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英語を聴いていて、わからなくなるきっかけというのは、実は簡単な単語の意味の取り違いによるものが多いのです。
1. address (アッドれス --- ひらがなを強く)
コンピユータをやってれば、頻出する単語であるばかりでなく、住所という意味の日本語の一部になってしまっています。
そしてニュース英語として使われるときの意味が、これほど違う単語も珍しいかもしれません。
辞書をひくと、address の意味として最初に出てくるのは
(人に)話しかける、という意味です。
そしてニュースなどでは
President Obama addressed at Congress
または President Obama made(gave)an address at Congress
の形で使われ、
オバマ大統領がアメリカ議会で演説した
という意味になります。
住所やメール・アドレスとはまったく違う意味で使われており、
「オバマ大統領の住所は会議に...、え?!」
まったく意味が通じなくなってしまいます。
そしてこの文でついでにチェックしていただきたいのは、congress(議会、会議)という単語が文中にも関わらず大文字で始まっている、という点です。聞き取りでは大文字、小文字の別などわかりませんが、congress の前にあるべき、冠詞 - a または the が無い、という事に注目してください。冠詞がつかず、大文字で始まる Congress は『アメリカ議会』という意味なのです。
というわけで、address と congress がセットで出て来たら
「誰かがアメリカ議会で演説したんだな。」
と、思えば良いワケです。
2. state
これも要注意単語です。
聞き分ける時、一番気を使わなければならないのは state の前に the がついたかどうかです。
the がついて states と複数形なら『合衆国』つまりアメリカ合衆国の事、単に state なら『状態』のことなのです。
では『州』、つまりカリフォルニア州やテキサス州なら、どうなりますか?
答えは the State of California になります。
ただし、州立大学なら
a state university
になります。
でもそう言えば、『状態』という意味では status という言葉もありましたよね。state との違いはわかりますか?
とりあえず state は人の状態、status は社会状況と覚えましょう。
怒ったり、泣いたり、興奮したりの方は state。
a state of mind で、『精神状態』
economic status なら『経済情勢』。
さらに stated と受動態になったら『定まった、決められた』という意味。
at a stated time なら、『所定の時間に』。
では最後に
There are many politicians, but few statesmen.
政治屋は多いが政治家は少ない.
公共事業や公共工事、国の給付金などを一生懸命自分の選挙区に持ってくる政治屋、これが politician。
国民全体の幸福と長期にわたる国家の安定のため働く政治家、これが statesman。
わたしたちの周囲、『屋』ばっかりじゃありませんか?
案の定、と言うべきか、果然と言うべきなのか、5月10日朝、NHKが伝えた『自民党執行部、震災復興会議への参加を拒否』というニュースは、岩手・宮城・福島3県の被災者をおおいに失望させたに違いありません。
かつてアフリカのある国の部族長会議、というのをテレビで見た事があります。
議題は国連からの援助金の使い道についてでしたが、会議の始まりから終わりまで、部族長たちは
「俺に金をよこせ!俺が分配してやる。」
「何を言ってるんだ、俺によこせ。」
「いや違う、俺だ。俺に金をよこせばいいんだ」
しか言いません。延々とこれが繰り返されたあげく、会議は結局物別れ。私は半分口を開けて、あきれて見ていました。
部族長たちの会話の「金」の部分、「政権」に変えてみてください。
どっかの国の国会議事堂の中って、こんなんじゃありませんか?
でも、我が国の「部族長」を選んでいるのは、私たち国民、私たち日本人なのです。
そろそろ、政治家に対する「甘い選択」、見直さないと私たち自身が「救われない」ことになってしまいます。
『倒れて後已(のちや)む』
という言葉があります。死ぬ瞬間まで、何ごとか志している事を続ける、という意味です。
例えば多くの高齢者の方が服用する『高血圧の薬』、すなわち降圧剤。
年齢が上がると人間の体は、全身によりいっそう多くの血液を送り込もうとする結果、血圧が上がって行きます。
これは病気でしょうか?
これは病気ではなく、人間が自分の体を守ろうとする生理現象です。
高脂血症や糖尿病の方の場合は血管に障害が起きやすく、高血圧によって過大な圧力がかかった場合血管が破れて、脳溢血などを起こすリスクが高くなります。
これらの状態に陥ってはじめて病気と言うべきでしょう。
では血管に問題が無い方が降圧剤をのめばどうなるでしょう。
体内の各所に送り込まれる血液の量が減少する結果、脳は軽い虚血状態に陥り、痴呆や脳梗塞の症状が進行するリスクが発生します。そして十分な血液が送られなくなった手足は疲れやすくなり、運動する意欲が減退して行きます。
そして、
「おじいさんは、そんな事しなくていいですから。」
「おばあさんがやると遅くなりますから、あちらで休んでてください。」
という待遇。
社会を動かす、という役割から追い出されてはいないでしょうか。
手も頭も働かす機会を奪われ、その結果痴呆が進行して行く、そんな図式が出来上がっているような気がしてなりません。
いずれも高齢だから「なってしまう」のではなく、高齢を理由に「そうされてしまっている」のではありませんか?
私は、どんな高齢の方でも、志せば、私たちの社会がこの震災を乗り越えるための作業に参加していただけると思っています。
そしてその方が、車椅子に座らせたまま傍観者でいてもらうより、ご本人たちにとってもずっと幸せであると思います。
長い風雪に耐えてこられたご高齢の方々は、震災から立ち上がらなければならない今こそ、『倒れて後已(や)む』ことを望んでおられるような気がします。
5月2日以降、7日になってもアメリカのニャース番組のトップは相変わらず『ウサマ・ビン・ラディン』殺害です。6日のニュースでは日本のニュースでは絶対やらない、SEALS(アメリカ海軍特殊部隊)がビン・ラディンの隠れ家( 英語で hideout - hide の意味は〈隠れる〉ですから解りますが、じゃなぜoutなのでしょう? 答えは out of the eyes of people、人々の目線の外、つまり〈人の目に触れない〉という意味の out なんですね。)に突入後、殺害するまでの一部始終をCGで再現したものを放送していました(NBC nightly news 11/5/5)。
『東日本大震災で被災した人たちを励まそうと10日、阪神大震災で親を亡くし、あしなが育英会の奨学金を受けている大学4年、西山雅樹さん(23)=東京都清瀬市=や高校3年、内海博之さん(17)=神戸市=ら数人が宮城県内の避難所などを訪問した。
ちょっと古くなってしまいましたが、4月10日の毎日新聞の記事からの抜粋です。
わたしはこの『あしなが育英会』があってくれて、本当に良かった、ありがたい、と思っています。
カーペンターズに『動物と子供たちの詩』というヒット曲がありますが、歌いだしは
Bless the beasts and the children
For in this world they have no voice
They have no choice
動物と子供たちに幸いがありますように
なぜなら彼らはこの世界では声をあげる事ができないのです
彼らには選ぶ権利も無いのです
というもの。まさにその通りで、今回の震災でも親兄弟を失った子供たちが130人以上生まれてしまいましたが、彼らはカメラやマイクの前で何かを訴える事もできません。
震災の当日、母親を失ったばかりの幼児に向かって、「お母さんが死んじゃったよ」とマイクを突きつけた東京のテレビ局の大馬鹿者がいましたが、こうした度を超した理不尽にさえ抗議の声もあげられません。
傷つけられれば、傷つけられたまま生きて行かなければならない可能性もあります。
現に親の虐待によって、想像もできないつらい目に遭わされる子供が後を絶ちませんが、
「虐待されています」
と声をあげられる子供などいないのです。
今回の震災では、宮城・岩手・福島の3県で130人を超える子供が親を失ってしまいました。
子供たちの社会は、実は親がそのコミュニティ作りに大きく関与しており、子供だけになってしまったら社会と関わる事すら難しくなります。
それを日本で、記事にもありましたが、互いに『仲間』となることで支え合い、遺児たちがしっかり社会に足場を築いていけるようにしているのが『あしなが育英会』だと思います。
小説『あしながおじさん』はアメリカの児童文学者ジーン・ウェブスターの作品です。
匿名の後援者が孤児となった1人の女の子の成長を支えるお話ですが、日本でもテレビアニメ化されるなど、世界的な人気を誇ります。
「人間讃歌」として非常に魅力的な作品ですが、日本のあしなが育英会も、遺児たちが現実の人生の中で「人間讃歌」を聴く事ができるようにがんばっています。
我が家にはまだ大学生がいて学費もかかり、少々家計が窮屈ですが、ずっと定期的な寄付ができないか考えていました。ホームページ(http://www.ashinaga.org/)を検索し、年1回から12回まで、金額も500円以上なら自由に設定できる事がわかり、「ああ、これなら自分でもできる。」と、ささやかながら定期的に寄付を始めさせていただく事にしました。
クレジットカードを使った手続きも簡単でした。
Bless the beasts and the children
Give them shelter from a storm
Keep them safe
Keep them warm
動物と子供たちに幸いがありますように
彼らに嵐から避難する場所を与えてください
彼らを守ってください
そして凍えないようにしてください
『動物と子供たちの詩』、歌詞の最後の部分です。
今回の福島第一原発の事故に対する日本の対応の中、最も世界の信頼を裏切った行為は「放射能汚染水の海洋投棄」であったでしょう。韓国政府は声明を発し、アメリカや台湾のメディアは大きく報道しました。
私は人間の中で最も愚かな人間は、物事の軽重が - 何が大切で、何がそうでないかが - 解らない人間だと思っています。
いま、世界の中で日本の姿がどう映っているのか、この点において非常に気になるところです。
それにしても、日本の政治家の外交感覚の欠如には唖然とさせられるときがあります。
『民主党の鳩山前首相は(5月)5日、中国の習近平国家副主席と北京の釣魚台国賓館で会談した。鳩山氏は東京電力福島第一原子力発電所の事故について、「空と海が毎日汚染されてしまっていることを申し訳なく思う」と陳謝した。』
などは、その最たるものです。
科学的根拠に基づく話し合いも何も無く、求められていないにも関わらず、突如相手に媚びるがごとく「謝罪する」。
こういう軽率さは自国にとって不利であるばかりでなく、場合によっては相手国の政権も望んではいないその国の「タカ派的意見」に火をつける結果にもなりかねません。
加えて中国との間には、中国が発生源となっている汚染物質の日本への飛来を始めとする、環境に関する問題も山積しており、環境汚染に関する話し合いについては慎重の上にも慎重な対応が求められます。
それが突如の一方的な謝罪。
日本外交の対外感覚の無さ、その最も悪い例を、元首相がやってみせる所が「日本外交」の悲しい所です。
こんな事をするから、サクライさんなんていうおばチャンが「キレ」てしまうのです。
周辺国とは当面の対処についてはもちろん、できれば根本的解決方法に関する意見交換などを行えばいい、つまりはきちんと話し合う事が必要なのであって、そうした不断の努力と姿勢が相手の信頼を得る唯一の方法でしょう。
それが
「ぼく、日本の元首相。ごめんなさいね。」
これで得られるのは、相手の信頼ではなく、侮(あなど)りです。
最も親密な国、アメリカの援助は今回、被災地の復興に大きく貢献しました。
米軍の持つ特殊車両は災害地での道路確保に、屈強な海兵隊員は鉄道の復旧などに大きく貢献しました。
私たちがアメリカに対し、感謝と信頼の気持ちを強くしたのは、「トモダチ作戦」などというネーミングではなく、ひとり一人のアメリカ兵が被災地で見せてくれた自衛隊との協力、地道な努力、取り組みであったはずです。
そして、アメリカ国内での日本支援の様々な動き。
これらが結実して行くのが『外交』なのであって、自分1人がちょっとワカってるようなフリをするのは外交でもなんでもなく、敢えて言うなら『害口』......
iPodはここ数年のヒット商品ですが、音楽だけではなくビデオが楽しめるのが大きな魅力です。私は英語のトレーニングのため、
NBC Nightly News with Brian Williams のビデオ・ポッドキャストと
ABC World News with Diane Sawyer のオーディオ・ポッドキャストを
できるだけ毎日視聴するようにしています。
今日のテーマは
1. Decade
2. Judge - Justice - Justify
です。
まず Decade - ディケイド(発音は http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=Decade&stype=0&dtype=1&dname=1ss で確認してください)、「10年間」という意味で、ニュースではよくin this decade = この10年間に、この10年間で
という意味で使われます。
ここ数日のアメリカのニュースのトップは連日ビン・ラディン殺害に関するものですが、2001年9月11日のアメリカ連続多発テロ以来10年目の2011年5月1日に解決した訳で、
in this decade = この10年間、アメリカは必死に追求してきた訳です。
次に Judge - Justice - Justify = じゃッジ、じゃスティス、じゃスティふぁイ(ひらがな部分を強く)と発音しましょう。
裁き - 正義 - 正当化(発音は (発音は http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=Decade&stype=0&dtype=1&dname=1ss などで確認してください)と覚えましょう。
英語の発音のこつはアクセントをしっかりおさえる事です。
ジャッジ - ジャスティス - ジャスティファイと発音しましょう。
英語に限らず、語学はこうして関連する言葉をまとめて覚えると進歩が早まります。
余裕があれば Judge には裁判官、審判などの名詞と、裁く、判定するなどの動詞の両方がある事を覚えましょう。
justice には正義、裁判などの他、当然の報いなどの意味もあります。
justify はいい意味の方の正当化で、日本の一部の国会議員などがやってみせるシラをきる、ああいうのには justify を使ってはいけません。
ビン・ラディンのニュースが見えてきましたね。
judge = ビン・ラディンは裁かれ、justice = 当然の報いを受け、justify = アメリカはついに正義を実現した、という訳です。
最後に、これは英語の講義であって、内容・題材については『タイムリー』である、という理由だけで選んでいます。
5月2日のアメリカのABC、NBC、CNNなどのニュースはすべて、ウサマ・ビン・ラディン容疑者殺害のニュースで終始していました。街頭の様子を取材中のマイクには、群衆があげる歓声の凄まじい音圧がかかり、放送中の音声レベルが少しおかしくなってしまう程でした。
しかし、ビン・ラディンを公判の場に引き出す事ができたなら、世界中に散らばっている事と考えられるアルカイダの組織をあぶり出す事ができたかもしれません。
各局のニュースでは『アメリカ同時多発テロ事件によって、アメリカ人が受けた心の傷は容易に癒えるものではない』と論評していましたが、であればなおさら事件の結末は、ビン・ラディン個人の抹殺で終わるのではなく、国際テロ組織アルカイダの壊滅で終わって欲しいと思います。
ここ数年の間にも、アメリカ国内では何度か大規模なテロ事件が未然に摘発されていたようですが、そうした事件が発覚するという事は、事件を画策する人間がいるという事です。
もっと問題なのは実行犯に志願する人間がいる、という事でしょう。
アルカイダの『リクルーター』は貧困に喘ぐ人々の中からテロ実行犯を育て上げ、殺人機械を作り上げます。そして殺人機械となった彼・彼女は『自爆』に多数の人々を巻き込む、という手法でテロを実行します。
始めから終わりまで人間性のかけらも無い行為の繰り返しです。
彼らはこれを『ジハード(聖戦)』と呼びます。
しかし『世界宗教』のひとつであるイスラム教が「無差別大量殺人」を聖戦とするはずが無いのです。事実、イスラム教の骨子は「社会に公正を実現し、ムスリム同士が相互に扶助し、生活において品行を保ち、欲望を抑制して、イスラームの教えにのっとって、あるべき社会の秩序を実現させようとするもの」であるとされます。そして「イスラム教では、無実の者を殺害することは一切禁じられており、クルアーン(コーラン)にも厳しく書かれている」とさます - Wikipedia - 。
アルカイダはイスラムが生んだのではなく、犯罪指向者がイスラムを利用して生み出したものなのです。
いつもいわれる事ですが、こうした問題を解決する答えを、私たち自身が持つ必要があるのではないでしょうか。
イスラムに対する正しい知識、後進国における貧困や教育の問題に対する正しい理解。
そしてこれらを解決したいと願う気持ちを。
今日はゴールデンウィーク後半、なかなか自分たちでは遠出ができない後期高齢者の両親を車に乗せ、妻とともに山形県の日本海方面へ足をのばしてきました。幸い今年の連休は好天に恵まれ、山形県庄内地方にある物産館などは本当にたくさんの人出でにぎわっていました。
震災前は魚好きの父親のために、休日には時々宮城県塩釜市の仲卸市場に連れて行く事がありました。豊富な種類の新鮮な魚が、どれも安く手に入る事を喜んでいましたが、塩釜港も津波で深刻な被害を受け、再開はしたものの仲卸市場も従前通りとは行っていないようです。
それに4月に桜を見に出かけた際に仙台市宮城野区蒲生、岡田地区などの惨状を見て、両親とも相当な精神的ショックを受けたため、塩釜方面は避けた方が良いと思い、思い切って庄内の物産館まで、日本海の魚を求めに行ってきました。
そして帰路。
山形自動車道~東北自動車道~仙台のルートがもっとも早いのですが、連休でどの高速道路も交通量が多いため、あえて高速を使わず国道48号線経由で帰宅しました。
奥羽山脈を越え仙台市に入り、青葉区愛子地区に入ったあたりから、反対車線で山形方面に向けて交通渋滞が発生していました。渋滞は長く、車の進行速度もきわめて遅く、なかなか前に進んでいません。
ほとんどはレジャーとおぼしき自家用車でしたが、中に『災害派遣』の文字を掲げた濃いオリーブ色の自衛隊車両が何台も混じっています。そのほとんどが兵員輸送の大型トラックでした。
「そうか、この人たちは今日も休まかったんだ。」
進行方向から陸上自衛隊神町駐屯地の所属と思われます。
震災発生以来毎日、神町駐屯地からは宮城県沿岸の被災地に遺体捜索、がれき撤去などのため自衛隊の方々が出動しています。津波が襲った被災地の中でも、宮城県沿岸は一面がれきと重油まじりのヘドロで覆われた地区が多く、作業も臭気も、実に大変だと聞きました。
早朝からその作業を行い、疲れ果てて駐屯地に戻るのに、今度は渋滞で思うように帰る事もままならない。
その大変さは、すでにかつての日常を取り戻しつつある自分などには想像もできないものだと思います。
1日遊んで帰ってきた事が、何だか申し訳なく思われました。
無言ながらかける言葉も思い浮かばず、心の中で深々と頭を下げました。
渋滞のため、遅々として前に進む事のできない自衛隊車両を見ながら、ふと思いました。
「この人たちに出動や連日の作業を命じた人たち、彼らは本当に現場の労苦を思いやっているのだろうか?」と。
でも、こう思い返したのです。
「命じられたからやっている、というよりは、この人たちは可能な限り被災地の人々を支えたいのだ。その思いが無ければ、こんな苦労を何日も何日も果てしなく続けられるはずが無い。」と。
そう思って、もう一度心の中で頭を下げたのです。
東日本大震災の当日から数日間、仙台港付近では近くにあるキリンビール仙台工場が津波で破壊されたため、たくさんの缶入り飲料などが散乱していました。それを拾い集めて自宅に持ち帰る人も多数いて、窃盗なのかどうか問題になりました。法的には窃盗だろうし、ほめられた行為ではなかったかもしれません。しかし、これらを「返却」されたところで、キリンビール側とすれば商品として販売する事はできませんし、廃棄物として処分するにも多額の費用がかかります。中身を飲んだ後、空き缶はリサイクル等きちんと処理してもらえれば、「今回に限り不問」というあたりが妥当なのかもしれません。
5月2日月曜日、4兆円を超える第一次補正予算が参議院を通過しました。
東日本大震災からの復興のためには、国などは東北地方に対し巨額の投資をせざるを得ません。
こうした巨額の金が動く時、必ずその場に現れる『悪』がいます。
折しもテレビでは、災害地の復興のため5月の連休を返上して稼働する企業について報道されました。
また、被災地に関わりを持つ企業の中には、業務再開にあたり、まず被災地への無償提供するための製品を製造する事にした所もあります。
しかし残念ながらこうした善意のスタンスとは正反対の考えを持つ人間がいます。
ある者は政商として現れ、ある者は復興・建設にあたり法外な報酬を求めたり、あるいははっきりと詐欺などの反社会性力として現れます。
復興の中心を担うのは各自治体になりますが、自治体の金の使い方についてはその「ユルさ」がこれまでも指摘されて来ました。加えて解決しなければならない案件は山のようにあり、加えて人手不足の問題もあります。その分『悪』がつけ込む隙は大きくならざるを得ません。警察などはもちろん目を光らせるでしょうが、動けるのは往々にして被害が発生してからになります。
こうした『悪』が被災地に入り込めないようにするのは、今度の震災で再確認された地域の「連帯」であり「絆」であるはずです。
私が子供時代を過ごした昭和30年代は、日本の街町はそれこそ無数の連帯によって形成されていました。
ある日小学校低学年だった私が住んでいた町を歩いていたとき、背広を来た知らない男性に道を尋ねられました。すると近くで立ち話をしていた主婦3人程が走り寄って来て、男性を詰問し始めました。
「あんたどこの人?!」
「この子に何の用なの?!」
折しも子供の誘拐事件が発生し日本中の話題となっていました。
主婦たちは男性が本当に道を尋ねているのだと納得すると、今度はうるさい程詳しく道順を説明し始めました。
このようなコミュニティでは、犯罪目的で子供に手を出せるものではありません。
これから被災地に流れ込むお金につられて、ハゲタカやハイエナのような人間が入り込んでくるかもしれません。
被災地の復興や被災地で苦しんでいる人々に渡るべきお金を、こうした人間たちに奪われないようにするために、私たちは「連帯」や「絆」の大切さを再認識していかなければなりません。