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インドの反原発デモ、参加者一名射殺される[米国NBC]

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ここでも、従来通りの平和な暮らしを続けたいという、力無き人々の願いが踏みにじられている

S.ムラリ / ロイター通信 / アメリカNBCニュース 9月10日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

インド・チェンナイ
インド南部で10日、国内最大規模の原子力発電所建設に反対するため、高速道路の封鎖を行っていたデモ隊に対して警官隊が発砲し、デモに参加していた漁師一名が死亡しました。
この発電所建設に対しては数カ月間反対運動が続いていますが、数週間のうちには稼働が開始される予定です。


デモ隊は警官隊の列に投石を繰り返し、鉄道線路の封鎖も行っていたと、警察関係者がロイター通信に語りました。
警官隊は空に向けて威嚇射撃を行いましたが、参加者一名が射殺されました。
また、デモ隊の一部は地元自治体の事務所に放火しました。

当初警官隊はタミル地方のクダンクラム原子力発電所付近の海岸にいた、数千人のデモ隊に対しては催涙ガスを使っていました。


女性と子供を中心にした約4,000人のデモ隊は付近の漁村からやってきて、原子力発電所から約1.5キロほどの海岸で、放射能汚染の脅威に対し抗議していました。
しかし警官隊が迫ってくると、数百人の人々は海の中に入ったり、漁船に乗って逃げようとしました。
海岸に残ったデモ隊は警官隊に対し石などを投げつけ、双方に負傷者が出ました。

クダンクラム原子力発電所は数週間のうちに稼働開始の予定ですが、2ギガワットの電力を供給する予定です。この電力は数百万戸の家庭の需要を満たし、電力不足が続いているタミル地方の状況を緩和することになるでしょう。
インド国内ではさらに原子力発電所の建設が予定されています。


先月インドの原子力規制当局はクダンクラム原子力発電所の2基の原子炉のうちの1基に燃料の装填を許可しました。これでいつでも発電を開始できる状態になりました。

インドでは増え続ける需要に電力の供給が追い付かず、ピーク時には12%の電力不足が発生し、経済に悪影響が出ていました。
この夏には送電網の問題から2日間連続で、世界最大規模の停電が発生してしまいました。
1988年に建設が始まったロシア製のクダンクラム原子力発電所は昨年操業を開始する予定でしたが、3月に巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、3基の原子炉がメルトダウンを引き起こし、大量の放射性物質が環境中に放出され、数万人が避難に追い込まれた日本の福島第一原発の事故を見た反対派の人々が施設の包囲を続けてきました。
反対派の人々はこの場所が2004年のインド洋の大津波に襲われていることから、福島と同様の事故が発生することを恐れているのです。


インドの内務大臣は、複数の外国のNGOグループが反対派の後押しをしているとして非難しました。
「我々は一部の国々のNGO団体が、この問題に干渉していることを懸念しています。国名を名指しすることはしませんが、内容はすでに把握済みです。」
インドのスシルクマール・シンデ内務大臣は記者団に対し、こう語りました。

今年始め発行されたサイエンス・マガジンに掲載されたインタビューの中で、マンモハン・シン首相も、反対派に対して資金提供を行っているとしてNGOを非難しました。


インドは、2032年までに30台の原子炉を建設し、63ギガワットの原子力発電を行う予定です。
しかしその割合は、国内電力需要の3%未満です。

インドが発電手段の開発の中心に据えているのは石炭による超臨界発電で、すでに国内需要の60%を占めています。
環境問題と誤った対応により、この分野においても進展が遅れ、経済の成長に悪影響を与えました。

インドの中央部にある石炭資源がある場所でも、ヒマラヤの水力発電開発でも、地元の種族の抵抗がありました。


(追補 : ニューデリーのアニー・バナージ、編集 : フランク・ジャック・ダニエル、ニック・マックフィー、ジェーン・メリマン)

食糧争奪戦争への懸念・もう始まってしまった食糧危機〈後編〉[米国CBS]

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【飢えによる凄惨な争い、それは避けられない未来】

マイケル・T・クレア / アメリカCBSニュース 8月8日


▽ 飢えとの戦い 2012 – 20??

今回の大不作が一回限りのもので、しかも一国内に留まるものならば、世界は安心して数々の困難がやがては克服され、来たるべき年に回復することを待てばよいことになります。
しかし残念ながら2012年の大干ばつは、隔絶された一つの大国の中だけの出来事ではありません。
状況的に悪化が続く地球温暖化がもたらす、回避不能な結果の一つなのです。
ならば結論は?
干ばつをもたらした夏場の高温状態は数年に渡り悪化を続け、より高温化し、より頻度高く発生し、アメリカ国内にとどまらず、世界のどこでも干ばつが発生し得る不測の時代がやって来ます。

今の今まで多くの科学者が、巨大なハリケーンや台風、あるいは干ばつの原因を地球温暖化に求めることを避けてきました。
しかし今となっては、いくつかの異常気象が地球温暖化の一端であることを、認めざるを得ないとする科学者が着実に増加しています。
たとえば2011年の異常気象についての研究結果の一つにおいて、アメリカ海洋大気局(NOAA)と英国の国立気象観測所の気象の専門家たちは、ともに2011年にテキサスで起きた干ばつのような維持世気象の原因は、明らかに人間が作り出したものであると結論を出しました。
アメリカ気象協会が発行した月報の中で、この研究は、1960年と比較して、テキサス州で熱波が発生する確率は20倍に上昇した、と報告しています。
そして2011年11月に英国で発生したような異常な高温状態に至っては、その発生割合は地球温暖化により62倍になってしまったのです。

2012年の大干ばつを見て、地球温暖化の影響について計算を行ってきた科学者たちは、その到来があまりに早く、またあまりに極端であることに驚きました。
しかし私たちは温暖化がもたらす影響が、思っていたよりずっと深刻であることを認めざるを得なくなりました。
そして将来起きることが、おおよそわかってきました。
でも対処するための猶予は、あるのでしょうか?

地球温暖化がもたらすものを、すべて列挙してみましょう。
主なものは気温の上昇、執拗に続く干ばつ、巨大化するハリケーンや台風、地獄の業火と化す山火事(野火)、そして海面上昇です。
他の条件にもよりますが、これらは社会の基盤となる設備に損害を与えると同時に、結果的に食糧の供給量を減少させることになります。
これはもちろん、気候変動が物理的に現した兆候であって、私たちが日常を快適に過ごしたり、生命を安全に保ちつつ暮らしている、人間社会に現れた社会現象ではありません。

気候変動による純粋に物理的な影響は、疑いなく破滅的なものになるでしょう。
そしてその中に社会現象が含まれることになります。
食糧暴動、大規模な飢餓、国家の崩壊、民族の大移動、そしてあらゆる種類の地域紛争、場合によっては全面戦争へと発展する可能性があり、その先にあるのは一層の荒廃と人間の大量死です。

スザンヌ・コリンズの著作『ハンガー・ゲーム(飢えているが故の闘争)』は大ヒット作となり数百万の読者をくぎ付けにし、映画化もされることになりました。
筋書きはまさに『黙示録』を暗示させる世界です。
荒廃が進んだ未来の北アメリカに誕生した国家『パネム』では、かつて体制に従わなかったとの烙印を押された地区から、テレビ放送される剣闘士の試合に、毎年二人ずつ10代の少年を送り出すことを強制されています。
この試合では最後の勝者たった一人だけが生き残ることが許され、他はすべて殺されてしまいます。
彼女は小説の中で未来をユートピアとは程遠い、何もかもが不足する社会として描きました。
この『ハンガー・ゲーム』に最終的に勝利すれば、勝者を送り出した地区は名誉を回復され、以後優遇されることになります。
コリンズは地球温暖化に特に言及することはしませんでしたが、将来のいつの時代か、気候変動により北アメリカが飢える大陸になってしまったことを明らかにします。
話が展開する中、代表となる剣闘士を選び出す場面で、『パネム』の主だった12の地区の首長がこう語ります。
「打ち続く災害、すなわち繰り返し襲った干ばつ、嵐、山火事、海面上昇が国土の大半を襲い、わずかに残された豊かな土地を巡り、凄惨な戦いが行われた。」


暴力が日常化してしまうような未来は作り物であるとしても、こうした世界を描き出したコリンズには先見の明があります。
彼女が『ハンガー・ゲーム』の中で描いたような未来がそのまま訪れることは無くとも、そのいくつかが現実になるのは疑いの無いことです。
そう、『飢えているが故の闘争』は、私たちの未来社会に蔓延することになります。
この闘争の中には2008年にハイチの政権を崩壊に追い込んだような、暴動が各地で一斉に発生したり、連鎖的に続いていく状況も含まれます。
『アラブの春』が進展していくにつれ、エジプトのカイロ市内の一部は抗議する市民と治安部隊の激しい闘争の場と化しました。スーダンにおける耕作地と水源を巡る民族紛争は、ダルフールでの大規模な虐殺と村落の破壊につながりました。
インドのナクサラトでは土地を持たない零細農民が、毛沢東主義者の指導の下、大地主の農地を力ずくで奪い取り、警官隊と衝突した後、武装闘争を開始しました。

こうした紛争と、これから起きることを併せて考えてみてください。
執拗に続く干ばつは大規模な飢餓を生み、何百万という飢えた農民は土地を捨て、不潔極まりない大都市のスラムへと流入し、その結果都市をぐるりと取り囲むようにしてスラム街が巨大化していきます。
もとからスラムで暮らしていた住人の中に不満が鬱積し、一触即発の危機的状況が生まれます。

それがどんな悲惨な結果を生むか、2008年南アフリカのヨハネスバーグのスラム街で現実になりました。
マラウイとジンバブエから流れ込んできた極めて傷しい、慢性的に飢えた難民が、元からスラムで暮らしていた南アフリカの貧困層に襲われました。暴行を受け、中には焼き殺された人々もいたのです。
警察署の中で、暴徒の襲撃から逃れた一人のジンバブエ人女性が、故国を捨てた理由について震えながらこう語りました。
「職も無ければ、食べるものも無かったのです。」

付け足さなければならないことがあります。
これからの数十年間、さらに数百万人の人々が干ばつや洪水、海面上昇による災害に追い立てられ、今いる場所から逃げ出そうとするでしょう。
そして逃げ込んだ先で、深刻な敵意を煽ることになります。
私たちの未来にある『飢えているが故の闘争』、それを逃れるためにできることなどほとんど無い、それが現実なのです。

そして現時点では、未だに(アメリカで)進行中の大干ばつが何をもたらすのか?そのことが差し迫った問題です。
死にかけている大量の作物、激減する収穫量、そして高騰する食料品価格。
しかしその社会的・政治的影響ががはっきりと見えてくるのは、ここアメリカでも世界的にも今年の暮れから2013年にかけてになるはずです。
その時まで、注意深く事態の推移を観察する必要があります。
この時目にすることは、どんな学問・研究よりも、将来必ず訪れる『飢えているが故の闘争』を極力避けるためのヒントを与えてくれるはずです。
気温が上昇し、干ばつが延々と続き、毎年のように食料品が不足し、何億人もが飢えて自暴自棄になる、そんな未来を避けるための。

▽ 執筆者について
マイケル・クレアはハンプシャー・カレッジの教授で、専門は世界平和と世界の安全保障です。
作家でもあり、最新の著作は『生き残るためのレース』(メトロポリタン出版)です。
彼の著作を基に作られた映画『血と燃料』は www.bloodandoilmovie.com. で入手可能です。
ここに示された見解は、飽くまで彼個人のものです。


http://www.cbsnews.com/8301-215_162-57489345/the-hunger-wars-in-our-future/?tag=contentMain;contentBody

食糧争奪戦争への懸念・もう始まってしまった食糧危機〈前篇〉[米国CBS]

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【飢えによる凄惨な争い、それは避けられない未来】

マイケル・T・クレア / アメリカCBSニュース 2012年8月8日


2012年、今年襲った大干ばつは結末を迎えたわけではありません。
しかし、結果が非常に深刻なものになるだろうという事は解っています。
アメリカ国内の郡の実に半分以上が干ばつ被害地区に指定され、トウモロコシ、大豆、その他の作物の収穫量は、年度初めの予想をはるかに下回ることになります。
この結果として、国内でも国外でも食料品価格は上昇することになり、国内の農家にとっての打撃が加速されるうえ、アメリカ国内の収入の低い人々、そしてアメリカからの穀物輸出に頼っている世界の貧困層の人々にとって、容易ならざる事態が訪れようとしています。
しかしこれはまだ、予想される結果の始まりにすぎません。
歴史に学ぶなら、このような食糧危機はやがて広い地域での社会不安につながり、各地で暴動などを引き起こすことになります。

食物、人間が生きていく上で手にすべき食物は、命をつなぎ身体を成り立たせる上で不可欠のものです。
それを奪われてしまっては、人々は不安になり、自暴自棄になり、そして怒り出して当然です。

アメリカ国内においては、人々の家計費の中の食糧品に対する支出割合は13%で、比較的割合が小さく、2013年に食料品価格が高騰しても、中間層から高額所得者にかけての人々にとってさほどの影響は無いと思われます。
これに対し失業者や貧困層など限られた収入しか無い人々に対しては、見過ごせない影響を与えることになるでしょう。
「この問題は家計に対し、深刻な打撃を与えることになるでしょう。」
クレイトン大学の農業経済学者で、オバマ政権の顧問を務めるアーニー・グロス教授がこう語りました。
すでに失業率が高く、人々の間に不満が蓄積している地域では、一層不穏な動きにつながる可能性があり、現職の政治家に対する反発が高まり、人々の不満や不安が別の形で表面化する可能性もあります。

しかし今回の干ばつにより、さらに悲惨な影響を受けるのは国際社会の方です。
なぜなら数多くの国々が、国民に食料を生き渡させるためにはアメリカからの穀物輸入に頼らざるを得ない上、世界各地で干ばつや洪水の被害により穀物生産量が減少しており、今回の穀物不足と価格高騰は、地球的規模で発生することになるからです。

「現在アメリカで起きていることが、想像を超える影響を世界中に与えています。」
こう語るのは食糧問題の専門家である、シカゴ国際問題研究所のロバート・トンプソン氏です。
今回の干ばつの被害が最もひどいトウモロコシと大豆が、国際穀物取引市場から姿を消し、小麦も含めて穀物価格が上昇傾向をたどっています。このため、ただでさえ生きていくための十分な食料を手にできない人々が、これから先深刻な事態と向き合わなければならない状況へと追いつめられています。

             

▽ 飢えとの戦い 2007 - 2011

             

これから起きることを言い当てることは簡単ではありませんが、最近起きたことを考えれば、先行きは明るいものではありません。

2007年から2008年にかけ、米、トウモロコシ、そして小麦が倍、あるいはそれ以上急激に値上がりし、それが特にパンの価格に跳ね返った時、世界24か国以上で食糧暴動が発生しました。バングラデシュ、カメルーン、エジプト、ハイチ、インドネシア、セネガル、イエメンなどです。
ハイチでは暴動が過激化する一方、議会での投票によって問題の処理に失敗した首相のジャック・エドゥアール・アレクシスが退任に追い込まれるほど、国家に対する信用は低下しました。
他の国々では暴徒と軍隊、警察との衝突が繰り返され、多数の死者を生みました。

             

             

2007年から2008年にかけて穀物価格が上昇した原因は、主に燃料価格の上昇によるものでしたが、食料品価格は燃料の値上がり分以上に高騰したのです。
(燃料は一連の農作業の中の種まきから収穫まで、すべての段階で利用されています。さらには灌漑設備の稼働、農薬の製造、そして収穫された穀物の輸送からまで、燃料を必要とします。
これにバイオ燃料製造のため、食料品生産から燃料の原料植物の生産に、世界中の耕地が転用されてしまっていたことが追い打ちをかけました。

                

しかしその次の2010年から2011年にかけての食糧危機は、気候変動と密接にかかわったものでした。
2010年夏、ロシア東部のほとんどの場所が大干ばつに見舞われ、穀倉地帯の小麦生産量は5分の1に減少するという大打撃を受け、ロシア政府は穀物輸出の禁止措置を採りました。
同時期に中国も干ばつに見舞われる一方、オーストラリアでは洪水により大量の小麦畑が被害を受けていました。
異常気象によるその他の災害も加わり、この時小麦価格は5割も上昇し、主要食料品の価格が32%急騰することとなりました。

              

この食糧危機もまた、社会不安を引き起こしましたが、特徴的だったのは北アフリカと中東に動乱が集中したことでした。
まずアルジェリアで主要生活財の価格高騰が引き金となって抗議行動が発生し、それがすぐチュニジアに飛び火しました。
チュニジアでの事の起こりは、失業中だった若い男性モハメド・ブアジジが街頭で食品販売を行っていたところ、販売許可を持っていないとする警察の取り締まりによって商品をすべて没収されたことに抗議し、焼身自殺を図ったことでした。
高騰する食品価格と燃料価格に対するいらだち、これに長年続いている政府の強権体制と腐敗に対する怒りが加わって国民の怒りが爆発、『アラブの春』の到来となったのです。

          

主要な生活物資、特に主食となるパンの価格高騰はエジプト、スーダン、ヨルダンの社会情勢を不穏なものにしました。
その他の要因、長期独裁政権に対する民衆の怒りは、これらの国々では特に目立ちました。

『カオスの行き着くところ』の著者であるクリスチャン・パレンティの一文を引用しましよう。
「ある意味で、今回の動乱の始まりは、ひとかたまりのパンの価格だったのだ。」

現在起きている干ばつについては、各国の分析機関などはトウモロコシを主食とするアフリカの政情不安、そして民衆の間に不満が蓄積し続けている中国について警告を発しています。中国はすでに大量の季節労働者と零細農民の中に不満が渦巻いている中で、今度は食料品の価格が高騰することになります。
アメリカ合衆国と中国と言う2大消費地における食品価格高騰は、他の物資に対する消費支出を減少させる可能性があり、そうなれば世界の経済情勢の回復が遠のくばかりか、貧困地区が拡大する恐れもあり、その影響の広がりは予断を許しません。

              

〈つづく〉

http://www.cbsnews.com/8301-215_162-57489345/the-hunger-wars-in-our-future/?tag=cbsnewsSectionContent.13

            

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もう察しの良い方ならお分かりだと思いますが、この稿をご紹介して私が言いたいのは、世界の危機意識と日本の政治の危機意識のあまりに大きなずれについててです。
世界はグレート・リセッション(世界的経済危機)と気候変動による食糧危機から、どうやって自国と国民を守るか、必死に出口を探している。
名うての食糧輸入国である日本は、そこに原発事故による環境破壊が加わり、先行きは極めて不安定な状況にあるのに、日本の政治が危機感を持っているは、自らの「立場」についてなのではないでしょうか?

3.11の直後もそうでした。
日本の政治の欠陥による機能不全を、すべて菅前首相一人のせいにして、まずは自分たちの立場を守ろうとしていました。

世界経済のグローバル化が進む中、高齢化が進み、そこに人口減少が追い打ちをかける日本において、『経済成長』などは夢のまた夢なのです。
経済に関してはソフト・ランディング、つまりは経済的充足はそこそこに、人間として別の「幸福」「充足」を求めて、健全な社会を作ることこそ目標とすべきはずでしょう。
なのに、「経済成長勉強会」などと銘打って、自分たちに権力を預ければ、再び日本を中国並みの経済成長路線に乗せられるかのように思わせるなど、政治家としての誠意の無さが透けて見えます。

中国がこれほど尖閣問題を煽り立てるのも、【2013年・食糧危機は必ずやって来る】〈 http://kobajun.biz/?p=4481 〉でご紹介したように、食糧問題が直ちに政情不安につながる危険性が、世界の中でもっとも高いと見られているからだと思われます。
日常の中に不満が鬱積し、はけ口を求めている中、
「反日なら許す」
と言われて、不満の矛先を国内問題に向けないように「操作」されている人々が、騒いでいるとしか思えません。

日清戦争以来の尖閣諸島の帰属問題についてきちんと考証した人が、その解決のためだとして、街に出て行って日本人観光客に嫌がらせをしたり、日系企業の看板を壊したりするでしょうか?

話がまとまりませんが、日本の人々に原子力危機の上に、食糧危機の追い討ちがかからないよう、そのための政治の「立て直し」に真剣に取り組んでいただきたいものです。

『有機農法』作物は本当に体に良いのか?[米国NBC]& 生きていく上での『前提』を破壊した、原子力発電所の事故

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『有機農法』作物は本当に体に良いのか?

アメリカNBCニュース 9月4日

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ブライアン・ウィリアムズ :
健康にかかわる話題は、いくつもの示唆に富んでいます。今回は有機農法の食品に関する話題です。
有機農法によって作られた食品を購入する人々は概ね比較的高い代金を支払うことになりますが、その動機は?と言えば、その方が健康に良い、と考えているからでしょう。
でも、それは正しいのでしょうか?
ナンシー・スナイダーマン博士にリポートしてもらいましょう。

ナンシー・スナイダーマン医学博士 :
アメリカ全土のスーパーマーケットで、西海岸から東海岸まで、有機野菜などの有機食品を購入するアメリカ人が増え続けています。
1997年、有機食品の売り上げは36億ドルでした。
それが2010年には260億ドルにまで増加しました。
理由は何でしょうか?

女性消費者「食卓に並べるなら、健康に良いものを、と思うでしょう?だったら、農場から直接家に届くのが、一番良い方法だと思うわ。」
男性消費者「健康に良いかどうかはわからないけど…。でも食事がこれまでとは違ったものになると思うよ。」

スナイダーマン博士 : 確かにこれまでとは違っています。しかし、スタンフォード大学の最新の研究は、有機農法によって栽培された作物と従来の農法によって作られた作物との間に、栄養価の上での違いは無い、と結論づけました。

スタンフォード大学医学部クリスタル・スミス・スパングラー博士
「私たちの研究において、有機農法による作物の方が栄養価が高い、とする決定的な証拠を見つけることはできませんでした。確認できたのは、残留農薬による危険性の違いだけでした。」


スナイダーマン博士 : 公表された研究結果によれば、有機農法による作物は、残留農薬の量が、一般の作物と比較し、30%程度低いことが確認されました。そしてオーガニック飼育による鶏肉と豚肉に含まれる残留抗生物質の量は、60%程度低いことが確認されました。
こうした残留農薬や残留抗生物質などが、長期的に人間の健康にどのような影響を与えるのか明らかになるまでには、まだ数年の月日がかかりそうです。
しかし、有機農法による食品を選択すべきか否か、という問題については、できるだけ早い結論が求められるでしょう。

タフト大学栄養学ミリアム・E・ネルソン
「大切なことは、購入する食品の産地がどこであり、どのような栽培方法が採られているかを知ることだと思います。そうすることによって、ふさわしい値段がつけられているか、産地の環境はどうなっているのか、判断ができるはずです。」

スナイダーマン博士 : 消費動向調査によれば、有機食品などに関する消費トレンドを作り出している中心は、30代以下の人々のようです。

ジェフリーズ&カンパニー、スコット・マシュキン
「何を食べるかという時の判断基準になるのは、より不純物が少ない、有機栽培による、という点のようです。」

スナイダーマン博士 : 有機栽培農家や牧場主は、彼らの生産するものの方が栄養価が高いとは、表だって主張していませんが、聞き取り調査によれば、半数以上は有機食品の方が栄養価が高い、と考えています。
では、何が最良の選択なのでしょうか?
栄養面を考えるなら、地元のものを消費することです。
産地と消費地が近ければ近い程、食品の栄養価は高くなります。

ブライアン・ウィリアムズ :人々もいろいろ考えなければなりませんね。

http://www.msnbc.msn.com/id/3032619/ns/NBCNightlyNews/#48902655
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生きていく上での『前提』を破壊した、原子力発電所の事故


このNBCの記事を読んでいて考え込んでしまいました。
記事の内容そのものは、有機農法については、残留農薬、残留抗生物質が少ない、と言うのがその商品特性であり、栄養価が高い・低いは別問題である、というだけのもののようです。
結論は『地産地消』の薦めでした。

大量の野菜・海草などを原料とするある健康食品メーカーの工場見学に行った際、
「露地物の季節季節の野菜は、その季節に人間の体が必要とする『解毒作用』を持っている。だから旬の野菜を口にすることは、とても体に良い。」
と教えていただいたことがあります。

しかし…
福島第一原発から100キロ離れていない場所で暮らす私も含め、福島県とその隣県、宮城、栃木、茨城などの人々は、地産地消や露地もの野菜などという言葉について、これまでとは全く違う反応をせざるを得なくなってしまいました。
「大丈夫なのだろうか?」

たとえば福島第一原発の事故以前、大規模環境汚染については、アメリカ大陸・メキシコ湾のBP社による海底油田からの原油漏れ事故がありました。
しかし、この汚染ははっきりと目で確認することができます、臭いもあります。
従ってこの類の事故で、汚染された食品が市場に出回り、口に入ることはまず無いはずです。


ところが原子力発電所事故が引き起こす放射性物質による汚染には、色も臭いもありません。
大気中の放射性物質の量を図るのと違い、食品中の放射性物質の量を計測するには、高価な機械と時間が必要です。
だからこそ的確・正確な情報提供が大切なのですが、福島第一原発の事故の場合、日本政府が先頭に立って大切なものをずたずたにしてしまいました。

以降福島第一原発事故の影響を受けた地区では、生産者には信用してもらえない、というフラストレーションがつきまとい、私たち消費者には信用しても大丈夫なのか、というフラストレーションがつきまとうことになりました。
野菜を買うにしても、栄養価がどうのこうの以前に、『大丈夫なのか』という事の方が、判断基準として優先されることになりました。

つまりは生活していく上での、判断基準、価値基準を変えられてしまった訳です。

事故が起きればその影響がどこまで及ぶかわからない、そんな物を当たり前のように使ってきた報いが来た、そう考えざるを得ません。

そして今、原子力発電所が排出する放射性廃棄物を処分するための場所が、日本国内で見つけられない事態になっていることが明らかになってきました。
『毒性が無くなるまで』何万年も、何百万年もかかる高レベル放射性廃棄物を、目と鼻の先に埋められて、平気な人間がいるでしょうか?

中国の入関検査所で放射性物質検査の書類のチェックを受ける日本の輸出食品


当たり前に考えればやってはいけない、それを粉飾するため多数の御用学者が動員され、『担当の国家機関』がいくつも作られた。
そしてやっぱり駄目だったことがわかっても、今度はこの御用学者と作られた機関の職員たちが自分たちの首がかかっているとばかりに、
「何を言ってるんだ、大丈夫だ」と騒ぎ出す。
今週初め、経産省が「今後、原子力技術をどう残すか決まらない限り、原子力発電はやめられない」
と表明したのも、実はこれらの人々の身の振り方を決めない限り、いきなり職を奪うようなことはできない、という事なのだと思います。

しかし原子力発電を止めても、廃炉、そして貯まりに貯まって原子力発電所の施設から外に運び出せなくなっている、高レベル放射性廃棄物の処理の道筋を立てるため、原子力技術は必要です。
原爆の投下と原子力発電所の建設により、放射能の恐怖に支配されてしまったこの日本を、恐怖から解放するために、今後原子力技術を活用してもらいたい、そう考えます。

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【90年ぶりに発見!行方不明のルノアールの真作、購入価格は560円!】

アメリカCBSニュース 9月13日


メリーランド州の女性が、アンティーク・コレクターなら誰もが願う夢をかなえました。
彼女はウェスト・ヴァージニアのフリーマーケットで、箱に押し込まれたルノアールの真作に出くわし、夢を手に入れたのでした。
電話での取材に対し、彼女は匿名を条件にCBS系列会社WJZ-テレビにこう答えました。
「私が支払った金額はたったの7ドル(560円)よ。」
この絵は1879年にフランスの印象派の代表的画家であるルノワールが描いた連作の中の1点で、1920年以来その行方が分からなくなっていました。
現在の価値は最低でも600万円です。

「私の目にとまったのは実は額の方だったのです。素敵な額ね、7ドルなら買ってもいいわよ、というわけで、いろいろなものが詰まった箱を7ドルで買ったのです。」
このメリーランドの女性は額から絵を取り外したとき、自分が手にしている物の本当の価値に気がつきました。
彼女の母親が絵の隅っこにルノワールのサインを見つけ、続いてフランスにある美術館の所蔵ラベルと所蔵番号に気がついたのです。

女性は昨年の8月後半、この絵をポトマック・カンパニー・オークションハウスに持ち込み、鑑定を依頼しました。
鑑定の結果、この絵はピエール・オーギュスト・ルノワールの真作に間違いが無く、フランス語で『セーヌ川が湾曲している場所の風景』という意味の題名がついていることもわかったのです。
この絵の価値は最低でも600万円から800万円という事でしたが、この絵が再び世に現れた、その意義の方がはるかに大きいと、専門家は語っています。


ポトマック・カンパニーは、この絵が最後に確認されたのは1926年、以来行方不明になっていたため、今や世界中から問い合わせが相次いでいると語りました。
ポトマック・カンパニーのオーナー、エリザベス・ウェインスタインさんがこう語りました。
「干し草の山から銀の針が見つかったようなものです。このような作品かそんな場所にあったなんて、長い間専門家がその行方を探し求めていた作品なのですから。」

いったいどのような経緯をたどり、この絵はフリーマーケットに出品されたのでしょうか?
それはまだわかっていません。
しかしメリーランドの女性は、こんな幸運が訪れたのは生まれて初めてだと語っています。
「買って手にするまでは箱の中身は解らない、私はその生きた見本てとこね。誰かさんののごみ箱が、わたしにとっては宝箱だったわけ。」

この絵は9月29日に競売にかけられることになっています。
メリーランドの女性はお金の使い道について、こう語りました。
「パリに旅行に行くわ!」

http://www.cbsnews.com/8301-201_162-57511508/md-womans-$7-flea-market-find-actually-lost-renoir/?tag=cbsnewsSectionContent.11

地球には有り余る程の風力発電能力、新たな研究結果で[米国CBS]

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アメリカCBSニュース 9月10日


新たに発表された二つの研究結果により、少なくとも技術的には、地球には全世界の電力需要を賄って余りある風力発電資源が存在することが明らかになりました。

このうちのひとつはカーネギー科学研究所によって率いられ、著作[自然の気候変動]の中、地球の風力発電能力について述べた章で明らかにされました。
この章の最初の行にすべてが語られています。
「21世を通し世界経済が成長を続けたとしても、地球上には全世界が必要とする電力を、十分に賄えるだけの風力発電能力がある。そして風力発電は、二酸化炭素排出ゼロの発電手段として最初に選択すべきものである。」
いずれの研究も、風力発電の物理的能力だけを見ています。

この地球上には本当に風力発電だけで、全電力を賄えるくらいの風は吹いているのでしょうか?
繰り返しますが、それは本当です。

しかしいずれの研究は物理的側面についてのみ語ったものであり、財政面に関する考察はありません。別の専門家は、それだけの風力発電設備と全消費地に電力を送るための送電網を整備するためには、莫大なコストがかかる、と指摘しています。
この点について、カーネギー科学財団の研究はこう述べています。
「風力発電の限界は、物理的条件によってではなく、経済的理由、環境条件によってもたらされるであろう。」

アメリカにおける異なる2つのチームによる研究結果は、それぞれ3日月曜日、4日火曜日、別の科学雑誌で発表されました。
いずれの研究結果においても、現在の風力発電技術を使っても、数百兆ワットの発電を可能にする風が地球には吹いていることが明らかにされています。
その発電能力は現在の全世界の消費電力の10倍以上になります。

http://www.cbsnews.com/8301-205_162-57509848/studies-find-earth-has-enough-wind-to-power-the-world/?tag=cbsnewsSectionContent.10
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【 25,800ベクレル・記録的値の汚染魚、福島第一原発近くで 】

アメリカCNNニュース 8月21日


日本政府が定めた安全基準の258倍の放射能に汚染された魚が、福島第一原発近くの海で捕獲されたと、8月21日火曜日、共同通信が伝えました。

東京電力は8月1日、福島第一原発から20km以内の海域で捕獲した2匹のアイナメから1キログラム当たり25,800ベクレルという高濃度のセシウムを検出しました。3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こして以来、東京電力はこれまで数千匹の魚を捕獲し、放射線量を測定してきました。

日本政府は放射線量が1キログラム当たり100ベクレルを超える魚について、消費に適さないとしています。
ベクレルは放射線量の毒性の強さを表す単位です。

東京電力は7月中旬から8月初旬にかけて福島県沖合で行われた調査により、この他にも基準値を超えるセシウムが数種類の魚類と甲殻類から検出されたことを発表したと、NHKが伝えました。

大量の放射性物質を環境中に放出し、数万人の人々に避難を余儀なくさせた福島第一原発の事故から、17カ月過ぎてから今回の調査結果が明らかになったことになります。
福島第一原発の事故は1986年ウクライナで発生したチェルノブイリ原発事故以降、最悪の原子力発電所事故です。

今回の報告は科学者が福島県内で、蝶類の突然変異を確認した後にもたらされました。
事故後数か月たった福島県内で、蝶類には脚部、触覚や腹部の奇形、目がへこむなどの異常が認められました。

福島第一原発の事故後、これまで確認されていた魚類の最大の汚染量は、川を遡上したサケの18,700ベクレルで、これは今年3月18日に福島県内陸部の飯舘村で捕獲されました。この調査は水産庁が地元自治体の協力を得て、独自に行ったものです。


日本政府は福島第一原発の事故以降、付近一帯での漁獲を制限しています。
しかし福島第一原発から50キロ圏外の海域で今年5月、試験的に捕獲された2種類のタコと1種類の甲殻類からは、基準を超える放射性物質は検出されなかったと、NHKが伝えました。
水産庁によれば、これ以外にも数千種に上る魚介類のほとんどで、セシウムの量は政府の制限値内に留まっています。
東京電力は8月9月にも、アイナメに関する調査を継続し、アイナメがエサにしている小魚、甲殻類や多毛類、そして同海域内の海底の泥などに関する調査も行うとしています。

Record radiation found in fish near Fukushima plant

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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