5月第2週のアメリカPGAツアーは最高額の優勝賞金が得られるザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップ。
ザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップ開催コース、TPCソーグラスの名物ホール、17番グリーンに上がるK.J.チョイ選手。 距離はさほどないが、グリーンの周りはすべて池。 普段なら世界のトッププロなら何でもなく打てるはずだが、プレーヤーズ・チャンピオンシップの様な大きな大会になると、一流選手が次々池に打ち込んでしまう.
しかし、今日のお話は崔選手の事ではありません。
予選落ちしてしまった日本の今田竜二選手の事が気がかりだ、というお話です。
今田選手はタイガーウッズと同年齢の今年36歳、14歳で親の反対を押し切って渡米、その後めきめき頭角を現し、アマチュア時代にはタイガーに次いで全米第2位になるなど、将来を期待され1999年にプロに転向しました。
しかしその後、自身「なんでこの俺が...」と思う程の低迷時期が来ます。
そしてそれを何とか乗り越え2005年にアメリカPGAツアーのシード権を獲得。
その後じわじわとランクを上げ、遂に2008年プレーオフの末、2007年に2位に甘んじたAT&Tクラシックで初優勝しました。
この年は2位も2回あり、全体順位は125人のシード選手中9位とトップテン・プレーヤーに入りました。賞金総額も300万ドルを超え、世界的プレーヤーへの仲間入りか?!と期待させました。
ところが翌2009年は90位、2010年107位とじりじり順位を下げています。
今年はすでに13大会開催されましたが、予選通過が6回で順位が128位とちょっと低迷しています。
アメリカPGAツアーではシード選手であるか、そうでないかでは天と地程の違いがあると言われています。
毎年全体順位125位というのは年間賞金総額がたいたい80万ドル前後となり、その金額の収入が確保される、ということになります。
今田選手の場合は2007年から2010年の4年連続シード選手でしたが、この間の賞金総額が600万ドルを超えています。日本にいてはとても稼げる金額ではありません。
ところが、今年の低迷。私はプロの解説者ではありませんが、アメリカPGAツアーをあきらめた丸山茂樹選手の場合がそうでしたが、技術・体力といった問題よりも、精神的課題にぶつかっていると思われます。
アメリカのアメリカPGAツアー選手ともなれば、ドライバーの飛距離は恐ろしい程になります。
丸山茂樹選手はこれに対抗しようとして筋力作りに取り組みましたが、失敗、撤退を余儀なくされました。
同時期にPGAツアーに参加した田中秀道選手は体まで壊してしまい、撤退の上、数年間は日本でも満足なプレーができなくなりました。
かつて全英オープンに参加した際、ある日本の選手は
「こちらが6番アイアンで打つ距離を、彼らは9番で楽々打ってくる。この違いは大きすぎる。」
と嘆いていました。
今田選手はもともと飛距離を追い求めるのではなく、アプローチやパッティングのうまさがPGAツアーでも光る選手でした。
この技術があったればこそ、ドライバー平均飛距離(平均280ヤード)+フェアウェーキープ率(59%)のトータル・ドライビング順位が161位という順位でも、シード選手としてやってこれました。
問題はそのアドバンテージをしっかり胸に刻んで、その足場を変えずに闘い続ける事ができるかどうかだと思います。
何故ならアメリカをはじめとする欧米の若い飛ばし屋たちが、ここ1、2年で400ヤードを超えるティーショットを記録するようになっているからです。
この部分で彼らと対等に闘うには、もう体を取り替えるしかありません。
私たちアマチュアは「飛ばし屋」と一緒にラウンドすると、ティーショットでは知らず知らずリキむ。
二打目は飛ばし屋同様パーオン狙って、大きく曲げて大トラブル。
二打目を自分が最も得意とする距離にレイアップしたときより大幅にスコアが悪くなって、それこそ『後悔のゴルフ』に。
プロ選手にもこんな事はあるのでしょうか。
今田選手にはこれから、自分の長所に力点を置いた闘い方に徹して、アメリカPGAツアーのシード権を確保して欲しいものです。
そしてできれば2勝目も!
がんばってください!