社内調査により福島第一原発への巨大津波の襲来を予測していた東京電力、報告を無視した3役員
東京電力の安全意識の欠如と原子力行政の管理監督業務の怠慢により、悲惨な境遇に落とされた原発難民の人々
信じられない程多くの人々が人生の基盤を破壊され、苦しい生活を続けてきた
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2017年6月30日

6月29日木曜日、3基の原子炉がメルトダウンした6年前の福島第一原子力発電所の事故に関わる唯一の刑事裁判で業務上過失致死傷の罪を問われている東京電力の3人の前役員は、無罪を主張しました。
30日金曜日に開かれた東京地方裁判所の裁判の第1回の審理では、当時の勝俣恒久社長と2人の役員は、予備の冷却装置の電源を喪失させ、結果的に3基の原子炉のメルトダウンを引き起こすことになった巨大な津波について、それ程の規模の津波の襲来を予見することは不可能だったと語りました。
「重大な事故を引き起こし、周辺地域の皆様、広く社会に大変なご迷惑をおかけしたことを改めてお詫び申し上げます。」
勝俣前社長はこう謝罪し、わずかに頭を下げました。
検察側は証拠となる資料を提示しながら、勝俣元社長(77歳)、同社元副社長の武黒一郎被告(71歳)と武藤栄被告(67歳)の3人が原発の敷地の高さである10メートルを超える巨大津波に襲われて建屋が浸水し、原子炉を冷やす電源が失われてしまう事態とその他の深刻な状況に陥ることを予見できたにもかかわらず、それを回避するための対策の実施を怠ったと主張しました。
日本政府が組織した委員会の調査によれば、2008年東京電力は福島第一原子力発電所に対する津波の被害を想定するシュミレーションを行い、マグニチュード8.3の地震が福島県沖で発生した場合には最大15.7メートルの津波が同発電所を襲う可能性があると結論を出しました。
しかし当時の東京電力の経営陣はこの内部報告を無視したと伝えられています。

3人の元役員は事故の影響による業務上過失致死傷罪で強制起訴されていますが、3人とも事故を機に退職しています。
この裁判では数十兆円をかけた福島第一原発の事故収束・廃炉作業を強いられている東京電力が被告ではありません。
3人の役員が有罪となった場合は最高で5年間の懲役、あるいは100万円の罰金を科されることになります。
福島第一原発の事故では放出された放射性物質による死亡は1件も確認されていませんが、検察側は福島第一原発の近くの病院の高齢の患者ら44人に長時間の避難を強いて死亡させた責任があると主張しました。
福島第一原子力発電所は2011年3月11日に襲ったマグニチュード9.0の巨大地震によって引き起こされた巨大津波に襲われ、3基の原子炉がメルトダウンする事故を引き起こしました。
この津波によって日本の東北地方沿岸の約19,000人が死亡、福島第一原発周辺で暮らしていた150,000人以上が放射線による被害を免れるため避難を強いられることになりました。
こうして避難した人々の何割かは、かつて暮していた場所の放射能汚染はまだ深刻であり、かつての住民が戻って暮らすことは危険に過ぎると考えています。

「東京電力はいかなる安全対策も取らずに原子力発電所の運転を続けました。」
検察側の弁護士はこう指摘しました。
「もし東京電力が必要とされていた対策さえとっていれば、このような悲惨な事故は決して起きなかったでしょう。」
福島第一原発の事故の2年前に巨大津波襲来の危険性を指摘されていたにもかかわらず武藤元副社長も他の被告も必要な対策を採ることを怠ったとする検察側の主張に反論し、武藤元副社長は反論しました。
「当時の状況を思い出してみましたが、このような事故が発生することを予見することは不可能でした。したがって私はこの事故のすべてについて刑事責任は無いと確信しています。」
福島第一原発の事故に対する国会事故調査委員会を始めとする各種の調査は、東京電力の安全意識の欠如と日本の原子力行政の管理監督業務の怠慢を厳しく批判しましたが、検察庁は2度にわたり3人の役員を不起訴処分としました。
しかし、市民からなる検察審査会の議決を受け、勝俣元会長ら3人が16年2月に強制起訴されました。

法廷の外で原告団のリーダーで福島県民の武藤るい子さんがこう語りました。
「事故発生以来、事故を起こした責任が誰にあるのか、なぜ事故は起きたのか、すべてが明確にされずに今日に至ってしまいました。
そして多くの人々が人生の基盤を破壊され、苦しい生活を続けてきました。
どれだけ多くの人々が悲しみに打ちひしがれているか、そして怒りに震えているか、東京電力の3人の元役員にはその事をきちんと理解してもらいたいと考えています。」
https://www.theguardian.com/environment/2017/jun/30/fukushima-nuclear-crisis-tepco-criminal-trial-japan#img-1
日本の政界における大きな地殻変動の鳴動が始まる
驚くべき政治変動が起きる可能性がある、その点だけは日本は英国、フランス、米国と異らない
ドイチェ・ヴェレ 2017年7月2日

政権与党とたもとを分かち、独自路線を進むことにした東京都知事は、彼女自身の政治改革グループを組織し、これまでこの国を牛耳ってきた既成エリートたちに対する挑戦を開始しました。
今回の東京都議選の結果は、今後の日本の政局に対する国民の気持ちを代弁するものかもしれません。
東京都の有権者は7月2日、東京都議会議員選挙のための投票を行いましたが、その結果は安倍晋三氏が率いる政権に難題をもたらす可能性が出てきました。
各種世論調査は、安部首相の周辺でスキャンダルと失言が相次いだことを受け、選挙では小池百合子東京都知事が率いる都民ファーストの会が圧勝し、政権与党である自民党候補者は圧倒的に不利であると予測していました。
安倍首相は発足以来高い支持率に支えられ安定した政権運営を続けてきましたが、ここに来て情実が絡んだ便宜供与のスキャンダルが次々と明らかになったことにより支持率が低下、その対応に苦慮しています。

東京都議選の結果はしばしば現在の国政に対する国民の感情を代弁してきましたが、今回の選挙結果を見て、小池氏が首相就任を視野に国政に復帰するという見方もあります。
小池氏はこれまで既得権勢力に支配されてきた東京都議会にあって、2020年開催の東京オリンピックの開催費用の思い切った削減策など、小池氏自身の政策を明確にすることによって、既成勢力に果敢立ち向かう政治という役割を演じてきました。
おかげで小池東京都知事は60%という高い支持率を誇示してきました。
小池氏の前身は自民党所属の国会議員で員で、防衛大臣を含む重要な閣僚ポスト、党内ポストを歴任してきました。
小池氏は昨年事前の根回しも何もなく東京都知事選挙に立候補し、重職にある自民党議員を怒らせましたが、自ら申し出た離党届が正式に受理されたのは6月も末になってからのことでした。
今回の大勝を受け、再び国政の場に戻って首相の座を窺うのではないかとの観測も飛び交っていますが、実現するとすれば2020年の東京オリンピックの開催後になるだろうとの見方が有力です。

今回の選挙では最大野党の民進党の目論見も外れましたが、それ以上に国政の場における自民党と連立与党の公明党の間に溝を作った可能性があります。
今回の都議選における惨憺たる結果により、安倍氏が2018年9月の党首選以降も首相を務め、長い間の宿願であった平和憲法、日本国憲法を書き換えるという道筋を狂わせる可能性が出てきました。
それと同時に、自民党内の別の首相候補者にも改めて立候補の決意を固めさせた可能性があります。
「小池氏の勢力の大勝により、日本の政界における大きな地殻変動の鳴動が始まる可能性があります。」
コロンビア大学のジェリー・カーティス名誉教授は、ロイター通信の取材に対し、こう語りました。
「驚くべき政治変動が起きる可能性を秘めているという点で、日本は英国、フランス、あるいは米国とそれ程異なってはいないという現実に、私たちが遭遇する可能性は充分にあります。」
http://www.dw.com/en/tokyo-votes-in-election-that-could-spell-trouble-for-abe/a-39509417
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今、世界の中で信念を持つ数少ない良識派の政治家として多くの人々に期待を寄せられているドイツのメルケル首相の言動を見ていると、高い論理性があることに気づかされます。私は高い論理性はそのまま倫理性の高さに通じると考えています。
物理学のPh.Dである面目躍如といったところでしょう。
これに対するに日本の首相の論理性の低さについては、論を待つほどのこともありません。
政権全体にも倫理性など求めようも無いありさま。
その意味では、今回大勝した東京都知事にもメルケル首相のような高い論理性は感じません。
都知事以前の言動を見れば、仮にここに報道されているように日本の現在の首相に取って代わっても、平和憲法を護り、真剣に国民の福祉を考えてくれるかどうか心もとありません。
要は今より日本の政治が良くなるという保証はないのです。
英国も保守党も労働党も議員には高い倫理性が求められ、たとえば現在の日本の防衛大臣のクオリティでは地方の党支部の段階でアウトでしょう。
これに対しテレビに出ていた『有名人』なら国会議員になれる、その日本の政治風土は問題です。
メルケル首相はキリスト教民主同盟、すなわち保守系の政治家であり、私自身はドイツであれば社会民主党の方針の方に共感してきました。
しかしメルケル首相の論理性と倫理性の高さに基づく数々の政策には、心から賛同できるものが少なくありません。
日本の政治の舞台で地殻変動が起きつつあるのであれば、私たち自身が今度こそ政治家に対し論理性と倫理性の高さを強く求めていくべきではないでしょうか。
児童養護施設が抱えるさまざまな問題について、内情を見ればそう簡単に答えを出せるものではない
現在の児童養護施設の多くは人間が普通に暮らせる場所ではなく、誰かが数日以上滞在すべき場所でもない
チャン-ラン・キム / ロイター 2017年6月22日

▽普通の生活空間ではない…
中には数カ月間一時避難施設に留め置かれる子どもたちもいますが、多くは両親のもとに戻ることが認められたり、他の児童養護施設に移動させられるまでの平均滞在日数は約30日間です。
ロイター通信は、東京周辺の33ヵ所の児童養護施設を取材のため訪問することができましたが、他の施設についてはプライバシーの保護を理由に断わられました。
最近訪問した横須賀市内の一か所の児童養護施設を訪問しましたが、内情を見ればこの問題に関してはそう簡単に答えを出せるものではないという事を痛感することになりました。

勉強時間を終えた男の子と女の子の一団が、広々としたラウンジになだれ込んできました。
1人の子がラケットを握って卓球を始めましたが、他の子たちはソファに寝そべって漫画を読み始めました。
こうした光景は日本の児童養護施設ではごくありふれた光景だと考えられていますが、中には例外的な施設があります。
壁やドアのほとんどが補修材でつぎはぎだらけになっている施設もあります。
職員の一人は壁やドアの破損の原因は子供たちが足で蹴ったり、パンチを叩き込むなどするためだと語りました。
この施設では子供たちが小声で会話することは許されず、職員が子供たちの会話の内容を常に把握できる様になっています。

▽ 自傷行為
9歳になる一人の少女が東京都内の別の施設で3ヶ月を過ごした後、ロイターの取材に応じました。
少女は母親に繰り返し叩かれる虐待を受けこの施設に保護されましたが、施設では度々叱られるなどして息が詰まりそうだと語り、こんなことなら早く家に帰りたいと話しました。
「テレビを見る時間はテレビを見ていなければなりません。おしゃべりするとこう注意されます。『まっすく前を見ていなさい!』」
少女がこう語りました。
この少女が収容された施設の職員の一人は、ここでは収容される子供たちの数が定員の125パーセントに達することがあり。そうなると子供たちを厳しく監視しなければならなくなるのだと語りました。

国立生育医療研究センターの社会心理医学部門の長を務める奥山牧子医師は、多くの子供たちにとって児童養護施設での体験が心的外傷へつながっていく可能性があると語りました。
ひとりの10代の少女は児童陽子施設に収容されていた際、性的虐待の被害者によく見られる自傷行為を行ったところ、心理療法やカウンセリングが施される代わりに、処罰されたと奥山医師に語りました。
福祉政策の改善策立案について日本政府から委嘱されている委員会の議長も務める奥山氏は、日本社会で里親制度がもっと普及拡大すれば、こうした問題の真の改善が実現されることになるだろうと語りました。

「これらの児童養護施設が現在のまま運営を続けていって良いものかどうか、考える必要があります。」
奥山氏がこう語りました。
「現在の施設は人間が普通に暮らせる場所ではなく、誰かが数日以上滞在すべき場所でもありません。」
http://uk.reuters.com/article/uk-japan-child-shelters-idUKKBN19D005
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虐待を受けている子供たちについていつも胸を衝かれるのは、それでも親をかばおうとする子供たちがいることです。
かつて私はこの【星の金貨】で子供たちの問題を度々取り上げる理由について、自分自身父親からの暴力の被害者だったからだと書いたことがあります。
私の場合は幼稚園に入るその前日まで、母方の祖母に預けられその羽飼の中で温められるようにして育てられたため、父親の暴力に強烈な違和感と抵抗感が持ちました。
しかし一方ではあきらめの気持ちも強くなっていき、その分自分の日常に常に暗い影がつきまとうようになりました。
私自身その影から完全に解放されたのは実に自分が50代も半ばになった、父親が他界した後のことでした。
子どもに暴力を振るうなど、子どもを育てるという人間として当然の能力の欠格者であり、無抵抗の相手を蹂躙する最低の卑怯者です。
世の中の大半の虐待されている子供たちは、物心ついた時から親の暴力に遭遇し、比較検討する術など持ちようがなく、親は自分が頼るべき存在以外のなにものでもないのだと思います。
だからこそたとえ日常的に暴力を振るう相手であっても、「がばう」以外の選択ができないのではないでしょうか?
壊れやすい心を持った子供たちを、虐待から救い出したのであれば、次に必要なのはこの記事にある通り、どうやってその心を救ってあげられるかという事だと思います。
国を良くするというのは、巨額の予算を投じて高性能の兵器や武器を買いそろえることではなく、弱い者を気遣い、丹念にケアしていく体制をこそ整備していくことだと思います。
戦災孤児と不良少年に寝る場所と食事を与えるために設立された日本の児童保護施設、その後改善が無いまま現在に
子供たちには守られるべき人権がある
チャン-ラン・キム / ロイター 2017年6月22日

(写真上)虐待の被害者として保護された後、東京都内の一時保護施設で3ヵ月以上を過ごした9歳の女の子。2017年3月、心療内科の医療施設内で。
毎年、緊急の避難と保護を必要としている20,000人以上の虐待を受けた子供たち、非行により補導された子供たち、成長過程で障害を負ったか、あるいは他の深刻な問題を抱えた日本の子供たちは、いったんは避難保護するための施設に収容されることになります。
しかしこうした施設でこともたちの医療に密接に関わっている児童心理学の専門家、および施設の職員12人以上に対する聞き取り調査を行った結果、施設などに保護された子供たちに対する扱いが画一的に過ぎ、子どもたちにとって決して居心地の良い場所ではないという実態が見えてきました。
現状に対する懸念は担当省庁の官僚たちに改革を迫るものですが、それが実現する兆候は今のところ見えていません。
国の児童福祉政策を改善することを目的とする政府出資の委員会が設立され、その目的のひとつにこうした施設の改善が挙げられています。
「子供たちを避難させる施設の中身が現状のままで良いと考えている人間は一人もいません。」
この問題に関する厚生労働省の担当者である浜田氏がこう語りました。
「こうした施設が子供たちをどう扱いどう機能すべきか、これまでいかなる議論も行なわれてはきませんでした。そのために今、私たちがこうして取り組んでいるのです。」

第二次世界大戦(太平洋戦争)終了後に戦災孤児と軽微な犯罪を犯した若者に寝る場所と食事を与えることを目的に設立された日本国内の136ヵ所の児童養護施設ですが、その後70年間ほとんど進歩らしい進歩は見られなかった、専門家がこう指摘しました。
施設で保護されているのは1歳から17歳と年齢は様々ですが、施設から逃げたり虐待を繰り返す親に連れ戻されたりしないよう、皆一様に学校に行くこともできないまま施設の建物内に留め置かれることになります。
施設関係者の証言によれば、児童養護施設の多くでは、子どもたちは家からおもちゃや携帯電話を持ち込むことは許されません。
そして短期間の訓練しか受けていない職員が子供たちに厳しい規則とスケジュールを課し、違反すると個室の部屋に入れられる処罰が日常化していると語りました。
さらに厳しい児童養護施設では、食事の間会話することはもちろん、子ども同士がアイコンタクトをとることすら許されないと、こうした施設の内部事情に詳しい人々がそう証言しました。
児童養護施設はその経過年数、規模、品質のすべてがまちまちです。

いくつかの施設には体育館や運動場があり、DVDと漫画雑誌なども数多く備え付けてあります。
しかし別の施設でははがれかかった壁紙と擦り切れた畳の1部屋で、10人以上の子どもたちが眠らなければならないという証言もあります。
こうした施設の運営について管理しているのは地方自治体の一部門である児童相談センターなどで、多くの場合中央省庁は関わっていません。
しかし運営資金は地方自治体と日本政府の両方から拠出されています。
日本社会は子どもたちに対して優しいというイメージがありますが、公的施設において青少年の人権を護るという点においては他の先進諸国よりも遅れています。
その基本的な問題を作りだしているのが、養父母の不足です。
他の先進各国とは反対に、日本は養父母に引き取られる事無く施設でそのまま成人する子供たちの割合の方が高くなっているのです。
制度上の問題があることを認め、子供たちには守られるべき人権があるということを確立する目的で日本では昨年児童福祉法が改正されましたが、そうした主旨は実際の福祉事業の現場に完全には反映されていないと、専門家が指摘しています。

「こうした施設は本来収容された子供たちが本当に必要としているケアを場所でなければなりません。」
こう語るのは2015年まで20年間東京都下の児童養護施設を度々訪れ、子どもたちのケアを続けてきた精神療法医の山脇由貴子医師です。
「しかし実態は異なっています。子供たちに対する扱いは『殺されなかっただけましだったね。今は寝る場所があるだけ幸せだと思った方が良いよ。』というもので、施設で働く職員たちは自分たちの職務が子供たちに安心と快適さを提供することだとは考えていません。」
これに対し現在の仕組みを弁護する人々は、こうした施設に保護される子どもたちの背景と必要とされるケアの内容は実にさまざまであり、厳しい規律の下に運営されなかったら、たちまち混乱に陥る可能性が高いと語りました。

「共同生活である以上、ある程度の規律が必要です。」
東京で児童養護施設の吉川千香子所長がこう語りました。
「限られた数の職員がたくさんの子どもたちの世話をしなければならない以上、運営方針の主眼として設定すべきは事故を防止し、子どもたちの安全を守ることを最優先にしなければならないのです。」
〈後編に続く〉
http://uk.reuters.com/article/uk-japan-child-shelters-idUKKBN19D005
警察は犯罪となる可能性のある行為を『発明する才能』を持ちはじめている?
安倍首相のポスターにアヒットラーと同じ口ひげをいたずら書きしただけで、警察に逮捕されてしまった男性がいた
エコノミスト 2017年5月18日

張り込み捜査が開始されてすでに1週間が経っていましたが、ついに報われる瞬間がやってきました。
眠ったように静かな日本南端の都市で鹿児島の警察官は昼夜を分かたず、駐車場でドアロックがされないまま置かれていた車の張り込みを続けていました。
その車は缶ビールの箱を1ケース積んだまま、スーパーマーケットの外に駐車していました。
そしてついに通りかかったひとりの中年の男が、そのビールを自分のものにするため行動を起こしました。
しかしたちまち五人の警察官に取り押さえられ、鹿児島市内でもあまり見かけることが無い犯罪者の1人がこうして御用となったのです。
日本国内至る所にある雑然とした通りは決して美しいとは言えませんが、どこを歩いても安全だという点において他の国とは比較になりません。
日本の犯罪発生率はこの13年間一方的に低下を続けてきました。
殺人犯罪の発生割合が100,000人あたり0.3件というのは文句なく世界最低です。
これに対しアメリカは約4件と比較すると著しく高く、2015年には1丁当たりの銃の被害者数は最高を記録してしまいました。(グラフ)

かつてヤクザといえば日本では強力な犯罪者集団として恐れられましたが、法規制の厳格化と構成員の高齢化によってもはや昔日の面影はありません。
こうした状況に対し、警察官は年金生活者の増加にもかかわらず、その規模は拡大を続けています。
日本では警官の事をお巡りさんと呼びならわしていますが、その姿は街中のいたるところで見かけるようになりました。
日本国内には259,000人を超える制服警察官が配置されていますが、現在よりはるかに犯罪発生率が高かったちょうど10年前と比較すると15,000人以上増員されました。
日本は人口一人あたりの警察官の比率も高く、特に東京には世界最大規模の首都警察である警視庁があり、住民一人を守るための警察官の数の割合はニューヨーク市警の1.25倍という数を誇ります。
こうした状況の下、他国では見逃されてしまう自転車の窃盗や少量の薬物所有といった些細な犯罪に対しても、抜かりなく警察の目が配られるという現実を生んでいるのです。
1人の女性は、物干し用のハンガーから下着を盗まれたと通報すると、狭苦しいアパートに5人もの警察官がやってきて事情聴取された時の様子について説明してくれました。
また昨年は少人数の捜査チームが自分で使うためにさびれた田舎のスポットでマリファナを栽培し、吸っていた22人を逮捕するよう命じられました。
実際、日本国内では対象とすべき犯罪の減少により、警察は犯罪となる可能性のある行為を『発明する才能』を持ちはじめていると京都大学の高山佳奈子教授が語りました。
高山教授によれば最近の例では、車を借りるための費用を分担した人々のグループが逮捕されました。逮捕理由は違法タクシー、白タク行為です。
いくつかの県では、自転車に乗って信号無視をした人々が検挙されるようになりました。

2015年、ひとりの男性が安倍晋三首相のポスターにアドルフ・ヒットラーと同じ口ひげをいたずら書きしたところ、警察に逮捕されました。
高山さんは大学のキャンパス内に許可なく刑事が姿を現し始めたと語っています。
そして「厄介な」学生の監視をしています。
警察がサイクリストの尾行をするようになった理由の一つは、二輪車による犯罪行為を恒常的に減少させることが目的なのかもしれません。
信号無視などで検挙された自転車の運転者は、警察の指定する自動車学校で自転車運転に関する再教育を受ければ罰金などを免除されることになっていますが、同志社大学のコリン・ジョーンズ氏によれば、これらの自動車学校には多くの場合警察OBが勤務しています。
15年前、人口密度低い北海道で、銃を密輸している犯人を捜し出すために警察がヤクザの『協力』を得たこともありました。
しかし行きすぎと思える警察の捜索も時として有益である場合もあります。
日本では少子化が進行しているにもかかわらず、大切にされるべき子供たちが自宅で虐待されている事例の報告件数は、2010年以降ほぼ2倍になりました。
報告件数の増加の背景には、これまでこうした事案への関与を避けてきた警察が積極的に関与するようになったことがあります。

日本の司法制度に批判的な人々さえ、日本の社会から違法行為や脱法行為がかなりの程度減ったことを認めています。
常習的犯罪の率は低いまま、若い犯罪者を刑務所に収監する事無く更生させるために多大な取り組みが行なわれています。
そして若者が非行に走らないよう、その両親たちとも協力関係にあります。
刑務所に収監される成人の数は、ほとんどの豊かな先進国のそれを下回っています。
100,000人につき666人のアメリカはもちろん、146人の英国と比較して、日本は45人という少なさです。
しかし日本の警察には不思議と能率が悪い点があります。
これ程多くの人員を抱え、これ程犯罪件数が少ないにもかかわらず、日本の警察の犯罪解明率は30%を下回っています。
供述調書は刑事告発の際、その基礎の最も大切な部分を形成しますが、しばしば強要されたものであったことが発覚することがあります。
最初に紹介した鹿児島のビール泥棒は、5人の捜査員が懸命の張り込みを続けた努力もむなしく、法定で不起訴処分になりました。
市民活動を行っている弁護士の安田吉氏は、日本で犯罪件数が少ないのは警察組織のおかげではなく、市民一人一人の順法意識が高いためだと指摘しました。
http://www.economist.com/news/asia/21722216-there-was-just-one-fatal-shooting-whole-2015-crime-dries-up-japans-police-hunt
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6月29日(金)に新しい掲載を行う予定でしたが、私事多忙多端のため今週のみお休みさせていただきます。
7月3日(月)よりまた新たな掲載を行いますので、よろしくお願いいたします。