ホーム » エッセイ » 効果が見えない!巨額の税金を投入する安倍政権の経済対策 – 最新の経済指標
安倍政権は巨額の経済刺激策を展開、しかし工場生産高、小売売上高、失業率すべてが悪化
全世界の消費需要が低迷 - 世界経済が初めて体験する前代未聞の苦境
アルジャジーラ 2020年5月29日
新型コロナウイルスのパンデミックにより消費が落ち込み、自動車を始めとする工業製品に対する国内外の需要が激減したため日本の工業生産高は予想を超える落ち込みを示し、小売部門の売上高は今年4月にこの20年間以上で最も大きく落ち込みました。
この悪化した経済指標は、日本政府が要請した小売サービス業の営業自粛とがサプライチェーンを混乱させ、消費者を自宅に閉じ込め続けたため、3月までの半年間で世界第3位の規模を持つ日本経済で見られた景気後退が、4 - 6月期のこの四半期にさらに悪化する可能性があることを示唆しています。
5月29日に明らかにされた公式データによれば、4月の工業生産高が前月に比べ9.1%減少しました。
これは自動車メーカーと鉄鋼メーカーの実績が急激に落ち込みんだことによるもので、2013年にこの種のデータが利用可能になって以来、最大の落ち込みを記録しました。
この数値はロイター通信が予測していた5.1%の落ち込みよりもはるかに大きなものになりました。
「おそらく生産高は6月以降は回復しますが、第2波(新型コロナウイルスの感染拡大)の襲来への備えもあり予断を許さない状況です。」
農林中金研究所のチーフ・エコノミストの南武氏がこう語りました。
「景気回復のペースは、引き続き足取りも重いものになる可能性が高い」と語った。
自動車メーカーの生産は前月から3分の1にまで減少しました。
これにより、政府は工業生産全体の説明について、2008年11月以来初めて『急速に悪化している』に格下げしました。
日産自動車は28日木曜日、生産能力と生産する車種の範囲を約5分の1に減らし、売上高の減少に合わせる形でコストを3,000億円削減する計画であることを明らかにしました。
工業以外の分野では、緊急事態宣言が全国に拡大されたことにより、レストランなどサービス部門のビジネスの廃業が進み、小売部門の売上高は1998年3月以降最速のペースで落ち込みました。
4月の小売業の売上高は、前年比で13.7%減少しました。
これは衣料品や自動車をはじめ、小売商品前代の需要低迷に大きく影響されました。
これらの後退的経済指標は、日本経済が2020年第1四半期に4年半ぶりに景気後退に陥った後に明らかになりました。
安倍政権は5月末、緊急事態を解除し、100兆円規模の景気回復策を承認しました。
これにより新型コロナのパンデミックから日本経済を救済するために投入される国の予算の総額は220兆円という規模になりました。
▽ 失業率上昇
安倍政権は日本の公的債務を減らすためとして消費税を引き上げましたが、それ以降消費が低迷しその回復策を模索していた段階で新型コロナウイルスの感染拡大に襲われました。
日本政府による新しい景気刺激策の最大のポイントは、事業を維持していくために現金をすぐに必要としている小規模企業向けの給付金プログラムでした。
5月29日時点の日本政府の他のデータは求人市場の状況も悪化していることを示しており、中小企業のこれ以上の業績悪化を回避するためにも現金給付などの支援がまだまだ必要とされている状況にあることを示唆しています。
2020年4月の失業率は2017年以来最高の2.6%に上昇しましたが、それでも日本の場合は失業率が1929年の世界大恐慌況時代のレベルに近づいている他の先進国よりはだいぶ低くなっています。
しかし経済学者は日本政府が公表している失業率は、労働者の本当の窮状を見えなくしていると語っています。
有職者のうち休業を余儀なくされた人の数は、3月から4月にかけてそれまでの3倍以上の400万人になりました。
第一生命研究所によれば、休業中のスタッフの多くは最終的に元の職場に復帰できる見通しですが、この人たちも含めれば4月の失業率は11.4%になるとしています。
そして非正規労働者の数は前年比で最大の記録を更新しました。
求人倍率は1.32に落ち込み、2016年3月以降最低となりました。
アナリストらは自動車メーカーが最も深刻な打撃を受けた2009年の世界的な金融危機の際とは対照的に、今回は雇用面での問題は主にサービス部門に集中していると語りました。
「自動車産業の需要が回復しない場合、製造業の雇用環境は今後さらに悪化する可能性があります。」
農林中金研究所のチーフ・エコノミスト南氏はこう語ってい ます。
政府の調査による製造業の生産データは、5月にさらに4.1%減少し、その後6月に3.9%増加すると予想しています。
「4月の鉱工業生産高と小売売上高の大幅な下落は、日本経済がこの四半期に12%縮小するという私達の予想よりもさらに悪化する可能性があることを示すものです。失業率も私たちが予想した4%前後の数値になるるでしょう。」
キャピタル・エコノミクス研究所の日本経済学者トム・リアマウス氏がアル・ジャジーラに送ったメモにはこう記されていました。
「しかし、ウイルスの蔓延は現在制御されており、経済は年度後半には回復に向かうはずです。」
リアマス氏はこのように付け加えました。
日本では緊急事態が5月25日月曜日に全国的に解除されたことに伴い、問題は今、企業が事業をどのくらいの速さで再び軌道に乗せられるのかという点に移っています。
エコノミストは4 - 6月の第2四半期に日本経済が20%以上縮小すると見ています。
記録を見る限り1955年までさかのぼっても最も悪い数字であり、回復はゆっくりとしか進まず、中でも輸出、観光、事業投資部門の回復が最も遅くなる可能性があります。
「V字型の回復は不可能です。」
と金融市場データ・情報サービスを提供する企業IHSマークイットのエコノミスト田口晴美氏がこう語りました。
「コロナウイルスの影響が思ったより長引き、雇用と収入は大幅に悪化するでしょう。全く悲惨な状況です。このまま生産が縮小し続けると、製造業でも雇用が失われる可能性があります。」
安倍晋三首相の支持率は低下を続けており、経済の低迷が続けば、追加の経済対策を行うよう圧力が強まる可能性が高いとみられます。
一部のアナリストは、今年は第3次補正予算、さらには第4次補正予算すら必要になると予想しています。
日本銀行総裁の黒田晴彦氏は、日本経済を支えるために必要なことは何でもすることを約束しました。
5月29日時点のデータは、結果が概ね予想に沿ったものであり、緊急に追加緩和措置が必要になる可能性は低いとみられています。
https://www.aljazeera.com/ajimpact/japan-recession-deepen-latest-grim-data-shows-200529070415171.html
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今回の新型コロナの感染拡大によって自民党の政治屋さん、特に世襲のそれは一族・党類の利害を守ることを第一の目的に政界にいることを痛感させられました。
もともと経済的に弱い立場に置かれていた人々を襲った災禍は想像を超える残酷なものであることを繰り返しニュース映像などで見せられましたが、そうした状況を自分の痛みとして感じている政治家は、少なくとも現在の政権内部には見当たりません。
それぞれがそれぞれに自分の身を守ることを第一に考え、自らの瑕疵の責任を他人に転嫁する事に汲々としています。
私たちはこんな政治では誰も救われない、ということを自分の痛みとして感じ、声をあげ、行動し続ける必要があると思います。