トランプ大統領のご機嫌を取り結ぼうとする態度があからさまな安部首相
トランプ大統領にひたすら媚びを売り続ける安部首相、その腹の内は
北朝鮮に対し、常軌を逸するほど熱心に取り組むアメリカの大統領、しかし日本と韓国の安全は二の次
ジョナサン・ソブル / ニューヨークタイムズ 2017年8月11日

日本の安部首相ほどあからさまにドナルド・トランプ大統領のご機嫌を取り結ぼうとする首相や大統領は、国際社会にはほとんど見当たりません。
安部首相はトランプ大統領が昨年11月の大統領選挙で勝利して以来、ニューヨークのトランプタワーやフロリダ州のリゾートであるマーラ・ラゴにある別荘に喜び勇んで駆けつけました。
2人は2月に行ったゴルフで新密度を深め、他の食事客から丸見えの場所で北朝鮮が発射したミサイルへの対処法を協議しました。
ミサイルを発射した当人の北朝鮮の指導者キム・ジョンウンとトランプとの間の核兵器開発を巡る激しい応酬がどんどん過激さを増していく中、この安部首相とトランプ大統領の『緊密な関係』の意義が問われることになりそうです。
加速する北朝鮮の軍事技術の進歩とトランプの地上最強の国家の大統領とは思えない程激しい反応は、日米の緊密な同盟関係の在り方と安倍首相の政治生命のこれからを複雑にする可能性があります。

アナリストの分析によれば、安部首相がトランプ大統領に媚びるようにして付き従っているのには二つの理由があります。
ひとつはトランプがこれまで大統領執務室の中で繰り返し問題にしてきた対日貿易不均衡問題について、その攻撃の矛先を鈍らせること、そしてもうひとつが日本の防衛問題に大統領自身が関わり続けることを確実なものにすることです。
大統領選挙期間中、トランプは国際社会におけるアメリカの軍事負担を軽減する政策を提案しましたが、これは同盟国である日本の防衛力の弱体化、さらには孤立化を招く恐れがありました。
しかし実際に安倍首相が直面しているのはまったく逆の問題になりました。
すなわち、日米の共通の敵・北朝鮮に対し常軌を逸するほど熱心に取り組むアメリカの大統領の姿です。

ニューヨークに本拠を置く政治的問題のコンサルタントであるテネオ・インテリジェンスの日本アナリスト、トビアス・ハリス氏は
「現状はむしろアメリカの側が事態を一層エスカレートさせるための導火線に火をつけてまわっている様なものですが、安部首相はアメリカに対し冷静な対応を求めるような行動はとっていません。このまま何もしないのであれば、日本国内で安倍首相に対する批判が巻き起こることは、簡単に予想できることです。」
ハリス氏によればトランプ大統領が行なっているような瀬戸際外交を望む日本人などほとんど存在しません。
強
硬な保守派である安倍氏はこれまでずっと北朝鮮に対する厳しい制裁を提言し続けてきました。
そして北朝鮮からの脅威が高まっていることを強く主張し、日本国憲法に基づく制約を様々な方法を使って取り払い、日本の軍事力の強化を推進してきたのです。
こうした背景もあり、現在進行している北朝鮮とアメリカの対立の激化は、まさに安倍首相の思うつぼだという見方が支配的でした。

8月10日、北朝鮮は太平洋のアメリカ空軍が重要な拠点を構えるグアム島周辺の海域に、中距離弾道ミサイルを撃ち込む計画を検討していると発表しました。
そうなればミサイルは西日本上空を飛行することになり、1998年に北朝鮮のミサイルが北日本上空を通過した記憶がよみがえった日本で全国的な騒動を引き起こしました。
「我が国は一度決意を固めれば、数秒のうちに日本列島を灰にする能力をすでにこの手にしている。」
北朝鮮はグアム周辺にミサイルを撃ち込む可能性を明らかにした同じ声明の中で、朝鮮民主主義人民共和国名でこう述べました。
日本はすでにミサイル防衛システムを強化してきましたが、北朝鮮による攻撃が現実味を帯びる中、防衛省関係の官僚は報復攻撃あるいは先制攻撃によって北朝鮮の軍事目標を攻撃できる長距離巡航ミサイルのような武器を購入装備するかどうかについての議論が行なわれています。
しかしこうした武器を装備することは日本が何十年にもわたり守ってきた平和主義を覆すことになり、考え方自体論争の的になります。

日本の自衛隊は平和憲法の定めにより直接国土が攻撃を受けた際初めて軍事力を行使できるとされていますが、アメリカ側は敵の基地を直接攻撃する積極的軍事行動を担当することになっています。
いわゆる盾と槍の関係であり、日本が盾、アメリカが槍の役割を担うことになります。
北朝鮮に対する懸念は大きくなり続けていますが、ほとんどの日本人は盾と槍の分業関係に満足しているようです。
もし安倍首相がそうした関係を変えたいと考えているのならば、注意深く歩みを進める必要があります。
安倍政権の支持率は数か月に渡って下落を続けてきました。
その一因に挙げられているのが、論議など、自衛隊に対する制約を取り払うため安部政権による軍事優先政策が行き過ぎていると感じる有権者が増えているという事実です。
世論調査によれば、日本国憲法の改定を支持しているのは有権者の約3分の1に過ぎません。
国際平和カーネギー基金(Carnegie Endowment for International Peace)」の上級研究員であるジェームス・L・ショフ氏は8月10日掲載された記事の中で次のように述べました
「安倍首相は長い間目標に掲げてきた憲法改定に、残り少ない政治的資産をつぎ込むつもりだろう。」
そして攻撃的な武器を入手するための「大胆な政策の実行」は、「この目標の達成を一層遠のかせることになるだろう」と付け加えました。

来年には自民党総裁選挙を控えていますが、安部首相のライバルのひとりである岸田文夫元外務大臣は、国民は日本の郡制度の変更はもつと慎重に進めるべきだと考えていると判断しているものと見られます。
「政治家としての哲学を一言で表現すれば、安倍首相は保守派です。一部には強硬なタカ派だと評する人もいます。」
岸田氏は、テレビの討論番組でこう語り、次のようにつけ加えました。
「私自身はリベラルな平和主義者です」
北朝鮮に対する敵対的発言を繰り返すトランプ氏の態度は、安倍氏にとっては頭の痛い問題です。
トランプはキム・ジョンウン率いる北朝鮮政府に対する戦争表現をさらに過激にし、ついこの前用いた『炎と怒り』という威嚇ではとても足りないと語りました。
こうした過激な発言は、日本国内においては北朝鮮との軍事的対立に伴うリスクを痛感させることになりました。

北朝鮮が開発している弾道ミサイルはアメリカ大陸に到達可能だと専門家が指摘していますが、近隣諸国はそのミサイルの目標が自分たちの国にならないよう我慢を続けています。
そのため北朝鮮に対する軍事行動を行う事への支持は日本、韓国の両国ともに低く、トランプの過激な発言は現実の解決にほとんど役には立ちません。
拓殖大学世界研究所の竹田秀史教授は、
「現在のアメリカ政府が日本と韓国の安全保障について本当に真剣に考えているのかどうか、むしろその事に対する懸念が高まっている。」
と語りました。
https://www.nytimes.com/Trump’s Tough Talk on North Korea Puts Japan’s Leader in Delicate Spot
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対米追従という言葉がありますが、この記事を読むと同盟国として冷静な対応を促す、助言をするという対等な立場を、安部首相その人が捨ててかかっていることが解ります。
そして安部首相がトランプに賭けの代償として差し出しているのは例によって、自分の命や財産ではなく一般国民の命や財産だという事です。
その先に、巨額の軍事予算に苦しむアメリカ政府に代わり、日本が巨額の予算を要する軍事負担を引き受けるという最終目的があるように感じます。
そのためにトランプが挑発的言動を繰り返して北朝鮮を硬化させ、その反応を世界中に見せつけ、
「ほら、こいつらはこんなに危険な連中なのだ。だからしっかり我々も軍事能力を高くする必要があるのだ。」
というやり方で、日本に多額の軍事負担を押し付ける。
今回の騒ぎで得をするのは3人だけ、海外のアメリカ軍の負担を減らすという公約を守れるトランプ、北朝鮮国内の団結を強化できるキム・ジョンウン、そして日本の軍事力増大を信条に掲げる安部首相です。
21世紀社会の国際紛争を軍事力で解決できるのか?という議論など、一切ありません。
各国の専門家が読み解く『緊迫する朝鮮半島情勢』今後の展開・冷静な分析
朝鮮戦争の休戦状態を終わらせて平和条約を締結するため、米国側に何度も和平交渉を提案した北朝鮮
「俺は最強国家アメリカの大統領だ」とトランプが虚勢を張れば張る程、北朝鮮国内の団結が強まる結果になる
ベンジャミン・ハース(香港)ジャスティン・マッカリー(東京)トム・フィリップス(北京)バーニー・メルキン(シドニー)/ ガーディアン 2017年8月9日

▽ ロバート・ケリー 釜山国立大学准教授
トランプ大統領の発言については、2通りの解釈方法があります。
楽観的な解釈をしたいですか?
そしてあなたはトランプの支持者ですか?
トランプは自分の意図を隠そうとしていますが、トランプはアメリカはこれ以上戦略的な意図から忍耐を続けるつもりはないという意思を中国政府に伝え、圧力をかけることです。
それほど楽観的ではなく、おそらくこちらの方がより正確でしょうが、トランプは自分が強大な権力を持つアメリカ大統領だということを誇示したいのです。
北朝鮮とアメリカ、そのどちらにも戦略と呼べるほどのものはあるのでしょうか?
それはまるで子供たちの遊び場で見かける、いつも弱いものいじめをしている2人の罵り合いのようなものです。

北朝鮮は挑発などせず、ある日突然アメリカの主要な基地や国土を一方的に攻撃するつもりはないのでしょうか?
そのやり方なら、米国の報復攻撃を封じ込めることが可能です。
核兵器を自前で開発できる北朝鮮人の頭が悪いはずはありません。
彼らの核兵器は、犯罪ではなく防衛のためのものです。
北朝鮮は、かつてカダフィ大佐とサダムフセインに何が起きたのか、心配しているのはその点です。
彼らはアメリカ人が変化を利用して何かを仕掛けてくることを心配しており、核兵器は機に乗じてアメリカが乗り出してくることを防ぐことを保証しています。
これがすべてです。
グアムにミサイル撃ち込むなどというのは、ただのこけ脅しが一つ増えたというだけの話です。
しかし北朝鮮はもう後戻りするつもりはありません。

彼らはミサイル実験を続け、その結果近いうちに核弾頭の小型化を実現することでしょう。
さらにはミサイルが大気圏に再突入する際、破壊されないようにその強度を高める作業が残っています。
それまでの間、北朝鮮とアメリカの激しい応酬が続くことになるでしょう。
▽ ジョン・デュルリー(韓国ソウル市延世大学、北朝鮮専門家)
米朝関係において私たちは、よもやアメリカ側から予測不能な発言行動や不安材料が飛び出してくることなど予想していませんでした。
だからこそ世界中の人々がこれほど狼狽しているのであり、私たちはアメリカ大統領がこのような口調で相手を罵ることに慣れてはいません。
こうした類の罵り合いや声高な脅迫が、戦争や制裁といった国際的な問題を合理的解決に導いた例などはなく、全く無意味で馬鹿げています。
もし解決に向け一歩でも前進させたいのであれば、我々がするべきことは外交的努力です。
アメリカ政府の北朝鮮へのメッセージは次のようなものでなければなりません。
「アメリカ合衆国は北朝鮮が経済的発展を成し遂げ、アジア社会との融和関係を構築し、他の東アジア諸国同様国家としての安定した状態を手するよう望んでいます。それができれば北朝鮮は核兵器の開発と保有を放棄することが可能になるでしょう。」

しかし事態が進展しないことを望んでいる人々もいます。
例えば、核兵器の不拡散に焦点に問題を絞れば、日常的に北朝鮮に打撃を与える政策を実行して弱らせ、孤立させることにより、これから核兵器を作ろうあるいは持とうとする国々にこう自戒させるのです。
「とりあえず我が国が、北朝鮮の二の舞にだけはならないようにしなければならない。」
こうした政策が実在することについては論理的根拠があります。
アメリカや韓国からの敵意がこうした形で示されることは、北朝鮮にとっては大歓迎なのです。
北朝鮮は国際社会がうんざりするほどこのやり方を続けるでしょう。
彼らはアメリカ政府との間で日常的に脅し合いをすることにより、国内での立場を安定させるやり方に満足しています。
それは実際に素晴らしい効果があります。
彼らはむしろ危機的状況を望んでおり、アメリカによって包囲されているという点を強調することで国内の引き締めを図ることができるのです。

しかし軍事紛争が発生することはあり得ないことではありません。
バランスを取り続けることは容易ではありません。
私はもっと憂慮すべき点は別にあると考えています。
私は韓国人はこの問題の本質を見極めようとしていないと考えています。
私は韓国政府がこの問題についてあまりにも消極的であると思います。
▽ グリフィス大学弾道ミサイル実験専門家 アンドリュー・オニール教授
ミサイル実験の結果次第で今後の北朝鮮の姿勢は変化し、多くの問題が影響を受けることになるでしょう。
北朝鮮は今年2017年7月にICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験を2度成功させたことにより、その技術開発が新たな段階に到達したことを世界に印象付けました。
これに2016年に2度の核爆発実験を行ったことを考え合わせると、事態はアメリカやその同盟国にとっては黙って見過ごせないレベルに到達しました。
中国も深刻な懸念を抱くこととなり、北朝鮮に圧力をかけるための追加措置に歩調を合わせざるを得なくなっています。

ここで問題となるのは、
①北朝鮮を思いとどまらせるようには、国連の安全保障理事会の制裁が機能していない
②北朝鮮の大量破壊兵器がある軍事施設に攻撃を仕掛ければ、北東アジア全域で戦争状態に陥る危険性があり、現実的選択肢ではありえない
しかしトランプ大統領の「炎と怒り」の発言は、国際社会におけるアメリカの絶対的優位を守るためには軍事力の行使も辞さないとの意思表示を行ったという意味で、ひとつの大きな転換点となる可能性があります。
もし北朝鮮がさらに大規模な挑発行為に踏み切ったにもかかわらず、アメリカが有効な対抗措置を採ることができなければ、トランプの大統領としての信頼の失墜へとつながり、焦るあまり直接軍事行動を決断する可能性があります。
歴史的観点から見た場合、米国も北朝鮮も紛争ぼっ発の危険性が高まれば高まる程、それを回避すべく対策を採ろうとしてきました。

しかしドナルド・トランプと金正日(キム・ジョンウン)には、これまでにない問題があります。
それは2人とも、負の連鎖に陥ることを防ぐ抑止力よりも、自分たちの危機管理能力と事態を回避させられる能力の方が上だという根拠のない自身を持ち過ぎているという事です。
金正日(キム・ジョンウン)体制の北朝鮮の国内情勢もまた重要な役割を果たしているということを理解することも重要です。
北朝鮮政府の高官クラスの失脚は頻繁でその後の運命は残忍なものであり、金正日(キム・ジョンウン)自身は自分の基盤の強度はまだ不足していると考え不安を持っていますが、それ以上に心配しているのは中国が後ろ盾になったクーデターの勃発です。
北朝鮮にとって歴史的な敵であり、現代においては絶えざる脅威を押し付けてくる敵、すなわちアメリカに対し、毅然と立ち向かう金正日(キム・ジョンウン)という物語は、国内統制の手綱を引き締め、政権、軍隊、北朝鮮労働党に対する彼の支配力を強化するのに役立つことになります。
https://www.theguardian.com/world/2017/aug/09/north-korea-v-the-us-how-likely-is-war
各国の専門家が読み解く『緊迫する朝鮮半島情勢』今後の展開・冷静な分析
ドナルド・トランプは「炎と怒り」に直面させてやると威嚇、金総書記はグアム周辺へのミサイル攻撃予告で応酬、互いの真意は?
北朝鮮当局によって国内向けに利用されている、トランプ大統領の口汚い威嚇
ベンジャミン・ハース(香港)ジャスティン・マッカリー(東京)トム・フィリップス(北京)バーニー・メルキン(シドニー)/ ガーディアン 2017年8月9日

米国と北朝鮮間の言葉を使った戦争がエスカレートし、ドナルド・トランプ大統領が「炎と怒り」に直面させると威嚇すると、北朝鮮は直ちに応戦、西太平洋の米軍基地を攻撃する計画を「注意深く検討している」と発表しました。
2017年7月の北朝鮮の2回の大陸間弾道ミサイル発射実験と昨年の2回の核実験により朝鮮半島の緊張が高まり、孤立する独裁国家に対する制裁はすでに強化されています。
しかし朝鮮半島の問題の専門家たちは北朝鮮の指導者たちは自国の核兵器については実際の戦争手段ではなく、飽くまで交渉の切り札と認識していると見ており、実際に戦闘に発展する可能性は低いと考えています。
そうした専門家たちの見解を以下、ご紹介します。
▽ ジャン・リー(ウィルソンセンター研究員、元AP通信平城支局長)
この地域で新たに戦争を起こすことなど、どの国の国民も望んではおらず、その点は北朝鮮であっても変わりません。
しかし、金正日(キム・ジョンウン)はアメリカに対しては北朝鮮が核兵器保有国であるという事を、自国民に対しては金一族こそ巨大な悪の帝国アメリカから国を守ることができる正当な統治者であるという事を、それぞれ認めさせるためにはできることは何でもする覚悟です。

トランプが行なっている威嚇はいくつかの点で、北朝鮮の思うつぼにはまっています。
金総書記がまず何よりもしなければならないのは、米国が北朝鮮の存在を脅かし続けていると自国民に信じさせることです。
こうした見方を正当化するアメリカに対する恐怖感情はかえって北朝鮮の人々を団結させる結果となり、乏
しい国家資源を核兵器と弾道ミサイル開発に集中させることを正当化しています。
私が一番心配しているのは、誤った情報や偶発事故によりこのエリアの軍隊が実際に軍事行動を起こしてしまう事態です。
思い出していただきたいのは、2010年に国境沿いの韓国の島に北朝鮮が砲撃を行い、韓国の民間人数名が殺された事件です。
また日本の領海内に弾道ミサイルが撃ち込まれた場合には、日本が何らかの軍事行動もやむなしとの判断を行う可能性もあります。

▽ アンドレイ・ランコフ(ソウル国民大学教授、NKニュース・ディレクター)
私たちは北朝鮮のメディアによる敵意に満ちた報道の対象にされてきました。
私はトランプ大統領が今後も北朝鮮を口汚くののしる発言を行うと思っていますが、それはすぐに北朝鮮の宣伝機関によって利用され国内に広く流布されるでしょう。
そしてトランプはアメリカ軍の空母を1隻ないし2隻、朝鮮半島付近に派遣することになるかもしれません。
北朝鮮はアメリカ大陸を直接攻撃できる核兵器の開発と展開を終えた段階で、核兵器とミサイル開発の凍結について、交渉するための材料が揃ったという判断をする可能性があり、アメリカはこのオプションを受け入れるべきです。
実際に紛争が起きる可能性はほとんどありません。
しかし北朝鮮は外交交渉のみによる解決には興味がありません。
彼らはまず地図の上からシカゴを抹殺する能力を得たいと考えており、その上で外交交渉を行いたいと考えています。
数年のうちに北朝鮮はそうした能力を手にすると考えられます。

朝鮮戦争ぼっ発以来何十年もの間、これまでは北朝鮮の側だけが用いてきた論理と戦術の両方を、今やアメリカの大統領も真似する事態となりました。
北朝鮮は数年おきにソウルを「火の海」にしまうという威嚇を繰り返してきましたが、こうした脅迫はいつもの宣伝だと考えるべき性格のものなのです。
▽ ソン・ジヨン(メルボルン大学韓国学科上級講師)
アメリカ合衆国政府が北朝鮮と水面下あるいは公式に話し合いの場を設定するまでの間、互いに厳しい調子で非難を続ける状態が続くと考えられます。
金正日(キム・ジョンウン)側はアメリカ側の出方を探るために様々な挑発を仕掛けてくると考えられます。
北朝鮮問題には軍事的解決策はありません。
北朝鮮が望むのは米国が核保有国として正式に認めることであり、その上で米国との外交関係を確立することです。
北朝鮮が核兵器とミサイル発射能力について世界、特に米国に対し認識させることは、現体制の生き残りをかけたしたたかな計算の一部なのです。
すべての選択肢が北朝鮮政府のテーブルの上にあり、北朝鮮は1953年の休戦状態を終わらせて平和条約を締結するため米国側に何度も和平交渉を提案しました。
北朝鮮がやろうとしていることは、米国と韓国の同盟関係を破綻させ、ムン・ジェイン新大統領が南北関係を改善するためのだとする韓国内での政治的指導力を弱体化させることです。

韓国のムン・ジェイン新大統領は北朝鮮と様々な形の話し合いを提案しており評価されるべきものですが、北朝鮮は故意に無視を続けています。
キム・ジョンウンにしてみれば韓国大統領など眼中にはなく、望んでいるのは飽くまでトランプ大統領との直接会談です。
しかし米国側としては、北朝鮮が少なくとも核兵器開発を凍結する姿勢を見せない限り、会談にのぞむつもりはありません。
希望的観測を言えばキム・ジョンウンが最終的に核兵器の保有をあきらめることが理想的です。
中国の習近平国家主席もロシアのプーチン大統領も朝鮮半島で再び戦争が起きることなど望んでいません。
そして金正日(キム・ジョンウン)は国際社会に信頼できる友人などはいません。
彼は全世界の人間、特に韓国人を文字通り致命的機に陥れる非常に危険な武器を開発しました。
もしトランプがこれ以上キム・ジョンウンの行動をエスカレートさせたくないのであれば、彼は席についてキム・ジョンウンと対話しなければなりません。
- 後編に続く -
https://www.theguardian.com/world/2017/aug/09/north-korea-v-the-us-how-likely-is-war#img-1
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この記事と前回掲載した【 21世紀社会が抱える深刻な課題 : ノーム・チョムスキー 】《3》デモクラシー・ナウ ( http://kobajun.biz/?p=31626 )を読み、アメリカがエキサイトすればするほど、威嚇を強めれば強める程、北朝鮮の国内統制を利することになるという構図がよく理解できました。
そして経済制裁しか実効的な手段が無いこと、そのためには日韓米中露、すなわちかつての六か国協議を復活させることが、最も妥当な対応だという事も理解できました。
日本国内で核シェルター作りが『ブーム化』しているなどという愚劣な騒ぎを終わらせるためにも、『解決への道』の選択を間違わないようにしなければなりません。
核兵器による報復攻撃を招きかねないトランプの軍事力行使の威嚇、それを称賛する安倍首相
「北朝鮮への軍事攻撃の可能性を除外せず」しかし韓国と日本が受ける報復攻撃の危険性には言及せず
トム・フィリップス / ガーディアン 2017年7月31日

「アメリカのドナルド・トランプ大統領は、拡大する北朝鮮の軍事的脅威から米国の同盟国を守るために「必要なあらゆる措置」を講じることを誓ってくれた…」
日本の安倍晋三首相は米国大統領と電話で話した後、こう語りました。
7月27日金曜日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の2回目の実験を成功させましたが、アナリストはこれによりアメリカの大半が北朝鮮のミサイルの射程圏内に入ったとの見解を明らかにしました。
トランプ大統領と安倍首相の電話会談はこの直後に行われました。
米国は7月29日キム・ジョンウン政権に対し実験への報復のための威嚇行動として、朝鮮半島上空で超音速B-1B爆撃機2機の飛行を行いました。
太平洋空軍司令官、テレンス・J・オホーソーネッシー将軍は、指揮下の部隊は北朝鮮に対し「直ちに致命的で圧倒的な軍事力」行使できる準備ができていると警告した。
中国政府も北朝鮮への圧力を強めるよう説得を試みているトランプ大統領は苛立ちを露わにし、北朝鮮の独裁者を抑え込むために中国政府が「何もしていない」と非難しました。
ロシア外務省も朝鮮半島の動向に懸念を持っていますが、一方では27日アメリカが「ロシアと中国に責任を転嫁しようとしている」と非難する声明を明らかにしました。

中国の国営メディアは31日月曜日アメリカの非難に反論し、北朝鮮のミサイル発射についてどういう影響力も発揮できない事を後ろめたく感じているトランプ大統領が、いわば見当違いの方向に食って掛かったものだとし、新聞紙面上でトランプを「未熟者の大統領」と表現しました。
タブロイド版の英字新聞のグローバル・タイムズ紙は社説の中で、「トランプ氏が中国に対する批判を強めているのは不合理だ」と述べ、「中国政府はすでに北朝鮮に大きな圧力をかけている」と主張しました。
「トランプ大統領は『中国ならこの問題を容易に解決できる』主張している」と、実質的には中国共産党の管理下にある新聞はこう続けました。
しかし「このような声明を明らかにするのは、北朝鮮の核開発問題について充分な知識も理解も無い、未熟な大統領だからこそ可能なことである。」
「北朝鮮はアメリカや韓国がどのような軍事的な警告を行おうが、核兵器とミサイルの開発を進める決意を固めている。いったいどうすれば中国による制裁がこうした状況を変えられるというのだろうか?」
同じ新聞の別の記事では、中国が北朝鮮の核開発危機を解決する立場にあるとするトランプ大統領の主張そのものを「不条理」だと斬り捨てました。

安倍首相はトランプ大統領との電話会談の後記者団に対し、「我々は北朝鮮に対する『新たな行動』について検討したと述べ、『アメリカは同盟国を守るために必要な手段を尽くす』と述べたとトランプ大統領を賞賛しました。
「私はさらに踏み込んだ対応をとらなければならないという点において、トランプ大統領と意見が完全に一致しました。」
安部首相の発言として共同通信がこう伝えました。
「日本とアメリカは国際社会とともに北朝鮮問題を平和的に解決するため、繰り返し調停の取り組みを続けてきましたが、北朝鮮はそれをことごとく踏みにじり、一方的に状況を悪化させました。」
安部首相はこう語り、次のように続けました。
「中国、ロシア、その他の国際社会もこの状況を真摯に受け止め、団結して圧力を強めていかなければなりません。」
ニッキー・ヘイリー米国国連大使も中国政府への圧力を強める動きを見せ、声明を発表しました。
「中国政府はキム・ジョンウン体制に対しどう対応するのか、最終決断を行う必要があります。話し合いの時は終わりました。」
レックス・ティラーソン米国務長官は29日土曜日、増大する北朝鮮の脅威について中国とロシアを名指しで非難し「両国は他国には無い特別な責任を負っている。」と述べました。

一部の専門家は、トランプ大統領が北朝鮮に対して軍事行動を起こす可能性がますます高まっていると考えています。
今年4月、トランプはフロリダにある自身の別荘マー・ア・ラゴ・クラブで中国の習近平主席と食事をとっている最中、誰も予想していなかったシリアに対する空爆を命じました。
北京人民大学の北朝鮮専門家である成せん暁可(チェン・シャオフ)氏は、米国の軍事行動の可能性は高まっているが、トランプにとってきわめてリスクの高い選択肢である点に代わりは無いと述べました。
「もしトランプ大統領が軍事攻撃に打って出た挙句議会の承認を得ることができなければ、彼の政治生命は絶たれることになるでしょう。」
上海社会科学アカデミーの北朝鮮専門家である劉明(リウ・ミン)氏は、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、トランプ大統領は
「トランプ大統領がちらつかせている北朝鮮に対する軍事攻撃は、代償が大きすぎて現実的な選択肢とは言えません。発言によって、中国に対する圧力を強めようとしているに過ぎません。現実的政策というよりは、たちの悪い脅しに近いものです。」

カリフォルニア州にあるモントレー国際大学院ミドルブリー国際問題研究所の北朝鮮専門家ジェフリー・ルイス氏は、今日の北朝鮮の核兵器とミサイル技術の進歩がいかに進んでいるかを考えると、軍事攻撃をするぞといかに脅してみたところで現実には不可能だと述べました。
「核兵器国保有国に軍事攻撃を仕掛けてしまったら、その結末がどうなるかは火を見るより明らかです。」
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ある意味人類の存亡に関わるスイッチを冒頭の写真の2人がその手に握っていることについて、皆さんはどうお考えでしょうか?
人間はたった一回、たった一つの命を授けられ現在を生きています。
その人間の命をまるで薪ざっぽうのように粗末に使い捨てながら戦闘を続け、挙句最後には家庭や故郷を守っていただけの人びとの上に二度も核兵器を投下されるという結末に至った太平洋戦争。
私に言わせれば戦争末期の玉砕や特攻は戦術的にまったく無意味な、そして史上最も残酷な生命の大量投棄です。
そんな戦争を正当化しようという人間の手に私たちは何を委ねてしまっているのか、真剣に考えるべき時です。
きっかけは安部首相自身の便宜供与の不正疑惑がダブルで、そこに追い打ちをかけた稲田防衛相の妄言の数々
国民のために何をする内閣なのかは意味不明、安部首相の保身が目的であることは明白
ジョナサン・ソブル / ニューヨークタイムズ 2017年8月3日

写真 : 東京の首相官邸から出てきた安倍首相。最近の世論調査では、安倍政権を支持しているのは国民の3割前後。
安倍晋三首相は、一連の不祥事や不正疑惑が相次ぎ、支持率が急落した自分が率いる保守政権を支えるため、3日木曜日に新しい内閣を任命しました。
安倍首相は内閣の閣僚人事を一新、極右的政策を唱える人間を外して閣僚経験がある人間を主要ポストに割り当てるなどしました。
内閣改造はしばらく前から取りざたされていましたが、前内閣の防衛大臣が疑惑を深めるような発言を国会内で繰り返した挙句7月末に辞任したことで、急ぎ対応しなければならない事態に落ちこみました。

今回の人事について自民党の上層部や首相自身の口からは、国内で議論の多い問題、特に安部首相が長年の宿願としてきた平和憲法の改定などの課題はとりあえず後回しにし、まずは国民生活と関連の深い経済問題などに焦点を当てたものだとのコメントが行なわれました。
安部首相は
「2012年に政権を奪還した時の原点に立ち返り、国民を団結させ前向きに政策を進めていきたい。」
と語りました。
2012年12月に首相の座に返り咲いた安倍氏は、アベノミクスと呼ばれる景気刺激政策によって低迷する日本経済を再び成長に向わせると公約し、高い支持を得ました。
しかしそれから4年半を経た現在、日本国内の各報道機関の調査によれば、安倍政権を支持する国民の割合は3分の1にまで減少しました。
焦点となった閣僚人事のひとつ、防衛大臣には議員として長い経験を持つ小野寺五典氏を任命しました。

小野寺氏は2012年に第二次安倍内閣が発足した当初の防衛大臣でしたが、南スーダンの国連平和維持活動の任務についていた日本の自衛隊の派遣部隊の日報を処分したことについて、自分は一切報告を受けていないし把握もしていなかったと主張して批判を受け、7月28日に辞任せざるを得なくなった稲田朋美氏から防衛大臣の地位を引き継ぎました。
自身は否定を繰り返していますが、個人的友人や極右的教育を行っていた教育機関に便宜を図るため政治的立場を利用したという不正疑惑を持たれていた安倍首相の立場を、稲田氏の問題はなお一層悪化させることになりました。
外務大臣のポストは自民党内で最もリベラルな政策を表明している河野太郎氏に割り当てられました。
河野氏は2011年に福島第一原子力発電所が大崩壊する事故を起こした後、原子力発電に反対する立場を明確に打ち出し、原子力発電推進の立場をとる所属する自民党内での立場が悪化していました。

河野氏の父親は1993年当時内閣官房長官として、第2次世界大戦中に日本軍所属の売春婦として働くことを強制された韓国や他アジア諸国の女性たちに、政府として公式の謝罪を行った元外相の河野洋平氏です。
このいわゆる河野談話は、自民党内の右翼の国家主義者たちから批判を浴び続けてきました。
ニューヨークに本拠を置く政治的問題のコンサルタントであるテネオ・インテリジェンスの日本アナリスト、トビアス・ハリス氏は新閣僚のラインナップについて「一応政治家らしい顔ぶれが揃った」とツイートしました。
首相の後任候補者のひとりであり今度の内閣では大臣に就任しなかった岸田文夫氏の後任が河野氏です。
岸田氏は安倍氏の政治的なライバルのひとりですが、その政治的立場はよほど穏健です。
岸田氏は閣僚の地位に就く代わり、自民党内の最も重要なポストである政務調査会長に就任しましたが、
テネオ・インテリジェンスのハリス氏によれば、岸田氏の派閥のメンバーは前内閣の3人から5人に増え、岸田氏の政治的立場はより強いものになったと指摘しました。

安部首相の自民党総裁としての任期は来年末で切れますが、そうなれば日本国首相としても辞任しなければなりません。自民党が規定を変更して安部氏に第3期の総裁就任を認めれば状況は変わりますが、一般国民による支持率の急速な回復が無い限り、その事は不可能です。
「これだけスキャンダルや不正疑惑が続いた後だという事を考えれば、新しい安倍内閣の『目標』は明らかです。決して間違いを犯さないようにすることです。」
これまでのところ安倍政権の凋落によって何ら得るところの無かった最大野党民進党の代表をつい最近辞任したばかりの蓮舫氏がこう語りました。
「どういう感想も持ちようがない内閣です。」
安倍氏はさらに党内のライバルとして距離を置いてきた野田聖子氏を総務大臣に起用しました。
野田氏は2015年、安部首相の最初の任期が切れたときに、自民党総裁選挙に出馬しようとしました。
野田氏は閣僚に任命された20人の中、上川陽子法務大臣とともに2人だけの女性のうちの1人であり、安倍氏の女性リーダー育成と登用の機会を増やすという約束が明らかに後退しているという批判を浴びることになりました。
安部首相にとって最も重要な補佐役である麻生太郎財務大臣と菅幹事長の2人は、今回も留任することになりました。

自民党の二階俊博幹事長も続投です。
二階氏は8月3日木曜日朝の発言で、日本が軍事力行使する際の制限を取り除くため憲法を改定するとする計画について、先送りすることを提案しました。
安倍首相は自民党、そして自分自身が長い間宿願としてきたこのための憲法改定を2020年までに実現させることを提案しましたが、大多数の国民は反対であることが明らかになっています。
「さまざまな意見に耳を傾け、慎重の上にも慎重であることが大切です。」
二階幹事長はこう語りました。
https://www.nytimes.com/japan-cabinet-reshuffle-shinzo-abe
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内閣改造という手続きに一体どれだけの税金が投入されるのか知りませんが、国民のためでなく首相の個人的利害のために、それも自らの不始末が原因(たぶん)の内閣改造なのに費用を自弁するわけでも何でもなく、結局は私たちの給与明細にツケが回ってくるというのはどういう事でしょうか?
広島の被爆者の人たちだって税金を支払ってる、福島の原発難民の人たちだって税金を支払ってる、その人たちにとって自己都合の内閣改造にどんな意味があるのでしょう?