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星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

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大量の東日本大震災のがれき漂着に、苦悩するアメリカ

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【東日本大震災のがれき、アラスカに大量漂着】

アメリカCNNニュース 5月23日

アラスカ州ヤクタット湾(CNN)-アラスカパンハンドルの町の住民たちが、2011年に発生した東日本大震災により海に投げ出されたペットボトル、包装用の発泡スチロールの破片、浮いているブイなどを拾い始めました。
「これはウレタン・フォームを作るためのスプレー缶です。」
アラスカの湾岸地区の環境保護活動を行っているグルプのリーダーを務めるクリス・パリスターさんが、ジュノーの200マイル(320km)北方にある離島モンタギュー島に散らばる漂流物を拾い集めながら、こう語りました。
「これほどのごみが散乱しているのを、見たことがありません。しかしこの島の海岸を一周すれば、もっと大きなゴミを見つけることになります。」

2011年3月に日本の東北地方を襲った巨大地震によって発生した巨大津波は、確認された遺体の数だけで16,000という甚大な被害をもたらしましたが、太平洋岸の大量の建物その他を海に叩き込みました。
がれきと化したこれらの漂流物は、14カ月をかけて北太平洋の4,000マイルの距離を横断し、この場所にやって来たのです。

パリスター氏のようなボランティアは、モンタギュー島などの離島にも、清掃活動のため長い距離をものともせずにやって来ます。
しかしこれらの人々も、150万トンと見積もられるがれきがアメリカ西海岸、中でも北部諸州の海岸に一斉に打ち上げられるようなことになれば、ボランティアだけではとても処理しきれないと懸念を深めています。


写真 : 巨大地震が日本の東北地方に、信じられないほどの破壊をもたらしてから1年以上が過ぎました。
そしてその時海に投げ出されたものと思われる大量のがれきが、4,000マイル(約6,400キロ)離れたアラスカに漂着しています。
発泡スチロールのかたまりが小さな破片となり海岸に打ちあげられていますが、野生の動物たちがエサと間違えて食べてしまう可能性があり、食物連鎖により被害が拡大する恐れがあります。
「小さな魚などがこうした物を食べてしまう可能性がありますが、体内に入れば栄養どころの話ではなくなります。」
こう説明するのはヤクタット湾鮭漁業組合のビル・ルーセイです。
「こんなものを食べれば死んでしまうか、弱ってしまって簡単にもっと体の大きな鳥類や魚類の餌にされるか、または自然界に適合していくことが出来なくなってしまいます。」

日本政府の当局は、海に投げ出されたがれきのうち、最高で70%が海底に沈んだものと見積もっています。
しかし、小さなものでは子供たちのおもちゃに始まり、大きなものでは4月にアラスカ沖で米国沿岸警備隊によって沈没させられたイカ・トロール船に至るまで、これまで1カ月以上に渡りアメリカ合衆国とカナダの沿岸に漂流してきています。

パリスター氏のような環境保護に携わる人々が心配するのは、小さな破片となった発泡スチロールです。彼らの推計では、数十億に上る破片が付近一帯に漂着、あるいは漂流しています。
「アホウドリやその他の海鳥は、あっという間にこうした物を食べてしまいます。後で命を失うことになるとも知らずに…」

アラスカ州では官民挙げて合衆国政府の援助を求めてきました。
しかしアメリカ海洋大気局は先週、付近一帯の清掃事業を行うための予算を持っていない、と発表しました。

海洋大気局による漂流物の回収清掃計画は、オバマ政権が議会に提出した予算案より25%の大幅カットに直面しており、清掃事業はただでさえ資金繰りが苦しく、すでにこの対策の費用ねん出に苦しむアラスカ州にとって、深刻な問題に発展する可能性があります。

先週上院における公聴会で、海洋大気局の海洋担当のデービッド・ケネディは、2013年以前には大量のがれき漂着は無いものと予測していた、と語りました。
その上で沿岸の清掃作業に要する費用が「信じられないほど高額にある」と語りました。
「離島に行くための船舶を用意しなければなりません。そして必要な人員の手配。その後回収したがれきをどう処分するかという問題も残ります。軽々に手をつけるわけにはいかないのです、特に遠隔地については。さらに新たな大量のがれきが漂着し、何か特別な理由が生じて何としてもそのがれきを取り除く必要性が認められない限り、着手は不可能です。」

上院の公聴会を主催した商業小委員会の委員長で、アラスカ州選出のマーク・ベギーチ上院議員は、海洋大気局のこうした見解について
「少しばかりいらいらさせられる。」と語りました。
「非常事態に臨んでは、州の対応をサポートするのが合衆国政府機関の務めのはず。それを『それは州の仕事であって、われわれは関係ありません。とりあえずは幸運を祈りますよ。』と言うのは到底許されない行為だ!」
民主党上院議員のベギーチはケネディに対し、こう決めつけました。

http://edition.cnn.com/2012/05/22/us/alaska-tsunami-debris/index.html?iref=allsearch
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「あれ、この話題一回掲載済みでしょ?!」というお叱りをいただきそうですが、確かに同じ話題を取り上げたアメリカABCニュースの記事をご紹介済みです(http://kobajun.biz/?p=2501)。
が、漂着したがれきの映像を詳しく伝える映像が添付されているので、CNNニュースの方もご紹介することにしました。

そしてピンクフロイド。
ロジャー・ウォーターズは今こんななんだ、と驚いたというか…
私はこの記事を書いたライド氏より4歳ほど年長のようですが、ロックミュージックの黄金期をリアルタイムで経験したことは同じです。
ピンクフロイドの『Dark Side of the Moon(邦題 : 狂気)』が発売されたのは高校2年の夏、それまで彼らの最高傑作とされていた『Atom Heart Mother(邦題 : 原子心母)』よりはるかにわかりやすく、ドラマティックで、しかも音楽的にも優れ、大感動、大興奮したことを覚えています。

プログレッシブ・ロックというジャンルが確立したのは、このピンクフロイド、イエス、エマーソン・レイク&パーマーがそれぞれ大ヒットアルバムを発表した1970年台前半だと思いますが、イエスのジョン・アンダーソンやEL&Pのキース・エマーソンが間違いなく『音楽家』であったのに対し、ピンクフロイドのロジャー・ウォーターズにだけは何か底知れないものを感じていました。
ピンクフロイドの作るのは音楽というより、別次元世界、といった感があったからでしょう。

ピンクフロイドの最高傑作は『Dark Side of the Moon』という評価は今も変わらないようですが、私自身のお気に入りは『雲の影』というあまり目立たないアルバムです。

ところでロジャー・ウォーターズの記事は下記に掲載した分で終わりではなく、A4で5ページほどの長い長いインタビュー記事があるのですが、機会があったら翻訳し、皆さんにご紹介します。

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「私がピンクフロイドをやめたわけ」ロジャー・ウォーターズ

ライド・コリンズ・ジュニア / アメリカCBSニュース[60分] 5月20日「やめざるを得なかったからだよ、他に理由なんかあるのかい?」
これはCBSのステイーヴ・クロフトが元ピンクフロイドのメンバー、ロジャー・ウォーターズに、世界で最も成功したロックバンドのひとつ、ピンクフロイドをその誕生から解散までの経緯についてインタビューを行った際、あまりにしつこく尋ねるクロフトに、ウォーターズが多少いらだちながら返した答えです。

私は確かに今回の[60分]の番組の中、ロジャー・ウォーターズと彼が再開した『ザ・ウォール』のツアーに関するインタビューの一分一分を楽しむことができました。
私は随分長くピンクフロイドのファンを続けているものですから…
私はこれまでピンクフロイドの解散の裏に、どのような経緯と出来事、そして理由があったのか、ずっと興味を抱いてきました。こうした興味はそう簡単になくなるものではありません。あきらめることなんかできないのです。
それが今回明らかになりました。そう、スティーヴ・クロフトが私たちに変わり、ロジャー・ウォーターズから真相を聞き出したのです。

私が13歳だった夏、ピンクフロイドの『Dark Side of the Moon(邦題 : 狂気)』が発売されました。
私が10代過ごした際、そのBGMとして常にピンクフロイドの音楽が流れていた、と言って差支えがありません。
私は『Wish You Were Here(邦題 :あなたがここにいてほしい)』のような熱烈な恋には落ちなかったかもしれませんが、人生の『Dark Side』を知った時の経験はつらいものでした。
仲の良い友人2人と私は、『Animals(邦題 : アニマルズ)』のツアー中のピンクフロイドのコンサートを、1977年7月4日(アメリカの独立記念日)にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで見ることが出来ました。
そして大学に進学、そこで私は『ザ・ウォール』、まさに壁に突き当たったのでした。

解散によってピンクフロイドというバンドがもうこの世には存在しなくなった頃、私はすでにアメリカCBSテレビで働くようになっていました。解散の正確な日時にももう関心が無かったかもしれません。
しかしほかの多くのピンクフロイド・ファン同様、その音楽は聴きつづけてきました。
私の一番のお気に入りはアルバム『アニマルズ』の中の『シープ(ひつじ)』という曲です。

精神に異常をきたしたためにピンクフロイドを去らなければならなくなった創立メンバーのシド・バレットの名前は特別な響きを持ち続けました。
1977年7月4日のコンサートの際、私の隣にいた友人の一人は、20台前半で精神分裂症を発症してしまいました
その時、私は心の奥深くで『Dark Side of the Moon』と『Wish You Were Here』のアルバムに込められた思いを理解したのでした。

フェイスブックの株価低迷の原因は?! & 台湾、日本、そしてアメリカの金環日食

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フェイスブックの株価さらに9%下落

アメリカNBCニュース 5月22日(日本時間23日午前5時)

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投資家は依然としてフェイスブックの株に背を向けたまま

注目を集めたソーシャルメディア・ネットワークの株式、すなわち5月18日金曜日あまりほめられないやり方で株式公開を行ったフェイスブックの株式は、3.03ドル、9パーセント価格がさらに下落し31ドルちょうどで取引を終えました。新規株式公開価格を8%下回り、金曜日の最高値の45ドルと比較すると31%の下落になります。

新規公開株式のメインの引受人となったモルガン・スタンレーが、フェイスブックの金曜日の株式公開直前にその業績予測を下方修正したため、フェイスブックの業績に対する疑念が拡大することになりました。
「フェイスブックの株価が取引価格を上回った時、ちょっと行き過ぎた感じがしました。」
こう語るのはロスアンジェルスの投資銀行ウェドブッシュ・モーガンの取り引き責任者のマイケル・ジェームズです。
「市場にはまだ過大評価している向きがあったと思います。」

フェイスブックの株式公開を引き受けた投資銀行とナスダック市場は、今回の株式公開がここ数年の株式公開案件の中で、その後の展開を見誤った妥当性を欠いたものであるとして、批判にさらされることになりました。
会社としての評価が高い企業の新規株式公開であるにもかかわらず、今回のように新規公開直後にこれほどの株価下落が起きるという事は、企業にとっても株式の新規公開が失敗に終わったと考えられます。

株価低迷の理由の主なものは、観測筋により明らかにされました。
ひとつは発行株式数が多すぎたこと、にもかかわらず価格設定が高すぎたこと、そしてフェイスブックの収益の伸び悩みに対する市場の懸念です。

フェイスブックはナスダック市場での株式公開の失敗により損失を被ることになりますが、長期的には同社のイメージ回復により価格回復の見込みもあります。
市場関係者によれば株式公開がうまくいかない場合に備え、フェイスブックは1,300万ドルの資金を用意していました。たとえそのすべてが使い果たされたとしても、フェイスブックが昨年計上した純利益は3億8,700万ドルであり、それに比べれば大きな額ではありません。

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【台湾、日本、そしてアメリカの金環日食】

アメリカCBSニュース 5月21日

台湾から日本、そして太平洋を隔てたアメリカ西部ではカリフォルニア州、アリゾナ州、ユタ州で、人々が空を見上げ、非常に珍しい金環日食の様子を観察しました。

【『原子力ルネサンス』はもはや存在しない! 】[ニューヨークタイムズ]

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今人々が、『原子力発電の脅威への目覚め』だ – かつての原子力発電推進派・米共和党上院議員
【 原子力発電の終焉は、少しばかり誇張され過ぎ?】
「反転攻勢の機会をじっとうかがう原子力業界 – 全原発停止の今を過信してはいけない」

マシュー・ワルド / ニューヨークタイムズ 4月10日

原子力発電は今やこれまで経験したことの無い立場に追い込まれています。
原子力業界がかつての繁栄を取り戻すことは無いでしょうが、彼らはこのままおとなしく引き下がるつもりなのでしょうか。


以下の状況こそ、今原子力業界が退潮に追い込まれている現状を象徴しています。
テネシー州選出の共和党上院議員ラマー・アレキサンダーは今後数十年間で、100基の新たな原子炉建設の必要性を訴えてきました。
しかし彼は2012年3月下旬に原子力産業界の専門家を集めた会議で、これまで長く鳴り物入りで喧伝されてきた『原子力ルネサンス』なるものはもはや存在しない、と発言しました。
「今や『原子力発電の脅威への目覚め』が、それに取って代わってしまったのです。」

しかしその『目覚め』によって300億ドル(2兆4,000億円)以上のビジネスが失われることになります。
アレクサンダー上院議員の発言は、スリーマイル島事故から33周年を機に開催された会議におけるものでした。
しかしその数週間後にはアメリカ原子力規制委員会(NRC)が、ジョージア州オーガスタ近くのヴォグタイル原子力発電所において、この30年間で初となる2基の原子炉建設の許可を与えたのです。

すべてが順調に進行しても2基の原子炉の建設には140億ドル(1兆1,200億円)の費用がかかります。もしそうでない場合には、さらに費用が膨らむことになります。
アレクサンダー上院議員の発言の数日後、NRCは、ほぼ同額の予算を必要とするサウスカロライナ州の別の2基の原子炉建設を許可しました。
さらにいくつもの会社が原子炉建設のためそれぞれ数億ドルの予算を確保しており、原子力業界は成否いずれであっても画期的段階に入る可能性があります。

原子力業界にとって最近発生した大きなつまずきは
1. 福島第一原発の事故
2. 天然ガスの価格下落
3. 世界経済の停滞による電力需要の低迷
の3つです。
この3つが数十か所に上る新しい原子炉建設計画に水を差すことになりました。

しかし地球温暖化に対する懸念が世界の共通認識となっている今、原子力発電が存在し続けるための理由はまだまだ豊富に残されています。

これに対し、
「地球温暖化をテーマにする科学が原子力産業によって創り出されたものである、というはっきりとした証拠はありません。しかし地球を守るための自然科学が、原子力産業とこれからもうまくやっていけるはずはないのです。」
核分裂を人為的に発生させる原子力発電の弊害について、3月に出版された『地球を終わりに向かわせる機械』はこのように反論しています。

事実、アメリカの原子力産業界は原子力発電は二酸化炭素排出ゼロのエネルギー源だとの主張を行い、イメージを改善するための大々的なキャンペーンを開始しました。
『地球を終わりに向かわせる機械』の著者、マーティン・コーエン氏とアンドリュー・マッキロップ氏によると、
「ほとんどの国では、費用な電力量を確保するための計算とは無関係に、国際的につながっている政治勢力が、原子力発電に対し支援を行っているのです。」
しかしその指摘については、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンしたことにより国内の54基の原子炉が停止している日本、そして原子力発電の中止を表明したドイツのことを考えると、多少の誇張も入っていると言わなければなりません。

しかし莫大な量の電力需要があり、地球温暖化の問題には関わろうとしない中国とインドの2つの国では、大規模な原子炉建設プロジェクトが計画されています。


[写真 : インド・クダンカラムに建設中のロシア製原発に抗議行動を行う地元の漁師たち]

さらに日本で起きた大惨事は、新しい原子炉を構築するための主要な理由のひとつにすらされているのです。
たとえばジョージア州とサウスカロライナ州に建設中の原子炉AP1000型は、『進化した電力不要冷却システム』がうたい文句になっています。
すなわち福島第一原発の事故では電源停止が冷却装置のポンプを止め、バルブを閉鎖してしまい大事故につながりました。これに対し、AP1000型の緊急冷却装置は重力、蒸気圧、そして水圧といったもともと自然界にあるエネルギーを利用して動作するため、電源停止に追い込まれても、冷却装置は稼働します。

先にご紹介したアレグザンダー上院議員が演説を行った同じ会議で、ウェスティングス・エレクトリックの経営最高責任者のジム・ファーランドは
「もし福島第一原発にあった原子炉がAP1000であったなら、私たちは今このような会議を招集する必要は無かったはずです。福島第一原発の原子炉がすべてAP1000であれば、今頃はもう正常に運転を続けていたはずなのです。」
東京電力が運営する福島第一原発にマークⅠ型原子炉を設置したゼネラルエレクトリック社も、AP1000同様の『進化した電力不要冷却装置』を開発済みであり、似たような指摘を行いました。


アメリカ国内にある104基の原子炉はすべて1980年代以前に設置されたものであり、現在少しずつ原子炉の入れ替えが進んでいます。新しい原子炉は可動部品の数を減らし、事故が起こりにくい設計になっています。
しかし他のエネルギー源の開発も進んでおり、計画通りに原子炉の更新は進まない可能性もあります。

アメリカではオバマ大統領が掲げる『all of the above – これまでやって来たことをすべて続ける』戦略により既存の路線が優先されているため、エネルギー開発の多様性が制限され、原子力発電以外の新たな資源開発が前に進みづらくなっています。
新しい原子炉建設には債務保証が行われ、税制面での優遇措置もあります。これらはブッシュ前政権が創り出したものですが、オバマ政権も基本的には継承しています。

しかし一方で『all of the above – これまでやって来たことをすべて続ける』戦略は、太陽光や風力発電の支援も行い、石油や天然ガス生産、なかんずく水圧破砕工法による天然ガス生産の支援も行います。

今では広く知られていることですが、水圧破砕工法の開発は、天然ガスを競合するエネルギー源にとって手強い競争相手に仕立て上げました。
天然ガスの取り引きには100万BTUという単位が用いられますが、これは電力に換算すると約150キロワット/毎時に相当し、一般的家庭なら1週間分の使用電力量に相当します。
仮に100万BTUの価格が14ドル(約1,150円)だとすると、1キロワット/毎時の電力の発電には9セントの費用が掛かることになります。
現在天然ガスの価格は100万B.T.U.につき約3ドル(240円)で、1キロワット/毎時の電力の発電には2セントの費用しか掛かりません。
ただしこの中には天然ガス処理工場の設備費用は含まれていません。しかしその他の費用はすべて含まれ、ゼロカーボン・エネルギーである太陽光、風力、原子力と比較すると価格優位性は明らかです。

新型原子炉の可能性にかける原子力発電を含め、その他のエネルギー産業はこの天然ガスと競合することを余儀なくされます。
アメリカのエネルギー省は老朽化した石炭火力発電所や電力不足の地域に「小型モジュラー原子炉」を設置する予算として、4億5000万ドルを使う用意がある、とアナウンスしました。
政府は商業ベースでの採算性に関わらず、あらゆるタイプの原子炉について検証を進めています。

福島第一原発の事故が引き起こしたメルトダウンの教訓は、生かされませんでした。
「いつ何時何が起きるかわからない、それが原子力発電が宿命的に持つ危険性であることを、福島第一原発の事故は教えました。あらゆる危険が可能性としてある、それが原子力発電なのです。もう、原子力産業に未来はありません。」
5人いるアメリカ原子力規制委員会のメンバーの一人で、かつての原子力発電推進機構の副理事長であったウィリアム・D・マグウッド4世が、このように語りました。


またテネシー州選出の上院議員(民主党)で、かつての下院の科学・宇宙・技術に関する委員会の議長であったバート・ゴードンは以下のように語りました。
「福島の事故は環境問題に関するこれまでの概念を、いくつか覆す結果となりました。そのために、政治的な決断をくだすことは、より難しいものになったのです。」

福島の事故は、エネルギー省が特に4つの案件を選んで債務保証を行う事になった原子力発電所建設計画のうちのひとつ、テキサス南部のプロジェクトに水を差すことになりました。
この計画は2011年3月以前に、関連する主要な自治体が撤退を表明し、計画が頓挫していました。
この自治体に代わってパートナーとして名乗りを上げていたのが、東京電力でした。しかし、東京電力は今や、海外で新たな原子力発電所開発に取り組む余裕などはありません。
さらなる候補は債務保証機構ですが、おそらくこれもだめでしょう。
なぜなら同機構は首都ワシントンの南40マイルにあるカルバートクリフ3号原子炉の保証を行っていますが、ここでは安価な天然ガスの供給が行われ、原子炉が完成しても商業的に運営不能に陥る可能性があるのです。
この原子炉の将来については、エネルギー省でさえ危惧しています。


しかし前出のマグウッド氏は、「原子力ルネッサンス」が一部の人間が騒ぎ立てたほどには巨大なプロジェクトでは無かったため、逆にそのことによって原子力産業界が置かれた状況は、それほど悲惨なものではない、と主張します。
彼が2008年に行った調査では、当時検討されていた23の開発計画のうち、実行に移されたのは12件だけであり、それらの中でライセンスの問題や技術的問題に遭遇しなかったのは10件にとどまっていました。
さらに財政面での見通しが立ったのはこの中の5件だけでした。
結局彼は総合的に判断して建設計画が実現できるのは3件だけ、と判断しましたが、実際に建設が開始されたのは2件にとどまったのです。
これに対し原子力産業界は、たとえ規模が縮小されるにしても計画は実行に移される見通しである、と述べています。
2組の原子炉建設の基礎工事が今、開始されました。

ウェスティングス・エレクトリックのファーランド氏は中国での経験から、AP1000sのアメリカ国内での建設はより容易である、と語りました。
彼はこの工事で技術者が、重量の大きな部品を誤って装着し、工事が2週間遅れたことを例に挙げました。
しかしこうしたトラブルはジョージア州やカリフォルニア州南部の原子炉建設現場では起きないだろう、と語ります。
アメリカではケーブル容器を効率的に使用するなど細かなノウハウの蓄積があるため、後で別の装置を設置するために必要となる場所を異なる装置で占有してしまうようなことは無く、工事は手際よく進められるはずだ、と語りました。

地面を掘り返して基礎を埋めただけですが、アメリカで30年間行われなかった原子炉建設が、今始まってしまったのです。

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ちょうど一週間前にご紹介した「『脱原発』後のドイツはどうなったのか?! 脱原発は技術革新を進め、社会正義を実現し始めた」(http://kobajun.biz/?p=2454)では、脱原発宣言を行ったドイツでは様々な分野で躍進が始っていることを伝えていました。
原発をやめるべきだ、という多くの国民の意思が国家の政策に反映され、その結果産業界で技術革新が進む、という「社会正義と経済発展が同時に達成される社会』が実現されつつある、という内容でした。

この「社会正義」を実現させたドイツ政府と比べ、わが日本政府の福島第一原発の事故に対する対応はどうでしょうか?
いや、愚問に過ぎるかもしれません。
「社会正義」を実現させ、新たる発展のきっかけを作り出したドイツ政府と比較する価値も無いため、皆さんも日々心を痛め、眉根を曇らせ、私もこうして毎日海外の記事を翻訳しているのですから…

日本政府の良心の欠落ぶりについては、表現のしようがありません。

昨年アメリカでは、福島第一原発の事故の後、モンタナ州ジョップラン市で巨大竜巻が発生、死者行方不明者多数・町中がめちゃくちゃになる大被害を受けました。
この災害からもうすぐ一年になる昨日、被災地の高校の卒業式にオバマ大統領が現れ、卒業する学生たちにスピーチを贈りました。
「その行く手を阻むものを、あなたたちはすでに乗り越えた。」
災害対策に全力を挙げたアメリカ政府は、各学校にコンクリート製の強固な退避壕を多数建設し、再び子供たちの命が危険にさらされないよう、いち早く万全の対策を施しました。

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[オバマ大統領の20分以上の演説をすべて収録したもの。翻訳はありませんので、自信のある方、ヒヤリングをどうぞ。]

福島のこどもたちはどうでしょうか?
逝く手を阻むものは無くなるどころか、状況の正確な把握すらしようとしていない政府のため、未だに前に進めずにいるのではありませんか?

アメリカで深刻化する、東日本大震災の漂着がれき処理問題(ABC)&イタリア北東部で大型地震

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【 漂着する大量のがれき、アメリカの上下両院の議員につのるいらだち 】

アメリカABCニュース 5月17日

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5月17日木曜日、日本の東日本大震災の大量のがれきがアメリカ西海岸に漂着する問題で、連邦政府ではなく、各州がこの問題を処理しなければならなくなる事態に、アメリカの上下両院の議員がいらだちを見せています。

木曜日に開かれた東日本大震災のがれきのアメリカへの漂着問題について検討する、海洋・大気・漁業と沿岸警備に関する上院の商取引・科学・輸出入小委員会の席上、アメリカ海洋大気局の国立海洋機関のデイヴィッド・ケネディ副長官が今後2年間に漂着するがれきの処理について、同機関の取り組みに関する概略の説明を行いました。この中にはがれきの漂着予想を行うための専門のシステム開発も含まれています。
しかし一方でケネディ副長官は、小委員会の議長が問題として指摘した通り、このがれき処理の責任の大半を、該当する州が引き受けることになることを認めました。
「がれきの処理はほとんどの場合、各州ごとに既存の設備や技術、そして組織を使っての作業とならざるを得ません。限られた予算の最大限効率的に運用することが求められます。」
「迅速な対応を可能にすること、そして予測されるすべての事態に対応可能な非常事態計画を作成するため、海洋大気局は各州政府と関連する地方の機関や自治体との調整を行っていきます。」
ケネディ副長官はこのように述べました。

この問題についてアラスカ選出の民主党のマーク・ベギッチ上院議員が以下のように語りました。
「このがれき処理に関し、地方自治体が何よりも恐れているのは、連邦政府が本当に必要とされる対応を行わないことです。
もしこれがたった一回限りのものであるなら、我々は緊急事態宣言を発して、これまでもやって来た通りに処理すればいいだけの話です。しかし、このがれきの漂着はいったいどれだけの規模になり、いつまで続くのか誰にもわからないのです。」
「有体に言って、この問題に対する連邦政府の歯にものの挟まったような言い方、『連邦政府は各州のサポートを行う』などと言う言い方には、いらだちを感じます。いっそのこと『国は関係ありません。関係する州が全部やってください。では幸運を!』と言ってもらった方がすっきりします。最もそんなことは絶対受け入れられませんが。」

「特に遠隔地のがれき処理に関する予算は確保不可能です。北西ハワイ諸島やその他の離島などでは、予算の持ってきようがありません。」
ケネディ副長官が付け加えました。

2012会計年度において、海洋大気局は東日本大震災のがれき処理費用として、460万ドルを確保しましたが、オバマ大統領による歳出削減策の一環として、2013年予算ではその25%がカットされることなります。
「私たちは課題について、緊急性があるものを他の課題と区別する必要があると思います。そして、この問題は明らかに緊急性を要するものであり、2013年と2014年にも、2012年度と同じ規模でがれきが漂着することを含み、事前に対策を立てておく必要があると思います。」
メイン州選出の共和党のオリンピア・スノウ上院議員がこう語りました。
「今後ますますその重大性が増す問題について、私たちは予算の削減に直面させられています。もちろん、そんなことは許されることではありません。見直しの必要があるのは、あきらかです。」

東日本大震災の津波によって約500万トンに上るがれきが太平洋に投げ出されたものと日本政府は見積っています。
漂流中に破壊が進行するものの、木材やプラスチック、そして船舶などが今年を含め3年間に渡りアメリカ西海岸を襲うものと見られています。
これらのがれきが海洋中に流出した段階では福島第一原発ではまだ爆発事故は発生していなかったため、多量の放射性物質に汚染されたがれきの漂着はありそうにないものの、放射能以外の理由で非常に危険なものが漂着する恐れはある、とケネディ副長官が語っています。

「殺鼠剤や引火性のガスなどの危険物が詰まった缶などが大量に流れ着いた場合には、私たちは直ちに対応を行うつもりです。」
首都ワシントン区選出の民主党のマリア・カントウェル上院議員が語りました。

今年4月上旬には、津波によって漂流し、アラスカ沖に現れた『幽霊船』に対し、沿岸警備隊が連続射撃を行い、沈没させました。
5月初旬には一台のハーレー・ダビッドソンがカナダの海岸に漂着しています。

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[福島第一原発の放射能汚染がアメリカの食品を脅かす?アメリカABCニュース]

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【 イタリア北東部でマグニチュード6.0の大型地震 】
ボローニャで死者7名・負傷者は数十名

アメリカABCニュース 5月20日

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イタリア北東部でマグニチュード6.0の地震がいくつかの小さな町を襲いました。
4人が死亡、時計台など歴史ある複数の古い建物を破壊、パルメザン・チーズの産地として知られているこの地域にとって、その損失額は数百万ドルに上ると見らています。

地震が発生したのは5月20日日曜日の午前4時4分、震源地はボローニャの北方35キロ、震源の深さは5キロメートルとみられる、とアメリカ地質調査機関が発表しました。
市民救護局の職員であるアドリアーノ・ジュミニャは、西暦1300年にこの地で発生した地震以来、最悪の被害が発生した、と語りました。

工場が倒壊し、夜勤シフトで働いていた工員4名が死亡、他に3棟の建物が倒壊しました。
同じく市民救護局の局長フランコ・ガブリエリは、他に2名の女性が地震の恐怖によると見られる心臓発作で死亡した、と語りました。
現地のTG24テレビは、倒壊した建物のうちの一棟は100年前の建物だと報じました。
ガブリエリによれば、負傷者の数は数十名と見られます。

NATOサミットに参加のためシカゴに滞在していたイタリアのマリオ・ポンティ首相はサミットの終了を待たず、帰国することを発表しました。
地震が襲ったのは各種のチーズの生産で知られる農業地帯で、有名なコールドリエティ社1社だけで、被害額は5,000万ユーロ(50億円)に上ると見られています。

同じ発表では乳牛と豚が飼われていた畜舎が、少なくとも3棟破壊されました。

モデナにある凝ったつくりの18世紀の宮殿を改造したキャナルグランデ・ホテルの受付を担当するエミリオ・ビアンコは
「地震は強い揺れがとても長い間続きました。」
と語り、ホテルは被害を被らなかったが、宿泊者は地震が起きるとすぐに全員が表に飛び出したと語りました。

この地震のほぼ12時間後に大きな余震が襲い、サンタゴスティーニ・ディ・フェラーラの住民を脅かしましたが、市役所の壁の一部が崩壊しました。
この余震でフィナーレ・エミリアの時計台が崩れ、消防士1人が負傷し、時計台は半身のみの無残な姿になってしまいました。

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インドの若さと活力に注目する日本

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12億の人口、その60%は30才未満、消費意欲は旺盛
 
アメリカCNNニュース 4月26日


 
インド、ムンバイ
遅々として回復しない経済、高齢化する人口を抱える日本に対し、インドは正反対の状況にあります。
それがこの2年間で、インド国内の日本企業の数が倍増した理由です。
成長を目論む日本の企業にとって母国の状況は問題だらけです。高止まりする円は輸出価格を押し上げ、弱った経済は国内需要を増々縮小させています。
その結果は?
多くの日本企業が、インドのような成長著しい地域めがけて進出しようとしています。
日本企業は自動車産業、白物家電、医薬品製造などインド経済のあらゆる分野を調査しています。
そしてムンバイからデリーに至る地域に数十億ドルを投資して工業地帯を建設しました。

スシル・ジワルジカはインドの貿易代表団を率い、日本との架け橋を築きあげた立役者です。
「この10年間、日本経済は退潮を続けてきました。」
彼がCNNのマリカ・カプールにこう語りました。
「日本は中国に対しすでに巨大な額の投資を行っています。そして今度はより開かれた市場として、インドに目を向けるようになりました。」
 
今や800社の日本企業がインドに進出し、インド商工業連盟によれば、日本からインドへの直接投資額はここ数年で4倍に膨らみました。
日本がインドに対し、これ程投資額を増やしている理由のひとつはこの国の人口の多さです。
12億の人口があり、その60%は30才未満の若い人々であり、その消費意欲は旺盛なのです。
 
インド国内で成長を続ける日本のカメラメイカーのニコンに進出を決心させたのが、この旺盛な消費意欲でした。
同社は5年前にインドに進出しました。
ニコンの経営責任者は、インド国内での取引量は毎年倍増を続けており、現在の市場規模はまだ小さいものの、将来有望な市場だと語りました。
ニコン・インドの高階ひろし氏は以下のように語りました。
「中国やロシア、そしてブラジルといった将来性ある市場と比較しても、ニコンにとってインド市場の有望さは格別のものです。」
「潜在的経済力、そして増え続ける人口と写真愛好者の多さ、この点が他の国と大きく異なっている点です。」
「こうした点から、わが社はこれから5年から10年の間、毎年30%ずつの成長を見込んでいます。」
 
http://business.blogs.cnn.com/2012/04/26/japan-eyes-indian-youth-and-vigor/?hpt=ias_t4

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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