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福島第一原発事故発生から9年、日本の隠蔽は続いている《4》

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所要時間 約 9分

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電気料金を高騰させ、高止まりさせているのは原子力発電の継続       日本国民の70パーセントは原子力発電の継続に反対、再生可能エネルギーへの転換を求めている

日本の人々は納税者として福島第一原発事故の事故収束・廃炉に、25兆円を超える負担を強いられることを望んでいるのか?!

                

アーニー・ガンダーセン、マギー・ガンダーセン / フェアウィンズ 2020年3月10日

                    

メルトダウン事故からの復旧が故意に安く見積もられた事実を証明する『ローボール』見積もりは、つまるところ福島第一原発の3基の原子炉のメルトダウンが懸念されているほどひどくはなかったのだという認識を日本の市民の間に広めるために作り出されたものです。

                     

メルトダウン直後、当時の民主党政権は国民の信頼を取り戻すまで日本国内にある44基の原子炉を閉鎖しました。
原子力発電の利用により日本の電気料金が著しく高くなっていたことに加え、福島第一原発事故処理費用として日本のすべての国民が一人当たり10万円以上の負担を強いられるという事実をはっきり認識していたら、安倍首相率いる自民党政権が停止していた原子力発電所を次々と再稼動させていった政策を受け入れたかどうかは極めて疑わしいものだと思っています。

                    

日本国民の70%以上が日本が原子力発電を継続することに反対しており、持続可能な再生可能エネルギーへの転換を求めています。
しかし現実には、日本の原子力産業、日本政府の規制当局、そして政治家は再び国民を欺き、老朽化しその分危険性が増している原子炉の再稼動を進め、それによって得られた利益を再び原子力企業、投資家、そして業界を救済した銀行に流し始めました。

                    

                  

3基の原子炉がメルトダウンした1か月後、ナショナル・パブリック・ラジオ(米公共ラジオ局)は、現在は東京電力に雇用されている米国原子力規制員会の元委員長のレイク・バレット氏にインタビューしました。
スリーマイル島事故発生40周年でCスパンについて議論を行った時同様、バレット氏はスリーマイル島でメルトダウンによって放出された放射性物質の量を実際の10分の1であると過小評価したNRCの当時の代表者でした。

                     

事故現場の放射性物質の漏出の封じ込めとクリーンアップの完了には、少なくとも10年の時間が必要であり、1兆円をはるかに超える費用がかかります。
原子炉で現実になにが起きているか、その詳細の殆どが知られてませんが、専門家なら事故現場の労働者には今後どのような課題が課されることになるのか、予測することができます…。

                   

バレット氏はクリーンアップに1兆円を超える費用がかかると予測しています。
技術者は問題の構造を解析することができ、個々のステップを実行するための具体的方法を知ってはいます。
しかし人類はこれまでこれ程の規模で原子力発電所のクリーンアップに取り組んだことはないのです。

                   

                 

米公共ラジオ局を通してバレット氏の主張を聞いたとき、彼が意図的に大衆を欺くという過去にも行った論理を展開ていることに私は気がつきました。
バレット氏の事態を軽く見せようとする意図的な見積もりを見てみましょう。
福島よりもはるかに少ない放射能を放出している原子炉が正常なプロセスを経て廃炉にされる際、解体廃炉には約1,100億円ほどかかります。
したがって福島第一原発で爆発事故を起こし、コネチカット州の同規模の面積で放射能を噴出した3基の原子炉の解体および廃炉にかかる費用を、たった1兆円で終わらせようというのは絶対に不可能です。

                      

2012年2月、東京の外国特派員記者クラブで会見をおこなった際、私は福島第一原発事故の事故処理・廃炉費用についてのバレット氏が作成した見積もり金額を一点一点修正していきました。

                   

福島第一原発事故の後、今後20年から30年の時間をかけて事故処理・廃炉を完了させるためには、私は30兆円前後の費用がかかると考えています。
で-完全に片付けるには、米国の約4兆5,000万年になると思います。

                   

しかし私が見積もった金額がメディアによって公表されることはありませんでした。
むしろ私は東京滞在中この見積もり金額についてひどい批判を受けました。

               

その代わり米国原子力規制員会に在籍していたという経歴によって、バレット氏の見積もりの方が正しいとされたのです。
そして今や誰もが知っていることですが、災害から9年が経過した現在、私の見積もり金額はバレット氏の予想より25倍以上高いものであったにもかかわらず、それすらも少なすぎるという現実が目の前にあるのです。
東京電力と日本政府の手による新しい事故収束・廃炉費用の試算金額は、私が見積もった金額の2倍、バレット氏のそれの50倍に達するものになったのです。

                 

               

もし日本の人々が、テレビやインターネットで福島第一の原子炉が白煙を上げながらメルトダウンする様子を毎日見せられ、何が起きているのか本当のことを知らされていたら、その反応はどんなものだったでしょうか?
日本の人々は、納税者として福島第一原発事故の事故収束・廃炉に25兆円を超える負担を強いられることを望んでいるでしょうか?

                    

もし真実を見聞きしていれば、私 - あるいは共同著者岡崎玲子氏やマギー・ガンダーセン同様、すべての原子力発電所を永久に廃炉にし、再生可能エネルギーへの転換に向け動いていたはずなのです。

                

《5》に続く
https://www.fairewinds.org/demystify/japans-nuclear-cover-up-continues-nine-years-after-the-fukushima-disaster
  + - + - + - + - + - + - + - + 

                     

本文中にある納税者として福島第一原発事故の事故収束・廃炉に25兆円を超える負担を強いられるという記述、仮に日本の家庭の構成人員が3人だとすると、日本人である以上は一世帯あたり80万円以上を福島第一原子力発電所の事故処理のために支払わなければならないという計算になります。

                 

福島第一原子力発電所が稼動を始める時、こんな説明をされた記憶はありますか?                    

説明をしなかった側により多くの問題があるとはいえ、そのような危険の存在に気づこうとしなかった私たち一般市民の方にも問題がないわけではありません。

                     

7月半ばの報道は、既存の原子力発電所を再稼動させるために必要な巨額の改修費用を賄うため、電力会社は今後送電網を利用する業者に追加負担を求める意向であり、その分は最終的に一般世帯の電気料金に上乗せされることになるだろう、と伝えていました。

                 

それで良いのですか?!

黙っている、反対意見を言わないということは、それで良いと無言で認めていることになるのです。

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