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事故前も隠ぺいを繰り返し、事故後も隠ぺいを続ける!それが日本の原発 – 100年災害!福島第一原発の崩壊《2》

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所要時間 約 10分

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10年が過ぎた現在も福島第一原発のいずれの原子炉炉心には近づくことすらできず、どこに何があるのかも正確にわからない
原子炉2号機の炉心はいまだに、原子力発電所作業員の年間許容被ばく線量の10,000倍以上の放射線を1時間のうちに放出している
福島はすでに推定されたよりも高い線量の、しかも予想を上回る量の放射能汚染物質を抱えこんでいる

                    

                        

トーマス・A・バス/ 原子力科学者会報 / フェアウィンズ 2021年3月10日

                    

福島第一原発を運営していた東京電力は職員に対し崩壊の始まった福島第一原発からの避難、放棄を命じました。
当時の菅首相は夜明けに東京電力本社に行き、社内の管理体制を再構築した上で、福島第一原発のこれ以上の崩壊を食い止めるよう要求しました。
その結果、志願した年齢の高い職員が自発的に崩壊を食い止めようと奮闘することになりました。

                  

『フクシマ50(フィフティ)』(実際には69人)として世界的に知られる事になった彼らは、約200km南にある東京から運び込まれた消防車を使って原子炉を冷却しようとしました。
危機管理のためのコマンドセンターはJ-ヴィレッジに移されました。

                  

福島第一原発がいったいどれだけの量の放射性物質を放出し、それがどこに固着したのかを正確に知る方法はありません。
ただ大部分は当時の東向きの風に乗って太平洋上に飛散しました。

                       

どれだけ世界中に汚染を広げたのかという点について、予測のうち最大のものは、福島第一原発はチェルノブイリよりより大きな被害をもたらした可能性があるとしています。
逆に原子力エネルギー研究所の最小に見積もられた数値では、福島第一原発が放出した放射性物質はチェルノブイリでの事故の10分の1です。

                      

2019年に著書『チェルノブイリ』を刊行したマサチューセッツ工科大学のケイト・ブラウン教授は、ロシアと中央ヨーロッパに5,000万から2億キュリーの放射性物質を散乱させたと推定しています。(1キュリーは370億ベクレルに相当します。)

                    

                   

この数値についてわかりやすくするために国際原子力機関(IAEA)のガイドラインで換算すると、広島型原爆400発分に相当します。
ノーベル賞受賞文学者の大江健三郎氏の表現を借りれば、広島や長崎とは違い、福島第一原発の崩壊は日本は自分自身に核攻撃を行った結果でした。

                 

放射能汚染の実態が不明という事態を招いたものは、津波によって福島第一原発内の線量計のほとんどが流されてしまったかあるいは機能しなくなっていたためでした。
上空を飛ぶ米軍機や沖合を航行する船からの測定した値は、東京電力が報告したものとは劇的に異なっていました。

                     

同じことが、福島第一原発周辺の大気中の線量測定と土壌サンプルの検査にも当てはまります。

                   

チェルノブイリや福島などでの原子力災害の実態を解き明かす際の鍵になるのが、「ソースターム」と呼ばれるものです。
これは崩壊した原子炉の炉心にはどんな核物質がどれだけの量存在し、事故によって何がどれだけ環境中に放出されたかをモデリングして得られるものです。

こうして造られたモデルは、風によってどの程度拡散したのかやその他の要因について詳しく検証する事により見直しを行い、精度を高めていきますが、それでも結局はモデルにすぎません。

                  

理想的には、原子炉の炉心自体を調べるのが一番です。

                  

                    

残念ながら、10年が過ぎた現在も福島第一原発のいずれの原子炉炉心に近づくことすらできず、どこに何があるのかさえ正確にわかりません。

                  

朝日新聞は2020年12月、日本の原子力規制委員会(NRA)が福島第一原発の事故収束・廃炉作業の進行状況について、「非常に深刻な」状況にあると判断した記事を掲載しました。。
福島第一原発の実情はこれまで考えられていたよりもはるかに悪いものである事が確認されたのです。

                         

東京電力は原子炉を覆っている巨大なシールドプラグ(原子炉格納容器の上部に設置されるコンクリート製の遮蔽構造)が1時間に10シーベルトの放射線を放出していることを確認しました。
これは人間が浴びたらたちまち死に至る放射線量です(ただし炉心内での検証作業はロボットにより行われています。しかしあまりに放射線量が高く、ロボットも度々故障に見舞われています)。

                   

福島はすでに過去に推定されたよりも高い線量のしかも予想を上回る量の放射能汚染物質を抱えこんでいるため、
「今回の問題は廃炉作業の全プロセスに大きな影響を与えることになるだろう。」
原子力規制委員会の更田委員長はこう述べました。

                     

人間に障害を起こしたり殺したりする放射線の実効線量は、放射線エネルギーの致死効果を初めて検証したスウェーデンの物理学者、ロルフ・シーベルトにちなんで名づけられた単位・シーベルトで表わされます。
0.75シーベルトの放射線を被ばくすると、人間は吐き気と免疫力の低下を引き起こします。
(シーベルトは人体に加えられた相対的な生物学的損傷を測定するために使用される単位です。一方、ベクレルとキュリーは放射性物質が放出する放射線量を表す単位です。)
一度に10シーベルトの被ばくをしてしまうと、人間は死亡します。

                    

                    

0.75から10シーベルトの間の放射線を被ばくした場合、その人が30日以内に死ぬ確率・生存確率は5分5分です。

                     

原子力産業に従事する労働者のガイドラインは、最大年間線量を0.05シーベルトまたは50ミリシーベルトを限度としています。(これは、一般の人々の許容被ばく線量の年間1ミリシーベルトと比較すると高い数値になっています。業界に詳しい物理学者は、原子力業界の労働者はリスクを引き受ける代わり暗黙のうちにいわば危険手当を支払われていると考えられていると説明しました。 )
これはCTスキャンを5回受けた際の被ばく線量に相当します。
出典はいずれもハーバード・ヘルスパブリッシングです。

                     

《3》に続く
https://www.fairewinds.org/demystify/fukushimas-first-decade-in-a-100-year-long-catastrophe?ss_source=sscampaigns&ss_campaign_id=604974fba3438c548995b0b4&ss_email_id=60497ef445867a5842acaa5a&ss_campaign_name=Fukushima%E2%80%99s+First+Decade+in+a+100-year+Long+Catastrophe&ss_campaign_sent_date=2021-03-11T02%3A22%3A59Z
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『廃炉完了まで30年〜40年』という『見通し』が原子力発電に知識を持たない『一般大衆』をなんとなく納得させるためのフィクションでしかないことに、改めて気づかされます。

不得要領(ふとくようりょう)という言葉はまさにこういう時に使うのでしょう。

考えてみれば福島第一原発の崩壊以降、日本政府と東京電力の話は不得要領ばかりです。

人間が近づくことができない極めて危険な溶け落ちた核燃料、それが「10年が過ぎた現在も福島第一原発のいずれの原子炉炉心に近づくことすらできず、どこに何があるのかさえ正確にわからない」状況なのに、作業完了の目安だけが示されています。

                    

東京電力がメルトダウンした核燃料について『2021年』、すなわち今年中に取り出しを開始すると公表していたことを私たちは忘れないようにしましょう。

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