京の近くの診療所にバスで運ばれました。
一人の女性が語りました。
「検査が終わったとき、正直ほっとしました。でも、福島ですぐに検査した方が、意味があったと思います。その方が自分たちが汚染されてしまったのか、大丈夫なのか、もっと早くわかったでしょうから。」

▽ 差別が始まる

食べ物も厳格なガイドラインを(EUのものと同じ)を用いて汚染の検査が行われていますが、一部の人々は依然として神経質になっています。
避難指定区域から避難の後、南相馬市で家族と一緒に暮らす一人の高齢者の女性は、
「もちろん、私も自分の事も心配ですが、もう年を取っています。私は孫たちの事の方がずっと心配です。」
メディアではある種の放射線が、癌を引き起こす可能性について取り上げられています。
彼女は彼女の子供や孫の健康について程は、自分自身の健康については心配はしていない、と語ります。
「私は今まで通り孫と会う事ができるかどうか、人々が私に対してどんな態度を取るか、という事の方を心配しています。義理の娘が孫を私から遠ざけようとしないなら、私は感染していないのでしょう、被爆者のようには。」

肥田舜太郎氏はこう語ります。
「日本の原爆症患者、被爆者として知られている人々は、差別を受けました。」
「それは広島原爆師投下後、被爆者が体験した最も忌まわしい事のひとつです。三世代を経た現在でも、尚、差別は存在しているのです。」
肥田氏は彼が1945年の原爆投下の犠牲者だった花嫁や新郎の祖父母から、しばしば結婚がとりやめになった、という電話連絡を受ける、と話します。

肥田氏は福島第一原発で起きたメルトダウンが、これと似た差別の始まりになるのでないか、と懸念を深めています。


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人間としてこの世に生まれ、差別されることぐらい辛いことは無いでしょう。
人類の歴史には、差別との戦い、という部分もありました。
原発事故が、差別まで生んでしまうかもしれない - 福島第一原発事故はかつて存在しなかった類いの差別を、人類の歴史に記録してしまうかもしれないと思うと、本当にやりきれません。

動画の方はここ2日程、アメリカのニュースのトップで扱われている、アメリカ生まれのアルカイダの幹部、アンワル・アル・アウラキ容疑者殺害に関するニュースです。
女性特派員のナレーションの要約を掲載します。
ところで、配信直後は放映されていたあるシーンが、今はカットされています。
キャスターのダイアン・ソイヤーさんが、いかにテロリストとはいえ、アメリカ国籍を持つ人間を、アメリカが無警告でミサイルを使って吹き飛ばす、というやり方に疑問を呈した部分です。
やはり犯罪者は法廷で裁くべきでは?!

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動画[アメリカ生まれのテロリスト、アンワル・アル・アウラキをアメリカはどのように捕捉・殺害したのか]

アメリカABCニュース 9月30日

イエメンの奥深く、潜伏していたアンワル容疑者。
しかし彼はその遥か頭上、アメリカの偵察衛星が24時間彼の隠れ家の監視を続け、武装した無人飛行機が近くを飛行していることに、気づくべくもありませんでした。
衛星は監視を続け、機会の到来を待って、待って、待ち続けたのです。
そしてその日、アンワル容疑者は白昼、隠れ家から外に出、そしてピックアッ プ・トラックに乗り込みました。
ピックアップ・トラックは走り出し、それと同時に数千キロかなたのヴァージニ ア州ラングレーのCIA本部が動き始めました。
彼らは無人攻撃機を配置につかせ、さらに大型哨戒機が追跡を開始、同時に2機の戦闘機が離れた位置の上空に待機しました。
そして9時55分、少なくとも3発のヘルファイア・ミサイルがアンワル容疑者の乗るピックアップ・トラックに向け発射されたのです。
ミサイルは命中し、ピックアップしラックは炎上、アメリカは完全な破壊を確認しました。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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