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原発にこれ以上、世界をかき回されないよう立ち上がろう!【 原子力発電、それは20世紀の負の遺産 】[ガーディアン]

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いくらやっても完全にはならない安全対策、莫大な建設コスト、気の遠くなるほど長い建設期間、そんな問題を抱える原子力発電が最良の選択であるはずがない
もうこれ以上、原子力発電にこの世界をかき回されないよう、再生可能エネルギーの開発・発展に全力を!

ナタリー・ベネット、キャロライン・ルーカス / ザ・ガーディアン(英国)9月28日

水中で青い光を放つ使用済み核燃料


私が緑の党の党首となって初めの一か月、私は経済問題と社会問題について多くの発言を行わなければなりませんでした。
まともな暮らしをするために必要な最低賃金の額はいくらなのか?生活保護を必要とする人々が受け取るべき金額とは?そして国民健康保険を廃止すれば、国民の負担がどれだけ増え、この国にとってどれだけのダメージとなるか?

しかし政府のエネルギーに関する予算の姿が少しずつ明らかになり、原子力発電に対する新たな助成金の支出は行わないという方針が早くも揺らぎ始めたことに対する深刻な懸念、そして10月8日に行うヒンクリーポイント原子力発電所への抗議行動を控え、風力、太陽光、そして潮力発電などを組み合わせた再生可能エネルギーが、英国の環境を守り、この国の将来にとって最も負担が少ない優れた発電手段であることを説明することにも、多くの時間を費やしてきました。

特に風力と太陽光については技術の進歩が著しく、今この瞬間にも発電能力が拡大を続けており、英国に雇用機会と必要なだけの電力を供給することが可能なことを説明しました。
そして風力、太陽光、潮力などの再生可能エネルギーが、今後どれ程の金額の「燃料費」を必要とするか – もちろん1円だって支払う必要はありません – についてもお話をしました。


そして再生可能エネルギーがそれぞれの地域の特性を生かした発電手段を選択し、巨大な発電設備も必要としないため、気候変動や天災などにも強い発電手段であることも申し上げました。
さらには、このような再生可能エネルギーを推進する必要性に人々の関心が向かないように、原子力発電がどれ程の妨害活動を行っているかについても…

フトコロにたっぷりと大金を忍ばせた原子力産業界の、札束で人の顔を叩くような議会工作、そして『消えゆく灯り(いずれ枯渇すると言われている化石燃料)』の問題が如何にも大変であるかのような誇張された宣伝工作、そして温室効果ガスを排出しないと主張することにより、英国では原子力発電が少しばかり人々の気を引くことになりました。

そこで私はこう考えたのです。
なぜ原子力発電がエネルギー界のベータマックスなのか、説明するため少しばかり時間を割かなければならないと。
原子力発電が目下は発電手段の一つであっても、いずれ博物館行きは免れないことをご説明申しあげなければならないようです。


私の言う事をすべて信じていただく必要はありませんが、そうした方にはエコノミスト誌のこの表紙の意味をお考えいただきたいと思います。

問題の第1。
原子力発電は極めて、そして見積もることなど不可能な程に高額な発電手段です。
「原子力発電のサポーター」と呼ばれている、英国内のとある団体ですら原子力発電のコストに疑いを持ち始めました。
ヒンクリーポイント原子力発電所では1メガワット/毎時の発電に、165英ポンド(約21,100円)かかります。
この金額は現在英国内の海岸や洋上で稼働し、数百万の家庭に電力を送っている風力発電よりも高額です。

また現在フィンランドとフランスで建設中の2基の加圧水型原子炉は、いずれもすでに完成予定が4年も遅れ、建設費用は当初の見積額の倍になってしまいました。
フランス政府会計監査院は、イギリスが今まさに建設に着手してようとしている原子炉建設にそっくりの、この計画の放棄を勧告しました。


第2の問題。
原子力発電所の建設には、ものすごく、ものすごく長い時間がかかります。
1990年以降、フランスのEDFが手掛けた4基の原子炉建設では、建設に平均14年、稼働するまでに17.5年かかっています。
稼働するまでこんなに時間がかかるのに、ただ今の電力需要と温室効果ガス削減の問題に、果たして間に合うのでしようか?

問題の第3。
原子力発電は市場を独占できる程の大企業でなければ、建設することも事業を継続することも不可能です。
建設費用が莫大で、非常に複雑な技術と設備を必要とし、メンテナンスも簡単ではない原子炉など、たった一基であっても、作りたくとも地方独自に建設することなど不可能です。
現在スコットランド選出の緑の党の議員が風力タービンの建設を提案しているものの、教育予算の確保すらままならないアバディーンシャーのような場所で、原子炉建設などできるはずがありません。

問題の第4。
原子力発電には燃料が必要です。
そして核燃料、ウラン鉱石の資源もまた限られたものなのです。

アメリカ、ナバホ・インディアン居留地にあるウラン鉱山の跡地。人間が近づくことは許されない。


その埋蔵量がどの程度あるかは議論がまとまりませんが、どの説をとっても、資源の枯渇は化石燃料よりも早くやって来ます。
しかし風力と太陽光については、少なくとも人間が把握できる時間の尺度の中で、枯渇について心配する必要はありません。

問題の第5。
原子力発電は信頼できません。
原子力政策を推進すれば、一握りの原子力発電所が英国の大部分の電力供給を握ることになり、一か所の原子力発電所に何かが起きただけで、広範囲に大きな影響が出てしまいます。
福島第一原発の事故後、今年の夏、そして去年の夏も、日本のサラリーマンが冷房のきかないオフィスで、汗を流しながら働いていた姿を思い出してください。
原子炉に依存するエネルギーシステムは、決して信頼できる、強力なシステムとはなりえないのです。

そして、安全上の問題。
わたしたちはスリーマイル島、チェルノブイリ、そして福島の巨大な、とても一言では表現できない、悲劇的出来事を目撃してきました。

チェルノブイリ収束作業に使われた機器がまとめて『捨てられている』核の墓場


これらの事故により、直接間接を問わずいったい何人の人々が死に追いやられたのか、あるいは目を覆いたくなるような被害を受けてしまったのか、たくさんの議論が続いています。
しかし数千、数万の人々が住むべき家を失い、暮らすべき故郷を失ってしまったという事実を否定できる人はまずいないでしょう。
そして狭い国土しか持たない日本の中に、何世紀にもわたり農地として使い物にならない場所が出現してしまったのです。
そして、この日本という島国は、英国という島国にきわめてよく似ています。

原子炉で完全なメルトダウンが発生するような、きわめて重大な事故が発生する確率を割り出すことは、困難です。
しかし幸いなことに、原子力発電を止めるべきだとの議論に、わざわざメルトダウンの事まで持ち出す必要は無さそうです。

莫大な建設コスト、いくらやっても完全にはならない安全対策、気の遠くなるほど長い建設期間、そんな問題を抱える原子力発電が、英国にとって最良の選択であるはずがありません。


原子力発電以外に発電手段が無いというのなら、私たちは必死になって走り回り、それを探さなければなりません。
しかし、私たちの手の中にはすでに、再生可能エネルギーがあり、一方では節電技術も進歩し続けています。
この二つのおかげで私たちは、自分たちの家を快適で住みやすくし、屋外に出てきれいな空気を胸いっぱい吸い込むことが可能になります。
そして支払った電気料金は地域社会に還元され、巨大電力会社の支配を受ける必要も無くなります。

もうこれ以上、原子力発電という、20世紀の負の遺産に振り回されるのはやめにしましょう。
21世紀は、再生可能エネルギーによる、平和で安全な社会を築く時代にしようではありませんか。

http://www.guardian.co.uk/environment/blog/2012/sep/28/nuclear-power-betamax-energy-world?INTCMP=SRCH
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【 秋を満喫する生き物たち 】

アメリカNBCニュース 10月24日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

シカの赤ちゃん?ネズミ?どちらでもないし、どちらでもあります。
秋の味覚を楽しむネズミジカ。
スイス、チューリッヒ動物園で。10月17日。


ドイツ、デュイスブルグのデュイスブルガー動物園で、来園者を見返すエミュー。10月11日。


ドイツ、ハーノーヴァーの動物園で、昆虫をねらうミーアキャット。10月10日。


生後1カ月のホワイトライオンの赤ちゃん。メキシコ、レオン動物園。10月15日。


オジロワシが魚を捕まえた瞬間。ドイツ、フェルトブルグ野生海洋生物公園。10月12日。


スコッティッシュフォールドのレンジャー隊員。
キルギスタン、ビシュケク。10月14日。

http://slideshow.nbcnews.com/slideshow/today/animal-tracks-oct-10-17-49434968/

日中間の危機を誘発した張本人、日本の政治・経済の山積する問題は「自分が解決する」

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【 石原東京都知事、新たな右翼政党結成のため辞任 】

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 10月25日
(掲載されている写真は、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

何事にもストレートな物言いをする石原慎太郎東京都知事が、新党結成の動きに入りました。
2013年8月まで行われる予定の国政選挙に間に合うよう、右翼勢力を結集した政党を立ち上げる可能性が出てきました。

傲岸な国家主義者である石原氏は、この4月、中国との間で紛争の種になっている尖閣諸島を東京都が購入する方針を打ち出し、日中間の外交危機を引き起こしました。
この動きに煽られるように日本政府と野田首相も動き出し、紛争の焦点となっている尖閣諸島が石原都知事の手の中に落ちないよう、民間の所有者に働きかけ、結果的に国有化せざるを得なくなりました。

石原氏はその発言が中国側を激怒させることを承知の上で、東京都は購入後、島の開発を進めると表明していました。
これに対し野田首相は、北京政府をなだめるため、国有化の後は島の開発は行わないことを表明しました。


石原氏は25日に行われた短い記者会見の中で、直ちに東京都知事を辞任し、山積する日本の政治的・経済的問題を自分が解決すると宣言しました。
「私は志を同じくする人々と新しい政党を結成し、国政に復帰します。」
「これまで都政に尽くしてきたと同様、今度は国政のためにあらゆる努力をするつもりです。」
石原氏は記者会見でこう述べました。新党の名称はまだ未定です。

今年80歳になる石原氏は1968年自由民主党の議員として国政に加わり、日本の官僚制度について、封建時代の江戸幕府の体制と変わらないものだと批判しました。
「我々は硬直した日本の官僚制度を、改革しなければなりません。」
この時の石原氏の発言です。
石原氏が立ち上げる新党が国政の場で、どの程度の影響力を発揮するかは明らかではありません。
彼の右派的大衆扇動政治は東京都民の心をとらえ、4期13年に渡る石原都政を実現させました。
しかし石原氏の挑発的政治姿勢を好まない人々もいます。

世論調査の結果は次回行われる衆議院選挙では、阿部晋太郎元首相が率いる野党第一党の自民党が、最も多くの議席を手に入れる可能性を示唆していますが、政権を獲るためには、小さな政党との連合政権を組む必要があるかもしれません。
野田首相率いる政権与党の民主党は、数々の政策的失敗と3年間の間に段階的に実施される消費税増税などへの反発から、壊滅的敗北をするものと見られています。

石原氏はもう一人の右翼的政治家、橋下大阪市長が率いる新党、維新の会との連携の可能性を否定しませんでした。
「大阪には勢いがあります。できることなら連携したいと思っています。」
朝日新聞は日本の小規模政党「立ち上がれ日本」の5人の国会議員が、石原新党に参加する予定であると報じました。

石原氏の隣国に対する強硬姿勢は、他に類を見ないものです。
1937年に中国の南京で日本軍が約30万人を虐殺したとされる南京事件について、石原氏は『作り話』と一蹴し、中国と北朝鮮に対し、日本は核兵器を装備すべきであると主張してはばかりません。

昨年、3月11日に発生した巨大地震と津波によって約2万の人々が死亡・行方不明になった際には、日本人の自己中心的な振る舞いに天罰が下ったのだと発言し、幅広い批判を招きました。


東京都知事時代には、女性と外国人に対する侮辱的発言を繰り返し、フランス語を『国際標準語になり損ねた言語』であると揶揄し、フランス語圏の人々を侮辱しました。
2010年にはサンフランシスコで行われた同性愛者のパレードを見た後、同性愛者を『不具者』呼ばわりしました。

しかし石原氏は、少なくとも東京都内では相変わらずの人気を誇ります。
福島第一原発の危機が頂点に達していたころ、彼は東京都の水道水を公衆の面前で飲み干して見せ、その安全性について都民を安心させました。
また、ディーゼルエンジンの排ガス規制を行い、環境保護団体などからの賞賛を得ています

石原氏は1989年、ソニーの共同設立者である盛田昭夫氏との共著『ノーと言える日本』の中で、国家主義者としての全貌を明らかにしました。この本の中で石原氏は、日本はアメリカの安全保障体制から独立しなければならないと主張しました。
23歳で芥川賞を受賞した石原氏は、2007年には、太平洋戦争末期の神風特攻隊のパイロットを賞賛する脚本、『君のためにこそ死ににいく』を書き下ろし、映画化しました。
日本の保守勢力の多くがそうであるように、石原氏は戦争手段としての軍隊の保有を禁じた日本国憲法と戦後体制の廃棄を求めています。そしてより戦闘能力の高い、強力な軍隊の配備を望んでいます。
「日本人自身で解決しなければならない課題が、この国には数多くあります。」
石原氏は25日にこう語りました。
「最大の問題は日本を占領していたアメリカ軍に押しつけられた日本国憲法であり、およそ日本語とは思えないような文章で綴られたものです。」

衆議院の任期は2013年8月までありますが、野田首相には早期解散を求める圧力がかかり続けています。
野田首相は消費税増税法案可決への協力の見返りに、早期に衆議院を解散する約束をさせられていました。

http://www.guardian.co.uk/theguardian
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昨日から日本の新聞は第一面でこの話題を取り上げていますが、ガーディアンでは国際面の中、4番目の扱いです。
私自身はこの話題に関しては、再び日本のマスコミの『報道社会の住民としての良識の欠如』に怒りを感じています。
尖閣問題を一気に深刻なものにしてしまい、日本経済の先行きに大きな不安材料を積み増した本人が「オレが日本の経済課題を解決する」と話していることについて、特にテレビ界からはどのような批判も聞こえてきません。
それどころか、次期首相を任せてはどうかとまで言い出す、テレビ界の『政治評論家』まで現れる始末…

現代のように先進国同士、そして周辺諸国との関係がきわめて複雑に関連し合って国家というものが成立している時代に、ことさら一つの問題だけを大きく取り上げ、周辺国との対立を煽る全体主義、国家主義はきわめて危険といわなければなりません。
「石原氏には、強力なリーダーシップが期待できるから」
というのが、前出の政治評論家の弁ですが、どっちに向かってリーダーシップを発揮するのか、そちらの方が問題です。

1929年に世界恐慌が始まった後、全体主義、国家主義政党が国政の場に台頭したのは、ドイツ、イタリア、日本だけではありませんでした。
イギリスにも、アメリカにすらナチスと同じ全体主義、国家主義政党が現れ、一定の支持を集めたのです。

サー・ウィンストン・チャーチル


しかし両国の国民は、全体主義者を政権に座らせることはしませんでした。
イギリスはチェンバレンの対ドイツ、対ヒットラーへの『弱腰外交』(正しくは宥和政策)により一時は窮地に陥りましたが、その後を託した相手はチャーチルであり、チャーチルは保守党の政治家ではあっても、国家主義者ではありませんでした。
そして第二次世界大戦が終了すると、英国人は『英雄』チャーチルから政権を取り上げ、労働党のアトリー内閣の民治路線に戦後を託したのです。
私はこの選択について、近代政治の達人、英国人らしいエピソードだと思っています。

一方、ヒトラーの『手腕』に熱狂してしまったドイツは、ソ連で約1,450万、ユダヤ人に約600万人もの犠牲を強いた上、自国も300万近い犠牲者を出し、国土は灰燼に帰しました。

自分たちの意に添わぬ周辺諸国を黙らせるためには、武器を振り回せばいい、そんな粗暴な外交が21世紀に通用するはずが無いのです。
今やGDPで抜かれ、人口が10倍以上いる国を相手にするなら、頭を使い、神経を研ぎすます必要があります。
本人は保守派を自認しているようですが、筋の通った保守派の政治家というのは、英国のサッチャー首相や古くはディズレーリのような人間をさすのであって、単なるかきまわし屋の事ではないはず。

第二次世界大戦で犠牲となった兵士の墓標


別に日中開戦が迫っているわけではないのです。
そんな空気を煽り、およそ世界の常識からかけ離れた選択を日本人に迫る。
その先には大きな危険が口を開けていることを、肝に銘じなければなりません。

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『 戦争、ひとびとの悲劇、数限りなく – シリア内戦 』

10月25日 アメリカNBCニュース
(掲載されている写真は、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

息子の遺体をかいいだいて泣き崩れる男性。
10月3日、アレッポ。


負傷した子供たちに応急治療を施す病院内部。
10月10日、アレッポ。


繰り返される惨劇に、怯えて泣く少年。
10月13日、アレッポ。


負傷して倒れている男性を助け出そうとする市民兵。
10月20日、アレッポ。


政府軍に息子を殺害され、嘆く男性。
10月23日、アレッポ。


政府軍の攻撃により負傷し、病院に担ぎ込まれる女性。
10月23日、アレッポ。


廃墟と化した街を歩く女性。
10月23日、アレッポ。

【 昨年の夏以降、大量に米国国債を買い込み続ける日本 】&【 ニコン・スモールワールド2012!】

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クリス・イシドール / アメリカCNNニュース 10月22日

日本と中国の米国国債保有高の推移


中国が大量の米国国債を保有していることについては、これまでも問題視されてきましたが、今年になり、今度は日本の保有高が急速に増えていることが明らかとなり、注目を集めています。

事実、日本はすぐにも中国を抜いて、米国国債を保有する最大の海外投資家になり得るところまで来ています。
中国は、2012年8月時点で約1兆1,500億ドルの米国国債を保有していたことが、公開された米国財務省の資料で明らかにされています。
この保有高は減少傾向にはあるものの、一年間ほぼ同じ規模でした。

これに対し、日本はこの間、着実にその保有高を増やし続けています。
現在の保有高は約1兆1,200億ドルに達し、前年同月比で124%に達しています。

しかし、こうした傾向にもかかわらず、大統領選挙の争点の一つになっているのは、中国が米国の国債を大量に保有していることだけです。


10月3日に行われた第1回のテレビ討論で、共和党のミット・ロムニー候補は、中国が大量の米国国債を保有していることは問題であり、これ以上中国の保有高を増やさないためにもねー、緊急性の薄い政府支出の削減の必要性を訴えました。
中国当局は通貨元の対ドル固定相場制を維持する手段として、大量の米国国債を保有しています。
その結果、中国元は実際の価値を下回るレートに固定され、このために中国製品の価格競争力が増し、アメリカ市場においても中国製品が販売量を増やす一因となっています。

しかし過去2年間に渡るアメリカ政府の圧力に加え、インフレ抑制を図る思惑から、中国当局は元の実質的な価値の上昇を認めざるを得ませんでした。

レイモンド・ジェームズ・モーガン・キーガン(アメリカの証券会社)の債券部門の責任者であるケヴィン・ガディス氏は、中国にとって大量の米国国債を保有し続ける意味が薄れつつある、と指摘しました。

しかし、オバマ大統領は第2回のテレビ討論で、中国元の実質的な切り上げは自分の功績であると訴えました。
「アメリカ政府が厳しい要求を突き付けた結果、中国の元の価値は11%上昇しました。」


「昨年を通し、中国の米国国債保有高は減少を続ける一方、日本は迷うことなく購入を続けました。」
ミシガン州エディンバラにあるRIAキャピタル・マーケットの債権投資部門のニック・スタメンコヴィチ氏がこう述べました。
ヨーロッパで続く金融危機のあおりで、日本の投資資金が再び米国国債のような米ドル市場に押し戻されていると、スタメンコヴィチ氏は語ります。
「日本が欧州市場から資金を引き揚げつつあることは明らかです。」
「米国国債もその恩恵にあずかった訳です。」

http://money.cnn.com/2012/09/10/investing/treasuries-flash-crash/index.html?iid=EL
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先週の土曜日に巨大宇宙の姿をとらえた[これまで見たことが無い、太陽系の写真 : プラネットフォール ]( http://kobajun.biz/?p=5450 )をご紹介しましたが、今度はミクロの世界の写真です。
こちらも見たことが無いような写真ばかりで、一枚一枚のキャプションを読むたび驚きました。
翻訳も、上のCNNのニュースは読んだまますぐに文章にできましたが、下は専門用語が頻発する上、人名や地名もややこしく、時間も3倍かかりました。専門的表現の翻訳で、確信が持てない部分は割愛してあります。

我が家にもニコンの『MicroNikkor45mm/2.8D ED』という交換レンズがあり、花を接写すると、めしべの一本一本についた花粉まで撮影できます。

ところが以下でご紹介する『ニコン・スモールワールド』はその花粉の一つを、巨大物体のように撮影した写真のコンテスト。
個人的に好きなのは18位のサンゴの砂の写真で、まるでカンディンスキーの抽象画のようです。

宇宙からミクロまで、写真の可能性の大きさに、改めて感じ入った次第です。

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【 ニコン・スモールワールド2012 】

アメリカNBCニュース 10月23日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

[6位 : 漂う]
マレク・ミス(ポーランド、スヴァウキ)
ミズゴゲの近くを漂うツヅミモ科の藻


ニコン・スモールワールド・フォトマイクログラフィ・コンテストは、1975年に始まり、ミクロの世界の不思議な美しさをとらえた写真を世界に紹介してきました。
2012年のコンテストには200点以上の応募がありましたが、この中から20点が優秀作品として選ばれました。
1位から20位までの全作品は
http://slideshow.nbcnews.com/slideshow/news/nikon-small-world-2012-49463365/
でご覧いただけます。

1位 : ミノカサゴ(海の魚)の脳

2012年のニコン・スモールワールド・コンテストの最高の栄誉は、ミノカサゴの幼生の血液脳関門を撮影した、アメリカのテネシー州ナッシュビルにあるセント・ジュードこども病院に勤務するジェニファー・ピータースとマイケル・テーラーに与えられました。
この写真はおそらく、世界で初めて生物の血液脳関門の姿を解き明かしたものと考えられます。

2位 : 孵化したばかりのクモ

ウォルター・ピオールコヴィスキー(米国イリノイ州サウスベロイト)

3位 : 骨肉種

ディラン・バーネット(アメリカ国立衛生研究所)
この63倍の画像は人間の骨肉種を捉えたものです。
紫はアクチン・フィラメント、黄色はミトコンドリア、青がDNA。

4位 : ハエの目

W.ライアン・ウィリアムソン(ハワード・ヒューズ医学研究所)
さなぎの中の成長途上のミバエの目の組織です。
金色が網膜、青いのは光受容器軸索、そして緑色の部分が脳組織です。

5位 : 火のような球体

オノリオ・コセラ・ラ・パーラ(スペイン・バレンシア大学)
スペインのラ・パロマ鉱山で採取されたカコクセン石という鉱物の一部分。

12位 : リンパ内皮細胞と線維芽細胞

エスラ・ガク(スイス、ローザンヌ国立工芸大学)

18位 : サンゴの砂

デイビッド・メートランド(英国)メートランド氏は動物学者であり、フェルトウェルという名の英国の村に住んでいるカメラマンです。

「廃止すべきいくつもの理由がある」【 脱原発、ニューヨークでも議論白熱!】[AOLエナジー]

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原発を再生可能エネルギーに切り替えても、1世帯当たりの電気料金の増加は1カ月100円
再生可能エネルギー発電所2か所で、原子炉1基分の電力を供給可能

ジャード・アンダーソン / アメリカAOLエナジー 10月16日


長年に渡って論争が続いてきた原子力発電の危険性と恩恵と、どちらが大きいのかという問題について、ニューヨークでは
○住民の安全をどう守るのか
○そもそも原子力発電は安全な発電手段なのか
○環境に対する本当の負荷はどうなのか
○原子力発電を行うため、住民の税負担はどれだけになるのか
などの視点が加わり、議論は新たな段階に入ることになりました。

エンタジー社が運営するインディアン・ポイント原子力発電所はマンハッタンの北約30マイル(約48キロ)の場所で2,000メガワットの発電を行っています。
この発電所はニューヨークとウェストチェスター郡(ニューヨーク市の北隣)で消費される電力の25%を賄っています。
しかしこの原子力発電所の操業許可は、あと2、3年で期限切れになるため、事業の継続について住民の意見を聴くための公聴会では、インディアン・ポイント原発の支持者と反対派の間で、白熱した議論が交わされています。

この原子力発電所は正確には、マンハッタン地区の北35マイル(約56km)のハドソン川の東岸のブキャナンにあります。
※ちなみに日本なら、銀座4丁目の北56km地点は、埼玉県古河市役所庁舎のある辺り(訳者注)。

ハドソン川畔に立つインディァン・ポイント原子力発電所


この原子力発電所の閉鎖を求める最大の理由は、住民の健康被害についての懸念です。
「最大の懸念は、操業開始から40年が経ち、至る所劣化が進んでいることです。」
天然資源保護協議会(Natural Resources Defense Council - http://www.nrdc.org/ )の幹部である、キット・ケネディがAOLの取材にこう答えました。
「この原子力発電所は全米で一番人口密度の高い場所にありながら、そもそもの始めから、いい加減な安全基準しかないまま操業を続けてきたのです。今となればもう、操業の継続など許されて良いはずがありません。」

天然資源保護協議会はさらに、この地区はハリケーンなどの通り道に当たり、洪水や地震のリスクを考えれば、閉鎖すべき根拠は充分にあると主張しています。
ニューヨーク州当局も同様の見方をしており、同州のクオモ知事もインディアン・ポイント原発の廃止を支持しています。

▽ 誰もが納得する解決策は?

しかしこの原子力発電所は、大量の発電を行っていますね?
その発電量は、通常の天然ガス発電所や石炭・石油を使った火力発電所の2倍から4倍の規模になります。
2,000ワットの発電の代替手段はどうなるのでしょうか?


この問題について、天然資源保護協議会とリバーキーパー(ニューヨーク周辺の水質環境保団体 - http://www.riverkeeper.org/ )は、すでに大規模な調査・研究を実施しており、その結果は、再生可能エネルギーと節電技術の活用により、インディアン・ポイントの役割を肩代わりすることは別に難しいことでは無いと結論しています。

しかし対立する陣営は、インディアン・ポイント原発は安価に安定的に電力を供給しており、これを別の手段の発電所に作り変えることは技術的に困難である上、費用も高くつくと主張しています。

インディアン・ポイン原子力発電所の存続を図るためのマンハッタン政策研究会を立ち上げた、コンチネンタル・エコノミクス(経営者向けシンクタンク)の主宰者であるジョナサン・レッサー、そしてマンハッタン政策研究会の上級研究員のロバート・ブライスは、この問題に関する特集ページをHP上にアップし、風力や太陽光のような不安定な発電手段は、送電業務の信頼性を低下させ、電力使用者の金銭的負担を増加させると主張しています。

インディアン・ポイン原子力発電所を廃止してしまえば、一般家庭は年間100ドル(約1万円、)平均的中小企業は年間1,000ドル(約10万円)の負担増を求められることになる、と彼らが試算しました。

天然資源保護協議会とリバーキーパー陣営側の調査報告はどうなっているでしょうか?
彼らのコンサルタント、シナップス・エネルギー・エコノミクスが作成した報告です。
こちらの試算結果によれば、一般家庭の負担の増加は1か月1ドル程度です。
そして効率の良い送電方法を採用することにより、カナダやニュージャージーなどで再生可能エネルギーによって作られた電力を使って、インディアン・ポイント原発を閉鎖しても影響は生じないと結論づけました。

ニュージャージーからの新しい伝送網の整備は、2013年には完了し、これまでインディアン・ポイント原発が発電していた電力の25%を供給することになる、とケネディが語りました。
「これにより、原子力発電から安全でクリーンな発電手段への移行期間中も、電力が不足することは無くなります。」
ケネディからのコメントです。


この点についてレッサーは懐疑的です。
原子力発電所を廃止すれば、新たな発電施設を建設しなければならないのではないか?
それはたぶん天然ガスになる?
いずれにせよ、新たな送電網の整備、あるいはガス・パイプラインの整備には多額の費用がかかるうえ、ニューヨーク市とその北郊の高度に都市化された地区で、そうした工事が可能かどうか、その点を指摘しました。

レッサーとブライスはさらに、人口密度の高い地区に天然ガスを送るためには、地下の浅い部分を通すパイプライン網が必要になり、この建設コストが莫大な額になる可能性について言及しました。
マンハッタンの繁華街まで最新型のパイプラインを伸ばすためには、1マイル(約1.6km)あたり4,000万ドルの建設費用が必要だと、レッサーがAOLエナジーに語りました。
しかもこうした新たな送電網や天然ガス・パイプラインを建設しようとすれば、地元の環境保護団体との摩擦が避けられない、とも語っています。
特に天然ガス・パイプラインについては、水圧による破壊や腐食の問題も無視できない、と語っています。

さらにはインディアン・ポイン原子力発電所を廃止した場合、ニューヨーク州のその他の発電能力をどれだけ増大させなければならないか、その見込みに関しても、両陣営の意見は対立しています。

天然資源保護協議会側の見通しでは、少なくとも2020年までは、ニューヨーク州はインディアン・ポイント原子力発電所を稼働させなくとも、従来設備の活用により、必要な電力以上を供給することが可能だとしています。この間に再生可能エネルギー設備の整備を進めれば、電力不足の問題は発生しない、としています。

一方、レッサーは、この見通しには、新規の天然ガスによる火力発電設備の稼働が含まれているのではないか、と指摘しました。
そして老朽化した火力発電所などの廃棄も、計算には入っていないと語りました。
それに加え、遠くにある発電所から、ニューヨーク南西部の利用者に電気を送るための送電網の整備には巨額の費用が必要であり、それが納税者の負担となることについても、検証されていないとしています。


これに対し、送電網の整備は民間企業である送電開始やが行うものであって、税負担の増加などあるはずが無い、とケネディが語りました。

これ程の問題が一週間やそこらで、かたがつくとは思えません。
この点については両陣営とも認めておりインディアン・ポイン原子力発電所の操業継続の是非について、途中訴訟沙汰になることも予想され、最終決定が下されるまでには、尚数年を要するだろうと見ています。

しかし、それが原子力発電所の廃止を求める側に、不利になるという事ではありません。
最後にケネディがこう語りました。
「安全でクリーンな発電手段を政策に盛り込み、実行するためには時間がかかるため、原子力発電所の廃止のためにはむしろ好都合です。」

http://energy.aol.com/2012/10/16/nuclear-power-debate-heats-up-in-nycs-backyard-relicensing-cont
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まあとにかく、原発推進派(英語では pro-nuclear という表現がよく使われます)の言う事は日本もアメリカも、どうしてこう変わらないのだろう、と思います。
「カネ、カネ、金…」
おそらくはこの人たちの人生の価値観の中では、金が非常に多くの部分を占めているからなのでしょう。
しかし原子力発電の問題は、経済や政治にだけ留まる問題では無い、人間の存在そのものを脅かす存在だとする世界中の世論を、【星の金貨】では繰り返しご紹介してきました( http://kobajun.biz/?p=1760など )。


そして、原子力発電の方が金がかからないという主張が、如何に欺瞞に満ちたものであるかについて、アーニー・ガンダーセン氏とヘレン・カルディコット博士が明らかにしてくださいました( http://kobajun.biz/?p=5062 ほか)。
ご紹介した対談の中でガンダーセン氏は、日本国内の全原発に1基当たり8,800トンを超える高レベル放射性核廃棄物が「隠されて」いて、全国の原発を合わせるとその量は30,000トンに達する可能性があることを指摘しておられます。

いちばん金がかかる高レベル放射性核廃棄物の処分、それができないまま、本来保管場所でないはずの原発内に隠されている。
この処理にかかるはずの費用を計上せずに、「経済的」と主張しているのですから、ごまかし、ペテンの類(たぐい)であることは明らかです。

しかも、この日本全国に30,000トンもある、きわめて危険な高レベル放射性核廃棄物が「いくら金を積んでも処理できない」可能性が出てきました。
同じ問題を抱えている米国と組んで、日本はモンゴルに莫大な補償金を支払って、核廃棄物処分場の建設をねらっていたようですが、結局はモンゴルも
『核廃棄物も、補償金も、どちらもいらない』
そう返事をしたようです( http://kobajun.biz/?p=5436 )。

もちろん、日本国内でも僻地と言われる場所をねらって『最終処分場』の建設を目論んでいるようですが、どこに行っても地元の強力な反対に会い、手も足も出ません。

しかも、京都大学の小出裕章氏によれば、日本は再処理技術の開発にまだ成功していないため、青森県の六ヶ所村には全国の原発から集めてきた高レベル放射性核廃棄物が「100年分」溜まってしまっている、という事です(小出裕章氏著『原発のウソ』)。
そういえば『原発ゼロを目指すはずだった』民主党政権は青森県から、核燃サイクル事業を廃止して原発予算を青森に回さないつもりなら、「100年分」の高レベル放射性核廃棄物を全国の原発に「叩き返すぞ」と開き直られ、あわてて廃止を撤回したことは、記憶に新しいところです。

さらには「巧妙に粉飾された公的補助金が交付され、コストを不当に安く見せている」という指摘もありました( http://kobajun.biz/?p=2001 )。

これだけの事実がありながら
「原発は経済性に優れたクリーンエネルギーである」
と、なおも言いつのろうとする。

ヨーゼフ・ゲッペルス(1897-1945)


ゲッペルス(ナチスドイツ国民啓蒙・宣伝大臣)より性質(たち)が悪い…私個人の感想ですが…

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【 スパイダーマンがやって来た!】

アメリカNBCニュース 10月17日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

スパイダーマンの扮装をした、アメリカン・ナショナル・スカイラインの高層ビルの窓清掃作業員が、垂直懸架装置を使いラボネール小児病院の病棟の窓を拭いているところです。
喜んで出迎えているのは3歳の入院患者、オーランド・ファーマーです。
2012年10月17日、テネシー州メンフィスにて。

アメリカン・ナショナル・スカイラインの従業員は、スーパーヒーローの衣装を身に着け、仕事に出かけて行きます。

【 内戦再発に怯えるレバノン、政治危機・宗派間の対立が深刻化、各所で銃撃戦 】

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双方の指導者、事態の鎮静化を呼びかけ

ドミニク・エヴァンス、アンガス・マックスワン/ロイター/アメリカNBCニュース 10月22日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

先週上級情報将校が暗殺され、シリア内戦の余波で緊張が高まる中、レバノン軍はこれ以上騒乱が拡大するのを防ぐため、実力行使に出ることを宣言しました。

軍司令部は、政治勢力各派に対し、これ以上対立を煽るような行動に出ないよう警告する公式声明を発表しました。
これは22日月曜日朝、ベイルートの南郊で軍と武装勢力の銃撃戦が発生し、5人が負傷した事態を受けての処置ですが、一部はタイヤを燃やすなどして道路封鎖を続けています。

レバノン北部の都市トリポリでは、前日の夜から朝まだ続いた騒乱により、9歳の少女1人を含む4人の市民が死亡、12人が負傷したことを、治安当局、病院それぞれが確認しました。

22日朝になっても、がれきが燃え続けるベイルート市内。


レバノンは長く続いた内戦の後、微妙な政治バランスの上に均衡を保ってきました。
しかし隣国シリアで続く内戦が徐々にレバノン国内にも影響し始め、シリア政府に近い立場のレバノン政府とバシャール・アサド大統領に反発を強める人々との間の対立が先鋭化し、各所で衝突事件が起き、かつての内戦のような新たな流血の時代の訪れが懸念されています。

シリア政府への反対の立場を鮮明にしていたレバノンのウィサム・アル・ハッサン准将が19日金曜日、自動車爆弾によって暗殺され、国内の緊張が一気に高まりました。
多数の政治家が今回暗殺の背後にはシリア政府の存在があると非難し、20日日曜日、ハッサン准将の葬儀が終わると、怒りに駆られた民衆が中央政庁に押し掛けました。
民衆の指導者はナジブ・ミカティ首相の辞任を要求しました。
現政権はシリア政府に近すぎ、レバノンの軍事勢力のヒズボラがミカティ首相の私兵と化していると非難しました。

治安回復のため派遣されるレバノンの正規軍。


「この数時間、事態は極めて重大な危機的状況に陥り、各所で続く対立による緊張は、かつてない程高まっている。」
この事態に対し、郡当局が声明を発しました。
「我々は治安の回復のため、そして殉教者であるウィサム・アル・ハッサン准将暗殺のような事件が2度と起きないよう、宗派対立、政治的対立により著しく緊張が高まっている国内のあらゆる場所で、最終手段に出る用意がある。」

21日月曜日、装甲兵員輸送車によって運ばれてきた重装備の兵士たちが、各官庁の建物と周辺の交差点などに展開し、有刺鉄線とコンクリート・ブロックを使って一帯を封鎖しました。

軍事衝突に巻き込まれることを恐れる一般市民は自宅から一歩も出ず、このためベイルート市内は普段とは全く異なる静寂に包まれました。
ふだんは交通渋滞で身動きもままならない交差点を通る車は一台も無く、人でごった返すはずのカフェは店を閉めるか、開いてはいても客は一人もいませんでした。

レバノンの人々は1975-1990年の15年間続いた内戦を忘れることはできません。
ベイルートは虐殺の場の代名詞となり、街の大部分ががれきの山と化しました。

子どもたちの通学に付き添う父親。10月22日ベイルート市内。


内戦の終了後、人々は懸命に再建に取り組みました。
その結果地中海と中東を結ぶ交易と金融の中継地として、そしてもともと『地中海の真珠』と言われた程の観光資源を生かし、再びこの地に繁栄を取り戻したのです。
そのすべてが今、再び脅かされようとしています。

▽市街戦

21日朝の衝突は首都ベイルートの南郊にある、スンニ派イスラム教徒とシーア派イスラム教徒が隣り合って暮らすタリク・アル・ジャディタ地区で発生しました。
この地の住民は両派の武装民兵が、小銃やロケット・ランチャーを装備している姿を目撃しました。
トリポリでは9歳の少女が狙撃兵によって殺害された他、2名が死亡しました。
救急隊は他に9名の負傷者を搬送しました。
情報によれば死亡したのはスンニ派イスラム教徒の男性2人で、アラウィ派イスラム教徒との間で銃撃戦、ロケット砲の打ち合いにより死亡しました。
この日の衝突で、アラウィ派イスラム教徒の居住地区では女性1人が死亡、他に3人が負傷しました。
トリポリではシリア内戦で対立する2派にそれぞれ同情的な、スンニ派イスラム教徒とシーア派イスラム教徒の衝突事件が度々起きていました。

レバノン政府の正規軍。


数千人が参加してベイルートの繁華街マルティル広場で、国家の最高の栄誉が与えられたハッサン准将の葬儀が行われましたが、式の進行とともに人々の興奮が高まっていき、結果的に暴力のエスカレートにつながってしまいました。
葬儀の終了とともに数百人の参加者が、近くの首相官邸を襲撃しようとし、これを鎮圧しようとして治安部隊が催涙ガス弾を発射し、さらには空に向け威嚇射撃を行いました。

▽暴力をやめるよう野党指導者が呼びかけ

「暴力はやめてください。政府の追及は必要ですが、それは平和的手段で行わなければなりません。通りにいる皆さん、武器をしまってください。」
サート・アル・ハリリ元首相が日曜日の夜、このように呼びかけました。
今回の危機は、すでに19ヶ月の間続いているアサド政権に対する武装蜂起が、隣国レバノン、トルコ、ヨルダンに波及してしまうことへの国際社会の懸念を裏書きすることになりました。

シリア国内ではスンニ派が率いる反乱軍が、アサド政権打倒のために戦っています。
アサド大統領自身はシーア派イスラム教の、さらに分派である少数派のアラウィ派に属しています。
そしてレバノン国内でも、アサド政権を支持するアラウィ派と、対立するスンニ派イスラム教徒との居住地区は明確に分かれているのです。

ハッサン准将の国葬


亡くなった47歳のハッサン准将は、8月に発生した爆弾テロに関わったとして、レバノン政権内でアサド政権を支持していた閣僚を逮捕に関わりました。
スンニ派イスラム教徒である准将は、2005年にも当時のラフィク・アル・ハリリ首相暗殺事件の捜査を行い、シリア政府とシーア派の武装組織ヒズボラが関わったことを明らかにしました。

▽シリア政府とヒズボラ、ハッサン准将暗殺を非難

ミカティ首相は、国家内の分裂を防ぐため辞任を申し出ましたが、ミカエル・スレイマン大統領はともに政治的危機を打開することが先決だとして、慰留しました。

アメリカ合衆国、中国、ロシア、英国、フランス各国から派遣された特使がスレイマン大統領に面会し、事態を平和的に解決することの大切さを説きました。
各国の特使は、各派の政治家同士による話し合いにより、事態を収束に向かわせようとするスレイマン大統領の取り組みへの支持を表明しました。


西側の外交官の一人が、ミカティ政権継続の可能性について尋ねたロイターの取材に、こう答えました。
「いますぐどうこうという事にはならない、その可能性は、昨日より今日の方が高くなっていると思います。しかし、宗派間の対立を解消し、治安を回復するには相当の時間がかかるでしょう。」

http://www.msnbc.msn.com/id/49500505#.UIXjmmcyXq4

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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