開催中止・延期を求める声が上がり始めた日本
東京オリンピック入場券の抽選、現状を見れば「外れて良かった」という声も

ドイチェ・ヴェレ 2020年2月7日
日本が2020年オリンピックの開会式を行うまで6か月を切ったという現時点で、中国で噴出した新型コロナウイルスが17日間に渡り開催されるオリンピックに早くも暗い影を投げかけています。
入手可能な最新の数字によればこれまでに700人以上が中国で死亡し、新型コロナウイルスは2002-03年に流行し中国で合計349人が死亡したSARSよりも数多くの死者をつくりだしました(記事掲載時点)。
当局によると、30,000人以上が感染していることが確認されており、一部の専門家は正確な統計を取れば死者も感染者数もはるかに多くなる可能性があると警告しています。
日本では22人が病気の治療を受けており、そのうちの一部は日本に到着した後に病気になった中国人観光客です。
医療分野の専門家が感染の拡大をコントロールできるようになる見通しもほとんどなく、すでに日本政府がオリンピックの中止を検討しているという噂がささやかれ始めています。
「新型コロナウイルスが原因で東京オリンピックが中止に」
というテーマは日本のツイッターのフィードで流行しており、メッセージのひとつは次のように断言しました。
「コロナウイルスの拡散を制限するためにゲームをキャンセルする必要がある。何百万人もの中国人が東京オリンピック会場に押し寄せることになれば、爆発的感染が起きる絶好の機会になる。」
別のツイートは「東京オリンピックは中止されるべき、でなければ来年まで延期されるべきだ」と述べました。
さらに別のメッセージは3月に中国の南京市で開催される予定だった世界屋内陸上選手権が来年まで延期されたことを指摘しました。

東京は7月24日から8月9日までオリンピックを開催する予定になっています。
▽ 火消しに走る安倍首相
安倍首相は2月3日、国会で新型コロナウイルスのオリンピックへの影響について尋ねられましたが、こうした懸念を一蹴しました。
「世界保健機関(WHO)やその他の国際機関と緊密に連携しながら適切に対応し、東京オリンピックとパラリンピックの開催運営に影響を与えずに準備を進めることができるようにします。」
オリンピックの責任者である橋本聖子内閣府特命担当大臣は、オリンピックを中止あるいは延期する計画はないという政府の見解を繰返し、大臣と地方政府当局者が取り得る予防策について議論するため来週会合する予定であると付け加えました。
大会組織委員会も同様に東京オリンピックを開催することに固執しています。

ドイチェ・ヴェレに提供された声明の中で担当者の一人がこう語りました。
「新型コロナウイルスの感染症対策は、安全に大会を開催運営する計画の重要な部分を構成しています。東京2020は、感染症の発生を注意深く監視するため関連があるすべての組織と引き続き協力し、すべての関連組織で必要になる可能性のある対策を検討します。」
日本のオリンピック組織委員会は役員等の安全確保のため、いくつもの予防措置を導入していますが、2022年に中国の首都北京で開催される冬季オリンピックに先立ち、各国との協議のため4月25日から4日間予定されていた北京訪問をキャンセルしました。
▽ メディアの見出しは新型コロナウイルス
新型コロナウイルスのこれ以上の感染拡大を防ぎ、影響の拡大を食い止め、罹患してしまった人の治療に最善を尽くすための努力を惜しまないという日本政府の保証にもかかわらず、連日この問題がニュース報道のトップを占め続けるなど、懸念は深まる一方です。

日本政府は水曜日の夕方に中国の武漢市に4回目のチャーター便を送り、約200人の日本人とその近親者を避難させる準備をしましたが、横浜港外に停泊地させられている豪華客船にはまだ2,665人の乗客と1,045人の乗組員が隔離されています。
この船から降りた80代の香港在住者が2月初めに症状を確認、保健当局はさらに10人の乗船客が発症したことを確認しました。
東京オリンピックの開催に反対する団体の「No! 東京オリンピック2020」にとって、コロナウイルスの感染拡大は東京大会が中止されるべき理由に新たな一項目が加わったことを意味します。
グループの広報担当者である市村美佐子さんがこう語りました。
「私たちは東京大会の開催は環境にダメージを与える上、このイベントの開催費用が高額すぎることから、大会中止を望んでいます。」
「さらに現在、来日する人々がこの病気の感染拡大の原因になることを懸念しています。」
「私たちは中国の人々にに対する差別をするつもりは一切なく、感染が中国以外の場所からもたらされる可能性があることも理解しています。しかし現在の状況は東京大会の開催をやめるべき理由が新たに加わったと考えています。」
東京都民もこうした懸念について、完全な否定はしていません。
「いくつかの競技のチケットを申し込みましたが、今は抽選に外れて本当に良かったと思っています。」
と37歳の主婦、細村加奈子さんがこう語りました。
▽ 安全を確保する

「以前は真夏に開催される東京オリンピックで、どうやって暑さを防ぐのかについて心配していましたが、今では誰もが新型コロナウイルスの脅威からどうすれば安全を保てるのかについて話し合っています。」
細村さんがこう語りました。
「フェイスマスクを購入するのも難しくなってしまい、人がたくさんいることがわかっている場所に出かけないようにしている友人もいます。私は武漢市内の衝撃的な映像を見ました。東京で同じことが起こる可能性があると考えると怖いです。」
感染拡大が7月までに抑え込まれたとして、全国の観光地が打撃を受けている日本としては、東京オリンピックをきっかけに日本は安全だという観光客への印象を強めたいと言う希望があります。
日本政府は今年4,000万人の外国人観光客を誘致することを望んでいましたが、その多くはオリンピックイベントの観戦チケットを持っていたはずです。
しかし観光業界の関係者は約40万人の中国人がすでにフライトとホテルの予約をキャンセルしており、今後さらに日本への渡航取やめが必然的に増加すると伝えられています。
いったい何のための巨額の公的資金投入か?
自分たちの支持者や取り巻きの人々の歓心を得るため、毎年国が資金を提供する桜を見る会を利用した安倍政権
多額の国費をつぎ込むイベントを個人の宣伝材料として利用することに、何のためらいも見せない安倍首相

サイモン・デニアー/ ワシントンポスト2020年1月23日
安倍晋三首相はスキャンダルに苦しむ政権に光を取り戻すため、東京オリンピックが魔力を発揮してくれることを願っています。
しかし安倍政治に批判的な人々は、そう簡単にスキャンダルの追求をやめるつもりはありません。
安倍首相は1月20日に衆議院本会議を開催し、安倍政権が関わっているスキャンダル - 桜を見る会をめぐる不正支出とカジノ誘致に関する贈収賄事件 - に関わる論争については一切言及せず、恒例となる所信表明演説をのみ行いました。
安倍首相は議会演説の中で、スキャンダルに関連する一切の言及を避けたのです。

代わりに安倍首相は7月に開催される東京オリンピックと、大会によって作られるはずのレガシーについて情熱的に語っていました。
オリンピック開催に費やされる巨額の公的資金と広範囲の人々の取り組みとを考えると、政治家がオリンピックについて回るプラス・イメージを自分のために利用しようとするのは自然なことかもしれません。
しかし、オリンピックへの国民的期待を利用して自分の政治目的を前に進めようとする姿勢があまりにあからさまな安倍首相には批判が集まっています。
安倍首相は所信表明演説の中でオリンピック・パラリンピックについて10回以上言及し、第二次世界大戦後の日本の復興を内外にアピールすることに成功した1964年の東京オリンピック同様の興奮を呼び覚まそうとしました。
「五輪史上初の衛星生中継。世界が見守る中、聖火を手に、国立競技場に入ってきたのは、最終ランナーでした。」
「広島に原爆が投下された8月6日広島生まれ、19歳となった若者の堂々たる走りは、我が国が、戦後の焼け野原から復興を成し遂げ、自信と誇りを持って、高度成長の新しい時代へと踏み出していく。そのことを、世界に力強く発信するものでありました。」
安倍首相は1964年当時のオリンピックを思い出させるべくこう語りました。

安倍首相は長期にわたる停滞の後、自らの7年間の政権運営の下で日本はすでに停滞から抜け出していると述べました。
そして今年の夏のオリンピックは「日本のすべての人々国民一丸となって、新しい時代へと踏み出す」ことにより、日本の体質は一層強化されることになると語りました。
安倍首相は演説を締めくくるにあたり、新しい天皇の下での新元号の時代、オリンピック前の躍動感に満ちた時代だとした上で、戦後の憲法を改定
するという彼の長年の目標を含め、根本的な改革に取り組む絶好の機会だと結論づけました。
しかし毎日新聞は安倍首相がオリンピックを利用し、次々と明らかにされた最近の一連スキャンダルから国民の注意をそらし、その目を欺こうとしていると非難しました。
安倍政権は自分たちの支持者や取り巻きの人々の歓心を得るため毎年国が資金を提供する桜を見る会を利用した挙句、証拠となる書類をシュレッダーにかけて寸断したことに非難が集まっています。

さらに日本国内にカジノリゾートを設立しようとしている中国企業から賄賂を受け取った疑いで2019年12月に与党の国会議員が逮捕され、さらに有権者に法律で禁じられている贈り物をしたとして告発され、安倍内閣の2人の閣僚が同年10月に辞任しました。
毎日新聞は次のように伝えています。
安倍首相は政治に対する人々の信頼を傷つけたスキャンダルの真相を明らかにすべき立場にいながら、そんなことには全く気乗りがしないという態度をとり、「自分にとって不都合な現実から目をそらそう」としています。
「安倍首相が来るべき東京オリンピックとパラリンピックを利用して楽観的な気分を広め、政権が直面しているスキャンダルや数々の問題から国民の注意をそらそうとするなら、首相は政治的目的でオリンピックを利用していると批判されても仕方がない。」
毎日新聞は社説の中でこう述べています。
ブラジルの政府当局者は経済停滞やジカ・ウイルスの発生などの暗いニュースから一時的に国民の目をそらすため、は2016年のリオデジャネイロ・オリンピックを利用しました。
2008年の北京オリンピックは、中国の政治指導部が自国の世界的な影響力が強大になったことを誇示する機会として利用しました。
野党である生活の党の小沢一郎代表は、オリンピックさえ成功させれば「何もかも許される」という安倍首相の考え方を非難しました。
「オリンピックをまるで個人の所有物であるかのように利用することは許されません。」
小沢氏はこうツイートしました。

安倍首相は福島県で2011年に発生した地震、津波、原子力発電所事故に対する線引きするため、東京2020を「復興オリンピック」と名づけました。
演説の中で安倍首相は聖火リレーが福島第一原発事故の後、2011年から2017年まで事故収束・廃炉作業の臨時の拠点として使われてきた南隣りにある福島のJヴィレッジ・サッカー・トレーニングセンターをスタート地点に選んだことに言及しました。
「かつて原発事故対応の拠点となったその場所は、今、我が国最大のサッカーの聖地に生まれ変わり、子どもたちの笑顔であふれています。」
安倍首相は議会でこう語りました。
隣接する宮城県に本拠を置く新聞、河北新報は、首相のコメントは「空虚」だと評しました。
安倍首相は福島第一原子力発電所の廃炉に30年から40年かかる可能性があること、放射性トリチウムで汚染された放射能汚染水がサイトに蓄積し続けていること、地域からの農産物の安全性に疑問を投げかける風評が払拭されていないことを指摘しました。
「国のリーダーとして安倍首相は、事故発生から9年近くが過ぎた今なお、私たちが復興のために直面し続けている課題について話すべきだったのではありませんか?」
河北新報は社説の中でこう述べました。
「安倍首相は『復興オリンピック』というスローガンを強調するため、成果ばかりを列挙したという印象を拭えません。」

福島第一原発周辺では放射能汚染のために、数万人の元住民が未だに自宅に戻ることができず、半分捨てられたような町に戻ってきた人々もいますが、若者の姿を見かけることはほとんどありません。
こうした地域が復興を果たしたという表現について、多くの人が苦い思いをしています。
しかし日本の他の多くの場所ではオリンピックへの注目が集まり、期待も高まっています。
日本国内の居住者にオリンピックとパラリンピックのチケットを割り当てるための一連の抽選には、申し込みが大量に入っています。
東京の上智大学で政治学を専攻する中野浩一教授は、安倍首相の目くらまし戦術は「日本のマスメディアも大企業も今年の前半に稼げるだけ稼ぐことに非常に熱心であるため、ある程度うまくいくかもしれない。」と語りました。
しかし安倍首相がオリンピックへの国民の歓迎ムードを、そのまま自分の好感度と人気を高めるための材料に転換してしまうことは難しいかもしれない、とも語っています。

安倍首相が自分の政治的目的のためにオリンピックを利用しているという批判は、国際オリンピック委員会が競技者に対し競技会場あるいは表彰式を利用して、ひざまずく、手でジェスチャーを行う、腕章をつけるなどの政治的主義主張を行うことを禁止する厳格なガイドラインを公表した直後にも明らかになりました。
しかし一方でIOCのガイドラインは、アスリートはインタビューや記者会見、ソーシャルメディアで自由に政治的見解を表明できるとしています。
事実IOC自体が自身のあり方について独自の政治的メッセージを表明しないわけではありません。
今月、IOCはトーマス・バッハ会長の写真つきでユース・オリンピックでイランと米国のライバル同士が競い合う様子を伝えました。
これは、オリンピックが紛争の当事国間にも平和をもたらすことができるという信念を強調するためです。
IOCは朝鮮半島に平和をもたらすことができる「歴史的」イベントとして、北朝鮮が2032年大会を韓国と共催するという提案を歓迎しています。
サイモン・デニアーはワシントンポスト東京支局長で、日本と韓国を担当しています。それ以前は北京とニューデリーでワシントンポストの局長を務めていました。
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久しぶりに翻訳作業をしていて気分が悪くなりました。
これだけ日本の政治の質を貶め、ただでさえ窮迫している日本の国庫から自分の取り巻きに金をばら撒き、アメリカの事もあろうにトランプに盲従して日本の品位を地に堕としていながら、どんな反省もしない。
なぜ私たちはこのような人間を首相に据えているのでしょうか?
東京オリンピックの大会責任者、新型コロナウイルスが大会を混乱させる可能性に言及
東京オリンピック開催を170日後に控え、ウイルスの感染拡大を「真剣に憂慮する」日本

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2020年2月5日
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務総長である武藤俊郎氏は、新型コロナウイルスの感染拡大が大会の準備に「冷たい水を浴びせる」可能性があると述べました。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の高官が、新型コロナウイルスの感染拡大が東京2020の大会準備に「冷水を浴びせる」可能性があるとの懸念を示す一方、主催者側は大会を中止する計画はないと強調しました。
東京オリンピック組織委員会の武藤俊郎大会組織委員会事務総長(CEO)は、東京オリンピック開催を170日後に控え、準備段階でウイルスの感染拡大が及ぼす影響について懸念していると述べました。
「感染症の拡大が大会開催に向けての盛り上がりに冷水を浴びせるのではないかと、真剣に心配しています。」
武藤氏は東京での国際パラリンピック委員会の役員との会談の席上、こう語りました。
「できるだけ早く終息することを願っています。」

武藤氏同様の懸念は、オリンピック選手村村長の川淵三郎氏も同様です。選手村には11,000人の競技参加者が大会中に滞在します。
「感染症拡大がなんとか終息し、私たちがパラリンピックとオリンピックをスムーズに運営できるようになることを心から願っています、」
と彼は言いました。
「最悪の展開になっても、アスリートが最善の結果を出すことに集中できるよう私たちは最大限の努力をします。」
中国本土で490人が死亡し、23,000人以上を感染させた新型コロナウイルスの大流行は、女性サッカー、バスケットボール、ボクシング、バドミントンなど、中国国内で開催される予定だった予選イベントを混乱させることになりました。
日本ではこのウイルスによる死亡例はまだありませんが、33人と中国本土以外では最も多くの感染者を出しています。
2月4日には日本の横浜港に停泊中の豪華客船のウィルス検査を行ったところ、10人が新型コロナウイルスに感染していることがわかり、3,700人の乗船客と乗組員全員に14日間の隔離措置がとられました。

「関係諸機関、特に日本政府と世界保健機関が、状況に対処するために必要なあらゆる措置を講じることを確信しています。」
パラリンピック委員会の広報担当クレイグ・スペンス氏はこう述べています。
しかし小池百合子東京都知事は、感染拡大の封じ込めがうまくいかなかった場合、大会に影響を与える可能性があるという懸念を表明しました。
「新型コロナウイルスを封じ込める対策にしっかりと取り組まなければ、後々後悔することになるでしょう。」
780万枚のオリンピックチケットへの需要は高く、購入希望は供給を最低でも10倍以上です。
約450万枚のチケットは抽選によって国内販売されています。

写真 : 2020年1月29日水曜日、東京のお台場地区で、小さな男の子を抱いた女性がオリンピック・マークを背景にセルフィーを撮っていました
新型コロナウィルスの爆発的な感染拡大は東京五輪の開催まで終息するのか
噂の発端はコロナウィルスの感染拡大についてIOCとWHOが協議したという報道
スティーブン・ウェイド/ AP通信 2020年1月31日
東京オリンピックの主催者は、今年の2020年東京大会が新型コロナウィルスの爆発的な感染拡大によりキャンセルまたは延期される可能性があるという噂を打ち消すのに躍起になっています。
日本国内ではこれまでのところ、中国で200人以上を殺した新型コロナウイルスによる死亡例は報告されていません。
東京オリンピックを主催する大会組織委員会は数日間この噂についてあえて多くを語ろうとはしませんでしたが、1月31日金曜日になってこの噂について言及しました。

これまで新型コロナウィルスの感染拡大についてほとんど触れようとしなかった国際オリンピック委員会も同様の対応を取りました。
東京オリンピックは6か月足らず先の7月24日に開催される予定です。
「大会の中止について、これまで一度も話し合ったことはありません。」
東京の大会組織委員会は、AP通信への声明の中でこう述べました。
「東京2020は引き続きIOCおよび関連組織と協力しながら、必要と思われる対策を検討することになるでしょう。」
大会中止の噂が広がるきっかけとなったのは、スイスに本拠を置くIOCがアウトブレイクについて世界保健機関(WHO)と会談したという報道でした。
WHOは新型コロナウィルスの感染拡大について世界的な緊急事態を宣言しました。

「2020年東京オリンピックの準備は計画どおり進んでいます。」
IOCは声明で述べた。
「大会開催に関連するあらゆる点について、必要に応じIOCがすべての主要な国連機関と協力することは通常の慣行であり、その中には当然WHOも含まれます。」
小池百合子東京都知事は1月末、62の市町村長に危険性について警告する談話を発表していました。
日本政府は日本国民に対し、中国への渡航を行わないよう促しています。

汚染水の貯蔵スペースがどんどん無くなる東京電力、汚染水の投棄には一般市民や近隣諸国からの猛反発
海洋投棄による健康被害や地域のイメージの低下、水産業と農業に壊滅的被害の恐れ
山口真理 / AP通信 2020年1月31日
2017年10月12日、破壊された福島第一原子力発電所の敷地内に立ち並ぶ放射能汚染水を貯蔵する約900基の巨大なタンク。中身の汚染水は放射性物質を取り除く処理がされていますが、完全には除去されていません。
東京の北東部、福島県大熊町にある福島第一原子力発電所が報道関係者に公開された際に撮影されました。
経済産業省は31日、東京電力福島第一原発敷地内に溜まり続けている処理済み放射能汚染水の処分方法を検討してきた小委員会に、希釈した上で海洋投棄する案が最も現実的とするとりまとめ案を提示し、委員会側もこれを了承しました。
経済産業省の提案では1979年のスリーマイル島事故後に行われた蒸発・大気中放出という方法も取りうる選択肢の一つであるとしながら、汚染水を段階的に海に投棄する方がより安全であり、実行可能な方法であると述べています。
提案は今後数週間のうちにいつ、どのように汚染水を放出すべきかを詳細に議論するため政府に提出されます。

福島第一原子力発電所で2011年に発生した3基の原子炉炉心のメルトダウンからすでに9年近くが経過しましたが、専門家の勧告に従って汚染水をどう処分するかを決定する道筋がやっと具体化してきました。
これは汚染水を貯蔵できる空間がどんどん無くなってきていること、そして汚染水の投棄により切迫した状況に追い込まれる可能性がある一般市民や近隣諸国からの反発との間で立ち往生している東京電力が、抱え込んでいる問題をこれ以上大きくしないための解決策です。
漁業関係者と近隣住民は、放射能汚染水を海洋投棄することによって生じる健康被害や地域のイメージの低下、水産業と農業への壊滅的被害を恐れています。
処理済み放射能汚染水は放射性物質を取り除く処理がされており、福島第一原発の運営者である東京電力はそこに含まれる62種類の放射性物質はトリチウムを除くすべてが、人体に有害でないレベルまで除去できると述べています。
専門家によると、トリチウムを水から完全に分離する方法は確立されていませんが、少量なら深刻な問題はありません。
さらに日本政府関係者は、トリチウムは世界中の既存の原子力発電所から日常的に放出されていると述べています。

31日の提案で経済産業省は計画的な海洋投棄を行えば、投棄された汚染水の移動ルートは予測可能であり、サンプリングと監視が容易であるため、処理方法として優れていると述べました。
しかし海洋投棄を行えば、未だに本当の意味での復興が果たせず苦労している福島の水産業に著しい悪影響を与える可能性があります。
一部の委員からは、汚染水の投棄を急ぐべきではない、急げば福島の復興が損なわれることになると語りました。
「私たちは、福島の復興を何よりも優先すべきです。」
中央水産研究所の森田貴美氏がこう語りました。
「地元の漁業関係者と住民は、福島の復興がさらに進まない限り、放射能汚染水の放出を受け入れることはできません。」
森田氏は福島産の水産物のほぼすべてが残留放射能の安全基準をクリアしているにもかかわらず、福島産の魚介類の需要は、事故前の5分の1未満にまでしか回復していないと語りました。
経済産業省の報告書は放射能汚染水の放出が、入念な安全チェックにもかかわらず、依然として福島産品の購入に消極的な消費行動に直面している産業に損害を与える可能性があることを認めています。
こうした消費者の懸念に対処するため、経済産業省はトリチウムレベルの監視と食品の安全性チェック体制を強化することを約束しました。

名古屋大学の原子力工学教授である山本一郎委員長は、福島の復興には福島第一原発の廃炉止措置の着実な進展が不可欠であると語りました。
「こうしたタンクと放射能汚染水の存在が、廃炉作業の最も重要な部分である溶融燃料デブリの除去作業計画を妨げたり、遅らせたりしてはならないのです。」
「廃炉作業を確実に進展させるためには、福島第一原発の敷地を自由につかえるようにすることが不可欠です。」
東京電力は現在、約120万トンの放射能汚染水を貯蔵していますが、最大で137万トン、あるいは2022年の夏の分までしか保管を続けるためのスペースがありません。
事故発生以来、溶け落ちた核燃料の冷却を続けるために使われた水が地下水と混じり合った汚染水が溜まり続けています。
この汚染水は常時ポンプで汲み上げられ、処理された後タンクに保管されますが、その一部は冷却用水としてリサイクルされます。
しかしタンク内の汚染水は、溶け落ちて高濃度に汚染された原子炉の内部および周辺にある非常に放射性の高い大量の放射能汚染水と比べればさほど重要ではありません。
この極めて危険な汚染水は海や地下水に漏れ続けていると考えられており、もし大規模な地震や災害が発生した場合にははるかに大きなリスクをもたらすと一部の専門家が指摘しています。

経済産業省の報告書は多くの福島県民が支持している方法 - 福島第一原発以外の場所での長期保管という方法を排除しました。
土地所有者の許可を得ることが困難であり、輸送上の課題に加え、腐食、津波、またはその他の災害や事故による漏出のリスクがあると述べています。
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福島第一原発事故の被災者は、いったい何回生活を根こそぎ破壊されなければならないのか?
そう考えるとあまりの理不尽さに、全身に力が入らなくなる感覚に襲われます。
70キロ近く離れた場所で暮らす私ですらそうなら、当事者の方々の思いというのは一体どのようなものなのでしょうか?
現在の為政者たちはその点を思いやることができない。
それは放射能汚染水の存在以上に深刻な問題のように私は感じています。