731部隊は推定で約3,000人の囚人に対し、死に至る人体実験を繰り返していた
チフスやコレラなどの病気に意図的に感染させられた後、麻酔を施さずに生体解剖を受けさせられていた
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年4月17日

第二次世界大戦の戦前戦中1930年代から1940年代、中国の民間人を死に至らしめる人体実験を繰り返したことで悪名高い大日本帝国陸軍731部隊の隊員名が、日本の正式記録に残されていることが明らかになりました。
日本は、化学兵器と生物兵器の開発を目的として1930年代と40年代に中国の民間人に対し致死的な人体実験を行った大日本帝国陸軍の731部隊の数千人のメンバーの名前を公開しました。
滋賀医科大学の西山克夫教授の開示請求に応え、日本の国立公文書館は731部隊の3,607人の隊員名が記された記録を公開しました。
一連の動きは占領下の中国における大日本帝国軍隊の残虐行為に対する国民の討論を再燃させる可能性があります。
「731部隊のほぼ全員の姓名を記した公文書が公開されたのはこれが初めてのことです。」
西山氏は毎日新聞の取材にこう応えました。
「このリストは、関係者の証言を裏付ける重要な証拠になります。今回の発見はこれまで隠されてきた事実を明らかにするための大きな一歩となるでしょう。」

この文書には731部隊の正式名称である関東軍の『防疫・浄水部門』の1945年1月1日付のメンバーの姓名が記載されています。
そして数十名の医師、外科医、看護師、技術者の姓名に加え、1000人以上の軍医の姓名、階級、詳細な所属部門が記されています。
日本は1990年代後半に731部隊の存在だけは認めましたが、活動内容に関する検証作業については拒否してきました。
その代わりに731部隊の活動内容については、元メンバーの証言、写真、証拠とされる文書などを中心に検証が進められてきました。
元看護師であった石井とよさんは、第二次世界大戦の終了と同時に米軍が日本の首都に進駐してきた際、東京のある場所に日本の生物兵器開発計画の被害者の遺骨を埋葬するのを手伝ったと証言しました。
1945年8月に日本が降伏した後、石井さんは同僚たちとともに数多くの死体、骨、身体の一部などを埋葬するよう命じられたと証言したのです。

別の証言はアジアの他の地域でも同様の実験が行われたことを示唆するものでした。
元医師の牧野明氏は2006年、フィリピンのミンダナオ島に駐留している間に複数の男性死刑囚に対する人体実験を命じられたと証言しました。
中国北東部のハルビンで1930年代半ばに編成された731部隊は、推定で約3,000人の囚人に対して死に至る人体実験を繰り返しましたが、そのほとんどは中国人と韓国人でした。
歴史的記録によれば拷問する側の人間たちに「丸太」と呼ばれていた男性及び女性囚人は、チフスやコレラなどの病気に意図的に感染させられた後、麻酔を施さずに生体解剖を受けました。
一部では麻酔を施さないまま、手足の切断や臓器を取り出す手術も行われていました。
大日本帝国の敗北が間近に迫った1945年の夏、731部隊部隊長の石井四郎将軍は部下の研究者たちに自分たちが関わったことを一切口外しないように命令し、ハルビンにあった本部の取り壊しを命じました。
日本の敗戦後アメリカ軍当局は秘密裏に731部隊の研究結果を提出する見返りに、戦争犯罪の訴追免除を受けることができるよう取り計いました。
その結果、731部隊の元隊員の多くはその後、医学界、学界、そして実業部門で成功を収めることを許されたのです。

西山氏は731部隊所属の隊員の実名リストをオンラインで公開し、近代史の研究者などにさらなる調査研究を促すことを計画していると伝えられています。
https://www.theguardian.com/world/2018/apr/17/japan-unit-731-imperial-army-second-world-war
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こういう話を読むと胸が悪くなるのですが、私たち日本人は第二次世界大戦中こういうこともしていたという認識を持つことは大切なことだと思います。
だ・か・ら
わたしたち日本人は二度と戦争をするべきではない、のだとも思います。
大日本帝国は第二次世界大戦中『至高の大義』というものを掲げ、その他のことは取るに足らないものだとしました。
あるいは大義の実現の障害だとされ、厳しく排斥されました。
その他のことの中に、基本的人権や生命と財産の保全や表現の自由など民主主義社会の基本的事項の大半が含まれていました。
では『至高の大義』とは何だったのかというと、八紘一宇や大東亜共栄圏など、何やら高邁なスローガンのように見えますが、物理的に割り切った見方をすればその実態は他国の侵略でした。
記事中に出てくる『囚人たち』とは、どんな『罪』を犯した人々なのでしょうか?
もし殺人強盗の類でなく、中国国内で『反日活動』を行った中国人だとしたら、どこに犯罪性があるのでしょうか?
もし本当に人間の手足を生きたまま麻酔もかけずに切り落としたりしたのだとしたら、古代王朝がやったのこぎり引きの刑と何ら変わるものではなく、近代国家が決してやるべきことではなく、異常世界の残虐行為というべきものです。
そんなものが現実になる
それができる人間が現れる
現在の民主主義社会が異常社会につながってしまう…
だからこそ、戦争は決してやってはならない!
そして戦争の可能性を現実にする憲法の改変も不要なことです。
安倍首相のような戦前を賛美したがる人間たちは、戦前の秩序によって21世紀の日本を締め上げようと悪戦苦闘
多くの日本人は性差別や人種差別が、そして思想統制が厳しく息が詰まるようだった戦前の日本を懐かしんでなどいない
D.Z. / エコノミスト 2018年2月5日

1868年1月、若い武士や商人の後援者が日本の徳川幕府を倒し、約700年の間続いてきた日本の封建制が終焉を迎えました。
明治維新として知られるこの体制変換は日本の急速な工業化と近代化の出発点となり、そのスピードは現代の中国の改革開放もはるかに追いつかないほどのものでした。
明治維新の成果は、たちまちのうちに日本を世界の列強の一国に押し上げました
今日の安倍政権にとって明治維新の150周年の記念日は特別なものになるはずでした。
安倍首相にとって明治維新の誇るべき教訓とは、国民が日本の伝統的体制をあがめつつ、近代性と変革に積極的にとりくむべきであるということです。
しかし日本人の多くはこうした解釈の仕方を不快に思っています。
1853年に江戸湾に黒船が、すなわち現在の東京湾にアメリカ軍の艦隊が現れて日本との自由貿易権を要求するまで、日本は200年以上もの間鎖国制度が続いていました。
近代的艦隊の登場により、武士階級による支配がもはや時代に合わないという事実を暴露しました。
交易権と条約に基づく開港を要求する西洋列強の圧力が高まりに比例するようにして、若い武士の幕藩体制への批判が高まり続けました。
そして好意的な表現を用いればいわば熱血漢たちが変化を求めて行動を開始しました。

彼らがクーデターを開始した際のスローガンは「尊皇攘夷 - 天皇を崇拝し、夷狄(野蛮人)である外国人を日本国内から追放する」というものでした。
『尊皇』の部分について志士たちが求めたものは伝統でした。
彼らは何世紀にもわたっていわば飾り物として京都で生活してきた皇族を再び政治の中心に据えました。
彼らは12歳の睦仁天皇を江戸に行幸させ、江戸は東京と改名されました。
睦仁天皇は元号に明治(天下は明るい方向に向かって治まる)を選び、それゆえこれ以降この政変は明治維新と呼ばれるようになったのです。
しかし実質的に維新は革命でした。
野蛮人である外国人を追放する代わり、日本の新しい指導者たちは外国人のすべてを積極的に受け入れました。
1868年4月には『五箇条の御誓文』が示されて封建制度が正式に終わり、「智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スべシ」との方針が明らかにされました。
政府の運営、貿易、産業、軍事について学ぶために、約50人の明治政府の関係者が岩倉遣欧使節団としてアメリカとヨーロッパに視察旅行に出発しました。
帰国後諸外国の援助を受けるなどして明治の日本は西洋に追いつき、鉄道や道路を建設し、封建制に基づく領国を再分配する土地改革を行い、西洋の教育制度を確立し、近代的軍隊を整備しました。

1889年、プロシア憲法をモデルにし明治憲法が制定され、太政官政府と天皇を神聖なものとして祭り上げました。
この二つの組み合わせは強力なものとなりました。
1895年、日本は東アジアの老大国であった中国と韓国の実質的支配権を巡って短期間の戦争を行い、屈辱を与えました。
1905年にはロシアを相手に1年間戦い再び勝利しました。
明治維新の前後、日本は西欧列強諸国により自国の独立が脅かされることを恐れていました。
19世紀に生まれた社会進化論は適者生存・優勝劣敗という発想から強者の論理となり、帝国主義による侵略や植民地化を正当化する論理になったため、日本も西欧列強の餌食になってしまう危険を感じていました。
しかし日露戦争に勝利した日本は、強者の側に立つことになったのです。
すべての状況が日本をのぼせ上らせることになりました。
同時期のドイツの場合はヒットラーが全権を掌握する前と後では明確な違いがあります。
しかし日本の場合は明治維新直後の改革者が築いた見識の高い明治政府がいったいいつ、軍国主義者の国家に変容してしまったのか、明確な線を引くことができません。

軍国主義者は1937年に日本を全面戦争に引きずり込みました。
天皇崇拝と明治政府が近代化の最重要課題のひとつに挙げた近代的軍隊の整備、その中に軍国主義者たちがせっせと侵略と残虐行為の種を撒き始めました。
これは安倍首相が時にそうした態度をあからさまにするように、戦争中に日本が犯した誤りに向き合うことを拒否する人間たちにとっては触れてはならない問題です。
それをしてしまうと日本の体制についての疑問を、大政奉還という出来事に象徴される明治維新の時点まで押し戻してしまう危険があるからです。
では安倍首相のような戦前を賛美したがる人間たちが誇示しようとしているものはなんなのでしょうか?
磨き上げた神話です。
安倍首相が率いる自民党内の一部の保守派は、明治憲法が個人の自由より家族の結束を優先し、そしてすべてに天皇の存在を優先させていた時代を懐かしんですらするのです。
しかし多くの日本人は、性差別や人種差別が、そして思想統制が厳しかった時代を懐かしんでなどいません。

安倍首相は日本の急激な人口減少と対等を続ける中国を強く意識せざるを得ない立場にあり、歴代の首相の誰よりも日本の将来を前向きにとらえなければならない立場にあります。
しかし安倍首相は、明治維新によって出来上がった秩序によって21世紀の日本を締め上げようと悪戦苦闘しているのです。
https://www.economist.com/blogs/economist-explains/2018/02/economist-explains-1
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まず誤解のないよう申し上げたいのは、私自身は天皇制を否定するつもりはなく、どころか現在の明仁天皇、そして皇太子の日本と世界の平和を希求する誠実な姿勢に感動し、賛同しているということです。
日本の問題はその天皇制を自分たちに都合よく利用しようという人間たちが集まる場所にあります。
2010年代に入り世界全体の構造が激変する中で、先進各国の中枢は激しく変わり続ける世界と自国とのフィッティングを多数の優秀な人材を聡明な頭脳の下で機能させることにより可能にしなければなりません。
それは自由で平等な雰囲気の中で、繰り返し議論しながら進められるべきでしょう。
世界中から優秀な頭脳が自然と集まる体制こそ望ましいからです。
しかし日本はまさにそのタイミングで、ちょうど150年前に始まった王政復古の体制の下で国民の基本的人権を制限し、軍備拡大に最大限力国力を傾けようという首相を政府の中心に据えているわけです。
うまくいくはずがないではありませんか?
安倍首相の政権の継続には一部の大手メディアや大手広告代理店を始めとする翼賛体制が機能しているわけですが、いくら金を貰っているとはいえ、人として日本人として恥ずかしくないのか?
そう問い詰めたい思いです。
安倍首相自民党の改憲案は国民主権を廃し、天皇を国家元首に据えることを企図していると伝えられていますが、それこそは天皇ご自身が望んでいないことでしょう。
安倍首相の下で軍隊の文民統制がなし崩しに壊されようとしていますが、われわれ国民こそ主権者だということを声を大にして主張していきましょう。
安倍首相の下で改憲をしてしまえば、日本の軍事力の拡大に歯止めがかからなくなり、平和主義国家から軍事優先国家への質的転換が起きてしまう
取り巻きに対する不当な便宜供与について真実が明らかにされず、ますます疑惑が深まり拡大している、まさにその最中に
山口まり / AP通信 / ワシントンポスト 2018年5月1日

安倍晋三首相は、2018年5月1日に声明を公表し、自衛隊について日本の正規軍して憲法の条文化について国民に対し支持を求め、何としても憲法の改定に踏み切る意欲を明らかにました。
憲法改定に反対する人々は、安倍首相の下での憲法改定により日本の軍事力の拡大に歯止めがかからなくなると批判しています。
安倍晋三首相は自らの身辺で発生したスキャンダルが拡大し政権への支持率が低下を続ける中、国際紛争の解決手段として戦争の放棄を宣言している憲法を改定するという自分の長年の目標に国民の支持を求めました。
安倍首相は、自衛隊が憲法で日本の正規軍として正式に認められることを希望していると述べました。
これに対し反対派は、安倍首相の推定により現在の制約が取り払われ、日本の軍事力の拡大に歯止めがかからなくなる可能性があると述べています。
「とうとう憲法の改正に取り組むべき時がやってきました。そして国民の皆さん自身が、本来果たさなければならない役割を果たしてください。」
安倍首相は憲法改定を求めて毎年開催されている集会で、こう呼びかけました。
安倍首相は現在中東各国を歴訪中のため、自民党の幹部議員がこのメッセージを代読しました。

この数年、憲法改定を求めるキャンペーンが強力に展開されてきましたが、国民の意見は分かれたままです。
憲法改定への機運は安倍首相率いる自民党が中心になって作り上げてきました。
安倍首相率いる自民党は改正案を提出するために必要な衆参両院での過半数を確保していますが、連立与党の公明党は憲法の書き換えには前向きではありません。
日本の戦後憲法は国際紛争の解決手段としての戦争を放棄し、軍事量の保有と使用を自衛に限定しているものの、現実には日本は米国と緊密に連携して軍事作戦を実行できるだけの現代的な陸軍、海軍、空軍力を保有しています。
自衛隊は日本が太平洋戦争(第二次世界大戦)に敗北して10年が経たないうちに発足し、その当時から賛否両論が別れていました。
当時に比べ現在は日本の正規軍として国民に広く受け入れられています。
自民党は以前、戦争放棄を宣言している憲法第9条を無力化し、国民の基本的人権にも制限を加える憲法改定案を明らかにしましたが、国民の支持は得られませんでした。

その結果を見て安倍首相は、現状のままでは多くの日本人憲法学者などが自衛隊を意見と判断し得る状況を変える必要があると主張し、自衛隊を正規軍として合法化しなければならないとして改憲を要求しています。
5月1日のメーデーの集会では数千数万の参加者が憲法の改定案に反対する意思表示を行いました。
そして安倍首相の取り巻きに対する不当な便宜供与について真実が明らかにされず、むしろますます疑惑が深まって拡大する様相を見せていることに対し、安倍首相の辞任を求める抗議が繰り返されていました。
安倍首相が総裁を務める自民党や国家主義者のその支持者たち、中でも強力な政治力を持つ日本会議などは何年にもわたり日本国憲法の改定を要求し続けてきました。
彼らは、第二次世界大戦に敗戦した後、1947年にアメリカ占領軍によって『押しつけられた』現在の日本国憲法は時代遅れであり、その平和主義的制限により、北朝鮮の安全保障上の脅威から日本を守りきることができないとの主張を展開しています。
2012年に自民党が提案した日本国憲法改定案は、天皇を中心とした戦前の価値体系を復活させ、場合によっては国益を個人の権利よりも優先させることを意図していました。
安倍首相は現在は、2018年3月に与党が採択した自衛隊を正規軍として第9条へ明記するという改定を主張しています。
https://www.washingtonpost.com/Japan’s Abe seeks support for constitutional revision
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オリジナルの記事に載っているのは冒頭の写真ではないのですが、これ以上もうこの人の写真をクリップするのはゴメンだな、と思い、以前のものから似たような写真を流用しました。
いつにも増して人間的イヤラシさが滲み出ているような写真なので、興味のある方はワシントンポストのページをご覧になってみてください。
憲法記念日当日の朝刊を読んでみましたが、憲法の改定についてはまだまだ議論が深まっていない、環境は整っていないというのが大勢の意見のようです。
なぜ今改憲が必要かという主張の最大の理由とされていた『外交環境の劇的変化』、その最大の焦点の北朝鮮問題、これがまずそれこそ劇的展開を見せ、韓国北朝鮮にアメリカを加えた当事国同士がこの機会に「平和的解決」をめざそうということになっています。
以前掲載した論評の中に「日本は対中国・対北朝鮮 - 対立・緊張状態を煽り続けることで、自民党一党支配を継続させてきた」という( http://kobajun.biz/?p=32547 )指摘がありましたが、その一方の『大前提』が崩れた以上、『とうとう憲法の改正に取り組むべき時がやってきました。』などという現実は無くなってしまったはずです。
まして「民主主義の基本に無理解であり、黒い関係と疑惑がつきまとう人物に、国家の規範を改める資格はあるのでしょうか?!」( http://kobajun.biz/?p=32390 )
しかし安倍首相はいつも通り蒙昧な論理(?)を持ち出して、『今こそ!』などと息巻いています。
でも私たち一般市民は、それが国民のためなどではなく、まして平和な社会の実現のためなどが目的ではないということをすっかり見抜いてしまっています。
では安倍改憲の真の目的とは何なのか?
今後の世界各国メディアの分析に注目し、ご紹介していきたいと思っています。
#MeToo 性差別への反対運動、日本では珍しい勝利 - 官僚トップが辞任に追い込まれ、転換点が見えてきた
日本ではセクハラの被害を訴えると、被害者は逆に非難され、疎外されてしまう傾向にある
働き方改革より、働かされる環境の再検証が必要
エコノミスト 2018年4月26日

テレビ朝日の女性記者が財務省の最高官僚である福田潤一氏からセクシャルハラスメントを繰り返し受けていた事実を『週刊新潮』に明かし、その記事が掲載された後の関係者の反応は周囲をイライラさせるものでした。
麻生太郎財務大臣は、福田氏に対する調査を行うつもりは無いと述べました。
福田氏自身は録音した会話を女性記者が証拠として提示すると、その声の主が自分かどうかはっきり分からないとシラを切りました。
「自分の声は肉声しか聞いたことが無い。」
というのがその弁解でした。
テレビ朝日はこの問題が自社によってではなく、女性記者が週刊誌に事実を明かしたことにより問題の存在が明らかになったことを謝罪しました。
女性記者はテレビ朝日内の自分の上司に相談したところ、口を噤んで何も話さ無いように『助言』していました。
最終的にテレビ朝日は正式な抗議文を財務省に提出しました。
「#MeToo」の運動が日本の社会で共感を得ることは稀であると言っても過言ではありません。
「この国は男性社会である」
男性官僚の一人はこう語り、今回のような事例はこれまで「きわめて数多く」発生していると語りました。
他の先進各国と比べて日本の社会や職場における男女間の不均衡は著しく大きく、女性たちは虐待、嫌がらせ、不適切な発言などにさらされ嫌悪感をつのらせています。
ほとんどの職場で女性が働いていますが、その上司や上級職員はほとんどが男性です。
こう語るのは大阪大学の牟田和恵教授です。
女性の一部、特に多くの場合男性である取材源と一緒に飲酒をする機会が多い女性記者などは、セクシャルハラスメントの被害を受けることも『仕事の一環』として我慢しなければなりません。
日本で「セクハラ」が犯罪行為だと認識されるようになったのは近々1989年のことです。
事業主に法的な対応義務づける法律は1999年に施行されました。
セクハラについて「職場では多くの人がそれが一方的、あるいはねじ曲がった愛情表現の一種だと見なしているのです。」
自身かつて女性記者だった NGOであるアジア女性資料センターの代表理事を務める竹信三恵子氏がこう語りました。
エリートを尊敬する日本の風土も障害になっています。
セクハラの被害を訴えると被害者は逆に非難され、疎外され、そして共感を得ることもほとんどありません。
テレビ朝日の女性記者も今だに自分が誰であるかを明らかにできずにいます。

しかし今回の事件は重要な転換点になりつつあります。
福田氏は「君のおっぱいに触っていい?」と言ったことが暴露され、さらには女性記者に対し不倫をほのめかしましたが、結局は不正行為を認めないまま辞任しました。
財務省高官が不祥事によって辞任するのはこの20年間で初めてのことです。
財務省のこの不祥事は日本の大企業で2件続けて明らかになったセクシャルハラスメント事件に続いて起きたものです。
ひとつは日本の最大の広告代理店である電通の役員をしていた男性が、当時セクシャルハラスメントをしたいたことを認め、自ら設立した会社の最高経営責任者(CEO)を辞任せざるを得なくなった事件。
そしてもう一件は日本ハムの社長と執行役員の2人が出張の際に航空会社の女性従業員にセクハラ発言したことを認め、辞任に追い込まれた事件です。
別の形で女性が差別されている事例にも注目が集まっています。
4月、大相撲の地方巡業であいさつ中に突然倒れた市長の救命措置を行おうとして駆け上がった女性に、相撲協会側が土俵を下りるよう命じたことにより、日本の相撲協会に性差別のしきたりがあることが発覚しました。
そして女性政治家の一部も、国会議員の10%にすぎない女性議員についてその割合がもっと増えるよう女性たちに立候補を勧めています。
さらに今年日本の司法制度は、夫婦は同姓でなければならないという法律の下で結婚を機に女性が苗字を変えなければならないというルールを再考することになりました。

野党各党は福田氏事務次官の件に関する詳細な調査を求めており、退職金の満額支給にも反対しています。
麻生財務大臣の辞任を求める意見もあります。
同じ安倍内閣の野田誠子総務大臣は20人の内閣中2人しかいない女性閣僚のひとりですが、財務省のこの件への処理対応について批判しました。
アジア女性資料センターの竹信代表理事はこの勢いが持続するかどうかは、日本の女性が勇気を発揮できるかどうかにかかっていると語りました。
日本社会の欠点は強力な市民運動の存在が欠けていることです。
野田氏によれば日本の人権は「与えられたものであり、市民自らが勝ち取ったものではない」傾向が見られます。
日本社会の変化を求めている人たちは、日本の現在の労働力不足にもっとも大きな期待を寄せています。
各企業の労働者不足は決定的なものになりつつあり、より良い労働条件を提供することで人材確保を実現させようとしています。
企業側は主に柔軟な勤務時間や労働環境についてアピールしていますが、それに加えておそらくは今後女性がやたらと体をさわられたりしない、あるいは妙な誘いを受けたりしないということも、魅力的な職場の大切な条件になるでしょう。
https://www.economist.com/news/asia/21741215-activists-see-turning-point-resignation-senior-official-rare-victory-metoo
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器でない人間が首相の座に就くと、官僚制というものはこうも腐敗し、こうも瓦解してしまうものなのか…
最近そんなことを強く思うようになりました。
「上があの通りなんだから、我々だって何やったって構わんだろう。」
そんな無責任なつぶやきも聞こえてきます。
しかしそれによって苦しまなければならないのは、より弱い立場に置かれた国民。
この2年間翻訳してきた記事を見ても、
砲口をどこに向けるべきかわからなくなってきた高性能の武器の購入には多額の国費が投じられますが、貧困にあえぐ子供達を救済するための道筋は見えません。
アメリカと北朝鮮の協議が成功したら、沖縄にあれほどの規模と数の米軍基地は必要では無くなるのではないでしょうか?
安倍政権は中国と競るようにして世界中に巨額の財政援助をしていますが、国内の地方の過疎の市町村は頭を抱えなければならない問題が山積しています。
女性の正当な権利を守るべきだという意見に対しても、SNS上にそれを中傷する暴力的意見が多数書き込まれています。
日本は悪い方に感情的になっている…
これは私だけの懸念でしょうか?
70年にわたり厳しい分断状態に置かれてきた韓国北朝鮮国民は、南北首脳会談の実現を心待ちにしていた
今回の南北対話は本質的で実りある交渉の始まりを告げるものであり、アメリカと北朝鮮との新たな関係の始まりでもある
ニューヨークタイムズ 2018年4月27日

4月27日金曜日、南北朝鮮の国境をまたいで展開された衝撃的な政治劇の後となっては、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の本心について様々に邪推したり、数週間後に予定されているトランプ大統領との会談がうまくいくはずが無いと誹謗することは、むしろ言っている人間の了見の狭さを露呈することになるでしょう。
結論から言えば、核兵器を使った報復合戦という最悪の事態に備えなければならなかったわずか数ヶ月前の緊迫した状況と比べ、今回の南北首脳会談の様子は全く対照的であり、直接の対話を実現させたことは刃物をチラつかせながら対決姿勢をとるよりもはるかに良いということを衆目の下で明らかにしました。
金委員長と平和主義者である韓国のムン・ジェイン大統領との会談は、70年にわたり厳しい分断状態に置かれた国民にとって心待ちにしていた出来事であり、その希望と長い間心に秘めた思いを思い起こさせる役割を果たしました。
すべての場面に象徴的意味があふれていました。

二人が行き来した国境を示すコンクリートブロックの間に挟まれた通路には、これまで北朝鮮の金氏一族が足を踏み入れたことはありませんでした。
停戦によって朝鮮戦争が1953年に休戦状態に入った際に植樹が行われた土地には、二人を守るように旗と幟をささげ持った19世紀の高麗王朝の儀仗隊が控えていました。
両首脳が署名した「板門店宣言」は朝鮮半島の核兵器を廃絶し、最終的に平和条約を締結することを約束し、会談の雰囲気同様に明るさに満ちたものでした。
トランプ大統領もこうした高揚感に同調するコメントを行いました。
「朝鮮戦争は終わった!」
彼は大喜びでこうツイートしました。
「米国とその偉大な国民は、現在韓国で起きていることを大いに誇りに思うべきだ!」

一方でほとんどの専門家は次のように疑いを持っています。
金正恩氏は依然として絶対的支配権を保持するためにはどんな手段でも使う、残虐な国家の残忍な支配者であり、金氏一族が何年もの歳月と多額の費用を費やして開発した核兵器を簡単に諦めるとは考えられず、結局のところ何も変わらないだろう、と。
金正恩氏が思い描く朝鮮半島の非核化とは「漸進的かつ見返りを得ながら進む」ものであり、経済的利益と北朝鮮の現在の体制の維持についての保障、そして韓国に対する核の傘を米国が引き上げる事と引き換えに部分的かつ段階的に前進すると思われます。
これらの点は交渉が難航することが予想され、トランプ政権が意図する合意事項とも大きく食い違っています。
そして同時に金正恩氏は貧困にあえぐ北朝鮮の生活水準を引き上げる事に根っ真である事は明らかで、保有する核兵器を取引材料として利用して厄介な経済制裁の解除と現在の体制の継続についてアメリカの了解を取り付けるべく交渉の準備を進めています。
米国の国家安全保障問題の顧問に新たに就任したジョン・ボルトン氏は就任する以前あるインタビューで、トランプ・金正恩首脳会議は必ず失敗すると語り、かえって次の段階への障害を取り除く事になるだろうと語っています。
次の段階とは先制攻撃だと考えられています。

しかし長い間対立を続けてきた北朝鮮と韓国は板門店宣言によって新たな時代が始まった事を劇的に宣言したことは、否定的な観測をしてきた人間たちを狼狽させる事になりました。
そして今回の南北対話は本質的で実りある交渉の始まりを告げるものであり、両国民が期待を持って良いものです。
さらにそれは韓国北朝鮮の2国間にとどまらず、アメリカと北朝鮮との新たな関係の始まりでもあります。
韓国北朝鮮の2国間協議の成功は、平和の実現に向けて動き出した現実を尊重するように、トランプに圧力をかける事になるでしょう。
北朝鮮との真摯な交渉に我慢強く取り組み、一方的な要求や脅迫や恫喝を行う事なく平和の実現に努力するよう求める事になるでしょう。
これからの交渉は長い時間をかけて行われる事になるでしょうが、衝動的でその行動を予測し難いトランプ大統領と金正恩委員長の手を核兵器の発射ボタンから遠ざける事ができるだけでも、世界にとっては喜ぶべきことであるはずです。
https://www.nytimes.com/2018/04/27
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朝鮮戦争いうものを、手前勝手な日本史的立場ではなく客観的資料を揃えた世界史的立場から見た時、それがいかに惨烈で残酷なものであったかを理解することができます。
まして日本の高度成長のきっかけを作ったのがその朝鮮戦争であったことを思えば、今回の会談を機に韓国朝鮮の人々が平和の実現を心から願ったことを貶める理由が私たち日本人にあるでしょうか?
今回の会談を茶番だとか言って貶める人間たちは、己れの志操の低さ、この記事にあるように了見の狭さ、そして普遍的人間性の欠如という点について、真剣に考えてもらわなければなりません。