ホーム » エッセイ » 【 大型台風によりあふれ出した福島第一原発の汚染水、知られざる事実、知られざる危険 】[FW]
東日本・北日本一帯に大きな被害をもたらした台風21号、大手メディアが伝えなかった福島第一原発の実情
日本政府が福島第一原発の現状の粉飾を続ける限り、太平洋岸で暮らす日本・アメリカ他の市民の危険は続く
スー・プレント / フェアウィンズ 2015年9月18日
福島第一原発の事故の影響が続く日本では、繰り返し日本列島にやってくる大自然の脅威により人々は安閑とはしていられません。
その状況は福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンしたことにより全町民が避難した福島県楢葉町で、日本政府が元住民の帰還を促す誘導政策を行っている最中に発生しました。
日本政府は楢葉町の放射線量が、もはや人間が暮らしても危険ではないレベルにまで下がったとする公式見解を9月11日に明らかにし、数少ない住民が即時帰還を選びましたが、今度は線量計に関わる問題が明らかになりました。
そして福島第一原発による放射能に汚染されたしまった市町村が、元通りになるという希望が決してかなう事は無いという現実を浮き彫りにしたのです。
7名の死者、15名の行方不明者を出した台風21号は、楢葉町の安全が宣言されたほぼ同時期東日本から北日本を襲い、改めてこの島国が自然災害の発生しやすい場所であることを痛感させました。
茨城県や宮城県では川の堤防が決壊、大量の水と土砂が住宅に押し寄せ、静かな田園地帯で地滑りが発生し、耕作地が泥で埋まってしまうなどの被害が発生しました。
多数の住民が避難を余儀なくされました。
その時、未だに危機が続いている福島第一原発では、排水用ポンプが押し寄せた大量の水に没して完全に機能不全に陥り、2011年3月に発生した事故により汚染された周辺地区を、あふれ出した放射能汚染水や廃棄物によって再度汚染する事態となったのです。
その時、未だに危機が続いている福島第一原発では、排水用ポンプが押し寄せた大量の水に没して完全に機能不全に陥り、2011年3月に発生した事故により汚染された周辺地区を、再び放射能汚染水や放射性廃棄物によって汚染する事態となったのです。
日本国内が台風21号の被害の対応に追われていた日曜日の早朝、東京を含む関東地方一帯をマグニチュード5.2の地震が襲い、改めてこの国が『環太平洋火山帯』と呼ばれる、活火山の活発に活動し地震が多発する場所にあり、日々こうした危険に見舞われる可能性が高いことを痛感させられることになりました。
7割以上の国民が原子力発電に反対しているにもかかわらず、政府官僚がそれを無視して原子力発電を推進する姿勢を明確にしている日本で、次に起こりうることは何でしょうか?
福島第一原発周辺に置き並べられた、汚染土や汚染された雑草や落ち葉などの低レベル放射性廃棄物が詰め込まれた膨大な数の黒いビニールバッグは、雨ざらしにされたままの状態が続いているためそれ自体劣化が進んでいたはずですが、海沿いの場所では高潮や河川の氾濫により押し流されたという報告が入っています。
この問題について東京電力は82個の袋が流出し、うち30個が回収されたと発表、52個の低レベル放射性廃棄物入りの袋が行方不明になった事実を確認したことになります。
この事実に対する一般市民の懸念を和らげるため、日本の公式報道は流出した放射性廃棄物入りの袋の周囲で検出される放射線の量は『わずか』であるとしています。
しかし福島第一原発の事故発生以降、日本国内の公式報道や健康問題に対する公式の見解が、国民の安全や健康よりも、電力業界や工業界、それに伴う政治的利益を優先していることを目の当たりにした一般市民は、こうした発表に対して懐疑的な目を向けています。
無責任な大手メディアは東京電力の信じがたい主張を、検証もせずにそのまま流しています。
すなわち太平洋は広大無辺であり、福島第一原発から流れ出した放射能汚染水その他は大量の海水によって希釈され、何万トン流出しようが、影響は『ほとんど影響ない』というものです。
2013年に台風第18号が日本の東北地方を襲ったとき、東電は廃棄物が散乱する福島第一原発の敷地内から回収した雨水を海洋中に放出する機会として利用しました。
この際東京電力は、放出した雨水の放射線量は安全基準の範囲内であると主張していました。
しかし2015年2月、福島第一原発の施設屋上で回収された放射線量が極めて高い汚染水が、長期間直接太平洋に流れ出していたことが発覚するなど、太平洋に放出されている汚染水の濃度が安全基準範囲内に留まっているといる東京電力の主張は疑わしいと言わなければなりません。
最新の調査では、福島第一原発の施設内で回収された雨水の放射線量は、東京電力が安全基準の範囲内だと主張しているのに対し、実際には70倍の汚染濃度を示していたという報告もなされています。
この問題に関心を持つ日本国内の一般市民、そして世界中の人々は、今回の台風21号がもたらした洪水により、福島第一原発に大量に蓄積されている放射能汚染水が再び周辺地区を汚染したのではないかという疑問を抱いています。
この問題はすでに周知の福島第一原発の地下から汲み上げられ、定期的に海洋中への放出が続けられている汚染水とは全く別の問題であることに留意しなければなりません。
2011年の事故以降、原子炉建屋内には一日24時間水が注ぎこまれ、高濃度汚染水が大量に作られ続けています。
そしてここでも東京電力は、いったん除染処理を行った汚染水の放射線量は、太平洋の広大さを考えると影響はきわめて小さなものだと主張しています。
日本政府も台風の影響により、大量の雨水が福島第一原発の敷地内から太平洋中に流れ込んだことによる影響は、軽微なものに留まっていると断言しています。
こうした政府の態度は、より深刻な現実から人々の目をそらさせることにもなっています。
故意界の災害による大量の雨水や河川の氾濫により福島第一原発の敷地内の汚染水が流れだし、これまでは汚染されていなかった場所まで二次汚染、三次汚染が広がってしまったという事実です。
台風21号は当然ながら、福島第一原発の施設そのものより、周辺の山間部に大量の雨を降らせ、そのは所にあった放射性物質を周辺に流しだしました。
しかし東京電力も日本政府も、このことによる健康被害については考慮せず、調査もしていません。
日本政府が福島第一原発の事故によるあらゆる汚染について調査し、発生する可能性のある健康被害について調査し、現状を正しく認識しようとしていない以上、日本やアメリカを含む太平洋岸の一般市民の健康は、常に危険にさらされ続けることになるのです。
http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education/demystifying-nuclear-power-the-fukushima-toilet-overflows