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世界最強の軍隊・アメリカ軍!なぜ勝てないのか?《2》

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アメリカの同盟国の最大の弱点は蔓延する腐敗

市民に対する警官の暴力的取り締まりをやめさせること、政府・自治体の役人たちが私腹を肥やすために弱者を利用することをやめさせることの方が大切

2000年以降の18年間の実績は、アメリカ軍による「全領域における優位性の確保」など妄想に近い空想の産物だと語っている

アーノルド・アイザック / ルモンド・ディプロマティーク 2018年5月6日

          

1996年に原版が作られ2000年に改訂版が作成された文書「ジョイント・ヴィジョン 2020」の中の標語「全領域における優位性の確保」は、以後20年間にわたる米軍の進化に関する「概念的なテンプレート」として説明されています。
そこで語られていたのは標語から連想される内容よりももっと徹底したものでした。
「あらゆる分野の軍事作戦において卓越した軍事力を発揮し、平和的にも説得力を持ち、そして戦争全体を支配し、どのような紛争においても卓越した存在であること。
世界中のどんな場所での軍事作戦であっても常に勝利できる、どのような敵であっても倒す能力を持ち、軍事作戦上のあらゆる状況を支配下に置くことができる能力を持つこと。」

         

敵を圧倒する?
あらゆる状況を支配下に置く?

            

2020年までの道のりは現在その9割を踏破したことになりますが、米国の兵士たちはそのすべての火力と技術をもってしても、参戦していた戦場を完全な支配下に置くための手掛かりすら手に入れることはできませんでした。
アメリカ軍は貧弱な装備の敵の戦闘員たちを支配下に置けずにいます。
そして原始的構造の低コストの爆破装置を手にアメリカに歯向かう反乱分子も抑え込むことができずにいます

              

現実的には警官が一般市民に対する暴力的取り締まりを行うのはやめるべきだと思うこと、政府や自治体の役人たちが弱者に対する公的支援を卑劣な手段で弱体化させることはやめてもらいたいと思うことの方が、争乱を沈静化させるために有効なのです。
はっきり言えば2000年以降の18年間の経験から、アメリカ軍による「全領域における優位性の確保」など妄想に近い空想の産物としか思えません。

            

ベトナムに対する大規模な介入を始めたとき、第二次世界大戦においてアメリカが圧倒的勝利を得たのはわずか20年前のことでした。
アメリカがベトナムへの介入を決定した時の軍の高官たちは、第二次世界大戦における勝利経験によって軍人としての思考法を確立した人間たちであり、その傲慢さは当然ともいうべきものだったのです。
しかし「全領域における優位性の確保」を考案した人間たちとその考え方に影響を受けた軍の指揮官たちは、ベトナム戦争終了後ほぼ同じ時期に登場しました。
彼らはなぜアメリカ軍は全能だと錯覚したのか理解しにくい原因がここにあります。

              

2011年8月にルモンド・ディプロマティークに掲載されたザビエル・モンテアルドの「昨日の敵は今日の友」。
戦争の敵味方のそれぞれの側では、両陣営の幹部たちはいずれも失敗の原因は自分たちの戦略あるいは指揮命令のせいではないと主張し続けています。
その代わり彼らは政治家が過度に干渉し制約を課し、早すぎるタイミングで戦争から手を引かざるを得なくされられたせいで、最後の勝利が得られなくなったと主張しています。
こうした事実に反する主張については証明する方法も反証する方法もありません。

         

しかし第二次世界大戦で勝利をつかむまでの時間と比較すると、ベトナムでは2倍、イラクでは3倍、アフガニスタンでは実に4倍の時間(年数)を与えられていることを考えれば、そうした主張が片手を後ろ手に縛られていたという主張同様、実に虚しいものであることがわかります。

         

私のコンピュータの検索機能が適切に機能しているとすれば、「同盟国」「同盟軍」「当事国政府」および「地方部隊」という言葉は「ジョイント・ヴィジョン 2020」白書のどこにも記載がありません。
意図的に削除されていることは明らかです。

            

ベトナムやアメリカが関わった近年の戦争において米国政府の当局者は認めることを驚くほど嫌がっていましたが、現地におけるアメリカ軍の同盟軍の弱点こそ、米軍とその同盟軍が装備や火力において圧倒的な優位を誇っていたにもかかわらず、これらの戦争において勝利を得られなかった根本的な理由と見なされるべきです。

        

アメリカの諜報活動については狭義と広義の両方の意味がありますが、ここにひとつ言外の意味があります。
軍事力の行使が何を意味するのかを再考しなければなりませんが、それと同時に諜報活動が何を意味するのかについても再考すべきはずです。
特に2500年以上前に中国の賢者孫武( 紀元前535年? - 没年不詳)によって語られた古典的な教義を再検討することが役に立ちます。

          

諜報の第一の目的は「あなたの敵を知ること」です。
20世紀後半にアメリカが関わった戦争において米軍の司令官が敵が何者なのかということをもっとよく知っていたならば、結果はもっと異なっていたでしょう。
ベトナムとそれ以降の戦争において、状況を最悪のものにした諜報活動の最大の失敗は敵について十分な理解がなかったことではなく、同盟関係にあった軍についての理解が足りなかったことでした。
ベトナム戦争以降で一貫していることは、故意であろうとなかろうとアメリカは同盟関係にあった軍隊の重大な弱点を知らないまま、その能力を過大評価していました。

            

ベトナムでは、アメリカの武器、資金、アドバイスによって南ベトナム軍が創設されました。
紙の上では、アメリカが自国民に説明していたように、南ベトナムの防衛は容易に可能になるはずでした。
しかし米国が提供した資金と物資は同盟軍の指揮官を実戦で役に立つ人材に変えたりあるいは有能にしたり、不十分な指導力を補ったりはしませんでした。
そして最終的には南ベトナム軍よりはるかに貧弱な装備しか持たないものの、巧緻でしかも臨機応変の作戦を展開できる規律ある敵軍を敗北に追い込むことはできませんでした。

            

アメリカの同盟国だったサイゴン政権の最大の弱点は蔓延する腐敗であったという事実については、強い言葉で主張することができます。
腐敗は前線の兵士を含む南ベトナムの人々を激怒させ、政権を見限る原因になっただけではありませんでした。
それは十分に実害を与えていました。
そして致命的だったのは、汚職が彼らの政府と軍の両方の職務遂行能力を回復不能なレベルになるまで奪ってしまった点にありました。

          

サイゴンにおけるアメリカ軍の任務の遂行状況を調査するグループが1966年に作成した報告書は、厳しい言葉でこの点を指摘しました。
「行政機関における上層部の腐敗、それがさらに部下の腐敗を生み育てるという形で組織内に無能力が蔓延するという致命的な相関関係が存在する。さらには成果の出ない仕事ぶりとあからさまな命令不服従が事態をさらに悪化させている。こうして出来上がったシステムが有能で献身的でしかも腐敗とは無関係な人材のやる気を奪い、挙げ句の果てには組織内で『浮き上がった』存在にしてしまっている。」

           

《3》に続く
https://mondediplo.com/openpage/why-can-t-the-world-s-best-military-win-its-wars
  + - + - + - + - + - + - + - + 

           

なぜアメリカの同盟国は腐敗するのか?これはもうベトナムやアフガニスタンに限った話ではなく、現在の日本にも十分当てはまる、そう考えるのは私だけでしょうか?

その原因は?と言えばCIAが腐敗の元凶に多額の現金をばらまいて、自分たちの意のままに操ろうとするからでしょう。

操る側にとっては腐敗していればいるほど操りやすいということになります。

南米で一時期社会主義政権はもちろん、民主的な政権がCIAの工作によって次々と転覆させられましたが、仕掛けた連中はまさにゴロツキ、人を殺すことにどんな躊躇もしない連中まで含まれていました。

そんな連中がなぜ高性能の武器をたずさえ、しかも資金力が豊富だったのですか?

          

それは発展途上国に限ったことではありません。

『アメリカ最大の同盟国』はどうでしょう?

現に英国のエコノミスト誌は、2012年の民主党政権崩壊の最大の立役者はアメリカの政府機関だったと書いていました。

私は2012年12月以降、日本の権力中枢に腐敗臭を強く感じるようになっています。

まさにそこには「行政機関における上層部の腐敗、それがさらに部下の腐敗を生み育てるという形で組織内に無能力が蔓延するという致命的な相関関係」が存在していると私は感じています。

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