平和憲法を廃止して大幅な軍備拡大を可能にするため、あらゆる手段を使って演出される『戦後最大の安全保障上の危機』
専守防衛という考え方を逸脱し、自衛隊に軍隊としての役割を強く求める自民党の改憲案
アメリカCNNニュース 2018年1月22日

もはや北朝鮮情勢が一定の落ち着きを取り戻したにもかかわらず、第2次世界大戦終結後初めてミサイル着弾を想定した避難訓練に加わったのは、灰色のベストを身に付けた数百人の東京都の住民たちでした。
1月22日月曜日におこなわれたこの避難訓練は、翌月韓国で開催される冬季オリンピック大会の開催準備の一環として、韓国を訪問中の北朝鮮代表団が首都ソウルで演奏会の開催の可能性について言及したその直後のタイミングで行われました。
北朝鮮と韓国の関係改善の兆しが明らかになりつつあるにもかかわらず、安倍晋三首相は北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威が「前例のない」「差し迫った」ものであると繰り返し警告しています。
「第二次世界大戦以降、日本を取り巻く安全保障情勢は最も厳しいものであると言っても過言ではない。北朝鮮に核兵器とミサイルの開発を、完全に検証可能かつ不可逆的な方法で放棄させる必要がある。」と述べました。
昨年9月、北朝鮮は北海道の上空を通過させる形で大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行いました。
このミサイルはその年に北朝鮮が日本の方向に発射した2基のミサイルの1基であり、日本国内の懸念が拡大し、第2次世界大戦の敗戦後に成立した日本の平和主義憲法の廃止を求める安倍首相の立場を強める結果となりました。

▽ いつものやり方で…
大きな地震や津波が度々発生する国柄もあってか、22日に行なわれた避難訓練では参加したボランティアの人びとは、テキストメッセージと拡声器からの指示に従い、迅速かつ整然と予め決められた地下の避難場所に移動しました。
訓練の開始からわずか10分で訓練は完了しました。
部分的にアミューズメントパークを使って行なわれたこの訓練は、この数か月間全国のもっと小規模な市町村で行われたミサイル発射を想定した訓練の集大成であり、大都市での物理的対応をどうするかという課題の下で行われました。
PAC-3パトリオット・ミサイル防衛システムを備えた首都圏には約3,500万人が住んでいます。
しかしこのシステムは、実験段階においてもその性能に対する評価は一定していませんでした。
訓練に参加した東京都在住の松本俊子さんは昨年の北朝鮮のミサイル発射実験に言及し、「ミサイルの着弾に対する備えができた」とCNNの取材に答えました。
2017年3月、日本で初めてのミサイル飛来に対する避難訓練が秋田県男鹿市で行われましたが、引き続き9月には北海道の滝川市と岩見沢市でも行われました。

しかし2018年1月には公共放送NHKが北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを発射したという誤った警告を出したため、結果的に予定していなかった訓練が行なわれることになりました。
NHKアプリを携帯電話にインストールしていた人が受信したメッセージには、「NHKのニュースアラート、北朝鮮がミサイルを発射した可能性があります。日本政府のJアラート:至急建物内や地下に避難してください。」とありました。
NHKはすぐに謝罪を行いました。
「北朝鮮ミサイルについて先に送られたニュース警告は間違いであり、日本政府はJアラートを発信していません。」
この間違いは数分で修正されました。
今回の誤報はアメリカ50州の内のハワイがすべての市民に誤って「大陸間弾道ミサイルによる攻撃」の警告を誤って送ってから数日後に発生しました。
原因についてNHKは従業員が 「間違ったボタン」を押したためだとしています。
▽反戦抗議
引退生活を送っている東京在住の三田村みやこさんは
「北朝鮮は何を考えているかわからない。」
と語り、次のように続けました。
「北朝鮮がもし本当に東京を攻撃したら、どれ程深刻な被害を受けることになるか考えるととても恐ろしいです。」

日本政府は、北朝鮮の攻撃に備えて一般市民が訓練することは必要な事だと語りました。
「避難訓練の実施についてはいろいろな意見があることは把握している。しかし現実にミサイルが日本上空に飛来している。」
末永洋之内閣参事官はこう述べ、次のように続けました。
「日本政府は国民に安全と安心を提供するためには、どのような行動が必要かを国民が理解することが重要だと考えている。」
東京で避難訓練が行なわれたすぐ近くでは、少人数の2つの反戦グループがサインボードを掲げ、小冊子を配布しながら、安倍政権が北朝鮮の脅威を政治利用としているとして大きな声で抗議活動を行っていました。
安倍首相が率いる保守派の自民党は戦後の日本の平和主義憲法を改定しようとする議論を展開しています。
この動きに批判的な人々は、自民党が提案している改定が純粋な意味での自己防衛を逸脱し、自衛隊に軍隊としての役割を強く求める内容になっていることを懸念しています。
さらに安倍政権は主に米国からの軍事装備の大規模な新規購入を発表しました。

抗議活動をしていた伊藤友子氏はCNNの取材に対し、ミサイル避難訓練を「戦争の練習」と表現しました。
「安部政権は国民の意向を無視しています。逆に私たち国民全員を精神的に支配し、戦争に向け心の準備をさせようとしています。戦争というのは、往々にしてこの種の小さなことがきっかけとなる場合が多いのです。」
「些細な事のように見えるかもしれませんが、実際の意味は大きく、彼らはすでに戦争を始めたのかもしれません。」
https://edition.cnn.com/2018/01/22/asia/tokyo-missile-drill-intl/index.html
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テレビ報道などを見て、ミサイル避難訓練についてはいくらプロパガンダだとは言え、ずいぶんあくどいやり方をするものだと思っていました。
見過ごせないのは、こうした訓練をさせられたり見せられたりしているうちに、どうしても『北朝鮮の脅威』が現実以上に大きなものになることです。
これは人間の心理として仕方がないことであり、そこを狙って国民の洗脳を進めようという意図があるとすれば、まさにあくどいとしか言いようがありません。
隠された洗脳という事であれば、私自身高校時代の日本史の教科書を思い出します。
第一次世界大戦は世界規模の戦争の惨禍というものが、人間にとってどれほど破壊的なものであるかを強く認識させ、世界的に軍縮へ向かおうという機運がようやく高くなりました。
しかし第一次大戦の特需により経済的恩恵を強く受けた米国と日本は戦艦や巡洋艦を大量に建造し、いわゆる建艦競争という逆の現象が起きました。
日本の場合は軍部の要求通りの艦隊整備を行なえば財政が破たんする危険性がありましたが、国内にそれを止める機能はありませんでした。
結局1921年のワシントン条約によって建艦競争に強制的に一定の歯止めがかかることになり、米国英国に対し日本の戦艦・航空母艦の保有割合は10対6ということになりました。
当時の国力から考えて『その辺りかな』と思える数字だと思うのですが、当時の日本は『自国防衛のため』『対米7割』を主張しましたが、米英に容れられませんでした。
この辺り、私が使わされた日本史の教科書には『米英に不公平を押しつけられた』というニュアンスの記述がされ、ごく当然のことのように自分の感覚の中に入りこんできました。
しかしその後、世界史をさらに深く学習した視点からこの辺りの事情を紐解けば、日本の『防衛力強化』(この時代の日本は1910年に併合した韓国や日露戦争によって権益を得た中国東北部、いわゆる満州までが含まれます)というものが、実は『帝国主義的権益の強化』であったことが理解できるようになりました。
改めて考えれば、軍拡に正論などあるはずがないのだと気がつきました。
こうした教科書の洗脳効果を狙った加筆訂正というものは、自民党の一党支配が続けられる中でこれまで目立たないように行なわれてきたのだと思います。
それが安部政権になって、森友学園の問題に代表されるように、何事も目立つようになりました。
要はやり過ぎなのだと思いますが…
だからこそ、私たちは声を挙げるべきなのだと思います。
無言でいることは、それを受け入れたことになってしまいます。
避難訓練している脇でその不当さを訴えるのは随分と勇気がいると思いますが、こうした方々がおられることに敬意を表したいと思います。
変化の時代に必要なのは、市民の目線に立ってものを考えるメディア、そして報道
世界的にも国家的にも地方においても個人的にも危機に直面し、人々は不安を抱き続けている
今日のように価値観が混乱している社会にあっては、一般市民の権利と人権を守ることが急務
キャサリン・ヴィナー / ガーディアン 2017年12月8日

ほぼ似たような裕福な背景を持つ人々は、危機的な時代の到来によって悪影響を受ける人々に対する充分な理解を示したり、あるいは危機が生み出されている場所まで出かけていくという事はまずしません。
限られた階層の人々によってコントロールされているメディア組織は、市井の人々が『ニュース』だと考えている問題に改めてニュース性を見出す可能性は低いと見るべきです。
こうした組織内の議論は、必然的に参加者が共通して持っている特権に影響されて形作られることになるのです。
2017年6月に火災で71人の犠牲者を出したロンドン市西部のグレンフェル・タワーについては、住民が何年も前から危険性を指摘していました。
この事件の報道の中でチャンネル4のニュース・プレゼンターのジョン・スノーは、住民たちの警告に耳を傾けなかったことは、メディアが
「エリート階級の話にばかり耳を傾け、 そうでない人々に対しては関心が希薄で、関連性を見出そうともしないし、関係を持とうともしない。」"
からだと述べました。
ガーディアン編集長のゲイリー・ユンゲはもっと厳しい表現を用いました。
「彼らは『私たち = 一般市民』ではないのです。 そうした彼らの考え方は報道の場で明らかにされることはありませんが、自分たちが市民としての目線に立っていない事には気がついています。」

もしジャーナリストたちが一般市民の生活から遠ざかることになれば、彼らは本当のストーリーを見逃すことになり、その結果人々からの信用を失うことになります。
ガーディアン自身もこのような課題から免れるわけではありません。
スタッフ全員があらゆる価値観を共有している訳ではありません。
新聞社としての歴史、目的、そして価値観を基にこうした問題に私たちガーディアンは取り組んできたつもりですが、まだまだ道半ばといったところです。
一方現在権力の座にある者は、メディアが民主主義制度の中で本来果たすべき公共的役割をねじ曲げ、メディアに対する不信を自分たちに有利に利用しようとしています。
ドナルド・トランプが繰り返す「フェイク(偽の)ニュース」発言、メディアに対する「アメリカ人の敵」呼ばわり、英国閣僚メンバーがほのめかした放送局は英国のEU離脱問題を報道する際には『愛国的立場』を明確にしなければならないなどの発言がそうです。
トルコ、ロシア、ポーランド、エジプト、中国、ハンガリー、マルタなど多くの国々では、自由な発言に対する圧力が強まっています。
ジャーナリストたちが迫害され、攻撃され、時に殺害されることさえあります。

今日のように価値観が混乱している社会にあっては、一般市民が持つ当たり前の権利を守ることが急務です。
世界的にも国家的にも地方においても個人的にも危機に直面し、人々は不安を抱き続けています。
気候変動、難民問題、世界経済の動向すら左右する強力な超富裕層の台頭など、特に地球的規模の危機が最も深刻です。
私たちがこれまで気がつかなかった大きな変化に、人類が直面しているという事を理解するところまでは簡単です。
哲学者のティモシー・モートンが『トラウマのようなすべての座標の喪失』と表現した圧倒的なそして急激な技術的、環境的、政治的、社会的変化は、私たち全員がまさに今直面している事なのです。
こうした世界的な大変動は多くの国々の政情を不安定なものにしており、これまでの2年間に様様々な衝撃と驚きを生み出しました。
英国のEU離脱に関する国民投票の予想を覆す結果は、英国をきわめて不確実な未来に向かわせることになりました。
泡沫候補の一人に過ぎないと見られていたドナルド・トランプの大統領当選。
欧州全域で発生した既成政党への支持の崩壊。
そしてエマニュエル・マクロンの予期せぬ台頭などがありました。

これら一連の出来事は、そのようなことにはならないと断言していた内部関係者、そして専門家たちを混乱に陥れました。
英国では2017年6月に行われた突然の解散総選挙では、特に若者の間で労働党自身が長年にわたり顧みることの無かった社会主義政策に対する支持が急増し、結果的に労働党党首のジェレミー・コービンが20年にわたる保守党の政権支配を実現させてきたルールブックを引き裂きました。
アメリカでは民主党大統領候補のバーニー・サンダースが、同様の政策を打ちだし選挙戦前半を盛り上げました。
貧富の格差の著しい拡大は従来の政治的権力層と富裕層の憤慨の的になっています。
2017年10月にはパラダイス・ペーパーの公開という内部告発により、世界の超富裕層がこれまでの120年間で最大の富の集中を実現させたことが明らかになりました。
パラダイス・ペーパーには、その多くの人間が課税を免れるため手の込んだ巧妙な手段を講じていることが明らかにされました。
現在明らかになっていること、それは従来採られてきた様々な手順や方法が持続不可能になっているという事です。
私たちは作家のナオミ・クラインの表現を借りれば、
「新自由主義の魔力は消えうせ、実際の経験の重さと山のように積み上がった証拠によって粉々に砕かれた」
という歴史的転換点に立っています。
クラインは、新自由主義について「人々が共に暮らす空間を傷つける経済プロジェクトの略語」と定義していいます。

このように市場原理は結局すべてに対する答えを持っていないという可能性があります。
不平等を悪化させるということの「根本的な意味合い」を多くの人々は理解して来なかったと語るフィナンシャル・タイムズのコラムニストであるマーティン・ウォルフは、グローバリズムに対する政治的な逆行は、第一次世界大戦とロシア革命と同じ規模の、世界の仕組みの根本的な変化を現実のものにする可能性があると語っています。
私たちの近隣やそれぞれの地域社会では、広範囲にわたり資金的な行き詰まりにより図書館、学校、公共医療機関などの運営が継続不可能となり、閉鎖に追い込まれて市民生活が崩壊し、その跡地が安価で不動産デベロッパーなどに売却されています。
こうした状況に対する我々の怒りが、政治を揺るがしている潮流をどれほど大きなものにしているかを想像することは難しいことではありません。
あなたのような一般市民が小さな町で苦労を重ねている間に、大都市で暮らす富裕層がまんまと税金逃れをしている光景を目にすると心が痛みます。
高齢者は地域社会の人びとが支え合う暮らしが消失してしまったことを嘆いています。
若い人たちは思うような仕事を見つけることができず、生きがいを持って働くという事が出来なくなってしまっているのです。
《6》に続く
https://www.theguardian.com/news/2017/nov/16/a-mission-for-journalism-in-a-time-of-crisis
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1945年に米国海兵隊のカメラマンが撮影した、死んだ弟を背負い火葬するために墓地に向かう少年の姿
『移民の脅威』を煽る政治家たちが暴力と人種差別を撒き散らしている
クリス・ベインズ / インディペンダント 2018年1月1日

1945年8月アメリカ軍海兵隊のジョー・オドネルはそこで起きることを記録するため、長崎市内の墓地で待ち構えていました。
そこに現れたのは、火葬するため死んだ弟を背負ったひとりの少年でした。
2018年の新年を迎えるにあたり教皇フランシスコ1世は、国際紛争が多発する現代世界の脅威について率直な気持ちを表現するため、一枚のカードを公表しました。
カードには1945年の長崎の原子爆弾の被害者の写真が印刷されていました。
バチカンが2018年1月1日に公開・配布したカードには、火葬にするため死んだ兄弟を背負ったひとりの日本人の少年が墓地に向かう写真が印刷され、裏面には「戦果(the fruit of war)」という言葉が印刷されていました。
この写真は米海兵隊の写真家ジョー・オドネル(Joe O'Donnell)がアメリカ軍の日本へ原子爆弾を投下し、第二次世界大戦が終了した直後に撮影されたものです。

フランシスコ1世が発行したカードには、法王自身の筆跡による次の言葉が書かれていました。
「幼い少年の悲しみは、血がにじむほど自分の唇を噛むというジェスチャーの中にのみ表現されています。」
そして法王の自筆のサインが添えられていました。
この写真を撮影したオドネル氏は、アメリカ軍が行なった長崎と広島への原子爆弾投下による惨禍と傷あとをその後4年間に渡り記録し続けました。
オドネル氏が撮影した写真は、毎年1月1日に祝われるローマカトリック教会の世界平和の日の前に、バチカンの広報部門によって公開されました。
バチカンのアナリストであるジョン・アレン氏は、
「フランシスコ1世は世界中至る所で武力奮闘が繰り返されている現在の状況を『第三次世界大戦』と断言し、ローマ法王に選出されたその日からずっと世界平和の実現に力を尽してきました。今回のカードの公開もそうした取り組みのひとつです。」

カトリック教徒のためのブログ『Crux』の記事中、アレン氏は次のように書いています。
「教皇は武力奮闘によって子供たちが経験させられている不幸な苦しみについて語り、子どもたちが少年兵士として徴用されている現実が、世界にとってどれ程危険な事かについても話をされました。」
「今回、長崎の少年の写真を改めて全世界に向けて発信した背景には2017年後半、かつての冷戦が最も危険だった時と同様に核兵器使用の脅威が拡大し、核兵器使用をちらつかせる北朝鮮に対し、アメリカ大統領トランプは『炎と怒りで(北朝鮮全土を灰にする)という脅迫で応じるなど、世界を破滅のふちに追い込む危険性が再び高まっている現実があります。』
ローマ法王のフランシスコ1世は、バチカンの聖ペテロ広場で4万人を超える人々の前で新年を迎える講話の中で、アメリカ大統領のトランプがメキシコとの国境に沿って壁を築くという動機についても批判し、『移民の脅威』を煽る政治家たちが暴力と人種差別を撒き散らしていると述べました。
法王は移民と難民について、世界で最も弱く、最も貧しい人々であると表現し、次のようにつけ加えました。

「どうか私たち人類が彼らの心の中にある希望の火を消し、平和への希望を脅かさないようにしてください。」
「平和の実現については、誰もが平等な権利を持っています。
しかし多くの人が長くて危険に満ちた逃避行を行い、自分たちの人生を危険にさらさなければならない状況に追い込まれています。彼らは日々、緊張と苦しみを強いられているのです。」
http://www.independent.co.uk/news/world/europe/pope-francis-nagasaki-photo-fruit-of-war-atomic-bomb-victims-japan-joe-odonnell-world-day-of-peace-a8136746.html
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ノーベル平和賞受賞ICANが日本に核兵器禁止条約への参加を呼びかけ
ロイター 2018年1月17日

昨年ノーベル平和賞を受賞したキャンペーングループICANのリーダーは、核抑止戦略が平和をもたらすことはないと語り、日本に対し核兵器禁止条約に参加するよう呼びかけました。
来日した核兵器廃絶のための国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィーン常任理事は、北朝鮮が国際的な圧力に抵抗しながらミサイルと核開発を続けるの受け日本が米国の『核の傘』への依存を強め続けている状況について、次のように語りました。
「核抑止力という考え方がもし本当に平和を作りだすのであれば、私たちは北朝鮮の核兵器開発を歓迎すべきです。では、北朝鮮の脅威によって強化されている核抑止戦略が本当の意味での平和を実現したでしょうか?そんな事実はありません。」
フィーン氏は東京での記者会見でこう語りました。
「現実は逆です、私たちはリスクを大きくしています。現実に私たちは核兵器の存在そのものが危機を引き起こすという、明確な証拠を見ているのだと考えます。」

ICANは、昨年7月に世界122カ国が採択した核兵器禁止のための国連条約の成立を推進した非政府組織の連合体です。
世界で唯一核兵器による被害を受けた国である日本は、核兵器国保有国が参加しない形で条約を結んでも核兵器の無い世界は実現できないと発言し、国連の交渉に参加しませんでした。
結果的に日本政府はこの条約に署名をしていません。
「核兵器廃絶のためには日本が行動しリーダーシップをとることが必要です。日本は核軍縮についての道徳的説得力を発揮できるはずであり、それは安倍首相が核兵器禁止条約に加わることから始まります。」
https://uk.reuters.com/article/uk-nobel-prize-peace-japan/nobel-peace-laureate-group-urges-japan-to-join-nuclear-arms-ban-treaty-idUKKBN1F522S
なぜ核兵器なのか?/どうやって手に入れたのか?/本当に水爆を保有しているのか?
米国韓国の合同軍事演習が北朝鮮の核・ミサイル実験を誘発、これに米韓が報復の『軍事演習』を繰り返す悪循環が続く
アルジャジーラ 2018年1月1日

▽ 北朝鮮の核破壊能力とその動機
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は2018年の年頭の演説の中で、次のように語りました。
「今や米国全土が北朝鮮の核兵器の到達範囲内にあり、その発射ボタンは私のオフィスの机の上に置かれている。」
北朝鮮の航続距離が最も長い大陸間弾道ミサイル(ICBM)である火星15号型ミサイルは、理論的には約13,000km先の目標を攻撃する能力を持ち、基本的に地球上のほとんどの場所をその照準内におさめます。
照準の外にあるのは南米大陸と南極大陸だけです。
この理論値は2017年11月29日に海面に着水するまで約53分前に飛行した火星15号型(ファソン15)の性能の分析を基に推定されたものです。
15号型に先立ち、北朝鮮は7月初旬、理論的には10,400kmの航続距離を持つ火星14型ミサイルの飛行実験を行いました。
火星14型は約45分間の飛行の後、日本の領海内に着水しました。
さらに9月15日、北朝鮮は日本の上空を超えて約3,700kmを飛行した火星12型ミサイルの実験も行いました。
火星12型は4,000kmの航続距離を持ち、グアムを含むアメリカ領の太平洋諸島すべてが射程範囲に収まることになります。

▽ 北朝鮮のミサイルを撃墜することはできるか?
米国、韓国、日本は北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合、これを察知して破壊する能力を持つミサイル迎撃システムを装備しています。
しかし一般的には迎撃成功の確率は高いものではありません。
2004年米国はミサイル迎撃システムの完成を宣言しましたが、その後実際に行われた迎撃実験では数多くの失敗例が発生しました。
韓国には、ソウル南部の星州郡に6基の高高度防衛(THAAD)システムが実戦配備され、日本もパトリオットとイージス弾道ミサイルシステムを装備しています。
▽北朝鮮は核兵器による攻撃能力を持っているか?
北朝鮮は、小型化した核弾頭をミサイルに搭載する技術をすでに完成したと主張していますが、これらの主張は個別には検証されていません。
核兵器による攻撃を可能にするためには、北朝鮮はミサイルに装着可能なまでに核爆弾を小型化する必要がありますが、その技術は未完成であり実験も未だ行なわれていません。

2016年3月、北朝鮮の朝鮮中央通信社は、小型の核弾頭であるとする小さなボールのような物体の前に立つ金正恩(キム・ジョンウン)の写真を公開しました。
2017年9月朝鮮中央通信社は金正恩(キム・ジョンウン)総書記が大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載可能な水素爆弾だとする物体を子細に検証している写真を公開しました。(写真上)
▽ 北朝鮮が保有する核兵器の規模はどのぐらいか?
北朝鮮は核兵器保有を「質と量」で継続的に維持可能だと主張していますが、米国の関係当局者はその数は60基前後だと推定しています。
独立した立場の専門家は、北朝鮮は年間6基のペースで新しい核爆弾を製造するのに十分なだけのウランを所有していると見積もっています。
2016年9月、アメリカ首都ワシントンにあるジョンズホプキンズ大学のジーグフリード・ヘッカーは、一年間で6個の核爆弾を製造するのに充分な量の高濃縮ウランを生産したと推定しました。
ヘッカーは2010年、北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)にある核兵器製造施設を見学した経験を持っています。
専門家と各国政府は、北朝鮮国内の原子炉運転の様子をとらえた衛星画像の解析結果からプルトニウムの生産量を推計しています。

▽ 北朝鮮は水爆を保有しているか?
2017年9月北朝鮮は6回目の核実験を実施しましたが、爆発させたのは水素爆弾であると主張しました。
核爆弾の規模は約100キロトンと推定され、最初地下23kmのマグニチュード6.3の地震として検知されました。
試験場から400km離れた中国でも微弱な振動が検知されました。
水素爆弾であれば、第二次世界大戦でアメリカが広島に落とした原爆よりも1,000倍の威力を持つ可能性があります。
2016年1月、北朝鮮は最初の水素爆弾に成功したと主張しましたが、この時の核実験の影響を調べている核科学者は、爆発の規模について水爆相当とすることについて疑問を呈しました。
▽ どうやって核兵器を手に入れたのか?

北朝鮮は独力で核兵器開発を推進していると考えられています。
その核兵器開発計画は、旧ソビエト時代の1965年に寧辺(ヨンビョン)に原子炉を建設した時から開始されました。
そして2006年に初めて核実験に成功したのです。
北朝鮮は豊渓里(プンゲリ)で2017年に6回目となるとなる核実験を実施しました。
核実験の兆候は4月から確認されていました。
衛星画像の確認を行っていたアメリカの監視機関は、実験場と考えられるトンネルから労働者が水を汲み出している様子を確認し、核実験の実施が近づいているとする報告を行っていました。
アメリカに拠点を置く各研究機関の研究者は、北朝鮮は寧辺(ヨンビョン)原子炉が作り出すプルトニウムに加え、他の施設が生産する高濃縮ウランの両方の核爆発を起こさせるための豊富な供給源があると主張しています。
寧辺(ヨンビョン)核開発施設はソビエト連邦の当時の技術者の力を借りて建設されたものの、現在はロシアと中国は北朝鮮に核兵器を供給したり核兵器製造への協力を拒否しています。
中国は1953年には朝鮮戦争で北朝鮮の援軍として戦いましたが、北朝鮮の核兵器開発計画については地域の政治的安定のために強く反対しています。
朝鮮の核開発計画に関与していたのはパキスタンとインドです。

2004年、パキスタンを代表する原子力工学の科学者アブドゥル・カデル・カーン博士(写真上)は、遠心分離機を含む原子力技術を北朝鮮を含む他国に売却したかどで自宅軟禁状態に置かれています。
2016年の国連報告書では、インドの技術研究所が北朝鮮に対する制裁措置に違反し、2012年の銀河3号ロケット打ち上げに関与した北朝鮮学生に「宇宙機器」に関する特別訓練を施したと非難しました。
▽ 北朝鮮はなぜ核兵器実験を繰り返しているのか?
北朝鮮政府の声明の分析結果によれば、北朝鮮の指導部は核兵器を次のように見ています。
① 国家の安全保障を担保する
② 経済発展と繁栄を手にする
③国際舞台における尊敬と威信を得る
4月には、北朝鮮の外交通商部長官は次のように述べました。
「我々はすでに強力な核抑止力を手にしており、米国の先制攻撃に抗して手をこまねていているつもりはない。」
また北朝鮮政府は毎年行われているアメリカ軍と韓国軍の合同軍事訓練について、北朝鮮侵攻のためのリハーサルであるとの見解を示しました。
北朝鮮の朝鮮(チョ・ミョンナム)国連代理大使は、次のように発言しました。
「米国と韓国のこうした敵対的な活動のために、我が国は国防能力を強化するため核戦力を中心とした先制攻撃力の強化に努めている。」

北朝鮮はアメリカのCIAが金総書記を暗殺しようとしていると非難しましたが、CIAのマイク・ポンペオ長官は「北朝鮮からの深刻な脅威」のための専用ミッション・センターを部内に設立したことを発表しました。
▽ 北朝鮮はすでに宣戦布告しているのか?
北朝鮮は1950年の朝鮮戦争以降いかなる国とも交戦状態に陥っていませんが、「挑戦半島統一のための大義の戦争」を開始すると宣言し、「米国が武力によって朝鮮民主主義人民共和国を破壊しようとしている以上、全面戦争も辞さない」と米国本土の攻撃を示唆しています。
北朝鮮は国連の経済制裁に対し「主権を侵害する暴力行為」だと反発したのに続き、アメリカ軍の基地があるグアムを攻撃すると威嚇しました。
第二次世界大戦が終わった後の1945年、朝鮮半島は南北に分断されました。
それから5年後、北朝鮮は韓国内に侵入し3年間に渡った朝鮮戦争が始まりました。
戦争は1953年に終結しましたが、戦争の終結を確認する平和条約の締結ではなく、厳密には北朝鮮と韓国がまだ交戦状態にあることを意味する停戦協定のまま今日に至っています。
韓国には2万8,500人のアメリ軍が駐留しており、朝鮮半島は長さ250km幅4kmの非武装地帯で南北に分断されています。

2017年3月、アメリカ軍と韓国との共同軍事訓練が始まったことから、米国と北朝鮮の間では軍事的示威行動や挑発的やり取りが続いています。
北朝鮮が大陸間弾道ミサイル実験を行った後の2017年8月29日、韓国の4機の戦闘機が北朝鮮の最新の核実験場への攻撃をシミュレートする訓練を行いましたが、さらにその後北朝鮮はミサイルの発射実験を行いました。
周辺諸国と米国の非難にもかかわらず、北朝鮮はミサイル発射実験を繰り返す挑発的を行い、核兵器による攻撃能力の拡大を図り続けています。
http://www.aljazeera.com/news/2017/05/north-korea-testing-nuclear-weapons-170504072226461.html
フェイスブックはヘイトやレイシストに『牙城』を提供する機関であり続けて良いのか?
弱者を平気で攻撃的する人間たちのヘイトや差別行動をエスカレートさせたデジタルメディア
閉ざされたデジタル空間の中を行き来する『曲げられた事実』『脚色された事実』
キャサリン・ヴィナー / ガーディアン 2017年12月8日

インターネット社会の誕生により2000年代初頭を支配したユートピア気分は、実はインターネット技術の進化により社会がどう変わるのか、そのすべてを予期していないための楽観的な見通しが作り出したものであることが明らかになりました。
ガーディアンが提供したデジタル・タウン・スクエアは、公開討論の場に新たな種類のヒステリーをもたらすことになってしまいました。
弱者を平気で攻撃的する人間たち、性差別主義者、人種差別主義者などに荒らし膨大荒らされることになってしまいました。
監視はデジタル時代のビジネスモデルのひとつであり、私たちの行動や感情は絶えず監視されています。
フェイスブックはニュース編集方針をアルゴリズムの仕組みに置き換えることで、歴史の中で最も豊かで最も強力な出版社になりました。
誰もが議論・討論することが出来る解放された空間の代わりに、何百万というニュースソースの供給者ごとに他をシャットアウトした情報交換空間を作りだし、社会全体をシフトさせたのです 。
こうした変化はリベラルな民主主義にとって大きな脅威となっています。
そして同時にジャーナリズムに対してはデジタル特有の問題を提示することになりました。

印刷物からデジタルへの移行は当初、多くのメディア組織にとっての基本的なビジネスモデル、つまり読者にニュースを届ける際に一緒に広告も配信し、その際の広告収入によって経営を成り立たせるという仕組みを変えるものではありませんでした。
始まってからしばらくの間は、計り知れない規模のオンライン上の読者や利用者が印刷物の読者と広告主の減少を補うことになるだろうと見られていました。
しかしフェイスブックとグーグルが全く新しいデジタル広告手法を開発し、それまであった広告市場を飲み込んでいくにつれて、従来のメディア企業のビジネスモデルは現在崩壊に向かっています。
その結果、多くのニュース組織によって作られたデジタル・ジャーナリズムは、ますます重要性を失っています。
アルゴリズム広告(アルゴリズムとは、クローラーと呼ばれる検索エンジンロボットがWebサイトの検索順位を決めるための仕組み)により広告収入を得ているメディアは1人でも多くの読者を獲得することに狂奔し、真偽の確認をおろそかにしたままクリック数を増やすために最も刺激的で極端なストーリー作りに徹底するようになってしまいました。
しかしこれだけ巨大な市場でこれだけのことをしても、もはや十分な収益を確保することはできません
いくつかのサイトでは、「ニュース性のあるものとは、どこかの誰かが公にしてほしくないと考えているものだ」ということを学んだジャーナリストたちが、いちいち電話で確認することもせず、1日に10本というペースで商品化された物語を作大量生産しています。

コロンビア大学教授でジャーナリストでもあるエミリー・ベル博士は次のように書いています。
「プロパガンダ、プレスリリース、ジャーナリズム、広告を一度でも公開すれば、そこはすなわち『コンテンツ』を持っていることになるのです。」
読者はかつて以上に情報の洪水に見舞われています。
毎日膨大な量の「ニュース」を突きつけられ、サイトのページをめくるたびにポップアップ広告が飛び出し、どれが真実でどれが偽物か混乱させられ、有益でも楽しいものでもない現実に直面させられています
多くの人がフェイスブックからニュースのほとんどを得ていますが、それらは本来よりも何倍も脚色あるいは増幅された形で配信されています。
最初はおそらく何も加味されていない情報源から独立したジャーナリストが取材した事実が、アクセス数を増やしたいサイト運営者や選挙の投票結果を左右させたいと考える悪意の演出家によって曲げられてしまった『コンテンツ』に変わってしまっているのです。
リッチモンド・スタンダードは、カリフォルニアのベイエリアのウェブサイトですが、自己紹介では「地元のコミュニティ主導の毎日のニュースソース」ということになっています。
それを素直に信じて自分のニュース源のひとつに加えている人は、このサイトを実際に運営しているのが多国籍巨大石油企業シェブロンだとは気がついていないでしょう。
ファイナンシャル・タイムズによれば、シェブロンが所有するリッチモンド製油所が2012年8月に引き起こした火災によって市内に黒い煙が充満し、1万5,000人以上のリッチモンド市民が治療のため病院に運ばれました。

企業などが自分たちに有利な環境を作りだすため、こうした取り組みを行うのはもう珍しくもなんともありません。
オーストラリア・サッカー・リーグは世論を自分たちに有利に導くため、30人ほどのジャーナリストを雇い、自分たちに好意的な話を書かせています。
英国の多くの無料の地元新聞は、要注意人物ともいうべき地方議会議員によって資金提供されています。
こうした事実は社会のひとりひとりに、情報によって衝撃を受けた際、それが偽物か本物なのかを識別できる目を持つように求めています。
でもどうすれば、そんなことが可能になるのでしょうか?
メディアを含むあらゆる種類の既存の確立された組織に対する信頼は、今や歴史的な低さにあります。これは一時的なこと現象でもなければ驚くべきことでもありません。
なぜなら多くの組織が彼らへの信頼を裏切り、批判に対して謙虚に向かい合おうとはしなかったからです。
こうした態度に対しこれまでは一般の人々は憤りを感じつつも無力でした。
そして大きな組織の方は現実に何も起きてはいないと勘違いし、誰の話も聴こうとはしてきませんでした。
この状況こそ、現在公共の場で発生している危機の原因です。
中でも一般の人々がほとんどすべての既成の組織や権威に対する信頼を失っているという事実は、既存のメディアに最も深刻なダメージを与えます。
市民がもはや政治に関わることへの自信を喪失してしまった時、メディアはその疎外感を逆転させる上で重要な役割を果たすことができるはずです。

「もし既成の組織に対する不信感が市民生活と人々の関わり合い方を変えているのであれば、報道機関もそれに合わせて変わる必要があるのかもしれない。」
マサチューセッツ工科大学のエザン・ザッカーマン教授がこう語りました。
「私たちジャーナリストの役割を、市民が個人として、そして組織の一員としてどこにどういるべきかを探す手伝いをすること、最も効果的で強力な居場所を見つける手伝いをする事だと考え直すことになるかもしれません。」
それをちゃんと実現するためには、ジャーナリストは市井の人々の信頼を得るための努力をしなければならず、それは人々のために働くという意識を持つことに他なりません。
そしてジャーナリストは、こうあるべきだと考える社会の代弁者にならなければなりません。
メディアのメンバーたちが皆等しく社会の特権階級の立場を追われ降ろされる傾向はますます強まっており、事実この問題はここ数十年で実際に悪化している。
社会動性に関する2012年の英国政府の報告によれば、ほとんどの職業の上位は依然として「社会的エリートによって支配されている」とは言え、裕福とは言えない階層の人々に対する開放性という点で、ジャーナリズムは医学、政治、法律に比べると遅れている実態が明らかにされました。
「他の職業に比べ、これまでジャーナリストは排他性の強い性格を形作ってきた。」
こう結論づけています。
《5》に続く
https://www.theguardian.com/news/2017/nov/16/a-mission-for-journalism-in-a-time-of-crisis
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