星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » 

【 発生から2年、さらに明らかになる福島第一原発事故の真相 】〈第2回〉[フェアウィンズ]

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

広告
広告

東京電力の最新公開資料を、ガンダーセン氏が詳しく検証
( ビデオ4:00 ~ )

アーニー・ガンダーセン / フェアウィンズ 12月17日

MORE LESSONS FROM THE FUKUSHIMA DAIICHI ACCIDENT: CONTAINMENT FAILURES AND THE LOSS OF THE ULTIMATE HEAT SINK from Fairewinds Energy Education on Vimeo.

ではスライドの19番に移りましょう。
東京電力が3号機の格納容器で何が起きたのかを検証しています。
皆さんも黒い爆炎がまっすぐ1マイル(1,600m)ほどの高さに、立ち上ったシーンを憶えておられると思います。
東京電力は1,000kg程の水素が何らかの理由で漏出したことにより、爆発が起きたのではないかと考えています。
つまり3号機の爆発原因は1,000kg程の水素であるとしているのです。
スライドに移された画像の下の方を見てみると、1,000kg程の水素が格納容器の底部の方に滞留している様子が描かれています。
そしてこの水素は底部から原子炉建屋内を上昇して行きます。
水素は空気より軽いために建屋内を上昇する、という点は理にかなっていますが、東京電力はその空気より軽い水素が始めになぜ格納容器の底部に滞留していたと仮定するのか、その点に関する説明は行っていません。

そしてもう一つの問題、なぜ水素が格納予期の外に漏れ出したのか、この点についても東京電力の説明はありません。

私は三号機の爆発が即発臨界によるものだと申し上げました、ただし、核燃料プール内で発生したためある程度臨界速度は遅くなりましたが、真上に上昇する力を作り出しました。
これに対し東京電力は、爆発原因を格納容器の『底部に滞留した水素』だとしています。
なぜ水素がそこにあったのか、これが第2の問題点であることを頭の中にとどめ置いてください。

きわめて重要な要素が、東京電力が制作したスライド19番の一番下に記されています。
東京電力はこれが爆轟(デトネーション)であった事を認めています。
思い出しいただきたいのですが、爆発物の燃焼速度が音速を超えること。衝撃波が作られ、大きな破壊力を持ちます。
そして、爆轟(デトネーション)が持ち衝撃に耐えられる原子炉格納容器というものは存在しません。

ここに至って東京電力が、原子炉1号機などのの爆発が爆燃(デフラグネーション : 燃焼の伝搬速度が亜音速のもの。超音速の爆轟と区別される)では無く、私の見解と同じ、爆轟と認めた事を歓迎したいと思います。
ですから原子力規制委員会がまずやらなければならないのは、格納容器からの漏出はあるのだ、という事を認める事です。
そして次に認めなければならないのは、爆轟によって原因が作られるのだ、という事です。

私は福島第一原発の事故発生以来、原子力規制委員会の見解をきわめて詳細に検証し続けてきましたが、爆轟(デトネーション)が原子炉格納容器にどのような影響を及ぼすか、その事に言及した委員は一人もいません。
検証の結果、原子炉格納容器は爆轟によって破壊され得る、それが現実になったのが福島第一原発三号機の爆発である、という事実が明らかになりました。しかし原子力規制委員会は、ただひたすら目をそむけ続けています。

この東京電力のスライドショーは、原子炉格納容器について2つの事実を明らかにしました。
ひとつ目は、原子炉格納容器から気体がもれだしたという事。
原子力規制委員会がこの事実を認めれば、今後原子力発電所事故の際の避難区域の設定や住民の避難に関する大きな手がかりを得られるに違いありません。
そして2つ目が原子炉格納容器は爆轟(デトネーション)によって破壊され得るということです。

前回もお話ししましたが( http://kobajun.biz/?p=5311 )、福島第一原発3号機は爆発の結果、通常の手順、つまり原子炉建屋内に設備されているクレーンで、使用済み核燃料プールからの核燃料の取り出しはできなくなりました。
この損傷は爆燃(デフラグネーション)によるものではなく、爆轟(デトネーション)によるものである事も確認済みです。
しかし原子力規制委員会はそんなものは起きるはずは無い、と偽り続けています。
繰り返しますが爆轟(デトネーション)は起きました。
この反証を確かなものにするため、私たちは格納容器の問題について、水爆発によ利音速を超える衝撃波が作られ得る、すなわち爆轟は起きる、という事を証明してみせる必要があります。

もはやこれはマーク1型原子炉の設計は古すぎる、ということだけに留まらない問題です。

現在ジョージア州ヴォーグルで建設が進んでいる新型(第3世代プラスと呼ばれている)のAP-1000型原子炉についても、その格納容器が爆轟(デトネーション)が作り出す衝撃波に耐えられるという保証は無いのです。
格納容器の強度が現在の規定ぎりぎりの性能しか持っていないと仮定した場合には、爆轟(デトネーション)により、その密閉性は失われる事になります。
これは原子力産業界が、これから先原子炉格納容器の強度について設計制作を行う際、教訓として受け止めるべきものです。
〈つづく〉

http://www.fairewinds.org/content/more-lessons-fukushima-daiichi-accident-containment-failures-and-loss-ultimate-heat-sink
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 これが北極の現在の姿 】

アメリカNBCニュース 12月23日
(クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

北極点
(写真)ご覧いただいているのは、アメリカ政府雪・氷データセンターが公表したデータを基に、2012年12月22日時点での北極海の氷の範囲を、NASAの北半球の写真の上に示したものです。オレンジ色の線は1979年から2000年の同じ日、北極が氷結していた範囲の平均値を表しています。

最近になってサンタクロースは、プレゼントをクリスマス前までに届け終わろうとてんてこ舞いしている様子を、誰かにのぞき見られているような感覚を持っているかもしれません。
実はそれは間違いではありません。

地球の様子をモニターしている衛星は毎年、サンタクロースの工房がある北極を監視し続けています。
衛星がもたらした画像の分析結果は、サンタクロースの今後の活動に影響を与えかねないという懸念を抱かせるものです。

掲載されている写真は、ペンタゴンのDMSP-F17衛星の観測結果のマイクロ波データを基に、北極海の氷結範囲を表したものです。
写真には1979年から2000年の同じ日、北極が氷結していた範囲の平均値がオレンジ色の線で描かれています。

12月始め、アメリカ海洋大気局は『北極年次報告書』の中で、北極圏の氷河と氷結範囲が今年記録的な範囲にまで後退したこと、そして海面が上昇したことを伝えました。
そして、この変化が北極圏の生態系に影響を与えていると報告しました。
例えば海洋中の植物プランクトンが爆発的に増えている一方、北極キツネやレミングなどの生存が脅かされています。
その影響は遠く南極圏にまで及んでいます。
「北極で起きることの影響が、北極圏内だけに留まることはありません。」
アメリカ海洋大気局の部門責任者、ジェーン・ラブシェンコがこう語りました。
「私たちは、北極の大気と海洋の変化が、全地球的な気象状況に影響を及ぼす様子を見てきたのですから。」

122602
(写真)こちらは、2011年12月21日にNASA宇宙飛行士ダン・バーバンクが撮影に成功した、彗星が地球の大気圏に突入する瞬間の写真。

【 発生から2年、さらに明らかになる福島第一原発事故の真相 】〈第1回〉[フェアウィンズ]

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

広告
広告

東京電力の最新公開資料を、ガンダーセン氏が詳しく検証

アーニー・ガンダーセン / フェアウィンズ 12月17日

MORE LESSONS FROM THE FUKUSHIMA DAIICHI ACCIDENT: CONTAINMENT FAILURES AND THE LOSS OF THE ULTIMATE HEAT SINK from Fairewinds Energy Education on Vimeo.

今回ご紹介するビデオにおいて、フェアウィンズは東京電力の最新の公表資料を検証しています。
事故発生から約2年が経過して東京電力が発表した報告を検証し、アーニー・ガンダーセンが福島第一原発3号機の爆発について、これまでずっと『爆轟(ばくごう - 詳細は http://kobajun.biz/?p=5311 )』だとしてきましたが、今回その見解の正しさを再確認しました。
さらに原子力規制委員会は、福島第一原発の各原子炉の緊急時冷却装置(最終的放熱手段)が、押し寄せた海水、津波、あるいは傍聴設備の欠陥により破壊されたとする見解を否定してきましたが、アーニー・ガンダーセンはこの事実の存在を主張してきました。
このふたつの問題に福島第一原発にあった古い型の原子炉がもつ欠陥がどうかかわったのか、最新型原子炉AP1000の検証と併せてご説明します。

アーニー・ガンダーセン

こんにちは、フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。

福島第一原発の事故が起きてから、2度目の師走がやって来ました。
今回このビデオを制作した意図は、原子力安全委員会が世界に対しこの事実を報告する以前、2011年時点ですでにフェアウィンズが、福島第一原発の厳しい状況について明らかにしていたという事を再確認したい、という点にあります。
私は、原子力安全委員会がこのビデオを詳細に検証すれば、フェアウィンズの視聴者ならすでに把握済みの、『福島第一原発のこの2年間の真実』について、ありのままを認めざるを得なくなる、そう考えています。

私が今日お話ししたいテーマは2つあります。
ひとつ目は原子炉格納容器の果たすべき役割について、もう一つはもし原子力発電所で冷却機能が機能しなくなった場合、私たちが最終的放熱手段と呼んでいる装置がどうなるか、と言う問題です。

さあ、正確な検証を始めましょう。
ひとつ目は原子炉格納容器の果たすべき役割についてです。
東京電力はこの9月、福島第一原発の事故を検証した報告書をIAEA(国際原子力機関)に提出しました。
この報告書は福島第一原発で発生した爆発について、徹底した検証を行っています。
この報告書では2012年になって新たに判明した事実の検証結果が大幅取り入れられ、2011年に作成された報告書とは見解を異にしています。

さて、これまでフェアウィンズのサイトをずっとご覧いただいてきた方ならお分かりでしょうが、東京電力も2012年になってやっと福島第一原発の事故の本当の問題に気がついたようです。

報告は福島第一原発の現場において作成されました。
スライドの7番を見てください。
7番は東京電力によるマークⅠ型原子炉の気密性の検証試験です。
あなたが今ご覧になったのは、マークⅠ型原子炉のボルト止めしてある「はずの」ふたが圧力によって持ち上がる様子をシュミレーションした有名なシーンです。
アメリカの憂慮する科学者連盟は2011年、検証の上この問題の存在を確認しました。
そしてついに東京電力も2012年になり、多少見解が異なることを前提にではありますが、この分析結果を受け入れ、マークⅠ型原子炉の気密性に欠陥がある事を追認することになりました。

フェアウィンズではこの事実について、2012年2月6日すでに報告していました。( http://kobajun.biz/?p=1858 )。
しかしもっと重要なことは、原子力規制委員会は1976年、すでにその事実を把握していたという事の方です。

マークⅠ型漏出
原子力規制委員会は1976年ごろ、このブランズヴィック原子力発電所で行われたストレステストの結果を見て、マークⅠ型原子炉には格納容器内の圧力上昇によりふたが持ち上がってしまうという欠陥があるということを把握していた、という点にまずご留意ください。
そしてこの東京電力が制作したスライドの7番を見てください。
まさにマークⅠ型原子炉格納容器のふたが持ち上がり、そこから水素が漏れ出していたのです。
何という事でしょう!
そしてこのスライドでは、格納容器の底部にある圧力制御部分との連結部、この部分からも漏出が起きていたことが疑われています。
つまりは密閉構造ではあっても、機体の漏出が起き得る、という事を証明しているのです。
そしてご覧ください、このスライドの7番は、福島第一原発の事故が起きる半年前、私もその場にいましたが福島第一原発の事故の半年前に開催された会議での原子力規制委員会の見解、そして原子炉格納容器の密閉性について検証を行う諮問会議が出した見解、そのいずれに対しても完璧な反証となっています。

福島第一原発の事故に関する検証を行った際、原子力規制委員会のスタッフは格納予期の諮問会議に対し、格納予期の密閉性は完璧なものであると答申したのです。
しかし福島第一原発は1度ならず、2回でも終わらず、3度に渡り格納容器からの気体の漏出を引き起こしたのです。
しかし原子力規制委員会はそれでもなお、当初の見解を撤回しようとはしていません。
未だに原子炉格納容器の密閉性について、基本的に問題は無いとの立場を変えていないのです。
〈つづく〉

http://www.fairewinds.org/content/more-lessons-fukushima-daiichi-accident-containment-failures-and-loss-ultimate-heat-sink
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

この記事が掲載されている[フェアウィンズ]のページには寄付のお願いが掲示されており、私もPayPalの自分の口座を使い寄付の手続きをしようとしたところ、『日本円を基準にした、海外への寄付は現在はお取り扱いできません』と表示され、手続きが途中で打ち切られてしまいました。
改善を望みたいところです。

しかし、国際放射線防護委員会のメンバーなど、『御用学者』にはふんだんに金が回ってくるようなのに(原資は私たちが支払う電気料金)( http://kobajun.biz/?p=6858 )、ガンダーセン氏のような『善意の啓発者』は常に金で苦労しているこの状況、何とかならないものでしょうか?
嘆いてばかりではどうにもなりません。
やはり、ドイツでの取り組み『脱電力会社へ!』「すでに国内企業の3分の1が、使用電力を自家発電に切り替え済み」
( http://kobajun.biz/?p=7132 )を、私たちも見習ってくしか無いようです。
アメリカ、ニューヨーク州の知事も「現在の電力事業は、人間の顔を持たない官僚機構に支配された独占事業」であり、「もう時代遅れだ!」と言ってくれているのですから( http://kobajun.biz/?p=6721 )。

  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 寒波到来 】

アメリカNBCニュース 12月20日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
122207
モスクワ、赤の広場で。12月20日

122208
自宅前の車の進入路の除雪をする男性。アメリカ、アイオワ州アーバンデール。12月20日

122209
吹雪の中、立ちつくす女性。ブルガリア、ドブリッチ。12月20日

122210
こちらも吹雪。カンザス州ローレンス。12月20日早朝。

122211
インド、カシミール地方のロッジに向かうスキー客。12月20日

122212
ルーマニア、ブカレストで慈善団体が支給した、温かいスープをすするホームレスの男性。
ブカレストでは約5,000人の人々がホームレス、または似たような境遇にあり、毎年300人ほどの人が寒さや病により亡くなっています。

【 アメリカの原発、次々と『前倒し』で廃炉へ 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 14分

広告
広告

10年、20年の単位で早まる、アメリカ国内原子力発電所の廃止

グレンS.K.ウィリアムズ / アメリカAOLエナジー 12月18日

122305
アメリカが天然ガスとシェールガス開発に注目を続ける中、今や時代遅れとなった発電設備がゆっくりと退潮していくことに気づいた人は多くありませんでした。
今やアメリカにおいて、商業用の原子力発電所が事業を継続して行くことについては、その見通しは極めて難しいものになっています。

電力市場において、原子力発電に対する評価は厳しくなる一方です。

10年以上前、かなりの数の地方で、地域ごとに電力事業者から切り離した送電のための共同事業体(あるいは電力事業会社から独立した送電事業会社)を編成し、電気料金を市場原理により決定する仕組みを作りました。
今日アメリカ合衆国内では、この送電事業共同体と送電事業会社が併せて10社になり、卸売電力はオークションにかけられ、数分ごとに取引されています。

アメリカの送電事業共同体

アメリカの送電事業共同体


電力オークションは飽くまで電力の取り引きであり、発電所は関係ありません。
オークションに参加する企業は発電手段には関心はありません。気にしているのは入札価格だけです。
関心は最終落札価格に集中します。この価格がすべての参加企業に影響するからです。
落札価格が『市場決定価格』と呼ばれる理由がここにあります。

この市場決定価格と発電コストとの差額が、発電事業者の利益の総額になります。厳密には最終落札価格によって利益が決定するのであって、入札開始価格に含まれる売上総利益にはほとんど利益は設定されていません。
しかし発電コスト以外のすべての項目の収入は、発電事業者の固定費の償却に貢献します。

アメリカ国内にあるほとんどの原子力発電所は、たとえ『市場決定価格』が発電コストを下回ったとしても、様々な理由から『稼働させなければならない』発電所なのです。
最近では、いくつかの原子力発電所が採算割れするようになりました。
こうした原子力発電所では、関連事業によって赤字を補てんするか、内部留保を取り崩すかしか道は残されていません。

原子力発電事業の売上総利益も、必ずしも十分ではなくなってきました。
高騰し続けるあらゆるコストを負担しなければならない一方で、株主配当を行うための利益確保も必要です。
最近では原子力発電所は程々の利益を挙げてはいますが、必要とされるすべての費用を支払い、配当も行えるほどの利益は上げていません。

ケワウニー原子力発電所

ケワウニー原子力発電所


ドミニオン・リソース社の例を見て見ましょう。
最近同社は、所有するウィスコンシン州にある原子力発電所を、20年前倒しして閉鎖することを発表しました。
このウィスコンシン州ケワウニー原子力発電所について、同社は売却先を探していましたが、応じる社は一社もありませんでした。
ドミニオン・リソース社の競合各社はケワウニー原子力発電所の最近の財務内容について、おそらくは利益を上げられずにいたと見ています。

ケワウニー原子力発電所はネクストラ・エナジー社が所有するポイント・ビーチ原子力発電所のすくそばにありますが、二つの原子力発電所はほぼ同じ仕様を持ちながら、同じ市場で競合してきました。
こうしたことから、ポイント・ビーチ原子力発電所もいずれ、商業的に立ち行かなくなる可能性があります。

アメリカ国内には世界最大の数の原子力発電所がありますが、近接する原子力発電所同士同じような財政面での問題に直面しています。
エクセロン社は稼働中の10か所の原子力発電所、17基の原子炉を所有していますが、イリノイ、ペンシルヴェニア、ニュージャージーの3州に集中して立地しています。
いずれの原子力発電所も利益を上げることに四苦八苦しており、エクセロン社は株主に対し、いずれ配当金のカットに踏み切らざるを得ないと警告しています。

電力料金が旧来のままの州では状況は異なりますが、問題も残ります。

電力料金が旧来のままの州における状況は、はるかにましなものになっています。
電力需要は低下に向かっていますが、これらの州にある原子力発電所の財政状況に今のところ問題はありません。
旧来の電気料金体系によって守られています。

クリスタル・リバー原子力発電所

クリスタル・リバー原子力発電所


しかし、2か所の原子力発電所については、立地している州の規制当局の忍耐が切れかかっています。
ひとつはフロリダ州タンパ近くにあるデューク・エナジー社のクリスタル・リバー原子力発電所、もう一か所はカリフォルニア州南部にあるエジソン・インターナショナル社のサン・オノフル原子力発電所です。

いずれの発電所も予想をはるかに超えた高額なメンテナンス費用に、頭を抱えている状態です。
クリスタル・リバー原子力発電所にある原子炉格納容器の補修には20億ドル(1,600億円以上)を超える費用が見積もられていますが、州の規制当局はそれ程の費用をかける意味について疑問を持っています。

サンオノフル原子力発電所

サンオノフル原子力発電所


サン・オノフル原子力発電所も高額な費用を要する、予想外のメンテナンス問題に直面させられています。しかし同発電所が供給する2,350メガワットの電力が無くなると、カリフォルニア州は慢性的な電力不足に陥る可能性があります。
それでも、サン・オノフル原子力発電所の問題が明らかになった事により、原子力発電に反対する人々、そして政治家はこの問題に対する攻勢を強めています。
サン・オノフル原子力発電所は事業を継続することはできるかもしれませんが、早期の廃炉は免れないかもしれません。

ヴァーモント・ヤンキー原子力発電所

ヴァーモント・ヤンキー原子力発電所


エンタジー社は2つの州で同時に追いつめられています。
ヴァーモント州はヴァーモント・ヤンキー原子力発電所の廃止を20年早める様求めています。
同種の政治家と規制当局は、一日も早いヴァーモント・ヤンキー原子力発電所の操業停止を求めてあらゆる手段を講ずべく、奔走しています。

ニューヨーク州もインディアン・ポイント原子力発電所の廃止を、20年前倒しするよう求めています。同発電所がこれ以上操業を続けることを許さない決意です。
クォモ州知事は必要な電力はカナダからの輸入で十分賄うことが出来、供給の安定性も確保できるとの立場に立っています。
しかしその場合、ニューヨーク市に限っては現存の送電網だけでは実現が難しいため、全域に充分な電力供給を行うために、新たに送電網を整備する必要があります。

インディァン・ポイント原子力発電所

インディァン・ポイント原子力発電所


ニュージャージー規制当局は、エクセロン社のオイスター・クリーク原子力発電所の早期閉鎖について協議に入りました。
オイスター・クリーク原子力発電所は現在630メガワットの電力を供給していますが、2019年に10年前倒しで閉鎖される見通しです。

こうした動きは加速しています。2、3年かかるかもしれませんが、従来型の原子力発電所は計画を前倒しして閉鎖させられる圧力にさらされる見込みです。
電気料金の自由競争が起きている地域では、なおさらのことです。
いくつかの原子力発電所は、得られる利益を大幅に上回る管理費が必要となることを見て、運営企業も切り捨てるべき時が来たと判断することになるでしょう。

オイスター・クリーク原子力発電所

オイスター・クリーク原子力発電所


閉鎖されていく原子力発電に代わり、天然ガスがとって代わるかもしれません。
新開発のタービン技術、そして安い燃料経費により原子力発電に対する優位性を実現することになるでしょう。
しかし、天然ガスの価格が低廉なままであるのは、最新型原子炉の耐用年数と同じ60年間前後と見られています。

※ グレン・ウィリアムズは、20年間以上、原子力産業で働いてきました。
執筆の際、彼はいかなるエネルギー産業とも利害関係を持っていません。

http://energy.aol.com/2012/12/18/the-nation-s-nuclear-plants-are-nuked?icid=rfy/
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

整理しましょう。
アメリカの多数の原発で『前倒し』の廃炉が検討され始めたのは、次の2つのケースにおいてです。
1. 経済的に採算が取れなくなったため、電力会社自ら撤退
2. 原発が立地している地方自治体が、廃炉の前倒しを要求している

日本では今回の衆議院議員選挙で、脱原発派は候補者の一本化ができなかった上、準備不足も重なり、ほとんど結果を出すことが出来ませんでした。
その大きな理由の一つが、大政党に有利な『小選挙区制』という制度です。

しかし、これから繰り返される地方自治体の首長選挙には『小選挙区』はありません。
私が住んでいる仙台市の市長は、同県内の女川原発について廃止に反対する発言を繰り返し行っています。女川原発を運営する東北電力の本社が、仙台市内にある事が影響しているものと考えられます。
その仙台市長選挙が来年行われます。
全国においても、これから首長選挙が繰り返されていくはずです。

今度こそ、脱原発を表明している『野党』各党は、国民の願いを『実現』させるための取り組みを、責任を持って行うべきです。
あなた方は今回の衆議院選挙において、現実世界におけるどんな『勢力』も作りだすことが出来なかった。

もう拙劣な作戦を繰り返している余裕は無いはずです。
理路整然と立派な主張をして、脱原発を支持する人たちからだけ喝采を浴びていても、現実がどんどん望まぬ方向に進むのではたまったものではありません。
とにかくまずは自分たちの党勢の立て直し、ではなく、国民の願いをきちんと現実にしていくための受け皿を、しっかり作り上げていただきたい。

 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 パワフルなクリスマス・ツリー 】

アメリカNBCニュース 12月20日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

122205
14フィート(約4.2m)のクリスマス・ツリーは、シアトルのマグノリアにある平屋建ての屋根を突き破っているように見えます。
この家に住む建築家のパトリック・クルーガー氏は14フィートの樹を2本に切り分け、6フィートの上の部分を合板に据え付け、それを屋根にボルト止めすることにより、クリスマス・ツリーが屋根を突き破っているイリュージョンを制作しました。
マイノースウェスト・コムによると、クルーガー氏は、屋根が突き破られる際の物理的特性についてきちんと検証をした上で、このイリュージョンを制作したとのことです。

122206

【 クリスマス・シーズンのアメリカの前庭の光景 】

アメリカNBCニュース 12月20日

122227
ロス・アンジェルスの『キャンディ・ケーン』やメリーランド州ボルティモア『奇跡の34番街』など、アメリカの家庭の前庭が一番にぎわう季節がやって来ました。

カリフォルニア州ロス・アンジェルスのウッドランドヒルにある『キャンディ・ケーン』

カリフォルニア州ロス・アンジェルスのウッドランドヒルにある『キャンディ・ケーン』


カリフォルニア州サンフランシスコ

カリフォルニア州サンフランシスコ


アリゾナ州ギルバートのナタル・サークル

アリゾナ州ギルバートのナタル・サークル


アラスカ州モントゴメリー

アラスカ州モントゴメリー

【ドイツの大手企業、次々と自家発電に大規模投資】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 5分

広告
広告

フォルクスワーゲン社は2013年、必要な電力の4分の3を自家発電で賄う
ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 12月17日

122114
電力会社から電気を買うことをやめ、発電装置に大規模な設備投資を行い、自家発電に切り替えるドイツ企業が増え続けています。
背景には現在の政府のエネルギー政策への不安があるものと見られます。

かなりの数にのぼるドイツミー国内の企業が、次々と発電設備に対する積極的な設備投資を行っていると、ドイツ商工会議所連合会(DIHK)が17日月曜日に発表しました。
「ドイツ国内では3社に1社の割合で、自らの企業活動を行うために必要な全電力の発電を、再生可能エネルギーを含めた発電手段により実現させるべく、取り組みを続けています。」
ドイツ商工会議所連合会のハインリッヒ・ドリフトマン会長が日刊紙のフランクファーター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(フランクフルト日刊新聞)に語りました。

同会長によれば、ドイツ国内では業種を問わずこうした動きが見られ、その理由の中には「将来のエネルギー安全保障に対する不透明感」も含まれています。
ドイツ商工会議所連合会はドイツ国内の中小企業2,300社によって構成され、今回の結果はその独自の調査によって明らかにされました。

▼ 環境に負荷をかけない生産活動

122113
ドイツの自動車メーカーのフォルクスワーゲン社は、すでに必要とする全電力の半分以上を自家発電によって賄い、今後は外部の電力会社への依存をより一層減少させる方針を明らかにしました。
「私たちはドイツ国内の工場で必要としている電力の60%を、自家発電により賄っています。」
フォルクスワーゲン社の電力部門の広報担当、ヴォルフラム・トーマス氏が声明の中でこう述べています。
「来年の前半には、火力、太陽光、地熱、バイオマスを非常に効率的に組み合わせた自社の熱エネルギー発電所、そして再生可能エネルギーによる自家発電設備により、ドイツ国内のフォルクスワーゲンの全工場で必要とする75%の電力を自ら賄うことになります。」

さらに同社は今後5年間に、ブラジルでの太陽光発電、風力発電事業、そして第2世代の水力発電事業に約6億4,000万ユーロ(約700億円)を投資すると発表しました。
これに加えて同社は、前出の自社の熱エネルギー発電所においては石炭を天然ガスに切り替えることにより、二酸化炭素排出量削減にも取り組むと発表しました。

http://www.dw.de/german-firms-invest-in-generating-energy-themselves/a-16458655
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

福島第一原発の事故の後、日本国内で脱原発の世論が盛り上がった際、
「原発を止めると言うなら、生産拠点を海外に移転させるぞ。そうなればただでさえ少ない雇用機会が、ますます減ることになるぞ!」
と開き直った大手企業がありました。
本社ビルの屋上に、ブルドーザーがのっかっている会社だったと思います。
その時、「何と心無い事を言うのだろう…」と思ったことを覚えています。

ドイツの企業はもっとスマートな方法を知っているようです。
いや、実はドイツだけではありません。
ここ宮城県にある世界的に名の通った大手自動車会社の生産拠点は3.11を受け、この記事の中のフォルクスワーゲン社と同じ取り組みを始めました。
本当の一流とは何か、考える良い機会です。

  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 ドイツ東部にあるサンタのワークショップ 】

アメリカNBCニュース 12月10日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
121601
旧東ドイツ、ライプツィッヒの南郊にあるエルツゲビルゲは、長く続いた木工芸の歴史があります。特にクリスマス関連製品は有名で、喫煙人形、くるみ割り人形、クリスマス・ピラミッドなどが有名です。
121602
121603
121604

クリスマス・ピラミッドづくり

クリスマス・ピラミッドづくり

覚えていますか?「今日、世界は終わりを迎える」マヤの黙示録

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 10分

広告
広告

ステファニー・パッパス(ライヴサイエンス主筆)/ アメリカNBCニュース12月18日

アメリカ映画『2012』

アメリカ映画『2012』


世界終末予測は、打ち寄せる波のように一定の周期で定期的にやってくるようです。

UFOの熱烈支持者、そして福音の書の伝道者たちは、異口同音に世界に終わりが訪れる正確な日付を知っていると言います。
しかし、マヤの黙示録は、これまで明らかにされてきた最後の審判のどの日付とも大きく異なっています。
宗教学者によれば、マヤの地球最後の日付は、完全に民間信仰の中から生まれてきたものだと語ります。
これまで存在した黙示録は預言者によって編まれたものであり、しばしば未来についての予言を行い、それは神の啓示によって得られたものだと語るのが常でした。

これに対し、『世界は2012年12月21日に終わりを迎える』と言う予言はインターネット上に突如登場し、他のいかなる予測とも大きく異なっていました。

「世界の終末予測もまた、進化のプロセスをたどってきました。これらの確信に溢れた終末予測には、いずれも根拠とされるものがありましたが、いずれも現実のものとはなりませんでした。しかし、今年地球が終わりを迎えるとするマヤの予言もまた、こうした類いのものと言い切れるでしょうか?」
新興宗教の研究を専門とする社会学者、アルバータ大学のスティーブン・ケント氏がこう語りました。

いずれにしても、各種の黙示録に詳しい専門家の意見は、この世の中が失望に満ちた、救いがたい社会になってしまっている、そう見ている点で一致していると語ります。

▼ 世界の終わりの歴史、その概略

122130
黙示録的な視点は、数千年の歴史を持っています。
西洋文明の中で最初に終末思想が現れたのは、古代ペルシャ文明においてである、こう語るのはフィラデルフィアにある聖ヨゼフ大学の宗教学者であるアレン・カークスレッガー教授です。
古代ペルシャを支配していたゾロアスター教の根底にあるものは、善と悪との壮絶な戦いによりこの世界が終わりを迎えるという考え方である、カークスレッガー教授がライヴサイエンスにそう解説しました。

紀元前539年、ペルシャ人は古代ユダヤ帝国を征服しまし、その後200年間ユダヤ人を支配下に置きました。
ペルシャの支配以前、ユダヤ人には終末思想にほとんど関心はありませんでした。
しかしペルシャ文化の影響が及び、ユダヤ人たちの著作に終末思想が現れ始めました。
『死海の書』にもこうした記述が見られます。
そして初期のキリスト教に、その影響が及ぶことになりました。
「キリスト教における終末思想はユダヤ教から直接取り入れられたものですが、もとはと言えばゾロアスター教が起源なのです。」
カークスレッガー教授がこう語りました。

しかし世界の終末が最初に予測されたのは西暦1,000年でしたが、結局何も起きませんでした。
驚く必要もないことですが、西暦500年、1,000年が近づいたころ、この終末思想は大きな関心を呼びました。

その後、終末思想はその視線を宇宙に転じることになりました。
一例としてあげられるのは、1524年、占星術師が惑星直列により世界の終わりをもたらすとの予言を行ったことです。
しかし一向に世界の終末が音ずる気配は無く、この予言は、1528年から1624年まで、何度もその日付が修正されることになりました。

▼ 現代の黙示録

現代にあって地球の終末がやって来ることを解き続けているのは、『審判の日』の到来と昇天を信じる一部のキリスト教徒です。
その典型的な例が放送宣教師のハロルド・キャンピングであり、彼は2011年5月21日に審判の日が訪れると解き、ビルボードの広告枠を買い切って警告を行い、全国の注目を集めました。
審判の日に続き、10月には世界の終わりがやって来ると予言した彼は、2012年現在、審判の日の予測からは足を洗っています。

他には西洋社会の終末予想と新興宗教が結びついたものもありました。
1954年、故人となったシカゴに住んでいた主婦のドロシー・マーティンと彼女の崇拝者の一団が、同年12月21日、大洪水によって世界が水没すると予言しました。
そして彼女と同じ信仰を持つ者だけが、飛来するUFOによって救われると解いたのです。

このケースはこの教団の中に居た社会学者が1956年に刊行し、その後の教団の動向について報じた『予言が外れた時』という著作により、全国的に有名になりました。
教団は彼ら自身が信仰を高めるという努力を重ねたことが神の決心を変え、世界の終わりを回避することに成功したと説明することにより、予言が外れたことを正当化したのです。

▼ マヤの黙示録

バクトゥン

バクトゥン


マヤの予言については、世界の終末について非聖書的な立場をとっているという点で、ドロシー・マーティンの例に似ています。
マヤの黙示録に関心を持つ人々は、マヤ文明の144,000日(約394年)周期の『バクトゥン』という名の、非常に長い周期のカレンダーにその根拠を置いています。さらに長い周期、20バクトゥン(7,880年)のピクトゥンというカレンダーもあります。

2012年12月21日は、紀元前3114年頃から始まって13バクトゥンが終了する日とされており、古代マヤ人が創造した、ひとつの人類が誕生しそして滅亡するサイクルとされているのです。
しかし他の文明、宗教においては、この日には特別の意味はありません。
マヤの黙示録の背景にあるものについて、カナダ・モントリオールにあるコンコーディア大学の宗教学者であるロレンツォ・ディトマッソ教授は、世界中にある黙示録と共通していると語ります。
「社会の不公正、退廃、そして権力者の腐敗などの問題は、人間の自助努力、そして技術の進歩によっては解決されるものでは無い、と言う考え方です。」
ディトマッソ教授がライヴサイエンスにこう語りました。

しかし、カリスマ的指導者によって行われたこれまでの終末予言とは異なり、世の中の人々はいろいろな異なった根拠をマヤの黙示録の中に見出していると語ります。
「ロールシャッハ・テスト(被験者にインクのしみを見せ、それから何を想像するかによって人格を分析しようとしたもの)と同じことです。マヤの黙示録から何を導き出すのか、それはすべてあなた次第なのです。」

「いちばん深刻なのは地球環境の問題だと思いますか?
そう、まさに2012年、これまでで最大の問題になりました。
異常気象、頻発する巨大地震、そして放射能。
この地球は人類に対し、今、何を語ろうとしているのでしょうか?」

http://www.msnbc.msn.com/id/50235996#.UNJk3qz0cnU
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

そう言えば『2012』という、マヤの黙示録に基づくアメリカ映画のDVDが自宅にある事を思い出しました。
3.11の後に購入したので、家族は誰も見たがりませんでした。

3.11を思い出すたび考えるのは、原子力発電所の問題、活断層などの問題で、政府機関の委員や顧問を務め、根拠のない安全神話を吹聴してきた『専門家』たちのことです。
彼らは一般の人々はおろか、『地球の声』に対しても、聞く耳など持っていないようです。

 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 地球最後の日に備える人々 】

アメリカNBCニュース 12月18日

122123
アメリカユタ州にある自宅で、空気清浄機能を持つ『Sケープ(エスケープとセイフティ・キャップの語呂合わせ)のデモンストレーションをしてみせる、フィル・バーンズ氏、12月14日。
多くの人々がマヤの黙示録の予言に戦々恐々とする中、核戦争、天災、飢饉あるいは経済崩壊のような事態に陥った際、自給自足できる準備をしている人が大勢存在します。

122124
非常用バックパックの中身について説明するフィル・バーンズ氏。

122125
ユタ州ソルトレークのユタ・シェルターシステムを建設中の作業員。
このシェルターの建設費用は一基当たり51,800ドル(約436万円)から64,900ドル(約546万円)。

122126
自宅の食糧保管庫のチェックをするヒュー・ベイル氏。12月10日ユタ州バウンティフル。

122127
いざとなったら電気もガスも…まき割りをするヒュー・ベイル氏。12月10日。

122128
『全米非常事態に備える連絡協議会』の倉庫に、緊急用のキャンプ・ストーブを運び込む。12月10日ユタ州サンディ。

【 太陽光発電システムの導入、アメリカで爆発的ブームに 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

広告
広告

大幅に下がり続ける設備コストが追い風に
アメリカ国内産業も、中国相手に健闘

アメリカAOLエナジー 12月11日

122011
ここ3カ月の実績で2012年は、アメリカ国内の太陽光発電施設の設備数が過去最大を記録することになりました。
今後もさらに設備数が増え続けると見られています。

最新の四半期実績が全米太陽光発電協会(SEIA)とGTMリサーチ(Greentech Media / グリーンテック・メディア、主に再生可能エネルギーに関する調査研究を行う機関)により12月11日に発表され、7月~9月の第3四半期、アメリカ国内では684メガワットの太陽光発電装置が設置され、前の四半期よりは若干減少したものの、前年同期比では44%の上昇を記録しました。

この実績は四半期ごとのものとしては史上3番目の規模となり、2012年の第3四半期を終えた時点で全米での太陽光発電の設備実績は2011年の1,885メガワットを上回り、1,992メガワットになりました。
そして最終の10月~12月の実績が加われば、2012年の太陽光発電施設の設置数は、信じられない程大きなものとなるだろうと全米太陽光発電協会(SEIA)が声明の中で述べています。

過去の実績を見て見ると、第4四半期の太陽光発電システムの導入実績は、2010年、2011年ともに、他の四半期実績を上回っており、前年比もそれぞれ41%、42%増となっています。

全米太陽光発電業界の内部予測は、2012年の第4四半期の太陽光発電の設備量はこれまで同様大きくなり、発電規模で1,200MWと予測しています。
この数値は2012年に設備される太陽光発電システムの実績の38%を占めるというだけでなく、全米市場過去最高の記録を更新することになります。
全米太陽光発電協会(SEIA)とGTMリサーチによれば、2012年のアメリカにおける太陽光発電システムの導入実績は、前年と比較し70%増の3.2ギガワットを達成しました。
3.2ギガワットという太陽光発電能力は、アメリカ全土の50万世帯一般世帯の半分以上に電気を送ることを可能にします。

121611
一般住宅の太陽光発電システムの導入実績は、第2四半期の118MWを12%上回った第3四半期にピークを迎えました。
そして導入の際の契約については、購入よりもリース形式によるものが増々増える傾向にあります。
「第3四半期にはアリゾナ、コロラド、カリフォルニアとマサチューセッツ各州の一般住宅の太陽光発電システムの導入実績は、サードパーティ製のものが前期の57%から、91%にまで増えました。」
全米太陽光発電協会(SEIA)が声明の中でこう述べています。

2週前公表された政府のデータでは、太陽光発電システムのコストの低下によるメリットは、一般家庭がより多くその恩恵を受けていることが明らかになりました。
発電所レベルの大規模システムと比較すると、一般家庭用の小規模太陽光発電システムの価格低下の方が、より一層進んでいることが明らかになったのです。

2012年の第3四半期においても、アメリカ国内の太陽光発電システムの価格は、下降傾向をたどりました。
第2四半期から第3四半期にかけ全国的に、産業用太陽光発電システムの価格が15セント下がって4.18ドル/Wになったのに対し、家庭用は5.45ドル/Wから5.21ドル/Wになり、24セント下がりました。
平均的な発電所における発電コストは現在2.40ドル/Wですが、一般家庭用、産業用、発電コストすべてにおいて価格の低下が続いており、昨年度の第3四半期と比較すると、30%の価格低下が実現しました。

それでは効力を発揮し始めた、対中国ソーラーパネル輸入関税の導入により、この状況に変化はあるのでしょうか?
この問題に関する報告書の骨子においては、以下のように記述されています。

2種類の太陽光発電装置の価格の推移

2種類の太陽光発電装置の価格の推移


アメリカ国際貿易委員会(ITC)が中国の太陽光パネル製造メーカーに対するダンピング禁止条項、相殺関税調査に関しては、すでに裁定を行っています。
GTMリサーチによれば、台湾製品を組み込んだアメリカ国内で生産される太陽光パネル製品も含め、この関税が実態価格に影響する幅は0.10ドル/ワット以内の幅に留まるだろうと見られています。
この程度の影響に留まるのであれば、アメリカ国内の産業保護のため中国の製造業者に対し、関税分の価格引き下げ禁止を申し渡す必要は無いと述べています。

第3四半期に最大規模の太陽光発電システムの設備を行ったのはカリフォルニア州で193.6メガワットの設備を行いました。ユマ郡でアクア・カリエンテの巨大太陽光発電システムを完成させたアリゾナ州が192.1メガワットで僅差の2位につけました。
3位はだいぶ差がつきましたが、69メガワットのニュージャージー州でした。

http://energy.aol.com/2012/12/11/us-solar-pv-installs-set-record-with-more-to-come
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

上記のようなニュースは、日本のメディアが全く取り上げません。
3.11発生以来、毎日アメリカやヨーロッパなどのメディアをチェックしてきました。
その中、日本の大手マスコミが伝えたような「アメリカはとにもかくにも、日本に対し原子力発電の継続を望んでいる」などという報道にはお目にかかったことが無いのです。

アメリカの代表的メディアを2年近くチェックしてきてわかったことは、アメリカの代表的世論は、福島第一原発4号機核燃プールの状態、原発難民への不当な扱い、そして六ケ所村を中心に目的不明のまま、日本がプルトニウムを大量に貯めこんでいることの方を懸念している、ということです。
これらの問題を放置するな、というアメリカ側のメッセージが、日本国内の報道では
「原子力発電を、今止めるべきではない。」
という内容に書き換わっているケースが目立ちます。

Shame on you!
思い浮かぶのは、この言葉です。

  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 世界一厳しい日本の銃規制。その効果のほどは?】

アメリカCNNニュース 12月18日

スマートフォンの方は
http://cnn.com/video/?/video/bestoftv/2012/12/18/exp-guns-japan-amanpour.cnn

日本では、1丁の拳銃も買うことはできません。まして殺傷能力の高いライフル銃などはもってのほかです。
これは事実ですが、日本ではたとえ警察官であっても、非番の際の拳銃の携行は禁止されています。

ショットガン、あるいはエアー・ライフルなら購入することが出来ますが、それだって簡単なことではありません。

まず講習を受け、次に筆記試験に合格しなければなりません
合格したら射撃場で実技の試験があります
次は薬物検査
そして、精神鑑定も受けなければなりません

これらの条件をすべて満たして初めて銃の所持が許可されますが、あなたのファイルは警察に保管され、定期的にチェックを受けることになります。

疑いなく日本は、世界で最も銃規制が厳しい国です。

でも効果はあるのでしょうか?

2008年、銃犯罪によるアメリカ国内の死者は12,000人に達しました。
同じ年、日本の犠牲者は11人です。
今回のコネティカット州ニュータウンの無差別発砲事件では、その倍以上の人々が一度に殺されてしまいました。

【 国民の信任を得ることなく、大勝した自民 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 13分

広告
広告

軍事支出を増大させ、平和憲法を改正すること、本当にそれが日本人の望み?!

チコ・ハーラン / ワシントンポスト 12月16日

2011年3月15日付のワシントンポスト

2011年3月15日付のワシントンポスト


12月16日日曜日、日本の有権者は政権を再び自民党の手に渡しました。
第二次世界大戦の終了から2009年まで、途切れることなく日本の政権の座に座り続けた大政党の自民党の政権奪還はまた、これまで政権担当者の誰もが解決できなかった、大きな経済問題をも引き継ぐことになります。

投票が締め切られた後、衆議院議員選挙は現政権に対する国民の反発を、一層強調した結果となりました。
日本の公共放送であるNHKは、衆議院の定数は480ですが、自民党が前回118だった議席数を294にまで増やしたことを伝えました。
一方政権の座を追われることになった民主党は、選挙前の240から57にまで議席を減らし、景気を一層悪化させ、中国との領土紛争の処理を誤ったことに対する批判の大きさを物語りました。

この選挙結果により、国家主義者として知られ、2006年から2007年にかけ366日間一度首相を務めたことがある自民党総裁の安倍信三氏が、二度目の首相を務めることになります。
安倍氏は野田首相の代わりに首相に就任しますが、この20年で14度目の首相交代となります。

これ程頻繁に首相が交代してきた背景にあるものは、延々と続く政治抗争、そして高齢化が進み労働人口が縮小していく中、近代化された社会ではあっても世界でも最高水準の公的負債を抱え込んでいる状況には、簡単な解決の道など無いという事実です。

自民党は連立政権を組む公明党が31議席を得たため、衆院定数480の3分の2にあたる320議席に達することになります。この結果、憲法59条に基づき、民主党が多数を占める参院で否決された法案を衆院の再可決で成立させることが可能になり、自民党はいくつかの制約から解放されることになります。
16日深夜、民主党の大敗が決定的となり、野田首相は「厳しい結果に対する責任を取って」民主党の党首を辞任しました。

2009年に政権の座を降りたとき自民党は中道派でしたが、公共事業投資によるばらまき政策により農村部の支持を固める手法を長年用いてきました。
しかし安倍氏は、自民党にどんどん右寄りに舵を切らせる役割を果たし、今回の選挙でも『日本を取り戻す』というスローガンを掲げていました。
軍事支出を増大させ、平和憲法を改正することを優先事項に掲げる安倍氏の姿勢が国民の意向と一致しているのかどうか、2度目となる首相就任期間がそのことを明らかにするだろうと、多くの政治評論家が見ています。

安倍氏はまた、中国との紛争の原因になっている尖閣諸島に政府職員を常駐させたいと語っており、そうなれば中国側を激怒させることは必至であり、地域的な軍事衝突が発生した場合には日米の軍事同盟に基づき、アメリカ政府は日本側に立っての対応を迫られる可能性があります。

121902
安倍氏は首相就任後の最初の海外訪問先としてアメリカを訪れたいと語り、日米の関係改善に取り組む意向を表明しました。

自民党は16日地滑り的勝利を得ましたが、その支持率は20%台であり、これではとてものこと国民の信任を得たと言う事はできません。
数多くの小選挙区で自民党の候補者は多数の有権者の信任を得ることなく、当選者となりました。
12党が乱立しての選挙戦で、漁夫の利を得たのが自民党でした。
世論調査の結果は、2007年腸の病気を理由に首相を辞任したころと比較しても、それ程人気があるわけではないことを表しています。

「地滑り的勝利は、国民の圧倒的支持を得たことを意味してはいません。」
どの党派にも与(くみ)しない政治評論家の板垣英憲氏が語りました。
「自民党の幹部はこの点を心にとどめ置き、思い上がった態度をとらないよう注意すべきです。」

安倍氏が国民の大きな支持を得たいと考えるなら、論争の的となっている軍事問題は後回しにし、まずは国民が優先課題だと考えている経済問題の解決に焦点を合わせるべきだと、専門家は指摘します。
今回の選挙戦で安倍氏は、不動産市場と株式市場のバブルの崩壊により、20年以上も深刻な不況に落ち込んだままの経済問題に、演説時間の半分以上を費やしました。

安倍氏が唱える景気対策は、歳出削減を中心に据え、消費税増税について議会から承認を取り付けた緊縮財政派の野田首相とは対照的なものです。
安倍氏は大規模な財政出動を行う事を唱え、市場から歓迎されました。
日本をインフレに誘導することが彼の首相としての、最優先事項であると日曜日夜、強調しました。

安倍氏は現政権が目標としている1%を上回る、2%のインフレ目標を設定し、このために日銀に対しもっと積極的に紙幣増刷に踏み切るよう、必要なら無制限の金融緩和を行うように求めています。
安倍氏は日銀に国債の買取を命じることにより、その独立した権限を取り上げると脅した事すらあります。
安倍氏は金融緩和策により、建設事業に大規模な出費を行おうとしています。

12190
自民党は、これからの10年間に、現在の日本の国内総生産の40%に相当する約2兆3,800億ドル(約195兆円)を、地震、津波対策を中心とする公共事業に費やそうとしています。

この政策について専門家は、歳出が歳入を大幅に上回れば、インフレが天井知らずの規模で進行し、日本の公的負債が際限も無く膨らむ危険性があると指摘しています。
そうなれば日本の債務返済能力について、世界中の投資家の信頼を失うシナリオが現実になる可能性があります。

景気回復にのみ重点を置く政策は、また別の負担を国民に強いることになります。
昨年発生した福島第一原発の事故により国民の間に脱原発の機運が高まっていますが、重要な発電手段として原子力発電が見直されることです。
先に民主党政権は2040年までに原子力発電を廃止する方針を打ち出しました。
これに対し自民党はこの方針を廃止するだろうと、日本の共同通信社が伝えました。

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/opposition-party-wins-japanese-parliamentary-vote/2012/12/16/354b25e0-4780-11e2-ad54-580638ede391_story_1.html
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

おおざっぱな言い方をすれば、日本の経済界、特に大企業が雇用や労働分配率を軽視しても利益を貯めこむことに腐心するのは、アメリカを中心とする、もっとはっきり言うならウォール街の金融資本に敵対的買収を仕掛けられないようにするためです。
経費を削り、利益を上げてできるだけ配当を行い、敵対的買収などの際に株主が株式の譲渡に応じないようにしなければなりません。

ウォール街などの外資により買収された企業の運命は、実に悲惨なもののようです。
一言で言えば、新たに企業の役員として収まり信じられないほど高額のサラリーを取った上で、搾り取れるだけ搾り取って外資に利益を移し、後は古雑巾を捨てるようにして去っていく。
折しもNHKの朝の連続テレビドラマで、大阪の老舗ホテルが外資に乗っ取られるエピソードが紹介されていましたが、そのあこぎを通り越した実際のやり口については、神谷秀樹氏著『強欲資本主義・ウォール街の自爆』(文春新書)を一度お読みになってみてください。

日本は世界有数の経済大国になった事により、好むと好まざるとに関わらずこうした舞台に乗ってしまったわけですが、まずは経済が優先という理由で原発の復活を目指す勢力は、現在のような厳しい世界の経済社会で日本が生き残るためには、原発のリスク、日本全国に核廃棄物があるという程度のリスクぐらいは覚悟してもらおう、という考えだと思います。
しかしそのリスクがどれ程恐ろしいものであるか、仙台市内に居て3.11と福島第一原発事故を見守り続けた私は、その事をとことん思い知らされました。

とにもかくにもまずは経済が優先という人々に対しては、原発の『非』経済性について徹底的に明らかにしていくしかないと思います。
幸いに、世界的に『原発の非経済性』が問題になっており、このことについて日本のメディアは取り上げずに『情報統制』に協力していますが、アメリカ、英国、ドイツなどのメディアは繰り返し取り上げています。
アメリカ最大の原子力企業のエクセロンの元会長( http://kobajun.biz/?p=2337 )や地球温暖化の問題への取り組みで知られるゴア元米国副大統領( ttp://kobajun.biz/?p=6615 )などが、原子力発電の『非経済性』について発言しています。

さらには、再生可能エネルギー開発への取り組みが、経済を活性化させているドイツやアメリカの事情。そして小規模な発電送電システムの方が災害にも強く、効率も良いこと。
こうした情報をどんどん日本国内に還流させる必要があります。

選挙結果を見て自分自身のモチベーションも低下傾向にある事は否めませんが、【星の金貨】もここでくじけるわけにはいきません。

  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 過酷な冬の到来に、苦しみばかりが募るシリア難民 】

AP通信 / アメリカNBCニュース 12月11日

就学年齢の子供たちは、満足に学校に通う事も出来ない

就学年齢の子供たちは、満足に学校に通う事も出来ない


残忍な行為が繰り返されるシリア国内を逃れた出た人々が暮らすこのキャンプに、過酷な冬の気候をしのぐことが出来る設備などはありません。
白いテントの下はぬかるんだ泥に埋まり、人々は一枚でも多く毛布を手に入れるため走り回らなければなりません。
咳をしたり、鼻水を流しっぱなしの子供たちが至る所に居ますが、薬の在庫は底を突き、ボランティアの医師の数も不足しています。

21カ月間続いたバシャール・アサド大統領に対する戦闘により、すでに300万人のシリア国民が難民となりました。
最新の予報では気温が低い上に降水量の多い冬になる可能性が高く、難民となった人々はその生存すら脅かされかねません。

トルコと国境を接するアトゥメ村難民キャンプにいる人々は、ここ数カ月間シリア政府軍が行った自国民に対する空爆をから、着の身着のままで逃げだしてきた人々であり、その数約12,000人です。

毛布と枕の配給に群がる難民キャンプの子供たち

毛布と枕の配給に群がる難民キャンプの子供たち


難民キャンプの子供たちの表情にも暗い影が見てとれる。

難民キャンプの子供たちの表情にも暗い影が見てとれる。


泥だらけの難民キャンプ。

泥だらけの難民キャンプ。


121505

日本のメディアと海外メディア、その『勝利報道』に違いはあるか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 16分

広告
広告

【 確かに地滑り的勝利だが、そこに国民の信任はない 】

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 12月16日

12月16日の開票作業の様子

12月16日の開票作業の様子


日本の有権者は16日日曜日、衆議院議員会選挙で自由民主党に地滑り的勝利を与えました。
そして3年前の選挙で、数十年間日本を統治した後に歴史的敗北を喫した保守政党に政権を返しました。

新たに誕生した政党が乱立し、福島第一原発の事故を受けた原子力発電の廃止からアメリカ合衆国並みの連邦制を実現まで、様々な公約が標榜される混沌とした選挙戦にあって、自民党は不況に沈んだままの経済を立ち直らせ、外交問題では台頭著しい中国に対してはより強硬な姿勢で臨むという従来の立場を主張する、手堅い選挙戦を行いました。
そして戦後日本の復興を支えたものの、20年間続いた経済不況からの脱却を果たせず、2009年、政権の座を追われた自民党は劇的な政権復帰を果たすことになったのです。

今回の勝利により、自らが国家主義者であることを隠そうとしない自由党民主党の安倍晋三総裁は、彼自身を首相とする政府をつくることになります。

しかしながら今回の自民党の勝利が示すものは、多くの日本人の改革への要求が弱まったこと、あるいは反中国の立場を鮮明にする右寄りの考えが支配的になったという事でもない、と多くの人が考えています。
現在の民主党政権が戦後の硬直した体制を改革するとの公約を掲げて、自民党に対する勝利を得たにもかかわらず、政権の座について以降は国民を失望させるだけであったという事実が今回の結果をもたらしたと考えています。

安倍氏もこの辺のところはよくわきまえており、今回の勝利が民主党政権の批判の大きなうねりの上に乗ったものであると語りました。
「今回の選挙結果は自由民主党に対する信頼の回復でなく、民主党による3年間に及ぶ無能な政権運営に対し、国民が愛想を尽かした結果だと考えています。」
日曜日、安倍総裁は記者団にこのように語りした。

政治的権限の大きい衆議院で自民党は定数480議席中294議席を獲得し、圧倒的勝利を得ました。国営放送のNHKは選挙前自民党が300議席を上回る勝利を得る可能性があると伝えていましたが、これは2009年に民主党が308議席を得た結果に酷似しています。
民主党が獲得したのは57議席で、54議席獲得の大阪市長の橋下氏が結成した維新の会とほぼ肩を並べることになりました。
3年前、日本でも二大政党時代が始まったと華々しく喧伝された程の圧倒的勝利を得た民主党にとっては、壊滅的な敗北となりました。
民主党党首の野田首相は東京郊外の千葉県にある自分の議席を守りましたが、今回の敗北の責任を取り、党首を辞任することを表明しました。
「我々は、3年4ヵ月前の政権交代に込められた人々の期待に沿う事はできませんでした。」
野田氏は記者団にこう語りました。

今回の選挙において、現政権に対する反発がどれほど強いものであったか、前首相の菅直人氏が自らの選挙区において自民党の無名の元議員に敗れ、議席を失ったという事実が、そのことを端的に表しています。
他の大物の民主党議員もほぼ総崩れの状態の中、議席を失いました。

「我々は3年の間民主党に政権を託しましたが、それは完全な失敗でした。」
東京郊外の川越市の投票所で、株式市場で働く52歳の滝沢秀行氏がこう語りました。
滝沢氏は前回の選挙では民主党に投票したが、今回は自民党に投票したと語りました。
「特に外交問題において、私は自民党の方に期待しています。」

勝利宣言の中で、安倍氏は早急に大規模な財政出動を行う事を約束し、弱ったままの日本経済を刺激し、デフレーションを終わらせる事が彼の最優先課題であると語りました。
そして円安誘導を行って日本製品の国際価格を相対的に下げることを含め、窮地に立たされている輸出産業を援護することも約束しました。

タカ派として知られる安倍氏が、特に領有権の問題が大きくなっている東シナ海の尖閣諸島、中国名ダイユー諸島をめぐり、中国との緊張関係をより悪化させるのではないかと言う懸念がありました。
しかし安倍氏は、日本にとって最大の貿易相手国である中国との関係改善のため、早急に対策をとるとの約束を行いました。

阿部氏はまた、民主党政権の最初の首相であった鳩山由紀夫氏が沖縄の基地問題を巡って米国政権と衝突した後、冷え込んでいる日米関係の修復にも言及しました。

さらには、長年原子力政策を推進してきた自民党の復活は、民主党政権が掲げた2030年代までに日本国内の原子力発電を廃止するとした政策を終わらせ、国内のほとんどの原子力発電所を停止させた状況に終止符を打つことになるでしょう。

今回自民党がこれ程の勝利を収めた背景にあるもう一つの理由は、新たに設立された政党が現実的政策を展開できるという点を、有権者に浸透させられなかったことにあります。
最大の敗者の一人は日本未来の党です。
日本未来の党は福島第一原発の事故により生まれた、反原発の民意の受け皿として11月後半に結成されましたが、先細る日本経済に電力不足が一層の追い討ちをかけるという懸念を跳ね返すことが出来ませんでした。
日本未来の党の獲得議席は9に留まりました。
「私たちの主張を、有権者の中に浸透させられるだけの時間がありませんでした。」
党の創始者である、嘉田由紀子滋賀県知事がこう語りました。

新党の中で最大の成果を上げたのは維新の会でした。
がむしゃらに突き進む43歳の橋下徹大阪市長が国政政党としては9月に立ち上げた維新の会は、決断力のあるリーダーシップ、そして中央集権体制から脱却したアメリカ・スタイルの道州制の実現を訴え、特に若い層の有権者の人気を集めました。
しかし同党は、高齢である上若い有権者から見れば反動的思想の持ち主であり、国粋主義者の元東京都知事の石原新太郎氏との提携後、若干勢いを失ったようにも見えました。

有権者に対するインタビューでは、多くの人が結局自民党に投票するしかなかったと答えました。
こうした有権者の意識を考えれば、安倍氏が年来主張し今回も公約に掲げた、平和憲法を改定し大規模な再軍備を行うという国民の支持が薄い路線を自民党が走り出すようなことになれば、民意の振子は再び逆に触れることになると、多くの評論家などが警告しています。

「確かに地滑り的勝利ですが、そこに国民の信任はありません。」
こう語るのは、京都大学の政治学者待鳥聡史大学院法学研究科教授です。
「国民に自由な裁量権を与えられた、安倍氏はそう考えない方が良いでしょう。」

最近の世論調査では、安倍氏に対する支持は限られたものであることを示していました。
インタビューを受けた中の何人かは安倍氏に関する不安について、そのタカ派的スタンスではなく、2007年に参議院議員選挙で自民党が敗北した直後、体調不良を訴えて首相を辞任したように、今回も難しい問題を投げ出す可能性があるのではないかと言及しました。

「安倍さんは一度仕事を投げ出したことがあります。」
川越市の投票所で41歳の坂本さんと言う女性がこう語りました。
「尖閣問題が暗礁に乗り上げたら、また職を投げだすのでしょうか?」

政治評論家は、今回の自民党の勝利に貢献したのは、地方の農村部において未だに有効に機能している集票組織だと指摘しました。
一票あたりの格差の問題が存在する日本では東京などの大都市と比較し、地方の農村部は少ない人口の我に数多くの議員を国会に送り込んでいます。
こうした票を獲得するため、自民党は公共事業の拡大を行うと公約しました。
日本の公共事業は長い間こうした地方の農村部に、建設作業などの職を豊富に提供してきました。

「自民党の伝統的手法、公共事業によるばらまき政策の復活は、褒められたものではありません。」
東京のゴールドマン・サックスの経済専門家である、キャシー松井氏がこう語りました。
「しかし、安倍氏が円安誘導に的を絞っている点は、評価されています。」

※議席数の表記について
この記事は16日に書かれたため、記事中の議席数は開票作業終盤の途中結果が表記されていました。
このため訳者が、17日正午時点の「確定数」に訂正いたしました。


  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

今回の選挙結果については、この稿をご覧の方々の中には暗澹たる思いでいらっしゃる方の方が多いと思います。
私も17日月曜日は、テレビも新聞も見る気になりませんでした。
しかし一方で、私たちの取り組みは「これからだ!」という思いを新たにしています。

どなたかがツイートされていらっしゃいましたが、日本の真実の姿に気がついたのは3.11、たった1年9か月前のこと、そう簡単に世の中を変えられるはずが無い、「これから、これから!」と。
おっしゃる通りだと思います。

皆さんは信じられないかもしれませんが、地方には主義主張など関係なく「必ず投票所に行き、『自民党』と書くこと」こそが『選挙』だと思っている方が相当数います。
また、私は尖閣『問題の発生』以降のナショナリズム的な動向についても、『何ものかの意思』が働いていたように思えてなりません。
そのような条件の中、今回は『脱原発』『改革派』の側が戦略・戦術を検討する間もなく選挙戦に突入してしまい、『守旧派』の壁の前に敗れ去りました。
戦いは組織と作戦を持つ方が勝つ、そうした冷厳な事実を改めて知らされたような気がします。

しかし日本人の私が言うのもちょっと変ですが、12月16日の選挙は、私たちの『パール・バーバー』だと思えばよいのです。
準備が整う前に、奇襲によって敗れ去った。
被った損害は大きなものでしたが、「戦いはこれから」、民主主義が全体主義に破れるはずは無い、という信念がその後の戦いを徐々に変えて行きました。

私たちにとって一番大切なこと、それは『3.11によって開かれた目』の次に必要なものを、自分たち自身が手に入れていくことだと思います。

  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 このような悲劇は、もう終わらせなければならない 】
オバマ大統領、銃による暴力への対策を誓う

アメリカNBCニュース 12月16日

今回の事件で犠牲になった人々

今回の事件で犠牲になった人々


Visit NBCNews.com for breaking news, world news, and news about the economy

「犠牲になった方々は、みな神に召されました。残された私たちは支え合って、この悲しみを乗り越えましょう。」
オバマ大統領が徹夜の祈りの会で、サンディフック小学校の犠牲者の家族、そして事件を免れた小学校の児童に対し、こう呼びかけました。

バラク・オバマ大統領は、コネティカット州ニュータウンで発生した無差別大量殺人事件を受け、全国で展開されている銃規制への取り組みを支持し、彼の政権を挙げてこの問題に取り組むことを表明しました。
大統領は16日夜にニュータウンで開催された、宗派を問わない徹夜の祈りの会に参加し、20人の子供たち、7人の大人、そして容疑者自身が射殺された事件の後、
「難しい問題が残されることになった。」
と語りました。

大統領に就任してから2度目となった銃乱射・無差別殺人事件を受け、大統領は今回の演説を、具体的取り組みを始めるための出発点と位置づけました。
「私たちはもう、このような事件が起きる危険性を見過ごすわけにはいきません。」
「このような悲劇は終わらせなければなりません。 そしてこのような事件が二度と起きないよう、我々自身が変わらなければなりません。」
「今週私は、二度とこのような悲劇を引き起こさないようにするための取り組みに、全国民か参加するよう、政権として全力を注ぎます。」
オバマ大統領はこうした暴力事件に対する対応の詳細、あるいはどのような規制を行うつもりなのかは明らかにしませんでした。

オバマ大統領がいずれかの形であっても銃規制に乗り出すことになれば、一定の政治力を持つ全米ライフル協会や銃所有の権利団体などからの抵抗に会うことになるでしょう。
これに対し銃規制を唱える立場からは、こうした抵抗を受け流してしまうよう求める声が上がっています。
ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグは、銃規制について、オバマ大統領が『最優先で取り組まなければならない問題』であると述べました。

手を取り合ってオバマ大統領の演説に聴き入る人々

手を取り合ってオバマ大統領の演説に聴き入る人々


犠牲者を悼むパキスタンの子供たち

犠牲者を悼むパキスタンの子供たち


コネティカット州ニュータウンで

コネティカット州ニュータウンで


事件現場の近くの自宅の周囲に、木製の天使の像を並べる男性

事件現場の近くの自宅の周囲に、木製の天使の像を並べる男性


事件現場近くの路上で警戒にあたる警官

事件現場近くの路上で警戒にあたる警官

http://firstread.nbcnews.com/_news/2012/12/16/15953192-obama-vows-action-on-gun-violence-these-tragedies-must-end?lite

アメリカ国家情報会議 : 中国経済の規模、2030年までにアメリカを上回る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

広告
広告

『地殻変動』に直面する世界
「食糧不足・水不足により、人類史上重要な転換点を迎えることになる」

クリス・マックギル(アメリカ特派員)ザ・ガーディアン(英国) 12月10日
※ アメリカ国家情報会議 : 中央情報局(CIA)などの16の情報機関で構成される。


アメリカ国家情報会議が明らかにした報告書は、
2030年の世界最大の経済大国は中国
そして
気候変動がもたらす食糧不足と水不足により、社会の安定が損なわれる
さらに
世界的な中産階級の台頭により「地殻変動が起きる」
と予測しています。

5年おきに公表されるアメリカ国家情報会議の『世界動向報告書』はこのように述べた後、世界が「人類史上重要な転換点を迎えることになる」としています。

世界20か国の専門家が参加し、事前に概略に関する会議を行った上で作成された今回の報告書は、米国の影響力が著しく減少する未来の姿を描き出す一方で、それに代わる国家の登場は無いと予測しています。
「もはや覇権は存在しなくなります。代わって登場する多極社会の中で影響力を持つことになるのは、国家間のネットワーク、そして国家による連合体です。」

今回の報告書は2030年に現実になる可能性のある、いくつかのシナリオを紹介しています。
その中で最も望ましい未来とは
「アメリカ合衆国と中国が協調して、世界で発生する幅広い分野の問題解決に取り組むこと。」
最悪の未来は
「アメリカが内向きの政策に専念し、グローバリゼーションが遅れること。」

121612
「世界に対するアメリカの影響力が急速に後退することになれば、世界的な無秩序状態が長期間続く現実を生み出す可能性がある。他のいかなる国もアメリカに代わり、世界の秩序の番人として立つことは不可能であろう。」
イラクやその他の中東地域、さらには別の場所での取り組みを前提条件として挙げ、アメリカこそが世界の秩序を保ち得るとの立場から、報告書はこうした見解をまとめています。

今回のアメリカ国家情報会議の報告書は、いわゆる『メガトレンド』、そして『ゲーム・チェンジャーズ(画期的変革)※』と言われるものと、一線を画そうとしています。
※(途中で交代して試合の流れを一気に変えてしまう選手。転じて、世論の動向を大きく変える人物や出来事)
『メガトレンド』はかなりの確率で起きると見られていますが、『ゲーム・チェンジャーズ』、メガトレンドと比較するとはるかに実現の可能性は低いと見られています。

『メガトレンド』においては、全世界的な富の増大が実現します。
「地球的規模で中産階級の台頭が起きることにより、経済の地殻変動が起きる。世界人口の大部分において、これ以上の貧困の拡大は止まることになる。そして世界中のほとんどの地域で、中産階級が経済的にも、社会的にも、主要な部分の担い手になっていく。」
報告書にはこう書かれています。
先進国に集中していた富が世界に分散することにより、世界を動かす力もまた、その居場所を変えることになります。
『各国がそれぞれに力を持つことにより、2030年には劇的な転換が起きるだろう。

121613
アジアのGDPは北アメリカ・ヨーロッパを合わせた以上のものになり、人口規模、軍事費、技術開発投資、すべてにおいて欧米を凌駕することになる。
中国1国で世界最大の経済圏が生まれ、その規模は2030年の数年前にアメリカをしのぐことになる。』
報告書の中にはこうあります。

こうした変化は、欧米の経済が世界経済に対する影響力を失っていく運命にある事を暗示しています。
この地殻変動において、世界経済の健全性が伝統的西欧社会ではなく、発展途上国により支えられるという状況は、より鮮明なものになっていくことになります。中国、インド、ブラジルに加え、コロンビア、インドネシア、ナイジェリア、南アフリカ、トルコなどの途上国陣営の国々が、世界経済の重要な担い手として登場することになるでしょう。

「一方でヨーロッパ、日本、そしてロシア経済は、相対的にゆっくりとした下降を続けることになるだろう。」

そして世界的な中産階級の台頭と貧困層の減少は、『個人の権利拡大』につながり、新たな形のコミュニケーションを形成することになりますが、この点についてアメリカ国家情報会議は、そこには『負の側面』もあると警告しています。

これまで国家のみが持ち得た能力、特に高精度の攻撃能力、サイバー攻撃設備、生物化学兵器などの、人々の生死に関わる大量破壊技術を、個人、あるいは少人数の集団が手にできる機会が飛躍的に高くなると、この報告書が指摘しています。

121502
そしてメガトレンドはもうひとつ、気候変動によってもたらされる食料不足・水不足により、社会の不安定性が増していく、という状況を生み出すことになります。
「全地球的規模では人口増大、そして地域間の所得格差の縮小と中産階級の台頭により、食料、水、資源エネルギーに対する需要は、35%、40%、50%と増大していく見込みである」。

「気候変動はこうした重要資源の供給能力に対し、マイナス要素として働く。各研究機関は、現在の世界各地の異常気象パターンの解析を行い、降水量の多い地区では一層降水量が多くなり、乾燥した不毛の地は、さらなる不毛の地と化す可能性の高いことを示唆している。
降水量が低下する傾向は西部~中央アジア、南ヨーロッパ、南アフリカと米国南西ぶ、そして中東と北アフリカに集中する見込みである。」

アメリカ国家情報会議はこのような各種資源が不足する事態を回避することは不可能ではないが、「そのためには各国の政治家、そして有力企業などが率先して行動する必要がある。」との指摘をおこなっています。
さらには経済的に豊かな国、技術力の有る国などは、そうでない国々に対する支援を積極的に行う必要があるとも述べています。

一方、現実にはなりにくいシナリオとしての『ゲーム・チェンジャーズ』についてアメリカ国家情報会議の分析結果は以下のようになっています。
ユーロの価値の暴落、疫病の大流行、パキスタンまたは北朝鮮による核攻撃がきっかけとなる。あるいは、中国の民主化、あるいは体制の崩壊、イランの民主化による体制変更、これらは地球規模での安定には逆効果だとしています。

さらに報告書は2030年までに、国家としての崩壊が予想される国々についても言及し、そのスノウ性のある国としてアフガニスタン、パキスタン、ルワンダ、ウガンダ、そしてブルンジを含む2030年までの名を挙げ、警告しています。
内戦や国内の混乱がアフリカと中東では拡大する可能性があり、逆に南アメリカでは収束に向かうと予測しています。

103101
この報告書は、中東地区の安定を確保するためには、イランの核開発疑惑の問題を解決しなければならないとするオバマ大統領の見解を支持し、大統領に対しイスラエルとパレスチナの対立の解決に積極的に関与することを求めています。
報告書は同時に、『アラブの春』が結果的に情勢が安定化の方向に向かっていることを証明したとしています。

「イラン国内でイスラム原理主義政権が続いたまま核兵開発に成功することになれば、将来、中東地域の安定性が著しく損なわれることになります。これに対し、イランに穏健派の民主主義政権が誕生し、イスラエル・パレスチナ間の和平が推進されることになれば、中東地区は安定に向かうことになるでしょう。」

http://www.guardian.co.uk/world/2012/dec/10/chinese-economy-america-tectonic-shift?INTCMP=SRCH
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 米国コネティカット州サンディ・フック小学校・無差別殺人の後の子供たち 】

アメリカNBCニュース 12月14日

121604
121601
121602
121603

そして、祈り

そして、祈り

Visit NBCNews.com for breaking news, world news, and news about the economy

シリア「アサド体制の崩壊は近い」ロシア政府高官

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 10分

広告
広告

ロシア外務副大臣 : 反政府側の制圧地区が拡大、アサド政権崩壊の可能性は『否定できない』

アルジャジーラ 2012年12月13日

Visit NBCNews.com for breaking news, world news, and news about the economy

動画[廃墟の都市アレッポ]アメリカNBCニュース 12月13日

かつては繁栄を極めた地中海の要衝アレッポ。現在では病院ですら、人目を避けて治療を施さなければならない。
アメリカNBCニュース、リチャード・エンゲルのリポート。

政府軍の攻撃の犠牲になった反政府側兵士たちの葬儀で、慰められる7歳のワリッド。彼の父親は政府軍に連行された後死体で発見され、母親は行方不明のまま。

政府軍の攻撃の犠牲になった反政府側兵士たちの葬儀で、慰められる7歳のワリッド。彼の父親は政府軍に連行された後死体で発見され、母親は行方不明のまま。


シリア政府と戦闘を繰り広げる反政府軍の制圧地域が徐々に拡大し、このままではバシャル・アル・アサド大統領政権の崩壊は避けられない可能性があると、中東情勢を担当するロシアの特命使節が語りました。
13日木曜日にミハイル・ボグダノフ外務副大臣との会談を行った、NATO軍の最高司令官が明らかにしたもので、同司令官もアサド政権は『崩壊に瀕している』と語りました。
ボグダノフ副大臣は、必要な場合はシリア国内のロシア市民を避難させるべく、計画を作成中だと語りました。
「状況を見て判断しなければなりません。」
ボグダノフ副大臣はロシアの国営放送RIAの取材に対し、こう答えました。
「シリアの現政権の国内の掌握能力は、低下の一途をたどっています。」
「残念ですが、シリアの反体制勢力の勝利の可能性は、否定できなくなりました。」

同副大臣の見解は、ロシアがすでにアサド政権の崩壊に備えて、準備を始めたことを明確に示すものです。
反政府勢力は、2011年3月に始まった今回の内戦で、アサド政権側の攻撃により市民を含め40,000人以上が犠牲になったと主張しています。

ロシアは国連安保理事会がシリア政権に対し、非難決議や制裁決議が行われないよう側面からの援護に努め、アサド大統領を政権の座から追うように求める西欧社会の圧力に抵抗してきました。

ヤバル・アル・ザウィーヤの山地にある農園で、政府軍の狙撃兵から身を隠す反政府勢力の兵士。

ヤバル・アル・ザウィーヤの山地にある農園で、政府軍の狙撃兵から身を隠す反政府勢力の兵士。


▼ 近づく政権崩壊

NAT軍の総司令官は木曜日、シリア政権の崩壊は間近だとする見解を明らかにする一方、アサド政権が一般市民に対する攻撃にスカッド・ミサイルを使用している嫌疑がある事について非難しました。
「私は、ダマスカスのアサド政権は、今まさに崩壊に近づいていると考えています。」
と、アンダーズ・フォー・ラスマッセン司令官は、ブリュッセルの本部でオランダのマーク・ラッテ首相と会談した後、記者団にこう述べました。
「あとは、時間の問題だと思っています。」

司令官はさらに、シリア政権側が自国民に対する攻撃にスカッド・ミサイルを使用しているとする報告がある事について、「国民の命を何とも思っていない」証拠だと非難しました。

これに対しシリア外務省は同じ日、反政府勢力に対するスカッド・ミサイルの使用の事実を否定しました。

パン屋の店先で行列を作る女性たち。イドリブ近くのマーレド・イスリーン、12月12日。

パン屋の店先で行列を作る女性たち。イドリブ近くのマーレド・イスリーン、12月12日。


▼ 情勢に変化は無い

シリア情報相はロシア政府との同盟関係に触れ、同盟関係は揺るぎないものだと主張しました。
アル・ゾービ情報相は「ロシア政府の立場が、いささかも揺るぎが無いことを確認」したと述べ、さらにアメリカ政府の態度もロシア政府のそれに近づきつつあると語りました。
「例を挙げるなら、アメリカ政府は反政府勢力の中のジャブハット・アル・ヌスラを、テロリスト・グループのリストに加えたが、これはロシア政府と見解を同じにしたことを意味する。」

10日月曜日オバマ政権は反政府勢力の中のジャブハット・アル・ヌスラをテロリスト組織と断定しました。
これは改めて組織された反政府勢力連合側の指導者にとっては大変心外なことであり、アサド政権に対する戦闘で最も成果を上げたジャブハット・アル・ヌスラをテロリスト集団と認めることを、公式に拒否しました。

トルコとの国境にあるアザズの難民キャンプでたき火を囲む子供たち。12月9日。

トルコとの国境にあるアザズの難民キャンプでたき火を囲む子供たち。12月9日。


▼ アサドへのオファー

シリアの新しい指導者は、反政府勢力が首都ダマスカスに向け攻勢を強める中、ここまで来ればシリアの人々はアサド政権打倒のため、国際的な軍事面での介入をもはや必要とはしていない、とロイター通信に語りました。

首都ダマスカスのイスラム王朝の系譜をひくムアズ・アル・ハティブは、アサドが政権を放棄してシリアを出国する提案について検討する余地はあるとしていますが、絶対の条件が整わない限り、いかなる保証も与えられないと語りました。

ハティブは12日水曜日夜、モロッコで反政府勢力の代表とともに、西側諸国とアラブの主要国首脳との会議に臨んだ後、こうした見解を明らかにしました。
モロッコのマラケシュで開催された『シリアの同朋』会議では、100か国以上が新たに組織された反政府勢力の連合をシリアの『正当な代表』と認定し、同勢力に対する大規模な援助の途を開きました。
「シリア国民が最も悲惨な状況下にあった時、人々はあらゆる機会に国際社会に対し軍事介入を行うよう求めました。」
ハティブがこう述べました。
「しかしシリア国民はもうこれ以上、失うものはありません。シリア国民は自分たちの手で問題を解決したのです。もはや軍事面における国際社会の援助の手は必要ありません。」

ハティブはアサド大統領については、こう語りました。
「彼がシリアという国家、ましてやシリアの人々の命について、どのような権利も持ってはいないことを理解するよう望むのみです。彼にとっての最良の選択、それは直ちに大統領を辞任し、国民の生き血をすすることをやめることです。」

アルジャジーラ提供の映像へのリンク :
http://aje.me/12nnlM8

掲載記事のURL :
http://www.aljazeera.com/news/middleeast/2012/12/20121213142754845349.html
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 シリア・アレッポ、前線の後方で 】

アメリカNBCニュース 12月13日

121512
アレッポ市内で政府軍と20ヤード(18m強)をはさんで対峙する反政府勢力の兵士たち。狭い通りを挟んでのにらみ合いはこう着状態が続き、進も引くもままならない状態が続く。時には政府軍兵士と言葉を交わすこともあるという。

121511
アレッポ市内のダル・アル・シファ病院。反政府勢力の兵士の話では、反対派の人々の治療をしたという理由で政府軍の攻撃を受けた。
NBCスタッフはアレッポ市内で現在も機能している病院の撮影を禁じられた。理由は政府軍は海外メディアの報道写真を使って場所を割り出し、攻撃を加えてくるからだという。
ダル・アル・シファ病院はすでに使われていないため、撮影を許可された。

121513
頭に着けた懐中電灯で、政府軍の狙撃兵に撃たれた反政府側の兵士を治療する看護婦。NBCのスタッフは、大勢の負傷者がこの病院での治療を断られ、別の病院へ向かう様子を目撃した。

121514
シリア最大の商業都市アレッポの爆破された中学校の校庭に空いた巨大な穴。
生活基盤を徹底的に破壊し、反政府勢力への市民の反感を煽るという目的のもと、バッシャール・アサド率いる政府軍は学校も集中的に破壊した。
前回NBCの取材陣が訪れた際は、この学校は政府軍の臨時指揮所として使われていた。

121515
バッシャール・アサドの父親、故ハフェズ・アサド大統領の肖像写真が載った教科書が破壊された学校の中に落ちていた。

121516
ユネスコの世界遺産に登録されたアレッポ市内の古代の城壁や門、旧市街地などもすべて弾痕だらけになってしまった。

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
広告
広告
カテゴリー
メタ情報