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【 『原発無き日本』をめぐる戦い 】[ニューヨーク・タイムズ]

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次々に明らかになる、危険な場所に巨額の投資を行い、原発を建設した日本の電力会社の事歴

ヒロコ・タブチ / ニューヨークタイムズ 8月29日


福島第一原発の事故の後、日本は原子力発電を減らすために動いていますが、厳しい経済的現実と向き合っています。
原子力発電を直ちに廃止した場合、電力会社のうちの数社はその負担に耐え切れなくなる可能性があります。

仮に今年2012年のうちに国内にあるすべての原子炉を廃炉にしたとしましょう。
国内の電力会社は併せて4兆4,000億円の損失を計上しなければならなくなります。
そして少なくとも4社が債務不履行に陥る可能性が出てきます。
この結果は国の機関である資源エネルギー庁が試算しました。

ただちに原子力発電を止めた場合のこの巨額の損失は、日本政府に大きな懸念を抱かせることになりました。政府は厳格化された原子力発電の安全基準の実施への要求と、巨大電力会社によって運営される原子力発電所の実態とのバランスを取ることに苦労してきました。
日本の原子力発電は国内電力需要の約3割を供給してきましたが、現在はそのほとんどが停止しています。
「人々は原子力発電の廃止について比較的簡単に口にしますが、それに伴う経済的、財政的処理は大変厳しいものになります。」
東京国際大学のエネルギー・資源経済学、環境経済学を専門とする武石礼司教授がこう語りました。


日本政府は現在、原子力発電のへの依存を減らすための3つの選択肢を検討していますが、いずれの選択肢においても2030年までに各電力会社に対し、その償却を容易にするための方策を取りながら、原子炉を廃炉にすることが求められることになります。
そして使用期間を40年とする日本の規則により、2030年までには大部分の原子炉が、いかなる理由があっても廃炉にすることを求められることになります。

しかし、原子力発電所の付近の地殻で、次々に断層の存在が確認されるなど、新たな安全面での懸念も認識されるようになり、はたして原子炉の再稼働が最終的に可能なのかどうかという疑念も浮上してきました。
さらには廃炉まで18年という年限の設定も、怒りを募らせる国民に対し、政府の前提条件の置き方はおかしい、という不満を抱かせることになっています。

「どうしたら国民の生命、安全よりも経済を優先させることができるのですか?」
現代アートの芸術家で脱原発抗議運動のリーダーの一人である小田まさのり氏が、先週行われた野田首相との直接会談の後、こう問いかけました。
政府によって提示されている選択肢のうちのひとつは、2030年時点での原子力発電への依存割合を20%から25%としています。
もう一つは15%、そして残る最後の選択肢がゼロです。
政府は15%の原子力発電を続ける選択を望んでいましたが、湧き上がる世論は圧倒的に原子力発電の完全廃止を求めました。
ただ、いずれを選んでも、原子炉を順次再稼働していくことは必要だとされていたのです。


ここ数カ月の間に全国規模の総選挙が実施される可能性が高くなり、ここに到り、日本の各政党、そして現政権の閣僚までが原子力発電の廃止への支持を表明するようになりました。
原子炉の運命は、原子力発電とそれ以外の発電方法に関する、広範囲な白熱した議論の行方に左右されることになります。

原子力発電を廃止するために必要となる費用、経済的側面に議論は集中しました。日本最大の経営者団体、経団連は経済的に危機的状況に陥る、と警告しました。数万の雇用が失われると主張し、返す刀で再生可能エネルギーの実現には数多くの問題がつきまとう、と切り捨てました。

「福島第一原発の事故以降、化石燃料の輸入額は増え続け、日本の貿易赤字額は記録的に膨んでしまった。
この夏停電が起きるような事態は起きませんでしたが、電力不足は企業にとって負担になっている。
日本の温室効果ガスの排出も増え、再生可能エネルギーは風力も太陽光も小規模で不安定な割には、コストが高い。」
政治の場に影響力を発揮すべく結成された経団連は、このように主張しています。
「経済的に安価な電力が安定的に供給されなければ、日本の経済成長は不可能である。」
9月初旬、経団連は改めてこのように表明しました。


電力会社にとって、短期的な経済的苦境はより鮮明です。
今年政府による専門家の委員会は、京都の北約270キロにある志賀原子力発電所の下に活断層が存在する可能性があると、指摘しました。それが事実とすれば、原子力発電所の設置そのものが許されない可能性があります。
政府の試算によると、志賀原子力発電所の廃止が決定すれば、運営する北陸電力は3,130億円の損失を被ることになり、会社そのものが立ち行かなくなる可能性があります。
損失を構成するのは、廃炉が早まることによって発生する追加費用、核関連施設の評価減、そして核廃棄物と核燃料の処理によって発生する費用などです。

もう一社、窮地に陥る可能性があるのは中部電力です。
浜岡原発5号機は同発電所で最新、そして国内で最大規模の原子炉ですが、同社はこの原子炉を何とか救済しようと熱望しています。
この原子炉は2005年に稼働を開始しましたが、浜岡原発は津波による被害が非常に発生しやすい場所にあることから、昨年5月、当時の菅前首相の指示により停止したままになっています。
しかしこの原子炉は停止中に発生した配管の断裂により、約5トンに上る海水が原子炉内部に入り込んだため、炉心が損傷してしまっている可能性があります。

経営規模の小さい2社、北海道電力と東北電力の場合、事態はさらに悪い可能性があります。
原子力関連施設の評価損により、債務超過に陥る可能性があると政府が試算しました。
2社が所有している原子力発電所の巨大地震に対する危険性は、これまで考えられていたよりも一層高い可能性が出てきました。


そして東京電力。
日本最大の電力会社であり、事故を起こした福島第一原発の所有者。
同社は所有する稼働可能な(福島第一原発の5号機、6号機の2基と、16キロ離れた場所にある福島第二原発の4基を含む)13基の原子炉の再稼働ができない場合は、1兆1,500億円の追加の欠損を計上しなければなりません。

福島第一原発、福島第二原発が立地する福島県は、県内の全原子炉の廃炉を求めています。
ただでさえ福島第一原発の事故処理と賠償のため巨額の債務を抱え、実質的に国有化された東京電力にとって、福島第一原発、福島第二原発ともに廃止の決定は、致命的事態となり得る可能性があります。

CLSAキャピタルパートナーズ・ジャパン株式会社で、日本の電力会社を担当するアナリスト、ベン・バワーズ氏は次のように語りました。
「私は数年のうちに、日本の各電力会社が原子力発電所をゼロにするよう迫られることにはならない、そう考えています。」
「そんなことをすれば、電力会社数社が債務超過に陥ってしまいます。」
「そのような選択をすべきではありません、だって他に電力会社は存在しないのですから。既存の電力会社が営業を続けられるような、選択をすべきだと思います。」

原子力発電所の廃止に前向きな人々は、事故が起きた場合には、その経費がたちまち巨額に上ることを考慮すべきだと語ります。
彼らは再生可能エネルギーの開発について楽観的であり、とりわけ国の重点的な支援により開発が加速するものと見ています。そして新たな技術の開発により、二酸化炭素の排出も削減され、新たな雇用創出も可能であると考えています。


「経済面における原子力発電の仮定は、もはや成り立たなくなりました。」
東京の青山学院大学の本間照光経済学部教授が、このように語りました。
「原子力発電についての最大の前提条件、それは事故は起きない、という事だったのです。」

たとえ危険であることが解っていても、電力会社は政府に対し原子炉の再稼働を働きかけるべき、強い動機があります。
しかし、いったん事故が起きてしまえば、その処理費用は電力会社の資産価値をはるかに超えるものになる可能性が高く、いかなる災害が発生しても政府ともども解決にあたると説得を試みましたが、民間の保険会社は電力会社の保険加入に応じようとはしませんでした。

そうとなれば、日本国内の原子炉を再稼働する場合、その金銭的リスクを負うのも、安全上のリスクを負うのも一般国民、一般の納税者という事になります。
しかしもし利益が得られたとしても、それはすべて、電力会社とその株主の手に渡ることになります。

この点について、ハーバード大学法学部のJ.マーク・ラムザイヤー教授は学術誌に今月掲載した、日本の原子力産業界をテーマにした論文『論理的な疑問』の中でこう述べています。
「彼らは利益については総取りにしますが、一方の義務はと言うと、それを引き受けるつもりは無いのです。」


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中部電力・浜岡原発


長文なので一回で掲載することをためらったのですが、途中で切るとおかしなことになるので一気に掲載しました。
最後までお読みくださった方、お疲れさまでした。

ところでもう何度もご紹介したのですが、この記事こそは広瀬隆さんの著作「原子炉時限爆弾」(ダイヤモンド社)との読み比べをお薦めしたものです。
と言うのも、この著作の中で広瀬さんは、3.11発生以前すでに、日本で一番危ないのが中部電力の浜岡原発、次に危ないひとつが東京電力の柏崎刈羽原発である、と指摘されていたからです。
どちらも極めて軟弱な地盤の上に建設されているにもかかわらず、指摘を受けると学問上は明らかにおかしい言い逃れを重ね、今日に至っている、とそう指摘をされています。
日本全国、どの原子力発電所の建設においても、こうしたごまかしや危険な事実の隠ぺいが繰り返された。
そしてそれを『むしろ進んで』追認していた原子力安全・保安院や原子力委員会などの国家機関。

さらには国内の全原子炉の廃炉費用に4兆4千億円の費用が必要とありますが、国は高速増殖炉もんじゅに対してだけですでに5兆円をつぎ込んでいるはずです。
そしていろいろな名目をつけ、様々な形の『補助金』が、支出されているはずなのです。

記事中の電力会社のコメントなどを見ていると
「原子力発電所はもうこれだけ作ってしまったんだ!これをどうしろと言うのだ?」
と、私たち国民に向かって開き直られているような気がしますが、

▽できたものをどうするのかの責任

ではなく、

▽危険とわかっていて、なぜそんな巨額投資を行い、原発建設を進めたのか、その責任

これをまず、事実の検証と議論を重ねながら明らかにしていく必要があると思います。
そうでなければ、ゼロも、15も、25も、単なる数字いじりに終わってしまいます。

『東京電力』の再建に、原発再稼働は不可欠[米国FOXニュース]

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「国がどう考えようと、国民がどう思っていようと…」

米国フォックス・ニュース / AP通信 9月6日


9月6日、事故を起こした福島第一原発の所有者である東京電力の社長は、国がどう考えようと、国民がどう思っていようと、原子力発電は国のエネルギー政策の一端を担うべきものである、と信じている、と語りました。

広瀬直美東京電力社長は、昨年発生した地震と津波が福島第一原発を襲い、大事故が発生し数か月もの間制御不能となり、環境中に大量の放射性物質を放出したメルトダウンを引き起こした後であっても、東京電力は再生可能エネルギー等への開発投資はできない、とも語りました。

東京電力(TEPCO)は福島第一原発の事故の後、莫大な金額の賠償責任と事故の処理費用の支払い責任を負うことになりました。
このため7月に約1兆円に上る国からの公的資金援助を受けた後、実質的に国有化されました。
東京電力は2011年3月11日の三重災害(地震、津波、原発事故)以前に、発電手段の多様化に取り組んだことがありました。

系列会社のユーラス・エナジーグループとともに、3か所のメガソーラー発電施設、そして12か所以上の風力発電施設の建設を行いました。
しかし窮迫する財政事情により、東京電力にはもはやこうした事業に投資を行う余力は残っていない、と広瀬社長は東京電力本社でAP通信に語りました。
「我々はこうした再生可能エネルギーの開発に取り組んできましたが、不幸にも3.11の発生により、そのための資金を確保できなくなってしまったのです。」
広瀬社長は今年6月、東京電力の業績回復を担うべく社長就任を引き受けました。


広瀬社長は北日本にある原子力発電所を再稼働できれば、東京電力の業績回復に目鼻をつけることができるでしょうが、地元の了解を取り付けることは非常に難しいであろうことも理解しています。
「東京電力の財政事情の健全化に、原子力発電所の再稼働が貢献することは間違いありません。」
彼はこう語り、新潟県にある7基の原子炉を持ち、現在点検のため停止中の柏崎刈羽原発に言及しました。
「しかし、再稼働への日程が具体化されているわけではありません。」

原子力発電を含めた多様な発電手段を持つことには、エネルギー安全保障面だけではなく、経済的メリットもある、と広瀬社長は語ります。

昨年の大災害の後、日本政府は新しいエネルギー政策の策定にあたり、原子力発電を減少させる、あるいは廃止する、いずれかの選択を迫られています。
調査により、日本国民は原子力発電の段階的廃止を圧倒的に支持していることが明らかになりました。
3.11の以前、日本は無国内電力需要の約30%を供給できる原子力発電所を持ち、2030年にはその割合を50%にまで高める計画を持っていました。


チェルノブイリ以来世界史上最悪の原子力発電所事故を引き起こした事で、原子力発電事業の縮小が避けられない選択ではあっても
「正直言って、50%への拡大路線から、廃止路線への転換は、東京電力にとって非常な打撃でした。」
と広瀬社長は語ります。

しかし国が定めるエネルギー政策による発電手段の決定割合に、東京電力は従わざるを得ないと広瀬社長は語ります。
福島第一原発の事故は、国民の原子力発電の安全性に対する大きな不信を呼び覚まし、事故以降点検のため次々と停止した国内50基の原子炉の再稼働を難しいものにしました。
最後の原子炉が停止したのは今年5月のことでした。

夏場の需要期の電力不足を回避するためだとして、7月二基の原子炉が再稼働されましたが、その結果首相官邸前に毎週数万人の人々が集まり、抗議集会が開かれる結果になりました。


広瀬社長は福島第一原発の事故の全容と発生原因を、明らかにすると誓いました。

福島第一原発は一時に比べれば安定した状態を保っていますが、充分と言えるレベルの事故処理を行い完全に廃炉にするまでに、いったいどれだけの作業を行い、何十年かかるのか。
調査はもちろん、新たな技術を開発することが求められています。

http://www.foxnews.com/world/2012/09/06/japan-utility-says-there-no-money-to-develop-renewables/#ixzz261PV9Ec1
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国民の意思を曲げてでも、東京電力という会社は存続させなければならないのか?!
その議論がまだ本格に行われていないように思います。
発電会社、送電・電気販売会社、事故処理新技術開発研究所、事故処理会社等々、分割「民営化」についての検討も必要ではないでしょうか?

東京電力の国有化は、オバマ政権が経営危機に陥ったゼネラル・モータースを一時国有化し、立ち直らせた成功例を真似ようとしているのでしょう。
しかしGMの、退職者等の年金が高すぎた、エコカーの開発・販売に立ち遅れた、などの「問題」と比較し、東京電力が抱える問題は比較になりません。
それにいったん国有化された以上、その処置は国民にとって最良の選択であるべきですが、そのようなことは望むべくもないのが現状です。

日曜日、テレビのニュースを見ていて、民主党が「2030年の原子力発電の廃止を目指す」との目標を掲げたことについて、
幹部が「2030年までに原子力発電を止めるとは言っていない」と語りました。
またか、と思う一方で、日本の政党の公約と言うものはかほどに軽いものなのか、否、「空文」を掲げて国民をその気にさせてその場をしのぐこと、それが現在の日本の政治なのか、と改めて思い知らされました。
この発言は、こう言っているのと同じではないでしょうか?

「2030年に原子力発電を廃止する、という目標を掲げはしたが、諸般の事情によりそれが実現不可能なことが判明した。その結果、2030年以降も原子力発電を継続せざるを得ない結果となった。」というシナリオで事態を推移させる。

英国の学者が「現在の日本の政治家は近視眼的過ぎる」と語ったことをご紹介したことがありますが、こうなってはその指摘も優しすぎる表現だと言わざるを得ません。
要するに「その場しのぎばかり」…

そう言えば総選挙実施の気配が強まるにつれ、『にわか脱原発もどき』の政党・政治家が目立つようになったと、お思いになりませんか?
脱原発の国民の意思が固まりつつある今を「しのいで」議席を手に入れ、後は野となれ山となれ。
そんな人間ではないのかどうか、しっかり見極めていかなければなりません。

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アメリカNBCニュース【今日のベスト・ショット集】 9月10日
(写真をクリックして拡大画像をご覧ください)

[休憩中の労働者]インド西部アフメドバッドの商業ビル


船外作業中のNASAサニタ・ウィリアムズ。国際宇宙ステーションで日本の星出彰彦さんが撮影。


星出彰彦さん撮影の自画像


A Scarlet-winged Lichen Moth (Hypoprepia miniata) - アメリカ自然歴史博物館で開催の『世界の蛾』展から


A female Luna Moth (Actias luna) - 同上


An Io Moth (Automeris io) - 同上

アメリカで、多数の原発が稼働停止の可能性[IPSニュース]

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持って行き場の無い核廃棄物【米国原子力規制委員会「もうこれ以上、原子力発電所の操業許可は出せない!」】
「事態は1960年代と比べ、何も改善していない。それはつまり、核廃棄物に関しては、都合の良い解決方法など存在しない、という事なのだ」- 米国下院議員
「処理の目処も立たないのに、原子力発電を行うことにより、無限に核廃棄物が生み出されている」

IPSニュース 9月4日(8月6日)


アメリカの商業用原子炉の管理・監督を行っている原子力規制委員会(NRC)は8月9日、当面新たな原子炉の操業許可を行わないことを決定しました。
核廃棄物の長期保管の問題について、産業界と連邦政府のいずれも、合理的な解決策を見いだせずにいる、とする裁判所の判決を受けた措置です。

この措置により、19か所に上る原子炉が影響を受けることになりました。
この中には、9か所の原子炉建設とその操業許可、8か所の操業許可の更新、1か所の操業許可、そして1か所の施設使用延長が含まれます。

多数の個人に加え、数多くの環境団体からの嘆願書に応え、NRCは7日この命令を出しました。

6月8日付で、NRCが取り扱っている核廃棄物問題を検証する限り、新規の原子力発電所はもちろん、現存する原子力発電所からのこれ以上の核廃棄物の排出は容認できないとする、米国連邦巡回控訴裁判所の決定により、こうした嘆願書が多数寄せられることになりました。

「私たちが信頼性し得る核廃棄物保管と呼んでいる課題は、原子力規制委員会において、環境に関する全般的な問題、利用可能なあらゆる手段を検討しなければならない、そしてあらゆる面からの検証が必要な問題だったのです。
なぜなら高レベル放射性核廃棄物、使用済み核燃料は、原子炉の耐用年数などとは比較にならない程長い間、何十年もの間、放出する熱量が低下し最終処分が可能になるまで、安全に保管し続けなければならないからなのです。」
NRCのスポークスマン、デイヴ・マッキンタイアはIPSに対し、このように説明しました。


「米国連邦巡回控訴裁判所は請願を行った人々の主張を容れ、NRCが認めていた廃棄物処分方法に疑問を呈したのです。すなわち、もはや高レベル放射性廃棄物を安全に保管する方法など、基本的には存在しない可能性があるのではないか、その点をNRCは検討する必要がある、そう指摘したことになります。」
「ネバダ州の核廃棄物の中間貯蔵施設である、ユッカ・マウンテンは閉鎖されたままであり、アメリカには現在その他の選択肢はありません。上下院での議論がこのまま平行線をたどり、他に中間貯蔵施設が確保できなければ、高レベル放射性核廃棄物はいったいどこに持って行けばいいのでしょう?」
マッキンタイアはこう語りました。

NRCにおいても結論が出ないこの問題について
「このまま原子力発電所が稼働によって、高レベル放射性廃棄物の排出を続ければ、その保管場所は原子力発電所の施設内しかなくなります。発電所内での安全保管、それ以外に道は残されていないのです。」

環境保護団体が、記者会見でこのような共同声明を発表しました。
「これは見過ごせない問題です。」
ブルーリッジ環境保護連盟の世話人の一人、ルイス・ゼラー氏がIPSに語りました。


こんな問題が発生するとは、NRCも原子力産業界も、原子力発電を始めたときには考えても見なかったはずであり、周章狼狽の一歩手前まで追いつめられています。
「業界は環境団体がジョージア、アラバマ、サウス・キャロライナ、ヴァージニア各州における原子炉の新規建設に異議の申し立てを行うと予想し、その対応を準備していたようです。まあ、実際私たちはそのほとんどで申し立てをしましたが。しかし、まさか自分たちが行っている基本的な枠組みに対し、根本的な問題提起が行われるとは予想していなかったでしょう。彼らにとってこれは衝撃的であったと同時に、驚きであったと思います。」
ゼラー氏が続けます。
「この件について、私は楽観的になって良いようです。米国連邦巡回控訴裁判所が核廃棄物の問題の重要性と、原子力規制員会の対応が遅きに失した点について、基本的に同意してくれたことは、非常に重要なことだと考えざるを得ません。」
核廃棄物の放射性は非常に高く、人体に危険を及ぼし、致命的事態に陥る場合もある、とゼラー氏が警告しました。


それぞれの原子力発電所では、運営会社が同じ核燃料をどれだけの期間使用し続けるかによって、貯まっている使用済み核燃料の量と構成が異なってきます。
「それは燃焼と呼ばれ、同じウラン燃料をどれだけの期間原子炉の中に入れておくかによって、作られる放射性廃棄物も違ってくるのです。」
放射性ヨウ素やストロンチウムなどの放射性核種について、ゼラー氏がこう説明しました。

ゼラー氏はNRCが今回の判決を不服として控訴するかどうかはわからないが、少なくとも判決によって生じるNRC側の懸念を隠そうとはしていない、と語りました。

「裁判所の決定により、NRCとして行ってきた廃棄物処理手順が否定され、NRCは改めて採用可能なあらゆる方法について検討を行っています。その中には全原子力発電所共通の方法、あるいは発電所ごとに異なる処理方法を行う、あるいはその両方を組み合わせる方法などが含まれています。」
8月7日、原子力規制員会(NRC)はこのように声明を出しました。


数週間以内に5人の理事に処理方法のリストを提出すべく、NRC職員は現在、多忙を極めていると、マッキンタイア氏が語りました。
「私たちはまだ、全体の方針を決めるには至っていません。しかし法の下での我々の役割に対する認識の下、今回の判決が覆されない限り、現行の放射性廃棄物処理基準と一時保管基準に基づく原子力発電所の操業許可は、当面行わないことになります。」

マッキンタイアは今回のNRCの決定、裁判所の判決、そのいずれによっても、すでに出されている原子力発電所の操業許可が取り消されることは無い、と語りました。
同氏はその例としてジョージア州のヴォグタイル原子力発電所を例に挙げましたが、しかし同発電所は福島第一原発の事故後見直された安全基準に抵触しているとして、操業停止を求める訴訟を起こされています。

オハイオ州選出の民主党のデニス・クシニッチ下院議員は8月上旬、有権者に電子メールを送りました。
「私たちはいままさに、原子力発電の終わりを目撃しているのでしょうか?」
「私たちは約半世紀もの間、核廃棄物の合理的処分方法を探し求めてきました。そして結局、事態は1960年代と比べ、何も改善していないのです。それはつまり、核廃棄物に関しては、都合の良い解決方法など存在しない、という事なのです。」
「放射性核廃棄物を安全に保管し続ける方法など、決して見つけ出すことはできないのです。」


ゼラー氏はたとえ新たな処分場を確保できても、その場所まで核廃棄物を輸送すること自体危険が伴う事であり、核廃棄物をどこで処分しようとしても、必ず危険がついて回る、と語りました。その危険は決して小さなものでは無い、と。

ゼラー氏は続けて、アメリカ国内では核廃棄物処分場を目の色を変えて探し続けている今この瞬間も、原子力発電を行うことにより、核廃棄物が作られ続けており、そのことに問題の根深さがあると語りました。
「その上、最終的にいったいどれだけの量の核廃棄物を処分しなければならないのか、明確では無く、原子力発電が続く以上、核廃棄物は無限に生み出されてくるのです。」

今回のNRCの決定により、操業停止になる可能性のある原子力発電所
メリーランド州カルバートクリフ、ミシガン州フェルミ、サウスキャロライナ州ウィリアムステート・リーⅢ、ミシシッピ州グランドガルフ、テキサス州ヴィクトリア・カントリー、フロリダ州ターキーポイント、テキサス州コマンチピーク、同南テキサス、ペンシルバニア州ベルベンド、ノースキャロライナ州シャーロン・ハリス、フロリダ州レヴィー・カウンティ、アラバマ州ベルフォンテ、テネシー州ワッツバー、ヴァージニア州ノースアンナ

http://www.ipsnews.net/2012/08/waste-issue-halts-u-s-nuclear-reactor-licensing/
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[米国原子力規制委員会、原子力発電の操業認可業務を停止]

ニューヨークタイムズ 8月8日

今年6月の連邦裁判所が、高レベル放射性廃棄物処分方法について不備があると判決を下したのを受け、原子力規制委員会は原子力発電所の操業認可業務を停止しました。
申請の受け付け業務は継続するものの、操業を許可するかどうかの決定は、年内は行わない、とスポークスマンが発表しました。
(ブルームバーグ・ニュース)

http://green.blogs.nytimes.com/2012/08/08/on-our-radar-n-r-c-puts-off-licensing-decisions/
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米国原子力規制委員会、原子力発電の操業認可業務を停止

ブルームバーグニュース 2012年8月8日

6月の連邦裁判所の判決が命じた、使用済核燃料の保管に関わる危険性を検証する一連の作業が完了するまで、米国原子力規制委員会(NRC)は原子力発電所の操業許可を与える認可業務を停止しました。
5人の理事によって構成されるNRCは、操業許可申請の受付と審査業務は継続して行います。ただし、操業を許可するかどうかの、決定は行いません。
ここ数カ月間はこうした申請が出される予定はありませんが、出された場合には決定は保留になります。
NRCのスポークスマン、スコット・バーネルが電子メールで伝えてきました。
ニューヨーク市の北方にあるインディアン・ポイント原子力発電所を運営するエンタジー社は、同原発の更新手続きを次に予定しています。
デューク・エナジー社はフロリダ州レヴィー郡の原子炉建設と許可申請を目前に控えています。
「2013年までは、操業許可の承認業務を行う予定はありません。」
と、バーネルの電子メールに記されています。


ワシントンの連邦裁判所は6月8日、判決を行い、核廃棄物の永久処分方法について、NRCはその危険性について充分な検証を行っておらず、新たな基準を整備する必要がある、と指摘しました。

NRCの今回の決定により、9件の原子力発電の建設許可業務、そして8件の操業の許可業務が凍結されます。
NRCに対し国内での核廃棄物処理を止めるよう求めている、24の環境保護団体からなるテネシー州ノックスヴィルにあるクリーン・エネルギー南部連盟とブルーリッジ環境保護連盟が確認しました。

http://www.bloomberg.com/news/2012-08-07/nrc-suspends-final-licenses-to-reassess-risks-of-storing-waste.html

原子力発電との戦い – 日本の負の側面を、確実に変えつつある日本の女性たち[IPSニュース]

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日本で社会正義を実現するためには、市民運動こそ、市民が自ら声をあげることこそが最も有効な手段

スヴェンドリーニ・カクチ / IPSニュース 8月9日 


昨年発生した福島第一原発の事故が引き金となり、これまでにない広がりを見せてこの夏日本で盛り上がる脱原発抗議行動には、日本の将来のエネルギー政策について、もはや政府の勝手にはさせない、と言う気迫が感じられるようになってきました。

人々の活動が社会を動かした顕著な例の一つが、8月3日、何カ月にも及ぶ検討を経て、検察庁が福島第一原発を運営している日本最大の電力会社、東京電力への刑事告発を受理したことでした。
「検察庁の新たな動きは、東京電力の刑事責任を明らかにするための、長く苦しい戦いの一里塚とも言うべきものです。これまでの日本の市民運動が無しえなかった、ひとつの到達点です。」
福島のベテランの運動家のひとりで、刑事告発を行ったグループのリーダーの一人である恵比寿和ひろみさんがIPSの取材にこう答えました。
昨年3月11日に発生した巨大地震と津波が引き金となって引き起こされた福島第一原発の事故の後、子供たちや幼児を含む数万人に上る周辺住民は、放射能に被爆することから免れるため、避難を余儀なくされました。

今年6月以降、福島県の住民1,300人が福島地方検察庁に、刑事告発の申し立てを行ってきました。
東京電力の役員と原子力安全・保安院の幹部職員合せて33名を特定し、原子炉が津波によって被害を受けないようにするための対策を怠り、今回の危機を招いた張本人として告発したのです。
告発理由は業務上過失致死傷と公害犯罪処罰法違反の疑いです。


日本での反原子力発電運動の広がりを感じさせるのが、市民グループが石川県の金沢地方検察庁に提出した北陸電力の複数の元役員に対する刑事告発です。

北陸電力は北陸地方にある石川県の志賀原発の再稼働を検討しています。

グリーン・アクションの代表を務め、地方の環境組織リーダーであるアイリーン・美緒子・スミスさんは、最新の脱原発運動は今後の日本のエネルギー政策の決定に重要な影響を与えることになる、と語ります。
「福島の原発事故後の市民運動へのひたむきな取り組み方は、ここ数十年間日本では見られなかったものであり、その影響が日本の政治にも、社会にも表れてきました。」
アイリーン・美緒子さんがIPSに語りました。
福島第一原子力発電所の事故の深刻さが、悲劇に対する人々の怒りと相まって、国内にある50基の原子炉の稼働を呈させたのだと、アイリーン・美緒子さんは他の専門家同様、信じています。

国のエネルギー安全保障

現在日本は、夏の酷暑の中、持てる能力の3%以下の原子力発電しか行っていません。
日本では、原子力発電こそは経済発展の要になるものである、として長い間大規模な宣伝工作が行われてきました。


しかし沿岸部の自治体は、ここに来てもなお、その態度を明らかにしていません。
7月には、国内で大規模な抗議行動が見られたにもかかわらず、国内の電力不足の危険性を指摘する日本国政府と、原発が停止したままでは自治体としての予算獲得に支障をきたすおおい町により、この地区の4基の原子炉のうち、2基の再稼働が強行されました

世界で3番目に大きな経済規模を持つ日本は、現在石油・石炭を100%輸入に頼っています。
原子力発電は福島第一原発の事故発生以前、国内で必要とされる電力の約3割を供給していました。

原子力発電を廃止に向かわせることと、経済発展を優先することと、どちらを優先すべきかという問題は、日本社会にとってほんとうに重要な争点なのでしょうか?
日本持続可能エネルギー研究所が7月に行った調査では、日本国民の8割以上が原子力発電の継続に反対していることが明らかになりました。

しかしながら5割以上の国民が、全原子力発電所の廃止の期限を2050年とすることに賛同しています。これは新たな発電手段の確保に関する懸念が、直ちに原子力発電を廃止することをためらわせているという事実を表すものです。

しかし、脱原発抗議行動の広がりは記念碑的なものとなりました。

大飯原子力発電所の原子炉を再稼働させるというおおい町の決定は、数カ月間にわたる日本政府との苦痛に満ちた交渉の上、引き出されたものでした。

大飯原発付近で新たに発見された活断層について調査している独立調査機関の、高い安全性が確保されているという結論だけで最終的な決定が下されました。

今やノーベル賞受賞者の大江健三郎や前菅直人首相のような著名な知識人も、毎週首相官邸前で行われる抗議行動に参加するようになりました。


運動が勢いを増した結果、野田首相は毎週金曜日に官邸を取り巻く抗議活動を行っている人々の代表との会談を、約束せざるを得なくなりました。これは多くの週刊誌などで取り上げられたように、首相が官邸前の抗議行動について、単に「騒々しいだけだ」と切り捨てていたこれまでの態度と比べ、著しく姿勢が変化したというべきでしょう。

この2カ月間、原子力発電の廃止を求めて、官庁街を曲がりくねりながら人々が列をなし、時には100,000人以上の人々が集まった毎週の抗議行動において、みさおレッドウルフさんは主要なリーダーの一人としての活動を続けてきました。

耐えがたい程の暑さの中を集まって来た人々に向かい、みさおレッドウルフさんは最近再稼働されたばかりの大飯原発の2基の原子炉の即時停止と、日本国内のすべての原子炉の廃炉を求めました。
「今や市民運動こそが、物事を前に進めるための手段となりました。福島の事故によってとてつもない苦しみにあえぐ人々の声を無視し続けてきた政府に対し、私たちは長い間誠実な回答を求めてきました。」

社会学者の草分け的存在である慶応大学の小熊英二教授は、この抗議行動は福島第一原発の事故に対する日本の政治的、官僚的リーダーシップと、人々の意思を顧みようとしない日本の政治に対する国民の不満を象徴するものだと語りました。

「この20年間、経済的な苦境が続く中で、人々の政治に対する不満は鬱積し続けて来ました。福島第一原発の事故と大飯原発の再稼働は、そうした流れの中で、重要な転換点になりました。」
アジア・パシフィック・ジャーナル7月号の寄稿記事の中で小熊教授はこう述べています。

既存の政治家と有権者とのかい離がますます進む中、7月には緑の党が結党されました。緑の党は反核・反原子力を基本方針とし、高齢者のための福祉の充実を訴えています。

同党の広報担当の宮部あきら氏はIPSの取材に対し、来年予定されている参議院議員選挙の比例代表区において独自候補を擁立し、政党としてのスタートを切るつもりであると語りました。
「新たな政党の誕生は、日本に新風を吹き込むことになります。」
「緑の党は東京電力に対する刑事告発に関わることにより、日本の原子力発電の背景にある政権と産業界の癒着を正していく役割を果たしていきます。」

※原文中、北陸電力志賀原発の運営者をTokyo Electric Company (TEC)としている箇所があり、翻訳の際、北陸電力に訂正しました。

http://www.ipsnews.net/2012/08/activists-score-in-fight-against-nuclear-power/

次々と発生する、環太平洋火山帯の大地震[米国NBC]

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【中米コスタリカ大地震・やはり原因は地殻プレートの破壊】

アメリカNBCニュース 9月5日

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9月5日中央アメリカのコスタリカの北西部で大地震が発生、当局の発表によれば3人が死亡しましたが、このうち2人は地震のショックによる心臓発作でした。
少なくとも20人が重軽傷を負い、他に2人が行方不明となっています。
しかし赤十字によれば、これらの数字は調査チームが各地に入った段階で、さらに増える可能性があります。

地震は当初マグニチュード7.9と発表されましたが、アメリカ地質調査研究所によって7.6に訂正されました。
東部時間5日午前10時42分(日本時間午後7時42分)に発生したこの地震の震源域は、ニコヤの南東約11km、深さは約40kmです。
ニコヤは首都サンホセから145km、人口15,000人の太平洋岸の都市です。

首都サンホセにある、下院議会施設を含む政府ビルには避難命令が出されたと、地元紙のラナション(La Nacion、英語ではThe Nation)が伝えました。
余震に備え、数千人の子供たちが学校から自宅に送り届けられました。

太平洋の津波警報センターは、コスタリカ、パナマ、ニカラグアの三か国に対して発した津波警報を解除しました。

ひとりの男性が崩れ落ちた壁の下敷きになって死亡しましたが、身元確認に手間取ったと、国家非常事態相のヴァネッサ・ロザレスが語りました。
今回の地震で2人目の犠牲者となった、スミスという名前以外は身元不明の年配の男性は、デサンパラドス行政区のサンアントニオで心臓発作のため亡くなりました。
フィラデルフィア病院院長のエバ・カマルゴによれば、太平洋岸の町カリッリョでも女性が一人心臓発作で亡くなりました。女性は年齢が55歳前後、ロドリゲス・マチャドと言う名字だけが判明しています。

カマルゴ院長は、フィラデルフィア病院では少なくとも20人の地震による負傷者の治療にあたっている、と語りました。

沿岸の町プクエラの市長アルシデス・ゴンザレスは、軽傷の2人がプラヤ・タンボルにあるバルセロ・タンボル・ビーチ・ホテルに収容されていると語りました。
2人のけがの程度も、ホテルの従業員なのか宿泊客なのか、いずれも不明ですが、このホテルでは地震が配管が壊れたと、ゴンザレス市長がラナションの取材に答えました。

コスタリカのテレビ局は今回のマグニチュード7.6の地震による、地響きと激しい揺れの様子をとらえた映像を放映しました。

コスタリカのローラ・チンチジャ・ミランダ大統領は、昼近くになって国家非常事態省と国際赤十字委員会との会談を相次いで行いました。
記者会見でミランダ大統領は、首都の数多くの建物が被害を受けたことを確認しましたが、西海岸一帯の国民に対し、平静を保つように呼びかけました。

プンタアレナス行政区の中心都市プンタアレナスでは停電が起き、同地のモンシニョール・サナブリア病院では見た目の損傷も甚だしく、入院患者の移送を始めました。
地方局によれば、ララピクイの町ではスシオ川に架かる橋が倒壊しました。

何本かの幹線道路が地滑りにより通行不能となり、赤十字によれば数か所の被災地に救護隊が入れずにいます。

▽ みんな泣き叫んでいる


コスタリカ国立大学の地震火山観測所は、マグニチュード2.0から4.0の間の余震を60回以上観測した、と発表しました。
観測所の地震学者であるホルヘ・マリーノ・プロッティは、ココス地殻プレートとカリブ地殻プレートの間で発生した崩壊によって、今回の地震は引き起こされた、と語りました。
こうした崩壊はいつもだとニコヤ半島付近で発生するのですが
「震源を特定するのは困難です。なぜなら今回は極めて広いエリアでプレートが崩壊したからです。」
プロッティ氏は状況説明の場でこう語りました。
今回の地震でニコヤ半島が1メートル隆起した、とも語りました。

プンタアレナスでホテル『サマラハウス・イン』を経営するビクター・スニガ氏は、非常に強い揺れを感じたと、NBCニュースの取材に答えました。
「みんな会社の建物家から、通りへ飛び出してきました。」
「みんな恐怖におののいていました。でもまだ被害の状況がよくわからないのです。念のため電気が停められているので。今になって、徐々に通電が始まっていますが。」


「ここでは人々が、ことのほか動揺しています。」
サンホセ近くにある聖イシドロ・デ・エレディア大学の英語教師エリン・モリスはこう語りました。
「建物が前後に揺れ始めたとき、私たちはちょうど授業中でした。」
合衆国のサウス・キャロライナ州からここに来ている30歳のモリス先生は、NBCの取材に対し、電子メールでこう伝えてきました。
「教室にいた全員が突然口を閉ざし、永遠とも思える静寂が一瞬辺りを支配しました。そして次の瞬間、みんな椅子から飛び上がり、あわてて外に飛び出したのです。」
「私が教室から歩いて出てくると、すべての窓ガラスが割れた建物が前後に揺れているのが解りました。」
「何もかも傾いてしまい、窓枠は外れてしまっていました。」
最後に彼女がこうつけ加えました。
「すべては斜めで、フレームでそれました。」

ニコヤのホテル・リオ・テンピスクエの支配人、ロバート・トレス氏はここでも地震を感じた、とNBCの取材に答えました。
「この日、街のすべての会社が臨時休業になり、従業員全員を自宅に帰しました。地震直後停電はありませんでしたが、その後、安全点検のため電気の供給がストップしました。」
トレス氏は今のところニコヤ市内で、損害を受けた話は聞いていないとも語りました。

地元の報道では、サンタ・クルス地区の住宅街が大きな損害を受けたと報道しました。


この点につき、アメリカ地質調査研究所が以下のようにコメントしました。
「多少地震に強い構造物があるものの、コスタリカ国内では全体には揺れに弱い構造物が大半を占めています。」
「その代表的なものが、日干しレンガを泥で固めた構造の家なのです。」

写真1: 強力な地震が水曜日にコスタリカの太平洋岸の近くで襲ったあと、サンホセのカルデロン・グアルディア病院の患者は避難します。
写真2: アメリカ地質調査所によってリリースされる地図は、水曜日にコスタリカ沖で地震の強さを示します。

http://worldnews.nbcnews.com/_news/2012/09/05/13681490-three-dead-20-injured-as-major-earthquake-damages-costa-rica-coast?lite
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

広瀬隆さんの著作、「原子炉時限爆弾」では、環太平洋火山帯『リング・オブ・ファイヤ』が活動期に入り、地震リスクが高まっている点が、論拠の一つになっています。


事実、先週はフィリピン沖で発生した地震により日本国内に津波注意報が発令され、国内が一気に緊張しました。
そして今週は北米大陸と南米大陸を結ぶ、細長い中央アメリカのコスタリカで大地震が発生しました。
コスタリカももちろん日本と同じ『リング・オブ・ファイヤ』の真上にあり、地震の原因は東北太平洋沖地震と同じ、海底の地殻プレートの崩壊でした。

それにしても広瀬さんの著作は3.11の発生前に刊行されたものであり、まだまだ電力業界をはじめ日本の原子力ムラの監視の目が厳しかったはずであり、その中でよくこれだけの資料を精査され、わかりやすくまとめられたものだと、その労苦に敬意を表さざるを得ません。

中でも秀逸なのが、大陸移動のメカニズムを非常にわかりやすく解説されておられることです。
これにより私は、日本の原発が建設されている沿岸地区の地盤が、いかに脆いものであるか、そのことが自分たち自身への脅威として切実に感じることできました。


それに対し、ここに来て一部の日本の政治家が「原発は、いざという時に核兵器を作る際の重要な足掛かり」と、原発継続を裏で強力に運動しているのには、広瀬さんでなくてもその常識を疑います。
一度自ら政権を投げ出したはずの元首相をはじめ、この手の政治家は憲法を改定し(改正じゃありませんよ、『正す』訳ではないのですから)、日本の再軍備を正当化し、徴兵制を布いて、あわよくば核兵器の保有も実現させたい、そう考えているようです。
しかし現代において、先進国が核兵器の照準を相手に向けて外交交渉しなければならない、そのような緊張はどこにあるのでしょうか?

『世界の巨大地震の20%が集中する』日本にこれだけ原発が林立してしまっている、それだけでももう日本は危険大国であることを、私たちは学習しました。
その上今度は、アメリカでさえ安全な保管に音を上げ始めている核兵器を作って、この狭い国土に抱え込もうと言うのでしょうか?

彼らは3.11と言う地球のメカニズムが発した警告を無視し、自分たちの偏った考えを押し通そうとしている。

政治とは平衡の上に成立すべきものです。
そのため近代政治の歴史が最も古いイギリスでは、保守党も労働党も政治家の資質を問うことに極めて厳しいことを、一度ご紹介しました。
常識の上に常識を積み上げていくというその平衡感覚が、地震が多発する国土の上に原発を林立させ、核兵器も装備せよ、と言う主張にはあるのでしょうか?

1945年8月 広島


彼らは「経済成長勉強会」か何か、別の看板を掲げ、利に敏い人間を呼び込もうとしています。
しかし経済がこれだけグローバル化し、日本社会がこれだけ高齢化、少子化してしまっては、『経済成長』など容易に実現できるはずがないのです。

政治家

彼らが日本人を、いったいどこに連れて行こうとしているのか、そのことは厳しい上にも厳しく、問うていかなければなりません。

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