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星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

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計画的避難って、いったい何なの?!

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「5月14日土曜日、ついにモーガンザ水門は開け放たれた !! 」

トランス・ミシシッピ博覧会 1898年アメリカ発行 カタログ評価が420,000円という高額評価の切手

トランス・ミシシッピ博覧会 1898年アメリカ発行 カタログ評価が420,000円という高額評価の切手

突然の話で恐縮ですが、モーガンザ水門(英語では Morganza Spillway )とはアメリカ合衆国ルイジアナ州にあるミシシッピ川の洪水調節水門の事です。ミシシッピ川は何かあるとすぐ氾濫し、流域一帯を水浸しにする「暴れ川」です。日本にも同様の「暴れ川」がありますが、ミシシッピ川は全長が6,000kmと日本にはあり得ない長さ、そして流域の広大さで私たちの想像をはるかに超えるスケールを持ち、下流は川というより非常に複雑な形の巨大湿地帯になっています。

アメリカのニュース番組はNBCもABCも5月9日の週になると、このモーガンザ水門の話題が連日トップで扱われていました。
「最悪の結果に備えて」当局は対策をとっている、と繰り返し報じていました。
というのも今年の冬、ミシシッピ川の上流にあたる一帯が例年の200%の降雪に見舞われた上、4月には大雨にたたられ、水位が1927年以来という異常なペースで上昇、このままでは下流域一帯が水没する危険が出て来たのです。

モーガンザ放水門は1927年の大洪水がきっかけで建設され、解放されたのはこれまで立った一度、1973年の4月17日だけでした。というのもこの水門を開けると、ミシシッピ川の水は少し下流にあるモーガン市一帯を水没させてしまう危険があるからなのです。ミシシッピ川の氾濫によってさらに下流のバトン・ルージュ(人口約30万)やニューオリンズ(人口約50万)を水没させないよう、放水門の水は南にある湿地帯へ流れ込むべく、ミシシッピ川の支流とその周囲約80kmをひた走ることになります。アメリカらしい豪快な解決方法ですが、水の通り道になる地域にも人々は暮らしており、彼らにとってはたまったものではありません。
NBCニュースが「タフ・チョイス」- 困難な選択、と報じるのもうなずけます。

しかし、ミシシッピ川の水位は上昇を続け、より広範なエリアの水没を防ぐため、いよいよ5月14日には水門を開けることになりました。
モーガンザ水門の南南東にあるモーガン市の郊外の『水没予定区域』の人々は家の周りに土嚢を積み、大切な家財道具は持って出て、人によっては家をまるごと『ラップして』避難していきました。
誰もが「ここまでやっておけば」と納得するまでの対策を施し、そして避難して行きました。
幸いな事に、放水後『水没予定区域』の水位は予想した程は上昇せず、多くの関係者をほっとさせているようです。

そして日本。5月15日にはついに福島県飯館村と川内村で「計画的避難」が始まりました。
20km圏外は大丈夫「のはず」、次に30km圏外は大丈夫「のはず」でした。
川内村役場は福島第一原発から約22km、飯館村役場は同じく約39km。
住民の方々はアメリカのモーガン市民同様、「ここまでやっておけば」と納得するまでの対策を施した上で、「計画的に」避難できたのでしょうか?!

はじめに「最悪の結果に備える」事を求められる。
はじめは安心させられたものの、次第にどんどん状況が悪化して、最後の最後に最悪の事態を告げられる。
あなたなら、どちらのプロセスを選択しますか?

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『つくられる?』日本のニュース

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先日、テレビでNHKのニュースを見ていて
「ははぁーん、つくってるなあ。」
と、感じる場面がありました。

霊峰富士と四季の植物

霊峰富士と四季の植物

首相が静岡県御前崎市の浜岡原発について、『当面の』停止要請を出した際の報道です。
いろいろな立場の人のインタビューが次々映し出されました。
まず東京の原発反対集会に参加した若い男性、やや興奮気味に明るく
「良かったと思います。」
次に御前崎市の市長、やや憤然とした様子で
「浜岡だけ停止せよ、というのは納得できない。浜岡原発を止めるなら、日本中の原発を止めるべきだ。」
次に静岡県の製茶業者の男性、抑えた口調でいかにも困った様子で
「計画停電は困る。摘み取ったお茶を煎る機械が動かなくなるし、お茶の葉を貯蔵する冷蔵庫の電気が来ないと、お茶の鮮度が下がってしまう。」

私は止める見通しが「まったく立たない」福島第一原発に加え、静岡県でも原発事故が起きてしまえば、もはや『日本滅亡』は必至 - 物理的な問題に加え、今度こそ国際社会での信用が地に堕ちて、世界中で[ Made in JAPAN ]を買う人がいなくなるという意味で - と思っていました。
ですから、ニュースを見ていて、静岡県の製茶業者の男性に一番違和感を覚えました。
「事故が起きてしまった福島沿岸では、収穫どころか一粒の種をまく事すら許されない。農業も、漁業も、工業も、商業も、そして普段の生活すら、以前の姿を取り戻す見通しがまったく立たないのだ。」と。

福島第一原発から遠くないところで、日々生々しい情報がもたらされる生活をしていれば、「つくられている」ニュースは直感的に分かってしまいます。。
『浜岡原発停止 → 福島第一原発の現状から言って当然首都圏は歓迎ムードです → でも地元には経済的恩恵があるのです → そして、計画停電が実施されて電力不足になれば、様々な産業に支障が出ます、一概には喜べませんよ。』
という「シナリオ」が、先にあったような気がしてなりません。
もちろんニュースがすべて意図的なものだとは思いませんが、ときにそうしたものも混在していることを、今回はっきり認識した訳です。

これは被災地に居て、福島第一原発の事故がどれほど大きく日常の暮らしを脅かすものか、毎日実際に見ているから感じる事なのかもしれません。
しかし、静岡のようにとりあえず福島第一原発の汚染の心配が無く、毎日美しい富士山の姿を、以前と変わりなく愛でる事のできる場所で暮らしていれば、案外すんなりと『ニュースのシナリオ』を受け入れてしまうかもしれない、と感じました。

だからこそ「しっかり見分ける目」を養う事を、被災地で暮らす私たちがまず、始める必要があるように思います。

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未だに真実が見えない理由は?!

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胸が悪くなる
という言葉があります。
週刊ダイヤモンド5月21日号、『原発・1基100年!原発の一生に群がる人・企業』と週刊現代5月28日号『さらば原発、これでいいのだ』を読んだ後の感想がそうでした。

1790年頃の顕微鏡 1981年西ベルリン発行

1790年頃の顕微鏡 1981年西ベルリン発行

今日は私がいろいろ言うのではなく、活字になったものをご紹介します。

~週刊ダイヤモンド5月21日号記事「原発に群がった・ヒト・企業・カネ」~

「行政は原発から溢れ出るカネを湯水のように使っている」と驚く。浜岡原発のある御前崎市に、東京から引っ越して来たある住人。

「原子力政策を批判したら村八分に遭い、東京大学では助手を17年間やっていた。講演に行けば尾行がつき、研修医と称した東京電力の社員に見張られ続けた」
安斎育郎立命館大学名誉教授(東大工学部原子力工学科一期生)。安斎氏は放射線防護学を専門とし、原子力の問題点を訴えて、市民運動に大きな影響を与えた。そんな彼に原発推進派が露骨な嫌がらせをしてきたのだ。

~週刊ダイヤモンド5月21日号記事「大量の放射線浴びながら低賃金 - 原発労働者たちの悲惨な現実」~

「何の技術もない作業員でも元請けから日当3万円ぐらいは出るので下請けが3割抜き、オレたち(指定暴力団)がさらに抜く。本人の手元に残るのは6,000円ぐらい。」
…「女は風俗、男は原発というのが昔からの常識。」

~週刊ダイヤモンド5月21日号記事「あぶりだされた原発の真実」~

原発推進派のおごりが招いた代償はすべて国民へのツケへと回りそうだ(※)。

「原子力技術の大家である、日本原子力技術協会の石川最高顧問でさえ「原子炉の内部がどのような状況かわからないのが問題だ。.......塩水を入れたため、時間をかければ腐食が進み状況は悪化する。このままでは早くても1年、下手したら5年かかるかもしれない。」と話す。

~週刊現代5月28日号記事「舛添要一 - 菅総理、決死隊は死ねという事ですか」~

いま、作業員は事前に「将来、白血病などを発症しても賠償請求しません」という旨の誓約書を書かされているそうです。
(中略)
現場を知らない「専門家」がもっともらしい作文をして、それを総理が棒読みする。収束への工程表は作ったものの、進捗状況を発表しないから、何がどうなっているのかわからない。

津波が押し寄せ、福島第一原発が最初の爆発を起こしてから、もう2ヶ月以上。
でもまだ誰も真実がわかりません。
わかっているのは、東北3県の被災地の人間もツケを払わされることになりそうだ(※)という事だけです。
今日(原稿アップの時点では昨日)ついに放射能汚染が、たとえそれが牧草であっても福島・宮城の県境を超えました。
なぜ止まらないのか、なぜ止められないのか?

いずれの週刊誌も、興味をお持ちの方はご自分でご購入ください。

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立ち上がる被災地を一覧せよ

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「あ、やられちゃってる。」
今週号の『週刊現代』を見て、ちょっと驚きました。
普段は週刊誌等はあまり買わない私ですが、

オーストリア 1974年発行

オーストリア 1974年発行

『スクープ!東電内部文書入手「福島原発は止められない」』という今週号の新聞広告を見て購入しました。
表紙をめくってまず目に飛び込んできたのが、グラビア・ページの特集でした。

昨日、テレビで石巻市の製麺会社のことが取り上げられ、震災前は石巻名物のひとつとして定着しつつあった、「黒い焼きそば」を復活させようと奮闘する経営者の姿が紹介されていました。
石巻市にあった工場は津波で建物の基礎部分以外、すべて持って行かれました。
しかもその土地は地盤沈下が激しく、目下石巻市が建築を制限しているという状況。
それでもこの経営者は事業の再開を目指し、あらゆる可能性にトライしていました。
街が再生していくためには、ビッグではなくとも魅力的な地場産品の数をできるだけ増やし、にぎやかで活気のあるイメージを創りだす事も大切です。
この経営者もそこに向けての努力を続けており、こうした努力は将来の石巻市にとっての大切な宝物だと思うのです。

東日本大震災ではかつてない規模の義援金が寄せられました。
けれども被災地で暮らす人間としては考えるのは、義援金は大変ありがたいのですが一時金である、という事実です。街を再建し、生活を立て直すためには、やはり何と言っても仕事が必要です。
仕事に就く事ができれば、安定した収入を得られ、少しずつでも生活を再建して行く事が可能です。
そして仕事を提供してくれるのは職場であり、とりわけ石巻のように多くの工場や商店が壊滅的被害を受けた地区では、再開を目指す企業を応援し、一人でも多くの人が復職できるようにしていく必要があるでしょう。
そのためにはこうした企業の商品を、『消費する』必要があります。
それも出来るだけ多く、できるだけ長く。

そういう意味で、今年のお中元は
「被災地3県にあって、事業を再開し軌道に乗せようと奮闘中の会社の特産品以外に選択肢はない。」
という事で妻と意見の一致を見ました。
問題はそうした企業・商店をどうやって探し出すかです。

そんな中の週刊現代の「再起への序章・被災地は立ち上がる」という、被災地で名産品を売るためにいち早く再起した企業を一覧できるグラビア特集だったのです。
本当なら岩手・宮城・福島3県の合同企画でいち早く立ち上げてほしかったのですが、冷静に考えればお役所の動きが週刊誌のスピードに勝るはずもありません。
それに被災3県の知事さんたちの意見も、ずいぶんと違っているようですし......
でも、結果感じた事があります。
県等の自治体より、東京の週刊誌の方が身近かもしれない、と......

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後悔のゴルフ〈4〉

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5月第2週のアメリカPGAツアーは最高額の優勝賞金が得られるザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップ。

ザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップ開催コース、TPCソーグラスの名物ホール、17番グリーンに上がるK.J.チョイ選手。 距離はさほどないが、グリーンの周りはすべて池。 普段なら世界のトッププロなら何でもなく打てるはずだが、プレーヤーズ・チャンピオンシップの様な大きな大会になると、一流選手が次々池に打ち込んでしまう

ザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップ開催コース、TPCソーグラスの名物ホール、17番グリーンに上がるK.J.チョイ選手。 距離はさほどないが、グリーンの周りはすべて池。 普段なら世界のトッププロなら何でもなく打てるはずだが、プレーヤーズ・チャンピオンシップの様な大きな大会になると、一流選手が次々池に打ち込んでしまう.

マスターズの優勝賞金が144万ドルなのに対し、ザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップは171万ドルですから、日本円で約1億3,700万円になります。アメリカPGAツアーの優勝賞金は軒並み100万ドル前後ですが、中でも、『第5のメジャー』プレーヤーズ・チャンピオンシップの賞金の高さは群を抜いており、フィールド(参加選手のレベル)の高さで有名な大会になっています。
今年2011年は5月16日(現地15日)、韓国出身のK.J.チョイ(崔 京周 - チェ・キョンジュ)選手が優勝しました。崔選手は日本のマルちゃんこと丸山茂樹選手の一歳下で、マルちゃんがアメリカPGAツアーを中心に活躍していた頃のライバル。派手ではありませんが、着実に勝利を積み重ねて、もはや世界的プレーヤーとしての地位を築き上げました。

しかし、今日のお話は崔選手の事ではありません。
予選落ちしてしまった日本の今田竜二選手の事が気がかりだ、というお話です。
今田選手はタイガーウッズと同年齢の今年36歳、14歳で親の反対を押し切って渡米、その後めきめき頭角を現し、アマチュア時代にはタイガーに次いで全米第2位になるなど、将来を期待され1999年にプロに転向しました。
しかしその後、自身「なんでこの俺が...」と思う程の低迷時期が来ます。
そしてそれを何とか乗り越え2005年にアメリカPGAツアーのシード権を獲得。
その後じわじわとランクを上げ、遂に2008年プレーオフの末、2007年に2位に甘んじたAT&Tクラシックで初優勝しました。
この年は2位も2回あり、全体順位は125人のシード選手中9位とトップテン・プレーヤーに入りました。賞金総額も300万ドルを超え、世界的プレーヤーへの仲間入りか?!と期待させました。
ところが翌2009年は90位、2010年107位とじりじり順位を下げています。
今年はすでに13大会開催されましたが、予選通過が6回で順位が128位とちょっと低迷しています。

アメリカPGAツアーではシード選手であるか、そうでないかでは天と地程の違いがあると言われています。
毎年全体順位125位というのは年間賞金総額がたいたい80万ドル前後となり、その金額の収入が確保される、ということになります。
今田選手の場合は2007年から2010年の4年連続シード選手でしたが、この間の賞金総額が600万ドルを超えています。日本にいてはとても稼げる金額ではありません。

ところが、今年の低迷。私はプロの解説者ではありませんが、アメリカPGAツアーをあきらめた丸山茂樹選手の場合がそうでしたが、技術・体力といった問題よりも、精神的課題にぶつかっていると思われます。
アメリカのアメリカPGAツアー選手ともなれば、ドライバーの飛距離は恐ろしい程になります。
丸山茂樹選手はこれに対抗しようとして筋力作りに取り組みましたが、失敗、撤退を余儀なくされました。
同時期にPGAツアーに参加した田中秀道選手は体まで壊してしまい、撤退の上、数年間は日本でも満足なプレーができなくなりました。
かつて全英オープンに参加した際、ある日本の選手は
「こちらが6番アイアンで打つ距離を、彼らは9番で楽々打ってくる。この違いは大きすぎる。」
と嘆いていました。

今田選手はもともと飛距離を追い求めるのではなく、アプローチやパッティングのうまさがPGAツアーでも光る選手でした。
この技術があったればこそ、ドライバー平均飛距離(平均280ヤード)+フェアウェーキープ率(59%)のトータル・ドライビング順位が161位という順位でも、シード選手としてやってこれました。
問題はそのアドバンテージをしっかり胸に刻んで、その足場を変えずに闘い続ける事ができるかどうかだと思います。
何故ならアメリカをはじめとする欧米の若い飛ばし屋たちが、ここ1、2年で400ヤードを超えるティーショットを記録するようになっているからです。
この部分で彼らと対等に闘うには、もう体を取り替えるしかありません。

私たちアマチュアは「飛ばし屋」と一緒にラウンドすると、ティーショットでは知らず知らずリキむ。
二打目は飛ばし屋同様パーオン狙って、大きく曲げて大トラブル。
二打目を自分が最も得意とする距離にレイアップしたときより大幅にスコアが悪くなって、それこそ『後悔のゴルフ』に。

プロ選手にもこんな事はあるのでしょうか。
今田選手にはこれから、自分の長所に力点を置いた闘い方に徹して、アメリカPGAツアーのシード権を確保して欲しいものです。
そしてできれば2勝目も!
がんばってください!

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  ゴルフ 

ジャンルなし音楽ファンのこの季節のおすすめミュージック〈1〉

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人間の音楽嗜好というのは、幼児期の体験に大きく左右される、というのが私の持論です。
つまりは原体験というやつなんですが、一時期流行った『胎教』、今もされる方は多いのでしょうか?胎教で多く使われたのはモーツァルトだったようですが、『胎教』された子供たちはモーツァルト好きになったのでしょうか?

実は25年程前、我が家で娘が生まれた際、当時市販されて間もないCDのミニコンポを生まれたばかりの娘の周りにおき、静かな音でモーツァルトのピアノ協奏曲をずっとかけていました。
ピアニストのウラディミール・アシュケナージがピアノを弾きながらオーケストラも指揮するという、いわゆる「弾き振り」の演奏ですが、CD一枚が3,800円か3,500円の頃でした。
その娘はどうなったでしょうか?
携帯電話の着信音はいわゆるパンクロック。
部屋から聞こえてくるのは現在進行形のロックミュージックですが、モーツァルトが聞こえて来た事はありません。
ただひとつ、明らかなのは「音が外れていること」「たどたどしいピアノの音」などを、ものすごく嫌う、という事です。
その結果、今一番娘のカンに触るものはなんでしょうか?
私の鼻歌と、私のピアノの練習です。

さて、『風薫る五月』。
好みはいろいろあるでしょうが『一年で一番いい季節』候補の筆頭にあげられるでしょう。
こんな時、お薦めしたいのがアール・クルー(男性・アメリカ)の音楽です。
今でこそ、アコースティック楽器によるジャズやポップ・ミュージックは当たり前になりましたが、アコースティック・ギター、それもクラシック・ギターで非常に広がりのある、誰もが美しいと感じる音楽を聴かせてくれたのには、ちょっと大げさに言えば世界が驚きました。
先駆けてひとつの分野を切り開いたミュージシャンの1人です。
1980年代から2000年代あたりにかけて、テレビのいろいろな番組のBGMとして多用されていましたので、お聴きになれば「ああ、この音楽ね。」と聴き覚えのある曲がたくさんあると思います。

私のおすすめは『奥様は魔女』のテーマ曲で始まる
Earl Klugh Trio
そして3枚のCDを2枚組にまとめた
Dream Come True / Crazy For You / Low Ride
の2点。特に最初の2枚分が素晴らしい。
風薫る5月がさらにさわやかな、美しい季節に感じられますよ。

  音楽 

被災地を苦しめるこの巨大な悪魔

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宮城県の米所、大崎平野の西部で、中規模の米作り農家を兼業している会社員の友人の顔色がこのところ冴えません。
「せっかく植えた米、ちゃんと収穫できんのかなぁ?」
ちゃんと米ができるかどうか、と言うのではありません。

ポーランド 1964年発行

ポーランド 1964年発行

米ならちゃんとできます、東日本大震災でも大崎平野の水田はほぼ無傷だったからです。
「せっかく作った米が、福島第一原発の放射能に汚染されてしまうのではないか?! その結果、みんな捨てさせられてしまうのではないか...」
という不安が毎日彼を脅かしているのです。

それというのも、茨城や福島の農産物の一部から放射性物質が検出された上、神奈川県南足柄市で収穫した新茶の生葉から、新潟県では村上市産のツボミナ1点から放射性ヨウ素が、などこれまで「汚染されていないはず」の地域の農産物から放射性物質が検出されているからです。
宮城と福島は隣県同士、新潟や神奈川に起きた事が、宮城では起こりえない、と考える方が無理があります。
私たち農産者でなくとも福島第一原発から100km内外の距離で暮らす人間は、いつも頭の上に糸で吊るされた大きな包丁があるような落ち着かない、不安な日を送っています。
いったいどうなっているのでしょう?
実は東京電力は解らないが半分、そして外に対する広報に関しては、触れなくていいなら触れたくない、というのが半分、それが本音なのではないでしょうか。
東北大学工学部に通う我が家の長男は、大学でいくつか『原子力』に関する単位を取得していたので、意見を聞いてみました。
「(原子力が)実用化されて高々50年程度では、まだまだ解らない事がたくさんある。」
という答えでした。
そう言えば、第二次世界大戦の終了前後、アメリカがアリゾナ砂漠かどこかで原爆実験を行った際の事です。数百名の陸軍の兵士を爆心地近くに『塹壕』を掘って待機させ(核シェルターなんかじゃありませんよ)、爆発直後に爆心地に向かって『進撃』させた記録映画を見た事があります。その後、兵士たちの身に起きた恐ろしい結果と広島・長崎の『原爆症』により、人類は放射能汚染の恐ろしさを知ったのです。

福島第一原発の一号機では、やはりメルトダウンが起きていました。しかし、記者会見で記者が「メルトダウンですよね?!」といくら追求しても、東京電力側は「燃料棒が溶けて下にたまっていますが...」とは答えるものの、決して「メルトダウン」とは言いません。明らかな敗北を「戦略的撤退」と強弁するのに似ています。
日本、いや世界の人々が求める「科学的客観性」はあるでしょうか?

福島第一原発の事故直後、日本はアメリカやフランスの事故処理「協力」の申し出を、「自分たちで処理できるから」と言って断りました。
日本の電機メーカーを中心に、原発プラント輸出国である日本、しかし韓国が急速に追い上げてきています。
「ここで外国の力を借りてしまったら、今後日本は世界に原発を売って回る事ができなくなるのではないか ?! 」
という思惑は働かなかったでしょうか?

しかし、結果として福島第一原発の事故は
1. 周辺国のコンセンサスを得る前に高濃度汚染水を海洋投棄
2. 「できる」と言いいながら、未だ安定化の見通しを立てられない
ことによって、日本人の「信用」をズタズタにしました。

そして国内では福島沿岸の実に10もの市町村を、一時的かもしれませんが「廃市廃町廃村」にしてしまっています。
東日本大震災は「関東大震災に広島原爆投下を加えた程の惨禍だ」という記事を読みました。
しかし、10の市町村をだめにしてしまうとは、もはや福島第一原発の事故は地震・津波の東日本大震災と切り離して、それだけで巨大な災害として認識すべき段階に来てしまっているのではないでしょうか。
地震・津波だけでも未曾有の災害なのに、その被災者をさらに苦しめ続ける巨大な悪魔。
でもそれを作り出したのは何なのか、わたしたち日本人全員が『科学的』に考え続けなければならないと思います。

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漁業・宮城の戦い

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東日本大震災では宮城県の漁船の実に9割が使い物にならなくなってしまいました。気仙沼、女川などの名だたる港は、破壊された上にがれきで埋め尽くされました。がれきは港の海中にも堆積、漁の再開には気の遠くなる程の時間と労力を要する事になりそうです。

『企業化』されているアイスランドの漁業

『企業化』されているアイスランドの漁業

そんな中、村井宮城県知事の提案になる『宮城県漁業特区』構想が波紋を広げています。これまで港港の漁業協同組合にのみ認めていた漁業権を、一般企業にも解放し、宮城県の漁業の復興を早め、ビジネスとしても堅牢なものにしようというプランです。
これに対し、各漁協は「民間企業は採算が合わなくなればすぐに事業から撤退するだろう。我々漁民は、子々孫々まで漁業という事業を継承して行きたいのだ。」と真っ向から反対しています。

5月13日に直接話し合いが行われましたが、議論は平行線です。
でも私はこの際、徹底的に議論すればいい、と思います。
宮城県側は『官僚の作文』と言われないよう、プランを磨き上げるべきです。
漁協側は地元の大学などとも連携し、『先細り』ではない、発展性のあるビジネス・プランを作り上げればいいでしょう。
双方それを持ち寄り、互いに検証し、そして最後は協力して素晴らしいプランを実現するといい。
それこそが政治なのです。

これまでは利害が対立すると、より権力の大きい方、より声の大きい方が相手を押しのけるようにして決めてしまう。
日本人の多くにとってこのやり方が『政治』であり、徹底的に議論してプランを磨き上げる事はしませんでした。
作家の司馬遼太郎さんは欧米人にとっては当たり前の、この『政治手法』を日本人がしないのは、
「日本人は欧米人と比べ、体力が無いからだろうか?」
と嘆いておられました。
自分の側の利害を押し通す人間には『政治力がある』『頼りになる』ともみ手をしてすり寄り、政治に理想を実現しようとする人間は『素人』と言って軽視する。
その結果、「国民は一流だが、政治は三流」と言われる国を作ってしまったのでは無いでしょうか?

阪神大震災の後、神戸では『多国籍企業誘致プラン』なるものが独走し、このためもあって中小の工場や商店の多くが廃業に追い込まれてしまったそうです。

『遅れている』というレッテルを貼られがちな東北ですが、この際これまで日本人ができなかった
『徹底的に議論してプランを磨き上げる』作業を行い、若者もどんどん参加できる漁業を立ち上げていただきたいものです。
だって、東北の人々は器用ではないかもしれませんが、気概も、知恵も、体力もあるはずですから。

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わかってしまおう、英語ニュース〈3〉

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これまでは、英語ニュースで頻出する単語を取り上げていましたが、今日からは一番新しいニュースを取り上げ、解説しながら英語のマスターに挑戦しましょう。

ミズーリ州の洪水

ミズーリ州の洪水

ただ、このブログの更新が午前0時、アメリカ東部標準時と日本には15時間の時差がありますので、結果的には一日遅れになる事をご容赦ください。

前にもご紹介しましたが、取り上げているNBC Nightly News with Brian WilliamsはPodcastの他、http://www.msnbc.msn.com/id/3032619/ns/nightly_news/でも視聴可能です。
以前は ABC world News もVideo Pod Cast だったのですが、ここの所オーディオ・ポッドキャスト(音声のみ)しか配信されていないので、しばらくはNBCのブライアン・ウィリアムズさんと一緒に我々の英語を上達させる事にしましょう。
ブライアン・ウィリアムズさんは東日本大震災の報道が山場を越した後も、度々日本の被災地を取り上げ、日本のために祈ってくれていました。
それでは5月12日木曜日のNBC Nightly News with Brian Williams のニュースを見ながら、英語ニュースのマスターに挑戦することにします。

ここ一週間程、アメリカの報道番組では1927年以来というミシシッピ川の氾濫がトップニュースになっていますが、今日もトップニュースはこのテーマ。
2部に分かれていて、前半が現状と困窮する人々、後半は原因と今後の予測になっています。
まずはリード部分です。

While officials make tough choices about where to direct overflowing water as the Mississippi river flood crest continues to roll south, communities downriver are preparing for the worst--while others upriver are already facing it.

南部を水浸しにしながら水かさを増し続けるミシシッピ川の洪水を、当局がどこへ導くかで難しい選択を迫られている間、
上流の自治体はすでに困難に直面させられ、その間下流の自治体は最悪の事態に備え準備を進めている。

officialは役人、官僚ですが、この場合は当局や為政者と訳した方がわかりやすいでしょう。
tough choice タフな選択 = 難しい選択、ちょっとかっこいい言い回しですね、ぜひ覚えましょう。
where to direct overflowing water 氾濫する水を導くべき場所
where toで何々すべき場所、directは指揮者directorの指揮する、指図する、の意味ですoverflowing waterを指揮する訳ですね。

While officials say they don't expect for communities south of the Morganza Spillway to be forced to evacuate if the Army Corps opens the spillway, residents are being urged to plan ahead for the possibility.

当局は「仮に陸軍の部隊がモーガンザ放水水門を開けて放水しても、南側の地域の人々が避難に追い込まれる事態にはならないと予想している。」と言っているにも関わらず、該当する地域は水没の可能性に対するプラン作りを急いでいる。

先ほどwhileが出て来たときは何々の間、の意味だったのに、今度は何々にも関わらず、の意味で出て来ました。
英語の試験みたいですね、ヒッカケ問題?
expect for ◯◯○ to △△△
この場合のfor はあまり使われない表現だと思うのですが、通常は
I expect him to come.
彼は来ると思う。
の様に使います。

evacuate(エゔぁキュえイト)
(危険な地域などから;安全な場所へ)立ち退かせる,避難させる,救出する
の意味ですが、この単語は東日本大震災の報道でも、アメリカの15の州を襲った竜巻の報道でも多用されていました。

be urged to △△△
△△△する事に駆り立てられる、急がされる、の意味です。
plan ahead だけでも「急いで計画する」の意味ですから、be urged to が組み合わされる事で「非常に焦って」いる様子が伝わって来ます。

現在ミシシッピ川流域は1927年以来(昨日の日本の新聞社の記事には「1937年」と10年間違っている報道がたくさん見られました)という大洪水に見舞われ、Illinois / Missouri / Kentucky / Arkansas / Tennessee / Louisiana / Mississippi の7州が水没などの危機にさらされています。
第2部[River Rising]で、原因については、この冬のミシシッピ川の水源を形成する各州の降雪量が軒並み例年の200パーセントだった事が表形式で紹介されています。それにしても、冬の大豪雪でアメリカの北部諸州は打撃を受けましたが、今度は降り積もったその雪が溶けて南部諸州が洪水に見舞われる、という往復ビンタのような災害のメカニズム。
自然とは容易ならないものである事を2011年、日本とアメリカは思い知らされてしまいました。

この他、
Bin Laden's Journal ビン・ラディンの日誌
what his plan againt the world and US
世界とアメリカを敵に回して、ビン・ラディンは何をするつもりだったのか?!
などのニュースが取り上げられていますが、あまり長いと嫌われるので、今日はこの辺で......
See You tomorrow, thank you for watching!

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いまだに沈み続ける街

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所要時間 約 6分

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このところ仙台市内で追突事故が増えている、という話です。前を走っている車が突然減速、後続の車がブレーキを踏むタイミングが遅れて追突するケースが多いようです。
原因は道路の段差。
3月11日と4月8日の地震で仙台市内は、ちょっと上から見れば油で揚げたせんべいの様にひびだらけになってしまいました。

オランダ伝統の建物 1975年発行

オランダ伝統の建物 1975年発行

一番ひどいのは川の周辺で、特に高さがそのままの橋と陥没してしまった道路の継ぎ目には大きな段差ができています。知らずにスピードを出したまま突っ込んでしまうと車は大きくバウンドし、場合によってはこわれてしまう場合も。
さすがに震災から2ヶ月が過ぎ、あちこち補修はしてあるものの、アスファルトで隙間を埋める程度の応急対応のため、どの道路もスピードは出せません。しかし、着実に回復には向かっているようです。
ところが、仙台市内のある場所は、どう考えても「沈み続けて」いるようなのです。

今回の2度の地震で最も被害の大きかったのが、仙台駅東口から仙台港までを含む仙台市宮城野区ですが、この沈み続けていると思われる『小鶴新田(こづるしんでん)』地区はそのちょうど真ん中あたりにあります。
この辺りは、15年前は一望の水田でした。
しかも......
大雨が降ると『必ず』水没する地区だったのです。
このあたりはしばらくの間、私の通勤路になっていました。
けれども一帯の水田の中央にあった大きな十字路は大雨が降るたびにその真ん中が水没し、他の経路を捜して迂回しなければならないのが常でした。
ところが、15年程前から工事が始まり、一帯の整地を始めたので、
「ああ、また団地の造成か....」
と思ったものです。
ところがこの整地事業、予定より大幅に遅れたようです。
原因は『陥没』。
土盛りし、整地が終えたと思うと、どこかが沈み始める、という話でした。
遅れに遅れた整地事業のようでしたが、平成15年頃から住宅などが建ち始めました。
そして今回の震災。
古い文書で確認すると仙台港からこのあたりまでは一面の湿地帯で、野鳥の宝庫であったようです。そこを徐々に埋め立て、主に水田にしてきました。
実は私が勤めている会社の社屋は以前はこの地区にありました。
地盤沈下が日常的に起き、一度地盤を強化するために『強化パイル』という大きな鉛筆型のコンクリートを地盤に埋め込むことになりました。
鉛筆を地面に突き刺すようにして、ボーリング機械で上からたたき、徐々に埋め込んで行く作業を行います。
ところが、パイルは一度たたいただけで数十センチも「ズブズブズブッ」とめり込んで行きました。
それをきっかけに会社は真剣に移転を検討し、少し離れた『元湿地帯』以外の場所に移転しました。

そして3月11日の震災。
ガソリン枯渇騒ぎのため、私はしばらく自転車通勤。
その行き帰りに小鶴新田を通りましたが、私が住んでいる宮城野区鶴ヶ谷という丘の上と比べ、被害がひどいのに驚きました。
一番驚いたのはオール電化住宅などに設置される『エコ給湯器』が、あちこちにゴロンゴロン転がっていたこと。
我が家にも同じものがありますが、確か一台80万円以上したはずです。
この倒れた高額の給湯器、一週間以上そのままでした。
そして道路の損傷と浮き上がったマンホール。道路は沈み込んでいるのに対し、マンホールは地震で地盤が液状化した場合には「浮き上がって」しまうようですが、ひどい所は50センチ以上浮き上がっています。
褐色のレンガを埋め込んだ瀟酒な歩道は、平面のはずが高い低いの2ウェイになり、道沿いには基礎が大きく「浮き上がった」新築マンションも。

ここに住む多くの住民の方は、この地の以前の姿をご存じなかったのでしょうが、それにしても不運としか言いようがありません。
今回の震災の住宅の被害は、仙台市郊外に「造成された」団地で多かったようです。
人間のなし得る業の限界と自然の破壊力のすさまじさ。

一方、古くから人が住み続けた仙台市の旧市街は、瓦屋根の類いは大きく損傷したものの、あまり大きな被害はなかったようです。
旧市街でも仙台駅東口の再開発などが進んでいますが、まだまだ無人の古いビルなどが林立する地域もあり、土地利用はうまく行ってはいないようです。
しかし、今回の震災はやみくもな土地造成がうまく行かない事を証明してみせました。
人間の手ワザによって土地はどうにでもできる、と思い込んでいた私たち。
地球は今度の震災によって、それが大きな間違いである事を教えたのかもしれません。
震災後に私たちが考えなければならない事のひとつに、自然と共生する『先人の知恵』を加えてもよさそうです。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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