ホーム » エッセイ » 原発マネー還流スキャンダル、関西電力会長が辞任
福島第一原発の事故調査委員会が厳しく批判した最中、『腐敗と癒着』を続けていた関西電力幹部
自民党国会議員にも飛び火した、原発マネー還流スキャンダル
原発マネー還流スキーム、事前に計画されていたのであれば贈収賄の刑事事件
山口まり / AP 2019年10月10日
写真 : 2019年10月9日水曜日、大阪での記者会見の冒頭で謝罪する関西電力の八木誠会長。
八木会長は高浜原子力発電所が立地する自治体の元助役から、合計3億2,000万円に上る現金その他の金品を受け取った20人の関西電力役員が関係するスキャンダルを理由に辞任しました。
日本の電力会社の最高責任者が原子力発電所が立地している町の元助役から合計3億2,000万円に上る現金その他の金品を受け取った役員を含む20人が関係するスキャンダルを理由に辞任しました。
関西電力の八木誠会長は、国民の信頼を損なった責任を取って辞任すると語りました。
社長の岩根茂樹氏は、今年後半に独立調査委員会が調査結果を公表した後に辞任すると述べました。
2人の役員は2011年から2018年にかけ、関西電力の4基の原子炉が立地する福井県の高浜町の前助役から現金と贈り物を受け取った20人の幹部社員に自分たちが含まれていることを認めました。
「関西電力のお客さまを含む人々の信頼を裏切ったこと、そして多大なトラブルを引き起こしたことを深く謝罪いたします。」
八木誠会長は記者会見の席上こう語りました。
この事件は9月に行われた税務調査中に表面化し、2011年の福島第一原発事故の後になっても尚、原子力発電に関係する行政と日本の原子力産業との間で腐敗した関係が続いていることを明らかにしました。
福島第一原発の事故調査委員会はこうした行政と原子力産業界の癒着について、厳しく批判していたはずでした。
先週公表された予備的な内部調査の報告書によると、20人の幹部は7年間にわたり元高浜町の森山元助役から現金、金貨や金杯、高価なスーツの仕立て券などの形で総額3億2,000万円を受け取っていました。
この極めて不適切な金品のやりとりは政権与党の自民党の国会議員との間でも行われていました。
世耕前経済産業大臣は、森山氏が顧問を務めていた会社から、2012年から2015年にかけ600万円の政治献金を受け取っていたことを認めました。
世耕氏は森山氏とは面識がなく、「違法なことは何もない」と語っています。
安倍首相の政権与党で重職を担う福井県選出の国会議員である稲田朋美氏は、森山氏が役員を務めていた別の会社から、少額の寄付を受けとっていたことを認めました。
聞き取りに基づく関西電力の調査に対し金品を受け取った関西電力の役員と職員は、森山氏はしばしば菓子の箱の底に金品を隠して持参したと証言しましたが、いずれも収賄については否定しています。
この報告書で岩根社長を始めとする役員や幹部社員は、受け取りを拒もうとしたものの、森山氏が激昂して原子力発電事業が継続できないようにしてやるなどと脅したため、仕方なく金品を受け取ったと証言しています。
岩根社長は当初、2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故が原子力発電に対する国民の信頼を完全に失墜させ原子力産業界が信頼回復に苦慮していた中、影響力のある人間の感情を傷つけて会社に損害を与えることを恐れていたと語っていました。
現時点で刑事告発は行われていませんが、法律の専門家は、こうした金銭の流れが事前に計画されていたのであれば、関西電力の役員が贈収賄の刑事責任を問われる可能性があると語っています。
報告書によると、関西電力の役員と幹部職員が受け取った金品は、原子力発電所の建設などに関わった地元の請負業者から「取扱手数料」として森山が受け取っていたものです。
地元自治体の職員は、森山氏は町の助役を退職し他のいくつかの会社の役員を退いた後も強力な政治的影響力を振るい続けていたと語りました。
森山氏は今年3月に亡くなっています。
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関西電力の役員が頭を下げている写真を2枚並べてみて、彼らは一体何に対して、誰に対して頭を下げているのだろう?と思いました。
辞任というと何か贖罪を行ったかのような響きがありますが、規定に則り自らた委任する以上、退職金等も全額が支払われる等、経済生活の上で何か不都合が生じるとは考えられません。
しかし福島第一原発の事故で原発難民の人々が数限りなく失った大切なものは、いったいどれだけ回復されたのでしょうか?
関西電力の役員が頭を下げている相手が、原発難民の人々の痛切な悲しみではない、それだけは言えると思います。
日本の電力会社の原子力発電事業というものが危険なだけでなく、これほど非人間的なものであることを忘れないようにしようと思っています。